JP5229469B2 - 熱転写受像シート - Google Patents

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本発明は、熱転写受像シートに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法としてサーマルヘッドなどの加熱媒体による熱転写を使用した方法が知られている。その方法には、記録材としての昇華性染料を紙やプラスチックフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルムなどの基材の一方の面に昇華性染料の受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせ、熱転写シートの背面から加熱媒体で熱を加えて、昇華性染料を熱転写受像シートに転写させて画像を形成する方法が知られている。
その方法で高画質の画像を熱転写受像シートに形成するには、熱転写受像シートの熱転写感度が高いことや印画ムラの発生の抑制が重要であり、それには、熱転写受像シートの受容層に効果的に熱の伝達が行われ、かつ、受容層から基材へと熱が拡散してしまうことを抑えることが重要である。
これについて、熱転写受像シートの基材と受容層(染料受容層)の間に、中空な粒子をバインダに添加した塗工液を基材シートに塗布してなる層(多孔質層)を形成することが、提案されている(特許文献1参照)。このとき、基材シート上の多孔質層が熱転写受像シートの断熱性とクッション性を高める。
このような特許文献1に記載された技術にて、熱転写濃度(感度)を高めた熱転写受像シートを得ようとすれば、多孔質層を、バインダに中空粒子をより多く分散させた層とすることが必要となる。
ところが、多孔質層がバインダ中に中空粒子をより多く分散させた層であると、基材と染料受容層の間に介在させる多孔質層が凝集破壊を引き起こす原因となってしまい、熱転写受像シートの一体接着性が確保できなくなる。
また、熱転写受像シートに画像を形成する際の印画ムラの発生を抑制する方法として、熱転写受像シートに耐熱性を高めた粒子(耐熱性粒子)を含む層を形成することが、提案されている(特許文献2参照)
特許文献2に記載された技術にて、熱転写濃度を高めた熱転写受像シートを得ようとすれば、多孔質層を、バインダに耐熱性粒子をより多く分散させた層とすることが必要となる。このとき、特許文献2に記載された技術では、上記特許文献1の場合と同様に、基材と染料受容層の間に介在させる多孔質層が凝集破壊を引き起こす原因となり、やはり熱転写受像シートの一体接着性(密着性)が確保できなくなる。
特開2002−212890号公報 特開2005−096206号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、感度を維持しつつ接着性をより向上させた熱転写受像シートを得ることを目的とする。
本発明は、(1)中空粒子とバインダを含有する多孔質層を、基材シートと染料受容層の間に積層してなる熱転写受像シートであって、
多孔質層は、3層積層されており
基材シートから最も遠い位置に形成される多孔質層は、染料受容層に直接接触しており、
多孔質層に含まれるバインダに対する中空粒子の配合比率をなし中空粒子の固形分の配合量(重量部)を中空粒子の固形分の配合量とバインダの固形分の配合量の合計量(重量部)で除して得られるPV比の値は、基材シートに近い方の多孔質層よりも、基材シートから遠い方の多孔質層のほうが大きく、
基材シートから最も遠い位置に形成される多孔質層のPV比の値が、0.6以上0.9以下であり、
基材シートから最も遠い位置に形成される多孔質層と基材シートに最も近い位置に形成される多孔質層との間に形成される多孔質層のPV比の値が、0.3以上0.6以下であり、
基材シートに最も近い位置に形成される多孔質層のPV比の値が、0.1以上0.3以下である、ことを特徴とする熱転写受像シート
(2)多孔質層には、ゼラチンが含まれる、上記(1)に記載の熱転写受像シート、を要旨とする。
本発明によれば、熱転写受像シートにおいて、多孔質層を複数層設け、各多孔質層のバインダに対する中空粒子の配合比率(PV比)を異にし、且つ、基材に近い方の多孔質層のPV比(中空粒子の固形分の量(重量部)/樹脂の固形分の量(重量部))の値よりも基材から遠い方の多孔質層のPV比の値のほうが大きいことにより、基材との密着性を保ち、断熱効果も付与させることが可能となり、感度を維持しつつ接着性をより向上させた熱転写受像シートを得ることができる。ただし、上記「樹脂」は、中空粒子とバインダの両者を示しており、上記「樹脂の固形分」は、中空粒子の固形分と、バインダの固形分の合計量を示す。
本発明によれば、熱転写受像シートは、多孔質層を3層積層されており、基材との接着性に優れたものにすることが可能なものである
ところで、本発明の熱転写受像シートは、多孔質層や染料受容層といった層を設けて多層に構成されるものであるので、基材シートに多層を積層形成する方法(同時多層塗工方法)をスライドコート法やカーテンコート法等にて作製する作製方法を適用可能な構成を備えると、より効率的に作製可能なものとなる。なお、この作製方法は、基材シート面上に形成されるべき各層を構成する複数種類の塗工液を上下に重ね合わせてスライドコート法やカーテンコート法による塗布を行って各層を作製形成するものである。
同時多層塗工方法にて熱転写受像シートを得る場合には、通常、各層にゲル化剤が含まれる。この点、本発明によれば、多孔質層を構成するバインダにゲル化剤が含まれることで、同時多層塗工方法で多孔質層と染料受容層を形成可能とすることができ、熱転写受像シートを効果的に製造することを可能にすることができる。
<熱転写受像シート1の構成>
本発明は、図1(A)や図2(A)に示すように、多孔質層4を、基材シート2と染料受容層3の間に積層してなる熱転写受像シート1である。
基材シート2としては、特に制限されず、従来の熱転写受像シートに使用可能な基材シートを適宜用いることができる。具体的には、基材シート2としては、グラシン紙、コンデンサ紙、パラフイン紙等の薄葉紙、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー等のプラスチックのシート材、或いはこれらのシート材と前該紙とを複合した複合シート材、コート紙、アート紙、レジンコート紙等の塗工紙等が例示される。
基材シート2の厚みは、熱転写受像シート1に要求される強度や耐熱性等や、基材シート2として採用した素材の材質に応じて、適宜変更可能であり、具体的に、基材シート2の厚みは、10μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、50μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
染料受容層3は、熱転写による画像形成時に熱転写シートから転写されてくる昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料をその染料受容層3に保持することで、その染料受容層3の面に画像を形成するとともにその画像を維持する為の層である。
したがって、染料受容層3は、昇華性染料を受容可能な(すなわち染料染着性を有する)樹脂材料にて形成される。具体的に、染料受容層3を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に好ましいものは、ビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂である。
染料受容層3の厚みは、必要に応じて適宜選択されてよいが、その厚みは、一般的には1〜50μmであり、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
染料受容層3には、その染料受容層3の白色度を良好にするなどの目的で、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の充填剤、白色顔料、蛍光増白剤等の添加剤が適宜添加されてもよい。
また、染料受容層3には、画像形成時における熱転写シートと熱転写受像シート1との熱融着を防ぐために離型剤が添加剤として含まれていてもよい。この離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、シリコーンオイルが望ましい。また、そのシリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、ポリエーテル変性、アルキル・アラルキル・ポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが望ましい。このとき、染料受容層3には、1種若しくは2種以上の離型剤が使用されてよい。なお、この離型剤は、染料受容層3を形成する際に調整される染料受容層形成用の樹脂材料を含む塗工液などの樹脂組成物に添加されて使用されるが、その添加量は染料受容層3を形成する樹脂材料100重量部に対して、0.5〜30重量部であることが好ましい。この量の範囲で離型剤が添加されることで、熱転写の際に熱転写シートが熱転写受像シート1の染料受容層3に融着してしまう虞を抑制する効果を得ることができ、また熱転写シートと熱転写受像シート1との分離の困難性に伴う感度の低下の虞等を低減する効果を効率的に得ることができる。
多孔質層4は、2層以上積層されている。複数の多孔質層4は、隣りあう多孔質層4の間に多孔質層4の他の層を介在させることなく、直接積層されている。図1(A)の例では、多孔質層4は、多孔質層4a1、4a2にて示されるように、2層積層されているが、本発明の熱転写受像シート1は、この例に限定されない。多孔質層4は、2層以上積層されていてもその総厚みが過剰にならなければ、図2(A)に示すように、3層または4層積層されていてもよいが、3層積層されていることが好ましい。あまり、積層数が多いと、多孔質層4の形成にあたって使用される塗工装置における塗工可能な層数に制約があるため、層数が多くなると塗工できなくなる可能性がある。
複数の多孔質層4は、いずれもバインダと中空粒子とを少なくとも含んでなる。多孔質層4においては、バインダと中空粒子の配合比率は、断熱性およびクッション性を有する層構造を得ることができるような比率である。
複数の多孔質層4は、バインダに対する中空粒子の配合比率(PV比)を互いに異にしている。さらに、複数の多孔質層4は、基材に近い方の多孔質層4のPV比の値よりも基材から遠い方の多孔質層4のPV比の値のほうが大きい。
例えば、図1(A)の例に示すような2層積層される多孔質層4では、多孔質層4a2のPV比の値よりも、多孔質層4a1のPV比の値のほうが大きい。この場合、多孔質層4a1については、バインダと中空粒子の配合比率が、PV比で、0.9〜0.5の範囲内であり、0.8〜0.5であることがより好ましい。多孔質層4a2については、バインダと中空粒子の配合比率が、PV比で、0.5〜0.1の範囲内であり、0.4〜0.1であることがより好ましい。
図2(A)の例に示すような3層積層される多孔質層4では、多孔質層4a3のPV比の値よりも、多孔質層4a2、4a1のPV比の値のほうが大きく、且つ、多孔質層4a2のPV比の値よりも、多孔質層4a1のPV比の値のほうか大きい。この場合、多孔質層4a1については、バインダと中空粒子の配合比率が、PV比で、0.9〜0.6の範囲内であり、0.8〜0.6であることがより好ましい。多孔質層4a2については、バインダと中空粒子の配合比率が、PV比で、0.6〜0.3の範囲内であり、0.6〜0.4であることがより好ましい。多孔質層4a3については、バインダと中空粒子の配合比率が、PV比で、0.3〜0.1の範囲内である。
なお、本明細書において、PV比は、(中空粒子の配合量(中空粒子の固形分の量)(重量部))/(樹脂の配合量(樹脂の固形分の量)(重量部))にて定められる値である。ただし、樹脂は、中空粒子とバインダの両者を示しており、樹脂の固形分は、中空粒子の固形分と、バインダの固形分の合計量を示す。
複数の多孔質層4について、基材から最も遠い多孔質層4におけるバインダの含有量に対する中空粒子の含有量が少なくなりすぎると、多孔質層4における空隙が少なくなり、多孔質層4に断熱性およびクッション性の機能を充分に発揮させることができない場合がある。また、基材に最も近い多孔質層4におけるバインダの含有量に対する中空粒子の含有量が多くなりすぎると、多孔質層4における中空粒子の接着性が低下し、多孔質層の凝集破壊が過剰に生じる。
複数の多孔質層4の厚についてみは、熱転写受像シート1の断熱性とクッション性を確保する点と、製造コスト高の虞を抑制する点から、複数直接積層される多孔質層4の総厚みが、10μm〜40μmの範囲内にあることが好ましい。
複数の多孔質層4のそれぞれの比重は、基材に近い方の多孔質層4の比重の値よりも基材から遠い方の多孔質層4の比重の値のほうが小さいことが好ましい。ただし、いずれの多孔質層4についても、比重は0.2〜0.8の範囲内であることが好ましく、0.4〜0.8の範囲内であることがより好ましい。各多孔質層4の比重がこの範囲にある場合、多孔質層4に十分体積の空隙が形成され、熱転写受像シート1の感度を高める機能を多孔質層4に効果的に発揮させることが可能となる。
各多孔質層4の比重は、多孔質層の膜厚みR(μm)と、多孔質層の膜のコート量Q(重量/面積)(g/m2)から求められる。すなわち、多孔質層4の比重は、Q/Rにて求められる。
中空粒子は、熱可塑性樹脂でなる外殻の内部に中空部を形成してなる中空な粒子にてなる。中空粒子は、多孔質層4が乾燥状態である場合には、中空部に、空気その他の気体を含有し、多孔質層4が水などの液体に濡れた状態では、中空部に、水その他の液体を含有する。
中空粒子の平均粒子径は、0.5μm〜10μm、平均中空率が30%から80%の範囲であることが好ましく、より好ましくは40%から80%である。中空粒子の平均中空率が低すぎると、多孔質層における空隙が十分に確保できす、十分な断熱性およびクッション性が得られない虞があり、平均中空率が高すぎると、外殻の厚みが薄くなり、塗工時もしくは印画時につぶれてしまう虞がある。
なお、本明細書において、上記「平均粒子径」は次のように求められる。中空粒子を水中に分散させてなる水分散体を調整し、この中空粒子の水分散体のものを乾燥させて乾燥体となし、その後に透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)にて乾燥体における中空粒子をなす粒子(100個)を観察して、個々の粒子についてその外面側の直径(外径)を計測し、それらの値を平均して平均粒子径とした。
本明細書において、上記「平均中空率」は次のように求められる。中空粒子を水中に分散させてなる水分散体を調整し、この中空粒子の水分散体のものを乾燥させて乾燥体となし、その後に透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)にて乾燥体中における中空粒子をなす粒子(100個)を観察して、個々の粒子についてその内面側の直径(内径)を計測し、それらの値を平均して平均粒子内径とした。そして、平均粒子内径から中空部の体積を定めるとともに、その値を上記平均粒子径から粒子の見掛けの体積で除して100を乗じることで平均中空率を算出した。
中空粒子を構成する材料は、有機系樹脂材料にてなるものであってもよいし、無機材料にてなるものでもよい。ただし、バインダとの親和性の点からは、中空粒子は、有機系樹脂材料でなるものであることが好ましい。有機系樹脂材料としては、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
中空粒子は、発泡粒子、非発泡粒子のいずれが用いられてもよく、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等の発泡体でなる有機系発泡粒子、無機中空ガラス体等が中空粒子として使用できる。中空粒子として発泡粒子が使用される場合には、発砲状態が独立発泡又は連続発泡のいずれの状態にあるものでもよい。
多孔質層4を構成するバインダとしては、通常、水系樹脂が用いられる。具体的に、この水系樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等の樹脂を挙げることができる。また、ここに挙げたような樹脂の2種類以上が組み合わされてバインダとして用いられても良い。そして、このような樹脂から、基材シート2と染料受容層3に対して接着性を有する樹脂が適宜選択され、バインダとして用いられることが好ましい。
また、バインダとしては、昇華型染料を熱転写受像シート1に熱転写する際に昇華型染料の水分が基材シート2まで移行してしまう虞を効果的に防止する点からは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂が用いられることが好ましい。これらの水溶性樹脂は、水溶性樹脂でない他の樹脂と比較して、粘度が高く、保水性に優れるため、基材シート2への水分の浸透を効果的に防止できる。
<熱転写受像シート1の製造方法>
本発明の熱転写受像シート1は、次のように製造することができる。
「塗工液の調整工程」
(1)染料受容層形成用の塗工液
染料受容層を構成する樹脂材料として、昇華性染料に対する染料染着性を有する樹脂材料を選択し、選択された樹脂材料を溶媒に分散・溶解して染料受容層形成用の塗工液を調整する。染料受容層形成用の塗工液を調整する際に使用される溶媒としては、樹脂材料を分散や溶解可能であれば特に限定されず、油系溶媒、水系溶媒のいずれも採用可能である。
ここに、「油系溶媒」とは、有機化合物の溶媒を示している。
また、「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒を示しており、水系溶媒における水の割合は、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。水系溶媒を構成する「水以外の溶媒」としては、水と混ざり合う溶媒を適宜選択することができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を好ましく例示することができる。
(2)多孔質層形成用の塗工液
形成しようとする多孔質層に応じて多孔質層形成用の塗工液が調整される。各多孔質層形成用の塗工液の調製にあたり、中空粒子が選択される。そして、選択された中空粒子を混合させてなる中空粒子と、バインダとを溶媒に分散させることにより、多孔質層形成用の塗工液が調整される。
多孔質層形成用の塗工液の調整に用いられる溶媒としては、染料受容層形成用の塗工液を調整する際に用いる「水系溶媒」が用いられる。
多孔質層形成用塗工液において、中空粒子とバインダとのPV比は、多孔質層に応じて適宜決定される。
多孔質層形成用塗工液は、多孔質層の積層数に応じて複数種類調整される。複数種類の多孔質層形成用塗工液は、バインダに対する中空粒子のPVを互いに異にしている。2層、3層多孔質層を積層する場合には、PVを互いに異にするそれぞれ2種類、3種類の多孔質層形成用塗工液が調整される。このとき、基材シートから遠い位置に形成される多孔質層を形成するために用いる多孔質層形成用塗工液のほうが、基材シートに近い位置に形成される多孔質層を形成するために用いる多孔質層形成用塗工液よりも、PV比の値が大きい。
「塗工膜の作製・乾燥工程」
基材シート2を準備し、上記(2)に調整された多孔質層形成用の塗工液のうち基材シート2に一番近い位置の多孔質層を形成するための多孔質層形成用塗工液を基材シート面上に塗工して塗工膜(多孔質形成用塗工膜)が作製される。塗工膜の作製方法としては、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、スライドコート法、カーテンコート法等の一般的な塗工方法を適宜採用することができる。
そして、塗工膜の作製後、その塗工膜が乾燥される。この乾燥により、多孔質形成用塗工膜が多孔質層4をなす。この乾燥の際の乾燥温度は、塗工液の組成に応じて適宜設定されるが、通常、30℃〜120℃の範囲内とされることが好ましい。
基材シート2面上に作製された多孔質層4の露出面上に、基材シート2に2番目に近い位置の多孔質層を形成するための多孔質層形成用塗工液を用い、多孔質層4を更に積層形成する。そして、この多孔質層4の積層工程を繰り返して、順次、多孔質層4が積層される。例えば、図1に示す熱転写受像シート1では、多孔質層4a2、4a1に応じた塗工液の塗工が順次実施されることで、多孔質層4a2、4a1を順次積層することができ、図2に示す熱転写受像シート1では、多孔質層4a3、4a2、4a1に応じた塗工液の塗工が順次実施されることで、多孔質層4a3、4a2、4a1を順次積層することができる。
次に、基材シート2面上に作製された多孔質層4の露出面上に、上記(1)に示す調整された染料受容層形成用の塗工液を塗工して塗工膜(染料受容層形成用塗工膜)が作製され、塗工膜が乾燥される。この乾燥により、染料受容層形成用塗工膜が染料受容層3をなす。このとき、塗工膜の作製方法、乾燥方法としては、上記多孔質形成用塗工膜の作製に用いた塗工方法、乾燥方法を適宜採用することができる。
こうして本発明の熱転写受像シート1が具体的に作製される。
なお、本発明の熱転写受像シート1の製造方法を説明するにあたり、その製造方法が多孔質層4や染料受容層3を各層個別に形成する方法である場合を例として説明したが、これに限定されない。熱転写受像シート1の製造方法は、多孔質層4や染料受容層3といった複数の層を一度に同時形成する方法であることがより好ましい。
熱転写受像シート1の製造にあたり、熱転写受像シート1を構成する複数の層(複数の多孔質層4、および、染料受容層3)を同時形成する方法としては、熱転写受像シート1を構成する複数の多孔質層4や染料受容層3を形成するための塗工液が互いにまじり合うことなく、均一な厚みの塗工膜を上下に重ねて形成する方法(同時多層塗工方法)であれば特に限定されるものではない。具体的には、各層(複数の多孔質層や染料受容層)を形成するための塗工膜を形成する塗工液を上下に重ねた状態のまま基材シート面上に吐出させてスライド塗工することで塗工膜を作製するスライドコート法やカーテンコート法が好ましく用いられる。
熱転写受像シート1の製造にあたり、上記したような同時多層塗工方法としてのスライドコート法が用いられる場合、次のように、熱転写受像シート1が得られる。
まず、基材シート2面上に、複数の多孔質層形成用の塗工液と染料受容層形成用の塗工液が上下に交ざり合わずに重なり合わされつつ塗工されて、複数種類の多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とが一度に上下に別々の層をなす。
次に、複数の多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜が冷却される(冷却工程)。このとき、冷却される温度としては、上記複数の多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜の粘度を、これらの塗工膜が互いに混ざり合わない程度に向上させることができる範囲の温度であれば特に限定されるものではない。具体的に、冷却工程における冷却温度は0℃〜30℃の範囲であることが好ましく、特に0℃〜25℃の範囲内であることが好ましく、さらに3℃〜20℃の範囲内であることが好ましい。なお、この冷却工程をスムーズに実施することを可能にするために、各多孔質形成用塗工膜のバインダに冷却用のゲル化剤が含まれるものが用いられ、染料受容層形成用塗工膜に冷却用のゲル化剤が含まれてよい。
そして、冷却工程の後、複数の多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜を乾燥させる。このとき、乾燥は、複数の多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜を形成した基材シート2に熱を加えることで実施される。なお、各多孔質形成用塗工膜にゲル化剤が含まれ、染料受容層形成用塗工膜に含まれるバインダが冷却用のゲル化剤を含んで構成されるものである場合、乾燥の際に当てられる風や搬送の際に互いが混合する虞が抑制される。
なお、複数の多孔質層形成用の塗工液や染料受容層形成用の塗工液などの各塗工液にゲル化剤が含まれる場合、ゲル化剤としては、水系溶媒をゲル化させることが可能な化合物を適宜用いることができ、ゼラチンやカラギーナンや寒天などといったゲル化剤としての機能を発揮可能な樹脂材料を挙げることができ、なかでも、水系溶媒に対して低い温度で溶解可能である点や高濃度に溶解可能である点からは、ゼラチンが好ましい。
なお、本発明の熱転写受像シート1を構成する各層(複数の多孔質層4、染料受容層3)を形成するにあたっては、必要に応じて、各層を形成する際に調整される塗工液に、水性膜助剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤等の添加剤を更に添加することもできる。
<熱転写受像シート1についてその他の形態>
ところで、上記では、本発明の熱転写受像シート1として、基材シート2に複数の多孔質層4と染料受容層3を形成してなるものを例として詳細に説明したが、これに限定されず、熱転写受像シート1には次のような層が更に形成されてなるものでもよい。
すなわち、本発明の熱転写受像シート1は、図1(B)、図2(B)に示すように、多孔質層4と染料受容層3との間にプライマー層5を設けるとともに基材シート2と多孔質層4との間に下引き層6を設けたものでもよい。
<プライマー層5について>
この熱転写受像シート1においては、プライマー層5は、最も基材シート2から離れた位置の多孔質層4と染料受容層3との接着性を向上させる機能を有する層である。したがって、プライマー層5を形成する材料は、最も基材シート2から離れた位置の多孔質層4と染料受容層3の両者に接着性を備えるものであれば特に限定されるものではない。具体的に、プライマー層5を形成する材料は、多孔質層4を構成するバインダとして選択可能な水系樹脂に分散・溶解可能な樹脂材料から適宜選択されることが好ましい。
プライマー層5は、次のように形成することができる。
「塗工液の調整」
プライマー層5を形成する材料を選択し、選択された材料を溶媒に溶解、分散させてプライマー層形成用の塗工液を調整する。プライマー層形成用の塗工液を調整する際に用いる溶媒としては、染料受容層を形成する場合と同様に、油系溶媒、水系溶媒のいずれも採用することができる。
「塗工膜の作製と乾燥」
多孔質層4を複数形成した基材シート2に対して、多孔質層4の露出面上に、プライマー層形成用の塗工液を塗工して塗工膜(プライマー層形成用塗工膜)を作製し、さらに、そのプライマー層形成用塗工膜が乾燥されることで、プライマー層形成用塗工膜がプライマー層5をなす。
<下引き層6について>
熱転写受像シート1において、下引き層6は、最も基材シート2に近い位置の多孔質層4と基材シート2との接着性を向上させる機能と同時多層塗工を行う際に高速塗工を可能とする機能を有する層である。したがって、下引き層6を形成する材料は、その多孔質層4と基材シート2の両者に接着性もしくは高速塗工適性を備えるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、下引き層6を形成する材料は、多孔質層4を構成するための水系溶媒に分散・溶解可能な樹脂材料から適宜選択されることが好ましい。
下引き層6は、次のように形成することができる。
「塗工液の調整」
下引き層6を形成する材料を選択し、選択された材料を溶媒に溶解、分散させて下引き層形成用の塗工液を調整する。下引き層形成用の塗工液を調整する際に用いる溶媒としては、多孔質層4を形成する場合と同様に、水系溶媒が採用される。
「塗工膜の作製と乾燥」
基材シート2面上に、下引き層形成用の塗工液を塗工して、塗工膜(下引き層形成用塗工膜)を作製し、さらに、その下引き層形成用塗工膜が乾燥されることで、下引き層形成用塗工膜が下引き層6をなす。
なお、上記したようなプライマー層5や下引き層6を備える熱転写受像シート1を製造するにあたっては、熱転写受像シート1を構成する各層を個別に順次形成する方法が用いられてよく、またスライドコート法による同時多層塗工方法が用いられてもよい。効率的に熱転写受像シート1を作製する点からは、スライドコート法による同時多層塗工方法が好ましい。
プライマー層5や下引き層6を備える熱転写受像シート1が同時多層塗工方法によって作製される場合には、複数の多孔質層4と染料受容層3に加えてプライマー層5や下引き層6を一度に形成することができる。そして、熱転写受像シート1をスライドコート法による同時多層形成方法にて製造する場合にあっては、各層(複数の多孔質層4、染料受容層3、プライマー層5、下引き層6)を形成する際に調整される塗工液に、ゼラチン等の冷却用のゲル化剤が含まれ、あるいは、各層を構成する材料にあたる樹脂組成物として冷却用のゲル化剤が選択される。このように各層を構成するための各塗工液が、冷却用のゲル化剤を含んで構成されると、本発明の熱転写受像シート1を同時多層塗工方法にて作製する工程における冷却工程をより効率的に行うことができ、熱転写受像シート1を効果的に得ることができる。
なお、上記ではプライマー層5や下引き層6の両層を備える熱転写受像シート1について説明したが、本発明の熱転写受像シート1は、プライマー層5や下引き層6のいずれか一方の層が備えられてなるものでもあってもよい。
次に、実施例を用いて本発明をより詳細に示す。
「塗工液の調整」
(1)染料受容層形成用塗工液
下記表1に示す組成成分に示すものを混合して染料受容層形成用塗工液を調整した。各組成成分についての配合量は、表1に示すとおりである。
Figure 0005229469
(2)多孔質層形成用の塗工液
多孔質層形成用塗工液として、下記多孔質層形成用塗工液(塗工液1から塗工液5)を調整した。多孔質層形成用塗工液(塗工液1から塗工液5)は、それぞれ表2から6に示す組成成分に示すものを混合して調整された。なお、塗工液1から5のそれぞれを構成する各組成成分についての配合量は、表2から表6に示すとおりである。また、塗工液1から5のそれぞれについてのPV比は表7に示すとおりである。
Figure 0005229469
Figure 0005229469
Figure 0005229469
Figure 0005229469
Figure 0005229469
Figure 0005229469
上記の塗工液を用い、次のように熱転写受像シートを作成した。
実施例1.
基材シートとしてRCペーパー(STF−150、三菱製紙社製)を準備した。次に、多孔質層形成用の塗工液として塗工液1,2,3を選択し、塗工液1,2,3と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら4種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、基材シートに近い順に塗工液1、塗工液2、塗工液3、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。
次に、3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜の形成された基材シートを、5℃に冷却し、その冷却状態を1分間保持した(冷却処理)。この冷却処理によって、3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とがゲル化する。冷却処理の後、3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜の形成された基材シートを、50℃まで加温し、その状態にて5分保持することで、3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜を乾燥させた(乾燥処理)。この乾燥処理により、3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜がそれぞれ3層の多孔質層、染料受容層をなす。こうして、基材シート上に、3層の多孔質層および受容層がこの順で積層された構成を有する熱転写受像シートが得られた。この熱転写受像シートにおいて、3層の多孔質層の厚みは、基材シートに近い多孔質層から順に5μm、5μm、20μmであった。また、染料受容層の厚みは、5μmであった。
得られた熱転写受像シートを用いて、印画時の濃度および、接着性について評価した。
<評価試験方法と評価方法>
「濃度」
印画時の濃度は印画試験によって測定された。印画試験は、得られた熱転写受像シートに昇華型熱転写法による所定画像の印画を行うことで実施された。このとき、印画される所定画像には、ブラックの18ステップに分割された画像が用いられ、昇華型熱転写法による印画を行う装置としては、昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS社製;MEGAPIXEL III)が用いられ、熱転写シートとしては昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS社製;MEGAPIXEL III)に使用可能な専用インクリボンが用いられた。
そして、ブラックの18ステップに分割された画像が熱転写受像シートに形成された後、光学濃度計(グレタグマクベス社製;spectrolino)による薄いほうから11ステップの値を測定し、測定濃度が0.8以上の場合を「極めて良好」、0.75以上0.8未満の場合を「良好」、0.75未満の場合を「不良」と評価した。
「接着性」
熱転写受像シート(寸法;縦×横の寸法が5(cm)×5(cm))に対して、その側端縁よりも内側の領域に、粘着材(メンディングテープ(3M社製;Scotch Brand Tape MP−12))を貼り付けた。熱転写受像シートに粘着材を貼り付けた後、熱転写受像シートの面と粘着材の面の位置関係が熱転写受像シートの面に対して粘着材の面が45度の角をなす位置関係となるように、粘着剤を熱転写受像シートから剥離した。このとき、「熱転写受像シートが接着性に優れて熱転写受像シートの構造に破壊が生じにくいか否か」という「接着性」の評価は、粘着剤と熱転写受像シートとの接触界面で粘着剤の剥離が生じたか、熱転写受像シートを構成する層の一部に粘着剤に追従する部分を生じつつ粘着剤の剥離が生じたかについての観察がなされることで実施された。
そして、熱転写受像シートを構成する層の一部に粘着剤に追従する部分を生じておらず、粘着剤と熱転写受像シートとの界面で剥離が綺麗に生じている場合を、「極めて良好」と評価し、熱転写受像シートを構成する多孔質層の一部に粘着剤に追従する部分(はがれ)が生じたもののその部分の大きさが多孔質層の面積の5%以下に留まっていた場合を、「良好」と評価し、はがれを生じて且つそのはがれを生じた部分の大きさが多孔質層の面積の5%を超えていた場合を「不良」と評価した。
実施例1の熱転写受像シートについての「濃度」および「接着性」についての評価結果を表8に示す。
実施例2
次に示す2つの点を除いて実施例1と同様の工程を用い、熱転写受像シートを作製した。まず、その第1点として、多孔質層形成用の塗工液として塗工液1,2を選択し、塗工液1,2と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら3種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、基材シートに近い順に塗工液1、塗工液2、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に2層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。第2点として、塗工液1、塗工液2の塗工量は、熱転写受像シートにおける2層の多孔質層の厚みが、基材シートに近い多孔質から順に5μm、25μmとなるように調整された。実施例2の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
実施例3
次に示す2つの点を除いて実施例1と同様の工程を用い、熱転写受像シートを作製した。まず、その第1点として、多孔質層形成用の塗工液として塗工液1,3を選択し、塗工液1,3と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら3種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、基材シートに近い順に塗工液1、塗工液3、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に2層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。第2点として、塗工液1、塗工液3の塗工量は、熱転写受像シートにおける2層の多孔質層の厚みが、基材シートに近い多孔質から順に5μm、25μmとなるように調整された。実施例3の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
比較例1
比較例1では、次に示す2つの点を除いて実施例1と同様の工程を用い、それぞれ熱転写受像シートを作製した。まず、その第1点として、多孔質層形成用の塗工液として塗工液3のみを選択し、多孔質層形成用の塗工液と染料受容層形成用の塗工液という2種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、塗工液1、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に1層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。第2点として、塗工液1の塗工量は、熱転写受像シートにおける2層の多孔質層の厚みが、30μmとなるように調整された。比較例1の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
比較例2
塗工液3にかえて塗工液2を用いたほかは、比較例1と同じ方法と材料と条件を用い、熱転写受像シートを作製した。比較例2の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
比較例3
塗工液3にかえて塗工液1を用いたほかは、比較例1と同じ方法と材料と条件を用い、熱転写受像シートを作製した。比較例3の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
比較例4
次に示す2つの点を除いて実施例1と同様の工程を用い、熱転写受像シートを作製した。まず、その第1点として、多孔質層形成用の塗工液として塗工液4,5を選択し、塗工液4,5と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら3種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、基材シートに近い順に塗工液4、塗工液5、塗工液4、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。このとき、塗工液4による2層の多孔質層形成用塗工膜の間に、塗工液5による多孔質層形成用塗工膜が1層形成される。次に、第2点として、基材シートに近い順に塗工液4、塗工液5、塗工液4の塗工量は、熱転写受像シートにおける3層の多孔質層の厚みが、基材シートに近い多孔質から順に5μm、20μm、5μmとなるように調整された。比較例4の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
Figure 0005229469
(A)は、本発明の熱転写受像シートにおいて多孔質層を2層積層する場合の実施例の1つを示す断面模式図である。(B)は、本発明の熱転写受像シートにおいて多孔質層を2層積層する場合の他の実施例の1つを示す断面模式図である。 (A)は、本発明の熱転写受像シートにおいて多孔質層を3層積層する場合の実施例の1つ示す断面模式図である。(B)は、本発明の熱転写受像シートにおいて多孔質層を3層積層する場合の他の実施例の1つを示す断面模式図である。
符号の説明
1 熱転写受像シート
2 基材シート
3 染料受容層
4,4a1,4a2,4a3 多孔質層
5 プライマー層
6 下引き層

Claims (2)

  1. 中空粒子とバインダを含有する多孔質層を、基材シートと染料受容層の間に積層してなる熱転写受像シートであって、
    多孔質層は、3層積層されており
    基材シートから最も遠い位置に形成される多孔質層は、染料受容層に直接接触しており、
    多孔質層に含まれるバインダに対する中空粒子の配合比率をなし中空粒子の固形分の配合量(重量部)を中空粒子の固形分の配合量とバインダの固形分の配合量の合計量(重量部)で除して得られるPV比の値は、基材シートに近い方の多孔質層よりも、基材シートから遠い方の多孔質層のほうが大きく、
    基材シートから最も遠い位置に形成される多孔質層のPV比の値が、0.6以上0.9以下であり、
    基材シートから最も遠い位置に形成される多孔質層と基材シートに最も近い位置に形成される多孔質層との間に形成される多孔質層のPV比の値が、0.3以上0.6以下であり、
    基材シートに最も近い位置に形成される多孔質層のPV比の値が、0.1以上0.3以下である、ことを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 多孔質層には、ゼラチンが含まれる、請求項1記載の熱転写受像シート。
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