JP2011062893A - レンチキュラーレンズシート - Google Patents

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Abstract

【課題】色材転写時に斑目状転写故障が発生せず、白色層転写時に転写不良、転写不均一故障が発生しにくい高品位な受容層付きレンチキュラーレンズシートを提供する。
【解決手段】レンチキュラーレンズシートを基材とし、この背面に少なくとも1層の受容層を有するレンチキュラーレンズシートであって、該受容層がポリマーラテックスを含有し、該受容層表面が、ESCA表面分析より求めたC1s及びSi2pのピーク面積の強度比(Si/C)(%)が0.01以上0.30以下であるレンチキュラーレンズシート。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱転写によって画像形成可能な受容層付きレンチキュラーレンズシートに関するものである。
レンチキュラーレンズシートを通して、ある特定な画像を見ると、見る角度によって二画像以上の画像を視認することができ、例えば立体画像や擬似的な動画を鑑賞することができる。前記の特定画像とは、二以上の画像をそれぞれ細長く短冊状に分割し、分割画像を再編成することで形成された画像である。
特定画像を銀塩写真で準備し、その上からレンチキュラーレンズシートを貼り付ける方法があるが、見栄えの良い高品位な立体画像を得るためには、特定画像とレンチキュラーレンズの凸レンズを所定の位置に精度よく張り合わせる必要があるため、この方法は張り合わせ時の位置合わせ等が手作業で煩雑かつ困難である。
特許文献1には、昇華型熱転写法により、レンチキュラーレンズへ画像形成する方法が開示されている。この方法は、レンチキュラーレンズシート背面上に塗布した受容層へ、熱転写によって画像形成される。その後、隠蔽性を高めるために、受容層上にさらに白色層または淡色層を塗布または張り合わせている。
特許文献2には、簡便かつ短時間にレンチキュラーレンズ背面に画像形成するために、基材フィルムの同一面上に、色材転写部と白色層転写部とを面順次に設けた一体型熱転写シートを用いる方法が開示されている。
一方で、熱転写昇華型受像シートでは、水分散物や水溶性樹脂を含有する受容層、断熱層を水系重層塗布する技術(特許文献3参照)が知られている。
特開平6−282019号公報 特開平11−142995号公報 特開2005−335155号公報
特許文献2の画像形成方法においては、背面上に形成された受容層は染料転写時に斑目状転写故障、白色層転写時に転写不良、転写不均一故障が発生するという問題が新たに発生した。
レンチキュラーレンズ背面に形成された受容層と、熱転写シートの染料層の転写部とを、重ね合わせ画像を形成する際、画像は受容層上に形成されるので、不要になった熱転写シートの染料層の転写部は受容層と、染料層の転写部/受容層の界面で剥がれる必要がある。ところが、本来剥がれるべき界面(染料層の転写部/受容層の界面)で剥がれず、一部分が斑目状に熱転写シート/染料層の転写部の界面で剥がれてしまい、染料層の転写部が全て受容層に接着したまま残る結果、意図した通りの画像形成ができないという画像故障が生ずることがある。これが色材転写時の斑目状転写故障である。
また、白色層付与時には、受容層表面が白色層と問題なく均一に接着することが求められるが、転写不良、転写不均一故障は、白色層付与時に白色層が受容層と接着しなかったり、白色層が不均一に接着されてしまうという画像故障である。
斑目状転写故障は、コート紙あるいはポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体上に、断熱層、受容層が形成されている昇華型の感熱転写受像シートでは発生しにくかった。これは、昇華型感熱転写受像シートは断熱層が存在し、支持体も硬度の小さいものが用いられている一方で、レンチキュラーレンズ分野では、断熱層が存在せず、かつ支持体も硬いことによると考えられ、これらの問題を克服することが強く求められていた。
本発明の課題は、染料転写時に斑目状転写故障が発生せず、白色層転写時に転写不良、転写不均一故障が発生しにくい高品位な受容層付きレンチキュラーレンズシートを提供することである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、下記手段で本発明の上記課題が解決できることを見出した。
(1)レンチキュラーレンズシートを基材とし、この背面に少なくとも1層の受容層を有するレンチキュラーレンズシートであって、該受容層がポリマーラテックスを含有し、該受容層表面が、ESCA表面分析より求めたC1s及びSi2pのピーク面積の強度比(Si/C)(%)が0.01以上0.30以下であることを特徴とするレンチキュラーレンズシート。
(2)前記受容層が下記一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とする(1)に記載のレンチキュラーレンズシート。
Figure 2011062893
(一般式(S1)において、Rはアルキル基を表し、Rは−X−(CO)a1−(CO)b1−Rを表し、Rは、水素原子、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。Xはアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を表す。m1およびn1は各々独立に正の整数を表す。a1は正の整数を表し、b1は0または正の整数を表す。)
(3)前記受容層が塩化ビニル成分を構成成分として含有するポリマーラテックスを含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のレンチキュラーレンズシート。
(4)前記受容層が下記一般式(A1)または(b1)で表されるアニオン性界面活性剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のレンチキュラーレンズシート。
Figure 2011062893
(一般式(A1)において、R4およびR5は各々独立に炭素原子数3〜20のアルキル基を表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。)
Figure 2011062893
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素原子数が2以上でフッ素原子数が11以下のフッ化アルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子か置換または無置換のアルキル基を表す。AおよびBは、一方が水素原子を、もう一方が−Lb−SO3Mを表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。Lbは、単結合または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。)
本発明により、染料転写時に斑目状転写故障が発生せず、白色層転写時に転写不良、転写不均一故障が発生しにくい高品位な受容層付きレンチキュラーレンズシートを提供できる。
レンチキュラーレンズシート樹脂層の製造方法の全体工程図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<レンチキュラーレンズシート>
以下に、本発明のレンチキュラーレンズシートについて説明する。
本発明のレンチキュラーレンズシートは透明支持体上にレンチキュラーレンズが形成されており、レンチキュラーレンズとは反対の透明支持体を側に少なくとも1層のポリマーラテックスを含有する受容層を有する。なお、レンチキュラーレンズが透明支持体上に設けられていない場合はレンチキュラーレンズの裏面に少なくとも1層のポリマーラテックスを含有する受容層を有する。
[支持体]
本発明においてはレンチキュラーレンズを形成する樹脂シートが支持体を兼ねてもよく、また透明支持体上にレンチキュラーレンズを設けてもよい。本発明においては、透明支持体上にレンチキュラーレンズを設けた場合が好ましい。
本発明で使用する支持体は透明支持体であり、該透明支持体は、できるだけ平滑なシート表面を有することが好ましい。また、溶融押出しされた樹脂シートの熱に耐える必要があり、比較的耐熱性の高いポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂等を挙げることができる。特に、平滑性が良好な点から、二軸延伸のポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
[易接着層]
透明支持体は、透明支持体上に形成する層(例えば、レンチキュラーレンズ層、下記下引き層、下記受容層など)との接着性を向上させるために、易接着層を設けることが好ましい。代表的な易接着層としては、特開2007−152886号公報に記載の方法などが挙げられる。なお、レンチキュラーレンズ樹脂(層)が支持体を兼ねる場合はこのレンチキュラーレンズ樹脂の裏面に易接着層を設けることとなる。
易接着層は、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。この接着性樹脂は、透明支持体を形成するための透明熱可塑性樹脂の片面もしくは両面に接着性樹脂を配置して、共押出しして形成してもよい。
〔レンチキュラーレンズ〕
レンチキュラーレンズを形成する樹脂は、透明熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート−スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。溶融押出しやすさを考慮すると、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリレート−スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂のような溶融粘度の低い樹脂を用いるのが好ましく、転写しやすさやシートの割れ難さ、パターンの耐久性などを考慮するとグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いるのがより好ましい。
(レンチキュラーレンズの形成)
レンチキュラーレンズパターンの製造方法を、図1を参照して説明する。
レンチキュラーレンズパターンの製造方法は、レンチキュラーレンズ形成樹脂シートに直接パターンを形成してもよい。本発明において、好ましくは、透明支持体上に後述の受容層を塗布したシート8上に、また下引き層を有する場合は、下引き層形成後に受容層を塗布したシート8上に、レンチキュラーレンズ形成樹脂層を設け、このレンチキュラーレンズ形成樹脂表面に、微細なパターンを形成することが好ましい。レンチキュラーレンズ樹脂層を設ける前のシート8を、所望のパターン形状を付けたエンボスロール2と、ニップロール3の間に挿入し、シートダイ1から、前記レンチキュラーレンズ形成用透明熱可塑性樹脂および接着剤樹脂10を共押出しして、レンチキュラーレンズ樹脂層を設ける前のシート8と前記エンボスロールの間に供給してニップロール3で押圧して積層し、エンボスロール2に巻き付けながら冷却固化することにより、走行するシート表面にパターン形状を連続的に転写させる方法で製造することができ好ましい。
本発明におけるレンチキュラーレンズ樹脂層のパターン形状は通常のものでよく、特に制限はないが、好ましい形状としては、レンズピッチ100〜318μm、半径100〜200μm、レンズのシート厚み200〜400μmである。
以下に、上記のレンチキュラーレンズシートの好ましい製造方法を詳細に説明する。
図1は、レンチキュラーレンズシート樹脂層の製造方法の全体工程図である。
図1に示すように、レンチキュラーレンズシート樹脂の製造方法は、主として、原料の計量や混合を行う原料工程と、溶融した樹脂を連続してシート状(帯状)に押し出す押出工程と、ロール状に巻かれたレンチキュラーレンズ樹脂層を設ける前のシートを搬送する送り出し工程と、押し出した樹脂シートを、レンチキュラーレンズ樹脂層を設ける前のシートとエンボスシートの間に供給してゴムロールで押圧して積層しながら冷却固化してパターン形状を転写させる冷却転写工程と、積層固化した樹脂シートをエンボスロールから剥離する剥離工程と、得られたシートをロール状に巻き取る巻取工程とで構成される。
原料工程では、原料サイロ(又は原料タンク)から真空乾燥機に送られた原料樹脂が所定含水分にまで乾燥される。
押出工程では、乾燥されて原料樹脂がホッパー6を介して押出機5に投入され、この押出機5により混練されながら溶融される。押出機5は単軸式押出機及び多軸式押出機の何れでもよく、押出機5の内部を真空にするベント機能を含むものでもよい。押出機5で溶融された原料樹脂は、供給管を介してダイ1(例えばTダイ)に送られる。このとき、複数の押出機を用いてフィードブロックで合流させて多層としてもよい。レンチキュラーレンズ樹脂層との接着性を向上させるため、接着性樹脂をレンチキュラーレンズ樹脂層と透明支持体の間に配置してもよい。ダイ1からシート状に押し出された樹脂シートは次に冷却転写工程に送られる。
ここで、レンチキュラーレンズ樹脂層を設ける前のシート8は送り出し工程から搬送され、エンボスロール2とニップロール3の間の冷却転写工程に挿入される。冷却転写工程では、ダイから押し出された樹脂シート10を、レンチキュラーレンズ樹脂層を設ける前のシート8とエンボスロール2の間に供給してニップロール3で押圧して積層しながら冷却固化してパターン形状を転写させる。固化したパターンシートを剥離ローラ4で剥離する。
エンボスロール2の表面には、例えば、レンチキュラーシートを成形するための反転形状が形成されている。材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として硬質クロムメッキ(HCrメッキ)、Cuメッキ、Niメッキ等のメッキを施したもの、セラミックス、及び各種の複合材料が採用できる。
ニップローラ3は、エンボスローラ2に対向配置され、エンボスローラ2とで基材シート8と樹脂シートを挟圧するためのローラである。ニップローラ3の材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたものが採用できる。
ニップローラ3には、図示しない加圧手段が設けられており、エンボスローラ2との間の基材シート8と樹脂シート10を所定の圧力で挟圧できるようになっている。この加圧手段は、いずれも、ニップローラ3とエンボスローラ2との接触点における法線方向に圧力を印加する構成のもので、モータ駆動手段、エアシリンダ、油圧シリンダ等の公知の各種手段が採用できる。
ニップローラ3には、挟圧力の反力による撓みが生じにくくなるような構成を採用することもできる。このような構成としては、ニップローラ3の背面側(エンボスローラの反対側)に図示しないバックアップローラを設ける構成、クラウン形状(中高形状とする)を採用する構成、ローラの軸方向中央部の剛性が大きくなるような強度分布を付けたローラの構成、及びこれらを組み合わせた構成等が採用できる。
また、剥離ローラ4は、エンボスローラ2に対向配置され、パターンシートを巻き掛けることによりレンチキュラーレンズの凹凸パターンが形成されたシートをエンボスローラ2より剥離するためのローラである。剥離ローラの材質としては、各種鉄鋼部材、ステンレス鋼、銅、亜鉛、真鍮、これらの金属材料を芯金として、表面にゴムライニングしたものが採用できる。
エンボスローラ2の温度は、挟圧した樹脂シートへの転写が完了する前に樹脂シートが冷却固化しないよう、挟圧部での樹脂シートの温度がガラス転移温度以上となっているように設定することが好ましい。一方、剥離ロールによる剥離工程でエンボスロールとレンチキュラーレンズの凹凸パターンが形成されたシートの接着が強すぎる場合、パターンシートが不規則に剥離して突起状に変形する為、エンボスロール温度は転写が可能な限りで低く設定することが好ましい。樹脂の材料にグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用した場合、エンボスロールの表面温度は30〜90℃、好ましくは40〜70℃とすることができる。なお、エンボスロールの温度を制御するために、エンボスロール内部を熱媒体(温水、油)で満たし循環させる等の公知の手段が採用できる。
溶融された樹脂のダイ1からの吐出温度は、挟圧した樹脂シートへの転写が完了する前に樹脂シートが冷却固化しないよう、挟圧部での樹脂シートの温度がガラス転移温度以上となっているように設定することが好ましい。一方、剥離ロール4による剥離工程でエンボスロール2とレンチキュラーレンズの凹凸パターンが形成されたシートの接着が強すぎる場合、パターンシートが不規則に剥離して突起状に変形する。また、樹脂の熱分解による面状悪化などの問題を生じることから、吐出温度は転写が可能な限りで低く設定することが好ましい。樹脂の材料にグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用した場合、ダイからの吐出温度は240〜290℃、好ましくは250〜280℃とすることができる。
[下引き層]
本発明においては、透明支持体上に下引き層を設けてもよい。下引き層は透明支持体のいずれか一方の片面側だけに設けてもよいし、透明支持体の両面側に設けてもよい。すなわち、透明支持体上のレンチキュラーレンズ形成樹脂を設ける側に下引き層を設ける場合、この形成前のレンチキュラー形成樹脂を設ける前に下引き層を設けるものであり、透明支持体上のレンチキュラー形成樹脂を設ける側と反対の面に設ける場合は、透明支持体と受容層の間に設ける。
下引き層に用いる樹脂材料は、レンチキュラーレンズで挙げた樹脂が好ましい。
本発明においては、レンチキュラーレンズ形成のしやすさから、透明支持体上のレンチキュラーレンズ形成樹脂層とは反対側に下引き層がある場合が好ましく、搬送時の受容層摺り傷発生などの懸念に基く。
下引き層の形成は、図1のエンボスロール2を鏡面ロールに変更した工程により行うことができる。鏡面ロール2とニップロールの間に、走行する支持体8を挿入し、シートダイ1から、前記透明熱可塑性樹脂10を押出して、前記透明支持体8と前記鏡面ロール2の間に供給して積層し、鏡面ロール2に巻き付けながら冷却固化することにより、下引き層を連続的に形成させる方法が好ましく用いられる。
下引き層の形成と連続して、塗布・乾燥工程7を用いて下記受容層を塗設することも好ましく行われる。
[受容層]
本発明において、受容層はレンチキュラーレンズシートの背面に設けられる。受容層はこの背面の最外層に設けられる。このため、レンチキュラーレンズ樹脂層が透明支持体上に設けられる場合、支持体上のレンチキュラーレンズ樹脂が設けられた側と反対側の面に下引き層を有するならば、この下引き層上、下引き層を有さないならば、支持体上に設けられる。
受容層は、感熱転写シートから移行してくる染料を染着し、形成された画像を維持する役割を果たす樹脂を含有するものである。本発明においては、受容層は少なくともポリマーラテックスを含有する。なお、受容層を2層以上(好ましくは2層)有することは本発明においても好ましい。また、受容層との間に、例えば、白地調整、帯電防止、接着性、クッション性、平滑性などの各種機能を付与するために下塗層を設けることも好ましい態様の一つである。
(ポリマーラテックス)
本発明のレンチキュラーレンズシートにおいて、受容層はポリマーラテックスを含有する。本明細書中、ポリマーラテックスとは、水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したもののことを言う。分散状態としては、球状のポリマー重合粒子や、ポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよいが、特に球状のポリマー重合粒子が好ましい。
また、前記受容層は、感熱転写時に感熱転写シートから移行された染料を受容して記録画像を形成する受容ポリマーとしてのポリマーラテックス以外にも、例えば、膜の弾性率を調整するなどの目的で、他の機能を有するポリマーラテックスも併用して用いてもよい。
前記受容層に用いられるポリマーラテックスの分散粒子の平均粒径は1〜1000nmであることが好ましく、5〜500nmの範囲であることが特に好ましい。
本発明の前記受容層に用いられるポリマーラテックスに用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、ポリウレタン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
このうち、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体が好ましく、ポリエステル、塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体がより好ましく、塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体が更に好ましく、塩化ビニル系共重合体が最も好ましい。
本明細書中、前記塩化ビニル系共重合体とは、塩化ビニル成分を構成成分とする共重合体であり、重合体を得るためのモノマーとして塩化ビニルを少なくとも使用し、かつ他のモノマーと共重合させたものであり、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられる。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
これらの共重合体にはビニルアルコール誘導体やマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体などの補助的なモノマー成分を添加してもよい。
本発明に用いる塩化ビニル系共重合体において、塩化ビニルを主成分とすることが好ましい。塩化ビニルを主成分とするとは塩化ビニル成分が50モル%以上含有されていることであり、塩化ビニル成分が50モル%以上含有されていることが好ましく、またマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体等の補助的なモノマー成分は10モル%以下であることが好ましい。
本発明において、前記受容層に用いられるポリマーラテックスは単独でも混合物として使用してもよい。また前記受容層に用いられるポリマーラテックスは、均一構造であってもコア/シェル型であってもよく、このときコアとシェルをそれぞれ形成する樹脂のガラス転移温度が異なってもよい。
本発明において、前記受容層で使用するポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜100℃が好ましく、0℃〜90℃がより好ましく、20℃〜90℃がさらに好ましく、40℃〜90℃が特に好ましい。
なお、このガラス転移温度(Tg)は実測できない場合、下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
また、本発明に好ましく用いられるポリマーラテックスは、ポリマー濃度がラテックス液に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。受容層中の全ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
ポリマーラテックスの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル/メタアクリル酸共重合体等の共重合体を含めたポリ塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の共重合体を含めたポリ酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン等のポリマーラテックスを好ましく用いることができる。これらポリマーラテックスとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000が好ましく、より好ましくは10000〜500000である。
ポリマーラテックスとしては、ポリエステルラテックス、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス等の塩化ビニル共重合体ラテックスのいずれか1つまたは任意の組み合わせが好ましい。
塩化ビニル系共重合ラテックスとしては、例えば、ビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも日信化学工業(株)製、商品名)、SE1320、S−830(以上いずれも住友ケムテック(株)製、商品名)が挙げられ、これらは本発明において好ましいポリマーラテックスである。
塩化ビニル系共重合ラテックス以外のポリマーラテックスとしては、ポリエステル系ポリマーラテックスを挙げることができ、例えば、バイロナール MD1200、バイロナール MD1220、バイロナール MD1245、バイロナール MD1250、バイロナール MD1500、バイロナール MD1930、バイロナール MD1985(以上いずれも東洋紡(株)製、商品名)が挙げられる。
これらのなかでも、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス(特に、塩化ビニル/アクリル酸エステル共重合体ラテックス)、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックス(特に、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体ラテックス)等の塩化ビニル共重合体ラテックスが特に好ましく、塩化ビニル/アクリル化合物共重合体ラテックスが最も好ましい。また、本発明においては上記ラテックスを2種以上組み合わせて使用することも好ましい。
なお、受容層を2層有する場合は、これらの受容層は、いずれも塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体の各ラテックスを含有するのが好ましく、上層の受容層に含有する樹脂が下層の受容層(支持体側の受容層)に含有する樹脂よりもガラス転移温度(Tg)が高いほうが好ましい。
(ポリエーテル変性シリコーン)
本発明において、受容層にシリコーンを含有することが好ましく、ポリエーテル変性シリコーンを含有することが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、下記一般式(S1)に表されるポリエーテル変性シリコーンを含有ことが特に好ましい。
Figure 2011062893
一般式(S1)において、Rはアルキル基を表し、Rは−X−(CO)a1−(CO)b1−Rを表し、Rは、水素原子、アシル基、1価のアルキル基、1価のシクロアルキル基または、1価のアリール基を表す。Xはアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を表す。m1およびn1は各々独立に正の整数を表す。a1は正の整数を表し、b1は0または正の整数を表す。
前記R1におけるアルキル基は、分岐したアルキル基であってもよい。前記R1のアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。なかでもメチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
前記R3における1個のアシル部を有するアシル基は、1個のアシル部を有するアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基が挙げられる。これらのアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、炭素数2〜10のアシル基がより好ましい。
前記R3における1価のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
前記R3における1価のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。シクロヘキシル基の炭素数は、5〜10が好ましい。
前記R3における1価のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。アリール基のアリール部としてはベンゼン環が好ましい。
前記R3は、1価のアルキル基が好ましく、メチル基、ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記Xの連結基は、アルキレン基またはアルキレンオキシ基が好ましく、例えば、前記アルキレン基としてはメチレン基、エチレン基およびプロピレン基が挙げられ、前記アルキレンオキシ基としては、−CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH2CH(CH3)O−および−(CH23O−が挙げられ、これらが好ましい。Xの炭素数は1〜4が好ましく、2または3がより好ましい。
なお、Xにおいては、アルキレンオキシ基がさらに好ましく、プロピレンオキシ基(−(CH23O−)が特に好ましい。
前記a1は1以上の整数が好ましく、1〜200がより好ましく、1〜100がさらに好ましい。前記b1は0または1以上の整数が好ましく、0〜200がより好ましく、0〜100がさらに好ましい。また、本発明の課題である高濃度画像部の剥離線を防止する作用をより効果的に発揮するには、前記a1、b1の値のうち、a1が30以上であることがより好ましく、35以上であることがさらに好ましく、40以上であることが特に好ましい。ここで、好ましい上限は100以下である。また、a1、b1の両方が30以上であることがより好ましく、35以上であることがより好ましく、40以上であることが特に好ましい。ここでの好ましい上限は100以下である。
本発明の課題をより効果的に発揮するには、前記mは10〜500が好ましく、30〜300がさらに好ましく、50〜200が最も好ましい。
前記nは1〜50が好ましく、1〜20がより好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーンは、平均分子量が55000以下であることが好ましい。より好ましくは40000以下が好ましい。本発明における平均分子量は、質量平均分子量のことを表す。ここで質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒にTHFを用いて、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量で定義する。
前記ポリエーテル変性シリコーンは、25℃で液体のものが好ましい。
また、前記ポリエーテル変性シリコーンは、粘度が500mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以上5000mPa・s以下がより好ましく、2000mPa・s以上5000mPa・s以下がさらに好ましい。粘度の測定方法は、大別して液中の回転体にかかる抵抗力を測定する方法とオリフィスや細管を通過させる時の圧力損失を測定する方法とがある。前者は回転型粘度計でB型粘度計に代表される。後者は毛管粘度計でオストワルド粘度計に代表される。本発明においては、B型粘度計で25℃の温度で測定した値で定義する。
前記一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンのHLB値(Hydrophile−Lipophile Balance)は、4.0〜8.0であることが好ましく、特に4.5〜6.5であることが好ましい。HLB値が低過ぎると面状故障が発生しやすい。HLB値が高すぎると剥離線発生の防止能が弱くなる。
本発明において、HLB値はグリフィン法に基づき、以下の式で定義された計算式で求める(西一郎、今井怡知朗、笠井正威 共編,「界面活性剤便覧」,産業図書株式会社(1960年))。
HLB = 20 × Mw/M
ここで、Mは分子量であり、Mwは親水性部分の式量(分子量)である。ちなみに、M=Mw + Mo であり、ここで、Moは新油性部分の式量(分子量)である。なお、親水性部分とは、エチレンオキシ基である。
本発明で好ましく用いられる前記ポリエーテル変性シリコーンオイルの具体例としては、信越化学株式会社製 KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、X−22−4515、X−22−6191、東レ・ダウコーニング株式会社製 SH3749、SH3773M、SH8400、SF8427、SF8428、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2162、FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208、FZ−77、L−7001、L−7002(いずれも商品名)等が挙げられる。
また、本発明で好ましく用いられるポリエーテル変性シリコーンオイルは、例えば、特開2002−179797号公報、特開2008−1896号公報、特開2008−1897号公報に記載の方法または、これに準じた方法で、容易に合成できる。
本発明においては、ポリエーテル変性シリコーンオイルは単独でも、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明においては、ポリエーテル変性シリコーンオイルに他の離型剤を併用してもよい。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの添加量としては、受容層中の全ポリマーラテックスに対して1質量%〜25質量%(固形分%)が好ましく、1質量%〜20質量%(固形分%)がより好ましく、1質量%〜15質量%(固形分%)が特に好ましい。
本発明における受容層の塗布量は、0.5〜10.0g/mであることが好ましく、1.0〜5.0g/mであることがさらに好ましい。なお、本明細書において「塗布量」とは、特に断らない限り固形分換算の数値である。
<アニオン性界面活性剤>
本発明において、支持体上の前記受容層に、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤を2以上(好ましくは2種)使用することが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、下記一般式(A1)または(b1)で表されるアニオン性界面活性剤の少なくとも1種を含有することがより好ましい。さらに、下記一般式(A1)で表される化合物と下記一般式(b1)で表される化合物を併用することは、本発明の効果を効果的に奏するために好ましい。
Figure 2011062893
一般式(A1)において、R4およびR5は各々独立に炭素原子数3〜20のアルキル基を表し、好ましくは炭素原子数4〜10のアルキル基である。また、R4およびR5は各々独立に炭素原子数4〜10の分岐したアルキル基がより好ましく、R4およびR5ともに2−エチルヘキシル基であることが特に好ましい。
Mは水素原子またはカチオンを表す。Mで表されるカチオンとしては、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましい。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである。
次に一般式(A1)で表わされる化合物の例を挙げるが、本発明におけるアニオン系界面活性剤はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011062893
次に一般式(b1)で表わされる化合物について説明する。
Figure 2011062893
一般式(b1)において、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素原子数が2以上でフッ素原子数が11以下のフッ化アルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子か置換または無置換のアルキル基を表す。AおよびBは、一方が水素原子を、もう一方が−Lb−SO3Mを表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。Lbは、単結合または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。
およびRで表されるフッ化アルキル基は好ましくは下記一般式(c)で表される基である。
一般式(c)
−L−Raf−W
一般式(c)において、Laは、置換もしくは無置換のアルキレン基または置換もしく
は無置換のアルキレンオキシ基、あるいはこれらを組み合わせてできる2価基を表す。前記の置換基としては、どのような基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、リン酸エステル基が好ましい。
aは、炭素数が8以下であるのが好ましく、4以下がより好ましい。また、無置換ア
ルキレン基であるのが好ましい。Rafは炭素数1〜5パーフルオロアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基、最も好ましくは炭素数4のパーフルオロアルキレン基である。ここでパーフルオロアルキレン基とはアルキレン基のすべての水素原子がフッ素原子で置き換えられたアルキレン基を言う。前記パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Wは水素原子、フッ素原子またはアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはフッ素原子である。
本発明に係わるフッ素化合物が、Rafの炭素数が異なる化合物の混合物であるときは、Rafの炭素数が4である化合物(C4体)の割合が多い方が好ましい。
該C4体の混合物中の割合は好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。一般に、C6以上のRafを有する化合物が多く含まれると、水に対する溶解性が悪くなるため、C6以上の成分は少ないほうが好ましい。また、C3以下の成分が含まれると、静的表面表力を下げる効果がC4体に比べて小さくなるため、C3以下の成分は少ないほうが好ましい。
フッ化アルキル基の具体例は、−C25基、−C37基、−C49基、−C511基、−CH2−C49基、−C48−H基、−C24−C49基、−C48−C49基、−C612−C49基、−C816−C49基、−C48−C25基、−C48−C37基、−C48−C511基、−C816−C25基、−C24−C48−H基、−C48−C48−H基、−C612−C48−H基、−C612−C24−H基、−C816−C24−H基、−C612−C48−CH3基、−C24−C37基、−C24−C511基、−C48−CF(CF32基、−CH2CF3基−C48−CH(C252基、−C48−CH(CF32基、−C48−C(CF33基が挙げられるが、本発明で採用しうるフッ化アルキル基はこれらに限定されるものではない。
およびRで表される置換または無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、どんな置換基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が好ましい。
AおよびBは、一方が水素原子を、もう一方が−Lb−SO3Mを表し、Mはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンまたはアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンであり、前記一般式(C)の化合物の総炭素数や置換基、アルキル基の分岐の程度等により適切に選択することができる。R、R、RおよびRの炭素数の合計が16以上の場合、リチウムイオンであることが溶解性(特に水に対して)と帯電防止能または塗布均一性の両立の観点で優れている。
bは、単結合または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。置換基はR3およびR4の説明で挙げたものが好ましい。Lbがアルキレン基である場合、炭素数は2以下であるのが好ましく、無置換であるのが好ましく、メチレン基であるのがより好ましい。Lb
、単結合であるのが最も好ましい。
上記一般式(b1)は、上記のそれぞれの好ましい態様を組み合わせることが、より好ましい。
一般式(b1)で表される化合物は、さらに下記一般式(b2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011062893
上記一般式(b2)中、RおよびRはそれぞれ独立に前記一般式(c)で表されるフッ化アルキル基を表す。RおよびRで表されるフッ化アルキル基の具体例は前述の基があげられ、好ましい構造も同様に前述の一般式(c)の説明で記載した好ましい構造と同じである。
上記一般式(b2)中、XはSO3Mを表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンである。
フッ素化合物(b1)の具体例を以下に例示するが、本発明で用いることができるフッ素化合物(b1)は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルオロアルキル基は直鎖の構造を有する基を意味する。
Figure 2011062893
Figure 2011062893
Figure 2011062893
前記一般式(b1)または(b2)で表されるフッ素化合物は、一般的なエステル化反応およびスルホン化反応を組み合わせて容易に合成することができる。
アニオン性界面活性剤は、受容層以外にも、下塗り層等の他の層にも使用することができる。
一般式(A1)で表されるアニオン性界面活性剤の塗布量は、該化合物を添加した層中、1.0mg/m以上2000mg/m以下であることが好ましく、2.0mg/m以上100mg/m以下であることがより好ましい。
一般式(b1)で表される含フッ素化合物の塗布量は、該化合物を添加した層中、0.5mg/m以上100mg/m以下であることが好ましく、1mg/m以上50mg/m以下であることがより好ましい。
一般式(A1)および(b1)で表されるアニオン性界面活性剤は、受容層塗布液に濡れ性を付与することで面状安定化に寄与するだけでなく、一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンと併用することにより斑目状転写故障および色材転写時の斑目状転写故障、白色層転写時の転写不良、転写不均一故障を抑制する効果もある。
(水溶性ポリマー)
本発明の受容層に水溶性ポリマーを含有してもよく、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体が好ましく用いられ、なかでも塗布時のセット性が良好であるという理由からゼラチンが好ましく用いられる。これらの水溶性ポリマーは受容層の親疎水性の制御に有効であり、多量に使用し過ぎない場合はインクシートからの染料転写が良好であり、転写濃度も良好となる。特に、本発明の効果の点で、ポリビニルピロリドンを使用することが好ましい。
水溶性ポリマーの使用量は、受容層の固形分全体の質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
(ゼラチン以外の水溶性ポリマー)
本発明において前記受容層にはゼラチン以外の水溶性ポリマーを含有させることができる。本発明に用いることのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーとしては、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。
本発明に併用することのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、アラビアガム、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、グアガム(Squalon製Supercolなど)、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(National Starch & Chemical Co.製Purity−21など)、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical Co.製National 78−1898など)など、微生物系多糖類としては、キサンタンガム(Kelco製Keltrol Tなど)、デキストリン(National Starch & Chemical Co.製Nadex360など)など、動物系天然高分子としては、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウム(Croda製CromoistCSなど)などが挙げられる(いずれも商品名)。セルロース系としては、エチルセルロース(I.C.I.製Cellofas WLDなど)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル製CMCなど)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル製HECなど)、ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon製Klucelなど)、メチルセルロース(Henkel製Viscontranなど)、ニトロセルロース(Hercules製Isopropyl Wetなど)、カチオン化セルロース(Croda製Crodacel QMなど)などが挙げられる(いずれも商品名)。デンプン系としては、リン酸化デンプン(National Starch & Chemical製National 78−1898など)、アルギン酸系としては、アルギン酸ナトリウム(Kelco製Keltoneなど)、アルギン酸プロピレングリコールなど、その他の分類として、カチオン化グアガム(Alcolac製Hi−care1000など)、ヒアルロン酸ナトリウム(Lifecare Biomedial製Hyalureなど)が挙げられる(いずれも商品名)。
本発明に併用することのできるゼラチン以外の水溶性ポリマーのうち、合成高分子について詳しく説明する。アクリル系としてはポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩またはその共重合体など、ビニル系としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコールなど、その他としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸またはその共重合体、ナフタレンスルホン酸縮合物塩、ポリビニルスルホン酸またはその共重合体、ポリアクリル酸またはその共重合体、アクリル酸またはその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸またはその共重合体、など)、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドまたはその共重合体、ポリアミジンまたはその共重合体、ポリイミダゾリン、ジシアンシアミド系縮合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン縮合物、ポリアクリルアミドのホフマン分解物、水溶性ポリエステル(互応化学(株)製プラスコートZ−221、Z−446、Z−561、Z−450、Z−565、Z−850、Z−3308、RZ−105、RZ−570、Z−730、RZ−142(いずれも商品名)などである。このなかでも、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
本発明に用いられるポリビニルアルコールとしては、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−228、PVA−235、PVA−403、PVA−405などである(いずれもクラレ(株)製の商品名)。
上記の好ましい水溶性ポリマーのうち、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチンを用いることが好ましい。これらは単独でも混合物でも用いることができ、より好ましくはゼラチンを用いることである。
[受容層表面のESCA測定]
本発明のレンチキュラーレンズシートは、レンチキュラーレンズシートの背面に形成された受容層表面のESCA分析から求めたC1s及びSi2pのピーク面積の強度比(Si/C)(%)が0.01〜0.30であることが好ましく、0.01〜0.25であることがより好ましく、0.01〜0.20であることが最も好ましい。
上記範囲にある受容層を用いることによって、斑目状転写故障および色材転写時の斑目状転写故障、白色層転写時の転写不良、転写不均一故障を抑制する効果もある。
なお、受容層表面のESCA分析の具体的な測定条件及び測定する元素の例を下記に示す。
測定条件 装置: ESCA3400(商品名、島津製作所(株)製)
X線: Mgアノード型
加速: 12kV、20mA
データの読み取り間隔: 0.1eV
1点にかける時間: 0.5sec
測定繰返し回数: 1回測定
測定する元素は炭素(C1s)、塩素(Cl2p)、ケイ素(Si2p)、及びフッ素(F1s)を基本に測定する。なお、必要に応じて、他の添加物がある場合、それに起因する元素を含めて測定することが好ましい。測定した元素の面積強度から元素比率を算出する。
受容層表面を上記範囲にするには、前述のような受容層の構成、特にその好ましい構成で調整することができ、前記一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンのようなシリコーン化合物による調整とこれ以外の前述のような受容層の構成との組合せが効果的である。
[中間層]
本発明のレンチキュラーレンズシートは、レンチキュラーレンズシートと受容層との間に少なくとも1層の中間層を有してもよい。中間層は、その上下層との密着性を付与する目的あるいはクッション性を付与する目的等で適宜設ける層である。中間層は、その上下層との密着性を付与する目的あるいはクッション性を付与する目的等で適宜設ける層である。透明支持体上の予め塗布される下塗り層とは区別される。
中間層にはポリマーラテックスを含有することが特に好ましい。
ポリマーラテックスとして特に限定するものではないが、例として、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体(SBRラテックス)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBRラテックス)、メチルメタクリレート/ブタジエン共重合体(MBRラテックス)、スチレン/アクリル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのポリマーラテックスなどから選択して用いられる。これらの中でも、ポリウレタン、SBR、NBR、MBRおよび塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、SBR、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体がより好ましく、SBRが最も好ましい。これらのポリマーラテックスは必要に応じて、単独又は2種類以上混合して用いることができる。
ポリウレタン系ラテックスとしては、大日本インキ化学(株)製HYDRAN AP10、AP20、AP30、AP40、APX−101H、1320NS、1610NS、1670NS、1980NS、HW−337、HW−350、HW−920、HW−940、大成ファインケミカル(株)製WEM−202U、WEM−3008、WEM−321U、WEM−031U、WBR−016U、WBR−2018U、WBR−2019、大日精化(株)製D−1000、D−2000、D−4000、D−6000、D−9000、高松油脂(株)製NS−155NX、NS−310A、NS−310X、NS−311X、日本ポリウレタン(株)製WOE−305、第一工業製薬(株)製エラストロンなどが挙げられる(いずれも商品名)。
メチルメタクリレート/ブタジエン共重合体ラテックスとしては、日本エイアンドエル(株)製MR−170、MR−171、MR−172、MR−173、MR−174、MR−180などが挙げられる(いずれも商品名)。
アクリロニトリル/ブタジエン共重合体ラテックスとしては、日本エイアンドエル(株)製SR−141、SR−142、日本ゼオン(株)製Nipol 1561、1562、1571H、1571C2、1571CL、LX517A、LX517B、1577K、LX511A、LX513、LX531、LX531B、LX550、LX550L、LX551、LX552などが挙げられる(いずれも商品名)。
塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、受容層で説明した塩化ビニル、塩化ビニル共重合体ラテックスが挙げられる。
本発明において中間層中には、水溶性ポリマーを含有させることができる。例としては、前記水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーのなかで、ポリビニルアルコールが特に好ましい。これらの樹脂は単独又は混合して用いることができる。
本発明において中間層の塗布量は、0.1〜10.0g/m2であることが好ましく、0.5〜5.0g/m2であることがより好ましい。
上記以外では、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層を設けても良い。これらの層については、例えば特許第3585599号公報、特許第2925244号公報などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
<カール調整層>
本発明のレンチキュラーレンズシートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、前記下塗り層の素材や厚みによって調整され得る。
本発明のレンチキュラーレンズシートは、受容層とともに必要に応じ上記のような層を設けた、感熱転写受像シートを含むものである。
<その他の添加剤>
本発明のレンチキュラーレンズシートには、必要に応じて前記受容層以外にも、添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、紫外線吸収剤、防腐剤、造膜助剤、硬膜剤、マット剤(滑剤を含む)、酸化防止剤、その他の添加剤を含有させることができる。
紫外線吸収剤:
本発明のレンチキュラーレンズシートには、紫外線吸収剤を含有させてもよい。その紫外線吸収剤としては、通常の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のものでよい。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)(いずれも商品名)等が挙げられる。
防腐剤:
本発明のレンチキュラーレンズシートには、防腐剤を添加してもよい。本発明のレンチキュラーレンズシートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されているものを用いることができる。具体的には、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の点でも4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
造膜助剤:
本発明のレンチキュラーレンズシートには、高沸点溶剤を添加することが好ましい。高沸点溶剤は造膜助剤または可塑剤として機能し、ポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)に記載されている。高沸点溶剤(造膜助剤)の例として以下のものが挙げられる。
Z−1:ベンジルアルコール類
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート類
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール類
Z−4:ジエチレングリコール類
これらの高沸点溶剤を添加すると、画像のにじみが見られ、実用上好ましくない場合があるが、塗布膜中の上記溶剤類の含有量が固形分で1%以下であれば、性能上問題がない。
硬膜剤:
本発明のレンチキュラーレンズシートにおいては、硬膜剤を使用してもよい。レンチキュラーレンズシートの塗設層(例えば、受容層、中間層、下引き層など)中に添加することができる。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1,4,6,8,14,米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表される化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表される化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N'−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
マット剤:
本発明のレンチキュラーレンズシートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加してもよい。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
マット剤は、一般に水に不溶の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であってもよいし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であってもよい。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤を用いることができる。
[レンチキュラーレンズシートの受容層等の塗設方法]
以下、レンチキュラーレンズシートの背面に塗設する受容層等の塗設方法を説明する。
本発明は少なくとも1層の受容層を有するものであるが、受容層を2層以上有したり、受容層にクッション層のような中間層を有する場合、これらの層を塗設するには塗布方式で塗設するのが好ましい。なお、塗布面は、レンチキュラーシートが、透明支持体上にレンチキュラーレンズ樹脂層が形成されている場合は、支持体上の、レンチキュラー樹脂層とは反対側の面、さらに、この面に下引き層が塗設されている場合は、この下引き層、また、レンチキュラーレンズ樹脂層が支持体シートを兼ねている場合はこのシート面となる。受容層等の上記塗設層は、これらの層の塗布液を塗布面上に同時重層塗布して製造することが好ましい。
このような同時重層塗布は、水系塗布であることが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
複数の機能の異なる複数の層(中間層、受容層など)からなる多層構成の塗布層を有するシートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。
一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば特開米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。これらの塗布方法では、複数の塗布液を塗布装置に同時に供給して異なる複数の層を形成する。
本発明において、上記方法のうち、スライド塗布あるいはカーテン塗布が好ましい。これらの塗布方法は、単一の受容層を塗布するだけでなく、これが複数の層(複数の受容層、中間層、下塗り層等)を同時重層塗布できる。
同時重層塗布においては、均質な塗膜形成および良好な塗布性の点で、各層を構成する塗布液の粘度および表面張力を調整する必要がある。塗布液の粘度は、通常の増粘剤や減粘剤を他の性能に影響を与えない範囲で使用することにより容易に調整できる。また、塗布液の表面張力は各種の界面活性剤により調整可能である。
これらの各層を塗布するための塗布液の温度は、25℃〜60℃が好ましく、30℃〜50℃であることがさらに好ましい。特に塗布液にゼラチンを使用する場合の塗布液の温度は33℃〜45℃であることが好ましい。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は透明支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
乾燥ゾーンでは、乾燥速度が一定で、材料温度とほぼ湿球温度が等しい恒率乾燥期間と、乾燥速度が遅くなり、材料温度が上昇する減率乾燥期間を経て乾燥が進む。恒率乾燥期間では、外部から与えられた熱はすべて水分の蒸発に使われる。減率乾燥期間では、材料内部での水分拡散が律速になり、蒸発表面の後退等により乾燥速度が低下し、与えられた熱は材料温度上昇にも使われるようになる。
セットゾーンおよび乾燥ゾーンにおいては、各塗布膜の間および支持体と塗布膜の間で水分移動が起こり、また塗布膜の冷却と水分蒸発による固化が起こる。このため、製品の品質・性能には乾燥途中での膜面温度・乾燥時間等の履歴が大きく影響し、要求品質に応じた条件の設定が必要とされる。
セットゾーンの温度は、15℃以下であり、なおかつその冷却工程時間を5秒以上30秒未満とすることが好ましい。5秒未満では十分な塗布液粘度上昇が得られずその後の乾燥時に面状が悪化してしまう。また30秒以上の冷却工程を経るとその後の乾燥工程においての水分除去に時間がかかり、生産効率が低下する。
15℃以下での冷却工程後、15℃を越える環境下で乾燥を行うが、その際、本発明においては、冷却終了後から30秒以内に、重層塗布された塗布膜における水の蒸発量を、塗布直後に1m2あたりに塗りつけられた膜面に含まれる水分の60%以上とすることが好ましい。塗布直後に1m2あたりに塗りつけられた膜面に含まれる水分とは、塗布前に調液された塗工液中の含水量に等しい。蒸発水分量が少なすぎなければ、塗布面状の水分が多すぎず、面状が良好となる。一方、該蒸発量を60%以上とする際に乾燥温度を50℃より高くしすぎなければ、水分の蒸発が急激とならず、ひび割れなどを起こさず、面状が良好となるため、乾燥温度は50℃以下に抑えることが好ましい。
蒸発量の規定は、塗布後の感熱転写受像シートを110℃1時間の条件(雰囲気)で乾燥させたものの質量を100%蒸発したものと定義して、質量の差分を量ることで行うことができる。
また、受容層の耐傷性向上の観点から、最終的に乾燥温度を120℃環境下で行うことによって受容層を造膜することが好ましい。
乾燥された塗布済み品は、一定の含水率に調整され巻き取られるが、巻取り、塗布済み品の保存過程での含水率、温度によって硬膜進行が影響されるため、巻取りでの含水率について適切な調湿過程条件の設定が必要となる。
一般に、硬膜反応は高温・多湿条件ほど進行しやすい。しかし、含水率が高すぎると、塗布品同士が接着したり、性能上の問題が生じたりする場合がある。この為、巻取りの含水率(調湿条件)と貯蔵条件は品質に応じた設定が必要とされる。
代表的な乾燥装置としては、エアループ方式、つるまき方式等がある。エアループ方式は、ローラーで支持された塗布済み品に乾燥風噴流を吹き付ける方式であり、ダクトは縦に配置する方式と、横に配置する方式がある。乾燥機能と搬送機能は基本的に分離されていて、風量等の自由度が大きい。しかし、多くのローラーを使うため、寄り・シワ・スリップ等のベースの搬送不良が発生しやすい。つる巻き方式は、円筒状のダクトに塗布済み品をつる巻き状に巻きつけて乾燥風で浮上させて(エアフローティング)搬送・乾燥する方式で、基本的にローラー支持がいらない(特公昭43−20438号公報)。その他、上下互いにダクトを設置して搬送する乾燥方式がある。一般的に乾燥分布はつるまき式に比べ良いが、浮上能力が劣る。
<画像形成方法>
本発明の受容層を有するレンチキュラーレンズシートを用いて画像形成する方法としては、本発明のレンチキュラーレンズシートの受容層と感熱転写シートの染料層(熱転写層)とが接するように重ね合わせて、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する。
具体的な画像形成は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は3分未満が好ましく、2分未満がより好ましくい。
上記プリント時間を満たすために、プリント時のライン速度は15.0msec/line以下が好ましく、10msec/line以下であることがより好ましく、さらに好ましくは7msec/line以下である。また、高速化条件における転写効率向上の観点から、プリント時のサーマルヘッド最高到達温度は、180℃〜450℃が好ましく、さらに好ましくは200℃〜450℃である。さらには350℃〜450℃が好ましい。
<感熱転写シート>
本発明の受容層を有するレンチキュラーレンズシートは、感熱転写シートにより、染料を転写して画像を形成後、白色層(白色転写層)が転写される。染料を転写するための感熱転写シートと白色層を転写するための感熱転写シートは、一体型のシートであっても別シートであっても構わない。また、白色層が転写された後、転写性保護層を転写してもよい。
一体型の感熱転写シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の支持体上に、バインダー樹脂にイエロー、マゼンタ、シアン、の3色の染料をそれぞれ分散させた染料層(色材層)および白色層を面順次に設けたものであり、別シートの場合、染料転写用には、上記支持体上に、バインダー樹脂にイエロー、マゼンタ、シアン、の3色の染料をそれぞれ分散させてた染料層を面順次に設け、白色層転写用には、上記支持体上に白色層設けたものを使用する。
ここで、染料転写に際しては、染料層はブラックを加えた4色とした態様でもよい。
なお、保護層を転写する場合、一体型の感熱転写シートでは、上記の白色層の後に熱転写性保護層が設けられ、別シートの場合、白色層を設けた熱転写シートに面順次に熱転写性保護層を設けるか、さらに別のシートに熱転写性保護層を設けたシートを使用してもよい。
また、一体型の感熱転写シートでは、上記の白色層の前に熱転写性保護層を設けてもよく、別シートの場合、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の各染料層、熱転写性保護層を面順次に設けた感熱転写シートと白色層を設けた熱転写シートとを組み合わせてもよい。この場合は、保護層は、受容層上に形成され、この保護層上に白色層が転写されることになる。
ここで、いずれの感熱転写シートも、支持体の染料層、白色層または熱転写性保護層を有する側とは反対側に、耐熱滑性層を有するのが好ましい。
[支持体]
支持体は、従来公知の支持体が使用できる。例えば、ポリアミドフイルム、ポリイミドフイルム、ポリエステルフィルムが挙げられる。これらのうちポリエステルフイルムが好ましく、ポリエステルフイルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
支持体の厚さは、その強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜変更することができるが、好ましくは1〜100μmである。より好ましくは2〜50μm程度のものであり,さらに好ましくは3〜10μm程度のものが用いられる。
[染料層(色材層)]
(バインダー樹脂)
感熱転写シートに用いられるバインダー樹脂の例としては、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、硝酸セルロース等の変性セルロース系樹脂ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びエチルセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、各種エストラマー等が挙げられる。これらを単独で用いる他、これらを混合、または共重合して用いることも可能である。
(染料)
染料は、熱により拡散し、感熱転写シートに組み込み可能かつ、加熱により感熱転写シートから感熱転写受像シートに転写するものであれば特に限定されず、熱転写シート用の染料として従来から用いられてきている染料、あるいは公知の染料を用いることができる。
好ましい染料としては、たとえば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等が挙げられる。
具体例を挙げると、イエロー染料としては、ディスパースイエロー231、ディスパースイエロー201、ソルベントイエロー93等が、マゼンタ染料としては、ディスパースバイオレット26、ディスパースレッド60、ソルベントレッド19等が、さらに、シアン染料としては、ソルベントブルー63、ソルベントブルー36、ディスパースブルー354、ディスパースブルー35等が挙げられるがこれらに限定されない。また、上記の各色相の染料を任意に組み合わせることも可能である。
感熱転写シートは、染料層と支持体の間に染料バリア層を設けることができる。
支持体面に対しては、塗布液の濡れ性及び接着性の向上を目的として、易接着処理を行なってもよい。処理方法として、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術を例示することができる。
また、支持体上に塗布によって易接着層を形成することもできる。易接着層に用いられる樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等を例示することができる。
支持体に用いられるフィルムを溶融押出し形成する時に、未延伸フィルムに塗工処理を施し、その後に延伸処理して行なうことも可能である。
また、上記の処理は、2種類以上を併用することもできる。
[白色層(白色転写層)]
感熱転写シートに用いられる白色層は、転写後の印画物に適度な白色隠蔽性と光拡散性を持たせるための白色顔料と、バインダー樹脂とから構成されている。白色層と支持体との間に剥離層を設けるのが好ましい。また、白色層の上層には接着層を有してもよい。ここで、白色層が接着層を介さないで疑似画像上に転写する場合には、従来公知の接着性を有するバインダー樹脂を使用したり、接着剤を含有させてもよい。白色顔料としては、典型的な白色顔料のほか、充填材を用いることができる。従って、ここでいう白色顔料には充填材が含まれる。
白色顔料は、硬い固体粒子であり、例えば、酸化チタンまたは酸化亜鉛等の白色顔料、シリカ、アルミナ、クレイ、タルク、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウム等の無機充填剤、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂等の樹脂粒子(プラスチックピグメント)が用いられる。なお、酸化チタンには、ルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンとがあるが、何れでもよい。
バインダー樹脂は、従来公知のものを用いることができるが、好ましくはアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂またはこれらの一部架橋樹脂である。
白色層には、上記白色顔料とバインダー樹脂との他に、蛍光増白剤を添加することができる。蛍光増白剤は、スチルベンゼン系化合物またはピラゾリン系化合物等のような蛍光増白効果のある公知化合物を使用することができる。また、白色層に若干の着色剤を含有させてもよい。
白色層は、それが転写されたレンチキュラーレンズシート印画物をバックライトによる透過光で観賞する場合には、適度な光拡散性と光透過性を持たせる必要があり、一方、それが転写されたレンチキュラーレンズシート印画物を正面からの反射光で観賞する場合には適度な光拡散性と光反射性を持たせる必要がある。後者の場合、転写後の白色層の全光線透過率は60%以下であることが好ましく、特に連続画像となるような疑似画像を形成するような場合には50%以下が好ましい。
転写後の白色層の全光線透過率を60%以下にして、十分な白色隠蔽性を付与するために、白色層を構成するバインダー樹脂(A)と白色顔料(B)との比を、A/B=1/1〜1/10の範囲に設定することが好ましい。この量比の下限を1/1.5とし、または、その上限を1/6とするのが特に好ましい。A/Bの比は、白色層が転写される対象となるレンチキュラーレンズシートまたは受容層の材質によって適宜その範囲内で設定される。A/Bが1/1よりも大きくなると全光線透過率が60%を越えて白色隠蔽性が低下する場合がある。また、白色顔料を多くしてA/Bが1/10よりも小さくなると、塗膜性が落ちるので、擦過性が劣る場合があったり、樹脂分が少なくなることにより接着性が落ちる場合がある。
白色層の厚さは、0.5〜10μm程度とする。
全光線透過率の測定は、JIS K 7105で規定される。感熱転写シートの白色層転写部の全光線透過率を60%以下、好ましくは50%以下となるように、上記のA/B比と白色層の厚さを設定することによって、優れた印画物を形成することができる。
[剥離層]
感熱転写シートに用いられる剥離層は、白色層とともに白色層転写部を構成し、支持体フィルムと白色層との間に形成されている。剥離層は、感熱転写シートとレンチキュラーレンズシートとの融着を防止して、白色層がレンチキュラーレンズシートに設けられた受容層上に転写ムラなく、容易に転写されるために設けられる。
剥離層としては、例えば、剥離層と支持体フィルムの界面で分離する離型性剥離層や、剥離層の層内で凝集破壊を起こして支持体フィルムから分離する凝集性剥離層を形成することができる。
離型性剥離層は、バインダー樹脂に必要に応じて離型性材料を添加して構成することができる。使用可能なバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、あるいは熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエレタン系樹脂、アミノアルキッド樹脂等が挙げられ、これらの樹脂の一種または二種以上からなる組成物から離型性剥離層を構成することができる。
また、離型性材料としては、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂等の離型性を有する樹脂、タルク、シリカの微粒子、界面活性剤や金属セッケン等の滑剤等が使用できる。
離型性剥離層は、離型性を有する樹脂から構成することもできる。この場合、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂等が使用でき、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂分子中にポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント等の離型性セグメントがグラフトしたグラフトポリマーを使用してもよく、上記の樹脂の一種または二種以上からなる組成物から構成することもできる。離型性剥離層には、上記の材料のほかに、スチルベンゼン系、ピラゾリン系等の蛍光像増白効果のある従来公知の蛍光増白剤を添加してもよい。
凝集破壊性剥離層は、白色層転写部が受容層上に転写される際に、剥離層の厚さ方向の中間付近でいわゆる凝集破壊を起こして、その一部が基材フィルムから剥がれずに残り、他の一部が印画物上に転写される。凝集破壊性剥離層が剥離してレンチキュラーレンズシート上に移行すると、印画物の最表面には凝集破壊面の凹凸形状が形成される。印画物の最表面に形成された凹凸は、例えば、バックライトによる透過光で観賞する場合には、照射された光を拡散し、反射させる。このことは、白色層の光拡散性を補充し、良好な光拡散性と光透過性を併有する見栄えのよい印画物を形成することができる。
凝集破壊性剥離層を形成するための材料は、バインダー樹脂と、必要に応じて添加される離型性材料とが使用される。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルもしくはポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコールもしくはポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロースもしくは酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂等の一種または二種以上の樹脂を使用することができる。これらのバインダー樹脂は、熱転写時に基材シートとの融着を防ぐため、Tgまたは軟化点が100℃以上の樹脂を含むことが好ましい。また、適切な離型性材料と組み合わせることにより、Tgまたは軟化点が100℃未満の樹脂でも用いることができる。
離型性材料としては、ワックス類、タルクもしくはシリカ等の無機微粒子または有機微粒子を使用できる。離型性材料は、バインダー樹脂量に対して0.1〜200質量%添加することが好ましく、更に好ましくは10〜100質量%である。
凝集破壊性剥離層に離型性材料を使用しない場合は、上記バインダー樹脂のうち、樹脂同志の相溶性が低い2種類以上を使用することによって、剥離層を形成するバインダー樹脂同士の界面で剥離させることができる。
剥離層に白色顔料を含有させることによって、印画物の白色隠蔽性を向上させることもできる。例えば、白色隠蔽性が不十分な場合、白色層だけでなく剥離層にも白色顔料を含有させて、白色層と剥離層とで全光線透過率を60%以下にして十分な白色隠蔽性を有する印画物を得ることができる。
また、白色層に接着性を付与したい場合や接着性を向上させたい場合には、白色層に接着性のバインダー樹脂を含有させることができるが、この場合、おのずと白色顔料の割合が低下し、白色隠蔽性が不足してくる場合がある。このような白色層の白色隠蔽性を補うため、剥離層に白色顔料を含有させて、十分な白色隠蔽性を有する印画物を得ることもできる。
剥離層に含有させる白色顔料としては、上述と同様に、酸化チタンまたは酸化亜鉛等を使用することができる。白色顔料の含有量は、白色層の白色隠蔽性との関係で設定されるため、一概にその範囲を規定することはできないが、剥離層中に白色顔料を添加する場合、剥離層を構成するバインダー樹脂量に対して、通常100〜500質量%、好ましくは上限を300質量%程度、下限を200質量%程度添加する。
以上のような離型性または凝集破壊性の剥離層には、上記の材料の他に、耐候性能を向上させるための紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光贈白剤(スチルベンゼン系、ピラゾリン系等)等を加えてもよい。
剥離層は、上述した染料層と同様な方法で形成することができ、その厚さは、塗布乾燥後で0.1〜5.0μmが好ましい。
なお、白色層および剥離層は、特許第3789033号公報に記載のものが好ましく使用される。
[接着層]
白色層の上層には接着層を有してもよい。接着層は、後述の熱転写性保護層の接着層が好ましく適用される。
[熱転写性保護層]
熱転写性保護層(積層体)は、熱転写された白色層の上に透明樹脂からなる保護層を熱転写で形成し、耐擦過性、耐水性、耐光性、耐候性等の耐久性を向上させるために用いられる。レンチキュラーレンズシート背面上に転写された白色層は、耐光性、耐擦過性、耐薬品性等の画像耐久性が不十分な場合があり、さらには白色層の下層の受容層中の染料の耐光性、耐擦過性、耐薬品性等の画像耐久性が不十分な場合があり、このような透明保護層を設けることが好ましい。一例としてポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上に、支持体側から離型層、保護層、接着剤層の順に配設されている場合が挙げられる。保護層を複数の層で形成することも可能である。保護層が他の層の機能を兼ね備えている場合には、離型層、接着剤層を省くことも可能である。支持体としては、易接着層の設けられたものを用いることも可能である。
保護層を形成する樹脂としては、耐擦過性、耐薬品性、透明性、硬度に優れた樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これら各樹脂のシリコーン変性樹脂、これら各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例として挙げることができる。この他にも、保護層形成用樹脂として従来から知られている各種の樹脂を用いることができる。また、紫外線吸収性の付与、転写時の膜切れ性、光沢、白色度向上等を目的として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、有機フィラー及び/又は無機フィラー等を必要に応じて適宜添加することも好ましい。
上記アクリル樹脂としては、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーの中から選ばれた少なくとも1つ以上のモノマーからなる重合体が好ましく、アクリル系モノマー以外にスチレン、アクリロニトリル等を共重合させても良い。好ましいモノマーとしては、メチルメタクリレートで、仕込み質量比で50質量%以上含有していることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂が使用でき、ポリエステル樹脂の酸成分としては、例えば、芳香族としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、ヘキサハイドロイソフタル酸、ヘキサハイドロテレフタル酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等であり、これらの化合物はメチルエステル化されていても構わないし、それらの酸無水物であってもよい。
更に、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、ヒドロキシピバリン酸、γ−ブチリラクトン、ε−カプロラクトン、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等を必要に応じて、併用することが出来る。また、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸等のトリ及びテトラカルボン酸等の3官能以上のポリカルボン酸を全カルボン酸成分に対して10モル%以下であれば、使用することが出来る。特に芳香族ジカルボン酸の一部をスルホン酸或いはその塩で置換された酸成分を、1個以上1分子鎖中に含む構成が好ましく、これらのスルホン酸置換(又はその塩の基)量の上限としては、有機溶剤に可溶な範囲内で共重合されているほうが、他の有機溶剤可溶な添加剤や樹脂と混合して使用できるという点で更に好ましい。これらのスルホン酸置換(又はその塩の基)を含有する好ましい芳香族ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等、またそれらの、アンモニウム塩、及びそのリチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、銅、鉄等の金属塩、が挙げられる。特に好ましいものは5−ナトリウムスルホイソフタル酸である。
上記ポリエステルの他の原料であるポリオール成分としては、エチレングルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが挙げられる。ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド付加物も必要により使用しうる。
芳香族含有グリコールとしては、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等の、ビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類が例示される。脂環族ジオール成分としては、例えば、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメチロール、トリシクロデカンジメタノール(TCD−M)、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジジメタノール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。上記ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度は50〜120℃が好ましく、又、分子量は2,000〜40,000の範囲が好ましく、更に4,000〜20,000の範囲が保護層転写時に箔切れ性が良くなり、より好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂を用いることにより、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れた保護層を得ることができる。具体例として、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させるものがある。このさい、必要に応じて光重合開始剤を添加して電子線や紫外線によって重合架橋させても良い。その他、公知の電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
印画物に耐光性を付与するために、紫外線吸収剤あるいは/及び紫外線遮断性樹脂を含有する保護層も好ましい態様である。
保護層は、保護層形成用樹脂の種類に依存するが、前記熱転写層の形成方法と同様の、方法で形成され、0.5〜10μm程度の厚さが好ましい。
保護層が転写時に支持体から剥離しにくい場合には、離型層を支持体と保護層との間に形成するのも好ましい態様である。離型層は、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、弗素樹脂等のような離型性に優れた材料、或はサーマルヘッドの熱によって溶融しない比較的高軟化点の樹脂、例えば、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリルビニルエーテル系樹脂、無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、あるいはこれらの樹脂にワックス等の熱離型剤を含有させた樹脂からなる塗布液を従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することにより形成することができる。上記の樹脂の中でも、アクリル樹脂として、アクリル酸やメタクリル酸等の単体、または他のモノマー等と共重合させた樹脂が好ましく、支持体との密着性、保護層との離型性において優れている。また、これらの樹脂は単独で用いても複数を用いても良い。
この離型層は、印画時(転写時)にはポリエチレンテレフタレート(PET)支持体側に残る。
層の厚みは0.5〜5μm程度が好ましい。離型層中に各種の粒子を含有させることにより、あるいは離型層の保護層側の表面をマット処理することにより表面をマット状にして、印画後の受像シート表面を艶消し状態にすることも可能である。
転写性保護層と離型層の間に剥離層を形成しても良い。剥離層は保護層と共に転写される。転写後は印画されたレンチキュラーレンズシート背面の白色層側の最外層となる層であって、透明性、耐磨耗性、耐薬品性に優れた樹脂から形成される。樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂等を例示することができる。充填剤、ワックス類等を添加することも可能である。
保護層の上に、転写性保護層積層体の最上層として接着剤層を設けることも好ましい態様である。これによって保護層の転写性を良好にすることができる。接着剤層には、公知の粘着剤、感熱接着剤、熱可塑性樹脂を使用することができるが、例として、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル/紫外線吸収剤共重合体樹脂、紫外線吸収性樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱時接着性の良好な樹脂を挙げることができる。これらの中でもガラス転移温度が40℃〜80℃の熱可塑性樹脂が好ましい。
Tgが40℃未満であると、被覆される画像と透明保護層との接着性が不十分となリ易い。Tgが80℃以上では、透明保護層の転写性が不十分になり易い。
特に好ましいものは、重合度が50〜300、さらに好ましくは50〜250のポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂である。
紫外線吸収性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂または電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、フェニルアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系、トリアジン系、ニッケルキレート系、置換アクリロニトリル系、ヒンダードアミン系等の従来公知の非反応性有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを、熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。
接着層は、上記のような樹脂と、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物等の有機系の紫外線吸収剤や、また亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄等の酸化物の如き無機系の紫外線吸収能を有する微粒子の添加剤を加えることができる。また、添加剤として、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等も適宜、必要に応じて使用することができる。上記のような接着層を構成する樹脂と、必要に応じて、上記のような添加剤を加えた塗工液を塗布及び乾燥することによって、好ましくは乾燥状態で0.5〜10μm程度の厚みで接着層を形成する。好ましくは0.5〜5μmであり、さらに好ましくは0.5〜3μmである。
[耐熱滑性層]
感熱転写シートは、染料層を塗設した支持体の面の他方の面(裏面)、すなわちサーマルヘッド等に接する側に耐熱滑性層(裏面層)を設けることが好ましい。また、白色層転写シートや、保護層転写シートの場合にも、支持体のサーマルヘッド等に接する側に耐熱滑性層を設けることが好ましい。
感熱転写シートの支持体の裏面とサーマルヘッド等の加熱デバイスとが直接接触した状態で加熱されると、熱融着が起こりやすい。また、両者の間の摩擦が大きく、感熱転写シートを印画時に滑らかに搬送することが難しい。
裏面層は、感熱転写シートがサーマルヘッドからの熱エネルギーに耐え得るように設けられるものであって、熱融着を防止し、滑らかな走行を可能にする。近年、プリンターの高速化に伴いサーマルヘッドの熱エネルギーが増加しているため、必要性は大きくなっている。
耐熱滑性層は、バインダーに滑剤、離型剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを塗布することによって形成される。また、裏面層と支持体との間に中間層を設けてもよく、無機微粒子と水溶性樹脂またはエマルジョン化可能な親水性樹脂からなる層が開示されている。
バインダーとしては、耐熱性の高い公知の樹脂を用いることができる。例として、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル/スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の天然又は合成樹脂の単体又は混合物を挙げることができる。
耐熱滑性層の耐熱性を高めるため、紫外線又は電子ビームを照射して樹脂を架橋する技術が知られている。また、架橋剤を用い、加熱により架橋させることも可能である。この際、触媒が添加されることもある。架橋剤としては、ポリイソシアネート等が知られており、このためには、水酸基系の官能基を有する樹脂が適している。特開昭62−259889号公報には、ポリビニルブチラールとイソシアネート化合物との反応生成物にリン酸エステルのアルカリ金属塩又はアルカリ土類塩及び炭酸カルシウム等の充填剤を添加することにより裏面層を形成することが開示されている。また、特開平6−99671号公報には、耐熱滑性層を形成する高分子化合物を、アミノ基を有するシリコーン化合物と1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を反応させることにより得ることが開示されている。
機能を十分に発揮させるために、裏面層には、滑剤、可塑剤、安定剤、充填剤、ヘッド付着物除去のためのフィラー等の添加剤が配合されていても良い。
滑剤としては、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化黒鉛等のフッ化物、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、硫化鉄等の硫化物、酸化鉛、アルミナ、酸化モリブデン等の酸化物、グラファイト、雲母、窒化ホウ素、粘土類(滑石、酸性白度等)等の無機化合物からなる固体滑剤、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂、シリコーンオイル、ステアリン酸金属塩等の金属セッケン類、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。
アルキルリン酸モノエステル、アルキルリン酸ジエステルの亜鉛塩などの燐酸エステル系界面活性剤も用いられるが、酸根を有しており、サーマルヘッドからの熱量が大になると燐酸エステルが分解し、更に裏面層のpHが低下してサーマルヘッドの腐食摩耗が激しくなるという問題点がある。これに対しては、中和した燐酸エステル系界面活性剤を用いる方法、水酸化マグネシウムなどの中和剤を用いる方法等が知られている。
その他の添加剤としては高級脂肪酸アルコール、オルガノポリシロキサン、有機カルボン酸およびその誘導体、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を挙げることができる。
耐熱滑性層は、上に例示したようなバインダーに添加剤を加えた材料を溶剤中に溶解または分散させた塗工液を、グラビアコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーなどの従来から公知の方法で塗布することによって形成される。0.1〜10μm程度の膜厚が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5μm程度の膜厚である。
レンチキュラーレンズシートは反射型で鑑賞するのが通例であるため、レンチキュラーレンズシート背面に、前記白色層を用いるのが一般的である。しかし、前記白色層を用いず、上記熱転写保護層を用いれば、透過型のレンチキュラーレンズシートも作製でき、用途により使い分けることが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、実施例中で、組成について部または%とある場合、特に断りのない限り質量基準である。
実施例1
(レンチキュラーレンズシートの作製)
先ず本発明に用いるレンチキュラーレンズシートを作製した。レンチキュラーレンズシートは、厚み188μmのポリエチレンテレフタレートシートフィルム支持体の片面側にレンチキュラーレンズを次のように形成することで作製した。
ポリエチレンテレフタレートシートを送り出し工程より10/分で巻き出して、レンチキュラーレンズ形状(半径150μm、レンズ高さ70μm、ピッチ254μm)を付けたエンボスロール(φ350mm、40℃)とニップロールの間に挿入して、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂PETG(SKケミカル製)と接着性樹脂(アドマー、商品名、三菱化学(株)製)を、温度280℃に設定したTダイ(吐出巾330mm)より、実測樹脂温度260〜280℃として共押出して、樹脂シートとエンボスロールの間に供給して積層し、レンチキュラーレンズが形成されたレンチキュラーレンズシート(厚み340μm)を得ることが出来た。
(試料101(比較例)の作製)
(受容層転写リボンの作製)
特開平11−142995号公報に記載の方法と同様に、受容層転写リボンを作製した。支持体として片面に易接着処理がされている厚さ6.0μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/mとなるように背面層(耐熱滑性層)塗工液を塗布した。乾燥後、60℃で熱処理を行い硬化させた。
背面層用塗工液
ポリビニルブチラール樹脂:エスレックBX−1
(商品名、積水化学工業(株)製) 3.6質量部
ポリイソシアネート:バーノックD750
(商品名、大日本インキ化学工業(株)製) 8.6質量部
リン酸エステル系界面活性剤:プライサーフA208S
(商品名、第一製薬工業製薬(株)製) 2.8質量部
タルク:ミクロエースP−3
(商品名、日本タルク工業(株)製) 0.7質量部
メチルエチルケトン 32.0質量部
トルエン 32.0質量部
次いで、ポリエステルフィルムの易接着処理された面に、以下に示す組成の離型層用塗工液1、受容層用塗工液1、接着層用塗工液を塗布し、転写性受容層を備えた転写製受容層積層体を作製した。塗布は、乾燥後の固形分塗布量で剥離層0.3g/m、受容層3.0g/m、接着層1.0g/mとなるよう作製した。
離型層用塗工液1
ポリウレタン樹脂:クリスボン9004
(商品名、大日本インキ化学工業(株)製) 100質量部
ポリビニルアセタール樹脂:KS−5
(商品名、積水化学工業(株)製) 30質量部
ジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン(重量比1/1)
300質量部
受容層用塗工液1
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂:デンカラック1000A
(商品名、電気化学工業(株)製) 100質量部
エポキシ変性シリコーン:KF−393
(商品名、信越化学工業(株)製) 3質量部
アミノ変性シリコーン:KF−343
(商品名、信越化学工業(株)製) 3質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
接着層用塗工液
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂:1000ALK
(商品名、電気化学工業(株)製) 50重量部
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合体樹脂:UVA−635L
(商品名、BASFジャパン社製) 50重量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400重量部
(受容層転写されたレンチキュラーレンズシートの作製)
前記レンチキュラーレンズシート上に、前記受容層転写リボンを用い受容層転写させることによって、受容層が形成されたレンチキュラーレンズシート試料101(比較例)を作製した。
受容層転写のためのプリンターには、富士フイルム(株)製 フジフイルムサーマルフォトプリンター ASK−2000(商品名)をレンチキュラーレンズシートでも画像形成可能なように一部変更して用いた。
(試料102(比較例)の作製)
前記レンチキュラーレンズシートの背面側に、以下に示す組成の受容層用塗工液2を塗布して、受容層が形成されたレンチキュラーレンズシート試料102(比較例)を作製した。なお、塗布は、乾燥後の固形分塗布量で3.0g/mとなるよう作製した。
受容層用塗工液2
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂:ソルバインCL
(商品名、日信化学工業(株)製) 100質量部
エポキシ変性シリコーン:KF−393
(商品名、信越化学工業(株)製) 3質量部
アミノ変性シリコーン:KF−343
(商品名、信越化学工業(株)製) 3質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
(試料103(比較例)の作製)
試料102の受容層塗布液2を、下記の受容層塗布液3に変更した以外は試料102と同様にして、試料103を作製した。
受容層用塗工液3
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂:ソルバインCL
(商品名、日信化学工業(株)製) 100質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 400質量部
(試料104(本発明)の作製)
(ポリエーテル変性シリコーンの合成)
本発明に用いられる一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンの合成は、伊藤邦雄著「シリコーンハンドブック」(日刊工業新聞社、1990年、p.163)等に記載されている公知の方法を用いることができる。
具体的には、撹拌装置と温度計付きガラスフラスコ内で、平均構造式(1):
Figure 2011062893
で表されるジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン共重合体 20質量部と平均構造式(2):CH=CHCHO(CO)20(CO)20CHで表される片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレン40質量部とを混合し、溶媒としてイソプロピルアルコール20質量部を加えた。更に塩化白金酸を加えて86℃で2時間撹拌した後、赤外吸収スペクトルでSi−Hを示すピークが消失していることを確認し、さらに30分間撹拌した。反応液を減圧濃縮することにより、下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−1を得た。
ポリエーテル変性シリコーンS1−1の合成例のうち、片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの構造を平均構造式(3):CH=CHCHO(CO)35CHに変更した以外は同様にして下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−2を得た。
ポリエーテル変性シリコーンS1−1の合成例のうち、片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの構造を平均構造式(4):CH=CHCHO(CO)10CHに変更した以外は同様にして下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−3を得た。
ポリエーテル変性シリコーンS1−1の合成例のうち、片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの構造を平均構造式(5):CH=CHCHO(CO)50(CO)50CHに変更した以外は同様にして下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−4を得た。
ポリエーテル変性シリコーンS1−1の合成例のうち、片末端アリルエーテル化ポリオキシアルキレンの構造を平均構造式(6):CH=CHCHO(CO)40(CO)35CHに変更した以外は同様にして下記表1に示すポリエーテル変性シリコーンS1−5を得た。
Figure 2011062893
試料102の受容層塗布液2を、下記の受容層塗布液4に変更した以外は試料102と同様にして、試料104を作製した。
受容層用塗工液4
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K−90、商品名、ISP(株)製)
前記ポリエーテル変性シリコーンS1−1(100%) 1.5質量部
アニオン性界面活性剤A1−1 0.5質量部
アニオン性界面活性剤BFS-1 0.1質量部
ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.04質量部
水 50.0質量部
(試料105(本発明)の作製)
試料102の受容層塗布液2を、下記の受容層塗布液5に変更した以外は試料102と同様にして、試料105を作製した。
受容層用塗工液5
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製、固形分40%)
塩化ビニル/アクリル系共重合体ラテックス 20.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製、固形分55%)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
ポリビニルピロリドン 0.5質量部
(K−90、商品名、ISP(株)製)
前記ポリエーテル変性シリコーンS1−1(100%) 5.0質量部
アニオン性界面活性剤A1−1 0.5質量部
アニオン性界面活性剤BFS−1 0.1質量部
ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.04質量部
水 50.0質量部
(受容層表面のESCA測定)
試料101〜試料105の受容層表面をESCA測定を行い、C1s及びSi2pのピーク面積の強度比(Si/C)(%)を求めた。なお、ESCAは島津製作所(株)製、ESCA3400(商品名)を用い、具体的な測定条件等は具体例として上述した条件等と同様である。その結果を下記表2に示す。
Figure 2011062893
(感熱転写シートの作製)
支持体として片面に易接着処理がされている厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ダイアホイルK200E−6F、商品名、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)の易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/mとなるように背面層(耐熱滑性層)塗工液を塗布した。乾燥後、60℃で熱処理を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着層塗布側に前記塗工液により、イエロー、マゼンタおよびシアンの各染料層を面順次となるように塗布した感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗布量は、0.8g/mとした。
背面層塗工液
アクリル系ポリオール樹脂 26.0質量部
(アクリディックA−801、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
ステアリン酸亜鉛 0.43質量部
(SZ−2000、商品名、堺化学工業(株)製)
リン酸エステル 1.27質量部
(プライサーフA217、商品名、第一工業製薬(株)製)
イソシアネート(50%溶液) 8.0質量部
(バーノックD−800、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 64質量部
イエロー染料層塗工液
下記イエロー染料 7.8質量部
ポリビニルアセタール樹脂 6.1質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 2.1質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精化(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
マゼンタ染料層塗工液
下記マゼンタ染料 7.8質量部
ポリビニルアセタール樹脂 8.0質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.2質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精化(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
シアン染料層塗工液
下記シアン染料 7.8質量部
ポリビニルアセタール樹脂 7.4質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.8質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精化(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
Figure 2011062893
特開平11−142995号公報に記載の方法に準じて、染料層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層塗工液2、白色層塗工液を塗布し、転写性白色層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.6g/m、白色層2.0g/mとした。
剥離層塗工液2
アクリル樹脂 16質量部
(LP−45M、商品名、総研化学株式会社製)
ポリエチレンワックス(平均粒径:約1.1μm) 8質量部
トルエン 76質量部
白色層塗工液
変成アクリル樹脂
(アクリディックBZ−1160、商品名、大日本インキ株式会社製)
20質量部
酸化チタン(アナターゼ型)
(TCA888、商品名、トーケムプロダクツ株式会社製) 40質量部
蛍光増白剤
(Uvitex OB、商品名、チバ・ガイキー社製) 0.3質量部
トルエン/イソプロピルアルコール(質量比1/1) 40質量部
(画像形成方法)
画像形成のためのプリンターには 富士フイルム(株)製 富士フイルムサーマルフォトプリンター ASK−2000(商品名)を用いた。上記受像層が形成されたレンチキュラーレンズシート試料101〜試料105と、上記感熱転写シートを、装填可能なように改造を行い、最低濃度から最高濃度までの全域のグレーの階調が得られる設定で出力した。各試料に対し2Lサイズ50枚を常温常湿環境条件下で印画した。なお、印画画像は、風景画、人物画、集合写真などさまざまな画像を用い、最終的に白色転写までを行った。
(斑目状転写故障の評価)
2Lサイズで50枚出力した各試料に対し、斑目状故障を下記ランクで評価した。

5:50枚中で斑目状故障が全く認められない。
4:50枚中1〜4枚で斑目状故障が散発しているが、実用上許容の範囲にある。
3:50枚中5〜9枚で斑目状故障が散発しているが、斑目状故障発生部分は小さく、実用上許容の範囲にある。
2:50枚中10〜19枚で斑目状故障が見られており、実用上問題となる品質である。
1:50枚中20枚以上で斑目状故障が見られており、実用上問題となる品質である。
(白色転写故障の評価)
2Lサイズで50枚出力した各試料に対し、白色転写故障を下記ランクで評価した。

5:50枚中で白色転写故障が全く認められない。
4:50枚中1〜4枚で白色転写故障が散発しているが、実用上許容の範囲にある。
3:50枚中5〜9枚で白色転写故障が散発しているが、斑目状故障発生部分は小さく、実用上許容の範囲にある。
2:50枚中10〜19枚で白色転写故障が見られており、実用上問題となる品質である。
1:50枚中20枚以上で白色転写故障が見られており、実用上問題となる品質である。
この結果を下記表3に示す。
本発明の試料104、105の受容層付きレンチキュラーレンズシートは比較例の受容層付きレンチキュラーレンズシート101〜103と比較して、斑目状転写故障が少なくかつ白色転写故障の少なかった。
Figure 2011062893
実施例2
実施例1における試料104において受容層塗布液4の変成シリコーンを下記表4のように変更することで、試料201〜206を作製した。ここで、ESCA測定の(Si/C)強度比の結果を併記した。
Figure 2011062893
上記表4に示す試料に対し、実施例1と同様の評価を30℃/相対湿度70%環境下で行った。
この結果を下記表5に示す。
Figure 2011062893
上記表5から明らかなように、本発明の中でも、一般式(S1)で示されるポリエーテル変成シリコーンを含む試料202〜205は特に斑目状転写故障が少なくかつ白色転写故障が少ない、という顕著な効果を示した。
1 ダイ
2 エンボスロールあるいは鏡面ロール
3 ニップローラ
4 剥離ローラ
5 押し出し機
6 樹脂ホッパ
7 塗布・乾燥工程
8 基材シート
9 基材シートに押し出しラミネートされたシート
10 樹脂シート

Claims (4)

  1. レンチキュラーレンズシートを基材とし、この背面に少なくとも1層の受容層を有するレンチキュラーレンズシートであって、該受容層がポリマーラテックスを含有し、該受容層表面が、ESCA表面分析より求めたC1s及びSi2pのピーク面積の強度比(Si/C)(%)が0.01以上0.30以下であることを特徴とするレンチキュラーレンズシート。
  2. 前記受容層が下記一般式(S1)で表されるポリエーテル変性シリコーンを含有することを特徴とする請求項1に記載のレンチキュラーレンズシート。
    Figure 2011062893
    (一般式(S1)において、Rはアルキル基を表し、Rは−X−(CO)a1−(CO)b1−Rを表し、Rは、水素原子、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。Xはアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を表す。m1およびn1は各々独立に正の整数を表す。a1は正の整数を表し、b1は0または正の整数を表す。)
  3. 前記受容層が塩化ビニル成分を構成成分として含有するポリマーラテックスを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のレンチキュラーレンズシート。
  4. 前記受容層が下記一般式(A1)または(b1)で表されるアニオン性界面活性剤の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンチキュラーレンズシート。
    Figure 2011062893
    (一般式(A1)において、R4およびR5は各々独立に炭素原子数3〜20のアルキル基を表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。)
    Figure 2011062893
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素原子数が2以上でフッ素原子数が11以下のフッ化アルキル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子か置換または無置換のアルキル基を表す。AおよびBは、一方が水素原子を、もう一方が−Lb−SO3Mを表し、Mは水素原子またはカチオンを表す。Lbは、単結合または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。)
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