JP2004082464A - 記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット記録時のインク吸収性や発色性に優れ、且つ、オフセット印刷時には紙ムケやブランケットパイリングが生じずに良好な印刷をすることができる記録用紙を提供すること。
【解決手段】支持体の少なくとも片面に白色顔料とバインダーからなる塗工層を設けた記録用紙において、該白色顔料が、クレーと80〜150ml/100gの吸油量を有する炭酸カルシウムを含み、バインダーがアクリルアミド/ジアリルアミン系共重合体とスチレン−ブタジエン系共重合体を含むことを特徴とする。
炭酸カルシウムが、アラゴナイト質またはカルサイト型の針柱状炭酸カルシウム粒子を三次元的に絡み合わせた毬栗状の形状を有することが好ましく、又、クレーと炭酸カルシウムの質量配合比が80〜5:20〜95であることも好ましい。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、インクジェット記録適性とオフセット印刷適性を兼ね備えた記録用紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
昨今のインクジェット記録方式の使用用途は、銀塩写真の代替え、高精細グラフィック用途、はがき、ポスターや伝票など多岐に亘っている。この中でも、特に、親展はがき類や伝票類などでは、宛名、品名、個数や金額などの可変データをインクジェット記録で印字し、一方、発信者名や罫線などの共通データをオフセット印刷することが多く、したがって、インクジェット記録適性とオフセット印刷適性を兼ね備えた記録用紙が望まれている。
【0003】
インクジェット記録用紙としては、たとえば特開昭55−51583号公報、同56−148585号公報などに提案されているような無定形シリカをはじめとする種々の多孔性無機顔料を塗工することで、インクジェット記録時のインク吸収性や発色性を向上させる提案がある。しかしながら、インク吸収性に優れる多孔性無機顔料を主成分とするような塗工層では、該塗工層の膜強度が弱く、オフセット印刷時に紙ムケやブランケットパイリングが生じるなどの問題がある。また、オフセット印刷時の印刷光沢はほとんど得られない。一方、通常のオフセット印刷用紙では、インク吸収性に劣るため、印字部滲みやインクヨゴレが生じるなどの問題がある。
【0004】
インクジェット記録適性とオフセット印刷適性の向上を意図した記録用紙の公知例としては、たとえば、特開平11−138976号公報、同10−337980号公報、特開2000−247016号公報等が知られており、それぞれ、インクジェット記録適性とオフセット印刷適性のために、独自のアイデアを提案している。
【0005】
本願発明は、これら公知例とは異なる方法で、インクジェット記録適性とオフセット印刷適性のすぐれた記録用紙を提供しようとしてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、支持体の少なくとも片面に白色顔料とバインダーからなる塗工層を設けた記録用紙において、該白色顔料が、クレーと80〜150ml/100gの吸油量を有する炭酸カルシウムを含み、バインダーがアクリルアミド/ジアリルアミン系共重合体とスチレン−ブタジエン系共重合体を含むことを基本的特徴とする。本願発明の記録用紙は、上記のような構成とすることによって、インクジェット記録時のインク吸収性や発色性に優れ、且つ、オフセット印刷時には紙ムケやブランケットパイリングが生じずに良好な印刷をすることができる。この場合において、本願発明では、インクジェット記録でのインク吸収性を向上させる、との理由から、炭酸カルシウムが、アラゴナイト質またはカルサイト型の針柱状炭酸カルシウム粒子を三次元的に絡み合わせた毬栗状の形状を有することが好ましい。又、クレーと炭酸カルシウムの質量配合比が80〜5:20〜95であることが好適とされる。
【0007】
支持体としては、特に限定するものではないが、紙、不織布、フィルムシート等が使用される。基紙に用いられるものとしては、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプ、などのパルプ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの各種の填料、サイズ剤、定着剤、歩溜り剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0008】
白色顔料としては、クレーと80〜150ml/100gの吸油量(指標となる油はアマニ油とする)を有する炭酸カルシウムを含むほか、特に限定するものではないが、たとえば、シリカ、二酸化チタン、ゼオライト、酸化アルミニウム、アルミナ、酸化マグネシウム、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等を併用することもできる。炭酸カルシウムの吸油量は、80ml/100gを下回るとインクジェット記録でのにじみが大きくなる点で不都合であり、一方150ml/100gをこえると印刷インク中のビヒクル成分が塗被層内部に浸透してしまい、優れた印刷光沢を得ることができない点でよくない。このため、炭酸カルシウムの吸油量は80〜150ml/100gとする。又、バインダーとしては、アクリルアミド/ジアリルアミン系共重合体とスチレン−ブタジエン系共重合体を含むほか、特に限定するものではないが、たとえば、でんぷん及びその誘導体、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、部分ケン化ポリビニルアルコール、NBR、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン等を併用することもできる。また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、着色剤などの通常用いられている各種助剤が適宜使用できる。
【0009】
本発明の顔料塗被層の塗被方法としてはプレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、ダイコーター、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーターなどが挙げられるが、特に限定するものではない。
【0010】
また、本発明の顔料塗被紙は、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、
ソフトカレンダーなどのカレンダー設備で処理される場合がある。
【0011】
【発明の効果】
本願発明の記録用紙によれば、インクジェット記録時のインク吸収性や発色性に優れ、且つ、オフセット印刷時には印刷光沢を有し、紙ムケやブランケットパイリングが生じずに良好な印刷をすることができる。
【0012】
【実施例】
以下、本願発明について好適な実施例を説明するとともに、本願発明の技術的優位性を示すための比較対象として、いくつかの比較例を表1に示す。なお、支持体(原紙)としては、各実施例及び比較例ともLBKP100質量部を400mlC.S.Fに叩解し、内添サイズ剤(サイズ剤AL120;日本PMC(株)製)0.3質量部、硫酸バンド2.0質量部、填料としてタルク5.0質量部を加えて調成した原料を用いて、長網抄紙機を使用して、米坪100g/mのパルプシートを作製し、支持体に用いた。
【0013】
以下の実施例中の部は特に断らない限り質量部を示す。
【0014】
(実施例1)
クレー(HYDRAGLOSS 90;HUBER(株)製)10部、炭酸カルシウム(カルライトSA;白石工業(株)製 吸油量95ml/100g)90部を水200部中に攪拌しながら加えて分散し、次にスチレン−ブタジエン系共重合体(スマーテックスSN−309;日本エイビーエス・ラテックス(株)製 濃度48.2%)20部、アクリルアミド/ジアリルアミン塩酸塩共重合体(スミレーズレジン 1001;住友化学(株)製 濃度30%)65部を添加して濃度32%の塗液を調製した。該塗液をエアーナイフで塗工し、塗工量は10g/mとした。その後、線圧100kg/cmでスーパーカレンダー処理を行った。
【0015】
(実施例2)
炭酸カルシウム(カルライトSA)の代わりに吸油量が130ml/100gの炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製:タマパールTP−123)を用いた以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0016】
(実施例3)
炭酸カルシウム(カルライトSA)の代わりに吸油量が140ml/100gの炭酸カルシウム(白石工業(株)製:カルライトKT)を用いた以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0017】
(比較例1)
クレー(HYDRAGLOSS 90;HUBER(株)製)は用いていない以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0018】
(比較例2)
炭酸カルシウム(カルライトSA;白石工業(株)製)は用いていない以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0019】
(比較例3)
スチレン−ブタジエン系共重合体(スマーテックスSN−309;日本エイビーエス・ラテックス(株)製)を用いていない以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0020】
(比較例4)
アクリルアミド/ジアリルアミン塩酸塩共重合体(スミレーズレジン 1001;住友化学(株)製)は用いていない以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0021】
(比較例5)
炭酸カルシウム(カルライトSA)の代わりに吸油量が75ml/100gの炭酸カルシウムを用いた以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0022】
(比較例6)
炭酸カルシウム(カルライトSA)の代わりに吸油量が155ml/100gの炭酸カルシウムを用いた以外は実施例1と同様にして記録用紙を作製した。
【0023】
(比較例7)
特開平11−138976の実施例1に基づき、下記配合で塗液を調製した。
【0024】
シリル変性ポリビニルアルコール(クラレポバールR−1130;(株)クラレ製)10%水溶液250部中に、無定形シリカ顔料(カープレックスBS−304N;塩野義製薬(株)製)20部、及び無定形シリカ顔料(ファインシールX−45、(株)トクヤマ製)80部を攪拌しながら加えて分散し、次にアクリルアミド/ジアリルアミン塩酸塩共重合体(スミレーズレジン 1001;住友化学(株)製)10部を添加して、濃度18%の塗液を調製した。実施例1と同様に該塗液をエアーナイフで塗工し、塗工量は10g/mとした。その後、線圧100kg/cmでカレンダー処理を行った。
【0025】
【表1】
Figure 2004082464
【0026】
(インク吸収性)
インクジェットプリンター(PM−950C:エプソン社製)を用いて、温度23℃、湿度50%の条件下で、シアン、マゼンタ、イエローの各色インクの重ね色で構成される赤、緑、青を、それぞれベタ印字(大きさ3.0cm×3.0cm)し、印字30分経過後のにじみ度合いを目視にて確認した。にじみが全くないものを◎、にじみが若干見られるものを○、にじみがはっきりと見られるものを△、にじみが極めてひどいものを×と評価した。
【0027】
(インク発色性)
インクジェットプリンター(PM−950C:エプソン社製)を用いて、温度23℃、湿度50%の条件下で、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色を、それぞれベタ印字(大きさ3.0cm×3.0cm)し、印字30分経過後の光学濃度を測定した。優れた画像色濃度を示したものを○、やや薄いが実用上問題のないレベルのものを△、薄すぎて実用に耐えないものを×と評価した。
【0028】
(紙ムケ)
下記オフセット印刷機及びインキを用いて印刷試験を行い、紙ムケの有無を観察した。枚数は3000枚とした。印刷試験後、紙ムケが全く見られなかったものを○、紙ムケが1%未満(30枚)だったものを△、紙ムケが1%以上だったものを×と評価した。
【0029】
Figure 2004082464
(プランケット パイリング)
上記オフセット印刷機及びインキを用いて印刷試験を行い、プランケットのパイリグの有無を観察した。枚数は3000枚とした。印刷試験後、印刷機や印刷物に汚れの見られなかったものを○、若干汚れるが実用上問題のないレベルのものを△、汚れがひどくて実用に耐えられないものを×と評価した。
【0030】
(印刷光沢)
上記オフセット印刷機及びインキを用いて印刷試験を行い、優れた印刷光沢を示したものを◎、やや印刷光沢が低いが実用上問題のないレベルのものを○、印刷光沢がわずかにあるが実用に耐えないレベルのものを△、印刷光沢が全くないものを×と評価した。
【0031】
比較例1の評価結果からわかるようにクレーを含まない場合は印刷光沢が全くない。
【0032】
比較例2の評価結果からわかるように80〜150ml/100gの吸油量を有する炭酸カルシウムを含まない場合はインク吸収性・インク発色性が悪い。
【0033】
比較例3の評価結果からわかるようにスチレン−ブタジエン系共重合体を含まない場合は表面強度が弱く、オフセット印刷時に紙ムケ・ブランケットのパイリングが生じる。
【0034】
比較例4の評価結果からわかるようにアクリルアミド/ジアリルアミン系共重合体を含まない場合はインク吸収性、インク発色性が悪い。また、表面強度が弱く、オフセット印刷時に紙ムケ・ブランケットのパイリングが生じる。
【0035】
比較例5の評価結果からわかるように吸油量が80ml/100gより低い炭酸カルシウムを用いた場合はインク吸収性が悪い。
【0036】
比較例6の評価結果からわかるように吸油量が150ml/100gより高い炭酸カルシウムを用いた場合はインク発色性が悪く、印刷光沢が低い。
【0037】
比較例7の評価結果からわかるように白色顔料に無定型シリカ、バインダーにシリル変性PVAを用いた場合は、紙ムケ・ブランケットのパイリングが生じ、印刷光沢が低い。
【0038】
実施例1〜3、比較例1〜7の評価結果からわかるように、支持体にクレーと80〜150ml/100gの吸油量を有する炭酸カルシウムを含む白色顔料とバインダーがアクリルアミド/ジアリルアミン系共重合体とスチレン−ブタジエン系共重合体からなる塗工層を設けることにより、インクジェット記録時のインク吸収性や発色性に優れ、且つ、オフセット印刷時には紙ムケやブランケットパイリングが生じずに良好な印刷をすることができる記録用紙が得られる。

Claims (3)

  1. 支持体の少なくとも片面に白色顔料とバインダーからなる塗工層を設けた記録用紙であって、該白色顔料が、クレーと80〜150ml/100gの吸油量を有する炭酸カルシウムを含み、バインダーがアクリルアミド/ジアリルアミン系共重合体とスチレン−ブタジエン系共重合体を含むことを特徴とする記録用紙。
  2. 炭酸カルシウムが、アラゴナイト質またはカルサイト型の針柱状炭酸カルシウム粒子を三次元的に絡み合わせた毬栗状の形状を有することを特徴とする請求項1記載の記録用紙。
  3. クレーと炭酸カルシウムの質量配合比が80〜5:20〜95であることを特徴とする請求項1又は2記載の記録用紙。
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