JP5742551B2 - シール用熱転写受像シート - Google Patents
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本発明のシール用熱転写受像シートは、多孔質基材と、前記多孔質基材の一方の面上に、中空粒子を有する断熱層と、受容層とをこの順に有し、前記多孔質基材の他方の面上に粘着層を有するシール部と、前記シール部の粘着層と対向し合う様に剥離シート部を剥離可能に被覆したシール用熱転写受像シート、である。好ましい態様では、シール用熱転写受像シートは、断熱層と受容層の間に、プライマー層や中間層をさらに有してもよい。
本発明における多孔質基材は、受容層を保持する機能を有するものである。また、後述する断熱層と共に、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性やクッション性を有するものである。後述する断熱層だけで十分な断熱性等を確保する場合には、断熱層に多量の中空粒子を添加しなければならず、これによって断熱層と多孔質基材との密着性が低下する虞があった。本発明では、多孔質基材と断熱層によって断熱性やクッション性を発現させるので、断熱層と多孔質基材との密着性が低下する虞を低減しつつ、十分な断熱性やクッション性を有するシール用熱転写受像シートを得る事ができる。
本発明における断熱層は、多孔質基材と共に、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性やクッション性を有するものである。多孔質基材だけで十分な断熱性やクッション性を発現させる場合には、多孔質基材に含まれる空洞の割合を高めなければならないが、これによって折れシワが発生しやすくなる虞があった。本発明では多孔質基材と断熱層によって断熱性やクッション性を発現させるので、折れシワが発生する虞を低減しつつ、十分な断熱性やクッション性を有するシール用熱転写受像シートを得る事ができる。本発明における断熱層は、親水性バインダーと、中空粒子とを含むものであり、下記の水性樹脂、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。断熱層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備えることができる。
中空粒子とは中空構造を有する粒子であり、空隙からなるコア部と、空隙を覆うシェル部と、からなるものである。シェル部を構成する材料は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びこれらの共重合体などのポリマー、及びこれらの架橋物、又はシリカなどの無機化合物など、特に限定されない。これらの中で、クッション性の観点からは、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びこれらの共重合体などのポリマー、又はこれらの架橋物が特に好ましく、アクリル−スチレン共重合化合物、及びその架橋物がさらに好ましい。
本発明においては、断熱層は親水性バインダーを含むものである。親水性バインダーとは、水系溶媒に溶解可能な樹脂のことである。このようなものとして、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができ、特にゼラチンが好ましい。このような親水性バインダーを用いることで、断熱層および中間層等の各層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、ゼラチンを用いることで、塗布適性の向上ができる。また、各塗布液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、およびCLV(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい。
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。本発明においては、受容層は、熱可塑性樹脂を含むものであり、離型剤を含む事が好ましい。これによって、印画時に熱転写シートとのあいだで熱融着することを防止できる。
熱可塑性樹脂とは、熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容できるポリマーのことである。本発明では、溶剤系樹脂を熱可塑性樹脂として使用できる。これによって、熱可塑性樹脂を分散させた溶剤系溶液を調整し、この溶剤系溶液を使用して熱可塑性樹脂を分散させた、水系分散塗工液を調整する事ができる。
本発明の好ましい態様によれば、受容層は、離型剤をさらに含んでもよい。受容層用塗布液の調製においては、溶剤系溶液に含まれてもよい。離型剤としては、溶剤系シリコーンやフッ素系界面活性剤を挙げることができ、特に溶剤系シリコーンが好ましい。溶剤系シリコーンとしては、ジメチルシリコーン等の各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン、アミド変性シリコーン等を用い、これらを混合して用いたり、各種の反応を用いて重合させて用いたりすることもできる。また、2種以上の離型剤を混合して用いてもよい。このような離型剤を含む水系分散塗布液を用いて受容層を形成することで、印画時に熱転写インクシートと熱転写受像シートの受容層との融着および印画感度低下などの問題を改善することができる。本発明においては、市販の溶剤系離型剤を用いることもでき、例えば、信越化学工業株式会社製のX−22−163、X−22−173D、X−22−343、X−22−2000、X−22−3000T、KF−101、KF−102、KF−1001、KF−1002、KP―1800U、X−22−4015、X−22−1660B、X−22−160ASD、KF−410等が好ましい。
本発明のシール用熱転写受像シートは、受容層を有する側とは反対側の支持体上に、粘着層を有するシール部を有する。粘着層は、支持体上の全面に形成されていてもよいし、一部だけに形成されていてもよい。また、粘着層は、支持体上に数カ所に分けて形成されていてもよい。粘着層の具体的な態様については、シール用熱転写受像シートの使用目的や用途に応じて、適宜決定することができる。
本発明における基材は、シール部を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
離型層とは、基材と共に剥離シート部を形成するものであり、シール部と剥離シート部とを剥離可能にする機能を有するものである。本発明の離型層を構成する材料は、上記の機能を有するものであれば特に制限されないが、例えば、ポリメチルシロキサン等を主体とするシリコーン系剥離剤またはポリオレフィン等を用いることができる。離型層は、離型層用塗工液を従来公知の方法で塗工、乾燥して形成することができる。離型層の塗工量は、乾燥後の塗工重量として、通常0.1〜1g/ m2である。
熱転写受像シートの各層の塗布には、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、およびカーテンコート等の公知の方法を用いることができ、スライドコートやカーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法が好ましい。
実施例1
シール部1の作成
多孔質基材として、特開平11−343356の実施例3に記載されたものを用い、その一方の面に、下記組成の断熱層用塗布液1および受容層用塗布液1(水系分散塗布液)を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ12μm、3μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥し、シール部用シート(層構成:多孔質基材/断熱層1/受容層1)を得た。得られたシール部用シートの他方の面に、下記組成の粘着層用塗工液1を、グラビア印刷によって4μmとなるように塗布し、乾燥して、シール部1(層構成:粘着層1/多孔質基材/断熱層1/受容層1)を得た。
断熱層用塗布液1の組成
・中空粒子(JSR(株)製、商品名:SX8782(D)、体積平均粒径1.0μm、内孔径0.8μm、中空率50%)
50質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:RR) 40質量部
・水性ポリウレタン樹脂(DIC(株)製、商品名:AP40)
10質量部
受容層用塗布液1の組成
・塩酢ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ソルバインC)
45質量部
・アニオン系乳化剤(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス NBL)
2.5質量部
・離型剤(エポキシアラルキル変性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製、商品名:X−22−3000T)
2.3質量部
・純水 270質量部
粘着層用塗工液1の組成
・アクリル共重合体(総研化学(株)製、商品名:SKダイン1310)
48質量部
・エポキシ樹脂 0.4質量部
・酢酸エチル 51.6質量部
なお、受容層用塗布液1(水系分散塗布液)は、以下のようにして調製した。まず、下記の組成となるように、水系溶液1および溶剤系溶液1を調製した。この水系溶液1と溶剤系溶液1とを、混合・撹拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、溶剤系塩ビ系樹脂を水溶液中に乳化させ、その後、有機溶媒を除去して、水系分散塗布液を調製した。調製した水系分散塗布液の固形分量は、15%であった。この水系分散塗布液が受容層塗布液1の組成となる様に離型剤を配合し、これを受容層用塗布液として用いた。以下、各実施例および比較例においても、同様の方法により受容層用塗布液を調製した。
・アニオン系乳化剤(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス NBL) 2.5重量部
・純水 270重量部
溶剤系溶液1の組成
・塩酢ビ系樹脂(日信化学(株)製、商品名:ソルバインC)
45重量部
・酢酸エチル(溶剤) 450重量部
シール用熱転写受像シート1の作成
剥離シート部として、RCペーパー(三菱製紙(株)製)に離型処理を施したものを準備した。この離型処理面と、上記の通りに作製したシール部1の粘着層とを対向し、貼り合せることによって、図1の層構成を有するシール用熱転写受像シート1を得た。
比較例1
断熱層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてシール用熱転写受像シート2を得た。
比較例2
多孔質基材として、特開平11−343356の比較例3のものを使用した以外は、比較例1と同様にしてシール用熱転写受像シート4を得た。
<<印画ざらつき評価試験>>
各実施例、及び比較例のシール用熱転写受像シートの受容層に、シチズンシステムズ社製プリンター(製品名:CW−01)にて、シアンの光学濃度が0.5付近となる様に調整したベタパターンを印画した。光学濃度は、分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製、光源:D65、視野角:2°、濃度測定用フィルター:ANSI Status A)で測定した値である。印画後の受容層の印画ざらつき評価を、以下の条件にて目視により行った。評価結果を表1に示す。
<評価条件>
○:印画ざらつきが発生。
△:僅かに印画ざらつきが発生。
×:印画ざらつきが発生。
<<熱転写濃度評価試験>>
各実施例、及び比較例のシール用熱転写受像シートの受容層に、シチズンシステムズ社製プリンター(製品名:CW−01)にて、RGB値が15×n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画した。得られた画像のブラック部分の光学濃度を、分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製、光源:D65、視野角:2°、濃度測定用フィルター:ANSI Status A)で測定し、以下の基準にて熱転写濃度の評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
○・・・最高到達濃度が2.00以上であった。
△・・・最高到達濃度が1.90以上、2.00未満であった。
×・・・最高到達濃度が1.90未満であった。
<<折れシワ評価試験>>
各実施例、及び比較例のシール用熱転写受像シートを、受容層面が内向きになる様にして折り曲げ、以下の評価基準で折れシワ評価を行なった。評価結果を表1に示す。
<評価結果>
○:折れシワがほとんど発生せず、きれいな折り目が形成できた。
×:折れシワが発生した。
11 シール部
12 多孔質基材
13 断熱層
14 受容層
15 粘着層
16 剥離シート部
17 基材
18 離型層
Claims (3)
- 多孔質基材と、前記多孔質基材の一方の面上に、中空粒子を有する断熱層と、受容層とをこの順に有し、前記多孔質基材の他方の面上に粘着層を有するシール部と、
前記シール部の粘着層と対向し合う様に剥離シート部を剥離可能に被覆したシール用熱転写受像シートであって、
前記多孔質基材は、空隙率が20〜60%であり、かつ前記断熱層に有する中空粒子の平均中空率が40%以上であり、かつ前記断熱層に含まれる中空粒子の質量と、親水性バインダーと水性樹脂との合計の質量が、前記中空粒子:(親水性バインダーと水性樹脂との合計)=30:70〜60:40であることを特徴とするシール用熱転写受像シート。 - 前記多孔質基材は、第1の樹脂と、第1の樹脂に非相溶な第2の樹脂を含み、前記第1の樹脂がポリオレフィン系樹脂である、
ことを特徴とする、請求項1に記載されたシール用熱転写受像シート。 - 前記多孔質基材の受容層を形成する面には、表面層を有する、
ことを特徴とする、請求項2に記載されたシール用熱転写受像シート。
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