JP2007177378A - 塗工紙の製造方法及び塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来技術で生産速度が1300m/分を超える高速生産を行うに当たり問題が生じていた、高速オンマシン塗工における塗工層表面の粗面化(未乾燥塗工層臨界面と大気との擦れによる塗工層表面の乱れ)、ミストの発生問題を解消しながら、微塗工で高光沢の塗工紙の製造方法及び塗工紙を提供する。
【解決手段】カーテンコーター61B,64B及び他のコーター61A,64Aの組み合せによって、原紙表層に2層の塗工層を設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、塗工紙の製造方法及び塗工紙に関するものである。より詳しくは、ギャップフォーマー(ギャップ型のツインワイヤーフォーマー)が備わる抄紙機で抄紙し、オンマシン塗工、表面仕上げを行うことにより、1300m/分以上、より望ましくは1400m/分以上の高速で、安定・高品質な塗工紙を効率的に製造することが可能となる塗工紙の製造方法及び塗工紙に関するものである。
近年、製紙業界では、省力化・製造コスト削減を目的として抄紙機の広幅化・高速化が進んでいる。特に、ワイヤーパートにおいては、高速化にともなう表裏差の悪化や地合の悪化などを改善するために、長網フォーマーから、オントップフォーマー(ハイブリッドフォーマー)やギャップフォーマー等のツインワイヤーフォーマーへの移行が顕著である。なかでも新聞用紙のように紙中填料率が低く(2〜5%程度)、地合要求がそれほど厳しくない紙の場合には、ヘッドボックスから噴出された紙料(ジェット)を直ちに2枚のワイヤーで挟み込むギャップフォーマーが多く採用される傾向にある。このギャップフォーマーは、紙料を上方に噴出し両面から脱水するので極めて表裏差が少ない、高速運転可能であるとの利点を有する。なお、ハイブリッドフォーマーは、紙料を長網部に噴出し紙料をある程度脱水してから2枚のワイヤーで挟み込むものである。
一方、近年のビジュアル化、マルチメディア化の流れに対応して、出版・広告・宣伝等の媒体として幅広く利用されている印刷物についても、ビジュアル化やカラー化などの高品位化のニーズが急速に増加している。このようなユーザーの要求変化にともなって、従来の非塗工の印刷用紙から印刷用塗工紙への切り替えが増加し、印刷用塗工紙の需要が急速に増加している。
そして、高速生産に適するギャップフォーマーが備わる抄紙機で原紙を抄紙しながらオンマシンコーターで塗工液を塗工して塗工紙を製造するにあたっては、塗工機(コーター)として、高速塗工には適していないエアーナイフコーターではなく、ロールコーターやブレードコーターが使用されている。
しかしながら、オンマシンロールコーターは、フィルム転写方式で紙面の微細な凹凸に応じて塗工層を形成する、いわゆる輪郭塗工であり、塗工量の少ない微塗工紙に使用されることがあるが、運転最高速度も現状では1200m/分程度である。これは、ロールコーターによると、その塗工方式に起因して一定スピード以上では、塗工液のミストによる操業トラブルの発生やオレンジピール等による品質低下がボトルネックになり、更なるスピードアップが困難なためである。
他方、オンマシンブレードコーターにおいても運転最高速度は1300m/分程度である。これは、ブレードコーターはブレードを紙に直接接触させる塗工機であり、ブレードタッチ時の断紙トラブルがボトルネックになるためである。また、基紙の異常部位がブレードに引っ掛かり、断紙が発生して生産効率が低下する。ここで、近年では、特に、需要増加、コスト削減等を原因として、1300m/分以上の高速で塗工処理等を行い、生産性の向上を図ることが求められるようになっている。しかるに、ブレード塗工の速度が1300m/分を超える速度であると、断紙による影響が極めて大きな範囲に及ぶことになる。ブレード塗工を、オフラインで行うのであれば、リリーラーパートを設けて異常部位を除去することもできるが、オンラインではこれができない。また、特に、資源の有効利用という観点から、近年、古紙パルプの高配合が望まれているが、古紙パルプを高配合にすると異物が多くなり、かかる問題が生じ易くなる。
したがって、現在においては、ギャップフォーマーのもつ高速運転可能な特性を活かしたままで、オンマシンで塗工液を塗工した、より優れた印刷特性を備えた印刷用塗工紙の製造方法を見出すことが強く求められている。
この要請に対応して、カーテン塗工は、いわゆる非接触型の塗工方式であるので、紙へのストレスがかからないので、塗工時の紙切れが生じにくく、坪量が低く薄い原紙や、填料が多く強度の低い原紙でも塗工が可能である。また、塗工液は原紙に押し込まれることはなく、その結果、塗工層は嵩高になり、良好な被覆性を得られることが知られている。
本発明は、従来技術では成しえなかったオンマシン塗工による生産を、1300m/分以上で行っても、高速塗工による塗工層面の乱れや、平滑性が得にくい問題を解決できる技術を提供することにある。
また、近年、高速運転に対応しながら、高い平滑性及び光沢性を得ることができる熱ソフトカレンダーが注目されている。この熱ソフトカレンダーは、金属ロールを通常100℃以上に加温して塗工紙を加圧、平滑化する装置である。この装置によると、従来のハードニップカレンダーに比較して少ないニップ数で高い表面平滑性及び印刷光沢性を得ることができ、また、塗工紙の剛度も相対的に高い値を維持することになるといった利点を有している。これは、塗工紙が加熱金属ロール及び弾性ロールからなるニップ間を通過する際に塗工層に接着剤として使用されているラテックス等の熱可塑性物質が高い温度及び圧力によって可塑化され、塗工層中の顔料が効果的に配向されて塗工層表面の平滑化が図られるため少ないニップ数で足り、また、少ないニップ数で足りるため原紙(層)を比較的嵩高に維持することができることによる。
しかしながら、より高速な1300m/分以上の運転速度のもとにおいては、このような熱ソフトカレンダーを使用しても、塗工紙を十分に平坦化することができない。したがって、段数やスタック数の増加によって対応せざるを得ず、設備投資費用が莫大なものになる問題が生じている。
また、熱ソフトカレンダーを利用する方法としては、特許文献1に開示された方法があるが、十分に平坦化することはできない。
特開平11―100787号公報
本発明の主たる課題は、従来技術で生産速度が1300m/分を超える高速生産を行うに当たり問題が生じていた、高速オンマシン塗工における塗工層表面の粗面化(未乾燥塗工層臨界面と大気との擦れによる塗工層表面の乱れ)、ミストの発生問題を解消しながら、微塗工で高光沢の塗工紙の製造方法及び塗工紙を提供することにある。
他の課題は、高速生産に起因する急激な脱水により生じていた表裏差の発現と断紙の問題を解決すると共に、黄変化が少なく、嵩高い優れた印刷特性を備えた塗工紙を製造することができる塗工紙の製造方法及び塗工紙を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
カーテンコーター及び他のコーターの組み合せによって、原紙表層に少なくとも2層の塗工層を設ける、ことを特徴とする塗工紙の製造方法。
〔請求項2記載の発明〕
前記他のコーターがロールコーターである、請求項1記載の塗工紙の製造方法。
〔請求項3記載の発明〕
前記塗工層表面を、金属ロール及び弾性ロールの組み合わせからなる平坦化手段によって平坦化処理する、請求項1又は請求項2記載の塗工紙の製造方法。
〔請求項4記載の発明〕
オンマシン内に次記(1)〜(6)の工程を順に組み込み、かつ運転速度を1300m/分以上とする、ことを特徴とする塗工紙の製造方法。
(1)それぞれループをなす2つのワイヤー間にヘッドボックスから紙料を噴出して紙層を形成するギャップフォーマーによって抄紙する工程;
(2)湿紙層を乾燥する工程;
(3)サイズプレスにより乾燥紙層に下塗り塗工液を塗工する工程;
(4)下塗り紙層をプレカレンダーによって平坦化処理して原紙を得る工程;
(5)次記(A)の処理、又は次記(B)の処理後に次記(A)の処理を行う塗工工程;
(A)接着剤及び顔料を主成分とする水性塗工液を、前記原紙の一方の面及び他方の面に対してカーテン塗工するカーテン塗工工程;
(B)接着剤及び顔料を主成分とする水性塗工液を、前記原紙の一方の面及び他方の面に対して塗工する他の塗工工程;
(6)塗工原紙を少なくとも2ニップを有する複数段に構成された金属ロール及び弾性ロールの組み合わせからなる熱ソフトカレンダーによって平坦化処理する工程;
〔請求項5記載の発明〕
ロールコーター及びカーテンコーターの組み合わせからなる塗工手段によって原紙表面に塗工層が設けられ、この塗工層の表面が金属ロール及び弾性ロールの組み合わせからなる平坦化手段によって平坦化処理されている、ことを特徴とする塗工紙。
(主な作用効果)
(1)本発明によると、運転速度を1300m/分以上、より望ましくは1400m/分以上とすることができる。
(2)本発明によると、塗工液のミストによる操業トラブルが発生せず、あるいは著しく少なくなり、極めて滑らかな輪郭塗工となる。
(3)本発明によると、塗工個所に物理的応力がかからない、あるいは著しく弱くなるため、塗工開始時や異物・欠陥存在時においても断紙が発生せず、生産効率が飛躍的に向上する。
本発明によると、運転速度が1300m/分以上の高速でオンマシン塗工が可能であり、原紙の表裏差が無く、塗工層表面が平坦であり、黄変化が無い優れた印刷特性を備えた塗工紙を製造することができる塗工紙の製造方法及び塗工紙を提供できる。
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本形態は、運転速度1300m/分以上(例えば、平均運転速度で1600m/分、設計運転速度で1800m/分)の高速で、抄紙し、オンマシン塗工、表面仕上げを行うことにより、例えば、原紙米坪が28〜80g/m2(好ましくは39〜48g/m2)、製品(塗工紙)米坪が40〜105g/m2(好ましくは54〜64g/m2)の塗工紙を製造することを意図するものである。
以下、本形態を、図1〜図5の設備構成フロー図に基づいて説明する。
〔ワイヤーパート(ヘッドボックス)〕
本形態においては、それぞれループをなす2枚のワイヤー(第1ワイヤー1及び第2ワイヤー2)間にヘッドボックス3から紙料(ジェット)J(図7参照)を噴出して紙層を形成するギャップフォーマー10で抄紙する抄紙機が設置されている。紙料Jは、ワイヤーパートにおいて、サクション(フォーミング)ロール4Aと対向するロール4Bとの間のワイヤー1,2間に吐出されて紙層が形成され、その紙層はサクションロール4A、ブレード5、サクションクーチロール6、サクションボックス7などを通りながら、例えば原料濃度20%程度まで脱水される。
ここで、脱水機構として、図示例ではロール脱水手段及びブレード脱水手段の併用形態を示したが、好ましくは両方(併用)であるが、一方のみとすることもできる。ワイヤーパートでの脱水を、ヘッドボックス3から吐出させた紙料Jをサクションロール4Aにて緩やかに行うことで微細繊維を湿紙中に留め、更にブレード5による脱水手段にて脱水を進めることでインターナルボンドの低下を防ぐことができる。
ヘッドボックス3は、鉛直又は下流側に傾斜した状態で上向き設置され、図7に拡大して示すように、紙料吐出方向線が水平線となす吐出角度θが、50〜90度(°)であるのが望ましい。本発明が意図する高速抄紙のもとでは、地合、Z軸強度、表裏差、繊維配向角などの点から、繊維重量の影響が小さくなる上向きヘッドボックスであることが望ましい。ギャップフォーマー10において、ヘッドボックス3が水平などであると、高速抄紙の下で求める特性が得難い。
〔プレスパート〕
ワイヤーパートでの紙層は、プレスパートに移行され、更に脱水が行われる。
本形態のプレスパートは、第1プレス21及び第2プレス22のそれぞれシュープレス21a又は22aを有し、オープンドローを無くし断紙を防止するために、紙層をストレートにニップする形態(ストレートスルー型プレス)となっている。また、ダブルフェルトの第1プレス21に対し第2プレス22はボトム側にベルトを採用し、再湿防止による脱水の向上を図っている。原紙坪量が60g/m2以上と高くなり、脱水量が多くなる場合には、ダブルフェルトが望ましい。
〔プレドライヤーパート〕
プレスパートを通った水分率50%程度の湿紙(湿紙層)は、シングルデッキ方式のプレドライヤーパートに移行し、乾燥が図られる。図示のプレドライヤーパートは、ノーオープンドロー形式のシングルデッキドライヤーで、上側が加熱ロール31、下側が真空ロール32とされた適宜の本数のロール構成である。
シングルデッキ方式のドライヤーは、本発明が意図する1300m/分以上の高速運転(抄紙)においても断紙が少なく、また、嵩を落とすことなく高効率に乾燥を行え、品質・操業面において優れている。この点、ダブルデッキ方式のドライヤーにて乾燥する方式も考えられるが、高速抄紙におけるキャンバスマーク、高速乾燥における断紙、シワ、紙継ぎ等の操業性の面で問題がある。
プレドライヤーパート初期では、ドロー調整のために群分けを細かくし、また、通紙性及びシート走行性向上のためにサクションボックス33を設置するのが望ましい。
〔サイズプレスパート〕
プレドライヤーパートにて乾燥された紙匹(乾燥紙層)は、アフタードライヤーパートとの間のフィルムトランスファー(方式)によるサイズプレス40において、澱粉等のサイズ剤やピグメント塗工液などの下塗り塗工液が両面に塗工される。サイズプレス40としては、図3に示したロッドメタリングサイズプレスコーター(他のコーター)のほか、図3中に別途示したゲートロールコーター(他のコーター)40Aなども使用することができる。
下塗り塗工液としては、前述した澱粉のほか、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、エーテル化デンプン等のデンプン誘導体、大豆蛋白、酵母蛋白、セルロース誘導体等の天然接着剤などを使用することができる。
また、必要により、ピグメントを添加してもよい。このピグメントとして、例えば、カオリン、クレー、硫酸バリウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、二酸化チタン、亜硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、プラスチックピグメント等の通常の塗工紙用顔料を、それぞれの顔料性質に応じて配合することができる。
さらに、接着剤としては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体ラテックス等のアルカリ非感応性又はアルカリ感応性の合成樹脂エマルジョン等の合成樹脂接着剤など、通常の塗工紙用接着剤を使用することができる。必要により、分散剤、流動変性剤、消泡剤、染料、滑剤、耐水化剤、保水剤等の各種助剤を配合することもできる。
下塗り塗工液の塗工量は、0.5〜15g/m2とするのが好ましい。
前述したフィルムトランスファー方式の塗工手段(他のコーター)としては、例えば、ゲートロールコーター、オプチサイザー、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレスなどを使用することができる。ただし、特の望ましいのは、ロッドメタリングサイズプレスである。このロッドメタリングサイズプレスを使用する場合は、操業上、ストリーク発生を避けるために、表面が平滑なロッドを用いるのが望ましい。このロッドの径を15〜50mmとすることにより、より好ましい操業性と品質を得ることができる。直径15mmより小さいロッドでは、フィルム形成性能が低く面状が劣る傾向がある。他方、直径50mmより大きいロッドでは、効果が変わらないため、特に大きくする必要性がない。ロッドとしては、溝付きロッド、ワイヤー線巻き付けロッドなどを使用することもできる。
下塗り塗工液の塗工後、アフタードライヤーパートにおいて表面汚れが生じないように、あらかじめエアーターンバー41及び赤外線を使用した補助乾燥装置42を設置するのが望ましい。
〔アフタードライヤーパート〕
図示のシングルデッキ方式のアフタードライヤーパートでは、サイズ剤やピグメント塗工液等の下塗り塗工液の乾燥が行われる。
〔プレカレンダー〕
その後に、コーターパートにて接着剤及び顔料(クレーなど)を主成分とする水性塗工液を塗工する。ここでは、1300m/分以上の運転速度で、しかも高い平滑性及び光沢性の高品質塗工紙が求められる。しかるに、水性塗工液の塗工に先立って、より高い平滑性を確保するために、サイズ剤を塗布した下塗り紙層の表面をプレカレンダー50によって平滑化するのが望ましい。
本形態のプレカレンダー50は、上下がともに金属ロールであってもよいが、好ましくはソフトカレンダーであり、例えば、図示のように上側が金属ロール51で下側が弾性ロール52である。
プレカレンダー50での処理により、原紙(下塗り紙層)表面を平坦化処理することができるとともに、後の熱ソフトカレンダーで過度の平坦化処理を要しないことで、紙の緊度を高くすることなく原紙表面の平坦性を向上させることが可能になり、嵩高な塗工紙を得ることができる。また、原紙表面の平坦化処理により塗工液の塗工ムラの発現を抑えることができる。
プレカレンダー50における金属ロール51の表面粗さ(JIS B 0601)は0.02〜0.2μmで、弾性ロール52のショアーD硬度は90以上であるのが望ましい。
また、プレカレンダー50でのニップ圧は、5〜50kN/m、好ましくは10〜40kN/mである。ニップ圧が5kN/m未満であると、基紙の平滑性が劣る。他方、ニップ圧が50kN/mを超えると、紙の緊度が過度となる。
プレカレンダー50の金属ロール51としては、必要によって、後述する熱ソフトカレンダーと同様にオイルなどの熱媒体を流通させて加熱するもの、ロール幅方向に分割温度制御可能な電磁誘導作用による内部加熱装置を備えるもの、ロール幅方向に分割温度制御可能な電磁誘導作用による外部加熱装置を備えるもの、ロール幅方向に冷却温度制御可能なクーリング設備を備えるもの、などを採用することができる。
〔コーターパート〕
本形態のコーターパートは、以上の工程を経るなどして得た原紙の両面に対する下層塗工を担う第1塗工工程と、原紙の両面に対する上層塗工を担う第2塗工工程とを有する。つまり、4ヘッドの塗工機(コーター)を備えている。
具体的には、原紙上面への下層用第1塗工機61A、エアーによって搬送方向転換及び乾燥を同時に行うエアーターンドライヤー65A、ガス式エアードライヤー62、第1テンションコントローラー63、原紙下面への下層用第2塗工機64A、エアーターンドライヤー65B、ガス式エアードライヤー66、第2テンションコントローラー67、原紙上面への上層用第1塗工機61B、エアーターンドライヤー65C、ガス式エアードライヤー62、第1テンションコントローラー63、原紙下面への上層用第2塗工機64B、エアーターンドライヤー65D、ガス式エアードライヤー66、この順に設置されている。
望ましくは、第1塗工機61A及び61Bの後段に幅方向の乾燥ムラを防止するために、幅方向に温度制御可能な第1赤外線乾燥装置68を設ける。また、第2塗工機64A及び64Bの後段に主に水分率調整のための、幅方向に温度制御可能な第2赤外線乾燥装置69を設ける。必要により、ガス式エアードライヤー66の後段に第3赤外線乾燥装置などを設け、また、ガス式エアードライヤー62,66の後段に、カンバスドライヤーなどを設けることもできる。
コーターパート(塗工工程)においては、次記(A)の処理、又は次記(B)の処理後に次記(A)の処理を行うことができ、本形態では、次記(B)の他の塗工をカーテン塗工とし、この後に更に次記(A)の処理、つまりカーテン塗工を行うようになっている。
(A)接着剤及び顔料を主成分とする水性塗工液を、原紙の一方の面及び他方の面に対してカーテン塗工するカーテン塗工工程。
(B)接着剤及び顔料を主成分とする水性塗工液を、原紙の一方の面及び他方の面に対して塗工する他の塗工工程。
(ロール塗工(他の塗工))
下層用第1塗工機61A及び下層用第2塗工機64Aとしては、ロールコーターを採用することができる。ロールコーターによる塗工(ロール塗工)は、塗工機に対する原紙の引っ掛かりが生じないため安定性の点で優れる。
ロールコーターの種類は、特に限定されない。例えば、Gate Roll Coater(ゲートロールコーター)、Rolls Coater、Contra Coater、Top Feed Coater、Bottom Feed Coater等の逆回転ロールコーターや、Consolidated Coater(Massey Coater)、KCM Coater(Kimbery Clark Mead Coater)、St Regis Coater(Faeber Coater)、West Virginia Coater(Westvaco Transfer Roll Coater)、Combined Locks Coater、Champion Machine Coater(ハミルトンコーター)等の正回転ロールコーターなどを使用することができる。
もっとも、ロール塗工は、カーテン塗工に比べて平滑性に劣る。したがって、平滑性という観点からは、カーテン塗工によるのが好ましい。仮に、ロール塗工を利用する場合も、ロール塗工は下層用のみにとどめ、上層用はカーテン塗工とし、ロールコーターによる下層用塗工工程での塗工量を両面で4.0〜10.0g/m2とし、カーテンコーターによる上層用塗工工程での塗工量を両面で4.0〜10.0g/m2とするのが好ましい。これらの範囲にあると、平滑性が確保される。
(カーテン塗工)
下層用第1塗工機61A及び下層用第2塗工機64A、並びに上層用第1塗工機61B及び上層用第2塗工機64Bとしては、カーテンコーターを採用することができる。
一般に、塗工機としては、前述したロールコーターのほか、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなどが知られている。ブレードコーターは、比較的、平滑な表面形状を有する塗工層を形成することができるが、パルプ、特に古紙パルプ含有のパルプや合成繊維を抄紙して得られた表面平滑性の低い原紙に適用すると、原紙の表面形状に対応した塗工ムラが生じる。また、エアーナイフコーターは、エアーナイフ特有のパターンが塗工層に発生することが不可避で、均一な塗工量の塗工層を得ることが難しい。これに対し、カーテンコーターは、原紙の地合の影響を受けずに均一な厚さの塗工層を形成することができるとの利点を有している。また、カーテンコーターは、塗工液の跳ね返りやミストの発生がない、バッキングロールやロッド、ブレードの交換が不要である、塗工量調整が極めて簡単である、騒音の発生がないなどの操業上の利点や、原紙幅方向、流れ方向とも塗工量の均一化が図れる、塗工面にスクラッチが発生しない、塗工液の塗工性が高いなどの品質向上に影響する利点、塗工液の供給量が少なくて足りる、消耗品が少ない、運転を停止することなく塗工液を変更することができる、塗工量を低減することができる、断紙の発生が少ないなどの低い運転コスト、高い生産性につながる利点、などを有する。
このカーテンコーターは、原紙上にスリット状のコーターリップから塗工液を膜状に垂らして塗工するものである。このカーテンコーターの種類は、特に限定されない。例えば、図12に示した公知のカーテンコーター100を使用することができる。図12に示したカーテンコーター100においては、水性塗工液iが図示しない塗工液貯蔵タンク等から給液ポンプ等によってコーターヘッド102へ送られる。コーターヘッド102の内部は、マニホールド102a及びスリット102bからなり、それぞれ高精度の仕上げが施されている。供給された水性塗工液iは、マニホールド102aに満たされ、更にスリット102bに送られるときに通過する狭い間隙において給液ポンプの送液による動圧の影響が軽減され、幅方向における圧力分布が均一化され、リップ103より流出し、垂直なカーテン膜Cが形成される。
幅方向に関してプロファイルが均一となった垂直カーテン膜Cは、連続走行している原紙Sと接触し、原紙Sに塗工される。ここでエッジガイド104,104は、コーターヘッド102の幅を超えず、他方原紙Sの幅を超えて設けられ、垂直カーテン膜Cは原紙Sの幅を超えて形成される。垂直カーテン膜Cが原紙Sの幅を超えて形成されているのは、垂直カーテン膜Cの両端部における塗工層の厚塗りを防止するためである。原紙Sの幅を超えて流下する水性塗工液iは、受液槽105に回収され、塗工液貯蔵タンクに戻された後再び塗工される。また、原紙Sが切断され塗工が中断された場合も、水性塗工液iは受液槽105に回収されるように構成されている。
連続走行している原紙Sと垂直カーテン膜Cとの接触部(以下、「塗工部」ともいう。)には、原紙Sに同伴する空気流を遮蔽し、垂直カーテン膜C周辺の空気の回流などで垂直カーテン膜Cが乱れることなく原紙Sに達するようにするため、遮風板(エアーカッター)106が設けられている。また、原紙Sの搬送方向を塗工部の直前においてロール107によって方向転換することで、原紙Sに同伴する空気の塗工部への影響を最小限にとどめるように構成されている。
なお、安定した状態で塗工するためには、原紙Sからコーターヘッド102下部の流出部(リップ103)までの高さがある程度必要とされる。安定に適した高さは、60〜300mm、好ましくは100〜250mm、更に好ましくは120〜180mmである。
一方、カーテンコーターの運転条件、すなわち、吐出量や塗工速度等は、特に限定されない。これらの運転条件は、塗工幅や塗工量などを考慮して、従来技術に基づき適宜変更することができる。
ところで、塗工機としてカーテンコーターを採用する場合、塗工液の成膜性や原紙へのぬれ性を改善して塗工ムラや塗工欠点を防止するために、塗工液中に表面張力低下能力の高い界面活性剤を含有させるのが好ましい。表面張力低下能力が低い界面活性剤では、成膜性の改善が不充分となりカーテン膜の膜割れが生じやすくなり、また、原紙へのぬれ性も悪く未塗工部が発生し、更にはカーテンコーターのコーターリップ幅よりも塗工幅が狭くなる現象、いわゆるネックインが大きくなるおそれがある。
表面張力低下能力の高い界面活性剤としては、例えば、スルホン酸ジアルキルエーテル等のアニオン系界面活性剤が知られている。
一般的なアニオン系以外の界面活性剤は表面張力低下能力が低く、カーテンコーターにおける通常の界面活性剤の使用量ではネックインや膜割れが完全に改善されないおそれがある。しかも、一般的なアニオン系以外の界面活性剤は、発泡性が高く、使用量を増やすと塗工液を発砲させるうえに、印時性も悪化させるので、使用量を増やして表面張力を低下させる手法を取るのも好ましくない。
そこで、この場合は、カチオン系フッ素系界面活性剤を用いるのが好ましい。カチオン系フッ素系界面活性剤は、アニオン系界面活性剤と同等又はそれ以上の表面張力低下能力を有しているため、少量の添加量で十分な効果が得られ、塗工液に与える影響は軽微である。また、カチオン系フッ素系界面活性剤はカチオン系に属するため、塗工液中においてカチオン系インク定着剤と反応することがなく、また、塗工液の原紙への浸透力を向上させるためカーテンコーターを用いて好適に塗工でき、均一な厚さの塗工層を形成することが可能である。
(他の塗工)
下層用第1塗工機61A及び下層用第2塗工機64Aとしては、ロールコーター以外のコーター(他のコーター)を採用することもできる。なお、他のコーター・塗工方法がロールコーター・ロール塗工である場合については、前述したので、以下ではそれ以外のコーター・塗工方法について、主に説明する。
他のコーターとしては、例えば、ブレードコーターやエアーナイフコーターなどを採用することができるが、本実施の形態のようにカーテンコーターを採用することもできる。以下では、他のコーターがブレードコーターである場合を例に説明する。
他のコーターがブレードコーターである場合において、1300m/分以上の高速運転の場合、片面7g/m2以上の高塗工量の場合には、アプリケーターが高速供液を可能とするジェットファウンテン方式であるのが望ましく、掻き落しはブレードであるのが好ましい。塗工量が片面7g/m2未満の場合は、高速用に改良されたショートドゥエルブレードコーターでもよい。もちろん、必要にならば、塗工量が片面7g/m2以上であっても、高速用に改良されたショートドゥエルブレードコーターを採用することができる。
ジェットファウンテン方式のブレード塗工において、ロール塗工の場合のような流れ方向及び幅方向の塗工ムラを解消するためには、図11に示すように、アプリケーター90のファウンテン角αを30〜90度(°)とするのが好ましく、40〜60度とするのがより好ましい。ファウンテン角αが30度未満又は90度超であると、表面荒れや塗工ムラが生じる。また、ブレード91の刃先部分は、30〜50度(°)のベベル角θを有するものが好ましい。ブレード91の厚みは、0.45〜0.60mmであるのが好ましい。高い硬度を持たせるために、ブレード91の刃先部分はタングステン又は酸化アルミナを主成分とする溶射素材で構成するのが好ましい。例えば、ブレード91の刃先部分を構成する母材にタングステンを溶射した構成とし、1000〜1700Hvのビッカース硬度を有していると、塗工性に優れる。
この場合、ブレード交換後において、新たなブレードタッチ時における、高速運転でのブレードの焼け防止のために、水シャワー冷却などの冷却手段を設けるのが望ましい。
〔カレンダーパート〕
本設備の最後には、熱ソフトカレンダーからなるオンマシンカレンダー70が設置されており、カレンダー処理が行われる。図示のカレンダー70は、7ニップの1スタック型であり、ロール自重の影響を少なくしたヤヌスタイプの傾斜配置となっている。もちろん、オプチロードタイプの垂直配置でもよい。
カレンダー70は最終的な平滑性及び光沢性を左右する。したがって、この観点及び高速運転の観点から種々の配慮が必要である。
カレンダー70の段数は、少なくとも2ニップを有するのが好ましく、複数段に構成された金属ロールMと弾性ロールDとの組み合わせからなる熱ソフトカレンダーにて平坦化処理するのがより好ましい。特にはマルチニップカレンダー、より望ましくは6段、8段、10段のマルチニップカレンダーが最適である。図5に10段のマルチニップカレンダー例を併示してある。さらに、全段独立してニップ圧を調整可能なマルチニップカレンダーが最適である。
他方、熱ソフトカレンダーは、オイルなどの熱媒体を流通させて加熱するものでもよいが、これでは表面温度180℃程度が限界である。高速での運転を図るためには、図8〜10に示すように、金属ロールMは、その幅方向に分割温度制御可能な電磁誘導作用による内部加熱装置が装備され、金属ロールMの表面温度を230℃以上、特に230〜500℃にして処理するものが望ましい。図示例は、シェル74内の鉄心72の周囲に誘導コイル71が巻回され、ジャケット室73を通る熱媒体を加熱するものである。
金属ロールMの表面温度を230℃〜500℃、特には300℃を超え380℃以下として表面処理をし、できる限り低いニップ圧で原紙(塗工紙)が全層に渡って潰れないようにすることにより、嵩の低下を防ぎ、不透明度の低下を抑えることが可能となる操業も行うことができる。要すれば、いわば極高温のアイロンを短時間で当てる形態である。
金属ロールMの表面温度のコントロールとしては、前述のように、金属ロールM内部に温水や油を循環させる方法のほか、非回転部としての内側に設けた鉄芯72の周囲に誘導コイル71を設け、この誘導コイル71に交流電流を流すことで、誘導コイル71に磁束を発生させ回転部としての外側のシェル(外筒)74の内側に誘導電流を誘起させ、その抵抗熱によって外側のシェル(外筒)74自身を自己発熱(誘導発熱)させる、「電磁誘導作用による内部加熱装置」によるものが、高温処理のために特に優れる。また、この電磁誘導作用による内部加熱装置によれば、誘導コイル71をロールの幅方向(ロール自体の長手方向)に分割(例えば3〜6分割)し、シェル74に設けた温度センサ75による温度信号に基づき、対応する誘導コイル71に流す交流電流量を制御することで、ロールの幅方向の特に表面の温度制御が高精度で可能となる。
この場合、特にシェル74の内部に長手方向に延びるジャケット路(室)73を、周方向に間隔を置いて多数、例えば10〜90本程度設け、これらを相互に連通させ、内部に熱媒体を封入しておく構造のものが、シェル74の自己発熱による熱を吸収し、熱を金属ロールMの表面全体において均一化することができる点で優れる。
原紙(塗工紙)を高温で表面処理すると、原紙(塗工紙)の表層部だけでなく、内層部の温度も高くなり、その結果、原紙(塗工紙)が表層部だけでなく、全層に渡って潰れ易くなるため、嵩が低下する。しかるに、はるかに高い温度で、短時間の通紙を図る場合には、内層部への熱移動は極力防止でき、もって嵩の低下を防止することができる。
他方、金属ロールMの表面温度の高温化に伴って、金属ロールMのシェル74に厚み方向の応力が発生し、ロールプロフィールが崩れがちとなり、もって紙厚プロフィールの制御性が低下する。また、電磁誘導作用による内部加熱装置に依存する場合には、金属ロールMの表面温度の時間当たりの温度応答性が良好とは言えない。さらに、これを原因として幅方向の温度応答性が悪いので、温度制御性が悪いことによる歩留まり低下の原因となる。そこで、金属ロールMの近傍には、ロール幅方向に分割温度制御可能な電磁誘導作用による外部加熱装置及びロール幅方向に冷却温度制御可能なクーリング設備の少なくとも一方が装備されているのが望ましい。
この例を図9に沿って説明すると、金属ロールMは、シェル74、誘導コイル71、鉄芯72、温度センサ75、交流電源76及びジャケット路73を有する。この金属ロールMに対して、幅方向に分割制御可能な外部電磁誘導作用による外部加熱装置77を金属ロールM近傍に設けて各段において、原紙の高温ニップ域を構成する。
外部加熱装置77は、電磁誘導加熱の原理を応用したもので、図示のように、ワークコイル77Aに交流電源(インバータ)77Bからの交流電流(例えば3〜20kHzの高周波)を流し、磁界を発生させて、シェル74表面部に渦電流を生成させ、自己発熱させるものである。ワークコイル77Aとシェル74表面との離間距離は、2〜20mm、特に2〜5mm程度が望ましい。また、単位ワークコイル77Aは、金属ロールMの軸心に対して交差する斜め配置とするのが、加熱用プロフィールの均一化のために望ましい。ロール幅方向のゾーン制御ピッチは、75〜150mm程度であり、ゾーン当たりの定格電力は4〜20kWとすることができる。
ロール幅方向に冷却温度制御可能なクーリング設備78の例としては、図10に示すように、ファン78aからのエアーをヘッダ78bに送り、連通孔が形成された調整板78cを通して温度調節室78d内に送入し、この温度調節室78d内に設けたコイル78eを温度調節手段78fにより冷却することにより、小孔を有する分散板78gを通る送風の温度を制御するものである。
カレンダー70でのニップ圧としては、200kN/m〜450kN/m、特に300kN/m〜450kN/mが望ましい。カレンダー70にて平滑処理された原紙(塗工紙)は、最終的にリール80にて巻き取りが行われ、小分け用の巻取りを仕上げるワインダー(図示せず)がマシンの最終部分に設置される。
図5に示すマルチニップカレンダー70に代えて、図6に示すように、例えば1ニップで4スタックからなる金属ロールMと弾性ロールDとからなるソフトカレンダー70Aでもよい。
次に、本発明の実施例を説明する。
表1〜4に示すように、ワイヤーパートの形式やサクションの形態等の諸条件を変えて、得られた塗工紙の品質評価を行った。なお、各実施例及び比較例は、各条件の全てについて個々のラインを新設したものではなく、テストプラントによるテスト例である。
評価条件、方法等は、次のとおりである。
〔夾雑物量〕
東京電子工業製、夾雑物測定装置、KM1000にて、用紙面積1m2中の夾雑物の面積を測定した。
〔地合〕
東洋精機社製のシートフォーメーションテスターを用い、透過光量の変動を時系列信号としてとらえ評価した。この測定機(テスター)では、ムラの波長範囲約0.16〜80mmで28点について測定可能であるが、本測定では、ムラの波長範囲4.0〜80mmで14点について、変動率の和を測定した(ムラ指数)。この範囲での変動率の和は、大きな濃淡として表れる地合と密接な関係があるためである。ムラ指数が6%未満の場合は、地合が非常に均一で地合ムラに起因する塗工紙表面の光沢ムラも起こりにくく、また、塗工層の形成も均一となり、印刷時の印刷ムラ、印刷光沢ムラ等がなくなり、印刷適性は向上する。
〔断紙〕
実機ドライヤーを用い、表中に記載の運転速度(m/分)で、かつ乾燥温度は一定として、3時間テスト操業を行い、乾燥方法の違いによる断紙の回数を評価した。○:断紙0回、△:断紙1回、×:断紙2回以上である。
〔シワ〕
実機ドライヤーを用い、表中に記載の運転速度(m/分)で、かつ乾燥温度は一定として、3時間テスト操業を行い、乾燥方法の違いによるシワの発生を評価した。○:シワ入り0回、△:シワ入り1回、×:シワ入り2回以上である。
〔比容積〕
JIS P 8118号に準拠して測定した。
〔光沢〕
JIS P 8142号に準拠し、角度75度で測定した。
〔光沢ムラ〕
A4サイズの試験紙を製造し、試験紙に対する女性5人及び男性5人の目視による5段階評価を平均した。なお、評価3以上が許容レベルである。
〔印刷ムラ〕
四六版サイズの試験紙を製造し、ローランドオフセット印刷機によってブラック、マゼンタ、シアン及びイエローの4色を重ね刷りベタ印刷した後、恒室にて24時間放置した。重ね刷りベタ印刷部に対する女性5人及び男性5人の目視による5段階評価を平均した。なお、評価3以上が許容レベルである。
〔剛度〕
JIS P 8143に準拠した、用紙流れ方向のクラークこわさ試験値を測定した。
〔繊維焼け〕
A4サイズの試験紙を製造し、試験紙に対する女性5人及び男性5人の目視による5段階評価を平均した。なお、評価3以上が許容レベルである。
〔生産性〕
ウエットエンドの安定性、プレスパートでの脱水性、ドレネージ及びストリークの発生状況を操業者5人が観察し、それぞれの5段階評価を平均した。なお、評価3以上が許容レベルである。
〔総合評価〕
品質評価項目全てについて4段階評価した。◎:生産効率・品質面良好、○:生産効率・品質面問題なし、△:一部問題あり、×:問題ありである。
原紙に対する内添薬品及び塗工液としては、次の配合のものを使用した。
〔内添薬品の配合〕
・軽質炭酸カルシウム:10kg/t(平均粒径;3.4μm、カルサイト系)
・市販アルキルケテンダイマー系内添サイズ剤(AKD):3kg/t
・市販カチオン化澱粉:12kg/t
・市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留り向上剤:3kg/t
〔塗工液の配合〕
(顔料)
・紡錘形軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業製TP121、3.4μm):30質量部
・市販微粒カオリン(アマゾン88、平均粒子径:0.8μm):70質量部
(バインダー及び添加剤 顔料100部に対して)
・市販燐酸エステル化澱粉(日本食品化工製MS4400):1質量部
・スチレンブタジエンラテックス(日本合成ゴム製0617):12質量部
・市販ポリアクリル酸系分散剤:0.1質量部
・市販ステアリン酸カルシウム:0.3質量部
・水酸化ナトリウム:0.15質量部
Figure 2007177378
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本発明により、従来技術で生産速度が1300m/分を超える高速生産を行うに当たり問題が生じていた、高速オンマシン塗工における塗工層表面の粗面化(未乾燥塗工層臨界面と大気との擦れによる塗工層表面の乱れ)、ミストの発生問題を解消するとともに、微塗工で高光沢の塗工紙の製造方法及び塗工紙を提供することができる。
更に、高速生産に起因する急激な脱水により生じていた表裏差の発現と断紙の問題を解決すると共に、黄変化が少なく、嵩高い優れた印刷特性を備えた塗工紙を製造することができる塗工紙の製造方法及び塗工紙を提供することができる。
設備構成例の第1のゾーンを示す概要説明図である。 設備構成例の第2のゾーンを示す概要説明図である。 設備構成例の第3のゾーンを示す概要説明図である。 設備構成例の第4のゾーンを示す概要説明図である。 設備構成例の第5のゾーンを示す概要説明図である。 設備構成例の第5のゾーンにおける変形例を示す概要説明図である。 ヘッドボックスの紙料の噴出を示す概要説明図である。 加熱金属ロールを示す概要説明図である。 電磁誘導作用による外部加熱装置例を示す概要説明図である。 クーリング設備例を示す概要説明図である。 ブレードコーターの例を示す概要説明図である。 カーテンコーターの例を示す概要説明図である。
符号の説明
1…第1ワイヤー、2…第2ワイヤー、3…ヘッドボックス、5…ブレード、10…ギャップフォーマー、21…第1プレス、22…第2プレス、40…サイズプレス、41…エアーターンバー、50…プレカレンダー、51…金属ロール、52…弾性ロール、61A,61B…第1塗工機、64A,64B…第2塗工機、70…オンマシンカレンダー、M…金属ロール、D…弾性ロール、80…リール、90…アプリケーター、91…ブレード。

Claims (5)

  1. カーテンコーター及び他のコーターの組み合せによって、原紙表層に少なくとも2層の塗工層を設ける、ことを特徴とする塗工紙の製造方法。
  2. 前記他のコーターがロールコーターである、請求項1記載の塗工紙の製造方法。
  3. 前記塗工層表面を、金属ロール及び弾性ロールの組み合わせからなる平坦化手段によって平坦化処理する、請求項1又は請求項2記載の塗工紙の製造方法。
  4. オンマシン内に次記(1)〜(6)の工程を順に組み込み、かつ運転速度を1300m/分以上とする、ことを特徴とする塗工紙の製造方法。
    (1)それぞれループをなす2つのワイヤー間にヘッドボックスから紙料を噴出して紙層を形成するギャップフォーマーによって抄紙する工程;
    (2)湿紙層を乾燥する工程;
    (3)サイズプレスにより乾燥紙層に下塗り塗工液を塗工する工程;
    (4)下塗り紙層をプレカレンダーによって平坦化処理して原紙を得る工程;
    (5)次記(A)の処理、又は次記(B)の処理後に次記(A)の処理を行う塗工工程;
    (A)接着剤及び顔料を主成分とする水性塗工液を、前記原紙の一方の面及び他方の面に対してカーテン塗工するカーテン塗工工程;
    (B)接着剤及び顔料を主成分とする水性塗工液を、前記原紙の一方の面及び他方の面に対して塗工する他の塗工工程;
    (6)塗工原紙を少なくとも2ニップを有する複数段に構成された金属ロール及び弾性ロールの組み合わせからなる熱ソフトカレンダーによって平坦化処理する工程;
  5. ロールコーター及びカーテンコーターの組み合わせからなる塗工手段によって原紙表面に塗工層が設けられ、この塗工層の表面が金属ロール及び弾性ロールの組み合わせからなる平坦化手段によって平坦化処理されている、ことを特徴とする塗工紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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