JPH06320880A - 溶融転写型インク受像シート - Google Patents

溶融転写型インク受像シート

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JPH06320880A
JPH06320880A JP5110537A JP11053793A JPH06320880A JP H06320880 A JPH06320880 A JP H06320880A JP 5110537 A JP5110537 A JP 5110537A JP 11053793 A JP11053793 A JP 11053793A JP H06320880 A JPH06320880 A JP H06320880A
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JP5110537A
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English (en)
Inventor
Tomotsugu Takahashi
友嗣 高橋
Shiro Nakano
四郎 中野
Masaaki Sukai
昌明 須貝
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドットの再現性が良好で高い記録濃度を得る
溶融転写型インク受像シートを提供する。 【構成】 支持体と、この支持体の一面上に形成された
インク受像層、および必要により前記受像層と支持体の
間に設けられたアンダーコート層とを有し、前記インク
受像層および/またはアンダーコート層が、ガラス転移
点20〜70℃のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、
および分子量4000以下かつ粒子径0.8μm以下の
ポリエチレンを主成分として含む、溶融転写型インク受
像シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融転写型インク受像
シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、
本発明は、熱ヘッドを用いる溶融転写型熱転写用プリン
ターに使用された時、ドット再現性が良好で、記録濃度
の高い優れたプリントインク画像が得られる溶融転写型
インク受像シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱転写インクシートとサーマルヘッドと
を利用する熱溶融転写記録方式は、機械が簡単でかつ保
守が容易なため、ワープロやファクシミリ等のプリンタ
ーに広く用いられており、この方式用インク受像シート
(以下、受像シートと略す)としては上質紙が使用され
てきた。しかし近年、熱転写記録のフルカラー化に伴
い、従来より高い階調再現性を得るため、プリンターに
おいては、1つのドットの大きさを変えずに階調を得る
方式から、各ドットの大きさを変更するドット可変方式
に変換してきており、受像シートにおいては、低い印加
エネルギーから高い印加エネルギーにわたるフルカラー
記録において、溶融転写されたインクのドット形状が忠
実に再現されるドット再現性や、十分な量のインクが転
写され、記録濃度が高いことなどが記録画像の重要な品
質となってきている。
【0003】上記のような熱転写画像のフルカラー化に
対して、受像シートの特性も適切に対応する必要が生じ
ている。すなわち、通常の印刷用の普通紙を用いると、
表面が粗すぎることにより、インクが転写されない部
分、すなわちヌケが発生したり、逆に表面が平滑すぎて
インクの投錨効果が働かず、転写されたインクがインク
リボンに逆転写してしまって、ヌケが発生しやすくなる
などの問題がある。これらはいずれもドット再現性不良
の原因となるものである。上記のようなドット再現性の
不良に起因する記録濃度の低下のほかに、インク受像層
のインク吸収性の低さに起因する記録濃度の低下も発生
することがある。
【0004】インク受像層(以下、受像層と略す)にお
けるインクの転写性、および吸収性を向上させるため
に、受像層にインク成分となじみの良好な固形ワックス
を他の樹脂および顔料と共に使用することも知られてい
る(特開昭60−110491号)。しかし、この場合、受像層
中に含まれるワックス量が増加するに従い、表面が傷つ
き易くなり、塗膜強度が低下する等の欠点が発生するた
め、受像層への固体ワックスの添加量におのずと限界が
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の溶融
転写型インク受像シートの上記欠点を解消し、熱転写カ
ラープリンターに使用した場合でもドット再現性が良好
で、記録濃度の高い良好なインク画像記録が得られる溶
融転写型インク受像シートを提供しようとするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、特定のガラス転移点
を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、および特
定の分子量と粒子径とを有するポリエチレンを受像層に
含有させることにより、上記課題の解決に成功した。
【0007】本発明の溶融転写型インク受像シートは、
シート状支持体と、この支持体の一面上に形成され、か
つ樹脂および顔料を主成分として含むインク受像層とを
有し、前記インク受像層中の樹脂成分が、20〜70℃
のガラス転移点を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂、および4000以下の分子量と、0.8μm以下
の粒子径とを有するポリエチレンを含むことを特徴とす
るものである。
【0008】本発明の溶融転写型インク受像シートは、
必要により、前記受像層と前記支持体の間に設けられる
アンダーコート層とを有していてもよく、このアンダー
コート層は前記と同様の、20〜70℃のガラス転移点
を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂および40
00以下の分子量と、0.8μm以下の粒子径とを有す
るエチレンを含有するものであることが好ましい。
【0009】
【作用】溶融型熱転写プリンターによる記録において、
本発明の受像シートは、ガラス転移点20〜70℃のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(以下、EVAと略
す)、および分子量4000以下かつ粒子径0.8μm
以下のポリエチレンを含む顔料を塗布し、乾燥・固化し
て形成された受像層を有しているため、公知の樹脂成分
のみからなる受像層を有する溶融転写型インク受像シー
トよりも、ドット再現性が良好となり、かつ高濃度記録
を実現できる。
【0010】本発明に用いられるガラス転移点20〜7
0℃のEVAは、酢酸ビニルが70重量%以上、エチレ
ンが30重量%以下の組成で、エマルジョン重合法によ
る重合によって製造することができる。EVAは、酢酸
ビニルの含有率によってその性質が変化するが、一般に
柔軟性、弾性に優れた熱可塑性樹脂であって、水、およ
び紫外線に対し優れた安定性を有し、合板やパーチクル
ボードの化粧ばり用接着剤、フィルムのラミネーション
用接着剤、およびモルタル混和剤などとして広く用いら
れている。
【0011】本発明に用いられる分子量4000以下、
かつ粒子径0.8μm以下のポリエチレン微粒子は、当
該ポリエチレン樹脂を水などの液体分散媒とともにサン
ドグラインダ、ボールミルなどの分散機により分散、微
粒子化する方法、分子量4000以下のポリエチレンを
その融点以上の温度に加熱して溶融し、この溶融体を低
温の分散媒中に撹拌しながら添加して微粒子化する方
法、或はポリエチレン樹脂と分散媒とを当該ポリエチレ
ンの融点以上の温度に加熱し、これを撹拌分散しながら
冷却して微粒子化する方法などによって製造することが
できる。上記微粒子化に際しては、界面活性剤のような
分散剤を使用してもよい。
【0012】ガラス転移点20〜70℃のEVA、およ
び分子量4000以下かつ粒子径0.8μm以下のポリ
エチレンの使用により、記録画像の色濃度が高くなる理
由は、下記のような種々のメカニズムが考えられる。ガ
ラス転移点20〜70℃のEVA、および分子量400
0以下かつ粒子径0.8μm以下のポリエチレンを含む
塗料を塗布し、乾燥・固化して形成された受像層を有す
る熱転写用受像シートは、インクの加熱転写時に、ガラ
ス転移点20〜70℃のEVA、および分子量4000
以下のポリエチレンの熱軟化によってインクリボンと受
像層とが密着し、インクの転写性が向上し、ドットの再
現性が良好となるためと推測される。また、ガラス転移
点20〜70℃のEVAが熱転写インクに対して高い接
着性を有し、このためインクの転写性および保持性が向
上し、ドットの再現性が良好となるためと推測される。
さらに分子量4000以下のポリエチレンとインクとの
相溶性が良好であるため、インク転写量が増加し、記録
される画像の色濃度が向上するためと推測される。さら
に、ガラス転移点20〜70℃のEVAと、粒子径0.
8μm以下のポリエチレンとを使用することにより、粒
子径が1μmを越えるようなワックス粒子を含む受像層
よりも受像層表面の平滑性が向上し、しかもそれにも関
わらず、受像層表面の外観がマット調になり、塗膜強度
も向上し、より自然感が向上するものと推測される。
【0013】ガラス転移点20〜70℃のEVA、およ
び分子量4000以下かつ粒子径0.8μm以下のポリ
エチレンを含む塗料を塗布し、乾燥・固化して形成され
た受像層を有していない熱転写用受像シートは、インク
の加熱転写時に、受像層の軟化によるインクリボンと受
像層との密着性が低く、かつ、受像層とインクとの接着
性および相溶性が低いため、本発明の受像層を有する熱
転写用受像シートに比して記録濃度が低くなる。
【0014】本発明の受像シートにおいて、支持体と受
像層との間に、ガラス転移点20〜70℃のEVAおよ
び分子量4000以下かつ粒子径0.8μm以下のポリ
エチレンを含む塗料を塗布し、乾燥・固化してアンダー
コート層を形成してもよい。このようなアンダーコート
層は、インクの加熱転写時に、インクリボンと受像層と
の密着を促進し、インクの転写性を向上させ、ドットの
再現性をより良好とする。また、受像層に接触転写され
たインクが、受像層に浸入したとき、受像層が受容しき
れない転写インクを受像層と支持体の間のアンダーコー
ト層が完全に吸収し、それによって、受像シートのイン
ク転写性を向上させ、かつドット再現性をより良好にす
る。
【0015】上記のようなアンダーコート層を有してい
ない熱転写用インク受像シートは、インクの加熱転写時
に、アンダーコート層の熱軟化によるインクリボンと受
像層との密着性の向上がなく、かつ、受像層が吸収し得
るインク量のみが転写されるために、本発明のアンダー
コート層付き熱転写用インク受像シートに比して記録濃
度が低くなる。
【0016】受像層および/又はアンダーコート層に含
まれるEVAのガラス転移点が20℃より低い場合、得
られる熱転写用インク受像シートの、ブロッキングが不
良となることがあるので好ましくない。また、上記ガラ
ス転移点が、70℃を越える場合、得られる熱転写用イ
ンク受像シートの記録濃度の向上が不十分になるので好
ましくない。
【0017】分子量が4000を越えたり、粒子径が
0.8μmを越えるポリエチレンを含む受像層および/
又はアンダーコート層を有する熱転写用インク受像シー
トは、その受像層および/またはアンダーコート層の平
滑性が低く、ドットの再現性が不良で記録濃度が向上し
ないため好ましくない。
【0018】本発明において、受像層および/またはア
ンダーコート層には、ガラス転移点20〜70℃のEV
Aおよび分子量4000以下かつ粒子径0.8μm以下
のポリエチレンに加えて、公知の樹脂がバインダー樹脂
として混合使用されていてもよい。これらの混用樹脂と
しては、ポリビニルアルコール、酸化でんぷん、エーテ
ル化でんぷん、メトキシセルロース、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、
ゼラチン、大豆タンパク、ポリビニルピロリドン、ポリ
アクリルアミド、およびポリアクリル酸などのような水
溶性樹脂、並びに塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−
塩化ビニリデン共重合体樹脂、アクリル酸エステル共重
合体樹脂、メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ブチラ
ール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ化ビ
ニリデン樹脂、ニトロセルロース樹脂、スチレン樹脂、
スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエ
ン共重合体などのような非水溶性樹脂が用いられる。こ
れらの混用樹脂を用いる際には、上記樹脂は溶液、エマ
ルジョン、又はラテックスの状態で用いられる。これら
の混用樹脂はそれぞれ単独に、又は2種類以上混合して
使用できる。
【0019】受像層および/またはアンダーコート層の
形成に、前述の樹脂成分と共に用いる顔料としては、例
えば酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、けい酸、
けい酸塩、クレー、タルク、マイカ、焼成クレー、水酸
化アルミ、硫酸バリウム、リトポン、二酸化チタン、酸
化亜鉛、などの無機顔料、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フ
ェノール樹脂、スチレン−アクリル共重合体などの粉
末、ビーズ、でんぷん粉末、セルロース粉末、マイクロ
スフェアー、および中空粒子などがあり、これらは単独
に、または2種類以上混合して使用できる。一般に、受
像層とインクリボンの密着性を良好にし、転写不良を起
こさないようにするためにも、また、アンダーコート層
の平滑性を損ねないためにも、受像層又はアンダーコー
ト層用塗工液に使用される顔料の平均粒径は5μm以下
であることが好ましい。
【0020】本発明における受像層および/またはアン
ダーコート層に使用される樹脂の合計量は、全塗料固形
分の20〜100重量%の範囲内にあることが好まし
く、顔料の合計量は80〜0重量%の範囲内にあること
が好ましい。全樹脂の使用量が20重量%より少ない
と、得られる受像層のインク転写性が不十分になり、ド
ット再現性の向上および記録濃度の増加が不十分になる
おそれがある。
【0021】上記の全樹脂中における、ガラス転移点2
0〜70℃のEVAと分子量4000以下かつ粒子径
0.8μm以下のポリエチレンとの合計量および、その
他の樹脂の合計量の固形分重量割合は、前者が10〜1
00重量%、後者が90〜0重量%であることが好まし
い。全樹脂中におけるガラス転移点20〜70℃のEV
Aと分子量4000以下かつ粒子径0.8μm以下のポ
リエチレンとの合計量が、10重量%より少ないと、得
られる受像層のインク転写性が不十分になり、ドット再
現性の向上および記録濃度の増加が不十分になるおそれ
があり好ましくない。
【0022】また、ガラス転移点20〜70℃のEVA
の合計量、および分子量4000以下かつ粒子径0.8
μm以下の全ポリエチレンの合計量の固形分重量割合
は、前者が10〜98重量%、後者が90〜2重量%で
あることが好ましい。上記両者の固形分重量割合が、上
記の範囲を逸脱すると、インクと受像層との接着性およ
び相溶性のバランスが不良となり、記録濃度の不均一化
や塗膜強度の低下を発生するおそれがあり好ましくな
い。
【0023】さらに、受像層および/またはアンダーコ
ート層に使用されるガラス転移点20〜70℃の全EV
Aの合計量は、全塗料固形分の95重量%以下であるこ
とが好ましく、また分子量4000以下かつ粒子径0.
8μm以下の全ポリエチレンの合計量は、全塗料固形分
の80重量%以下であることが好ましい。ガラス転移点
20〜70℃の全EVAの合計量が95重量%より多い
と、得られる受像層の記録濃度が不十分になり好ましく
ない。また分子量4000以下かつ粒子径0.8μm以
下の全ポリエチレンの合計量が80重量%より多いと、
受像層の塗膜強度がなくなり、塗膜剥離等の記録不良が
発生するおそれがあり好ましくない。
【0024】上記受像層および/またはアンダーコート
層中の、ガラス転移点20〜70℃のEVA、分子量4
000以下かつ粒子径0.8μm以下のポリエチレン、
その他のバインダー樹脂、および顔料は、すでに工業化
されている方法で分散し、塗料化することができる。す
なわち、ガラス転移点20〜70℃のEVA、分子量4
000以下かつ粒子径0.8μm以下のポリエチレンお
よびその他のバインダー樹脂をそれぞれ液状化し、これ
に顔料あるいは顔料分散物を、混合し、分散して塗料化
する。
【0025】ガラス転移点20〜70℃のEVA、およ
び分子量4000以下かつ粒子径0.8μm以下のポリ
エチレンは、エマルジョン化により分散液状化すること
ができる。その他のバインダー樹脂の液状化は、溶媒を
用いて溶液化するか、又はエマルジョン化により分散液
状化することができる。
【0026】ガラス転移点20〜70℃のEVA、分子
量4000以下かつ粒子径0.8μm以下のポリエチレ
ン、およびその他のバインダー樹脂を含む液状化物に、
顔料または顔料分散物を所定の比率で混合し、場合によ
っては分散媒とともに撹拌機、サンドグラインダなど適
当な分散機を用いて混合、分散し、その濃度、液状態な
どを調整することができる。
【0027】受像層および/またはアンダーコート層を
支持体上に形成するには、通常の塗工方式、すなわちメ
イヤーバー方式、グラビアロール方式、リバースロール
方式、ブレード方式、ナイフ方式、エアーナイフ方式、
スリットダイ方式等による塗布工程、および乾燥固化工
程を用いればよい。一般に受像層および/またはアンダ
ーコート層の機能を十分にするために、受像層および/
またはアンダーコート層の塗料は、乾燥固化後の塗工量
が4〜20g/m2 になるように塗工されることが好ま
しい。
【0028】ガラス転移点20〜70℃のEVA、分子
量4000以下かつ粒子径0.8μm以下のポリエチレ
ンを含む塗工層をアンダーコート層として用いる場合、
アンダーコート層上には上記受像層が形成される。この
場合、受像層の形成に際し、ガラス転移点20〜70℃
のEVA、および分子量4000以下かつ粒子径0.8
μm以下のポリエチレンとともに、他のバインダー樹脂
および顔料を使用することができる。アンダーコート層
上に受像層を形成するための塗工方法は、受像層を支持
体上に形成するときと同じ方法を使用できる。
【0029】この場合の受像層は、アンダーコート層よ
りもインクの吸収性に劣るため、受像層の厚さは塗膜強
度が維持できる範囲で極力薄くして、転写されたインク
を速やかにアンダーコート層に移動させ、アンダーコー
ト層にインクを吸収させた方が記録濃度が向上する。そ
のために、受像層の塗工量を2〜10g/m2 にするこ
とが好ましい。
【0030】受像層表面の粗さは、王研式平滑度で15
0秒以上3000秒以下であることが最適である。受像
層の平滑度が150秒に満たないと、インクリボンと受
像層との密着性が不良になり、転写不良による画像の転
写ヌケが発生しやすくなることがある。また受像層の平
滑度が3000秒を越えると、表面が平滑すぎてインク
の投錨効果が働かず、受像層に転写されたインクがイン
クリボンに逆転写して画像にヌケが発生しやすくなるこ
とがある。
【0031】本発明に用いられるシート状支持体は、上
質紙、塗工紙などの紙、織布、不織布などから選ぶこと
ができる。支持体は断熱性の良好なものほど同一印画エ
ネルギーでドット再現性が良好で、記録濃度の増加が期
待できる。また、断熱性の良好な支持体ほど同じ濃度、
記録品質を得るために必要なエネルギー量が少なくて済
み、省エネルギーである。
【0032】上質紙の、受像層側の面の凹凸を平滑化改
善すると共に、断熱性を向上させるために、上質紙にプ
レコート層を設けることもできる。このプレコート層の
断熱性を向上させるために、これに多孔質の無機顔料や
中空顔料を含有させてもよい。
【0033】上記の条件を満たす受像シートは、感熱カ
ラープリンターによる記録において、公知の樹脂および
顔料のみからなる構成の熱転写受像シートよりも、画像
のドット再現性が良好で、記録濃度が高いという長所を
有する。
【0034】
【実施例】下記実施例によって本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれによって制限されるものでは
ない。なお、実施例および比較例中の「部」はすべて
「重量部」である。
【0035】実施例1.坪量80g/m2 の上質紙の片
面に、下記組成を有する混合物を撹拌機で混合して得ら
れた受像層塗料(1)を、乾燥後の塗工量が8g/m2
になるように塗布し、乾燥・固化して受像層を形成し、
これにスーパーカレンダーによる平滑処理を施し、受像
層表面の王研式平滑度が1000秒となるようにして、
溶融転写型インク受像シートを作製した。
【0036】 受像層塗料(1) 成 分 重量部 EVAエマルジョン (商標:モビニール081F、ヘキスト合成製、 ガラス転移点31℃、固形分40%) 245 ポリエチレンエマルジョン (商標:ポリロン393、中京油脂製、 平均粒径0.1μm、分子量1950、固形分31%) 135 水 20
【0037】実施例2.実施例1と同じ支持体の片面
に、実施例1の受像層と同じ組成および塗工量を有する
アンダーコート層(1)を形成したとした。このアンダ
ーコート層(1)上に、下記組成を有する混合物を撹拌
機で混合して得られた受像層塗料(2)を、乾燥後の塗
工量が4g/m2 となるように塗布し、乾燥・固化して
受像層を形成し、これにスーパーカレンダーによる平滑
処理を施し、受像層表面の王研式平滑度が1000秒と
なるようにして溶融転写型インク受像シートを作製し
た。
【0038】 受像層塗料(2) 成 分 重量部 スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン (商標:L−1876、旭化成工業製、固形分48%) 103 カオリナイトクレー分散物 (商標:ウルトラホワイト90、エンゲルハード製、 固形分50% 297
【0039】比較例1.実施例1と同じ支持体の片面
に、下記組成を有する混合物を撹拌機で混合して得られ
た受像層塗料(3)を、乾燥後の塗工量が8g/m2
なるように塗布し、乾燥・固化して受像層を形成し、こ
れにスーパーカレンダーによる平滑処理を施し、受像層
表面の王研式平滑度が1000秒となるようにして溶融
転写型インク受像シートを作製した。
【0040】 受像層塗料(3) 成 分 重量部 EVAエマルジョン(商標:ポリゾールEVA AD−5、 昭和高分子製、ガラス転移点0℃、固形分56%) 175 ポリエチレンエマルジョン (商標:ポリロン393、中京油脂製、 平均粒径0.1μm、分子量1950、固形分31%) 135 水 90
【0041】比較例2.実施例1と同じ支持体の片面
に、比較例1の受像層と同じ組成および塗工量を有する
アンダーコート層(2)を形成した。このアンダーコー
ト層(2)上に実施例2と同じ受像層塗料(2)を、乾
燥後の塗工量が4g/m2 となるように塗布し、乾燥・
固化して受像層を形成し、これにスーパーカレンダーに
よる平滑処理を施し、受像層表面の王研式平滑度が10
00秒となるようにして溶融転写型インク受像シートを
作製した。
【0042】比較例3.実施例1と同じ支持体の片面
に、下記組成を有する混合物を撹拌機で混合して得られ
た受像層塗料(4)を、乾燥後の塗工量が8g/m2
なるように塗布し、乾燥・固化して受像層を形成し、こ
れにスーパーカレンダーによる平滑処理を施し、受像層
表面の王研式平滑度が1000秒となるようにして溶融
転写型インク受像シートを作製した。
【0043】 受像層塗料(4) 成 分 重量部 EVAエマルジョン(商標:モビニール081F、 ヘキスト合成製、ガラス転移点31℃、固形分40%) 245 ポリエチレンエマルジョン (商標:ケミパールW−100、三井石油化学工業製、 平均粒径3μm、分子量2000、固形分40%) 105 水 50
【0044】比較例4.実施例1と同じ支持体の片面
に、比較例3の受像層と同じ組成および塗工量を有する
アンダーコート層(3)を形成した。このアンダーコー
ト層上に実施例2と同じ受像層塗料(2)を、乾燥後の
塗工量が4g/m2 となるように塗布し、乾燥・固化し
て受像層を形成し、これにスーパーカレンダーによる平
滑処理を施し、受像層表面の王研式平滑度が1000秒
となるようにして溶融転写型インク受像シートを作製し
た。
【0045】比較例5.実施例1と同じ支持体の片面
に、下記組成を有する混合物を撹拌機で混合して得られ
た受像層塗料(5)を、乾燥後の塗工量が8g/m2
なるように塗布し、乾燥・固化して受像層を形成し、こ
れにスーパーカレンダーによる平滑処理を施し、受像層
の王研式平滑度が1000秒となるようにして溶融転写
型インク受像シートを作製した。
【0046】 受像層塗料(5) 成 分 重量部 EVAエマルジョン(商標:モビニール081F、 ヘキスト合成製、ガラス転移点31℃、固形分40%) 245 ポリエチレンエマルジョン (商標:ポリロンG−473、中京油脂製、 平均粒径0.15μm、分子量5000、固形分30%) 140 水 15
【0047】比較例6.実施例1と同じ支持体の片面
に、比較例5の受像層と同じ組成および塗工量を有する
アンダーコート層(4)を形成した。このアンダーコー
ト層(4)上に、実施例2と同じ受像層塗料(2)を、
乾燥後の塗工量が4g/m2 となるように塗布し、乾燥
・固化して受像層を形成し、これにスーパーカレンダー
による平滑処理を施し、受像層表面の王研式平滑度が1
000秒となるようにして溶融転写型インク受像シート
を作製した。
【0048】テスト 上記実施例1,2および比較例1〜6の各受像シート
を、20℃、65%RHの環境で2時間調湿後、市販の
熱転写カラープリンター、(商標:CHC−445、神
鋼電機製)によりインク画像を溶融転写記録した。記録
濃度測定結果を表1に示す。
【0049】評価 また転写された記録画像のドット再現性およびブロッキ
ング性を下記のようにして評価した。ドット再現性は、
インクリボンから受像層に転写されたインクのドットが
良好に再現されているものから順に○、△、×△、×の
4段階に評価した。耐ブロッキング性は、10cm角に切
って10枚重ねた各々の溶融転写型インク受像シートを
10cm角の金属板で挟み、上に2kgの重りを載せ、50
℃で一晩放置後の溶融転写型インク受像シートの融着状
態の軽いものから順に○、△、×△、×の4段階に評価
した。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明により、溶融熱転写インク画像の
ドット再現性が良好で、高い記録濃度を得られる溶融転
写型インク受像シートを実用することが可能となり、産
業界に寄与するところが大である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、この支持体の一面上
    に形成され、かつ樹脂および顔料を主成分として含むイ
    ンク受像層とを有し、前記インク受像層中の樹脂成分
    が、20〜70℃のガラス転移点を有するエチレン−酢
    酸ビニル共重合体樹脂、および4000以下の分子量
    と、0.8μm以下の粒子径とを有するポリエチレンを
    含むことを特徴とする溶融転写型インク受像シート。
  2. 【請求項2】 前記インク受像層と前記支持体との間に
    アンダーコート層が形成されており、このアンダーコー
    ト層が、20〜70℃のガラス転移点を有するエチレン
    −酢酸ビニル共重合体樹脂、および4000以下の分子
    量と、0.8μm以下の粒子径を有するポリエチレンを
    含む、請求項1に記載のインク受像シート。
JP5110537A 1993-05-12 1993-05-12 溶融転写型インク受像シート Pending JPH06320880A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0999658A (ja) * 1995-10-06 1997-04-15 Dainippon Printing Co Ltd 一体型熱転写シートおよび熱転写用受像紙
JP2012245720A (ja) * 2011-05-30 2012-12-13 Dainippon Printing Co Ltd 熱転写両面受像シート

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