JP2007230050A - 感熱転写方式を用いた画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)支持体上に、ポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、中空ポリマーを含みかつ該中空ポリマー以外に有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まない少なくとも1層の断熱層を含有する感熱転写受像シートと、(b)支持体上に熱転写層を含有する感熱転写シートとを、該(a)の感熱転写受像シートの受容層と該(b)の感熱転写シートの熱転写層とが接するように重ね合わせ、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する画像形成方法であって、該画像形成時の該(a)の感熱転写受像シートの搬送速度が125mm/s以上である画像形成方法。
【選択図】なし
Description
この染料拡散転写記録方式では、色素を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)とを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによってインクシートを加熱することでインクシート中の色素を受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を転写記録することができる。
一方、高エネルギー印画時に発生する白抜けは、画像品質上の大きな欠陥であり、この発生抑制手段として、気泡もしくは気泡性マイクロカプセルのバインダーとして水溶性樹脂を用いることが知られている(特許文献1参照)が、必ずしも十分でなく、しかもさらに画質の改良も求められていた。
(1)(a)支持体上に、ポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、中空ポリマーを含みかつ該中空ポリマー以外に有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まない少なくとも1層の断熱層を含有する感熱転写受像シートと、(b)支持体上に熱転写層を含有する感熱転写シートとを、該(a)の感熱転写受像シートの受容層と該(b)の感熱転写シートの熱転写層とが接するように重ね合わせ、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する画像形成方法であって、該画像形成時の該(a)の感熱転写受像シートの搬送速度が125mm/s以上であることを特徴とする画像形成方法。
(2)前記(a)における感熱転写受像シートの受容層及び/又は断熱層に、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする前記(1)項に記載の画像形成方法。
(3)前記(a)における感熱転写受像シートの水溶性ポリマーを含有する受容層及び/又は断熱層に、前記水溶性ポリマーを架橋することができる化合物を含有し、前記水溶性ポリマーの一部又は全部が架橋されていることを特徴とする前記(2)項に記載の画像形成方法。
(4)前記(a)における感熱転写受像シートの受容層に乳化物を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の画像形成方法。
最初に、感熱転写受像シート(受像シート)について説明する。
本発明に用いられる感熱転写受像シートは、支持体上に少なくとも1層の染料受容層(受容層)を有し、支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層(多孔質層)を有する。また、受容層と断熱層との間に、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層などの下地層が形成されていてもよい。
受容層および断熱層は同時重層塗布により形成されることが好ましい。また、下地層を含む場合は、受容層、下地層および断熱層を同時重層塗布により形成することができる。
支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていることが好ましい。支持体の裏面側の各層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行うことができる。
受容層は、インクシートから移行してくる染料を受容し、形成された画像を維持する役割を果たす。本発明に用いられる受像シートにおいて、受容層はポリマーラテックスを含有する。受容層は1層でも2層以上でもよい。また、受容層は後述する水溶性ポリマーを含有することが好ましい。
本発明に用いられるポリマーラテックスについて説明する。
本発明に用いられる感熱転写受像シートにおいて、受容層に用いうるポリマーラテックスは水不溶な塩化ビニルをモノマー単位として含む疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものが好ましい。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なおポリマーラテックスについては、奥田平,稲垣寛編集,「合成樹脂エマルジョン」,高分子刊行会発行(1978年)、杉村孝明,片岡靖男,鈴木聡一,笠原啓司編集,「合成ラテックスの応用」,高分子刊行会発行(1993年)、室井宗一著,「合成ラテックスの化学」,高分子刊行会発行(1970年)、三代澤良明監修,「水性コーティング材料の開発と応用」,シーエムシー出版(2004年)および特開昭64-538号公報などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。
分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本発明に用いられる受容層においては塩化ビニルをモノマー単位として含む共重合体ラテックスは層中の全固形分に占める比率で50%以上であることが好ましい。
Z−1:ベンジルアルコール
Z−2:2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
Z−3:2−ジメチルアミノエタノール
Z−4:ジエチレングルコール
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は「Polymer Handbook(3rd Edition)」(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用できる。
なお、本発明の受像シートにおけるポリマーラテックスは、塗布後に溶媒の一部を乾燥させることにより形成されるゲルまたは乾燥皮膜の状態を含む。
受容層は水溶性ポリマーを含有することが好ましい。本発明に用いることのできる水溶性ポリマーは、天然高分子(多糖類系、微生物系、動物系)、半合成高分子(セルロース系、デンプン系、アルギン酸系)および合成高分子系(ビニル系、その他)であり、以下に述べるポリビニルアルコールを始めとする合成ポリマーや、植物由来のセルロース等を原料とする天然あるいは半合成ポリマーが本発明で使用できる水溶性ポリマーに該当する。なお、本発明における水溶性ポリマーには、前記ポリマーラテックスは含まれない。
本発明においてはゼラチンが好ましい態様の一つである。本発明に用いるゼラチンは分子量10,000から1,000,000ものまで用いることができる。本発明のゼラチンはCl−、SO4 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。
ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
以下に、ポリビニルアルコールについてさらに詳しく説明する。
完全けん化物としては、PVA−105[ポリビニルアルコール(PVA)含有率94.0質量%以上、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%以下、揮発分5.0質量%以下、粘度(4質量%、20℃)5.6±0.4CPS]、PVA−110[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.5質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)11.0±0.8CPS]、PVA−117[PVA含有率94.0質量%、けん化度98.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)28.0±3.0CPS]、
受容層における水溶性ポリマーの添加量は、当該受容層全体の1〜25質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
受容層に含まれる前記水溶性ポリマーは、その一部又は全部が架橋剤により架橋されていることが好ましい。
架橋剤としては、アミノ基やカルボキシル基あるいはヒドロキシル基などと反応する基を分子内に複数含有すればよく、水溶性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用いられ、架橋剤の種類については特に限定されない。T.H.James著,典HE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION”(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊),77〜87頁に記載の各方法や、米国特許第4,678,739号明細書第41欄、特開昭59−116655号公報、同62−245261号公報、同61−18942号公報等に記載の架橋剤が使用に適している。無機化合物の架橋剤(例えば、クロムみょうばん、ホウ酸及びその塩)および有機化合物の架橋剤のいずれも好ましい。また、特開2003−231775号公報記載のpHが1〜7であるキレート化剤とジルコニウム化合物とを含む混合水溶液からなる架橋剤を使用していてもよい。
本発明に用いることができる架橋剤の使用量としては、水溶性バインダーや架橋剤の種類により変化するが、概ね含まれる構成層の水溶性ポリマー100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、さらには1〜10質量部であることがより好ましい。
また、本発明では耐光性を向上するために受容層に紫外線吸収剤が添加されてもよい。このとき、紫外線吸収剤を高分子量化することで受容層に固定でき、インクシートへの拡散や加熱による昇華・蒸散などを防ぐことができる。
紫外線吸収剤としては、情報記録分野において広く知られている各種紫外線吸収剤骨格を有する化合物を使用することができる。具体的には、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾトリアジン型紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン型紫外線吸収剤骨格を有する化合物を挙げることができる。紫外線吸収能(吸光係数)・安定性の観点では、ベンゾトリアゾール型、トリアジン骨格を有する化合物が好ましく、高分子量化・ラテックス化の観点ではベンゾトリアゾール型、ベンゾフェノン型の骨格を有する化合物が好ましい。具体的には、特開2004−361936号公報などに記載された紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤をグラフトしたポリマーをラテックス化する場合、前記の染着性受容ポリマーのラテックスと混合してから塗布することで紫外線吸収剤が均一に分散した受容層を形成することができる。
本発明においては、受容層中に乳化分散物(乳化物)を含有することが好ましい。ここで、「乳化」とは、一般的に用いられる定義に従うものである。例えば、化学大辞典(共立出版株式会社)によれば「乳化」とは「ある液体の中にこれと溶け合わない別の液体が細粒として分散し、エマルジョンを生成する現象」としている。また、「乳化分散物」とは「液体の小滴であって、それを溶かさない他の液体中に分散したもの」をいう。本発明において、好ましい「乳化分散物」は「水中に分散した油滴分散物」である。本発明に用いられる受像シートにおいて乳化分散物の含有量は、受像シート中に0.03g/m2〜25.0g/m2含まれることが好ましく、1.0g/m2〜20.0g/m2含まれることが好ましい。
さらに該乳化分散物中に画像堅牢化剤、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。これらの化合物は、特開2004−361936号公報に記載の一般式(B)、(Ph)、(E−1)〜(E−3)、(TS−I)〜(TS−VII)、(TS−VIIIA)、(UA)〜(UE)のいずれかで表される化合物が好ましくい。また水不溶かつ有機溶媒可溶性の単独もしくは共重合体(特開2004−361936号公報の段落番号0208〜0234に記載の化合物が好ましい)を含有してもよい。
また、受容層には、画像形成時に熱転写シートとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコーンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物を用いることができるが、特にシリコーンオイルが好ましく用いられる。シリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが好ましく用いられるが、中でもビニル変成シリコーンオイルとハイドロジェン変成シリコーンオイルとの反応物が良い。離型剤の添加量は、受容層中の染料を受容するポリマー(ポリマーラテックス他)100質量部に対して0.2〜30質量部が好ましい。
断熱層は、サーマルヘッドを用いた加熱転写時における熱から支持体を保護する役割を果たす。また、高いクッション性を有するので、基材として紙を用いた場合であっても、印字感度の高い熱転写受像シートを得ることができる。断熱層は1層でも2層以上でも良い。断熱層は、受容層より支持体側に設けられる。
本発明における中空ポリマーとは粒子内部に独立した気孔を有するポリマー粒子であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
中空ポリマーの粒子サイズは0.1〜20μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。また、中空ポリマーのガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
ここで、「有機溶剤に耐性の無い」とは、有機溶剤(メチルエチルケトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)への溶解度が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であることをいう。例えば前記ポリマーラテックスは、「有機溶剤に耐性の無い樹脂」に含まれる。
断熱層における水溶性ポリマーの添加量は、当該断熱層全体の1〜75質量%であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。
断熱層中の水溶性ポリマーは、架橋剤の種類によっても異なるが、水溶性ポリマーに対して、0.1〜20質量%架橋されていることが好ましく、1〜10質量%架橋されていることがより好ましい。
受容層と断熱層との間には下地層が形成されていてもよく、例えば白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層が形成される。これらの層については、例えば特許第3585599号公報、特許第2925244号公報などに記載されたものと同様の構成とすることができる。
本発明では、支持体として耐水性支持体を用いることが好ましい。耐水性支持体を用いることで支持体中に水分が吸収されるのを防止して、受容層の経時による性能変化を防止することができる。耐水性支持体としては例えばコート紙やラミネート紙を用いることができる。
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡(株)製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130(いずれも商品名);花王(株)製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010(いずれも商品名);ユニチカ(株)製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449(いずれも商品名);日本合成化学(株)製のポリエスターTP−220、R−188(いずれも商品名);星光化学工業(株)製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂(いずれも商品名)等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
支持体がそのまま露出していると環境中の湿度・温度により感熱転写受像シートがカールしてしまうことがあるため、支持体の裏面側にカール調整層を形成することが好ましい。カール調整層は、受像シートのカールを防止するだけでなく防水の役割も果たす。カール調整層には、ポリエチレンラミネートやポリプロピレンラミネート等が用いられる。具体的には、例えば特開昭61−110135号公報、特開平6−202295号公報などに記載されたものと同様にして形成することができる。
筆記層・帯電調整層には、無機酸化物コロイドやイオン性ポリマー等を用いることができる。帯電防止剤として、例えば第四級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル等のノニオン系帯電防止剤など任意のものを用いることができる。具体的には、例えば特許第3585585号明細書などに記載されたものと同様にして形成することができる。
本発明に用いられる感熱転写受像シートは、各層をロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で塗布し、これを乾燥させることで作製することができる。
また、本発明に用いられる感熱転写受像シートは、受容層および断熱層を支持体上に同時重層塗布することでも形成することができる。
支持体上に複数の機能の異なる複数の層(気泡層、断熱層、中間層、受容層など)からなる多層構成の受像シートを製造する場合、特開2004−106283号、同2004−181888号、同2004−345267号等の各公報に示されている如く各層を順次塗り重ねていくか、あらかじめ各層を支持体上に塗布したものを張り合わせることにより製造することが知られている。一方、写真業界では例えば複数の層を同時に重層塗布することにより生産性を大幅に向上させることが知られている。例えば米国特許第2,761,791号、同第2,681,234号、同第3,508,947号、同第4,457,256号、同第3,993,019号、特開昭63−54975号、特開昭61−278848号、同55−86557号、同52−31727号、同55−142565号、同50−43140号、同63−80872号、同54−54020号、特開平5−104061号、同5−127305号、特公昭49−7050号の公報または明細書やEdgar B. Gutoffら著,「Coating and Drying Defects:Troubleshooting Operating Problems」,John Wiley&Sons社,1995年,101〜103頁などに記載のいわゆるスライド塗布(スライドコーティング法)、カーテン塗布(カーテンコーティング法)といわれる方法が知られている。
本発明では、上記同時重層塗布を多層構成の受像シートの製造に用いることにより、生産性を大幅に向上させると同時に画像欠陥を大幅に減少させることができる。
本発明では米国特許2,761,791号明細書に記載の方法で支持体上に複数の層の積層体を形成した後速やかに固化させることが好ましい。一例として樹脂により固化する多層構成の場合、支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を上げることが好ましい。またゼラチンなど低温でゲル化するバインダーを含む場合には支持体上に複数の層を形成した後すばやく温度を下げることが好ましい場合もある。
本発明においては多層構成を構成する1層あたりの塗布液の塗布量は1g/m2〜500g/m2の範囲が好ましい。多層構成の層数は2以上で任意に選択できる。受容層は支持体から最も遠く離れた層として設けられることが好ましい。
なお、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
熱転写画像形成の際に、上述した感熱転写受像シートと併せて使用されるインクシートは、支持体上に拡散転写染料を含む熱転写層(色素層)を設けたものであり、任意のインクシートを使用することができる。好ましくは、感熱転写シートには3原色の各色剤層イエロー、マゼンタ、シアンが感熱転写シートの長軸方向に順次に形成(感熱転写受像シートの記録面の面積に対応して順次形成)されており、シアンの後に保護層転写部が配置されていることが好ましい。各々の色素は熱転写層(色素層)中にそれぞれ10〜90質量%含有されることが好ましく、20〜80質量%含有されることがより好ましい。
色素層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行われる。また熱転写層の塗布量は、0.1〜1.0g/m2(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましく、更に好ましくは0.15〜0.60g/m2である。熱転写層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0μmである。
前記支持体の厚みとしては、1〜10μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。
感熱転写シートの詳細は、例えば特開平11−105437号公報に記載されており、段落番号0017〜0078の記載が、本願の明細書に好ましく取り込まれる。
画像形成方法は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は8秒未満が好ましく、3〜8秒がより好ましい。
本発明は、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに使用することができる。
例えば、図1では、搬送ローラー(ガイドローラ)28及び29により矢印方向に搬送して使用済みの感熱転写シート(インクフイルム)15をリボンカートリッジ内で巻き取りつつサーマルヘッド10の発熱部(発熱素子アレイ)11への通電による感熱転写記録を行なうように構成されている。感熱転写シート15の熱転写層には、各色材層イエロー、マゼンタ、シアンが各々感熱転写受像シート(記録紙)14の記録面の面積に対応して順次形成されている関係上、搬送ローラー28及び29の回転方向の切り替えにより、感熱転写受像シート15はサーマルヘッド11の下を往復し、各色が表面に施されることとなる。画像形成時の感熱転写受像シート14の搬送速度とは、感熱転写受像シートがサーマルヘッド11の下を往復するときの速度である。
インクシートD1の作製
厚さ6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー(商品名)、東レ製)を基材フィルムとして用いた。該フィルム背面側に耐熱スリップ層(厚み1μm)を形成し、かつ表面側に下記組成のイエロー、マゼンタ、シアン組成物をそれぞれ単色に塗布(乾膜時の塗布量1g/m2)した後、下記離型層形成用塗工液を塗布(塗布量0.5g/m2(乾燥時))して乾燥(110℃、60秒間)した。さらに、該離型層上に下記保護層形成用塗工液を塗布(塗布量2g/m2(乾燥時))した後、乾燥(110℃、60秒間)して熱転写可能な保護層を形成した。
色素(1)−1 2.2質量部
色素(3)−1 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
色素(4)−1 2.2質量部
色素(5)−1 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
色素(6)−1 2.2質量部
色素(6)−4 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
下記ポリエステル1 10質量部
ポリビニルアセタール樹脂 6質量部
(積水化学工業(株)製 エスレックKS−1(商品名))
紫外線吸収剤アクリル共重合体 4質量部
(BASFジャパン(株)製 UVA635L(商品名))
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 10質量部
(チバガイギー(株)社製 TINUVIN234(商品名))
メチルエチルケトン/トルエン=1/1(質量比) 80質量部
アイオノマー樹脂(三井化学(株)製) 10質量部
水/エタノール=2/3(質量比) 100質量部
下記の酸成分およびジオール成分を下記モル比で重合させることで得られる数平均分子量5000のポリエステルを得た。
ジエチレングリコール 5質量部
トリシクロデカンジメタノール(TCD−M) 45質量部
テレフタル酸 25質量部
イソフタル酸 25質量部
各単色のインク層のみ下記組成とし、それ以外は試料D1と同様に作製した。
イエローインキ
色素(1)−2 2.2質量部
色素(3)−2 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
色素(4)−2 2.2質量部
色素(5)−2 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
色素(6)−2 2.2質量部
色素(6)−5 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
各単色のインク層のみ下記組成とし、それ以外は試料D1と同様に作製した。
イエローインキ
色素(7)−1 2.2質量部
色素(8)−1 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
色素(9)−1 1.0質量部
色素(10)−1 1.0質量部
色素(11)−1 2.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
色素(12)−1 2.2質量部
色素(13)−1 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
各単色のインク層のみ下記組成とし、それ以外は試料D1と同様に作製した。
イエローインキ
色素(7)−2 2.2質量部
色素(8)−2 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
色素(9)−2 1.0質量部
色素(10)−2 1.0質量部
色素(11)−2 2.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
色素(12)−2 2.2質量部
色素(13)−2 2.3質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1(商品名)、積水化学(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)50質量部及びアスペンからなるLBKP50質量部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
次いで前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン変性でんぷん(日本NSC(株)製CAT0304L(商品名))1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC(株)製 DA4104(商品名))0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学(株)製サイズパインK(商品名))0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製:アラフィックス100(商品名))0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
乳化分散物Aを以下の手順で調製した。下記化合物A−6を高沸点溶媒(Solv−1)42g及び酢酸エチル20mlに溶解し、この液を1gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液250g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて380gの乳化物Aの調整を行った。
化合物A−6の添加量は乳化物A中に30mmolとなるようにした。
上記のように作成した支持体上に下層から順に下塗層1、下塗層2、断熱層、受容層の構成の多層構成塗布物を作成した。塗工液の組成と塗布量を以下に示す。
(組成)
ゼラチン 3%水溶液
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 11ml/m2
(組成)
スチレンブタジエンラテックス 60質量部
(日本エイアンドエル社製 SR103(商品名))
PVA 6% 水溶液 40質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 11ml/m2
(組成)
中空ポリマーラテックス 60質量部
(日本ゼオン(株)製 MH5055(商品名))
10%ゼラチン水溶液 20質量部
先に調製した乳化物A 20質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 45ml/m2
(組成)
塩化ビニル系ポリマーラテックス 50質量部
(日信化学(株)社製 ビニブラン900(商品名))
塩化ビニル系ポリマーラテックス 20質量部
(日信化学(株)社製 ビニブラン270(商品名))
10%ゼラチン水溶液 10質量部
先に調製した乳化物A 10質量部
マイクロクリスタリンワックス 5質量部
硬膜剤(VS−7) 0.2質量部
水 5質量部
NaOHでpHを8に調節
(塗布量) 18ml/m2
CH2=CHSO2CH2C(=O)−NHCH2CH2NHC(=O)−SO2CH=CH2
受容層塗工液を下記のものに変更した以外は、受像シート1と同様にして受像シート2を作成した。
(組成)
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 100質量部
(電気化学工業(株)製 #1000D(商品名))
アミノ変性シリコーン 3質量部
(信越化学工業(株)製 X−22−343(商品名))
エポキシ変性シリコーン 3質量部
(信越工業(株)製 KF−393(商品名))
トルエン/メチルエチルケトン(1/1) 500質量部
NaOHでpHを8に調節
上記インクシートと、上記受像シートを用いて、熱転写型プリンターA(DPB1500(商品名) 日本電産コパル(株)製)又は熱転写型プリンターB(特開平5−278247号公報の図6に記載のプリンタ)により152mm×102サイズ画像の出力を行った。なお、プリンターAでは、画像形成時の感熱転写受像シートの搬送速度は73mm/sであった。熱転写型プリンターBでは、画像形成時の感熱転写受像シートの搬送速度を125mm/sまたは150mm/sとしてプリントを行った。この際、熱転写型プリンターAでプリントした時と同等の濃度階調が得られるようサーマルヘッドの発熱量を調節した。評価は150枚出力し、白抜けと平均の最大濃度(Dmax)で評価した。ここで白抜けとは、本来インクが転写すべき受像シート部分にインクが転写していない0.1mm2以上0.5mm2未満の大きさの白地部分である。
ここで白抜けの評価は、以下の5段階評価を行った。
5:出力画像150枚中に見られる白抜け箇所が5個未満
4:出力画像150枚中に見られる白抜け箇所が5個以上10個未満
3:出力画像150枚中に見られる白抜け箇所が10個以上20個未満
2:出力画像150枚中に見られる白抜け箇所が20個以上30個未満
1:出力画像150枚中に見られる白抜け箇所が30個以上
得られた結果を下記表1〜3に示した。
ここで、プリンターAによる出力は参考例である。
11 発熱素子アレイ
14 記録紙(感熱転写受像シート)
15 インクフイルム(感熱転写シート)
25 プラテンドラム
26 クランプ部材
27 パルスモーター
28、29 ガイドローラ
Claims (4)
- (a)支持体上に、ポリマーラテックスを含む少なくとも1層の受容層と、中空ポリマーを含みかつ該中空ポリマー以外に有機溶剤に耐性の無い樹脂を含まない少なくとも1層の断熱層を含有する感熱転写受像シートと、(b)支持体上に熱転写層を含有する感熱転写シートとを、該(a)の感熱転写受像シートの受容層と該(b)の感熱転写シートの熱転写層とが接するように重ね合わせ、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する画像形成方法であって、該画像形成時の該(a)の感熱転写受像シートの搬送速度が125mm/s以上であることを特徴とする画像形成方法。
- 前記(a)における感熱転写受像シートの受容層及び/又は断熱層に、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記(a)における感熱転写受像シートの水溶性ポリマーを含有する受容層及び/又は断熱層に、前記水溶性ポリマーを架橋することができる化合物を含有し、前記水溶性ポリマーの一部又は全部が架橋されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
- 前記(a)における感熱転写受像シートの受容層に乳化物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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