JP4631692B2 - オフセット印刷用新聞用紙およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新聞の印刷に適用されるオフセット印刷用新聞用紙およびその製造方法に関する。
新聞用紙の印刷を含め、近年の商業印刷方式は、オフセット印刷が主流となっている。
オフセット印刷は通常PS版と呼ばれる刷版を作成し、刷版に湿し水とインキを供給して印刷する方式である。刷版は平版であり、刷版上で画線部は親油性の表面となるように処理され、非画線部は親水性の表面になるように処理されている。この刷版に湿し水とインキを供給すると、画線部にはインキが、非画線部には水が付着した状態となり、この刷版よりブランケットを介して紙にインキを転移させて印刷する。
近年、新聞用紙には軽量化が求められており、これに伴い、軽量でありながら、印刷前だけでなく、印刷後も高い不透明度(以下、印刷後不透明度ということがある。)を維持しうる用紙の要求が強まっている。そのため、無機顔料からなる填料を抄紙時に添加して、印刷後不透明度を高めることがある(例えば、特許文献1〜4参照)。
しかしながら、無機顔料は、オフセット印刷時の湿し水によって容易に紙層内から浸み出して、ブランケットにパイリング(堆積)する紙粉になることがあった。紙粉発生防止のために、接着剤量を増やして表面強度を高める対策を採ることが考えられるが、その場合には、印刷後不透明度が低くなるという問題が発生するため、接着剤を増やすことはできなかった。
紙の表面強度を高めるための他の方法としては、例えば、特許文献5に、アミロペクチンの含有量が95重量%以上である高アミロペクチン澱粉と耐水化剤からなる表面サイズ剤を使用することが記載されている。
しかしながら、特許文献5に記載の方法では、得られる新聞用紙表面の疎水性が低くなるため、インキ着肉性が低くなる上に、新聞用紙製造の際に原紙に塗工する塗工液の疎水性が高くなるため、新聞用紙の塗工層のインキ吸収性が低くなり、印刷後不透明度を充分に高くできなかった。
特許文献6には、塗工層中に特定の扁平無機顔料を、顔料100質量%に対して50質量%以上含有させて、低密度でも印刷前の不透明度を高めることが記載されている。この方法によれば、印刷前の不透明度に余裕が生じるため、表面強度を高めるために塗工層中の接着剤量を増やすことも可能であるが、インキが過度に浸透するため、印刷後不透明度およびインキセット性が不充分になった。
また、オフセット印刷用新聞用紙においては、印刷終了時の胴抜き時に、少量の水で湿った紙面上の水溶性高分子が、ブランケットに張り付いてしまう現象(ネッパリ)が通常のコート紙と比較して起きやすく、場合によっては用紙が破断してしまうこともある。そのため、ネッパリの生じにくい用紙が求められている。ネッパリの発生を防止する方法として、例えば、置換コハク酸を含む表面処理剤を用いることが提案されている(特許文献7参照)。しかしながら、この方法では紙表面の動摩擦係数の低下を招き、紙流れ等のトラブルが発生して、印刷作業性が低下することがあった。なお、紙流れとは、新聞用紙のオフセット輪転印刷においては、印刷された複数の紙が重ねられて輪転機上を走行した後、折り部に送られる際に、走行する紙が蛇行したり偏ったりするトラブルのことをいう。
特開2000−34694号公報 特開2001−164494号公報 特開2000−314097号公報 特開平11−247095号公報 特開平9−78495号公報 特開2005−89867号公報 特開平6−192995号公報
上記のように、これまでに、印刷後不透明度および表面強度が高い上に、適度な摩擦係数であり、印刷作業性に優れ、しかもネッパリが起こりにくい新聞用紙は知られていなかった。
さらに、新聞用紙においては、新聞用紙に付着したインキの剥がれにくさであるインキセット性が高いことが求められる。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、オフセット印刷後の不透明度、表面強度、インキ着肉性、インキセット性が高い上に、適度な摩擦係数であり、印刷作業性に優れ、しかもネッパリが起こりにくいオフセット印刷用新聞用紙およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の形状の無機粒子を塗工層に含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、以下のオフセット印刷用新聞用紙およびその製造方法を発明した。
[1]原紙の両面に塗工層が形成され、両面に平滑化処理が施されたオフセット印刷用新聞用紙において、
各塗工層が顔料および接着剤を含み、
前記顔料が、レーザー法で測定した平均粒子径dが2.0〜7.0μmの範囲であり、かつ、レーザー法で測定した平均粒子径dと沈降法で測定した平均粒子径dとの比(d/d)が5.0〜12の範囲にある扁平の無機顔料(A)5〜45質量%と該無機顔料(A)以外のその他の顔料(B)95〜55質量%とからなり(無機顔料(A)とその他の顔料(B)との合計が100質量%である。)、前記その他の顔料(B)は、軽質炭酸カルシウム粒子を含み、全顔料100質量%中の軽質炭酸カルシウム粒子の含有量は10〜95質量%であり、
前記無機顔料(A)の原紙片面あたりの塗工量が乾燥質量として0.05〜2.0g/mであり、
前記接着剤が水溶性接着剤および/または水分散性接着剤であり、各塗工層中の接着剤の含有量が顔料100質量部に対して5〜200質量部であることを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。
]前記軽質炭酸カルシウム粒子の形状が略立方体状である[]に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
]前記接着剤が、顔料100質量部に対して5〜40質量部の範囲で水分散性接着剤を含有する[1]または[2]に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
]塗工方向に対して直交方向の純曲げ剛度が20mNm/1000以上、塗工方向の引張強度が1.8kN/m以上であり、灰分が7〜15質量%である[1]〜[]のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙。
]原紙の両面に塗工液を塗工し、両面に平滑化処理を施すオフセット印刷用新聞用紙の製造方法において、
前記塗工液が顔料および接着剤を含み、
前記顔料が、レーザー法で測定した平均粒子径dが2.0〜7.0μmの範囲であり、かつ、レーザー法で測定した平均粒子径dと沈降法で測定した平均粒子径dとの比(d/d)が5.0〜12の範囲にある扁平の無機顔料(A)5〜45質量%と該無機顔料(A)以外のその他の顔料(B)95〜55質量%とからなり(無機顔料(A)とその他の顔料(B)との合計が100質量%である。)、前記その他の顔料(B)は、軽質炭酸カルシウム粒子を含み、全顔料100質量%中の軽質炭酸カルシウム粒子の含有量は10〜95質量%であり、
前記接着剤が水溶性接着剤および/または水分散性接着剤であり、塗工液中の接着剤の含有量が顔料100質量部に対して5〜200質量部であり、
前記塗工液の塗工量が、原紙の片面あたりの無機顔料(A)の塗工量が乾燥質量として0.05〜2.0g/mになる量であることを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
本発明のオフセット印刷用新聞用紙は、オフセット印刷後の不透明度、表面強度、インキ着肉性、インキセット性が高い上に、適度な摩擦係数であり、印刷作業性に優れ、しかもネッパリが起こりにくい。
本発明のオフセット印刷用新聞用紙の製造方法によれば、オフセット印刷後の不透明度、表面強度、インキ着肉性、インキセット性が高い上に、適度な摩擦係数であり、印刷作業性に優れ、しかもネッパリが起こりにくいオフセット印刷用新聞用紙を製造できる。
(オフセット印刷用新聞用紙)
本発明のオフセット印刷用新聞用紙(以下、新聞用紙と略す。)は、原紙の両面に塗工層が形成され、両面に平滑化処理が施されたものである。
さらに、本発明のオフセット印刷用新聞用紙における各塗工層は、顔料および接着剤を含み、
前記顔料が、レーザー法で測定した平均粒子径dが2.0〜7.0μmの範囲であり、かつ、レーザー法で測定した平均粒子径dと沈降法で測定した平均粒子径dとの比(d/d)が5.0〜12の範囲にある無機顔料(A)5〜45質量%と該無機顔料(A)以外のその他の顔料(B)95〜55質量%とからなり(無機顔料(A)とその他の顔料(B)との合計が100質量%である。)、
前記無機顔料(A)の原紙片面あたりの塗工量が0.05〜2.0g/mであり、前記接着剤が水溶性接着剤および/または水分散性接着剤であり、各塗工層中の接着剤の含有量が顔料100質量部に対して5〜200質量部である。
[原紙]
新聞用紙における原紙としては、例えば、原料パルプとして化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP等)等を単独または任意の比率で混合されたものを使用することができる。原紙中に脱墨古紙パルプを含有する場合には、本発明がとりわけ効果を発揮される。具体的には、印刷後不透明度が高くなりにくい脱墨古紙パルプを含んでも、本発明によれば印刷後不透明度を高くすることができる。
原紙には、例えば、ホワイトカーボン、クレー、無定形シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの製紙用填料が抄紙時に添加されてもよい。また、必要に応じて、内添サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、歩留り向上剤、耐水化剤、紫外線吸収剤等の公知公用の抄紙用薬品が適宜添加されてもよい。
原紙の抄造条件についても特に限定はなく、抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機を、目的に応じて適宜選択することができる。
[塗工層]
各塗工層中の顔料は、レーザー法で測定した平均粒子径dが2.0〜7.0μmの範囲であり、かつ、レーザー法で測定した平均粒子径dと沈降法で測定した平均粒子径dとの比(d/d)が5.0〜12の範囲にある無機顔料(A)と該無機顔料(A)以外のその他の顔料(B)とから構成される。
本発明において、平均粒子径とは、50%累積質量%に該当する平均粒子径のことである。また、レーザー法による平均粒子径dの測定では、個々の粒子が全て球形粒子に見做されてその径が計測され、沈降法による平均粒子径dの測定では、形状が平板状で沈降が遅い粒子ほど、見かけ上、その径が小さい粒子として計測される。従って、レーザー法による平均粒子径dと沈降法による平均粒子径dの比(d/d)が大きくなるほど、アスペクト比(長径/厚さ)が大きく、粒子の扁平度が高くなると考えられる。
が2.0μm未満またはd/dが5.0未満である場合には、該無機顔料(A)によるインキ浸透防止効果が発揮されず、オフセット印刷時にインキが原紙内に過度に浸透し、表面に留めることができないため、印刷後不透明度が低くなる。また、新聞用紙製造の際に、該無機顔料(A)を含む塗工液が原紙の内部に浸透しやすくなるため、原紙のカバーリングが低い、摩擦係数が高い、皺が入る、ネッパリが生じるなどの問題を起こしやすくなる。
が7.0μmを超えるまたはd/dが12.0を超える場合には、表面強度が低下する。また、インキが殆ど浸透しなくなって、インキが無機顔料(A)表面に留まり、インキセット性が低くなって裏移りなどの問題が発生することがある。さらに、摩擦係数が低くなって、紙流れなどの操業上のトラブルが発生しやすくなる。
無機顔料(A)の材質としては、例えば、デラミネーテッドカオリン、カオリン、マイカ、合成マイカ、タルク、セリサイトなどが挙げられる。
無機顔料(A)の含有量は、顔料100質量%に対して5〜45質量%である(無機顔料(A)とその他の顔料(B)との合計が100質量%である。)。無機顔料(A)の含有量が5質量%未満であると、新聞用紙製造の際に、無機顔料(A)を含む塗工液が原紙内部に浸透しやすくなるため、所望の塗工層を形成しにくくなる。また、無機顔料(A)の含有量が45質量%を超えると、インキセット性が低くなる。
各塗工層において、無機顔料(A)の塗工量は乾燥質量として0.05〜2.0g/m2であり、0.07〜1.0g/m2であることが好ましい。塗工量が0.05g/m2未満では、印刷後不透明度が低くなり、2.0g/m2を超えると、コスト高になるだけでなく、表面強度が低くなる。
その他の顔料(B)としては、例えば、無機顔料(A)と同様の材質であって、前記粒径範囲にない無機顔料や、クレー、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイトなどの無機顔料、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料を用いることができ、これらは併用も可能である。
その他の顔料(B)には、塗工層のインキ吸収性がより高くなり、印刷後不透明度がより向上することから、顔料100質量%に対して10〜95質量%の軽質炭酸カルシウム粒子が含まれることが好ましい。軽質炭酸カルシウム粒子が顔料の10質量%未満であると、インキ吸収性が低くなり、印刷後不透明度が低くなることがあり、95質量%を超えると、嵩高構造になり難く、インキ着肉性が低くなり、印刷後不透明度向上の効果が小さくなる。
軽質炭酸カルシウムは、印刷後不透明度をより高くできる上に、嵩高構造をより形成し易く、インキを効率良く吸着できることから、形状が略立方体であることが好ましい。
塗工層中の接着剤は、水溶性接着剤および/または水分散性接着剤である。水溶性接着剤としては、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。水分散性接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックスなどが挙げられる。これら水溶性高分子および水分散性接着剤は1種のみ使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
特に接着剤は、顔料100質量部に対して5〜40質量部の水分散性接着剤を含有することが好ましい。水分散性接着剤を前記範囲で含有すれば、オフセット印刷時における塗工層の水への溶解性を抑制し、湿し水を原因とするネッパリなどの問題が発生しにくい。
また、澱粉などの水溶性高分子と比較して少量で充分な表面強度が得ることができるため、塗工液中の接着剤配合量が減らすことができ、接着剤が原紙内部に浸透することによる印刷後不透明度低下を抑制できる。
塗工層には、本発明の効果を妨げない範囲において、青系統或いは紫系統の染料や有色顔料、蛍光染料、増粘剤、保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電処理剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
[新聞用紙の物性]
本発明の新聞用紙においては、塗工方向に対して直交方向の純曲げ剛度(以下、純曲げ剛度と略す。)が20mNm/1000以上、塗工方向の引張強度(以下、引張強度と略す。)が1.8kN/m以上、灰分が7〜15質量%であることが好ましい。
純曲げ剛度が20mNm/1000以上であれば、コールドオフセット新聞輪転印刷機を用いてもしわが発生しにくく、また、折り部でジャミングすることを防止できる。
引張強度が1.8kN/m以上であれば、印刷中に断紙しにくくなる。引張強度は、より好ましくは2.0kN/m以上である。
灰分が7質量%以上であれば、白色度や不透明度を充分に確保することができ、15質量%以下であれば、コールドオフセット新聞輪転印刷機の操業に適した強度を得ることができる。
上記の物性を満たすためには、上記特定の無機顔料(A)を含む塗工層を有していればよい。
一般的に、坪量が同じであれば紙中の灰分が増えると剛度発現に寄与するパルプ分が少なくなるため、剛度を高くできる機械パルプを多く使用せざるを得ないが、機械パルプを多く使用すると引張強度が低くなるため、剛度と引張強度とのバランスが低くなりがちであった。ところが、本発明の新聞用紙では、上記特定の無機顔料(A)を含む塗工層を有しているため、紙中の灰分が7質量%以上であっても、剛度と引張強度のバランスに優れ、上記の純曲げ剛度と引張強度を確保できる。
(新聞用紙の製造方法)
本発明の新聞用紙の製造方法について説明する。
本発明の新聞用紙の製造方法では、まず、原紙の両面に、顔料および接着剤を含む塗工液を塗工する。
ここで、塗工液に含まれる顔料は、塗工層中の顔料と同様に、レーザー法で測定した平均粒子径dが2.0〜7.0μmの範囲であり、かつ、レーザー法で測定した平均粒子径dと沈降法で測定した平均粒子径dとの比(d/d)が5.0〜12の範囲にある無機顔料(A)5〜45質量%とその他の顔料(B)95〜55質量%とから構成されたものである。
また、接着剤は、水溶性接着剤および/または水分散性接着剤であり、接着剤の含有量は顔料100質量部に対して5〜200質量部である。
塗工液の分散媒は特に制限されないが、水が好ましい。
塗工液を原紙に塗工するための塗工装置としては、例えば、インクラインまたはバーティカルツーロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーターなどのロールコーター、トレーリング、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエル等のベベルタイプやベントタイプのブレードコーターロッドブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、グラビアコーターなどが適宜使用される。
塗工液を塗工後、乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式を採用できる。
前記塗工液の塗工量は、原紙の片面あたりの無機顔料(A)の塗工量が乾燥質量として0.05〜2.0g/mになる量である。無機顔料(A)の塗工量が0.05g/m未満であると、得られる新聞用紙の印刷後不透明度が低くなり、2.0g/m2を超えるとネッパリが生じやすくなる。
次いで、塗工液の塗工により形成された層に平滑化処理を施す。その際の平滑化処理においては、ロールを備えた各種キャレンダー装置を用いることができる。具体的なキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダー等が挙げられる。また、キャレンダー装置としては、コーターと別体のオフタイプとコーターと一体のオンタイプとがあるが、どちらも使用できる。
キャレンダー装置のロールとしては、剛性ロールまたは弾性ロールが挙げられる。剛性ロールとしては、金属もしくはその表面に硬質クロムメッキ等で鏡面処理したロールなどが挙げられる。弾性ロールとしては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、フェノール樹脂、アクリレート樹脂等の樹脂ロール、コットン、ポリアミド、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールなどが挙げられる。
キャレンダー仕上げ条件としては、ロールの温度、キャレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、キャレンダー前の紙水分等が、要求される新聞用紙の品質に応じて適宜選択される。
上述したように、本発明では、新聞用紙の塗工層に、特定の含有量で接着剤が含まれている上に、レーザー法で測定した平均粒子径d、レーザー法で測定した平均粒子径dと沈降法で測定した平均粒子径dとの比(d/d)が特定の範囲にある扁平な無機顔料(A)が顔料100質量%に対して5〜45質量%含まれる。このような構成の塗工層では、偏平の無機顔料(A)の間にその他の顔料(B)が入り込んだ嵩高構造を形成できる。そして、その嵩高構造では、高偏平の無機顔料(A)のバリヤー性でオフセット印刷時のインキの浸透を抑制しつつ、その他の顔料(B)でインキを高効率で吸収でき、インキを新聞用紙表面に留めることができるため、印刷後不透明度を高くできる。しかも、前記嵩高構造の塗工層であることによって、印刷後不透明度を低下させずに、表面強度を確保することができる。
また、本発明の新聞用紙における塗工層は、上記のような顔料を含む嵩高構造であるため、インキが内部まで適度に浸透して、インク着肉性に優れる上に、インキが塗工層内部に適度に入り込むため、インキセット性にも優れる。
また、顔料として適度に扁平な形状である無機顔料(A)を含むため、摩擦係数を適度に調整できるため、紙流れ等が起きにくく、印刷作業性に優れる。
さらに、塗工層は、特定の無機顔料が特定量塗工されているため、ネッパリの発生も防止されている。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、例中の「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
以下の例において、レーザー法による顔料の平均粒子径d、沈降法による顔料の平均粒子径dは以下のように測定した。
(レーザー法による顔料の平均粒子径d
(株)島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000を使用して、顔料の粒度分布を測定し、50%累積質量%に該当する平均粒子径(d)を求めた。その測定に供した塗工液は、顔料100質量%に対して分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を0.05%添加して調製した顔料スラリーを、当該測定装置で測定可能な領域にまで希釈したものである。
(沈降法による顔料の平均粒子径d
(株)島津製作所製のセディグラフ5100を使用して、顔料の粒度分布を測定し、50%累積質量%に該当する平均粒子径(d)を求めた。その測定に供した塗工液は、顔料100質量%に対して分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を0.05%添加して調製した顔料スラリーを、燐酸塩系分散剤(ナンカリン)の0.1%水溶液で、顔料固形分濃度が約1%になるように希釈したものである。
(原紙製造例1)
針葉樹クラフトパルプ10部、サーモメカニカルパルプ40部、脱墨古紙パルプ50部の割合で混合して離解し、レファイナーでフリーネス120mlC.S.F.(カナダ標準フリーネス)に調製したパルプスラリーを得た。このパルプスラリーに、対絶乾パルプ100%あたりカチオン化澱粉(P3Y、PIRAAB STARCH Co., Ltd.製)を0.5%、填料としてホワイトカーボンを2部、タルクを2部添加し、硫酸バンドでpHを4.5に調整して紙料を得た。そして、得られた紙料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙して、米坪42g/m2、灰分5%の原紙Aを得た。
(原紙製造例2)
填料として軽質炭酸カルシウムを15部添加し、硫酸バンドでpHを6.5に調整したこと以外は原紙製造例1と同様にして、米坪42g/m2、灰分11.5%の原紙Bを得た。
実施例1
レーザー法により測定した平均粒子径dが4.58μm、沈降法により測定した平均粒子径dが0.46μm、d/dが10.0であるデラミネーテッドカオリンA(コンツアー1500/イメリス社製、無機顔料(A))20部、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製、その他の顔料(B)、表中では「軽質炭酸Ca」と表記する。)80部、酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製、水溶性接着剤)50部、スチレン−ブタジエン共重合体(商品名;T−2635R、JSR株式会社製、水分散性接着剤)10部を水中で混合して、固形分濃度20%の塗工液を調製した。
この塗工液を原紙Aの両面に、ゲートロールコーターを使用して、原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が0.9g/m2となるように塗工、乾燥した後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行って、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
実施例2
デラミネーテッドカオリンAの代わりに、dが2.49μm、dが0.33μm、d/dが7.5であるデラミネーテッドカオリンB(XP8390/イメリス社製、無機顔料(A))を用いて塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
実施例3
デラミネーテッドカオリンA(コンツアー1500/イメリス社製)20部、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製)80部、酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)80部、オレフィン系表面サイズ剤(商品名;OT25、荒川化学工業株式会社製)3.0部を水中で混合して、固形分濃度20%の塗工液を調製した。
この塗工液を原紙Aの両面に、ゲートロールコーターを使用して、原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が1.0g/m2となるように塗工、乾燥した以外は実施例1と同様にして、坪量44.0g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
実施例4
酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)の量を60部として塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
実施例5
立方体状軽質炭酸カルシウム80部の代わりに、柱状軽質炭酸カルシウム(商品名;TP−123CS、奥多摩工業株式会社製)80部を用いて塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
実施例6
立方体状軽質炭酸カルシウム80部の代わりに、不定形重質炭酸カルシウム(商品名;FMT−90、株式会社ファイマテック製、表中では「重質炭酸Ca」と表記する。)80部を用いて塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
参考例7
立方体状軽質炭酸カルシウム80部の代わりに、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製)5部、不定形重質炭酸カルシウム(商品名;FMT−90、株式会社ファイマテック製)75部を用いて塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
実施例8
デラミネーテッドカオリンA(コンツアー1500/イメリス社製)6部、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製)94部、酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)50部、スチレン−ブタジエン共重合体(商品名;T−2635R、JSR株式会社製)10部を水中で混合して、固形分濃度20%の塗工液を調製した。
この塗工液を原紙Aの両面に、ゲートロールコーターを使用して、原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が1.5g/m2となるように塗工、乾燥した後、樹脂ロール/金属ロールよりなるソフトカレンダー仕上げを行って、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.06g/mである。
実施例9
デラミネーテッドカオリンAの量を40部、立方体状軽質炭酸カルシウムの量を60部にして塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.23g/mである。
実施例10
原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が0.5g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にして、坪量43.0g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.06g/mである。
実施例11
原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が12.0g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にして、坪量66.0g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は1.5g/mである。
実施例12
酸化トウモロコシ澱粉の量を45部に、スチレン−ブタジエン共重合体の量を45部に変更して塗工液を調製し、原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が1.1g/m2となるように塗工、乾燥した以外は実施例1と同様にして、坪量44.2g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
実施例13
酸化トウモロコシ澱粉を54部に、スチレン−ブタジエン共重合体の量を6部に変更して塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
実施例14
原紙Aの代わりに原紙Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして坪量43.8g/mの新聞用紙を得た。
実施例15
原紙Aの代わりに原紙Bを用いたこと以外は実施例2と同様にして坪量43.8g/mの新聞用紙を得た。
実施例16
原紙Aの代わりに原紙Bを用いたこと以外は実施例5と同様にして坪量43.8g/mの新聞用紙を得た。
実施例17
原紙Aの代わりに原紙Bを用いたこと以外は実施例9と同様にして坪量43.8g/mの新聞用紙を得た。
比較例1
平均粒子径dが5.55μm、平均粒子径dが2.11μm、d/dが2.6であるデラミネーテッドカオリンC(ニューサーフ/エンゲルハート社製)20部、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製)80部、酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)50部、スチレン−ブタジエン共重合体(商品名;T−2635R、JSR株式会社製)10部を水中で混合して塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
比較例2
平均粒子径dが9.25μm、平均粒子径dが0.74μm、d/dが12.5である偏平顔料(マイカZ20/斐川礦業株式会社製)20部、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製)80部、酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)50部、スチレン−ブタジエン共重合体(商品名;T−2635R、JSR株式会社製)10部を水中で混合して塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
比較例3
デラミネーテッドカオリンAの量を5部に、立方体状軽質炭酸カルシウムの量を95部に変更して塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.03g/mである。
比較例4
デラミネーテッドカオリンA(コンツアー1500/イメリス社製)50部、立方体状軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアントS15、白石工業株式会社製)50部、酸化トウモロコシ澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ株式会社製)50部、スチレン−ブタジエン共重合体(商品名;T−2635R、JSR株式会社製)10部からなる固形分濃度20%の塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.28g/mである。
比較例5
原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が0.3g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にして、坪量42.6g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.04g/mである。
比較例6
酸化トウモロコシ澱粉の量を30部に変更して塗工液を調製し、この塗工液を、原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が17.0g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にして、坪量76.0g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は2.1g/mである。
比較例7
酸化トウモロコシ澱粉の量を2部、スチレン−ブタジエン共重合体の量を2部に変更して塗工液を調製し、この塗工液を、原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が0.59g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にして、坪量43.2g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
比較例8
酸化トウモロコシ澱粉の量を110部、スチレン−ブタジエン共重合体の量を110部に変更して塗工液を調製し、この塗工液を、原紙Aの片面あたりの乾燥塗工量が1.8g/m2となるように塗工した以外は実施例1と同様にして、坪量45.6g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
比較例9
デラミネーテッドカオリンA20部の代わりに、平均粒子径dが1.80μm、平均粒子径dが0.24μm、d/dが7.5である微粒カオリン(ミラグロス/エンゲルハート社製)20部を用いて塗工液を調製した以外は実施例1と同様にして、坪量43.8g/m2の新聞用紙を得た。この新聞用紙における原紙片面あたりの無機顔料(A)の塗工量は0.11g/mである。
比較例10
原紙Aの代わりに原紙Bを用いたこと以外は比較例1と同様にして坪量43.8g/mの新聞用紙を得た。
比較例11
原紙Aの代わりに原紙Bを用いたこと以外は比較例2と同様にして坪量43.8g/mの新聞用紙を得た。
各実施例および各比較例の新聞用紙について、下記の物性を測定した。その結果を表1〜5に示す。
(印刷後不透明度)
JAPAN TAPPI No.45に準拠して測定した。なお、実施例1の実米坪を基準とし、異なる米坪のサンプルに対しては、0.6%/米坪1g/mとして米坪補正を行なった。
(インキ着肉性)
各新聞用紙から巾2cmの試料ストリップを切り取り、これをサンプル台紙(OK特アートポスト 256g/m)に貼りつけた。これに、RI印刷試験機(明製作所製)にて、墨インキ(News Webmaster 墨、サカタインクス株式会社製)を0.4cc展開させ、ゴムロールと練りロール間をキスタッチにして、その間に水を0.2cc滴下後、印刷を行った。そして、墨ベタ印刷面の黒色濃度(マクベス濃度)をカラー反射濃度計(X−RITE404G、X RITE Inc.製)にて測定した。
(動摩擦係数)
JIS P 8147に準拠して測定した。
(ネッパリ)
各新聞用紙について、非画線部のみのアルミ版とブランケット(DAYインターナショナル製DAYブランケット8891)を4つセットしたオフセット印刷機(三菱リソピアL−BT3−1100)を用いて、インキをのせずに4つのセットすべてで水刷りを行い、200部印刷を行った。その後、水供給を停止し、新聞用紙のブランケットへの貼り付き度合いを目視にて判定した。評価は次の5段階評価で行った。
<評価基準>
5:新聞用紙がブランケットに全く貼り付かなかった。
4:新聞用紙がブランケットに殆ど貼り付かなかった。
3:新聞用紙がブランケットに貼り付いたが、実用上問題のない程度であった。
2:新聞用紙がブランケットに貼り付いた。
1:新聞用紙がブランケットに激しく貼り付いた。
なお、評価が3未満のものは、実用上問題がある。
(表面強度)
上記と同様にして各実施例および比較例で得たオフセット印刷用新聞用紙を貼り付けたサンプル台紙を作成し、上記RI印刷試験機にて、印刷インキ(紙試験 SD50紅BT&K TOKA株式会社製)を0.4cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。
<評価基準>
5:表面強度が極めて高かった。
4:表面強度が高かった。
3:実用的な表面強度が確保されていた。
2:表面強度が低かった。
1:表面強度が極めて低かった。
なお、評価が3未満のものは、実用上問題がある。
(インキセット性)
各新聞用紙を貼り付けたサンプル台紙を作成し、RI印刷試験機にて、印刷インキ(T&K TOKA株式会社製)を0.5cc使用して印刷を行った。印刷は、サンプルがインキロールにタッチしたところから一定時間ごとに2〜3cmづつ行い、印刷終了後のインキロールを別の紙面に写し取り、その濃度変化を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。
<評価基準>
5:インキセット性が極めて高かった。
4:インキセット性が高かった。
3:実用的なインキセット性が確保されていた。
2:インキセット性が低かった。
1:インキセット性が極めて低かった。
なお、評価が3未満のものは、実用上問題がある。
ネッパリ、表面強度、インキセット性については各例につき5回測定し、表にはその平均を示した。
(灰分)
新聞用紙の灰分をJIS P8251に準拠して測定した。
(純曲げ剛度)
23℃、50%RHで調湿後、50mm幅に裁断した試験片の横方向(塗工方向に対して直交方向)を、純曲げ剛度試験機(商品名KES−FB2−A、カトーテック(株)製)により、変形速度0.5cm/秒で曲げ変形させた。その際の曲率とトルクを測定し、単位曲率変化あたりの曲げモーメント変化量(単位試験片幅当たり)を求め、これを純曲げ剛度とした。
(引張強度)
新聞用紙の縦方向(塗工方向)の引張強度をJIS P8113に準拠して測定した。
Figure 0004631692
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特定形状の無機顔料および接着剤を特定量含む塗工層を有する実施例1〜17の新聞用紙は、オフセット印刷後の不透明度、表面強度、インキ着肉性、インキセット性が高い上に、適度な摩擦係数であり、印刷作業性に優れ、しかもネッパリが起こりにくかった。
また、実施例1と実施例5,6とから、その他の顔料(B)が立方体状軽質炭酸カルシウムであれば、印刷後不透明度がより高くなることが分かった。
また、実施例1と実施例4との比較から、接着剤として水分散性接着剤を特定量含めば、ネッパリをより防止できることが分かった。
さらに、実施例1〜17の新聞用紙は、灰分が7〜15質量%であっても、横方向の純曲げ剛度が20mNm/1000以上、縦方向の引張強度が1.8kN/m以上であった。
/dが5.0未満の無機顔料を用いた比較例1,10の新聞用紙は、印刷後不透明度が低かった。
/dが12.0を超える無機顔料を用いた比較例2,11の新聞用紙は、動摩擦係数および表面強度が低かった。
無機顔料(A)の乾燥塗工量が0.05g/m未満であった比較例3,5の新聞用紙は印刷後不透明度が低く、特に比較例5では表面強度およびインキセット性も低かった。
顔料中の無機顔料(A)の割合が45質量%を超えていた比較例4の新聞用紙は、印刷後不透明度、動摩擦係数、インキセット性が低かった。
無機顔料(A)の乾燥塗工量が2.0g/mを超えていた比較例6の新聞用紙は、コスト高になるだけでなく、表面強度が低かった。
接着剤の量が顔料100部に対して5部未満であった比較例7の新聞用紙は、表面強度が低かった。
接着剤の量が顔料100部に対して200部未満を超えていた比較例8の新聞用紙は、印刷後不透明度、表面強度、ネッパリが低かった。
が2.0μm未満の無機顔料を用いた比較例9の新聞用紙は、印刷後不透明度が低かった。

Claims (5)

  1. 原紙の両面に塗工層が形成され、両面に平滑化処理が施されたオフセット印刷用新聞用紙において、
    各塗工層が顔料および接着剤を含み、
    前記顔料が、レーザー法で測定した平均粒子径dが2.0〜7.0μmの範囲であり、かつ、レーザー法で測定した平均粒子径dと沈降法で測定した平均粒子径dとの比(d/d)が5.0〜12の範囲にある扁平の無機顔料(A)5〜45質量%と該無機顔料(A)以外のその他の顔料(B)95〜55質量%とからなり(無機顔料(A)とその他の顔料(B)との合計が100質量%である。)、前記その他の顔料(B)は、軽質炭酸カルシウム粒子を含み、全顔料100質量%中の軽質炭酸カルシウム粒子の含有量は10〜95質量%であり、
    前記無機顔料(A)の原紙片面あたりの塗工量が乾燥質量として0.05〜2.0g/mであり、
    前記接着剤が水溶性接着剤および/または水分散性接着剤であり、各塗工層中の接着剤の含有量が顔料100質量部に対して5〜200質量部であることを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙。
  2. 前記軽質炭酸カルシウム粒子の形状が略立方体状である請求項に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  3. 前記接着剤が、顔料100質量部に対して5〜40質量部の範囲で水分散性接着剤を含有する請求項1または2に記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  4. 塗工方向に対して直交方向の純曲げ剛度が20mNm/1000以上、塗工方向の引張強度が1.8kN/m以上であり、灰分が7〜15質量%である請求項1〜のいずれかに記載のオフセット印刷用新聞用紙。
  5. 原紙の両面に塗工液を塗工し、両面に平滑化処理を施すオフセット印刷用新聞用紙の製造方法において、
    前記塗工液が顔料および接着剤を含み、
    前記顔料が、レーザー法で測定した平均粒子径dが2.0〜7.0μmの範囲であり、かつ、レーザー法で測定した平均粒子径dと沈降法で測定した平均粒子径dとの比(d/d)が5.0〜12の範囲にある扁平の無機顔料(A)5〜45質量%と該無機顔料(A)以外のその他の顔料(B)95〜55質量%とからなり(無機顔料(A)とその他の顔料(B)との合計が100質量%である。)、前記その他の顔料(B)は、軽質炭酸カルシウム粒子を含み、全顔料100質量%中の軽質炭酸カルシウム粒子の含有量は10〜95質量%であり、
    前記接着剤が水溶性接着剤および/または水分散性接着剤であり、塗工液中の接着剤の含有量が顔料100質量部に対して5〜200質量部であり、
    前記塗工液の塗工量が、原紙の片面あたりの無機顔料(A)の塗工量が乾燥質量として0.05〜2.0g/mになる量であることを特徴とするオフセット印刷用新聞用紙の製造方法。
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