JP5686984B2 - 印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、高い白色度と高い不透明度を兼ね備えた印刷用紙に関する。
近年、印刷用紙、特に印刷用塗工紙は、通信販売等のカタログ印刷物などに用いられるため、視覚的に強力な印象を与えられる白さが求められる傾向が著しい。一方、冊子の頁数増と、用紙のコスト削減と輸送および郵送のコスト削減を両立する要望もあり、低坪量品への需要がますます高まっている。
塗工紙には、上質塗工紙(A1コート、A2コート、A3コート)、中質塗工紙、微塗工紙、超軽量微塗工紙などの品種があり、用途別、要望別に坪量、白色度、光沢度、平滑性、色調等の異なる銘柄が各社から製品化されている。
上質系の原料を用いた印刷用紙は、主として晒しクラフトパルプを原料としたパルプが用いられるため、着色異物も少なく白色度が高いものの、不透明度が低く、特に薄物で印刷した場合の裏抜けが問題となっている。また、中質系の原料を用いた印刷用紙は、晒しクラフトパルプに加えて再生パルプや機械パルプが多く配合されるため、上質系印刷用紙よりも比較的不透明度が高いものの、白色度は、上質系印刷用紙よりも低いという問題がある。
さらに、近年、資源を有効活用するという観点から、再生パルプをより多く含有する印刷用紙が増えている。このような印刷用紙は白色度がより低下するという問題がある。
これまで、白色度と不透明度の両立を求める場合、屈折率の高い酸化チタンを内外添する、中空プラスチックピグメントを塗工層に配合するなどして塗工層に適度なサイズの空隙を設ける、またこれらを組み合わせるなどの方法が開示されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、いずれも高価な原料であり、コスト高になる問題がある。
特開2000−336593号公報 特公昭52−118116号公報
以上のような背景を鑑みた結果、本発明の課題は、高白色、高不透明性を有する印刷用紙を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、印刷用紙を構成する成分の中に、紫、青の色を有する顔料をいずれか1種類以上を含有させることにより、白色度が高く、高不透明度の印刷用紙が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を含む。
(1)紫色顔料および/または青色顔料を含有する印刷用紙であって、印刷用紙のJIS P 8150の方法によって測定される紙の色相が、紫外線を含む測定においてb値が−10以上−0.5未満である、印刷用紙。
(2)原紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量が、全パルプの絶乾重量を基準として60重量%以上である、(1)に記載の印刷用紙。
(3)前記顔料の含有量が0.4〜3.5mg/mである、(1)または(2)に記載の印刷用紙。
(4)前記印刷用紙の不透明度が、90%以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の印刷用紙。
(5)記印刷用紙の坪量が70g/m以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の印刷用紙。
(6)原紙層が青色、紫色、または赤色染料を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の印刷用紙。
(7)前記印刷用紙が、少なくとも原紙層と顔料塗工層とを有する塗工紙である、(1)〜(6)のいずれかに記載の印刷用紙。
(8)前記顔料塗工層が、紫色顔料および青色顔料を除く顔料100重量部に対して、重質炭酸カルシウムを75重量部以上含有する、(7)に記載の印刷用紙。
本発明によれば、高白色、高不透明性の両方の物性を有する印刷用紙を得ることができる。特に、本発明の印刷用紙は見た目の白さが強く、機器で測定する白色度よりも白さが際立って見える。さらに、印刷面感、印刷光沢にも優れ、平滑度が高く、インクの着肉性も優れ、印刷適性に優れている。また、原料パルプに脱墨パルプを使用しても、高白色、高不透明性の両方の物性を有する印刷用紙を得ることができる。
色相系における色材添加後の色相の変化
本発明の印刷用紙は、顔料と接着剤を主成分とする塗工層を設けた印刷用塗工紙でも、前記塗工層を設けない印刷用紙でもよいが、印刷用塗工紙において、本発明の効果を発揮しやすい。印刷用塗工紙とは、基紙(以下、本明細書において、「原紙」ということがある)と、該基紙上の片面あるいは両面に少なくとも一層の塗工層を有する印刷用紙である。該塗工層は、顔料および接着剤を主成分とする。本明細書においては、白色顔料を含む顔料塗工層を有する印刷用紙を印刷用塗工紙、顔料塗工層を有しない印刷用紙を印刷用非塗工紙という。
紫色顔料および/または青色顔料
本発明においては、印刷用紙に、紫色顔料および/または青色顔料を含有させる。本発明において色材とは、白色以外の有色の顔料または染料をいう。顔料とは、水や油や有機溶剤などに不溶または難溶性または分散状態で存在する白色あるいは有色の粉体であり、無機と有機のものがある。本発明においては、無機、有機いずれのものでも良い。染料とは、可視光線を選択吸収または反射して固有の色を持つ有機色素のうち、適当な染色法により繊維や顔料等に染着するものをいい、溶媒(水や有機溶剤など)に可溶である。本発明においては、染料を併用してもよいが、耐光性に優れ、紙の経時による変色・着色を防止するという観点から紫色顔料および/または青色顔料を使用する。
本発明の顔料は、青色または紫色であるものを使用でき、青色の顔料としては、例えば、EMT−ブルーDS−18 東洋インキ製造(株)社製などが挙げられ、紫色の顔料としては、例えば、SAバイオレットC12896 御国色素(株)社製などが挙げられる。顔料は、青色単独、紫色単独、両者併用しても良いが、不透明度を向上するには、紫色の顔料を使用することが好ましい。また、本発明においては、必要に応じて、黒、赤、黄などの、青、紫以外の色材を添加しても良い。
青色顔料・紫色顔料としては、無機顔料および有機顔料のいずれも使用できる。青色顔料の具体例としては、例えば、ウルトラマリン、アズライト、プロシアブルー(紺青)、群青、スマルト、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)、セルリアンブルー(錫酸コバルト)、コバルトクロムブルー、コバルト・アルミ・珪素酸化物、コバルト・亜鉛・珪素酸化物、マンガンブルー、フタロシアニンが挙げられる。また、紫色顔料の具体例としては、例えば、コバルトバイオレット(砒酸コバルト、燐酸コバルト、コバルト・リチウム・燐酸化物、含水燐酸アンモニウムコバルト、ホウ酸コバルトなど)、紫群青、酸化鉄紫、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレットなどの無機顔料、インジゴイド系、キナクリドン系、オキサジン系、アントラキノン系、カルボニウム系、キサンテン系の有機顔料が挙げられる。
本発明の好ましい態様において、青・紫の顔料を一定量含有することによって色相を後述する範囲とすることにより、印刷用紙の表面色を青白くし、見た目の白さを増強すると共に、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止することができる。
本発明における青色および紫色の顔料とは、印刷用紙に含有させたときに、印刷用紙をそれぞれの色にする色材である。各々の色材を添加すると、図1に示す方向へ紙の色相を変化させることができる。図1は、L表色系をもとに、本発明の色材を含有しない紙と、含有させた後の紙の色相の変化を示したものである。色相を、a値の(+)方向を0°、(−)方向を180°b値(+)方向を90°、(−)方向を270°として表記した場合、添加前の紙を原点ゼロの位置とすると、青色の色材を添加すると、「青味」と図1に示してある210°以上280°未満の部分に添加後の紙の色相が変化し、紫色の色材を添加すると、「紫味」と図1に示してある280°以上335°未満の部分に添加後の紙の色相が変化するということを表している。
顔料の含有量
本発明における紫色顔料および/または青色顔料の含有量は特に限定されないが、これらの顔料の合計が、印刷用紙1mあたり、0.4〜3.5mgであることが好ましく、0.9mg〜3.0mgであることがより好ましい。一般に、前記量が0.4mgより少ないと、顔料による光の吸収が少ないため、不透明度に寄与する隠蔽性が不足するので好ましくない。また、一般に、前記量が3.5mgより多いと、顔料による光の吸収量が多く、不透明度向上に大きく寄与するものの、色相が0点から大きく外れ、白色とは感じられなくなるため、好ましくない。顔料の含有量は、上記範囲内で、原料あるいは原紙などの白色度により適宜調節できる。本発明において数値範囲はその端点を含む。
また、後述するとおり、本発明においては原紙中に染料を含有させて色相を調整できるが、この場合は、原紙層以外の印刷用紙の層に含有される紫・青色顔料の合計量は、0.4mg〜2.5mgであることが好ましく、0.5〜2.0mgがより好ましい。
青色顔料、紫色顔料の合計量は、各層に含まれる青色顔料および紫色顔料の量を合計して求められる。例えば、印刷用紙が、原紙層、サイズプレス層および顔料塗工層からなる場合、下式によって求められる。
Figure 0005686984
顔料が含有される層
本発明の紫・青色顔料は、印刷用紙のいずれの層に含有されていてもよい。好ましい態様において、本発明の顔料を印刷用紙を構成する層のいずれか1層に存在させることによって、比較的簡便に印刷用紙を製造することができる。
本発明の顔料は、原紙中に含有しても良いし、サイズプレス液中に含有しても良いし、塗工層を設けた印刷用紙であれば、塗工層に含有しても良い。また、原紙層および/または塗工層が2層以上の場合、いずれかの層に含有しても良いし、すべての層に含有しても良い。製造しやすいという観点からは、塗工層に含有している方が好ましい。原紙の両面に同一の層(例えば両面に設けられた塗工層)が存在する場合、1の層に紫・青色顔料が存在するとは、前記の両面の塗工層が紫・青色顔料を含むこと、あるいは両面の塗工層のうち、1の塗工層が紫・青色顔料を含むことをいう。
一般に印刷用紙は、顔料塗工層を有する塗工紙と、顔料塗工層を有していない非塗工紙とに分類され、必要に応じて、澱粉やポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子バインダーの水溶液(サイズプレス液)が原紙上に塗工されてクリア(透明)塗工層が設けられる。そのため、本発明の印刷用紙には、原紙の片面または両面に、クリア塗工層と顔料塗工層のいずれかまたは両方の層を設けてよい。
したがって、一つの態様において、本発明の印刷用紙は、原紙層と顔料塗工層を有する塗工紙であり、紫色顔料および/または青色顔料が、原紙層と顔料塗工層の両方または一方に存在する。また別の態様において、本発明の印刷用紙は、原紙層、クリア塗工層、顔料塗工層を有する塗工紙であり、紫色顔料および/または青色顔料が、原紙層、クリア塗工層、顔料塗工層から選ばれる1つの層または複数の層に存在する。さらに別の態様において、本発明の印刷用紙は、原紙層とクリア塗工層を有する非塗工紙であり、紫色顔料および/または青色顔料が、原紙層とクリア塗工層の両方または一方に存在する。
不透明度および白色度は紙表層あるいは紙層内部での光の反射と紙層内における吸収により影響される。JIS P 8149に定められた不透明度は同一試料において、単一シート視感反射率R0の固有視感反射率R∞に対する比率で表した値であり、塗工紙のZ軸方向(厚み方向)において紫・青色顔料がいずこに存在していてもほとんど影響されない。一方、JIS P 8148に定められた白色度は測定される反射率に変化がないように十分な枚数を重ねた試料の反射率(固有反射率)であるため、最外層に含まれる顔料により影響を受ける。このため、紫・青色顔料が複数の層に存在する場合、最外層である塗工層に存在する顔料の比率を高くすることによって効率よく本発明の効果を得ることができる。しかしながら、最外層である塗工層に紫・青色顔料を多く含む場合、青白さが強くなり見た目の白さが低下する場合がある。
また、原紙に含まれる脱墨パルプの割合が高い場合は、脱墨パルプに由来する機械パルプ等が多く含まれているので、印刷用紙の不透明度は高いが、そのままでは黄ばんだ色となってしまう。このため、本発明においては、他の層よりも原紙層に存在する紫・青色顔料の比率を高くする、あるいは原紙層にのみ紫・青色顔料を存在させることが好ましい。このようにすることで、過度の青白さを抑制でき、また機械パルプを多く含むことに起因する、黄ばんだ色を効率的に抑制することができ、高い不透明度と高い白色度を達成できるので好ましい。後述するとおり、原紙層にまたは紫・青等の染料を含有させることによっても同様の効果が得られる。
印刷用紙の製造
本発明の印刷用紙は公知の方法により製造することができる。例えば、本発明の印刷用塗工紙は、以下に記載する抄紙原料をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して基紙を製造することができ、次いでコーターパートにて後述する塗工液を基紙上に塗工した後、アフタードライヤーパート、カレンダーパート、リールパート、ワインダーパートなどに供して製造することができる。また、印刷用非塗工紙の場合、抄紙原料をワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して原紙を製造し、その原紙上に水溶性高分子(バインダー)をクリア塗工して製造することができる。
原紙
本発明の印刷用紙は少なくとも原紙層を有する。本発明に用いる原紙は、単層抄きであっても多層抄きであってもよい。本発明の原紙が多層構造を有している場合、原紙を構成する複数の層のいずれか1層以上に紫色顔料および/または青色顔料を含有させればよい。紫色顔料および/または青色顔料を原紙層に存在させるためには、紫色顔料および/または青色顔料を含有する抄紙原料から原紙を抄紙すればよい。本発明の原紙の製法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。
また、原紙に青色染料、紫色染料、または赤色染料を含有させてもよい。これらの染料を原紙層に存在させるためには、これらの染料を含有する抄紙原料から原紙を抄紙すればよい。前述のとおり、染料は繊維や顔料等に染着するので、原紙を染色しやすい。また、染料は経時による変色を引き起こすことがあるが、最内層の原紙層に染料を含有させることで、このような変色を抑制できる。さらに、本発明において多くの脱墨パルプを用いる場合、仮に染料による変色が起こっても、見た目の白色度の低下がそれほど大きくならない。原紙層は、前記染料、紫・青色顔料のいずれかを含有してもよいし、前記染料と紫・青色顔料との双方を含有してもよい。
したがって、一つの態様において本発明の印刷用紙は、原紙層が前記染料を含み、他の層が紫・青色顔料を含む印刷用紙である。また別の態様において本発明の印刷用紙は、原紙層が前記染料と紫・青色顔料とを含み、他の層が紫・青色顔料を含む印刷用紙である。
印刷用紙における前記染料の含有量、または色材の量は、紫・青色顔料と同様にして求められる。
本発明においては、前記染料および/または紫・青色顔料によって、原紙の色相を、JIS P 8150の方法による紫外線を含む測定においてb値が−10以上−0.5未満、より好ましくは−3.0以上−0.5未満に調整すると、より本発明の効果を奏しやすい。したがって、色相が上記範囲に調整された原紙とこの原紙の上に設けられた塗工層等を含む印刷用紙は、印刷用紙における紫・青色顔料の使用量を低減させても、優れた白色度、不透明度を有する。
一方、色相が上記範囲外の原紙を用いる場合、所望の白色度を得るためには、塗工層等に含まれる紫・青色顔料の量を多くする必要がある。このため、銘柄抄き変え時に塗工液中の顔料が配管内に残りやすくなり、操業ロスが大きくなりやすい。しかし、色相が上記範囲内の原紙を用いると、このようなことを回避できる。さらに、色相が前記範囲外の原紙を用い、主として原紙層以外の層によって所望の白色度に色相を調整する場合は、印刷用紙の青味が強くなりすぎたときに、見た目の白さの低下や白色度が低下する可能性があり調整が比較的難しいという傾向がある。しかしながら、色相が上記範囲にある原紙を用いると、このようなことを回避しやすい。
また、原紙の色相が上記範囲内の原紙であっても、b値が比較的低めの原紙を用いると塗工層等に含まれる紫・青色顔料の量が少なくても所望の色相を得られるため、上記操業ロスなどがより起こりにくい。
原紙層のa値は、印刷用紙の白色度や不透明度には大きく寄与しないため、特に限定されないが、通常は、−1以上7未満が好ましく、−1以上5未満がより好ましく、−1以上3未満がさらに好ましい。前記範囲を外れると、印刷用紙の色が白に見えなくなってしまうことがあるため好ましくない。
原紙に含まれる染料
染料には直接染料、酸性染料、塩基性染料、建染染料、分散染料、反応染料などのタイプがあるが、セルロース系繊維に良く用いられる染料としては塩基性染料、直接染料、建染染料が挙げられる。塩基性染料は、イオン間のクーロン力、水素結合、ファン・デル・ワールス力などにより被染色物に結合し、直接染料は、水素結合、ファン・デル・ワールス力などで被染色物に結合する。中でも染着力が大きく、色調が鮮やかな塩基性染料が好ましい。塩基性染料としては、アゾ染料、ジフェニルおよびトリフェニルメタン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料などが挙げられる。また、直接染料としては、ジトリジン、ジアニシジンからのアゾ染料などが挙げられる。建染染料としてはインジゴ・チオインジゴ系、アントラキノン系、フタロシアニン系に分類されものが挙げられる。
本発明では、青色、紫色、または赤色染料を使用できる。青色の染料としては、例えば、アイゼンベーシックペーパーブルーRHリキッド 保土ヶ谷化学工業(株)社製などが挙げられ、赤色の染料としては、例えば、アストラフロキシンGリキッド ケミラ社製などが挙げられる(いずれも塩基性染料)。
青・紫色染料は、青・紫色顔料と同様の作用により、印刷用紙の色相を特定の範囲とし、印刷用紙の表面色を青白くし、見た目の白さを増強すると共に、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止する。一方、赤色染料は、若干ではあるがb値を下げる効果がある。また青色染料だけではa値がマイナス方向にシフトする、すなわち色相が緑にシフトすることがあるので、赤色染料は、これを抑制して、a値を−1以上7以下の範囲にしやすくする。
本発明においては、青色、紫色、または赤色染料を単独で使用してもよく、これらを併用してもよい。しかしながら、不透明度を高めるという観点からは、青色染料を使用することが好ましい。また、原紙層は、必要に応じて、黒、黄などの、青、赤以外の色材を含んでいてもよい。
原紙中の前記染料の添加量は特に限定されないが、例えば、全パルプの絶乾重量を基準として、塩基性染料は0.001〜0.01重量%、直接染料は0.015〜0.15重量%とすることができる。
原料パルプ
本発明の原紙の原料となるパルプは特に限定されない。例えば、化学パルプ、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などが挙げられる。化学パルプとしては、クラフトパルプ法により製造したものと、亜硫酸パルプ法により製造されたものがあり、本発明においてはその両方を使用することができるが、クラフト法により製造した化学パルプ(以下、本明細書において、単にクラフトパルプ、ということがある)が生産コストの面から好適である。一般に化学パルプは、その製造過程において木材由来成分のリグニンを除去していることから、パルプの白色度が高いが、その反面、製造した紙の不透明度が低くなる傾向があり、特に化学パルプを使用した低坪量の印刷用紙では不透明度を向上させることが大きな課題であったところ、本発明によれば、不透明度を向上させることができる。
本発明においては、脱墨パルプ(DIP)を使用するとより効果を発揮しやすい。脱墨パルプ(DIP)には、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプを使用できる。また、本発明において、脱墨パルプとして、上質紙を中心に選別した高白色度のパルプを使用すると、より白色度の高い印刷用紙が得られる。しかし、本発明においては、紫・青色顔料を用いるので、脱墨パルプとして上質紙由来でないパルプを使用しても、白色度の高い印刷用紙が得られる。
脱墨パルプは、前述の一般に使用されるパルプと併用することが好ましい。この場合、原料パルプに占める脱墨パルプ(DIP)の含有量は、全パルプの絶乾重量(脱墨パルプの絶乾重量と他のパルプの絶乾重量の合計)を基準として50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、65重量%以上がさらに好ましく、70重量%以上が特に好ましい。DIPの配合量が60重量%未満であると不透明度の点で不利となる場合がある。脱墨パルプの重量とは、脱墨パルプの重量と脱墨パルプに付着している分離不可能な填料等の重量との合計量である。一般に、脱墨パルプを含有する紙は白色度が低下する傾向にあるが、前述のとおり本発明においては、紫・青色顔料を添加し、特定の色相とすることにより、見た目の白さや裏抜けを向上させることができる。
填料
本発明においては、原紙の填料として公知の填料を任意に使用でき、例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱酸による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用または併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが不透明度向上のためにも好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40固形分重量%が好ましく、10〜35固形分重量%がさらに好ましい。
本発明においては、公知の製紙用添加剤を使用することができる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、各種紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。乾燥紙力向上剤としてはポリアクリルアミド、カチオン化澱粉が挙げられ、湿潤紙力向上剤としてはポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどが挙げられる。これらの薬品は地合や操業性などの影響の無い範囲で添加される。中性サイズ剤としてはアルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤などが挙げられる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
抄紙方法・抄紙機
本発明における原紙の抄紙方法は特に限定されず、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン等を用いて行うことができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
原紙の坪量
本発明の原紙の坪量は特に限定されないが、製造または輸送等のコスト削減という観点からは、低いことが好ましく、具体的には60g/m以下が好ましく、より好ましくは20〜60g/m、更に好ましくは20〜40g/mである。一般に、坪量が高い紙は、紙厚もあり不透明度が高いのに対して、坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。したがって、原紙が低坪量であるほど、本発明の効果は顕著となる。また本発明により塗工紙を製造する場合は、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより、塗工工程の前に、予め平滑化しておいてもよい。
原紙の灰分
本発明の印刷用紙の原紙の紙中灰分は、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは15重量%以上である。印刷用紙の原紙の紙中灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しない。
クリア塗工
本発明の印刷用紙は、上述した原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工性を向上させることができる。本発明においては、クリア塗工層に紫色顔料および/または青色顔料を含有させることができ、その場合、クリア塗工の塗工液中に紫色顔料および/または青色顔料を配合し、それを原紙上に塗工すればよい。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜1.0g/mが好ましく、0.2〜0.8g/mがより好ましい。
本発明においてクリア塗工とは、例えば、サイズプレス、ゲートロールコータ、プレメタリングサイズプレス、カーテンコータ、スプレーコータなどのコータ(塗工機)を使用して、澱粉、酸化澱粉などの各種澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を主成分とする塗布液(表面処理液)を原紙上に塗布(サイズプレス)することをいう。
顔料塗工
本発明の印刷用紙は、顔料塗工により顔料塗工層を設けて塗工紙とすることもできる。本発明の印刷用紙における顔料塗工層は、単層であっても多層であってもよいが、低坪量の印刷用紙を得る観点から、単層が好ましい。本発明の顔料塗工層が多層構造を有している場合、顔料塗工層を構成する複数の層のいずれか1層以上に紫色顔料および/または青色顔料を含有させればよい。紫色顔料および/または青色顔料を顔料塗工層に存在させるためには、紫色顔料および/または青色顔料を含有する塗料を用いて顔料塗工を行えばよい。本発明において塗工方法は特に制限されず、公知の原料を用いて公知の方法によることができる。
プレカレンダー処理
本発明においては、オンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより塗工前の原紙にプレカレンダー処理を行い、原紙を予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。この場合、処理線圧は、好ましくは20〜100kN/m、より好ましくは50〜100kN/mである。また、プレカレンダー処理する際の原紙の水分率も重要であり、水分率は3〜5%が好ましい。
塗工工程
本発明の印刷用塗工紙は、以上のように得られた原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工・乾燥して塗工層を設けることができる。塗工は、原紙の表面片面でも両面でも良いが、カールしない、表裏の物性が異ならないということから、両面塗工が好ましい。
塗工層に含有する顔料
本発明の塗工層に用いる紫・青色顔料以外の顔料としては、塗工紙用に従来から用いられているものを使用することができる。例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを必要に応じて単独または2種類以上混合して使用することができる。本発明においては、これらの顔料を紫・青色顔料と区別するために「白色顔料」ということがある。また、顔料の種類としては、高い白色度の観点から、重質炭酸カルシウムおよび軽質炭酸カルシウムが好ましい。本発明の印刷用紙が脱墨パルプを含む場合、脱墨パルプ由来の填料により不透明度が比較的高い。したがって、このような場合は白色顔料として、より高い白色度を与えられる重質炭酸カルシウムを用いることが特に好ましい。塗工液に重質炭酸カルシウムを配合する場合、その含有量は、白色顔料100重量部あたり50重量部以上が好ましく、75重量部以上がより好ましく、80重量以上がさらに好ましい。また、原紙上に均一な塗工層を形成させる観点の点から平均粒子径は、Malvern社製Mastersizer Sなどのレーザー回折式粒度分布測定機で測定した値で0.2〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
接着剤
本発明で使用する接着剤(バインダー)について、特に制限はなく、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用することができる。例えば、好ましい接着剤として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用することができる。
本発明に使用する接着剤の量は、印刷適性、塗工適性の点から、白色顔料100重量部に対して5〜25重量部であることが好ましく、8〜13重量部であることがより好ましい。接着剤の量が25重量部を越える場合、塗工液の粘度が高くなり、例えばブレードコーターではストリーク、スクラッチなどの塗工欠陥が発生しやすくなる。一方、接着剤の量が5重量部未満の場合は、十分な表面強度が得られにくい。本発明で用いる塗工液には、顔料と接着剤の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
塗工液の調整
本発明において、塗工液の調製方法は特に限定されず、コータの種類によって適宜調整できる。ブレード方式のコータを用いる場合は、塗工液の固形分濃度は40〜70重量%が好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。塗工液粘度は60rpmで測定したB型粘度が500〜2000mPa・sの範囲であることが好ましい。
塗工方法・塗工機
本発明においては、通常用いられるコータであればいずれを用いても良い。オンマシンコータでもオフマシンコータでも良く、オンマシンコータであれば、サイズプレスコータ、ゲートロースコータなどのロールコータ、ビルブレイドコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータなどのコータを使用できる。塗工速度は、特に限定されないが、現在の技術ではブレードコーターでは500〜1800m/分、サイズプレスコータでは500〜3000m/分が好ましい。
塗工量
本発明における塗工液の塗工量は、片面あたり固形分で2〜15g/mが好ましく、5〜12g/mがより好ましく、5〜10g/mがさらに好ましい。本発明においては、塗工量が少なくても、より不透明度を向上させる効果が発揮できる。
乾燥工程
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。
表面処理
本発明においては、以上のように製造した紙を必要に応じて表面処理する。好ましい態様において、本発明の印刷用紙は、スーパーカレンダーや高温ソフトニップカレンダー等のカレンダーで表面処理を行うことができる。表面処理により、印刷用紙の平滑度や光沢性を向上させることができる。本発明においては、ソフトニップカレンダー処理が好ましい。ソフトニップカレンダー処理をすることにより、白色度、不透明度共に向上する。ソフトニップカレンダー処理において、金属ロールの表面温度が20℃〜60℃の線圧は、30〜60kN/m、より好ましくは、40〜60kN/mである。また、金属ロールの表面温度が40℃〜250℃の高温ソフトニップカレンダー処理であれば、線圧は60〜400kN/m、好ましくは、150〜300kN/m、より好ましくは100〜350kN/mである。温度を上げると、塗工紙の表面の光沢、平滑度が向上する。
印刷用紙
[坪量]
本発明の印刷用紙の坪量は、特に限定されないが、製造または輸送等のコスト削減という観点から、70g/m以下が好ましい。一般に、坪量が高い紙は、紙厚もあり不透明度が高いが、坪量が低い紙は、紙厚が薄いため不透明度が低くなるところ、本発明によれば、低坪量でありながら不透明度を高くすることができる。したがって、本発明においては、坪量が低い領域で効果を発揮しやすい。より効果が現れやすいのは、坪量が60g/m以下の場合である。
[灰分]
本発明の印刷用紙の紙中灰分は、非塗工紙の場合、10重量%以上であることが好ましく、塗工紙の場合、30重量%以上であることが好ましい。印刷用紙の灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しないことがある。
[色相]
本発明の印刷用紙の色相は、JIS P 8150に規定される紫外線を含む測定においてb値が−15以上−0.5未満であるが、b値が−6以上−1未満であることがより好ましい。このようにb値を比較的低くすることによって、印刷用紙の見た目の白さを増強できるとともに、不透明度を向上させ、印刷時の裏抜けを防止することができる。また、同測定におけるa値は、印刷用紙の白色度や不透明度には大きく寄与しないため、特に限定されないが、通常は、−1以上7未満が好ましく、−1以上5未満がより好ましく、−1以上3未満がさらに好ましい。前記範囲を外れると、印刷用紙の色が白に見えなくなってしまうことがあるため好ましくない。
[蛍光増白強度]
本発明の印刷用紙は、蛍光増白強度が5.5以下であっても十分な白色度を得ることができるが、白色度を向上させる観点から蛍光増白強度は1.0以上であることが好ましい。
[不透明度]
本発明の印刷用紙の不透明度は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
以下に実施例および比較例をあげて本発明をより詳細に説明するが、当然ながら、本発明は実施例のみに限定されない。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
[品質評価方法]
以下に記載する品質評価方法で、本発明の印刷用紙の品質を評価した。
(1)色相測定方法(a、b):JIS P8150に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、原紙または印刷用紙のフェルト面を紫外光を含む光源にて測定した。
(2)ISO白色度測定方法:JIS P8148に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて、紫外光を含む光源にて測定した。
(3)不透明度測定方法:JIS P8149に準拠し、村上色彩(株)社製色差計CMS−35SPXにて測定した。
(4)灰分測定方法:JIS P8251に準拠して測定した。
(5)見た目の白さ:印刷用紙表面の白さを室内蛍光灯照明下で目視にて評価した。色の白さについては白色度が必ずしも人の目で見たときの白さと相関しているわけではないためである。目視の評価は4段階とした。◎:とても白い、○:白い、△:ややくすんで見える、あるいはやや黄ばんで見える、×:くすんで見える、あるいは黄ばんで見える。
(6)印刷時の裏抜け:オフセット輪転機で片面に墨ベタ印刷を施した印刷用紙を、印刷裏側から観察し、裏抜けを目視にて評価した。目視の評価は4段階とした。◎:裏の印刷部が殆ど認識できない、○:裏の印刷部が目立たない、△:印刷部がやや目立つ、×:印刷部が目立ち、裏面の画質或いは見た目を劣化させている。
また、本発明の印刷用紙について上記以外の品質項目も測定した。
[材料]
塗工液に配合した各材料は以下の通りである。
1.顔料
・微粒重質炭酸カルシウム(FMT97 ファイマテック社製 平均粒子径0.7〜1.0μm)
・微粒カオリン(ハイドラグロス CaMin社製)
2.色材
・青色顔料(EMT−ブルーDS−18 東洋インキ製造(株)社製)
・紫色顔料(SAバイオレットC12896 御国色素(株)社製)
・黒色顔料(SAブラックA035 御国色素(株)社製)
・青色染料(ブルーRHリキッド アイゼンベーシックペーパー社製)
・赤色染料(アストラフロキシンGリキッドケミラ社製)
3.接着剤
・スチレン−ブタジエン系合成高分子ラテックス
4.水溶性高分子
・尿素リン酸エステル化澱粉(日本食品化工(株)製スターコート16)
5.脱墨パルプ(DIP)
・新聞用紙および雑誌古紙を主原料として、水中に離解した後、スクリーニング工程で除塵して、フローテーターを用いて脱墨処理し、その後漂白、洗浄して製造した、白色度55%程度、白色度60%〜70%、白色度70%以上の脱墨パルプスラリーを組み合わせ、白色度66%〜73%の脱墨パルプとして用いた。
[紙料の調成]
針葉樹クラフトパルプ(NBKP)と脱墨パルプ(DIP)と広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を準備し、表1に記載の配合割合でパルプスラリーを調整した。このパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:アルバカー5970、メーカー;Specialty Minerals Inc.社製 )を紙中に15%となるように添加し、内添紙力剤としてカチオン性紙力増強剤(ポリアクリルアミド)を対パルプ0.5%添加して紙料を調成した。
[顔料塗工液の調整]
顔料として、微粒重質炭酸カルシウムを75部、微粒カオリンであるハイドラグロス(CaMin社製)を25部を配合し、これらの白色顔料の合計に対して、モノマー組成が主にスチレンおよびブタジエンである合成高分子ラテックスを7部、水溶性高分子として尿素リン酸エステル化澱粉を4.5部配合し、さらに、表1に示す配合で色材を常温にて混合攪拌し、固形分濃度が67重量%の塗工液を得た。なお、色材、接着剤、水溶性高分子の配合量は、白色顔料100重量部に対する値である。
[印刷用紙の製造]
上記の紙料を用いて、抄紙速度が1100m/分にて、ツインワイヤーを有する抄紙機で抄紙して、坪量35g/mの原紙を得た。
続いて、上記の塗工液を原紙にブレードコーターで塗工量片面あたり表1に示す値になるように、塗工速度1100/分で両面に塗工して乾燥した。
抄紙、塗工を連続してオンラインで行ったため、塗工速度、カレンダー速度も1100m/分であった。さらに高温ソフトニップカレンダーで2ニップ、最高処理温度200℃、最高処理線圧250kN/mの条件で表面処理して印刷用塗工紙を得た。
Figure 0005686984
表から明らかなように、青色、紫色の顔料を1種類以上含有する本発明の印刷用紙は、高い白色度と高い不透明度を併せ持ち、印刷時、特にオフセット印刷時の裏抜けが目立たず、色彩再現幅が広い、優れた印刷用塗工紙である。特に、原紙中の青・赤染料の含有量を多くして原紙におけるb値を比較的低い値に調整した実施例1および2の印刷用塗工紙は、原紙のb値が比較的高いが、塗工層中の、青・紫顔料を多くして色相を調整した実施例3に比べて白色度が少し高い傾向にあり、紫・青色顔料の総含有量が少ないながらも、優れた不透明度を有する。一方、比較例は、見た目の白さ、印刷時の裏抜け等の点で本発明の実施品に劣っていた。

Claims (5)

  1. 紫色顔料および/または青色顔料を含有するオフセット印刷用塗工紙であって、
    原紙層と顔料塗工層とを有し、
    原紙層が脱墨パルプ(DIP)を含み、
    JIS P 8150の方法によって測定される前記印刷用塗工紙の色相が、紫外線を含む測定においてb値が−10以上−0.5未満であり、
    坪量が70g/m以下であり、
    前記顔料塗工層が、紫色顔料および青色顔料を除く顔料100重量部に対して、重質炭酸カルシウムを75重量部以上含有
    脱墨パルプ(DIP)の含有量が、全パルプの絶乾重量を基準として50重量%以上であり
    前記印刷用紙の不透明度が85%以上である、
    オフセット印刷用塗工紙。
  2. 原紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量が、全パルプの絶乾重量を基準として60重量%以上である、請求項1に記載の印刷用紙。
  3. 前記紫色顔料および/または青色顔料の含有量が0.4〜3.5mg/mである、請求項1または2に記載の印刷用紙。
  4. 前記印刷用紙の不透明度が90%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷用紙。
  5. 前記原紙層が青色染料、紫色染料、または赤色染料を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用紙。
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