JP3575116B2 - 印刷用紙及びその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、印刷用紙及びその製造法に関する。具体的には紙の地合いが良く、物理強度特性と不透明性が良く、かつオフセット印刷適性またはグラビア印刷適性に優れた、支持体原紙表面にクリヤーサイズ塗布層が設けられた印刷用紙及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、製品の差別化・高級化の波に乗り、カタログやチラシなどの商業印刷の多色印刷化が急速に進んだこと、また、ダイレクトメール用紙など、低い郵便料金でできるだけ多くの情報を伝えようと、より薄物でより印刷効果の良い用紙が求められるようになってきている。これらの用途の印刷用紙は、オフセット印刷の作業性、印刷面品質に優れ、かつ軽量で不透明度の高いもの等、各種のニーズに対応して、バランス良く品質設計する必要がある。
【0003】
特開昭52−14668号公報の「多孔性ポリアミド粉状体の製造法」において、多孔性ポリアミド粉状体は吸着剤として極めて好ましい性質を有し、最も有用な用途は植物性飲料中のポリフェノール類の吸着除去であると記載されている。その際、ポリアミド粉状体の形状が重要であり、電子顕微鏡写真によれば多孔性であり、その表面には無数の細孔が生じているため、単位重量当たりの表面積が大きくなっていると記載されている。この多孔性ポリアミド粉状体によるポリフェノール類の吸着除去の一方法として、多孔性ポリアミド粉状体を晒亜硫酸パルプと混合分散し、手抄き式抄紙機で抄紙し、103℃で3時間乾燥して濾紙様シートを作成したと記載されている。
【0004】
また、「高機能紙の開発と応用」(シーエムシー、1988年)の中で、濾紙は流動体(液体や気体)中の微粒子が繊維上(表面濾過)または繊維間(内部濾過)に保留され、流動体が通過しやすいように空隙が多くなっており、シートを構成する繊維の物性、圧搾やシートの厚さ等を調整することにより各種の保留粒子径の濾紙が作られるという記載がある。特に、ビール、ウイスキー、ブドウ酒、清酒等の飲料の仕上げ濾過には3〜5mmの内部濾過型濾過剤が用いられ、内部濾過を主目的としている濾過板の製造の場合、抄紙時の吸引脱水を強く、圧搾はごく軽く、おだやかな乾燥を行うと記載されているように、通常濾紙の製造においては、乾燥後にカレンダー処理することはない。
【0005】
従って、前述したような多孔性ポリアミド粉状体を内部添加した濾紙様シートの作成において、その中にカレンダー処理についての記載は無く、濾紙様シート中での多孔性ポリアミド粉状体の形状についての記載もない。仮にカレンダー処理していたとしても、多孔性ポリアミド粉状体は潰され、その表面積は小さくなりポリフェノール類の吸着効率を下げることになるので濾紙としての目的には適さない。
【0006】
このようなカレンダー処理しない濾紙様シートは表面が粗く、表面強度も劣るため印刷面品質が劣り、印刷用途には適さない物であった。
【0007】
一般に、無機または有機の填料を含む塗工層を支持体原紙上に設けない、いわゆる非塗工紙において印刷面品質を改善するためにマシンカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置で表面処理が行われている。これらの処理によって光沢度、平滑度を向上させることは可能であるが、その反面、強い処理条件で表面処理すると支持体原紙を構成するパルプ繊維が折られたり、パルプ繊維間の結合、絡み合いが破壊されることによって支持体原紙表面の繊維が損傷するため、表面強度は低下し、オフセット印刷機で印刷した際に紙むけがおきたり、印刷機のブランケットに付着あるいは堆積して印刷面品質を損なうという問題があった。
【0008】
この支持体原紙上の表面強度を向上させるためには、二本ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルブレードコーター等の塗工機でポリビニルアルコール、デンプン、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエン共重合体等のサイズ塗布液を塗布することが一般に行われている。
【0009】
しかし、これらのサイズ塗布液を塗布した場合には、光沢度、平滑度が向上しにくくなることが多く、表面強度は向上するが、カレンダー処理を強化するにつれて表面強度が低下する傾向にあることに変わりはない。また、これらのサイズ塗布液を多量に塗布すると、不透明度の低下、引っ張り強度の低下を伴うので、サイズ塗布液の塗布だけでは目的が達成できない。
【0010】
一方、カレンダー処理を実施する支持体原紙において、光沢度、平滑度を向上させる方法としてはタルク、クレー、炭酸カルシウム、含水ケイ酸塩等の無機填料、尿素ホルマリン樹脂、ポリスチレン等の合成樹脂からなる有機填料を紙に内添させることにより、同一のカレンダー処理条件においても光沢度、平滑度を向上させることは可能であるが、その反面これらの填料はパルプ繊維との結合力が弱いため紙の引張り強度、引裂き強度、印刷時の表面強度が著しく低下してしまうという問題があった。
【0011】
そこで、填料併用系において、紙の強度を損なうこと無く、不透明性を上げ、さらには湿時表面強度の向上、インキの着肉性や裏抜けの改善などのオフセット印刷適性のある紙内部添加剤の開発が望まれていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、填料を含む塗布層を支持体原紙上に設けることなく、クリヤーサイズ塗布層のみを支持体原紙上に設け、紙の物理強度特性と光学特性を改善し、かつオフセット印刷適性またはグラビア印刷適性に優れた印刷用紙を提供することである。また、このような印刷用紙の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、パルプ、填料を主体とした原質中に、ポリアミド樹脂を金属塩−有機溶媒の溶剤に溶解した後、先の有機溶媒、先の有機溶媒と均一に混合する他の有機溶媒及び水から選択される1以上を加えることによって白色不透明のポリアミド樹脂粒子を沈殿させ、さらに水で洗浄して金属塩及び有機溶媒を除去することにより製造した多孔性ポリアミド樹脂粒子を2〜20重量%含有した原質から構成される支持体原紙上に、クリヤーサイズ塗料を少なくとも片面に0.2〜2g/m塗布することにより強度特性と光学的特性がよく、平滑性が向上し、オフセット印刷適性に優れた印刷用紙が得られることを見出し、本発明に至った。
【0014】
本発明に係るポリアミド樹脂粒子の製造法は、原料としてのポリアミド樹脂を金属塩−有機溶媒の溶剤に溶解した後に、この溶液に、先の有機溶媒、先の有機溶媒と均一に混合する他の有機溶媒及び水から選択される1以上を加えることによって白色不透明のポリアミド樹脂粒子を沈殿させ、さらに水で洗浄して金属塩及び有機溶媒を除去することを特徴とする。このようにして得られたポリアミド樹脂粒子は、パルプスラリーに添加するときは、水分散スラリー状とすることが望ましいが、保存や運搬に備えて乾燥状態とすることもできる。
【0015】
ポリアミド樹脂は、一般にナイロンと称されているが、繊維をはじめとしてプラスチック成形品やフィルム等として幅広く利用されている。本発明に用いるポリアミド樹脂粒子の原料としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46などのナイロン単独、またはこれらのナイロン2種以上の組合せからなるナイロン共重合体でも良く、またこれらの混合物であっても良い。未成形の樹脂に限らずその成形加工の際に出る繊維屑などの廃棄物、不良成形品であっても、原料として用いることができる。原料としてのナイロンは透明体であっても用いることができ、たとえ本発明の製造法によって得られるポリアミド樹脂粒子が白色不透明体にならない場合にも、他のナイロンと均一に混合溶解して用いたときに、結果としてポリアミド樹脂が白色不透明体になるのであれば良い。また、原料とするナイロンの重量平均分子量についても特に制限はない。
【0016】
次に、ポリアミド樹脂粒子の製法について説明する。ポリアミド樹脂粒子は粉体塗料、吸着剤、化粧品基剤、焼結成形品等の原料として工業的に大きな価値を有しており、その製造方法は種々提案されている。▲1▼モノマーから所望の粒径の重合体を得る重合法、▲2▼樹脂を原料とする機械的粉砕法、▲3▼樹脂を原料とするノズル吹き出しによる粉砕法、及び▲4▼樹脂を原料とする化学的処方により微粒子を得る方法があるが、製法により得られるポリアミド樹脂粒子の形状、大きさ、粒径等が異なるため、目的に合わせて製造されている。上記製造法で得られるポリアミド樹脂粒子の形状のほとんどが、球形または球形に近い塊状の粒子であり、例えば、化粧品基剤では粒径20μm以下で、球形か球形に近い形状のものが好まれて使用されている。機械的に粉砕する方法では不定形のものが得られるが、粒径が100μm以上であり、20μm以下の微粒子は得られない。上記従来の製法によるポリアミド樹脂粒子は、仮にパルプスラリーと混合抄造しても、得られる紙はその強度において向上が見られず、また、多くのものは紙の白色度も低下させてしまう。
【0017】
本発明によって製造されるポリアミド樹脂粒子は、白色又は白濁した不透明性であり、以下のように製造する。
【0018】
まず、金属塩を有機溶媒Aに溶解した後、原料となるポリアミド樹脂を加え、室温下、十分撹拌し、分散もしくは膨潤させたのち、溶解して得た原液組成物に有機溶媒A、有機溶媒Aと均一に混合する前述の有機溶媒及び水のうちの1以上を加えてポリアミド樹脂粒子を沈殿させる。その後、大量の水で洗浄し、上澄液を除き、金属塩と有機溶媒がなくなるまで水で洗浄を繰り返して白色の不透明性ポリアミド樹脂粒子のスラリーを得る。この粒子は多孔質の不定形な微粒子である。
【0019】
ポリアミド樹脂粒子スラリーはポリアミド樹脂粒子の水懸濁物のことであり、分散剤を加えずとも水中で均一に分散するので、そのままパルプスラリーと混合撹拌して抄紙することができる。製紙用添加剤として用いるポリアミド樹脂粒子は、その使用する紙の目的に合わせて、適時、粒子を製造する工程、若しくは後工程としてのスクリーン工程において粒度制御が可能である。通常の抄紙工程で使用する際には、歩留り、及び紙の強度向上の効果の点から、ポリアミド樹脂粒子は平均粒径3〜20μm、70%以上の粒度分布1〜30μmであることが好ましい。また、得られたポリアミド樹脂粒子スラリーを一度濾過し、乾燥させても良く、この場合には、ミキサーなどの粉砕機を用いて水中で粉砕してふるい分けすることにより、所望の粒径のポリアミド樹脂粒子スラリーを得ることができ、パルプスラリーと混合撹拌して同様に抄紙することができる。
【0020】
なお、上記ポリアミド樹脂の溶解工程において、溶解効率を上げるためには、加熱することが望ましい。この場合、沈殿の工程は室温に戻した後に行なうことが好ましい。
【0021】
ポリアミド樹脂の比重は、ナイロン6及びナイロン66で1.14、ナイロン610では1.09と非常に軽く、水の比重と同等であり、パルプの比重(LBKPでは1.45)よりもやや軽い。また、ポリアミド樹脂粒子は水には溶解しないが、吸湿性があって水和力が高いのでポリアミド樹脂粒子同志の凝集は起こりにくい。そして上記製法によって得られるポリアミド樹脂粒子は多孔質の不定形粒子であり、沈降速度が遅いために水中で均一に分散し、パルプスラリー中でパルプと均一に分散することができる。
【0022】
ポリアミド樹脂の濃度は有機溶媒−金属塩の溶剤に均一に溶解する濃度以下であり、好ましくは0.5〜15重量%である。さらに好ましくは1〜5重量%である。
【0023】
上記の有機溶媒は、以下に述べる金属塩を溶解することができ、しかも、その金属塩との混合系においてポリアミド樹脂の溶解が可能で、さらにポリマーの分解の原因となる活性プロトンを有しないものであればよい。例えば、アルコール類、ラクタム類、アミド化合物、ウレア化合物、イミド化合物及びエーテル化合物等が挙げられ、これらの中でナイロンの溶解性の観点から好ましいのは、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクタムであり、さらに特に好ましくはメタノールである。
【0024】
また、金属塩は周期率表でIA,IIA,IIB族のハロゲン化塩、過ハロゲン酸塩及びチオシアン酸塩が挙げられ、これらの中でリチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛のハロゲン化塩または過ハロゲン酸塩、及びリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムのチオシアン酸塩が好ましく、さらに塩化カルシウムが最も好ましい。また、添加される塩の量は有機溶媒に溶解する飽和量以下であればよく、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは30〜40重量%である。
【0025】
また、ポリアミド樹脂粒子の添加効果を阻害しないものであれば、必要に応じて種々の製紙用添加剤をポリアミド樹脂粒子スラリー中に混合しても良い。例えば、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド等の水溶性の高分子化合物やこれらの変性物、スチレン・アクリル共重合物、スチレン・マレイン酸共重合物、メラミン樹脂、尿素樹脂等の高分子化合物やこれらの変性物等が挙げられる。
【0026】
次に、本発明に係る印刷用紙の製造法は、上記方法で得られたポリアミド樹脂粒子をパルプと填料を主体としたスラリー中に添加し、均一に分散して紙料を調整し、この紙料を常法に従って抄造した支持体原紙上にクリヤーサイズ塗料を塗布し、カレンダー処理することを特徴とする。なお、ポリアミド樹脂粒子をパルプスラリーに添加した後、カチオン系又は両性系の歩留り向上剤を添加して紙料を調整することが望ましい。また、ポリアミド樹脂粒子が平均粒径3〜20μm、70%以上の粒度分布1〜30μmに調整してあることが望ましい。
【0027】
本発明で使用するパルプとしては、針葉樹(N材)、広葉樹(L材)の未漂白または漂白されたクラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、半化学パルプ(SCP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、グランドパルプ(GP)、脱墨古紙パルプ(DIP)等のパルプが用いられる。これらのパルプは抄造される紙種の要求物性によって種々選択され、組み合わされて使用される。
【0028】
本発明において使用する支持体原紙は、前記パルプを配合して従来公知の抄紙機でパルプスラリーに、ポリアミド樹脂粒子を添加、タルク、炭酸カルシウム、クレー、含水ケイ酸塩等の無機填料、尿素ホルマリン樹脂、ポリスチレン等の合成樹脂からなる有機填料有機填料を添加し、必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤、顔料、着色剤、蛍光染料、消泡剤およびその他の製紙用薬品を添加し、酸性紙または中性紙として抄造される。
【0029】
上記抄造方法で抄紙されたポリアミド樹脂粒子を含有した支持体原紙は、ポリアミド樹脂粒子を含有しない支持体原紙と比べて地合いが良くなる。支持体原紙のポリアミド樹脂含有量については、乾燥後の紙においてパルプに対して2〜20重量%、更に好ましくは4〜10重量%とする。含有量が2%より少なければ十分な紙力増強効果や印刷時のインキ着肉性等が得られず、20%より多ければ紙の腰が弱くなる傾向が見られる。
【0030】
坪量は20〜100g/m、好ましくは30〜80g/m程度とするのが良い。坪量が小さすぎれば紙の強度は低下し、大きすぎればポリアミド樹脂粒子添加の如何に拘らず、十分な強度が得られる。
【0031】
支持体原紙上には、さらにクリヤーサイズ塗布層が設けられるが、この塗布層は、デンプン、酸化デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプン、カチオン化デンプン、酵素変性デンプン等の変性デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレンアクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル等から選ばれるバインダーを含む水溶液、または水性ラテックスの状態で塗布される。
【0032】
そして、その塗布量としては支持体原紙上に少なくとも片面に0.2〜2g/m塗布される。紙の両面に塗布する場合、それぞれ0.2〜2g/mになるように塗布する必要があり、好ましくは0.3〜1.5g/mの範囲で塗布される。
【0033】
またクリヤーサイズ塗布液には分散剤、流動変性剤、染料、消泡剤、滑剤、耐水化剤、架橋剤等の各種助剤を必要に応じて適宜配合することも可能である。
【0034】
クリヤーサイズ塗布液は、従来公知の2本ロールサイズプレス、エアーナイフコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、あるいはブレードコーター、さらにはビルブレード、ツインブレード、ショートドウェルブレード等の各種の塗布装置でオンマシンまたはオフマシンで塗布される。
【0035】
また、クリヤーサイズ塗布紙を各種印刷品質に応じてマシンカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置で塗布面の処理をする必要があるが、通常はマシンカレンダーで所望の紙厚、平滑度、光沢度の紙になるようなニップ圧で処理され、好ましくは10〜120kg/cmであり、さらに好ましくは30〜100kg/cmである。このようなニップ圧でカレンダー処理された支持体原紙は平滑度が向上し、パーカー・プリント・サーフ・ラフネスが2〜5μmの範囲の印刷用紙が得られる。
【0036】
また、パルプにLBKPまたはLBKPを主体としたものを使用したクリヤーサイズ塗布紙では、上記カレンダー処理によってパーカー・プリント・サーフ・ポロシティが100〜500mlの用紙が得られる。
【0037】
特に、紙に光沢を付与したいときは、さらにスーパーカレンダーで所望の光沢度になるようなニップ圧で処理される。スーパーカレンダーのニップ圧として、120〜300kg/cmが好ましく、さらに好ましくは180〜250kg/cmである。
【0038】
カレンダー処理する際に加熱したカレンダーロールを使用するとさらに光沢度、平滑度が改善される。カレンダーロールの温度として、20〜100℃が好ましく、さらに好ましくは30〜80℃である。
【0039】
また、品質設計に応じて、白色度、不透明度、平滑度、表面強度、光沢度を得るために、パルプ配合、填料配合、クリヤーサイズ配合、カレンダー処理条件を適宜変えることができる。
【0040】
上記方法で製造されたポリアミド樹脂粒子を含有し、クリヤーサイズ塗布し、カレンダー処理した紙は、ポリアミド樹脂粒子を含有しない紙と比べると密度がやや大きくなり、引張強さ、破裂強さ、耐折強さ等の強度が向上する。また、平滑度や透気度も向上する。この理由として、電子顕微鏡写真で観察するとポリアミド樹脂粒子が支持体原紙を構成するパルプ繊維間や隙間に存在し、カレンダー処理によりポリアミド樹脂粒子が潰されて伸びたアメーバ状になるため、単位面積当たりの空隙が小さくなり、繊維間結合強度が増していることがわかった。
【0041】
加えて、ポリアミド樹脂粒子が多孔質の白色不透明性であるので、白色度、不透明度等の光学的特性も向上し、印刷時のインキ着肉性が良くなる。
【0042】
また、本発明においては、ポリアミド樹脂粒子の歩留りを考慮すると、併せてカチオン系又は両性系の歩留り向上剤を使用することが望ましい。パルプスラリーに対する添加の順序はいずれを先にすることも又同時に添加することも可能であるが、先ず、パルプスラリーにポリアミド樹脂粒子を混合して撹拌した後、カチオン化ポリアクリルアミド系樹脂、カチオン化デンプン等の歩留り向上剤を添加することによって、ポリアミド樹脂粒子の歩留りは向上し、製造されるポリアミド樹脂粒子含有紙の強度は一層優れたものになる。
【0043】
歩留り向上剤としては、カチオン性のポリアクリルアミド系樹脂、又は両性の樹脂、ポリエチレンイミン又はその誘導体、カチオン性又は両性デンプン等が使用される。
【0044】
カチオン性ポリマーにおけるカチオン性官能基は3〜15モル%であり、両性ポリマーにおけるカチオン性官能基は5〜35モル%、アニオン性官能基は3〜15モル%である。なお、官能基のモル%とは、(共)重合体中においてその官能基が結合している単量体単位のモル数の全単量体単位モル数に対する百分率を表す。
【0045】
歩留り向上剤の添加量は、通常パルプに対してカチオン化デンプンなら0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜2.0重量%であり、カチオン化ポリアクリルアミドなら50〜500ppm、好ましくは100〜300ppmである。
【0046】
【作用】
紙の強度はパルプ繊維間に生ずる単位体積当りの水素結合の数と関係が深いと言われている。一般に、無機填料を含有する紙はパルプ繊維間に填料が存在し、繊維間水素結合の形成を阻害し、しかも無機填料とパルプ繊維間には水素結合が発生しずらいことにより、強度が低くなる。また、ポリアクリルアミド系樹脂や澱粉系等の水溶性高分子は水素結合を生ずることができる距離まで接近できなかったパルプ繊維間に介在して、パルプ繊維−水溶性高分子−パルプ繊維の直接的水素結合および間接的水素結合を形成し、単位体積当りの水素結合数を増加することにより紙力の増強を図ると言われている。
【0047】
本発明のポリアミド樹脂粒子は、酸アミド結合−NHCO−を有する線状高分子であり、このアミド基がパルプ繊維と水素結合を形成しうること、パルプ繊維とポリアミド樹脂粒子が水素結合を形成しうるまで接近していない場合はその間にポリアクリルアミド系樹脂あるいは澱粉等が介在して直接的かつ間接的な結合を生じていること等により、紙力増強作用も高いものと推測される。
【0048】
特にポリアミド樹脂を金属塩−有機溶媒の溶剤に溶解して得た原液組成物に、前記有機溶媒か前記有機溶媒と均一に混合する他の有機溶媒もしくは水のうちの1以上を加えてポリアミド樹脂を粒子状に沈殿させ、これを水で洗浄して金属塩および有機溶媒を除去して得られるポリアミド樹脂粒子のスラリーを使用した場合、このポリアミド樹脂粒子は、紙料中でパルプ繊維と均一に分散される。その理由として、この粒子の比重がパルプ繊維の値と同等であること、粒子の平均粒径が約5〜20μmであること、そして粒子が多孔質の不定形であるため、比表面積が大きく、水和しやすい形状であることが挙げられ、本発明の製造法によるポリアミド樹脂粒子のスラリーは、抄紙用途に最適な形状および特性を有している。
【0049】
上記紙料を用いて常法に従って抄造し、乾燥後、カレンダー処理した紙を電子顕微鏡で観察すると、ポリアミド樹脂粒子は紙層中で100〜200μmの大きさの不定形のアメーバ状となって広がっている。このようにポリアミド樹脂粒子はスラリー中では平均粒径が5〜20μmであり、パルプ繊維と紙層を形成する際にパルプ繊維間に均一に保持されるが、常法に従ってプレスを行う工程やカレンダー処理する工程でポリアミド樹脂粒子はつぶされて四方に伸び、表面積を増大させたアメーバ状の形態をとってパルプ繊維相互間に広がり、さらに脱水していく過程でパルプ繊維と強力な水素結合を形成するだけでなく、多数のパルプ繊維を束ねることにより、紙の強度を増大するものと考えられる。また、パルプ繊維相互間にポリアミド樹脂粒子が跨がって存在することは、つまり紙の隙間を埋めることにもなり、紙の平滑度、透気度が向上し、表面強度が改善され、インキ着肉性が良くなる。
【0050】
また、上記紙料を用いて常法に従って抄造した支持体原紙は地合いが良くなる。地合いは紙の最も基本的な品質であり、印刷用紙は地合いのよいことが必要条件であり、それによって印刷作業性や印刷面品質の均一性が確保される。地合いの悪い紙の場合、パルプ繊維がフロックを作り不均一に分布しているので、紙の表面にはマクロな凹凸があるが、そのため紙力が落ち光沢もむらになり、インキの吸収や着肉も不均一となって、画像の再現性が悪くなる。地合いが良いというのは、その紙表面のマクロな凹凸が少なく、紙を光に透かしてみたとき雲のようなムラムラ等の模様が見えずに曇りガラスのように均一に見える状態を言う。本願発明においては、多孔質のポリアミド樹脂粒子とパルプ繊維を均一に分散することによりパルプ繊維のフロックの形成が減少し、地合いが良くなるとが考えられる。
【0051】
紙の強度は、使用するパルプの叩解度(フリーネス)によって大きく影響を受ける。パルプの叩解度を高くする、つまりパルプ繊維を叩いてフィブリル化を進めると紙の強度はかなり大きくなるが、上記したように、本発明のポリアミド樹脂粒子添加による紙層中での機能を考えると、パルプの叩解度を高くしてやることにより、ポリアミド樹脂粒子はより多数のパルプ繊維間に跨がることが可能になるので、さらに紙の強度は大きくなり、特に耐折強さが格段に大きくなる。また、平滑度もかなり向上する。
【0052】
上記した製法によってポリアミド樹脂を金属塩−有機溶媒の溶剤に加熱溶解した後に沈殿させて得られるポリアミド樹脂粒子は多孔質で白色又は白濁の不透明体であるために、パルプと混合抄紙した紙は、白色度、不透明度が損なわれることなく、パルプの種類によってはむしろ向上する。この点は紙力増強剤として通常用いられる澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が乾燥後に透明体となり、紙の不透明性を低下させることを考えると大きく異なる点である。
【0053】
ポリアミド樹脂粒子を含有した支持体原紙の抄造に際して、歩留り向上剤を使用するとポリアミド樹脂粒子の紙中定着率が向上する。また、ポリアミド樹脂粒子は平均粒径5〜20μmで70%以上の粒度分布が3〜30μmでスラリー中に分散していると、パルプ繊維との均一な分散に適する。
【0054】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の例において、特に断らない限り、部及び%はすべて重量基準である。また、各種測定及び算出方法は下記要領に従って行なった。◎・粒度分布及び平均粒径;光散乱方式の粒度分布計マスターサイザー(MALVERN社製)を用いて、0.1%濃度のスラリーを測定。
・紙中の粒子の量;粒子、粒子含有紙、粒子非含有紙の窒素含有量をキエルダール法により求め、窒素含有量を該粒子含有量に換算して、乾燥パルプ100部に対する含有量を算出。
・坪量;JIS(P−8124)に準じて測定。
・厚さ;JIS(P−8118)に準じて測定。
・白色度;JIS(P−8123)に準じてブルーフィルターを用い、ハンター白色度計にて測定。
・不透明度;JIS(P−8138)に準じて測定。
・裂断長;JIS(P−8113)に準じて引張強度を測定後、算出。
・パーカー・プリント・サーフ・ラフネス;ISO8791に則り、ラバーのバッキングディスクを使用してクランプ圧力20kg/cmで測定。
・パーカー・プリント・サーフ・ポロシティ;測定ヘッドを透気度測定用ヘッドに変えた以外はパーカー・プリント・サーフ・ラフネスと同様にして測定。◎
・地合変動係数;透過光法による地合計を使用し、地合の評価尺度には濃度の変動係数を用いた。
・白紙光沢度;JIS(P−8142)に準じて測定。
・表面強度;プリュフバウ多目的印刷試験機を使用し、タックのインキを印刷し、ピッキングの程度を目視判定。(5段階評価、優=5、劣=1)
<テスト条件> 温度23℃、湿度50%
インキ 東洋インキ
印刷版 ゴムブランケット版
印圧 15N/m
印刷速度 2.5m/sec
湿し水 15μl(イソプロパノール10%水溶液)
・インキ着肉性;プリュフバウ多目的印刷試験機を使用し、オフ輪用インキ250μlを紙サンプル5枚にインキの刷り減らしで順次印刷し、版上インキ量が3g/mの時のインキ転移率%を測定。
<テスト条件> 温度23℃、湿度50%
インキ 東洋インキ
印刷版 メタル版
印圧 25N/m
印刷速度 1.5m/sec
・印刷光沢度;大蔵省印刷局グラビア印刷試験機で青色印刷した後、印刷ベタ部の光沢度を光沢度計を用いてJIS(P−8142)に準じて測定した。
【0055】
[実施例1]
メタノール56kgに塩化カルシウム・2水塩24kgを室温で撹拌溶解し、30重量%塩化カルシウム/メタノールの混合溶媒を得た。
3kgの未延伸のナイロン66繊維を上記混合溶媒80kg中に加え、室温下撹拌して溶解した。これにメタノール120kgを徐々に加え、撹拌するとナイロン粒子がゆっくりと析出した。1時間ゆるやかに撹拌した後、濾過を行い、乾燥させることなく大量の水で洗浄し、上澄液中に塩化カルシウムが検出されなくなるまで水洗した。100メッシュのワイヤーを使用して濾過を行い、平均粒径10.3μm、70%以上の粒度分布3.2〜22.6μmの多孔質の不定形ナイロン66粒子(2.5kg)のスラリーを得た。
得られたナイロン粒子10部、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F.)330mlに叩解したLBKP90部、軽質炭酸カルシウム15部、タルク10部、カチオン性デンプン1.0部、エマルジョン型ロジンサイズ剤0.15部、硫酸バンド0.5部を添加した濃度2%のパルプスラリーを上質紙が抄造可能な抄紙機を用いて支持体原紙を抄造した。続いて、酸化デンプン(日本コーンスターチ(株)製 SK20)とポリビニルアルコール(電気化学工業(株)製 デンカポバールK17)を重量比8:2に混合して蒸煮した混合液を6%濃度に調整し、オンマシンで2本サイズプレスロールを用いて両面の塗布量が2g/mになるように塗布し、全ニップ圧40kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量66g/m、厚さ80μm、灰分12.6%、ナイロン粒子8.2%のクリヤーサイズ塗布紙を得た。なお、全ニップ圧とは紙に加重される各ロールのニップ圧の合計をいう。
得られた塗布紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表1に示す。
【0056】
[比較例1]
実施例1で抄造した支持体原紙にサイズプレス液を塗布せずに、また、カレンダー処理も行わずに、坪量65g/m、厚さ101μm、灰分12.6%、ナイロン粒子8.2%の紙を得た。
得られた紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表1に示す。
【0057】
[比較例2]
実施例1で抄造した支持体原紙にサイズプレス液を塗布せずに、全ニップ圧40kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量67g/m、厚さ82μm、灰分12.6%、ナイロン粒子8.2%の紙を得た。
得られた紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表1に示す。
【0058】
[比較例3]
C.S.F.330mlに叩解したLBKP100部、軽質炭酸カルシウム15部、タルク10部、カチオン性デンプン1.0部、エマルジョン型ロジンサイズ剤0.15部、硫酸バンド0.5部を添加した濃度2%のパルプスラリーを上質紙が抄造可能な抄紙機を用いて支持体原紙を抄造した。続いて、実施例1と同じサイズプレス液を両面の塗布量が2g/mになるように同様にして塗布し、全ニップ圧40kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量66g/m、厚さ78μm、灰分13.0%のクリヤーサイズ塗布紙を得た。
得られた塗布紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表1に示す。
【0059】
[比較例4]
C.S.F.330mlに叩解したLBKP90部、C.S.F.600mlに叩解したNBKP10部、軽質炭酸カルシウム15部、タルク10部、カチオン性デンプン1.0部、エマルジョン型ロジンサイズ剤0.15部、硫酸バンド0.5部を添加した濃度2%のパルプスラリーを上質紙が抄造可能な抄紙機を用いて支持体原紙を抄造した。続いて、実施例1と同じサイズプレス液を両面の塗布量が2g/mになるように同様にして塗布し、全ニップ圧40kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量66g/m,厚さ79μm、灰分13.2%のクリヤーサイズ塗布紙を得た。
得られた塗布紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表1に示す。
【0060】
表1の結果が示すように、多孔質の不定形ナイロン66粒子を内部添加した支持体原紙にクリヤーサイズ塗布層を設けずに、カレンダー未処理の紙(比較例1)ではPPSラフネス(表面粗さ)が悪く、表面強度、インキ着肉性とも悪く、オフセット印刷適性は劣っていた。次に、クリヤーサイズ塗布層を設けずに、カレンダー処理をした紙(比較例2)ではPPSラフネスは改善され、インキ着肉性は良くなったが、表面強度は悪かった。これに対し、本発明の多孔質の不定形ナイロン66粒子を内部添加した支持体原紙にクリヤーサイズ塗布層を設け、カレンダー処理をした紙(実施例1)は、PPSラフネスはさらに良くなり、インキ着肉性も良くなり、表面強度が改善され、オフセット印刷適性の優れた印刷用紙が得られた。また、ナイロン66粒子を内部添加しなかった紙(比較例3及び比較例4)に比べてもPPSラフネス、表面強度およびインキ着肉性が良くなった。さらに、地合が良く、裂断長が強くなった上に、白色不透明度が良くなった。
従って、印刷面品質に優れたオフセット印刷適性のある印刷用紙を得るには、クリヤーサイズ塗布層を設け、カレンダー処理をする必要がある。さらに本発明のように支持体原紙中に多孔質のポリアミド樹脂粒子を内部添加することにより、さらに表面強度およびインキ着肉性が良くなった上に、紙の地合が良くなり、強度物性および光学的物性にも優れた、平滑性の高い印刷用紙を製造することができた。
【0061】
【表1】
Figure 0003575116
[実施例2]
メタノール56kgに塩化カルシウム・2水塩37kgを室温で撹拌溶解し、40重量%塩化カルシウム/メタノールの混合溶媒を得た。
4.6kgの延伸したナイロン66繊維の廃棄物を上記混合溶媒93kg中に加え、室温下1日放置し膨潤させた後、40℃で加熱撹拌して溶解した。室温に戻した後、これにメタノール200kgを徐々に加え、撹拌するとナイロン粒子がゆっくりと析出した。1時間ゆっくり撹拌した後、濾過を行い、乾燥させることなく大量の水で洗浄し、上澄液中に塩化カルシウムが検出されなくなるまで水洗した。100メッシュのワイヤーを使用して濾過を行い、平均粒径12.0μm、70%以上の粒度分布3.8〜27.4μmの多孔質の白色不定形ナイロン66粒子(3.6kg)のスラリーを得た。
得られたナイロン粒子10部、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F.)250mlに叩解したLBKP90部、タルク8部、両性デンプン0.6部、エマルジョン型ロジンサイズ剤0.5部、硫酸バンド0.6部を添加した濃度2%のパルプスラリーを上質紙が抄造可能な抄紙機を用いて支持体原紙を抄造した。続いて、蒸煮した酸化デンプン(日本コーンスターチ(株)製 SK20)8%濃度に調整し、オンマシンでゲートロールコーターを用いて両面の塗布量が0.8g/mになるように塗布し、全ニップ圧87kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量62g/m、厚さ81μm、灰分5.1%、ナイロン粒子7.5%のクリヤーサイズ塗布紙を得た。
得られた塗布紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表2に示す。
【0062】
[比較例5]実施例2で抄造した支持体原紙にサイズプレス液を塗布せずに、全ニップ圧87kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量59g/m、厚さ75μm、灰分5.1%、ナイロン粒子7.5%の紙を得た。得られた紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表2に示す。
【0063】
[比較例6]
C.S.F.250mlに叩解したLBKP90部、C.S.F.600mlに叩解したNBKP10部、タルク8部、両性デンプン0.6部、エマルジョン型ロジンサイズ剤0.5部、硫酸バンド0.6部を添加した濃度2%のパルプスラリーを上質紙が抄造可能な抄紙機を用いて支持体原紙を抄造した。続いて、実施例2と同じサイズプレス液を両面の塗布量が0.8g/mになるように同様にして塗布し、全ニップ圧87kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量62g/m、厚さ80μm、灰分5.5%のクリヤーサイズ塗布紙を得た。
得られた塗布紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表2に示す。
【0064】
[実施例3]
実施例2と同じ紙料を用いて抄造して得られた支持体原紙に、蒸煮した酸化デンプン(日本コーンスターチ(株)製 SK20)8%濃度に調整し、オンマシンでゲートロールコーターを用いて両面の塗布量が0.8g/mになるように塗布し、全ニップ圧87kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量46g/m、厚さ60μm、灰分4.8%、ナイロン粒子6.2%のクリヤーサイズ塗布紙を得た。
得られた塗布紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表2に示す。
【0065】
[比較例7]
比較例6で得られた支持体原紙に、実施例3と同じサイズプレス液を両面の塗布量が0.8g/mになるように同様にして塗布し、全ニップ圧87kg/cmの条件でオンマシンカレンダー処理をし、坪量46g/m、厚さ61μm、灰分5.2%のクリヤーサイズ塗布紙を得た。
得られた塗布紙の物性試験およびオフセット印刷試験の結果を表2に示す。
【0066】
表2の比較例6の結果からは、紙中灰分が5.5%になると表1の比較例4の結果(紙中灰分が13.2%)と比べて不透明度が約2%低下したが、多孔質のナイロン粒子を7.5%内部添加した紙(紙中灰分が5.1%、実施例2)では比較例4の紙よりも不透明度が良くなった上に、裂断長がかなり良くなり、表面強度およびインキ着肉性も良くなった。坪量が46g/mの軽量紙にあたる実施例3の紙でも多孔質のナイロン粒子を内部添加しなかった比較例7と比べるとすべての物性が良くなった。
【0067】
【表2】
Figure 0003575116
実施例4]実施例1で製造したクリアーサイズ塗布紙を40℃、全ニップ圧240kg/cmの条件でスーパーカレンダー処理して得られた紙の物性試験及びグラビア試験の結果を表3に示す。
【0068】
[比較例8]
比較例4で製造したクリヤーサイズ塗布紙を40℃、全ニップ圧240kg/cmの条件でスーパーカレンダー処理して得られた紙の物性試験及びグラビア印刷試験の結果を表3に示す。
【0069】
実施例5]実施例2で製造したクリアーサイズ塗布紙を65℃、全ニップ圧200kg/cmの条件でスーパーカレンダー処理して得られた紙の物性試験及びグラビア印刷試験の結果を表3に示す。
【0070】
[比較例9]
比較例4で製造したクリヤーサイズ塗布紙を65℃、全ニップ圧200kg/cmの条件でスーパーカレンダー処理して得られた紙の物性試験及びグラビア印刷試験の結果を表3に示す。
【0071】
表3の結果が示すように、スーパーカレンダー処理をすることにより、実施例1及び実施例2の多孔質の不定形ナイロン粒子を内部添加したクリヤーサイズ塗布紙は、該ナイロン粒子を内部添加しなかった紙にくらべて白紙光沢度が20%以上となり、グラビア印刷試験後の印刷光沢度は格段に良くなった。
【0072】
【表3】
Figure 0003575116
【0073】
【発明の効果】
本発明によって製造された多孔質の不定形ポリアミド樹脂粒子を内部添加した支持体原紙にクリヤーサイズ塗布層を設け、カレンダー処理をした印刷用紙は、地合が良く、強度物性を損なうことなく、不透明度が向上し、さらにオフセット印刷時の表面強度及びインキ着肉性も良くなった。また、さらにスーパーカレンダー処理すると白紙光沢度が向上し、グラビア印刷による印刷光沢度は格段に良くなった。
【0074】
この印刷用紙の製造に際しては、パルプと多孔質の不定形ポリアミド樹脂粒子とを水中に均一に分散したスラリーを用いることで、品質の一定した地合の良い支持体原紙を得ることができる。さらに、ポリアミド樹脂を金属塩−有機溶媒の溶剤に溶解した後に、あらためて多孔質の不定形粒子状に析出させたポリアミド樹脂粒子を水系スラリー状態で用いた場合には、パルプスラリーに対してポリアミド樹脂粒子スラリーをそのまま添加することができ、粒子添加の前処理工程としての撹拌分散工程を省くことができるので実操業に適する。このポリアミド樹脂粒子は白色(白濁)した不透明体であって、紙の不透明度が増して自然な紙の風合が維持される。しかもカレンダー処理をすることによってパルプ繊維間にまたがってアメーバ状に広がって存在することによって、紙の各種強度は一層向上する。また、このポリアミド樹脂粒子は多孔質体であって、支持体原紙を構成するパルプ繊維間および空隙に存在し、カレンダー処理によりアメーバ状に広がるため紙の平滑性が良くなり、オフセット印刷時の表面強度及びインキ着肉性が良くなる。

Claims (5)

  1. パルプ、填料を主体とした原質中に、ポリアミド樹脂を金属塩−有機溶媒の溶剤に溶解した後、先の有機溶媒、先の有機溶媒と均一に混合する他の有機溶媒及び水から選択される1以上を加えることによって白色不透明のポリアミド樹脂粒子を沈殿させ、さらに水で洗浄して金属塩及び有機溶媒を除去することにより製造した多孔性ポリアミド樹脂粒子を2〜20重量%含有した原質から構成される支持体原紙上に、クリヤーサイズ塗料が少なくとも片面に0.2〜2g/m塗布されており、かつパーカー・プリント・サーフ・ラフネス(ISO8791)が2〜5μmである印刷用紙。
  2. 前記クリヤーサイズ塗料がデンプン、またはデンプンと天然高分子あるいは合成高分子の混合物である請求項1記載の印刷用紙。
  3. 請求項1記載の印刷用紙でパーカー・プリント・サーフ・ポロシティが100〜500mlである印刷用紙。
  4. パルプ、填料を主体とした原質中に、ポリアミド樹脂を金属塩−有機溶媒の溶剤に溶解した後、先の有機溶媒、先の有機溶媒と均一に混合する他の有機溶媒及び水から選択される1以上を加えることによって白色不透明のポリアミド樹脂粒子を沈殿させ、さらに水で洗浄して金属塩及び有機溶媒を除去することにより製造した多孔性ポリアミド樹脂粒子を2〜20重量%含有させて原質を調整した後、この原質を常法により抄造して支持体原紙を作成し、更にこの支持体原紙上にクリヤーサイズ塗料を少なくとも片面に0.2〜2g/m塗布してカレンダー処理する印刷用紙の製造法。
  5. 前記カレンダー処理がスーパーカレンダー処理であって、塗布面の白紙光沢度を20〜25%に処理する請求項4記載のグラビア印刷用紙の製造法。
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