JP2000355897A - 印刷用塗工紙及び塗工紙用塗料組成物 - Google Patents

印刷用塗工紙及び塗工紙用塗料組成物

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JP2000355897A
JP2000355897A JP16506999A JP16506999A JP2000355897A JP 2000355897 A JP2000355897 A JP 2000355897A JP 16506999 A JP16506999 A JP 16506999A JP 16506999 A JP16506999 A JP 16506999A JP 2000355897 A JP2000355897 A JP 2000355897A
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calcium carbonate
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coating composition
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Kazuyuki Hosoi
和幸 細井
Hisao Sugihara
久夫 杉原
Takao Fukuda
隆生 福田
Noriaki Matsuda
紀昭 松田
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Shiraishi Kogyo Kaisha Ltd
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NEW RAIMU KENKYUSHA KK
Shiraishi Kogyo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】印刷適性及び光学特性がいずれも向上している
印刷用塗工紙、並びに、上記塗工紙用として好適な塗工
紙用塗料組成物を提供すること。 【解決手段】基紙上に、バインダー及び無機顔料を含有
させてなる塗料を塗布してなる塗工紙であって、該無機
顔料が、粒子径0.5〜5μm、長径lと厚みdの比
(l/d)5以上、窒素吸着法によるBET比表面積5
2/g以上、水銀圧入法により測定される最多確率空
隙直径0.1〜1.0μm且つ空隙容積0.7ml/g
以上である板状炭酸カルシウムであることを特徴とする
印刷用塗工紙、並びに、バインダー及び無機顔料として
当該板状炭酸カルシウムを含有することを特徴とする塗
工紙用塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な印刷用塗工
紙及び塗工紙用塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】基紙上に顔料とバインダーからなる塗被
層を有する塗工紙は、高級印刷用紙として用いられてい
る。近年、印刷、出版業界のビジュアル化、カラー化の
傾向が強くなり、例えばコート紙、アート紙、キャスト
コート紙、中質コート紙、微塗工紙等の印刷用塗工紙の
需要があり、その用途も多岐にわたっている。特に、原
価低減、地球環境問題の面から機械パルプ、脱墨処理パ
ルプ等を含有する中質コート紙の重要が増大している。
【0003】印刷用塗工紙に対して要求される性能とし
ては、インク吸収性や塗被層強度等の印刷適性の外に塗
被層表面の光沢や不透明性等の光学特性も重要な要素で
ある。
【0004】印刷用塗工紙において、塗被層の光沢度を
高めるために塗被層表面を加圧して平滑化すれば、光沢
度は高まるが、必然的に塗被層の空隙が潰れインク吸収
性が低下する。また、塗被層の光沢度を高めるために顔
料のバインダーとして使用される重合体ラテックス等の
水溶性あるいは水分散性高分子物質を多量に使用する
と、塗被層の強度と光沢は向上するもののやはり塗被層
の空隙が減少してインク吸収性が低下する。さらに、印
刷時の光沢度を高めるためにも同様の操作が行われる
が、塗被層の空隙の潰れや減少により、インク吸収性が
悪くなり、印刷時の乾燥時間が長くなるという問題が生
じる。
【0005】このように塗工紙において、塗被層の光沢
及び印刷時の光沢と印刷適性とは相反する部分が多分に
あり、顔料やバインダーの種類や配合、塗料の塗布量や
平滑処理の程度等は、塗被層の光沢及び印刷時の光沢と
印刷適性の程よいバランスの上で決定されており、印刷
適性のよい高光沢紙を得るためには別の技術を必要とさ
れている。
【0006】例えば、塗工紙用塗料の顔料(以下、これ
を「塗工顔料」ということがある)に関して、粒子径を
揃えた炭酸カルシウム粒子を用いる方法や板状結晶を有
するタルクやクレー等を顔料として用いる方法が知られ
ている。
【0007】炭酸カルシウムは、安価な素材であり、紙
の内添填料や塗工顔料として広く利用されている。炭酸
カルシウムには、天然炭酸カルシウム(重質炭酸カルシ
ウム)及び合成炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)
があるが、紙の内添填料や塗工顔料として利用される炭
酸カルシウムは、微細粒子であることが必要である。
【0008】重質炭酸カルシウムは、主に塗工顔料とし
て使われ、その粒子径が、2μm以下の含有量が90重
量%以上であるものを用いると高光沢を有する塗工紙が
安価で得られる。しかしながら、塗工顔料として、この
重質炭酸カルシウムを用いた印刷用塗工紙には、塗工層
の空隙が少なく、従って不透明度やインク吸収性が低く
なるという欠点があった。
【0009】一方、合成炭酸カルシウムは、内添填料や
塗工顔料の両方の用途があり、内添填料にはその粒子径
が2μm程度で長径と短径のアスペクト比が5〜10程
度の紡錘形合成炭酸カルシウムが広く用いられ、塗工顔
料にはその粒子径が0.1〜0.2μmの立方体合成炭
酸カルシウム及び粒子径が0.1〜0.5μmの紡錘形
合成炭酸カルシウムが広く用いられている。しかしなが
ら、塗工顔料として、この合成炭酸カルシウムを用いた
印刷用塗工紙には、塗工層の空隙が多く、従って白色
度、不透明度、インク吸収性は優れているが、印刷光沢
度が低くなるという欠点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の諸欠点が解消され、印刷適性及び光学特性が
いずれも向上している印刷用塗工紙を提供することにあ
る。
【0011】本発明の他の目的は、上記塗工紙用として
好適な塗工紙用塗料組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記従来技
術の現状に鑑み、印刷用塗工紙の印刷適性や光沢度及び
不透明度等の光学特性を向上させるべく、印刷用塗工紙
の塗工顔料に用いる合成炭酸カルシウムの結晶形態につ
いて鋭意研究した結果、特定の結晶形態を有する合成炭
酸カルシウムを用いることによって、印刷用塗工紙の印
刷適性及び光学特性が大きく向上することを見い出し、
本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、本発明は、基紙上に、バインダー及
び無機顔料を含有させてなる塗料を塗布してなる塗工紙
であって、該無機顔料が、粒子径0.5〜5μm、長径
lと厚みdの比(l/d)5以上、窒素吸着法によるB
ET比表面積5m2/g以上、水銀圧入法により測定さ
れる最多確率空隙直径0.1〜1.0μm且つ空隙容積
0.7ml/g以上である板状炭酸カルシウムであるこ
とを特徴とする印刷用塗工紙に係る。
【0014】また、本発明は、バインダー及び無機顔料
を含有させてなる塗料組成物であって、該無機顔料が、
粒子径0.5〜5μm、長径lと厚みdの比(l/d)
5以上、窒素吸着法によるBET比表面積5m2/g以
上、水銀圧入法により測定される最多確率空隙直径0.
1〜1.0μm且つ空隙容積0.7ml/g以上である
板状炭酸カルシウムであることを特徴とする塗工紙用塗
料組成物にも係る。
【0015】上記本発明の印刷用塗工紙及び塗料組成物
においては、塗工顔料として従来使用されたことのな
い、上記特定の結晶形態を有する板状炭酸カルシウムを
用いることに大きな特徴を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明印刷用塗工紙における基紙
としては、例えば、上質紙、中質紙、新聞紙、片艶紙、
特グラビヤ紙等が挙げられるが、特に上質紙や中質紙が
好適である。
【0017】基紙上に塗布される塗工紙用塗料組成物
は、バインダー及び無機顔料を必須成分とするが、本発
明においては、該無機顔料として粒子径が0.5〜5μ
m、長径lと厚みdの比(l/d)が5以上、窒素吸着
法によるBET比表面積が5m 2/g以上、水銀圧入法
により測定される最多確率空隙直径が0.1〜1.0μ
m且つ空隙容積が0.7ml/g以上である板状炭酸カ
ルシウムを使用することを、大きな特徴としている。こ
れにより、本発明の塗工紙によれば、印刷光沢の発現性
が高くしかもインク吸収性が良好であるという特性が発
揮される。
【0018】上記炭酸カルシウムの粒子形状が板状であ
ること、その粒子径及び厚みは、走査型電子顕微鏡によ
る観察により、確認することができる。また、この粒子
径は、板状炭酸カルシウムの平板部分の直径の内最も大
きい値(即ち長径)を意味している。この長径及び厚み
の値から長径lと厚みdの比(l/d)が算出される。
【0019】上記炭酸カルシウムの粒子径が、0.5μ
m未満では、粒子間の空隙が増加してバインダー消費量
(吸収量)が多くなって塗工層の強度が低下することと
なり、又5μmを越えると白紙光沢度が低下し、更に粒
子間の空隙が少なくなって塗工層のインク吸収性が低下
するので、いずれの場合も好ましくない。より好ましい
粒子径は、1〜3μm程度である。
【0020】上記炭酸カルシウムの長径lと厚みdの比
(l/d)が5未満であると、良好な被覆性が得られ
ず、目的とする印刷光沢度、不透明度等の光学特性の改
善効果が小さくなるので、好ましくない。より好ましい
l/dの比は、7〜50程度である。
【0021】上記炭酸カルシウムの窒素吸着法によるB
ET比表面積が、5m2/g未満では、インク吸収性が
大幅に悪くなるので、好ましくない。より好ましいBE
T比表面積は、5〜30m2/g程度である。
【0022】また、上記炭酸カルシウムの水銀圧入法に
より測定される最多確率空隙直径が0.1〜1.0μm
の範囲外で空隙容積が0.7ml/g未満であると、塗
工層に空隙が少なくなり、インク吸収性が大幅に悪くな
るので、好ましくない。より好ましい空隙直径は0.3
〜0.6μm程度で、より好ましい空隙容積は1.0〜
3.0ml/g程度である。
【0023】また、バインダーとしては、酸化澱粉、エ
ステル化澱粉、酵素変性澱粉等の各種澱粉類、カゼイ
ン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、ポリビニルアル
コール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス等のセルロース誘導体、スチレン・ブタジエン共重合
体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の共
役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合
体、スチレン・アクリル酸エステル共重合体等のアクリ
ル系重合体ラテックス、エチレン・酢酸ビニル共重合体
等のビニル系重合体ラテックス等の一般に塗工紙用塗料
に用いられている公知の接着性バインダーを、単独で又
は二種以上併用して、使用される。
【0024】本発明の塗工紙用塗料組成物は、バインダ
ー及び本発明特定の板状炭酸カルシウムを必須成分とす
るが、必要に応じて、当該炭酸カルシウム以外の塗工顔
料、分散剤、消泡剤、潤滑剤、耐水化剤、粘性改良剤、
保水剤、防腐剤、染料等を配合することができる。
【0025】本発明の塗料組成物においては、本発明所
期の効果を妨げない限りにおいて、塗工顔料として、本
発明特定の結晶形態の板状炭酸カルシウムに加えて、こ
れ以外の公知の塗工顔料を併用することができる。併用
し得る塗工顔料としては、カオリン、タルク、クレー、
重質炭酸カルシウム、汎用合成炭酸カルシウム、酸化チ
タン等の無機顔料を例示することができる。塗工顔料と
して、本発明特定の炭酸カルシウムとこれ以外の無機顔
料とを併用する場合の併用割合としては、通常、前者を
5〜100重量%程度、後者を95〜0重量%程度とす
るのが、適当である。
【0026】本発明の塗料組成物におけるバインダーと
塗工顔料の配合割合は、通常、塗工顔料100重量部に
対して、バインダーを5〜30重量部程度とするのが好
適である。
【0027】塗工紙用塗料組成物は、常法により調製す
ることができる。例えば、バインダー及び塗工顔料等の
成分を、必要に応じて分散剤の存在下で、水等の水性媒
体中に、撹拌下分散させることにより、好適に調製でき
る。塗料組成物の固形分濃度は、通常、10〜70重量
%程度とするのが適当である。
【0028】上記分散剤としては、ポリアクリル酸ソー
ダ、ピロリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ等のポ
リリン酸塩、珪酸ソーダ、カゼイン等を例示できる。
【0029】本発明で使用を必須とする板状炭酸カルシ
ウムは、合成炭酸カルシウムであって、特定の結晶形態
を有するものである。
【0030】合成炭酸カルシウムは、通常、石灰乳に炭
酸ガスを吹き込んで水酸化カルシウムを炭酸化する方法
である、炭酸ガス反応法により、製造される。例えば、
石灰石原石をコークスあるいは石油系燃料(重油、軽
油)、天然ガス、LPG等で混焼することによって生石
灰を得て、この生石灰を水和し、水酸化カルシウムスラ
リーとし、これに混焼時に発生する炭酸ガスを水酸化カ
ルシウムスラリーにバブリングし反応させることによっ
て炭酸カルシウムを製造することができる。
【0031】本発明で用いる粒子径0.5〜5μm、長
径lと厚みdの比(l/d)5以上、窒素吸着法による
BET比表面積5m2/g以上、水銀圧入法により測定
される最多確率空隙直径0.1〜1.0μm且つ空隙容
積0.7ml/g以上である板状炭酸カルシウムは、上
記炭酸ガス反応法の内でも、特に炭酸化反応時に有機ホ
スホン酸化合物又は/及び有機アミン化合物を存在させ
る方法(例えば、特公平6−96449号、特開平7−
267634号等)により、好適に調製することができ
る。
【0032】即ち、本発明特定の板状炭酸カルシウム
は、水酸化カルシウムの二酸化炭素による炭酸化反応に
より炭酸カルシウムを製造する方法において、炭酸カル
シウムの生成過程において塩基性炭酸カルシウムを生成
する反応条件下で、且つ有機ホスホン酸化合物及び有機
アミン化合物の少なくとも一種の共存下に炭酸化反応を
行わしめることにより、好適に調製することができる。
【0033】上記炭酸カルシウムの生成過程において塩
基性炭酸カルシウムを生成する反応条件としては、好適
には、炭酸化率60%を越える前までで、電気伝導度の
降下が反応前に対して3.5mS/cm以内である条件
を挙げることができる。ここで、炭酸化率とは、炭酸化
前の石灰乳中の水酸化カルシウムのモル数に対する炭酸
化された水酸化カルシウムのモル数の百分率を意味す
る。
【0034】上記有機ホスホン酸化合物としては、例え
ば、ニトリロトリ(メチレンホスホス酸)、エチレンジ
アミンテトラ(メチレンホスホン酸)、エチレントリア
ミンペンタ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエ
チリデン−1,1−ジホスホン酸、これらのナトリウ
ム、カリウム等の金属塩等が好ましい。
【0035】また、有機アミン化合物としては、例え
ば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等が好ま
しい。
【0036】有機ホスホン酸化合物又は/及び有機アミ
ン化合物の添加時期としては、炭酸化反応の反応前、反
応途中のどちらか、あるいはその両方に添加すればよ
く、より具体的な添加時期としては、炭酸化率が0〜8
5%の間、好ましくは5〜70%の間であるのが良い。
炭酸化率が85%を越えてから添加すると0.05μm
程度の立方状炭酸カルシウムが生成するので、好ましく
ない。
【0037】また、有機ホスホン酸化合物又は/及び有
機アミン化合物の添加量としては、通常、水酸化カルシ
ウムに対して、0.01〜30重量%程度、好ましくは
0.1〜20重量%程度とするのが好適である。
【0038】生成した板状炭酸カルシウムは、スラリー
状であるので、これを噴霧乾燥して乾燥粉体として得る
ことができる。また、脱水、濃縮し、分散剤を添加し分
散させ、例えば50〜70重量%程度の高濃度スラリー
として得ることも可能である。ここで用いる分散剤とし
ては、前記本発明の塗料組成物において例示したもの
を、いずれも使用できる。
【0039】基紙上に塗工紙用塗料組成物を塗装する場
合の塗工装置としては、従来公知のものを使用できる。
例えば、サイズプレス、ゲートロールコーター、エアー
ナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、
バーコーター等を適宜用いることができる。
【0040】塗工紙上の塗料組成物の塗工量としては、
特に限定されず、従来と同様で良い。例えば、塗工紙
が、コート紙の場合は両面塗工量20g/m2前後、ア
ート紙の場合は両面塗工量40g/m2前後、キャスト
コート紙の場合は片面塗工量20g/m2前後、中質コ
ート紙の場合は両面塗工量20g/m2前後、微塗工紙
の場合は両面塗工量12g/m2前後とするのが、好適
である。
【0041】次に、キャストコート紙の場合は、常法に
従い、上記で塗装された湿潤塗被層を鏡面仕上げしたキ
ャストドラムに加圧条件下で接触させ加熱乾燥される。
【0042】アート紙、コート紙、中質コート紙又は微
塗工紙の場合は、常法により、塗料組成物を塗布、乾燥
した塗工紙をスーパーカレンダー処理される。スーパー
カレンダー処理では、塗被層の温度が、通常、使用する
バインダーのガラス転移温度より高い温度になるように
設定される。
【0043】かくして平滑化され、本発明の印刷用塗工
紙を得ることができる。
【0044】
【実施例】以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、
本発明をより一層具体的に説明するが、本発明はこれら
によって何ら制限されるものではない。尚、実施例及び
比較例においては、簡便に効果をみるために、基紙上に
塗料組成物をバーコーターで塗布、乾燥後、スーパーカ
レンダー処理して印刷用塗工紙を得た。
【0045】製造例1 本発明で用いる板状炭酸カルシ
ウムの合成 9g/100mlの濃度の石灰乳400mlを15℃に
調整し、25%の炭酸ガスを900ml/分の速度で吹
き込み炭酸化反応を開始した。反応開始より45分経過
した時点でジエチレントリアミンの1.23gを反応液
中に添加した。この時点の炭酸化率を測定したところ、
約66%であった。また、この時点で、反応液10ml
を取り出し、脱水、乾燥して得た粉末をX線回折装置で
調べたところ、塩基性炭酸カルシウムであった。添加
後、そのまま反応を継続して反応を終了させた。反応終
了時間は、反応開始から約68分であった。炭酸化率6
0%までの電気伝導度の降下は、反応前を基準にして
1.9mS/cmであった。この炭酸化された石灰乳を
濾過、脱水、水洗、メチルアルコール洗浄を行った後、
100℃で乾燥して48gの炭酸カルシウムを得た。こ
の得られた炭酸カルシウムを走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、長径約1〜1.5μm、厚さ0.1〜0.1
5μmの板状結晶であった。
【0046】また、この板状炭酸カルシウムは、窒素吸
着法によるBET比表面積が15.8m2/g、水銀圧
入法により測定される最多確率空隙直径0.3μm且つ
空隙容積1.46ml/gであった。
【0047】実施例1 製造例1で得た板状炭酸カルシウム100重量部に、分
散剤としてポリアクリル酸ソーダ(「アロンT−4
0」、商品名、東亜合成(株)製)1.2重量部を添加
し、ディスパーを用いて水中に均一分散させて固形分濃
度60重量%に調整し、次いで、燐酸エステル化澱粉
(「MS−4600」、商品名、日本食品化工(株)
製)3重量部及びSBRラテックス(「SN−30
7」、商品名、住友エイビーエス(株)製)13重量部
を添加し、十分混合分散して、固形分濃度56重量%の
本発明塗工紙用塗料組成物を得た。
【0048】基紙として上質紙(「金菱」、商品名、坪
量83g/m2、三菱製紙(株)製)を用い、この基紙
に、上記で得られた塗料組成物を、片面の乾燥重量が1
0g/m2になるようにコーティングロッドで手塗り
し、送風乾燥(105℃、1分)し、調湿(20℃、6
5RH%、3時間)した後、チルドロール温度60℃、
ニップ圧60kg/cm、通紙速度20m/分、通紙回
数3回の条件でスーパーカレンダー処理して、本発明の
塗工紙を得た。
【0049】実施例2 実施例1において、製造例1で得た板状炭酸カルシウム
100重量部に代えて、当該炭酸カルシウム10重量%
及び1級クレー(「カオグロス−90」、商品名、白色
度90〜92%、粒子径2μm以下の含有量が90〜9
4重量%、シールカオリン社製)90重量%からなる顔
料100重量部を用い、分散剤の使用量を0.2重量部
とし、ディスパー分散させて固形分濃度70重量%に調
整したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度
56重量%の本発明塗料組成物を得た。
【0050】上記塗料組成物を用いて、実施例1と同様
にして、本発明の塗工紙を得た。
【0051】比較例1 実施例1において、製造例1で得た板状炭酸カルシウム
100重量部に代えて、1級クレー(「カオグロス−9
0」、商品名、白色度90〜92%、粒子径2μm以下
の含有量が90〜94重量%、シールカオリン社製)1
00重量部を用い、分散剤の使用量を0.1重量部と
し、ディスパー分散させて固形分濃度70重量%に調整
したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度5
6重量%の比較用塗料組成物を得た。
【0052】上記塗料組成物を用いて、実施例1と同様
にして、比較用の塗工紙を得た。
【0053】比較例2 実施例1において、製造例1で得た板状炭酸カルシウム
100重量部に代えて、デラミネートクレー(「カオホ
ワイト」、商品名、白色度88〜90%、粒子径2μm
以下の含有量が70%重量以上、シールカオリン社製)
100重量部を用い、分散剤の使用量を0.1重量部と
し、ディスパー分散させて固形分濃度70重量%に調整
したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度5
6重量%の比較用塗料組成物を得た。
【0054】上記塗料組成物を用いて、実施例1と同様
にして、比較用の塗工紙を得た。
【0055】比較例3 実施例1において、製造例1で得た板状炭酸カルシウム
100重量部に代えて、汎用合成炭酸カルシウム(「ブ
リリアント−15」、商品名、粒子径0.15〜0.2
μmの立方体状、長径lと厚みdの比(l/d)約1.
0、窒素吸着法によるBET比表面積12m2/g、白
石工業(株)製)100重量部を用い、分散剤の使用量
を0.6重量部としたこと以外は、実施例1と同様にし
て、固形分濃度56重量%の比較用塗料組成物を得た。
【0056】上記塗料組成物を用いて、実施例1と同様
にして、比較用の塗工紙を得た。
【0057】比較例4 実施例1において、製造例1で得た板状炭酸カルシウム
100重量部に代えて、1級クレー(「カオグロス−9
0」、商品名、白色度90〜92%、粒子径2μm以下
の含有量が90〜94重量%、シールカオリン社製)9
5重量%及び酸化チタン(「A−110−P」、商品
名、堺化学工業(株)製)5重量%からなる顔料100
重量部を用い、分散剤の使用量を0.15重量部とし、
ディスパー分散させて固形分濃度70重量%に調整した
こと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度56重
量%の比較用塗料組成物を得た。
【0058】上記塗料組成物を用いて、実施例1と同様
にして、比較用の塗工紙を得た。
【0059】実施例1〜2及び比較例1〜4の各塗料組
成物の配合成分を、表1に示す。表中の数値は、重量部
を示す。
【0060】
【表1】
【0061】次に、実施例1〜2及び比較例1〜4で得
た各塗工紙の品質について、白色度、不透明度、白紙光
沢度、印刷光沢度、インクセット及びIGTピックの各
試験項目を、下記試験法に基づき、評価した。
【0062】白色度…村上式グロスメーターを使用し、
ブルーフィルターを通過させた光を0°−45°拡散反
射方式にて、反射率(%)として測定した。
【0063】不透明度…村上式グロスメーターを使用
し、グリーンフィルターを通過させた光を0°−45°
拡散反射方式にて、反射率(%)として測定した。
【0064】白紙光沢度…村上式グロスメーターを使用
し、75°−75°鏡面反射方式にて、反射率(%)と
して測定した。
【0065】印刷光沢度…TKハイエコー墨M(0.3
ml)を用い、RI−1型印刷試験機にて印刷し、1晩
シーズニング(20℃、65%RH)後、村上式グロス
メーターを使用し、75°−75°鏡面反射方式にて、
反射率(%)として測定した。
【0066】インクセット…ライトブルーインク57浅
葱藍(0.4ml)を用い、RI−1型印刷試験機にて
印刷し、印刷後の印刷面に白紙を押し当てて、白紙への
インク転移が発生しなくなる時間(sec)を目視で評価
した。
【0067】IGTピック(塗膜強度評価試験)…ピッ
キングテストインクSMX10(TV=10)を用い、
IGT印刷適性試験機にて、印刷印圧35kg/cmの
条件で印刷し、印刷紙片の印刷始めから紙剥けが始まっ
た所までの長さを測定し、換算表から数値化して評価し
た。この数値が高い程、塗工層の表面強度が高いことを
示す。
【0068】上記試験結果を、表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】表2から明らかなように、塗工顔料として
本発明特定の板状炭酸カルシウムを用いた塗工紙はイン
クセットが早いにもかかわらず高い印刷光沢度と白色度
を示し、又優れた不透明度を有する(実施例1及び
2)。
【0071】これに対して、塗工顔料として1級クレー
を用いた塗工紙は、印刷光沢度、白色度及び不透明度が
明らかに劣っている(比較例1)。デラミネートクレー
を用いた塗工紙は、実施例1に近いレベルの印刷光沢度
を与えるが、インクセットが著しく遅く、又白色度、不
透明度もかなり劣る(比較例2)。
【0072】また、塗工顔料として、汎用合成炭酸カル
シウムを用いた塗工紙は、実施例1と同等の白色度、不
透明度を示し、実施例1よりやや早いインクセットを有
するが、印刷光沢度が低い(比較例3)。
【0073】一方、塗工顔料として1級クレーを用いた
比較例1の塗工紙において、白色度及び不透明度の改善
を目的として、1級クレーと酸化チタンを併用した比較
例4の塗工紙は、実施例2と同等の白色度及び不透明度
を示している。従って、実施例2と比較例4との比較か
ら、本発明特定の炭酸カルシウムは、白色度及び不透明
度に関して、酸化チタンの1/2の性能を有することが
判る。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、印刷適性及び光学特性
がいずれも向上している印刷用塗工紙、並びに、上記塗
工紙用として好適な塗工紙用塗料組成物が提供されると
いう顕著な効果が得られる。より具体的には、特に、イ
ンクセットが早いにもかかわらず高い印刷光沢度を与
え、同時に高い白色度と不透明度を備えた印刷用塗工紙
を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 隆生 京都府相楽郡加茂町南加茂台4丁目9番12 号 (72)発明者 松田 紀昭 兵庫県西宮市甲子園7番町17番28号 Fターム(参考) 4L055 AG12 AG27 AG48 AG63 AG76 AG94 AG97 AH02 AH37 AJ04 EA16 EA17 EA18 FA12 FA15 GA19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基紙上に、バインダー及び無機顔料を含有
    させてなる塗料を塗布してなる塗工紙であって、該無機
    顔料が、粒子径0.5〜5μm、長径lと厚みdの比
    (l/d)5以上、窒素吸着法によるBET比表面積5
    2/g以上、水銀圧入法により測定される最多確率空
    隙直径0.1〜1.0μm且つ空隙容積0.7ml/g
    以上である板状炭酸カルシウムであることを特徴とする
    印刷用塗工紙。
  2. 【請求項2】板状炭酸カルシウムの粒子径が、1〜3μ
    mである請求項1に記載の塗工紙。
  3. 【請求項3】板状炭酸カルシウムの長径lと厚みdの比
    (l/d)が、7〜50である請求項1に記載の塗工
    紙。
  4. 【請求項4】板状炭酸カルシウムの窒素吸着法によるB
    ET比表面積が、5〜30m2/gである請求項1に記
    載の塗工紙。
  5. 【請求項5】板状炭酸カルシウムの水銀圧入法により測
    定される最多確率空隙直径が0.3〜0.6μmで且つ
    空隙容積が1.0〜3.0ml/gである請求項1に記
    載の塗工紙。
  6. 【請求項6】バインダー及び無機顔料を含有させてなる
    塗料組成物であって、該無機顔料が、粒子径0.5〜5
    μm、長径lと厚みdの比(l/d)5以上、窒素吸着
    法によるBET比表面積5m2/g以上、水銀圧入法に
    より測定される最多確率空隙直径0.1〜1.0μm且
    つ空隙容積0.7ml/g以上である板状炭酸カルシウ
    ムであることを特徴とする塗工紙用塗料組成物。
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