JP2009196278A - 熱転写受像シート - Google Patents

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徹 高橋
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Abstract

【課題】 本発明は、感度をより一層向上させた熱転写受像シートを容易に得ることを目的とする。
【解決手段】 基材シート2の面上に多孔質層4を介して染料受容層3を積層してなる熱転写受像シート1であって、多孔質層4は、バインダと中空粒子を少なくとも含み、且つ、中空粒子の外部に空隙部を散在して形成されている、ことを特徴とする熱転写受像シート1により、感度をより一層向上させた熱転写受像シート1を容易に得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱転写受像シートに関する。
熱転写を利用して画像を受像シートに形成する方法としては、記録材としての昇華性染料を紙やプラスチックフィルム等の基材シートに担持させた熱転写シートを用い、その熱転写シートと、昇華性染料の受容層を設けた受像シート(熱転写受像シート)とを互いに重ね合わせ、加熱手段により記録材を熱転写受像シートに転写してフルカラー画像を形成する方法(昇華型熱転写方式による画像形成方法)が知られている。
この方法において、加熱手段としてはプリンタ等の画像形成装置に広く用いられるサーマルヘッドが好ましく使用される。このような加熱手段によれば極めて短時間の加熱によって多数の色ドットを熱転写受像シートに転写形成させることができる。そして、色相の異なる複数種類の熱転写シートを用いて熱転写受像シートに順次転写することで、3色又は4色などの多色の色ドットの組み合わせによるフルカラー画像が短時間に形成される。
この方法によって形成された画像の画質についてみると、使用される色材が、染料の中でも非常に鮮明であり且つ透明性に優れる昇華性染料であることから、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れたものであり、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同等の画質を保持できる。さらに、この方法に基づき、銀塩カラー写真の画像に匹敵するほどの高品質の画像が形成可能となってきている。
ところで、昇華型熱転写方式で画像形成を行うプリンタには、より高画質な画像をより高速で熱転写受像シート上に形成することが望まれている。それには、その熱転写受像シートが、色材をなす染料に対して可能な限り染まりやすい性質を有する樹脂材料(染着性樹脂)を主成分とする染料受容層を基材シート上に設けられて構成されることが望ましいだけでなく、サーマルヘッドからの熱を染料受容層から基材シート方向に拡散させずに染料受容層に留めるような構成を備えることが、昇華性染料を受容する感度を高める点で(すなわち熱転写受像シートを高感度なものとする点で)、好ましい。
この点、熱転写受像シートの基材シートの素材として従来採用されてきたコート紙やアート紙の紙材は、その熱伝導度が樹脂フィルムなどに比べて比較的高いものである。したがって、これらの素材は、サーマルヘッドからの熱を拡散させやすいものであり、染料受容層において昇華性染料を受容する感度を向上させ難くする点で問題が多い。
そこで、熱転写受像シートの基材シートとしてポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を主成分とし、内部に空隙を有している二軸延伸の発泡フィルムを用いることがある。このようなフィルム材を基材シートに用いた熱転写受像シートはセルロース繊維からなる紙等と比べて、厚さが均一で、熱伝導度が小さく断熱性に優れるため、均一で濃度の高い画像が得やすいという利点がある。
しかし、二軸延伸されたフィルム材を熱転写受像シートの基材シートに用いてプリンタにて画像を形成しようとする場合、プリント時に、プリンタの加熱手段から与えられた熱によって、フィルム材の延伸時の残留応力が緩和され、延伸方向にフィルム材が収縮する。その結果、熱転写受像シートにカールやシワが発生しやすくなり、プリント時にプリンタ内を熱転写受像シートが走行する際に、熱転写受像シートが詰まってしまう等の不具合が生じることがある。
こうした欠点を改善するために、比較的熱収縮率が小さい芯材や弾性率の大きい芯材に、空隙を有する二軸延伸の発泡フィルムを貼り合わせて積層したラミネートシートを受像シートの基材シートとして用いる例がある。しかしながら、二軸延伸のフィルム材を用いるものであるためサーマルヘッドによる加熱の際にカールが発生する虞が僅かながらでも残ってしまう。
そこで、中空な粒子をバインダに混ぜた多孔層塗工液を基材シートに塗布することにより、断熱性を備えた多孔層を基材シート上に形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載された技術の場合、カールの原因となる二軸延伸されたフィルム材を用いなくても断熱性に優れた熱転写受像シートを得ることができ、サーマルヘッドの加熱による熱を染料受容層に効果的に保持して染料受容層の所望領域に的確に昇華型染料を転写させることができ、したがって熱転写受像シートの感度を高めることができる点で好ましい技術である。
特開2002-212890号公報
特許文献1に記載された技術にて、熱転写による印画時の感度を高められて感度に一層優れた熱転写受像シートを得ようとすれば、バインダ中に中空粒子をより多く配合分散させることが考えられる。しかしながら、多孔層に中空粒子をより多く配合すると、基材シートと染料受容層の間に介在する多孔層に凝集破壊を生じて、多孔層が基材シートと染料受容層との分離を引き起こす原因となってしまい、多孔層と基材シートと染料受容層とが接着してなる積層構造が維持できなるという問題が生じてしまう。このため、特許文献1に記載された技術では、十分に高感度化された熱転写受像シートの作製が困難となるという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑み、感度をより一層向上させた熱転写受像シートを容易に得ることを目的とする。
本発明は、(1)基材シートの面上に多孔質層を介して染料受容層を積層してなる熱転写受像シートであって、多孔質層は、バインダと中空粒子を少なくとも含み、且つ、中空粒子の外部に空隙部を散在して形成されている、ことを特徴とする熱転写受像シート、(2)多孔質層には、空隙部が、該多孔質層の厚み方向に延びて形成されるとともに該多孔質層の面内方向に散在している、上記(1)記載の熱転写受像シート、(3)多孔質層は、バインダの配合量:中空粒子の配合量=40〜10重量部:60〜90重量部の配合比率にて、バインダと中空粒子を含んでなる、上記(1)または(2)のいずれかに記載の熱転写受像シート、(4)多孔質層は、ゼラチンでなるバインダと、架橋スチレンアクリル系樹脂の発泡体でなる中空粒子とを含んでなる、ことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の熱転写受像シート、を要旨とする。
本発明によれば、熱転写による印画時の感度をより一層向上させた熱転写受像シートを得ることができる。すなわち、本発明によれば、多孔質層において、空隙部が多孔質層面内方向に散在していることにより、多孔質層の内部に、中空粒子による空隙のみならず空隙部による空隙が形成されることとなり、サーマルヘッドから与えられた熱が多孔質層の厚さ方向に一層拡散しにくくなって、染料受容層の所定領域に対し効果的な加熱を実現するとともに昇華性染料で所定領域を染色することができるようになる。
また、本発明によれば、空隙部が中空粒子の外部に形成されるので、中空粒子の添加量を増やさなくても、多孔質層全体としての空隙率を向上させることができる。したがって、本発明によれば、多孔質層に中空粒子を大量に配合することによる多孔質層の凝集破壊の虞を引き起こすことなく、高感度化された熱転写受像シートを得ることができるようになる。
また、本発明によれば、バインダと中空粒子がバインダの配合量:中空粒子の配合量=40〜10重量部:60〜90重量部の配合比率にて多孔質層に含まれるので、多孔質層全体としてのクッション性と空隙率の両方ともに効果的に向上させることができる。
本発明は、図1(A)に示すように、基材シート2の面上に多孔質層4を介して染料受容層3を積層してなる熱転写受像シート1である。
<熱転写受像シート1の構成>
基材シート2としては、特に制限されず、従来の熱転写受像シートに使用可能な基材シートを適宜用いることができる。具体的には、基材シート2としては、グラシン紙、コンデンサ紙、パラフイン紙等の薄葉紙、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー等のプラスチックのシート材、或いはこれらのシート材と前該紙とを複合した複合シート材等が例示される。
基材シート2の厚みは、熱転写受像シート1に要求される強度や耐熱性等や、基材シート2として採用した素材の材質に応じて、適宜変更可能であり、具体的に、基材シート2の厚みは、10μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、50μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
染料受容層3は、熱転写による画像形成時に熱転写シートから転写されてくる昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料をその染料受容層3に保持することで、その染料受容層3の面に画像を形成するとともにその画像を維持する為の層である。
したがって、染料受容層3は、昇華性染料を受容可能な(すなわち染料染着性を有する)樹脂材料にて形成される。具体的に、染料受容層3を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に好ましいものは、ビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂である。
染料受容層3の厚みは、必要に応じて適宜選択されてよいが、その厚みは、一般的には1〜50μmであり、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
染料受容層3には、その染料受容層3の白色度を良好にするなどの目的で、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の充填剤、白色顔料、蛍光増白剤等の添加剤が適宜添加されてもよい。
また、染料受容層3には、画像形成時における熱転写シートと熱転写受像シート1との熱融着を防ぐために離型剤が添加剤として含まれていてもよい。この離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、シリコーンオイルが望ましい。また、そのシリコーンオイルとしては、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、ポリエーテル変性、アルキル・アラルキル・ポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが望ましい。このとき、染料受容層3には、1種若しくは2種以上の離型剤が使用されてよい。なお、この離型剤は、染料受容層3を形成する際に調整される染料受容層形成用の樹脂材料を含む塗工液などの樹脂組成物に添加されて使用されるが、その添加量は染料受容層3を形成する樹脂材料100重量部に対して、0.5〜30重量部であることが好ましい。この量の範囲で離型剤が添加されることで、熱転写の際に熱転写シートが熱転写受像シート1の染料受容層3に融着してしまう虞を抑制する効果を得ることができ、また熱転写シートと熱転写受像シート1との分離の困難性に伴う感度の低下の虞等を低減する効果を効率的に得ることができる。なお、離型剤を添加された染料受容層3を備える熱転写受像シート1を用い、その熱転写受像シート1に熱転写を施して画像の印画が実施される際には、熱転写受像シート1では、離型剤が染料受容層3からブリードアウトして、染料受容層3の露出表面上に離型剤でなる層が形成される。
多孔質層4は、バインダと中空粒子とを少なくとも含み、且つ、多孔質層4内部に多数の空間が形成されている。
多孔質層4に形成される多数の空間は、中空粒子内部の中空部による空間と、中空粒子の外部に形成される空隙部による空間とでなる。また、多孔質層4には、中空粒子の外部に形成される空隙部が、多孔質層4の面内方向に散在形成されている。多孔質層4の空隙部は、一部あるいは全部が互いに繋がって形成されていてもよい。
多孔質層4の空隙部は、多孔質層4の厚み方向に延びる形状(多孔質層4の厚み方向に細長な形状)に形成されていることが好ましい。この場合、空隙部は、多孔質層4の厚さ方向について、多孔質層4の層内部に留まるのみならず、多孔質層4の表面まで達して延びていてもよく、また多孔質層4をその厚さ方向に貫通して貫通孔をなして形成されていてもよい。
なお、多孔質層4に空隙部が形成される明確な機構は明らかでないが、多孔質層4には、その作製過程で次のように空隙部が形成されてくるものと思料される。多孔質層を作製するにあたり、多孔質層4を形成するための塗工液が調整されるが、この塗工液には、通常、バインダと中空粒子のほかに、水も含まれる。そのような塗工液が基材シート2面上に塗布されて液膜の塗工膜が作製され、その塗工膜の乾燥されることで、塗工膜が多孔質層をなす。すなわち、塗工膜中においては、塗工膜の乾燥過程で、水分量に大きな変動が生じる。ここで、多孔質層に含まれるバインダは、水分量の減少によって、そのバインダの体積に収縮を生じやすいものである。したがって、塗工液の状態では、バインダと中空粒子とが均一分散しているものの、塗工膜が乾燥する過程で、バインダが収縮し、中空粒子の外側に空間を形成して空隙部が形成されるものと思料される。
多孔質層4の比重は、0.2〜0.7の範囲内であることが好ましく、0.4〜0.7の範囲内であることがより好ましい。多孔質層4の比重がこの範囲にある場合、多孔質層4に十分体積の空隙が形成され、熱転写受像シート1の感度を高める機能を多孔質層4に効果的に発揮させることが可能となる。
多孔質層4の比重は、多孔質層の膜厚みR(μm)と、多孔質層の膜のコート量Q(重量/面積)(g/m2)から求めた。多孔質層4の比重は、Q/Rにて求められた。
多孔質層4の厚みは、熱転写受像シート1の断熱性と緩衝性を確保する点と、製造コスト高の虞を抑制する点から、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。
中空粒子は、熱可塑性樹脂でなる外殻の内部に中空部を形成してなる中空な粒子にてなる。中空粒子は、多孔質層が乾燥状態である場合には、中空部に、空気その他の気体を含有し、多孔質層が水などの液体に濡れた状態では、中空部に、水その他の液体を含有する。
中空粒子は、平均粒子径(重量平均粒径)が0.1〜10μm、平均中空率が30%から80%の範囲であることが好ましい。
中空粒子において、平均粒子径が0.1μm以下となると、多孔質層4内に空隙部を効果的に形成することが困難になる虞があり、10μm以上となると多孔質層4の脆弱化を招くとともに熱転写受像シート1面内方向に一様な緩衝性を保持しにくくなり、熱転写受像シート1に対する昇華性染料の熱転写不良が発生して熱転写によって得られる画像に色ヌケを生じてしまうおそれが生じてくる。
なお、本明細書において、上記「平均粒子径」は次のように求められる。中空粒子を水中に分散させてなる水分散体を調整し、この中空粒子の水分散体のものを乾燥させて乾燥体となし、その後に過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)にて乾燥体における中空粒子をなす粒子(100個)を観察して、個々の粒子についてその外面側の直径(外径)を計測し、それらの値を平均して平均粒子径とした。
なお、本明細書において、上記「平均中空率」は次のように求められる。中空粒子を水中に分散させてなる水分散体を調整し、この中空粒子の水分散体のものを乾燥させて乾燥体となし、その後に透過電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製)にて乾燥体における中空粒子をなす粒子(100個)を観察して、個々の粒子についてその内面側の直径(内径)を計測し、それらの値を平均して平均粒子内径とした。そして、平均粒子内径から中空部の体積を定めるとともに、その値を上記平均粒子径から粒子の見掛けの体積で除して100を乗じることで平均中空率を算出した。
中空粒子を構成する材料は、有機系樹脂材料にてなるものであるに限られず、シリカなどの無機系材料でなるものであってもよい。ただし、バインダとの親和性の点からは、中空粒子は、有機系樹脂材料でなるものであることが好ましい。有機系樹脂材料としては、架橋スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
中空粒子は、発泡粒子、非発泡粒子のいずれが用いられてもよく、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂等の発泡体でなる有機系発泡粒子、無機中空ガラス体等が中空粒子として使用できる。中空粒子として発泡粒子が使用される場合には、発砲状態が独立発泡又は連続発泡のいずれの状態にあるものでもよい。
多孔質層4を構成するバインダとしては、通常、水系樹脂が用いられる。具体的に、この水系樹脂としては、例えば、アクリル系ウレタン樹脂等のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、特開平7−195826号公報及び同7−9757号公報に記載のポリアルキレノキサイド系共重合ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独重合体や共重合体等の樹脂を挙げることができる。また、ここに挙げたような樹脂の2種類以上が組み合わされてバインダとして用いられても良い。そして、このような樹脂から、基材シート2と染料受容層3の両方に対して接着性を有する樹脂が適宜選択され、バインダとして用いられることが好ましい。
例えば、基材シート2がポリエステルである場合は、バインダとしてポリエステル樹脂が用いられることが、多孔質層4を基材シート2により強く接着させる点からは好ましい。この場合、バインダとして、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製;バイロナールMD-1480)を具体的に使用することができる。
また、バインダとしては、昇華型染料を熱転写受像シート1に熱転写する際に昇華型染料の水分が基材シート2まで移行してしまう虞を効果的に防止する点からは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂が用いられることが好ましい。これらの水溶性樹脂は、水溶性樹脂でない他の樹脂と比較して、粘度が高く、保水性に優れるため、基材シート2への水分の浸透を効果的に防止できる。
バインダと中空粒子の配合比率は、多孔質層4に空隙部を形成するとともに断熱性を有する層構造を形成できるような比率であれば特に限定されるものではないが、多孔質層4には、バインダと中空粒子の配合量の合計を100重量部とする場合に、バインダの配合量:中空粒子の配合量=70〜10重量部:30〜90重量部の配合比率にて、バインダと中空粒子が含まれることが好ましく、バインダの配合量:中空粒子の配合量=40〜10重量部:60〜90重量部の範囲内であることがより好ましい。多孔質層4において、バインダの含有量に対する中空粒子の含有量が少なくなりすぎると、多孔質層4における空隙部の形成が少なくなり、多孔質層4に断熱性およびクッション性の機能を効果的に発揮させることができない場合があり、バインダの含有量に対する中空粒子の含有量が多くなりすぎると、多孔質層4における中空粒子の接着性が低下し、多孔質層の凝集破壊が過剰に生じる。
<熱転写受像シート1の製造方法>
本発明の熱転写受像シート1は、次のように製造することができる。
「塗工液の調整工程」
(1)染料受容層形成用の塗工液
染料受容層を構成する樹脂材料として、昇華性染料に対する染料染着性を有する樹脂材料を選択し、選択された樹脂材料を溶媒に分散・溶解して染料受容層形成用の塗工液を調整する。染料受容層形成用の塗工液を調整する際に使用される溶媒としては、樹脂材料を分散や溶解可能であれば特に限定されず、油系溶媒、水系溶媒のいずれも採用可能である。
「油系溶媒」とは、有機化合物からなる溶媒を示す。
また、「水系溶媒」とは、水を主成分とする溶媒を示しており、水系溶媒における水の割合は、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。水系溶媒を構成する「水以外の溶媒」としては、水と混ざり合う溶媒を適宜選択することができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を好ましく例示することができる。
(2)多孔質層形成用の塗工液
基材シートと染料受容層に応じて中空粒子とバインダが選択され、そして、選択された中空粒子とバインダとが溶媒に溶解、分散されること、あるいは溶媒中でエマルジョンにされることにより、多孔質層形成用の塗工液が調整される。
多孔質層形成用の塗工液の調整に用いられる溶媒としては、染料受容層形成用の塗工液を調整する際に用いる「水系溶媒」が用いられる。
また、多孔質層形成用塗工液において、バインダと中空粒子との含有比率は、バインダと中空粒子の合計を100重量部とした場合に、バインダの配合量:中空粒子の配合量=70〜10重量部:30〜90重量部の配合比率にて、バインダと中空粒子が含まれることが好ましく、バインダ:中空粒子=10〜40(重量部):90〜60(重量部)の範囲内であることが好ましい。バインダの含有量に対する中空粒子の含有量が少なくなりすぎると、多孔質層4に空隙を十分に形成することが困難になり、多孔質層4に断熱性およびクッション性の機能を充分に発揮させることができない虞があり、バインダの含有量に対する中空粒子の含有量が多くなりすぎると、多孔質層4における中空粒子の接着性が低下し、多孔質層の凝集破壊が過剰に生じる虞がある。
「塗工膜の作製・乾燥工程」
基材シート2を準備し、上記(2)に調整された多孔質層形成用の塗工液を基材シート面上に塗工して塗工膜(多孔質形成用塗工膜)が作製される。塗工膜の作成方法としては、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法等の一般的な塗工方法を適宜採用することができる。
そして、塗工膜の作製後、その塗工膜が乾燥される。この乾燥により、多孔質形成用塗工膜が多孔質層4をなす。この乾燥の際の乾燥温度は、塗工液の組成に応じて適宜設定されるが、通常、50℃〜120℃の範囲内とされることが好ましい。
次に、基材シート2面上に積層された多孔質層4の露出面上に、上記(1)示す調整された染料受容層形成用の塗工液を塗工して塗工膜(染料受容層形成用塗工膜)が作製され、さらにその塗工膜が乾燥される。この乾燥により、染料受容層形成用塗工膜が染料受容層3をなす。このとき、塗工膜の作製方法、乾燥方法としては、上記多孔質形成用塗工膜の作製に用いた塗工方法、乾燥方法を適宜採用することができる。
こうして本発明の熱転写受像シート1が具体的に作製される。
なお、本発明の熱転写受像シート1の製造方法を説明するにあたり、その製造方法が多孔質層4や染料受容層3を各層個別に形成する方法である場合を例として説明したが、製造方法は、これに限定されない。熱転写受像シート1の製造方法は、多孔質層4や染料受容層3といった複数の層を一度に同時形成する方法であることがより好ましい。
多孔質層4や染料受容層3といった複数の層を同時形成する方法にて熱転写受像シート1を製造する方法としては、熱転写受像シート1を構成する多孔質層4や染料受容層3を形成するための塗工液が互いに交じり合うことなく、均一な厚みの塗工膜を上下に重ねて形成する方法(同時多層塗工方法)であれば特に限定されるものではない。具体的には、各層(多孔質層4や染料受容層3)を形成するための塗工液を上下に重ねた状態のまま基材シート面上に吐出させてスライド塗工することで塗工膜を作製するスライドコート法が好ましく用いられる。
熱転写受像シート1の製造にあたり、上記したようなスライドコート法が用いられて同時多層塗工方法が行われる場合、次のように、熱転写受像シート1が得られる。
まず、基材シート2面上に、多孔質層形成用の塗工液と染料受容層形成用の塗工液が上下にまざり合わずに重なり合わされつつ塗工されて、多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とが一度に上下に別々の層なして作製される。
次に、多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜が冷却される(冷却工程)。このとき、冷却される温度としては、上記多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜の粘度を、これらの塗工膜が互いに混ざり合わない程度に向上させることができる範囲の温度であれば特に限定されるものではない。具体的に、冷却工程における冷却温度は0℃〜30℃の範囲であることが好ましく、特に0℃〜25℃の範囲内であることが好ましく、さらに3℃〜20℃の範囲内であることが好ましい。なお、この冷却工程をスムーズに実施することを可能にするために、多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜に含まれるバインダとして、冷却用のゲル化剤を含んで構成されるバインダが用いられる。このようなバインダが用いられると、本発明の熱転写受像シート1を同時多層塗工方法にて作製するにあたり、多孔質形成用塗工膜や染料受容層形成用塗工膜といった各層の冷却工程の実施が容易となる。なお、多孔質形成用塗工液のバインダや染料受容層形成用塗工液のバインダが冷却用のゲル化剤を含んで構成されるものである場合、乾燥の際に当てられる風や搬送の際に風に吹かれても塗工膜の表面が波立たず、均一な面質を得ることが出来る。
そして、冷却工程の後、多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜を乾燥させる。このとき、乾燥は、多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜を形成した基材シート2に熱を加えることで実施される。なお、多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜に含まれるバインダが冷却用のゲル化剤を含んでなるものである場合、この乾燥の際の熱に対しても多孔質形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜の状態を良好に維持できるようになり、これらの塗工膜に耐熱性を付与することができる。こうして、本発明の熱転写受像シート1を作製することができる。
なお、多孔質層形成用の塗工液や染料受容層形成用の塗工液などの各塗工液のバインダがゲル化剤を含むものである場合、ゲル化剤としては、水系溶媒をゲル化させることが可能な樹脂材料を適宜用いることができ、具体的にゼラチンやカラギーナンや寒天などといったゲル化剤としての機能を発揮可能な樹脂材料を挙げることができ、なかでも、水系溶媒に対して低い温度で溶解可能である点や高濃度に溶解可能である点からは、ゼラチンが好ましい。
なお、本発明の熱転写受像シート1を構成する各層(多孔質層4、染料受容層3)を形成するにあたっては、必要に応じて、各層を形成する際に調整される塗工液に、水性膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤等の添加剤を更に添加することもできる。
<熱転写受像シート1についてその他の形態>
ところで、上記では、本発明の熱転写受像シート1として、基材シート2に多孔質層4と染料受容層3を形成してなるものを例として詳細に説明したが、これに限定されず、熱転写受像シート1には次のような層が更に形成されてなるものでもよい。
すなわち、本発明の熱転写受像シート1は、図1(B)に示すように、多孔質層4と染料受容層3との間にプライマー層5を設けるとともに基材シート2と多孔質層4との間に下引き層6を設けたものでもよい。
<プライマー層5について>
この熱転写受像シート1においては、プライマー層5は、多孔質層4と染料受容層3との接着性を向上させる機能を有する層である。したがって、プライマー層5を形成する材料は、多孔質層4と染料受容層3の両者に接着性を備えるものであれば特に限定されるものではない。具体的に、プライマー層5を形成する材料は、多孔質層4を構成するバインダとして選択可能な水系樹脂に分散・溶解可能な樹脂材料から適宜選択されることが好ましい。
プライマー層5は、次のように形成することができる。
「塗工液の調整」
プライマー層5を形成する材料を選択し、選択された材料を溶媒に溶解、分散させてプライマー層形成用の塗工液を調整する。プライマー層形成用の塗工液を調整する際に用いる溶媒としては、染料受容層3を形成する場合と同様に、油系溶媒、水系溶媒のいずれも採用することができる。
「塗工膜の作製と乾燥」
多孔質層4を形成した基材シート2に対して、多孔質層4の露出面上に、プライマー層形成用の塗工液を塗工して、塗工膜(プライマー層形成用塗工膜)を作製する。そして、その塗工膜が乾燥されることで、プライマー層形成用塗工膜がプライマー層5をなす。
<下引き層6について>
熱転写受像シート1において、下引き層6は、基材シート2と多孔質層4との接着性を向上させる機能と同時多層塗工を行う際に高速塗工を可能とする機能を有する層である。したがって、下引き層6を形成する材料は、多孔質層4と基材シート2の両者に接着性もしくは高速塗工適性を備えるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、下引き層6を形成する材料は、多孔質層4を構成するための水系溶媒に分散・溶解可能な樹脂材料から適宜選択されることが好ましい。
下引き層6は、次のように形成することができる。
「塗工液の調整」
下引き層6を形成する材料を選択し、選択された材料を溶媒に溶解、分散させて下引き層形成用の塗工液を調整する。下引き層形成用の塗工液を調整する際に用いる溶媒としては、多孔質層4を形成する場合と同様に、水系溶媒が用いられる。
「塗工膜の作製と乾燥」
基材シート2面上に、下引き層形成用の塗工液を塗工して、塗工膜(下引き層形成用塗工膜)を作製する。そして、その塗工膜が乾燥され、下引き層形成用塗工膜が下引き層6をなす。
なお、上記したようなプライマー層5や下引き層6を備える熱転写受像シート1を製造するにあたっては、熱転写受像シート1を構成する各層を個別に順次形成する方法が用いられてよく、またスライドコート法による同時多層塗工方法が用いられてもよい。同時多層塗工方法による場合には、多孔質層4と染料受容層3に加えてプライマー層5や下引き層6を一度に形成することができる。そして、熱転写受像シート1を同時多層形成方法にて製造する場合にあっては、各層(多孔質層4、染料受容層3、プライマー層5、下引き層6)を形成する際に調整される塗工液に、ゼラチン等の冷却ゲル化剤を含んで構成されるものが用いられ、あるいは、バインダとして冷却用のゲル化剤が選択される。このように塗工液として、冷却用のゲル化剤を含んで構成されるあるいはゲル化剤にてなるバインダが用いられると、本発明の熱転写受像シート1を同時多層塗工方法にて作製する工程における冷却工程をより効率的に行うことができ、熱転写受像シート1を効果的に得ることができる。
なお、上記ではプライマー層5や下引き層6の両層を備える熱転写受像シート1について説明したが、本発明の熱転写受像シート1は、プライマー層5や下引き層6のいずれか一方の層が備えられてなるものでもあってもよい。
次に、実施例を用いて本発明をより詳細に示す。
「塗工液の調整」
(1)染料受容層形成用の塗工液
染料受容層形成用の塗工液を調整するにあたり、まず下記表1に示すような組成の樹脂組成物Aが調整された。樹脂組成物Aの調整にあたり、樹脂材料として塩化ビニル系樹脂(日信化学工業社製;ビニブラン900)、添加物(表1中、添加剤1から3)として、ゲル化剤(新田ゼラチン社製;RR)、ポリエーテル変性シリコーン化合物(信越化学工業社製;KF615A)、界面活性剤(日信化学工業社製;サーフィノール440)が用いられた。なお、表1中、配合量(重量部)は、固形分の重量部を示す。そして、樹脂組成物Aを、その全体固形分が30%となるように水で希釈し、染料受容層形成用の塗工液が調整された。
(表1)
Figure 2009196278
(2)多孔質層形成用の塗工液
多孔質層形成用の塗工液を調整するにあたり、まず下記表2に示すような組成の樹脂組成物B(表2中、組成物B−1からB−5)が調整された。樹脂組成物Bの調整にあたり、バインダ(表2中、バインダ)として、ゼラチン(新田ゼラチン社製;RR)、添加剤(表2中、添加剤)として、界面活性剤(日信化学工業社製;サーフィノール440)が用いられた。このゼラチンは、中空粒子のバインダとしての機能とゲル化剤としての機能を兼ね備えるものである。また、中空粒子については、アクリルスチレン系中空粒子(ロームアンドハース社製;HP−91)(表2中、中空粒子A)と、アクリルスチレン系中空粒子(ロームアンドハース社製;ST)(表2中、中空粒子B)が用いられた。また、内部を中空としていない粒子である中実粒子については、アクリル微粒子(綜研化学社製;MX−180TA)(表2中、粒子P)が用いられた。中空粒子として使用される中空粒子成分A,Bならびに中実粒子(粒子P)の平均粒子径や平均中空率は、表3に示されるとおりである。なお、表2中、配合量(重量部)は、固形分の重量部を示す。そして、樹脂組成物Bを、その全体固形分が20%になるように水で希釈し、多孔質層形成用の塗工液が調整された。組成物B−1を用いて調整された多孔質層形成用の塗工液を塗工液1とし、以下、組成物B−2,B−3,B−4,B−5を用いて調整された多孔質層形成用の塗工液を、順にそれぞれ塗工液2,3,4,5とする。
(表2)
Figure 2009196278
(表3)
Figure 2009196278
上記の塗工液を用い、次のように熱転写受像シートを作成した。
実施例1.
基材シートとしてRCペーパー(STF−150、三菱製紙社製)を準備した。次に、多孔質層形成用の塗工液としての塗工液1と、染料受容層形成用の塗工液を用い、これら2種類の塗工液を50℃に加熱して、スライドコート法での同時多層塗工方法により、基材シートの面上に、塗工液1と染料受容層形成用の塗工液とを上下方向に重ね合わせつつ塗布し、基材シート面上に多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とを同時形成した。
次に、多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜の形成された基材シートは、5℃に冷却されその状態で1分間保持された(冷却処理)。この冷却処理によって、多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜とがゲル化する。冷却処理の後、多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜の形成された基材シートは、50℃まで加温され、その状態にて5分保持することで、多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜を乾燥させた(乾燥処理)。この乾燥処理により、多孔質層形成用塗工膜と染料受容層形成用塗工膜がそれぞれ多孔質層、染料受容層をなす。こうして、基材シート上に、多孔質層および受容層がこの順で積層された構成を有する熱転写受像シートが得られた。この熱転写受像シートにおいて、多孔質層および染料受容層の厚みは、それぞれ30μmおよび5μmであった。
得られた熱転写受像シートを用いて、多孔質層の空隙部の形状の確認を行った。また、多孔質層の比重と、熱転写受像シートに形成される多孔質層を構成する空隙部に由来する空隙率とを測定した。
<空隙部の形状の確認>
熱転写受像シートを厚み方向に切削して、熱転写受像シートの面内方向に幅1μmの切削片(サンプル片)を作製した。この切削片の作製は、イオンミリング装置:日立ハイテクノロジーズ社製E−3500を用いて実施された。そして、電解放射型走査電子顕微鏡(SEM):日立ハイテクノロジーズ社製S-4800を用いて、サンプル片における多孔質層の空隙部を観察することにより、熱転写受像シートの多孔質層の空隙部の形状の確認を行った。結果、実施例1で得られた熱転写受像シートの多孔質層には、中空粒子の外側に空隙部が形成されていることが確認された。
<多孔質層の比重の測定>
多孔質層の比重は、多孔質層の膜厚みと、多孔質層を形成するために使用された塗工液(塗工液1)の液量(コート量)から求めた。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製;ルミラーT60−125)面上に、バーコーターを用いて塗工液1を塗工して塗工膜(サンプル膜)を作製し、サンプル膜を1分間0℃の雰囲気下に置くことで冷却工程を行い、その後、サンプル膜が50℃に加温して5分間乾燥され、サンプル膜を多孔質層となした。この多孔質層の面内方向に異なる5つの位置を選択し、各位置における膜厚みを触針型膜厚計:ミツトヨ社製にて計測して、その平均値を測定して多孔質層の厚みとした。多孔質層の膜厚みと、(コート量)により多孔質層の比重が求められた。求められた多孔質層の比重の値を表4に示す。
<空隙部に由来する空隙率>
空隙部に由来する空隙率は、「多孔質層の見かけの体積」のうち「多孔質層内に形成される空隙部による空間の体積」の占める割合を示す。
多孔質層4における中空粒子外部の空隙率=(多孔質層4内に形成される空間全体に由来する空隙率)―(多孔質層4内に含まれる中空粒子内部空間に由来する空隙率)で示される。なお、多孔質層4の空隙率は、多孔質層4の比重から、(多孔質層4の空隙率)=100−(多孔質層4の比重)/(多孔質層樹脂密度)にて求められ、多孔質層4におけ中空粒子内部の空隙率は、多孔質層における中空粒子の含有率と使用する中空粒子の平均中空率から、(多孔質層4における中空粒子内部の空隙率)=100−(中空粒子空隙乾燥時比重)/(多孔質層樹脂密度)にて求められた。なお、多孔質層樹脂密度は、中空粒子樹脂密度とバインダ密度と中空粒子含有量とバインダ含有量から求められる値である。
さらに、得られた熱転写受像シートを用い、次のような感度評価試験を実施し、印画時の感度についての評価を行った。
<感度評価試験の方法と評価方法>
印画時の感度評価試験は印画試験によって実施された。印画試験は、得られた熱転写受像シートに昇華型熱転写法による所定画像の印画を行うことで実施された。このとき、印画される所定画像には、ブラックの18ステップに分割された画像が用いられ、昇華型熱転写法による印画を行う装置としては、昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS社製;MEGAPIXEL III)が用いられ、熱転写シートとしては昇華型熱転写プリンタ(ALTECH ADS社製;MEGAPIXEL III)に使用可能な専用インクリボンが用いられた。
そして、ブラックの18ステップに分割された画像が熱転写受像シートに形成された後、光学濃度計(グレタグマクベス社製;spectrolino)による11ステップの値を測定し、測定感度が0.75以上の場合を「良好」、0.75未満の場合を「不良」と評価した。
実施例1の熱転写受像シートについての「印画時の感度」についての評価結果を表4に示す。
実施例2、および、比較例1から3
実施例1において多孔質層を形成する工程を実施する際に用いられた塗工液1に変えて、実施例2では塗工液2、比較例1では塗工液3、比較例2では塗工液4、比較例3では塗工液5をそれぞれ用いたほかは、実施例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。そして、それぞれ得られた熱転写受像シートを用い、実施例1と同様に、比重を定め、さらに「印画時の感度」についての評価試験を行って、その試験結果の評価を行った。それらの結果を表4に示す。また、実施例2については、実施例1と同様に、中空粒子の外側に空隙部が形成されていることが確認された。実施例2では、空隙部の形状は、厚み方向に細長に形成されていることが認められた。
(表4)
Figure 2009196278
ただし、表4中、空隙部に由来する空隙率(%)欄において、空隙部に由来する空隙率が1%以下である場合を、便宜上0と示す。
(A)は、本発明の熱転写受像シートの実施例の1つを示す断面模式図である。(B)、本発明の熱転写受像シートの他の実施例の1つを示す断面模式図である。
符号の説明
1 熱転写受像シート
2 基材シート
3 染料受容層
4 多孔質層
5 プライマー層
6 下引き層

Claims (4)

  1. 基材シートの面上に多孔質層を介して染料受容層を積層してなる熱転写受像シートであって、
    多孔質層は、バインダと中空粒子を少なくとも含み、且つ、中空粒子の外部に空隙部を散在して形成されている、ことを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 多孔質層には、空隙部が、該多孔質層の厚み方向に延びて形成されるとともに該多孔質層の面内方向に散在している、請求項1記載の熱転写受像シート。
  3. 多孔質層は、バインダの配合量:中空粒子の配合量=40〜10重量部:60〜90重量部の配合比率にて、バインダと中空粒子を含んでなる、請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
  4. 多孔質層は、ゼラチンでなるバインダと、架橋スチレンアクリル系樹脂の発泡体でなる中空粒子とを含んでなる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱転写受像シート。
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