JP2009172985A - 感熱転写受像シート - Google Patents

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Abstract

【課題】高湿下での印画時に、光沢度の低下、濃度の低下、黒に近い画像の高濃度部で茶色い変色や色むらの発生を低減または抑制した感熱転写記録用受像シ−トを提供する。
【解決手段】支持体上に、支持体側から少なくとも中間層、断熱層および受容層の順に形成され、該受容層が少なくとも1種のポリマーラテックスを含有し、かつ下記一般式(I)で表される化合物または無機塩のいずれかを含有し、さらに該受容層表面と水とのJIS−R−3257で規格された静滴法に基づき測定される、水滴を静置した2秒後の接触角が68度以下または水滴を静置した60秒後の接触角が28度以下のいずれかであることを特徴とする感熱転写受像シート。
一般式(I)
R−(OCHCH−OH
式中、Rは炭素数4〜30のアルキル基またはアルケニル基を表し、nは10〜30の整数を表す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感熱転写受像シートに関するものであり、特に高湿下での印画による転写画像において、黒に近い画像の高濃度部で茶色い変色、光沢感が損なわれることのない感熱転写受像シートに関する。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、中でも染料拡散転写記録方式は、銀塩写真の画質に最も近いカラーハードコピーが作製できるプロセスとして注目されている。しかも銀塩写真のように処理薬品を用いることなく、デジタルデータから直接可視像化できる、複製作りが簡単であるなどの利点を持っている。
このうち、昇華型熱転写記録方式では、染料を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)とを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッド等によってインクシートを加熱することでインクシート中の染料を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
近年、取り扱いが簡便で高画質な画像を得られることから、感熱転写記録方式を利用したプリンターが普及してきた。普及により様々な温湿度下において使われるようになった。
環境負荷低減のために、水系塗布型の感熱転写受像シート、例えば、受容層にポリマーラテックスを含有することが提案(特許文献1〜3参照)されているが、これらの感熱転写受像シートは、高湿下での印画により、黒に近い画像の高濃度部で茶色い変色、光沢度の低下等が発生するという新たな問題が発生した。
これは、印画時に感熱転写シートと感熱転写受像シートの間に水が介在するとこのような影響を受けやすく、特にこのような水系塗布型の感熱転写受像シートで顕著である。
従って、この問題を克服することが強く求められていた。
特開2006−88691号公報 特開2006−82382号公報 特開2007−190909号公報
本発明は、高湿下での印画時に、光沢度の低下、濃度の低下、黒に近い画像の高濃度部で茶色い変色や色むらの発生を低減または抑制した感熱転写記録用受像シ−トを提供するものである。
本発明者等は鋭意検討した結果、上記課題は下記の手段により達成された。
(1)支持体上に、支持体側から少なくとも中間層、断熱層および受容層の順に形成され、該受容層が少なくとも1種のポリマーラテックスを含有し、かつ下記一般式(I)で表される化合物または無機塩のいずれかを含有し、さらに該受容層表面と水とのJIS−R−3257で規格された静滴法に基づき測定される、水滴を静置した2秒後の接触角が68度以下または水滴を静置した60秒後の接触角が28度以下のいずれかであることを特徴とする感熱転写受像シート。
一般式(I)
R−(OCHCH−OH
式中、Rは炭素数4〜30のアルキル基またはアルケニル基を表し、nは10〜30の整数を表す。
(2)前記接触角が、水滴を静置した2秒後の接触角が68度以下であり、かつ水滴を静置した60秒後の接触角が28度以下であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写受像シート。
(3)前記受容層が、前記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の感熱転写受像シート。
(4)前記一般式(I)で表される化合物を0.03g/m〜0.3g/m含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(5)前記受容層が、前記無機塩を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の感熱転写受像シート。
(6)前記無機塩を0.01g/m〜0.9g/m含有することを特徴とする(1)、(2)および(5)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(7)前記ポリマーラテックスが、塩化ビニル/アクリル化合物の共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニルの共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物の共重合体ラテックスのいずれか1種またはその任意の組み合わせであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(8)前記断熱層が少なくとも1種類の中空ポリマーを含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(9)前記中間層にゼラチン以外の水溶性ポリマーを含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
(10)前記断熱層が少なくとも1種類の中空ポリマーを含み、かつ前記中間層、該断熱層、前記受容層を全て同時重層塗工されてなることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
本発明により、高湿下での印画時に、光沢度の低下、濃度の低下、黒に近い画像の高濃度部で茶色い変色や色むらの発生を低減または抑制した感熱転写記録用受像シ−トが提供できる。
以下に本発明の感熱転写受像シートを詳細に説明する。
本発明の感熱転写受像シート(以下本発明の受像シートともいう)は、支持体上に少なくとも1層の中間層、少なくとも1層の断熱層(多孔質層)、および少なくとも1層の受容層(染料受容層)を支持体からこの順に有する。該中間層としては、例えば白地調整、帯電防止、接着性、レベリングなどの各種機能を付与した中間層が好ましい。また、感熱転写シートと重ね合わせられる面の最外層には、離型層が形成されてもよい。
本発明においては、受容層は少なくとも1種のポリマーラテックスを含有し、水系塗布で塗工されてなることが好ましく、同じく中間層、断熱層も水系塗布で塗工されてなることが好ましい。各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の一般的な方法で行われる。受容層、断熱層、および中間層は、各層それぞれ別々に塗布されてもよく、任意の層を組み合わせて同時重層塗工をしてもよいが、本発明においては、中間層、断熱層および受容層のうち、互いに隣接して塗工される層は同時重層塗工されてなることが好ましく、これらの全ての層を同時重層塗工されてなることが最も好ましい。
布は水系塗布で塗設され、さらに断熱層や中間層を有する場合、これらの少なくとも1層が水系塗支持体の、受容層を塗設した面の他方の面にはカール調整層、筆記層、帯電調整層を設けてもよい。
本発明においては、受容層表面と水とのJIS−R−3257で規格された静滴法に基づき測定される、水滴を静置した2秒後の接触角が68度以下または水滴を静置した60秒後の接触角が28度以下である。好ましくは、接触角は、水滴を静置した2秒後の接触角が68度以下であり、かつ水滴を静置した60秒後の接触角が28度以下である。これによって、本発明の他の構成との組み合わせで、本発明の効果が効果的に奏される。高湿下の環境において、印画時に感熱転写シートと感熱転写受像シートの間に水が介在すると黒に近い画像の高濃度部で茶色い変色、光沢度の低下等が発生する。水は水滴として存在しこの水滴が、印画時に感熱転写受像シートの表面を荒らすために発生していることがわかった。感熱転写受像シート表面と水滴の接触角を本発明の範囲とすることでこの水滴の影響を低減でき黒に近い画像の高濃度部で茶色い変色、光沢度の低下等の問題を解決できることがわかった。
特に、このような接触角を調整するには、受容層に含有するポリマーラテックスを使用すること、さらには、このポリマーラテックスの種類と量の変更で達成できる。また、受容層に含有する前記一般式(I)で表される化合物の種類と量の変更、無機塩の種類とその量の変更で達成できる。
最初に、受容層で使用するポリマーラテックスを詳細に説明する。
<ポリマーラテックス>
本発明の感熱転写受像シートに塗設される受容層には少なくとも1種のポリマーラテックスを含有する。
受容層に用いるポリマーラテックスは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよく、分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nmの範囲が好ましい。
本発明に用いるポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜100℃が好ましく、0℃〜80℃がより好ましく、10℃〜70℃がさらに好ましく、15℃〜60℃が特に好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)が実測できないものは、下記式で計算することもできる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用できる。
本発明で使用するポリマーラテックスは、アクリル系ポリマー、ポリエステル類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリウレタン類、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニルメタアクリル酸共重合体等の共重合体を含めたポリ塩化ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等の共重合体を含めたポリ酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン等のポリマーラテックスを好ましく用いることができる。これらポリマーラテックスとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000が好ましく、より好ましくは10000〜500000である。
本発明のポリマーラテックスとしては、塩化ビニル/アクリル化合物の共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニルの共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物の共重合体ラテックス等の塩化ビニル系共重合体ラテックスのいずれか1種またはそれらの任意の組み合わせが好ましい。
このような塩化ビニル共重合体としては、前述のものが挙げられるが、なかでもビニブラン240、ビニブラン270、ビニブラン276、ビニブラン277、ビニブラン375、ビニブラン380、ビニブラン386、ビニブラン410、ビニブラン430、ビニブラン432、ビニブラン550、ビニブラン601、ビニブラン602、ビニブラン609、ビニブラン619、ビニブラン680、ビニブラン680S、ビニブラン681N、ビニブラン683、ビニブラン685R、ビニブラン690、ビニブラン860、ビニブラン863、ビニブラン685、ビニブラン867、ビニブラン900、ビニブラン938、ビニブラン950(以上いずれも日信化学工業(株)製)、SE1320、S−830(以上いずれも住友ケムテック(株)製)が好ましい。
また、ポリエステル系ラテックスとしては、例えば、バイロナールMD1200、バイロナールMD1220、バイロナールMD1245、バイロナールMD1250、バイロナールMD1500、バイロナールMD1930、バイロナールMD1985(以上いずれも東洋紡(株)製)が挙げられる。
ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
本発明の少なくとも1層の受容層には、下記一般式(I)で表される化合物を含有することが好ましい。
以下に、一般式(I)で表される化合物を詳細に説明する。
一般式(I)
R−(OCHCH−OH
式中、Rは炭素数4〜30のアルキル基またはアルケニル基を表し、nは10〜30の整数を表す。
Rにおける炭素数4〜30のアルキル基またはアルケニル基は、直鎖でも分岐していてもよい。これらのアルキル基としては、例えば、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル等が挙げられ、アルケニル基としては2−ブテニル、2−へキセニル、オレイル、ゲラニオイル、フィトリル等が挙げられる。このうちアルキル基が好ましい。
Rの各基の炭素数は、16〜22が好ましく、mは、好ましくは14〜30であり、より好ましくは18〜26である。
以下に、本発明の一般式(I)で示される化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、OCはOCHCHを意味する。
(I−1) C−(OC10−OH
(I−2) C−(OC15−OH
(I−3) C−(OC20−OH
(I−4) C−(OC25−OH
(I−5) C−(OC30−OH
(I−6) C13−(OC10−OH
(I−7) C13−(OC15−OH
(I−8) C13−(OC20−OH
(I−9) C13−(OC25−OH
(I−10) C13−(OC30−OH
(I−11) C17−(OC10−OH
(I−12) C17−(OC15−OH
(I−13) C17−(OC20−OH
(I−14) C17−(OC25−OH
(I−15) C17−(OC30−OH
(I−16) C1021−(OC10−OH
(I−17) C1021−(OC15−OH
(I−18) C1021−(OC20−OH
(I−19) C1021−(OC25−OH
(I−20) C1021−(OC30−OH
(I−21) C1225−(OC10−OH
(I−22) C1225−(OC15−OH
(I−23) C1225−(OC20−OH
(I−24) C1225−(OC25−OH
(I−25) C1225−(OC30−OH
(I−26) C1421−(OC10−OH
(I−27) C1421−(OC15−OH
(I−28) C1421−(OC20−OH
(I−29) C1421−(OC25−OH
(I−30) C1421−(OC30−OH
(I−31) C1633−(OC10−OH
(I−32) C1633−(OC15−OH
(I−33) C1633−(OC20−OH
(I−34) C1633−(OC25−OH
(I−35) C1633−(OC30−OH
(I−36) C1837−(OC10−OH
(I−37) C1837−(OC15−OH
(I−38) C1837−(OC20−OH
(I−39) C1837−(OC25−OH
(I−40) C1837−(OC30−OH
(I−41) C2041−(OC10−OH
(I−42) C2041−(OC15−OH
(I−43) C2041−(OC20−OH
(I−44) C2041−(OC25−OH
(I−45) C2041−(OC30−OH
(I−46) C2245−(OC10−OH
(I−47) C2245−(OC15−OH
(I−48) C2245−(OC20−OH
(I−49) C2245−(OC25−OH
(I−50) C2245−(OC30−OH
(I−51) C3061−(OC10−OH
(I−52) C3061−(OC15−OH
(I−53) C3061−(OC20−OH
(I−54) C3061−(OC22−OH
(I−55) C3061−(OC25−OH
(I−56) C3061−(OC30−OH
(I−57) C1835−(OC10−OH
(I−58) C1835−(OC15−OH
(I−59) C1835−(OC20−OH
(I−60) C1835−(OC25−OH
(I−61) C1835−(OC30−OH
上記の化合物の中で好ましい化合物は、(I−17)〜(I−20)、(I−22)〜(I−25)、(I−27)〜(I−30)、(I−32)〜(I−35)、(I−37)〜(I−40)、(I−42)〜(I−45)、(I−47)〜(I−50)、(I−52)〜(I−56)であり、特に好ましくは(I−33)、(I−34)、(I−38)、(I−39)、(I−43)〜(I−44)、(I−48)、(I−49)である。
本発明の一般式(I)で表される化合物は、その多くが市販されており、日本油脂(株)、花王(株)、ライオン(株)、三洋化成工業(株)、日本エマルジョン(株)等で市販されており、また既知の方法で合成することもできる。具体的な商品名ではノニオンK−220、ノニオンK−230、ノニオンP−210、ノニオンP−213、ノニオンE−212、ノニオンE−215、ノニオンE−230、ノニオンS−215、ノニオンS−220(全て日本油脂(株)製)、EMALEX620、(商品名:日本エマルジョン(株)製)が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、任意の化合物を2種類以上選んで組み合わせて使用してもかまわない。これらの化合物はそのまま添加してもかまわないが、水又はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、エチレン、エトレングリコールなどの有機溶媒に溶解し、溶液として受容層塗布液に添加してもよく、またポリマーラテックス分散物中に添加してもよい。あるいは高沸点溶媒、低沸点溶媒、もしくは両者の混合溶媒に溶解した後、界面活性剤の存在下に乳化分散して、受容層塗布液中に添加することも可能である。
一般式(I)で表される化合物の添加量は、0.03〜0.3g/mが好ましく、0.01〜0.3g/mがより好ましい。
本発明は、受容層に無機塩を使用することが好ましい。
無機塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムのハロゲン化物、硫酸化合物、硝酸化合物、リン酸化合物又はチオシアン酸化合物などが挙げられる。特に好ましいのはアルカリ金属のハロゲン化物、硫酸化合物、硝酸化合物である。これらの無機塩としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硝酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、硫酸ナトリウム、臭化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、等が挙げられる。
これらの無機塩の使用量は、1m当たり0.01g〜0.9gが好ましく、0.02g〜0.9gがより好ましく、0.05g〜0.3gが最も好ましい。なお、これによっても接触角の調整が達成できる。
<水溶性ポリマー>
本発明の感熱転写受像シートにおいては、受容層は水溶性ポリマーを含有することも好ましい態様の一つである。
ここで、水溶性ポリマーとは、20℃における水100gに対し0.05g以上溶解すればよく、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上、特に好ましくは1g以上である。水溶性ポリマーとしては、天然高分子、半合成高分子および合成高分子のいずれも好ましく用いられる。
本発明の感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、天然高分子および半合成高分子について詳しく説明する。植物系多糖類としては、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、ペクチンなど、微生物系多糖類としては、キサンタンガム、デキストリンなど、動物系天然高分子としては、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。セルロース系としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
本発明に用いることのできる天然高分子、半合成高分子のうちゼラチンが好ましい。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl、SO 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
本発明の感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーのうち、合成高分子については、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水溶性ポリエステルなどである。
本発明に用いることのできる合成高分子のうちポリビニルアルコール類が好ましい。
ポリビニルアルコールについては、完全けん化物、部分けん化物、変性ポリビニルアルコール等、各種ポリビニルアルコールを用いることができる。これらポリビニルアルコールについては、長野浩一ら共著,「ポバール」(高分子刊行会発行)に記載のものが用いられる。
ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献、長野浩一ら共著,「ポバール」,高分子刊行会発行,144〜154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面質を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量%であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの具体例としては、完全けん化物としてはPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117Hなど、部分けん化物としてはPVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−220など、変性ポリビニルアルコールとしてはC−118、HL−12E、KL−118、MP−203が挙げられる。
本発明においては、水溶性ポリマーは、0.01g/m〜0.3g/m使用することが好ましい。
また受容層には、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤を含有させてもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明の感熱転写受像シートには、紫外線吸収剤を含有させてもよい。その紫外線吸収剤としては、従来公知の無機系紫外線吸収剤、有機系紫外線吸収剤が使用できる。有機系紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、置換アクリロニトリル系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤や、これらの非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、あるいは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入し、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂に共重合若しくは、グラフトしたものを使用することができる。また、樹脂のモノマーまたはオリゴマーに紫外線吸収剤を溶解させた後、このモノマーまたはオリゴマーを重合させる方法が開示されており(特開2006−21333号公報)、こうして得られた紫外線遮断性樹脂を用いることもできる。この場合には紫外線吸収剤は非反応性のもので良い。
これら紫外線吸収剤に中でも、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が好ましい。これら紫外線吸収剤は画像形成に使用する染料の特性に応じて、有効な紫外線吸収波長域をカバーするように組み合わせて使用することが好ましく、また、非反応性紫外線吸収剤の場合には紫外線吸収剤が析出しないように構造が異なるものを複数混合して用いることが好ましい。
紫外線吸収剤の市販品としては、チヌビン−P(チバガイギー製)、JF−77(城北化学製)、シーソープ701(白石カルシウム製)、スミソープ200(住友化学製)、バイオソープ520(共同薬品製)、アデカスタブLA−32(旭電化製)等が挙げられる。
<断熱層>
本発明の感熱転写受像シートは断熱層を有し、塗設される断熱層は1層でも2層以上でも良い。
断熱層は中空ポリマーを含有することが特に好ましい。
上記中空ポリマーとは粒子内部に空隙を有するポリマー粒子であり、好ましくは水分散物であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
前記1)の具体例としてはロームアンドハース社製ローペイク1055、大日本インキ社製ボンコートPP−1000、JSR社製SX866(B)、日本ゼオン社製ニッポールMH5055(いずれも商品名)などが挙げられる。前記2)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30、F−50(いずれも商品名)などが挙げられる。前記3)の具体例としては松本油脂製薬社製のF−30E、日本フェライト社製エクスパンセル461DE、551DE、551DE20(いずれも商品名)が挙げられる。
これらの中でも、1)の非発泡型の中空ポリマー粒子が好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。
これらの中空ポリマーの平均粒子径は0.1〜5.0μmであることが好ましく、0.2〜3.0μmであることがさらに好ましく、0.3〜1.0μmであることが特に好ましい。
また、中空ポリマーは、空隙率が20〜70%のものが好ましく、20〜50%のものがより好ましい。
本発明において、中空ポリマー粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒径は、中空ポリマー粒子を少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。
中空ポリマーの空隙率とは、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合から求める。
中空ポリマー粒子は、ガラス転移温度が70℃以上200℃以下であることが好ましく、90℃以上180℃以下である中空ポリマーが更に好ましい。
また、中空ポリマーは中空ポリマーラテックスであることが好ましい。
断熱層中には、中空ポリマー以外にバインダーとして水溶性ポリマーを含有することが好ましい。好ましい例としては、受容層の項で記載した水溶性ポリマーが挙げられる。これら水溶性ポリマーのなかで、ゼラチン、ポリビニルアルコールが好ましい。これらの樹脂は単独又は混合して用いることができる。
中空ポリマーを含む断熱層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
(中間層)
本発明においては、断熱層と支持体との間に少なくとも1層の中間層を有す。
中間層の機能としては白地調整、帯電防止、接着性付与、平滑性付与などが挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層を付与することができる。
中間層は、水溶性ポリマーやポリマーラテックスを含有することが好ましく、該水溶性ポリマーとしては、受容層で挙げた水溶性ポリマーが挙げられる。このうち、本発明においては、ゼラチン以外の水溶性ポリマーが好ましく、セルロース系や合成高分子が好ましく、これらも前述したものが挙げられ、好ましい種類もゼラチンを以外であれば、受容層で述べた通りである。特に好ましくはポリビニルアルコール類である。
<離型剤>
本発明の感熱転写受像シートには、画像印画時の感熱転写シートと受像シートとの離型性を確保するために離型剤を添加してもよい。
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸エステルワックス、アミドワックス等の固形ワックス類、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他当該技術分野で公知の離型剤を使用することができる。これらの中で、脂肪酸エステルワックス、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイルおよび/またはその硬化物等のシリコーン系化合物が好ましく用いられる。
<界面活性剤>
また、本発明の感熱転写受像シートは、前記の任意の層に界面活性剤を含有させることが出来る。その中でも、受容層及び中間層中に含有させることが好ましい。
界面活性剤の添加量は、全固形分量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.2質量%であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系など種々の界面活性剤が知られている。本発明で用いることのできる界面活性剤としては、公知のものが使用でき、例えば、「機能性界面活性剤監修/角田光雄、発行/2000年8月、第6章」で紹介されているもの等を用いることができるが、その中でもアニオン系のフッ素含有界面活性剤が好ましい。
<マット剤>
本発明の感熱転写受像シートにおいて、ブロッキング防止、離型性付与、滑り性付与のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は感熱転写受像シートの受容層が塗布される面、受容層が塗布される他方の面、あるいはその両方の面に添加することができる。
マット剤は、一般に水に不溶の有機化合物の微粒子、無機化合物の微粒子を挙げることができるが、本発明では、分散性の観点から、有機化合物を含有する微粒子が好ましい。有機化合物を含有していれば、有機化合物単独からなる有機化合物微粒子であっても良いし、有機化合物だけでなく無機化合物をも含有した有機/無機複合微粒子であっても良い。マット剤の例としては、例えば米国特許第1,939,213号、同2,701,245号、同2,322,037号、同3,262,782号、同3,539,344号、同3,767,448号等の各明細書に記載の有機マット剤を用いることができる。
<防腐剤>
本発明の感熱転写受像シートには、防腐剤を添加してもよい。本発明の受像シートに含有される防腐剤としては、特に限定されないが、防腐防黴ハンドブック、技報堂出版(1986)、堀口博著、防菌防黴の化学、三共出版(1986)、防菌防黴剤事典、日本防菌防黴学会発行(1986)等に記載されているものを用いることができる。具体的には、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンゾトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピロジン,キノリン,グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−メルカプトピリジン−N−オキサイドまたはその塩等が挙げられる。これらの中でも、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
<硬膜剤(架橋剤)>
本発明においては、支持体上のいずれかの層(例えば、受容層、断熱層、中間層など)中に架橋剤として硬膜剤を使用することが好ましい。特に、本発明においては中間層が硬膜剤で硬膜されていることが好ましい。
本発明で用いることができる硬膜剤としては、特開平1−214845号公報17頁のH−1、4、6、8、14、米国特許第4,618,573号明細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で表わされる化合物(H−1〜54)、特開平2−214852号公報8頁右下の式(6)で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14、米国特許第3,325,287号明細書のクレーム1に記載の化合物などが好ましく用いられる。硬膜剤の例としては米国特許第4,678,739号明細書の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号の公報または明細書等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号公報などに記載の化合物)が挙げられる。
好ましくはビニルスルホン系硬膜剤やクロロトリアジン類が挙げられる。
本発明においてさらに好ましい硬膜剤は下記一般式(B)または(C)で表される化合物である。
一般式(B)
(CH=CH−SO−L
一般式(C)
(X−CH−CH−SO−L
一般式(B)、(C)中でXはハロゲン原子を表し、Lはn価の有機連結基を表す。一般式(B)または(C)で表される化合物が低分子化合物である場合nは1ないし4の整数を表す。高分子化合物である場合Lはポリマー鎖を含む有機連結基であり、このときnは10〜1000の範囲である。
一般式(B)、(C)中で、Xは好ましくは塩素原子または臭素原子で、臭素原子がより好ましい。nは1ないし4の整数であるが、好ましくは2ないし4の整数、より好ましくは2ないし3の整数、最も好ましくは2である。
Lはn価の有機基を表し、好ましくは脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはヘテロ環基であり、これらの基がエーテル結合、エステル結合、アミド結合、スルホンアミド結合、ウレア結合、ウレタン結合等でさらに連結していてもよい。また、これらの基は置換基を有していてもよく、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられ、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびアシルオキシ基が好ましい。
ビニルスルホン系硬膜剤の具体的な例として下記(VS−1)〜(VS−27)を挙げるが、本発明においては、これらに限定されない。
Figure 2009172985
Figure 2009172985
Figure 2009172985
Figure 2009172985
これらの硬膜剤は、米国特許第4,173,481号明細書等の記載の方法を参照して得ることができる。
また、クロロトリアジン系硬膜剤としては、少なくとも1個のクロル原子が、2位、4位または6位に置換した1,3,5−トリアジン化合物が好ましい。
塩素原子は、2位、4位または6位に、2個または3個置換したものもがより好ましい。2位、4位または6位に、少なくとも1個の塩素原子が置換して、残りの位置に、塩素原子以外の基が置換してもよく、これらの基としては、水素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルオキシもしくはアリールオキシカルボニル基などが挙げられる。
クロロトリアジン系硬膜剤の具体的な例は、4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンもしくはこのNa塩、2−クロロ−4,6−ジフェノキシトリアジン、2−クロロ−4,6−ビス〔2,4,6−トリメチルフェノキシ〕トリアジン、2−クロロ−4,6−ジグリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(n−ブトキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−6−グリシドキシ−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−クロロエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ブロモエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,4,6−トリメチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2−クロロ−4−(2−ジ−n−ブチルホスファトエトキシ)−6−(2,6−キシレノキシ)−1,3,5−トリアジン等であるが、本発明においてこれらに限定されない。
このような化合物は、塩化シアヌル(すなわち2,4,6−トリクロロトリアジン)を、複素環上の置換基に対応するヒドロキシ化合物、チオ化合物またはアミノ化合物等と反応させることによって容易に製造できる。
これらの硬膜剤は、水溶性ポリマー1質量部あたり0.001〜1質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部が用いられる。中でも中間層で使用する場合は、0.01〜0.9g/m使用するのが好ましい。
<支持体>
本発明の感熱転写受像シートに用いる支持体は、従来公知の支持体を用いることができる。その中でも耐水性支持体が好ましく用いられる。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙、合成紙を用いることができる。なかでもラミネート紙が好ましい。
<カール調整層>
本発明に用いる感熱転写受像シートには、必要に応じてカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<筆記層・帯電調整層>
本発明に用いる感熱転写受像シートには、必要に応じて筆記層・帯電調整層を設けることができる。筆記層、帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
<感熱転写受像シートの製造方法>
本発明の感熱転写受像シートの製造は、塗布液の調整、支持体上への塗布液の塗布、乾燥によってなされる。本発明において、少なくとも1層の受容層が塗布される。受容層および断熱層がそれぞれ2層以上もしくは一方が2層以上の場合も好ましい態様であるが、少なくとも断熱層と隣接する受容層側の層が同時重層塗工される。受容層側の層は、受容層であっても他の機能を有する中間層であってもよく、最初に説明した通りである。
以下、該工程について詳しく説明する。
(塗布液の調製)
添加物を計量混合し、設計品質に応じた液物性を最終的にもった塗布液を調製するには、公知の方式・装置を用いることができる。計量方法としては、重量計量、容積計量などの方法を用いることができる。混合のための攪拌機としては、プロペラ攪拌機、ジェットアジターなどを用いることができる。
ゼラチンの添加にあたっては、ゼラチンを常温の水に分散・浸漬してゼラチン粉体全体を膨潤させた後、昇温して溶解し添加する方法を採用することもできる。
塗布液の液物性測定には、各種粘度計、表面張力測定装置、比重計、pH計などを用いることができる。塗布液の粘度の測定方法は、大別して液中の回転体にかかる抵抗力を測定する方法とオリフィスや細管を通過させる時の圧力損失を測定する方法とがある。前者は回転型粘度計でB型粘度計に代表される。後者は毛管粘度計でオストワルド粘度計に代表される。本発明は前者の回転型粘度計を用い、40℃で測定したときの測定値を採用したものである。
(塗布)
各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、カーテンコート等の公知な方法のうち、同時重層塗布が可能な方法から適宜選択して行うことができる。これらの中で、カーテン塗布、スライド塗布は、ポンプなどによる送液流量で塗布膜厚が決まる方式であり、同時重層塗工が可能である。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗工することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば特開米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。これらの塗布方法では、複数の塗布液を塗布装置に同時に供給して異なる複数の層を形成する。これらの方法は均一な塗布膜厚が得られることと、多層同時塗工が可能であり、本発明で好ましく用いることができる。
スライド塗布方法のための装置としては、Russell等により米国特許第2,761,791号に提案された多層スライドビード装置がある。コーターの形状の例は、Stephen F. Kistler、PetertM. Schweizer著“LIQUID FILM COATING”(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)にも記載されている。
スライドビード塗布装置は、主として塗布ヘッドと、連続走行する支持体を巻き掛け支持するバックアップローラとで構成される。塗布ヘッドを形成するブロック内部には、送液ラインから送液された塗布液を支持体の幅方向に拡流する液溜りが形成され、この液溜りに連通して狭隘なスリットがスライド面まで開口して形成される。このスライド面は塗布ヘッド上面に形成され、バックアップローラ側に向かって下方に傾斜している。
それぞれの液溜りに供給された塗布液は、各スリットからスライド面に押し出され、スライド面を流下しながら順次重畳して複層塗布膜を形成し、互いに全体としては大きく混ざり合うことなくスライド面下端の先端部に達する。先端部に達した塗布液は、先端部と、バックアップローラに巻き掛けられて走行する支持体面との隙間に塗布液ビードを形成し、この塗布液ビードを介して支持体面に塗布される。ビードを安定化させるために下部を減圧される。そのため、バックアップローラの下方に減圧室が形成される。この減圧室は、ビードの下側を負圧にしてビードを安定化させると共に、ウエブに塗布されなかった余剰の塗布液を減圧室に流れ落ち易くする働きがある。
カーテン塗布は、自由落下する液膜を下を一定の速度で連続走行している支持体に塗布する方法である。エクストルージョン型、スライド型等、いくつかの方式がある。スライド型コーターでは、スライド面上に作成された多層液膜がスライド端より自由落下する。そのため、スライド面終端には、落下液膜がスムーズに形成されるよう形状の工夫がなされる。
同時重層塗工においては、均質な塗膜形成および良好な塗布性の点で、各層を構成する塗布液の粘度および表面張力を調整する必要がある。塗布液の粘度は、公知の増粘剤や減粘剤を他の性能に影響を与えない範囲で使用することにより容易に調整できる。また、塗布液の表面張力は各種の界面活性剤により調整可能である。
本発明においては、受容層の粘度を固形分量や増粘剤などを用いて調整し、40℃での粘度がともに3mPa・s以上300mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上100mPa・s以下であることがより好ましく、3mPa・s以上30mPa・s以下であることが最も好ましい。
液濃度、粘度、表面張力、pH等の物性値が適切な値となるように調製された塗布液を塗布部に送液するには、泡や異物の除去を行いながら連続的に行う必要がある。
一定流量で塗布液を連続的に供給するには、各種の方法が可能であるが、精度・信頼性の点から定量ポンプを用いるのが好ましい。例として、プランジャーポンプ,ダイヤフラム型ポンプを挙げることができる。ダイヤフラム型では、プランジャーと送液される液体が2枚のダイヤフラムで隔離されており、駆動オイルおよび2枚のダイヤフラム間の純水を経由してプランジャーの動作が送液される液体に伝えられる。送液ポンプの流量変動は塗布膜厚の変動に結びつくものであり、十分な精度が必要とされる。
ポンプの脈動の影響を低減する必要がある場合には、脈動を吸収するための補助装置が用いられる。いくかの方式が公知であるが、一例としてパイプライン型の脈動吸収装置を挙げることができる(特開平1−255793号公報)。
異物の除去のため、塗布液の濾過を行うのが好ましい。濾材としては各種のものを用いることができるが、例としてカートリッジ濾材を挙げることができる。使用にあたっては、濾材の空孔中に保持されている空気が気泡の形で塗布液に混入するのを防ぐために、前もって処理しておくことが好ましい。いくつかの方法が公知であるが、一例として、界面活性剤を含む液体等で処理しておくこと(米国特許第5,096,602号明細書)を挙げることができる。
異物と並んで、気泡も塗布面状故障の原因となる。そのため、塗布液中に混入している気泡および液体表面に浮遊している泡沫を脱法・消泡することが好ましい。そのための手法としては、気泡の液体からの分離、あるいは気泡の液体への溶解がある。分離の方法としては、減圧脱泡、超音波脱泡、遠心脱泡などが公知である。液体への溶解の方法としては、超音波パイプライン脱泡が挙げられる。
塗布液に添加することによって塗布液の経時安定性が悪化するような添加物を用いる場合には、添加してから塗布までの経時時間を短くするために、送液工程内で、塗布部の直前で添加を行う方式が知られている。本発明においてもこのような方式を用いることができる。このための混合器としては、静的混合器、動的混合器がある。
(乾燥)
塗布後、支持体上に塗布膜が形成された塗布済み品は、乾燥ゾーンで乾燥され、調湿ゾーンを経て巻取られる。本発明では支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させることが好ましい。塗布膜の固化が十分に進んでいない段階で強い乾燥風があたると流動が生じ、むらとなる。また、塗布膜最上層に有機溶剤が含まれていると、風によりスライド面上や塗布直後に不均一な溶剤蒸発が起こり、むらが生じる。この観点から、水系塗布が有利である。
また、ゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げ塗膜を冷却固化させ(セット工程)、その後温度を上げて乾燥させることが好ましい。これにより、更なる均一、均質な塗膜が形成される。
ここでセット工程とは、例えば、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間及び各層内の物質流動性を鈍化させるゲル化促進工程のことを意味する。
本発明において冷風を用いる場合のセット工程の温度条件は、25℃未満が好ましく、15℃以下であることが更に好ましい。また、塗布膜が冷風に晒される時間は、塗布搬送速度にも依るが、3秒以上120秒以下であることが好ましく、15秒以上100秒以下であることが更に好ましい。
本発明では、前記のように受容層は40℃での粘度がともに3mPa・s以上300mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上100mPa・s以下であることがより好ましく、3mPa・s以上30mPa・s以下であることが最も好ましい。受容層には、セット工程において、セット性を高める原材料、薬品等を含まないことが好ましい。具体的には、下塗り層塗布液中には、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナン、ジェランガム等の各種公知のゲル化剤を添加しないことが好ましい。
本発明ではラテックスが主たる塗布液を構成するため、急速に乾燥させると乾燥による膜の収縮が不均一に起こり、乾燥後の塗布皮膜にひび割れが生じ安くなるため、ゆっくり乾燥させる方が好ましい。この様な要件を満足させるためにも、乾燥工程は、乾燥温度、乾燥風の風量、乾燥風の露点を調節し、乾燥速度を調節しながら乾燥させる必要がある。
代表的な乾燥装置としては、エアループ方式、つるまき方式等がある。エアループ方式は、ローラーで支持された塗布済み品に乾燥風噴流を吹き付ける方式であり、ダクトは縦に配置する方式と、横に配置する方式がある。乾燥機能と搬送機能は基本的に分離されていて、風量等の自由度が大きい。しかし、多くのローラーを使うため、寄り・シワ・スリップ等のベースの搬送不良が発生しやすい。つる巻き方式は、円筒状のダクトに塗布済み品をつる巻き状に巻きつけて乾燥風で浮上させて(エアフローティング)搬送・乾燥する方式で、基本的にローラー支持がいらない(特公昭43−20438号公報)。本発明ではこれらの乾燥装置を好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中で、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(感熱転写シートの作製)
支持体として片面に易接着処理がされている厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ダイアホイルK200E−6F、商品名、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)の易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/mとなるように背面層塗工液を塗布した。乾燥後、60℃で熱処理を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着層塗布側に前記塗工液により、イエロー、マゼンタ、シアンの各感熱転写層および転写性保護層積層体を面順次となるように塗布した感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗布量は、0.8g/mとした。
なお、転写性保護層積層体の形成は、離型層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、その上に保護層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、さらにその上に接着層塗工液を塗布した。
背面層塗工液
アクリル系ポリオール樹脂 18.0質量部
(アクリディックA−801、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
ステアリン酸亜鉛 0.70質量部
(SZ−2000、商品名、堺化学工業(株)製)
リン酸エステル 1.82質量部
(プライサーフA217、商品名、第一工業製薬(株)製)
イソシアネート(50%溶液) 5.6質量部
(バーノックD−800、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 75質量部
イエロー染料層塗工液
染料化合物(Y−1) 4.2質量部
染料化合物(Y−2) 3.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 6.1質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 2.1質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
Figure 2009172985
マゼンタ染料層塗工液
染料化合物(M−1) 1.8質量部
染料化合物(M−2) 7.6質量部
ポリビニルアセタール樹脂 8.0質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.2質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
Figure 2009172985
シアン染料層塗工液
染料化合物(C−1) 2.4質量部
染料化合物(C−2) 5.3質量部
ポリビニルアセタール樹脂 7.4質量部
(エスレックKS−1、商品名、積水化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 0.8質量部
(デンカブチラール#6000−C、商品名、電気化学工業(株)製)
離型剤 0.05質量部
(X−22−3000T、商品名、信越化学工業(株)製)
離型剤 0.03質量部
(TSF4701、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・
マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
マット剤 0.15質量部
(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 84質量部
Figure 2009172985
(転写性保護層積層体)
染料層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層,保護層および接着層用塗工液を塗布し、転写性保護層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.2g/m、保護層0.5g/m、接着層2.0g/mとした。
離型層塗工液
変性セルロース樹脂 7.5質量部
(L−30、商品名、ダイセル化学)
メチルエチルケトン 92.5質量部
保護層塗工液
アクリル樹脂溶液(固形分40%) 85質量部
(UNO−1、商品名、岐阜セラミック(有)製)
メタノール/イソプロパノール(質量比1/1) 15質量部
接着層塗工液
アクリル樹脂 25質量部
(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
下記紫外線吸収剤UV−1 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−2 2質量部
下記紫外線吸収剤UV−3 1質量部
下記紫外線吸収剤UV−4 2質量部
PMMA微粒子(ポリメチルメタクリレート微粒子) 0.4質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
Figure 2009172985
実施例1
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
ついで前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン変性でんぷん(日本NSC製CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC製 DA4104)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製:アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
前記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6kg/cmに設定して乾燥を行なった後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製:KL−118)を1g/m塗布して乾燥し、カレンダー処理を行った。なお、原紙の坪量は157g/mで抄造し、厚さ160μmの原紙(基紙)を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側に、コロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いてMFR(メルトフローレート;以下同様)16.0g/10分、密度0.96g/cmの高密度ポリエチレン(ハイドロタルサイト(商品名DHT−4A、協和化学工業(株)製)250ppmと、二次酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、商品名:イルガフォス168、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、200ppmを含有)と、MFR 4.0g/10分、密度0.93g/cmの低密度ポリエチレンと、を75/25(質量比)の割合で配合した樹脂組成物を、厚さ21g/mとなるようにコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナジル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/mとなるように塗布した。続いて表面にコロナ処理し10質量%の酸化チタンを有するMFR 4.0g/10分、密度0.93g/mの低密度ポリエチレンを27g/mになるように溶融押出機を用いてコーティングし、鏡面からなる熱可塑性樹脂層を形成した。
(比較用の感熱転写受像シート101の作製)
上記支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この面上に、下記組成の下引き層1、断熱層2、断熱層1、受容層1を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層1:6.7g/m、断熱層2:7.0g/m、断熱層1:4.8g/m、受容層1:2.3g/mとなるように塗布を行った。
受容層1塗工液
塩化ビニル系ラテックスエマルジョン 47.0質量部
(ビニブラン900、商品名、MFT>100℃以上、日信化学工業(株)製)
塩化ビニル系ラテックスエマルジョン 74.5質量部
(ビニブラン609、商品名、MFT=100℃、 日信化学工業(株)製)
ゼラチン(16%水溶液) 8.4質量部
下記エステル系ワックスEW−1 4.4質量部
下記界面活性剤F−1 0.2質量部
下記界面活性剤W−1 0.9質量部
フッ素系オリゴマー添加剤 2.0質量部
(メガファックF−477、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
水 83.7質量部
メタノール 4.5質量部
NaOHを 0.01重量部入れてpHを7.8に調節。
断熱層1塗工液
中空ポリマー粒子ラテックスエマルジョン 210.0質量部
(MH5055、商品名、平均粒径 500nm、日本ゼオン(株)製)
塩化ビニル系ラテックス 106.9質量部
(ビニブラン609、商品名、MFT=100℃、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(16%水溶液) 47.2質量部
水 48.9質量部
NaOHを 0.03質量部入れてpHを8.3に調節
断熱層2塗工液
中空ポリマー粒子ラテックスエマルジョン 408.6質量部
(MH5055、商品名、平均粒径 500nm、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(16%水溶液) 311.1質量部
水 30.0質量部
NaOHを 0.07質量部入れてpHを7.8に調節
下引き層1塗工液
ポリビニルアルコール 5.0質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
メタクリル酸メチル・ブタジエンゴムラテックスエマルジョン 92.6質量部
(MR−171、商品名、Tg=−5℃、日本エイ アンド エル(株)製)
水 64.5質量部
Figure 2009172985
(比較用感熱転写受像シート102の作製)
上記支持体を用い、その表面に下記の組成の中間層用塗工液および色素受像層用塗工液をバーコーターにより4.0g/mになるよう塗布し、ドライヤーで仮乾燥後、100℃のオープン中で30分間乾燥して色素受像層を形成して比較用の熱転写受像シートを得た。
受容層用塗工液組成;
塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(#1000D、電気化学工業製)
100質量部
アミノ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業製)
3質量部
エポキシ変性シリコーン(KF−343、信越化学工業製)
3質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比(1/1)) 500質量部
(感熱転写受像シート103〜120の作製)
感熱転写受像シート101において、下記表1に記載の添加剤を加えた以外は感熱転写受像シート101と同様の方法にして感熱転写受像シート103〜123を作製した。
なお、添加剤の構造は以下に示す。
Figure 2009172985
(EMALEX620)
商品名:日本エマルジョン(株)製の界面活性剤
ポリオキシエチレンステアリルエーテルでエチレンオキシの繰り返し単位が20を主成分
CAS No.9005−00−9
(画像形成1)
上記感熱転写シートおよび感熱転写受像シート101〜120を用いて、プリンターとして熱転写型プリンターA(ASK−2000 富士フイルム(株)製)により、黒ベタ画像を20枚連続で出力した後、濃度1.8のグレーベタが得られるように調整したグレーベタ画像を20枚連続で出力した。黒ベタ画像の光沢感及びグレーベタ画像の画面内濃度ムラを目視により評価を行った。該プリンターAのライン速度は0.7msec/lineであった。
(接触角測定)
接触角測定装置DM500(協和界面科学株式会社製)を用い、JIS R 3257に基づいた方法により、純水を静滴後2秒と60秒の接触角を測定した。
(評価方法)
黒ベタ画像の光沢感は以下の基準で評価した。
1 光沢感がほとんど損なわれない
2 若干、光沢感が損なわれたが実用上問題ない
3 光沢感が損なわれ、実用上問題である
グレーベタの茶色変色は以下の基準で評価した。
1 茶色変色が全く見られない
2 若干の茶色変色が見られるが、実用上問題ない
3 明らかな茶色変色が認められ、実用上問題である
Figure 2009172985
上記表1から明らかなように、本発明の感熱転写受像シートはいずれも優れており、高湿環境下の印画において、高濃度の光沢感が損なわれないことが判った。

Claims (10)

  1. 支持体上に、支持体側から少なくとも中間層、断熱層および受容層の順に形成され、該受容層が少なくとも1種のポリマーラテックスを含有し、かつ下記一般式(I)で表される化合物または無機塩のいずれかを含有し、さらに該受容層表面と水とのJIS−R−3257で規格された静滴法に基づき測定される、水滴を静置した2秒後の接触角が68度以下または水滴を静置した60秒後の接触角が28度以下のいずれかであることを特徴とする感熱転写受像シート。
    一般式(I)
    R−(OCHCH−OH
    式中、Rは炭素数4〜30のアルキル基またはアルケニル基を表し、nは10〜30の整数を表す。
  2. 前記接触角が、水滴を静置した2秒後の接触角が68度以下であり、かつ水滴を静置した60秒後の接触角が28度以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート。
  3. 前記受容層が、前記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート。
  4. 前記一般式(I)で表される化合物を0.03g/m〜0.3g/m含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  5. 前記受容層が、前記無機塩を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート。
  6. 前記無機塩を0.01g/m〜0.9g/m含有することを特徴とする請求項1、2および5のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  7. 前記ポリマーラテックスが、塩化ビニル/アクリル化合物の共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニルの共重合体ラテックス、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル化合物の共重合体ラテックスのいずれか1種またはその任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  8. 前記断熱層が少なくとも1種類の中空ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  9. 前記中間層にゼラチン以外の水溶性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
  10. 前記断熱層が少なくとも1種類の中空ポリマーを含み、かつ前記中間層、該断熱層、前記受容層を全て同時重層塗工されてなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の感熱転写受像シート。
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