JPH06171252A

JPH06171252A - 溶融転写型インク受像シート

Info

Publication number: JPH06171252A
Application number: JP4331704A
Authority: JP
Inventors: Tomotsugu Takahashi; 友嗣高橋; Shiro Nakano; 四郎中野; Masaaki Sukai; 昌明須貝
Original assignee: New Oji Paper Co Ltd
Current assignee: New Oji Paper Co Ltd
Priority date: 1992-12-11
Filing date: 1992-12-11
Publication date: 1994-06-21

Abstract

(57)【要約】【目的】ドットの再現性が良好で、高い記録濃度を得
る溶融転写型熱転写用インク受像シートを提供する。【構成】支持体と、この支持体の一面上に形成され、
かつバインダー樹脂（例えば、スチレン−ブタジエン共
重合ラテックス、ポリビニルアルコール等）および顔料
（例えば、カオリナイトクレー等）を主成分とするイン
ク受像層（塗工量：４ｇ／ｍ²）とを有し、前記支持体
と前記インク受像層の間に、ワックスを主成分として含
むアンダーコート層（塗工量：８ｇ／ｍ²）を、例えば
ホットメルト塗工により設けたことを特徴とし、塗工
後、スーパーカレンダーで平滑処理を行い、受容層の王
研式平滑度が１０００秒となるようにした溶融転写型熱
転写用インク受像シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱ヘッドを用いた溶融
転写型インク受像シートに関するものである。更に詳し
く述べるならば、本発明は、溶融転写型熱転写用プリン
ターに使用された時、ドット再現性が良好で、記録濃度
の高い優れたプリント画像が得られる溶融転写型インク
受像シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】熱転写インクシートとサーマルヘッドを
利用した熱溶融転写記録方式は、機構が簡単で保守が容
易なため、ワープロやファクシミリ等のプリンターに広
く用いられており、インク受像シートとしては上質紙が
使用されてきた。しかし近年、熱転写記録のフルカラー
化に伴い、従来より高い階調再現性を得るため、プリン
ターにおいては、１つのドットの大きさを変えず階調を
得る方法から、１つのドットの大きさを変えるドット可
変方式に変更しており、インク受像シートにおいては、
低い印加エネルギーから高い印加エネルギーにわたるフ
ルカラー記録において、溶融転写されたインクのドット
形状が忠実に再現されるドット再現性や、十分な量のイ
ンクが転写される記録濃度の高さが重要な記録品質とな
っている。

【０００３】以上のような熱転写のフルカラー化にイン
ク受像シートの特性も対応する必要が出て来ている。す
なわち、通常の印刷用の普通紙では、表面が粗すぎるこ
とによりインクが転写されないヌケが発生したり、逆に
表面が平滑すぎてインクの投錨効果が働かず、インクリ
ボンに再転写してしまうヌケが発生しやすくなる。これ
らはいずれもドット再現性不良の原因である。ドット再
現性の不良に起因する記録濃度の低下のほかに受像層の
インク吸収性の低さに起因する記録濃度の低下も発生す
ることがある。

【０００４】インクの転写性、付着力を向上させるため
に、インク受像層にインク成分となじみの良い固形ワッ
クスを他の樹脂および顔料と共に使用することもある
（特開昭６０−１１０４９１号公報）。この場合、イン
ク受像層中に含まれるワックス量が増加するに従い、イ
ンク受像シートの光沢が増加し、白色度が低下し紙特有
の自然性が損なわれる。さらに、筆記性に劣る、表面が
傷つき易い、塗膜強度が低下する等の欠点が発生するた
め、インク受像層への固体ワックスの添加量におのずと
限界がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融転写型
インク受像シートの従来の欠点、つまり、熱転写カラー
プリンターに使用した場合に、ドット再現性が不良で、
記録濃度の高い良好な記録が得られない、という問題点
を解消した溶融転写型インク受像シートを提供しようと
するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、支持体と、この支持
体の一面上に形成され、かつバインダー樹脂および顔料
を主成分とするインク受像層を有する溶融転写型インク
受像シートにおいて、前記支持体と前記インク受像層の
間に、ワックスを主成分として含むアンダーコート層を
設けることにより、溶融型熱転写プリンターによる記録
において、公知の樹脂成分のみからなる熱転写用インク
受像シートよりもドット再現性が良好となり、高濃度記
録が実現でき、また、インク受像層に固体ワックスを含
有する熱転写用インク受像シートよりも、マット調で光
沢がなく、白色度が高く、筆記性が優れ、かつ普通紙の
ような自然感が得られることを見出し、本発明を完成し
た。

【０００７】かかる記録体の記録濃度が高い理由は、イ
ンクの加熱転写時に、一つには、アンダーコート層中の
ワックスの熱軟化によってインクリボンとインク受像層
が密着し、インクの転写性が向上するためと推測され
る。また、一つにはインク受像層に接触転写されたイン
クが、インク受像層に染み込み、更にインク受像層に転
写しきれないインクをインク受像層と支持体の間のアン
ダーコート層のワックスが完全に吸収して、インクの転
写性が向上し、ドットの再現性が良好となるためと推測
される。

【０００８】ワックスからなるアンダーコート層を持た
ない熱転写用インク受像シートはインクの加熱転写時
に、アンダーコート層の軟化によるインクリボンとイン
ク受像層（以下受像層と略す）との密着性がなく、か
つ、受像層が吸収できるインク量のみが転写されるため
に、ワックスからなるアンダーコート層を持つ熱転写用
インク受像シートよりも記録濃度が低い。

【０００９】本発明において、受像層と支持体との間に
設けられるアンダーコート層は、前述のごとく、ホット
メルト塗工されるワックスが主なる構成成分である。ワ
ックスとしてはカルナバワックス、木ロウなどの植物性
ワックス、密ロウ、セラツカロウなどの動物性ワック
ス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワック
スなどの石油系ワックス、酸化ワックス、エステルワッ
クスなどの合成ワックス、などの固形ワックスを単独ま
たは併用して使用できるが、インクの加熱転写時に軟化
してインクリボンと受像層とを密着させる必要があるた
め、融点は１００℃以下のものが望ましい。

【００１０】アンダーコート層の白色度、不透明度増加
やマット化のためにワックス類と共に一般的な顔料が使
用できる。ワックスと共に用いる顔料としては、酸化亜
鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、けい酸、けい酸塩、
クレー、タルク、マイカ、焼成クレー、水酸化アルミ、
硫酸バリウム、リトポン、二酸化チタン、酸化亜鉛、な
どの無機顔料、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹
脂、スチレン−アクリル共重合体などの粉末やビーズ、
でんぷん粉末、セルロース粉末、マイクロスフェアー、
中空粒子などが単独または併用して使用できるが、アン
ダーコート層の平滑性を損ねないためにもアンダーコー
ト層に使用される顔料の平均粒径は５μｍ以下が望まし
い。

【００１１】本発明におけるアンダーコート層に使用さ
れるワックスと顔料との割合は全塗料固形分に関して、
前者が１００〜５０重量％、後者は０〜５０重量％で使
用されることが望ましい。ワックスが５０重量％より少
ないとインク吸収性が劣りドット再現性が向上せず、記
録濃度の増加が望めないことがあるため好ましくない。

【００１２】上記アンダーコート層のワックスおよび顔
料は、すでに工業化されている方法で分散、塗料化でき
る。すなわち、ワックスの融点以上の温度下でワックス
を液化するか、溶剤を用いてワックスを溶液化し、ワッ
クスと顔料を所定の比率で混合し、攪はん機、ボールミ
ル、サンドグラインダなど適当な分散機で混合、分散、
調整することができる。

【００１３】支持体上へのアンダーコート層の形成方法
は、塗料が溶液状態で通常の塗工方式、すなわちメイヤ
ーバー方式、グラビアロール方式、リバースロール方
式、ブレード方式、ナイフ方式、スリットダイ方式等が
利用できる。

【００１４】アンダーコート層の上に形成される受像層
は、公知の顔料と樹脂を混合して使用することができ
る。

【００１５】受像層のバインダー樹脂としては、ポリビ
ニルアルコール、酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、
メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆
タンパク、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド、ポリアクリル酸、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、アクリル酸エステル
共重合樹脂、メタクリル酸エステル共重合樹脂、ブチラ
ール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ化
ビニリデン樹脂、ニトロセルロース樹脂、スチレン樹
脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−ブタ
ジエン共重合体などのような樹脂を単独、又は２種類以
上混合して使用できる。

【００１６】受像層に樹脂と共に用いる顔料としては、
アンダーコート層のワックスと共に使用できる顔料と同
じものが使用できるが、受像層の平滑性を良好にし、転
写不良を起こさないためにも受像層に使用される顔料の
平均粒径は５μｍ以下が望ましい。

【００１７】本発明における受像層に使用される全樹脂
は全塗料固形分の１５〜８０重量％の範囲で用いられ、
顔料は８５〜２０重量％の範囲で使用することが望まし
い。樹脂の使用量が１５重量％より少ないと塗膜の強度
がなくなり、インクリボンに受像層が剥ぎ取られてしま
い記録不良を発生することがあるので好ましくない。樹
脂の使用量が８０％より多いと受像層表面が平滑になり
過ぎてインクの投錨効果が働かず、ヌケが発生しやすく
なることがあり好ましくない。

【００１８】上記受像層の樹脂および顔料は、すでに工
業化されている方法で分散、塗料化できる。すなわち、
樹脂と顔料または顔料分散物を所定の比率で混合し、分
散媒とともに攪はん機、サンドグラインダなど適当な分
散機で混合、分散、調整することができる。

【００１９】アンダーコート層上への受像層の形成方法
は、アンダーコート層と同様の塗工方式が利用できる。

【００２０】受像層表面の粗さは王研式平滑度で７００
秒以上１３００秒以下が最適である。受像層平滑度が７
００秒に満たないと、インクリボンと受像層との密着性
が不良で転写が行われないヌケが発生しやすくなる。受
像層平滑度が１３００秒を越えると、表面が平滑すぎて
インクの投錨効果が働かず、インクがインクリボンに再
転写してしまうヌケが発生しやすくなる。

【００２１】さらに、受像層はアンダーコート層よりも
インクの吸収性に劣るため、受像層の厚さは塗膜強度が
維持できる範囲で極力薄くして、転写されたインクを速
やかにアンダーコート層に移動させ、アンダーコート層
にインクを吸収させた方が記録濃度が向上する。そのた
めに受像層の塗工量は２〜１０ｇ／ｍ²が好ましい。

【００２２】アンダーコート層および受像層を塗工する
支持体は、上質紙、塗工紙などの紙、織布、不織布、ポ
リエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエ
チレンフィルム、酢酸セルロースフィルムなどのプラス
チックフィルム、合成紙などが使用できる。

【００２３】支持体は断熱性の良好なものほど同一印画
エネルギーでドット再現性が良好で、記録濃度の増加が
期待できる。また、断熱性の良好な支持体ほど同じ濃
度、記録品質を得るために必要なエネルギー量が少なく
て済み、省エネルギーである。支持体の断熱性は一般的
にクリアフィルム＜上質紙＜合成紙の順に良好となる。

【００２４】上質紙の、受像層側の面の凹凸を改善する
と共に、断熱性を向上させるために、上質紙に塗工層を
設け、その上にアンダーコート層を設けることもでき
る。塗工層の断熱性を向上させるために、多孔質の無機
顔料や中空顔料を使用することができる。

【００２５】以上の条件を満たす受像シートは、感熱カ
ラープリンターによる記録において、公知の樹脂成分の
みからなる熱転写用インク受像シートよりも、ドット再
現性が良好で、記録濃度の増加が実現できる。

【００２６】

【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれによって制限されるもので
はない。なお、実施例および比較例中の「部」はすべて
「重量部」を基準とする。

【００２７】実施例１．坪量８０ｇ／ｍ²の上質紙の片
面に、次に示す配合割合のアンダーコート層塗料（１）
を、乾燥後の塗工量が８．０ｇ／ｍ²となるように８０
℃の温度下で塗布し、アンダーコート層を得た。アンダーコート層塗料パラフィンワックス（１３５．日本精蝋社製融点５８℃）４００部

【００２８】上記支持体上のアンダーコート層上に、次
に示す配合割合にて攪はん機で混合した受像層塗料を、
乾燥後の塗工量が４．０ｇ／ｍ²となるように塗布し、
スーパーカレンダーで平滑処理を行い、受像層の王研式
平滑度が１０００秒となるようにし、熱転写用受像シー
トを得た。

【００２９】受像層塗料スチレン−ブタジエン共重合体（商標：Ｌ−１８７６、旭化成工業社製固形分４８％）１００部カオリナイトクレー分散物（商標：ウルトラホワイト９０、エンゲルハード社製固形分５０％）２８８部水１２部

【００３０】実施例２．坪量８０ｇ／ｍ²の上質紙の片
面に次に示す配合割合にて８０℃の温度下でサンドグラ
インダで混合したアンダーコート層塗料（２）を、乾燥
後の塗工量が８．０ｇ／ｍ²となるように塗布し、アン
ダーコート層を得た。

【００３１】アンダーコート層塗料（２）パラフィンワックス（商標：１３５、日本精蝋社製融点５８℃）３００部軽質炭酸カルシウム（商標：ブリリアント１５、白石工業社製平均粒径０．１５μｍ）１００部

【００３２】上記支持体のアンダーコート層上に、実施
例１と同じ受像層塗料を、乾燥後の塗工量が４．０ｇ／
ｍ²となるように塗布し、スーパーカレンダーで平滑処
理を行い、受像層の王研式平滑度が１０００秒となるよ
うにし、熱転写用受像シートを得た。

【００３３】比較例１．実施例１と同じ支持体の片面に
実施例１と同じ受像層塗料を、乾燥後の塗工量が４．０
ｇ／ｍ²となるように塗布し、スーパーカレンダーで平
滑処理を行い、受像層の王研式平滑度が１０００秒とな
るようにし、熱転写用受像シートを得た。

【００３４】上記実施例１〜２および比較例１の記録体
を２０℃、６５％RHの環境で２時間調湿後、市販の熱転
写カラープリンター（商標：ＪＸ−５６０、シャープ社
製）にて記録した結果を表−１に示す。

【００３５】

【表１】

【００３６】

【発明の効果】本発明により、ドット再現性が良好で、
高い記録濃度を得られる溶融転写型熱転写用インク受像
シートを作成することが可能となり、産業界に寄与する
ところが大である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】支持体と、この支持体の一面上に形成さ
れ、かつバインダー樹脂および顔料を主成分とするイン
ク受像層とを有し、前記支持体と前記インク受像層の間
に、ワックスを主成分として含むアンダーコート層を設
けたことを特徴とする溶融転写型インク受像シート。