JP2010083050A - 熱転写受像シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 中空粒子とバインダを含有する多孔質層4を、基材シート2と染料受容層3の間に積層してなる熱転写受像シート1において、多孔質層4は、2層以上積層されており、多孔質層4に含まれるバインダに対する中空粒子の配合比率は、基材シート2に近い方の多孔質層4よりも、基材シート2から遠い方の多孔質層4のほうが大きいことで、感度を維持しつつ接着性をより向上させた熱転写受像シート1が得られる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、図1(A)や図2(A)に示すように、多孔質層4を、基材シート2と染料受容層3の間に積層してなる熱転写受像シート1である。
本発明の熱転写受像シート1は、次のように製造することができる。
(1)染料受容層形成用の塗工液
染料受容層を構成する樹脂材料として、昇華性染料に対する染料染着性を有する樹脂材料を選択し、選択された樹脂材料を溶媒に分散・溶解して染料受容層形成用の塗工液を調整する。染料受容層形成用の塗工液を調整する際に使用される溶媒としては、樹脂材料を分散や溶解可能であれば特に限定されず、油系溶媒、水系溶媒のいずれも採用可能である。
形成しようとする多孔質層に応じて多孔質層形成用の塗工液が調整される。各多孔質層形成用の塗工液の調製にあたり、中空粒子が選択される。そして、選択された中空粒子を混合させてなる中空粒子と、バインダとを溶媒に分散させることにより、多孔質層形成用の塗工液が調整される。
基材シート2を準備し、上記(2)に調整された多孔質層形成用の塗工液のうち基材シート2に一番近い位置の多孔質層を形成するための多孔質層形成用塗工液を基材シート面上に塗工して塗工膜(多孔質形成用塗工膜)が作製される。塗工膜の作製方法としては、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、スライドコート法、カーテンコート法等の一般的な塗工方法を適宜採用することができる。
ところで、上記では、本発明の熱転写受像シート1として、基材シート2に複数の多孔質層4と染料受容層3を形成してなるものを例として詳細に説明したが、これに限定されず、熱転写受像シート1には次のような層が更に形成されてなるものでもよい。
この熱転写受像シート1においては、プライマー層5は、最も基材シート2から離れた位置の多孔質層4と染料受容層3との接着性を向上させる機能を有する層である。したがって、プライマー層5を形成する材料は、最も基材シート2から離れた位置の多孔質層4と染料受容層3の両者に接着性を備えるものであれば特に限定されるものではない。具体的に、プライマー層5を形成する材料は、多孔質層4を構成するバインダとして選択可能な水系樹脂に分散・溶解可能な樹脂材料から適宜選択されることが好ましい。
プライマー層5を形成する材料を選択し、選択された材料を溶媒に溶解、分散させてプライマー層形成用の塗工液を調整する。プライマー層形成用の塗工液を調整する際に用いる溶媒としては、染料受容層を形成する場合と同様に、油系溶媒、水系溶媒のいずれも採用することができる。
多孔質層4を複数形成した基材シート2に対して、多孔質層4の露出面上に、プライマー層形成用の塗工液を塗工して塗工膜(プライマー層形成用塗工膜)を作製し、さらに、そのプライマー層形成用塗工膜が乾燥されることで、プライマー層形成用塗工膜がプライマー層5をなす。
熱転写受像シート1において、下引き層6は、最も基材シート2に近い位置の多孔質層4と基材シート2との接着性を向上させる機能と同時多層塗工を行う際に高速塗工を可能とする機能を有する層である。したがって、下引き層6を形成する材料は、その多孔質層4と基材シート2の両者に接着性もしくは高速塗工適性を備えるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、下引き層6を形成する材料は、多孔質層4を構成するための水系溶媒に分散・溶解可能な樹脂材料から適宜選択されることが好ましい。
下引き層6を形成する材料を選択し、選択された材料を溶媒に溶解、分散させて下引き層形成用の塗工液を調整する。下引き層形成用の塗工液を調整する際に用いる溶媒としては、多孔質層4を形成する場合と同様に、水系溶媒が採用される。
基材シート2面上に、下引き層形成用の塗工液を塗工して、塗工膜(下引き層形成用塗工膜)を作製し、さらに、その下引き層形成用塗工膜が乾燥されることで、下引き層形成用塗工膜が下引き層6をなす。
(1)染料受容層形成用塗工液
下記表1に示す組成成分に示すものを混合して染料受容層形成用塗工液を調整した。各組成成分についての配合量は、表1に示すとおりである。
多孔質層形成用塗工液として、下記多孔質層形成用塗工液(塗工液1から塗工液5)を調整した。多孔質層形成用塗工液(塗工液1から塗工液5)は、それぞれ表2から6に示す組成成分に示すものを混合して調整された。なお、塗工液1から5のそれぞれを構成する各組成成分についての配合量は、表2から表6に示すとおりである。また、塗工液1から5のそれぞれについてのPV比は表7に示すとおりである。
基材シートとしてRCペーパー(STF−150、三菱製紙社製)を準備した。次に、多孔質層形成用の塗工液として塗工液1,2,3を選択し、塗工液1,2,3と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら4種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、基材シートに近い順に塗工液1、塗工液2、塗工液3、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。
「濃度」
印画時の濃度は印画試験によって測定された。印画試験は、得られた熱転写受像シートに昇華型熱転写法による所定画像の印画を行うことで実施された。このとき、印画される所定画像には、ブラックの18ステップに分割された画像が用いられ、昇華型熱転写法による印画を行う装置としては、昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS社製;MEGAPIXEL III)が用いられ、熱転写シートとしては昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS社製;MEGAPIXEL III)に使用可能な専用インクリボンが用いられた。
熱転写受像シート(寸法;縦×横の寸法が5(cm)×5(cm))に対して、その側端縁よりも内側の領域に、粘着材(メンディングテープ(3M社製;Scotch Brand Tape MP−12))を貼り付けた。熱転写受像シートに粘着材を貼り付けた後、熱転写受像シートの面と粘着材の面の位置関係が熱転写受像シートの面に対して粘着材の面が45度の角をなす位置関係となるように、粘着剤を熱転写受像シートから剥離した。このとき、「熱転写受像シートが接着性に優れて熱転写受像シートの構造に破壊が生じにくいか否か」という「接着性」の評価は、粘着剤と熱転写受像シートとの接触界面で粘着剤の剥離が生じたか、熱転写受像シートを構成する層の一部に粘着剤に追従する部分を生じつつ粘着剤の剥離が生じたかについての観察がなされることで実施された。
次に示す2つの点を除いて実施例1と同様の工程を用い、熱転写受像シートを作製した。まず、その第1点として、多孔質層形成用の塗工液として塗工液1,2を選択し、塗工液1,2と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら3種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、基材シートに近い順に塗工液1、塗工液2、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に2層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。第2点として、塗工液1、塗工液2の塗工量は、熱転写受像シートにおける2層の多孔質層の厚みが、基材シートに近い多孔質から順に5μm、25μmとなるように調整された。実施例2の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
次に示す2つの点を除いて実施例1と同様の工程を用い、熱転写受像シートを作製した。まず、その第1点として、多孔質層形成用の塗工液として塗工液1,3を選択し、塗工液1,3と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら3種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、基材シートに近い順に塗工液1、塗工液3、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に2層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。第2点として、塗工液1、塗工液3の塗工量は、熱転写受像シートにおける2層の多孔質層の厚みが、基材シートに近い多孔質から順に5μm、25μmとなるように調整された。実施例3の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
比較例1では、次に示す2つの点を除いて実施例1と同様の工程を用い、それぞれ熱転写受像シートを作製した。まず、その第1点として、多孔質層形成用の塗工液として塗工液3のみを選択し、多孔質層形成用の塗工液と染料受容層形成用の塗工液という2種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、塗工液1、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に1層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。第2点として、塗工液1の塗工量は、熱転写受像シートにおける2層の多孔質層の厚みが、30μmとなるように調整された。比較例1の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
塗工液3にかえて塗工液2を用いたほかは、比較例1と同じ方法と材料と条件を用い、熱転写受像シートを作製した。比較例2の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
塗工液3にかえて塗工液1を用いたほかは、比較例1と同じ方法と材料と条件を用い、熱転写受像シートを作製した。比較例3の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
次に示す2つの点を除いて実施例1と同様の工程を用い、熱転写受像シートを作製した。まず、その第1点として、多孔質層形成用の塗工液として塗工液4,5を選択し、塗工液4,5と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら3種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、基材シートに近い順に塗工液4、塗工液5、塗工液4、染料受容層形成用の塗工液を上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に3層の多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。このとき、塗工液4による2層の多孔質層形成用塗工膜の間に、塗工液5による多孔質層形成用塗工膜が1層形成される。次に、第2点として、基材シートに近い順に塗工液4、塗工液5、塗工液4の塗工量は、熱転写受像シートにおける3層の多孔質層の厚みが、基材シートに近い多孔質から順に5μm、20μm、5μmとなるように調整された。比較例4の熱転写受像シートについて、実施例1と同様に「濃度」および「接着性」について評価した。結果を表8に示す。
2 基材シート
3 染料受容層
4,4a1,4a2,4a3 多孔質層
5 プライマー層
6 下引き層
Claims (3)
- 中空粒子とバインダを含有する多孔質層を、基材シートと染料受容層の間に積層してなる熱転写受像シートであって、
多孔質層は、2層以上積層されており、
多孔質層に含まれるバインダに対する中空粒子の配合比率は、基材シートに近い方の多孔質層よりも、基材シートから遠い方の多孔質層のほうが大きい、ことを特徴とする熱転写受像シート。 - 多孔質層は、3層積層されている、請求項1記載の熱転写受像シート。
- 多孔質層には、ゼラチンが含まれる、請求項1または2記載の熱転写受像シート。
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