JP2012245720A - 熱転写両面受像シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材11と、前記基材上の両面に、クッション層12.15と、断熱層13.16と、受容層14.17とをこの順に有してなる、熱転写両面受像シート10において、前記の断熱層は、中空粒子を含み、前記のクッション層は、ガラス転移温度が20〜60℃のビニル系樹脂から選択された1種又は2種以上の材料からなる。
【選択図】図1
Description
本発明の熱転写両面受像シートは、基材と、該基材の両面上にクッション層と、断熱層と、受容層とをこの順に有してなるものである。好ましい態様では、熱転写両面受像シートは、断熱層と受容層の間に、プライマー層や中間層をさらに有してもよい。
本発明における基材は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
本発明における断熱層は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性やクッション性を有するものである。本発明における断熱層は、中空粒子を含むものであり、下記の親水性バインダー、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。断熱層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備えることができる。また、好ましい態様によれば、断熱層は2層以上からなるものであってもよい。このように断熱層を2層以上設けることで、印画品質に影響する断熱性およびクッション性と、基材への密着性とを改善することができる。ここで、断熱層のクッシ
ョン性の程度は、熱転写両面受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。なお、断熱層のクッション性の程度についても、例えば、断熱層の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。断熱層の厚みは、断熱性、クッション性等を所望の程度に調整できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、断熱層の密度は、例えば0.1g/cm3〜0.8g/cm3の範囲内、なかでも0.2g/cm3〜0.7g/cm3の範囲内であることが好ましい。
本発明で用いる中空粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmである。中空粒子の体積平均粒径が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。また、中空粒子の平均中空率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30〜80%である。中空粒子の平均中空率が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。さらに、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。本発明においては、市販の中空粒子を用いることもでき、例えば、HP−1055、HP−91、およびローペイクSE(ロームアンドハース(株)製)、ならびにMH−5055(日本ゼオン)等が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、断熱層および下記のプライマー層や中間層等に含まれる親水性バインダーとしては、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができ、特にゼラチンが好ましい。このような親水性バインダーを用いることで、断熱層および中間層等の各層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、ゼラチンを用いることで、塗布適性の向上ができる。また、各塗布液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、およびCLV(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい。
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。本発明においては、受容層は、熱可塑性樹脂を含むものであり、離型剤を含む事が好ましい。これによって、印画時に熱転写シートとのあいだで熱融着することを防止できる。
熱可塑性樹脂とは、熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容できるポリマーのことである。本発明では、溶剤系樹脂を熱可塑性樹脂として使用できる。これによって、熱可塑性樹脂を分散させた溶剤系溶液を調整し、この溶剤系溶液を使用して熱可塑性樹脂を分散させた、水系分散塗工液を調整する事ができる。
本発明の好ましい態様によれば、受容層は、離型剤をさらに含んでもよい。受容層用塗布液の調製においては、溶剤系溶液に含まれてもよい。離型剤としては、溶剤系シリコーンやフッ素系界面活性剤を挙げることができ、特に溶剤系シリコーンが好ましい。溶剤系シリコーンとしては、ジメチルシリコーン等の各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン、アミド変性シリコーン等を用い、これらを混合して用いたり、各種の反応を用いて重合させて用いたりすることもできる。また、2種以上の離型剤を混合して用いてもよい。このような離型剤を含む水系分散塗布液を用いて受容層を形成することで、印画時に熱転写インクシートと熱転両面写受像シートの受容層との融着および印画感度低下などの問題を改善することができる。本発明においては、市販の溶剤系離型剤を用いることもでき、例えば、信越化学工業株式会社製のX−22−163、X−22−173D、X−22−343、X−22−2000、X−22−3000T、KF−101、KF−102、KF−1001、KF−1002、KP―1800U、X−22−4015、X−22−1660B、X−22−160ASD、KF−410等が好ましい。
本発明におけるクッション層は、画像形成の際に熱転写両面受像シートに負荷される圧力と熱によって中空粒子が潰れること、を低減するものである。本発明においてクッション層は、ガラス転移温度(Tg)が20〜60℃であるのビニル系樹脂から選択された1種又は2種以上の材料からなるものである。クッション層に含まれる樹脂のTgが20℃以上であれば、中空粒子の潰れを低減する事ができ、60℃以下であれば、印画物の高温環境下での保存によって発生する画像の『にじみ』を低減する事ができる。なお、Tgは示差走査熱量測定(DSC)によって測定した値である。
本発明において、中間層は、画像形成の際に熱転写両面受像シートに負荷される圧力と熱によって中空粒子が潰れることをさらに低減する、任意の構成要件である。本発明において中間層は、ガラス転移温度が70〜90℃である塩化ビニル樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合樹脂又は塩化ビニルーアクリル共重合樹脂、から選択された1種又は2種以上の材料からなるものである。中間層に含まれる樹脂のTgが70℃以上であれば、中空粒子の潰れを低減する事ができ、Tgが90℃以下であれば、印画時の『ざらつき』を低減することができる。『ざらつき』とは印画物の発色ムラのことであり、熱転写両面受像シートとサーマルヘッドのと接触が不均一な場合に発生するものである。なお、Tgは示差走査熱量測定(DSC)によって測定した値である。
熱転写両面受像シートの各層の塗布には、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、およびカーテンコート等の公知の方法を用いることができ、スライドコートやカーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法が好ましい。
実施例1
熱転写両面受像シート1の作製
基材シートとしてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、その一方の面に、下記組成の、クッション層塗布液1、断熱層用塗布液1および受容層用塗布液1(水系分散塗布液)を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ2μm、12μm、3μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥し、熱転写受像シート(層構成:基材/クッション層1/断熱層1/受容層1)を得た。得られた熱転写受像シートの、他方の面に、クッション層1、断熱層用塗布液1および受容層用塗布液1(水系分散塗布液)を上記と同様にして形成し、熱転写両面受像シート1(層構成:受容層1/断熱層1/クッション層1/基材/クッション層1/断熱層1/受容層1)を得た。この熱転写両面受像シートは、図1に示されるような層構成を有していた。
・ビニブラン278(塩ビ系樹脂、日信化学工業(株)製、Tg30℃) 100質量部
断熱層用塗布液1の組成
・中空粒子(日本ゼオン(株)製、商品名:MH5055、体積平均粒径0.5μm)
70質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR) 25質量部
・水性ポリウレタン樹脂(DIC(株)製、商品名:ハイドランAP40)
5質量部
受容層用塗布液1の組成
・塩酢ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ソルバインC)
45質量部
・アニオン系乳化剤(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス NBL) 2.5質量部
・離型剤(エポキシアラルキル変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製、商品名:X−22−3000T)
2.3質量部
・純水 270質量部
なお、受容層用塗布液1(水系分散塗布液)は、以下のようにして調製した。まず、下記の組成となるように、水系溶液1および溶剤系溶液1を調製した。この水系溶液1と溶剤系溶液1とを、混合・撹拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、溶剤系塩ビ系樹脂を水溶液中に乳化させ、その後、有機溶媒を除去して、水系分散塗布液を調製した。調製した水系分散塗布液の固形分量は、15%であった。この水系分散塗布液が受容層塗布液1の組成となる様に離型剤を配合し、これを受容層用塗布液として用いた。以下、各実施例および比較例においても、同様の方法により受容層用塗布液を調製した。
・アニオン系乳化剤(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス NBL) 2.5重量部
・純水 270重量部
溶剤系溶液1の組成
・塩酢ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ソルバインC)
45重量部
・酢酸エチル(溶剤) 450重量部
実施例2
受容層塗布液1の組成を、下記の受容層用塗布液2とした以外は、実施例1と同様にして熱転写両面受像シート2を得た。
・塩酢ビ系樹脂、日信化学(株)製、商品名:ビニブラン603)
100質量部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:KF−615A)
10質量部
実施例3
クッション層塗布液1組成を、下記のクッション層塗布液2とした以外は、実施例1と同様にして熱転写両面受像シート3を得た。
・ビニブラン603(塩ビ系樹脂、日信化学工業(株)製、Tg60℃) 100質量部
実施例4
クッション層塗布液1組成を、下記のクッション層塗布液3とした以外は、実施例1と同様にして熱転写両面受像シート4を得た。
・ビニブラン690(塩ビ系樹脂、日信化学工業(株)製、Tg45℃) 100質量部
実施例5
断熱層1と受容層1の間に、以下の中間層用塗布液1を、厚みが2μmとなるように形成した以外は、実施例1と同様にして熱転写両面受像シート5を得た。この熱転写両面受像シートは、図2に示されるような層構成を有していた。
・塩ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ビニブラン985) 100質量部
実施例6
中間層用塗布液1を、以下の中間層用塗布液2に変更した以外は、実施例5と同様にして熱転写両面受像シート6を得た。
・塩ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ビニブラン900) 100質量部
比較例1
クッション層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして熱転写両面受像シート7を得た。
各実施例、及び比較例の熱転写両面受像シートの一方の面に、シチズンシステムズ社製プリンター(製品名:CW−01)にて、シアンの光学濃度が0.5付近、1.0付近となる様に調整したベタパターンを印画した。その後、他方の面に同じ条件で、同じパターンを印画した。なお光学濃度は、分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製、光源:D65、視野角:2°、濃度測定用フィルター:ANSI Status A)で測定した値である。熱転写濃度評価は、一方の面と他方の面に形成された画像濃度を目視にて比較し以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
<評価条件>
◎:画像濃度に差がない。
○:僅かに画像濃度に差がある。
×:画像濃度に差がある。
11 基材
12 クッション層
13 断熱層
14 受容層
15 クッション層
16 断熱層
17 受容層
100 熱転写両面受像シート
101 基材
102 クッション層
103 断熱層
104 中間層
105 受容層
106 クッション層
107 断熱層
108 中間層
109 受容層
Claims (2)
- 基材と、前記基材上の両面に、クッション層と、断熱層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写両面受像シートにおいて、
前記の断熱層は、中空粒子を含み、
前記のクッション層は、ガラス転移温度が20〜60℃のビニル系樹脂から選択された1種又は2種以上の材料からなる、
ことを特徴とする、熱転写両面受像シート。 - 前記の断熱層と前記の受容層との間に、中間層を有し、
前記の中間層は、ガラス転移温度が70〜90℃である、塩化ビニル樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合樹脂又は塩化ビニルーアクリル共重合樹脂、から選択された1種又は2種以上の材料からなる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の熱転写両面受像シート。
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