JPH07132687A

JPH07132687A - 溶融転写型インク受像シート

Info

Publication number: JPH07132687A
Application number: JP5281239A
Authority: JP
Inventors: Rumiko Kamimura; 留美子上村; Norihito Izumi; 徳仁泉; Shiro Nakano; 四郎中野
Original assignee: New Oji Paper Co Ltd
Current assignee: New Oji Paper Co Ltd
Priority date: 1993-11-10
Filing date: 1993-11-10
Publication date: 1995-05-23

Abstract

(57)【要約】【目的】ドットの再現性が良好で、高い記録濃度を着
色画像を記録し得る溶融転写型インク受像シートを提供
する。【構成】支持体の一面上に形成され、かつ樹脂および
顔料を主成分とするインク受像層（例えば塗工量５ｇ／
ｍ²）とを有し、前記インク受像層が、エチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂、および４０〜１００℃の融点を有す
る可塑剤を含むことを特徴とする溶融転写型インク受像
シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱ヘッドを用いた溶融
転写型インク受像シートに関するものである。更に詳し
く述べるならば、本発明は、溶融転写型熱転写用プリン
ターに使用された時、ドット再現性が良好で、記録濃度
の高い優れたプリント画像が得られる溶融転写型インク
受像シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】熱転写インクシートとサーマルヘッドと
を利用する熱溶融転写記録方式は、機構が簡単で保守が
容易なため、ワープロやファクシミリ等のプリンターに
広く用いられており、そのための溶融転写型インク受像
シート（以下、受像シートと記す）としては、従来上質
紙が使用されてきた。しかし近年、熱転写記録のフルカ
ラー化に伴い、従来のものより高い階調再現性を得るた
め、プリンターにおいては、１つのドットの大きさを変
えずに階調を得る方法から、１つのドットの大きさを変
えるドット可変方式に変換されている。また受像シート
については、低い印加エネルギーから高い印加エネルギ
ーにわたるフルカラー記録において、溶融転写されたイ
ンクのドット形状が忠実に再現される性能、すなわちす
ぐれたドット再現性や、十分な量のインクが転写され、
記録濃度が高いことなどが重要な記録品質として要求さ
れるようになっている。

【０００３】上記のような熱転写画像のフルカラー化に
対して受像シートの特性も適切に対応する必要がある。
すなわち、受像シートとして通常の印刷用の普通紙を用
いると、その表面が粗すぎる場合には、インクが転写さ
れない部分、すなわちヌケが発生したり、逆にその表面
が平滑すぎる場合には、この表面においてインクの投錨
効果が働かず、転写されたインクがインクリボンに逆転
写されてしまい、このためにヌケが発生しやすくなる。
上記のようなドット再現性の不良に起因する記録濃度の
低下のほかに、インク受像層のインク吸収性の低さに起
因する記録濃度の低下も発生することがある。

【０００４】受像シートにおけるインクの転写性、吸収
性を向上させるために、インク受像層（以下、受像層と
記す）にインク成分となじみの良い固形ワックスを、他
の樹脂および顔料と共に使用することも知られている
（特開昭６０−１１０４９１号）。この場合、受像層中
に含まれるワックス量が増加するに従い、受像シート表
面の光沢が増加し、白色度が低下し、紙特有の自然性が
損なわれる。さらに、筆記性が低下し、表面が傷つき易
くなり、塗膜強度が低下する等の欠点が発生することも
ある。このため受像層に対する固形ワックスの添加量に
はおのずと限界があり、従って、インク転写性および吸
収性の向上にも限界がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の溶融
転写型インク受像シートの上記欠点を解消し、熱転写カ
ラープリンターに使用した場合に、ドット再現性が良好
で、記録濃度が高く、品質の良好な画像記録が得られる
溶融転写型インク受像シートを提供しようとするもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するべく鋭意検討した結果、インク受像層に、
樹脂成分としてエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂と融点
が４０〜１００℃の可塑剤とを含ませることにより、溶
融熱転写型プリンターによる記録において、従来の熱転
写用インク受像シートよりもドット再現性が良好で、高
濃度記録が実現でき、また塗膜強度に優れていることを
見出し、上記課題を解決することに成功した。

【０００７】すなわち、本発明の溶融熱転写型インク受
像シートは、シート状支持体と、この支持体の一面に形
成され、かつ樹脂及び顔料を主成分として含むインク受
像層とを有し、前記インク受像層がエチレン−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、および４０〜１００℃の融点を有する可
塑剤を含むことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重
合樹脂（以下ＥＶＡと記す）は、エチレンと酢酸ビニル
とを、高圧ラジカル重合法、溶液重合法、又はエマルジ
ョン重合法を用いて共重合することにより得られる。Ｅ
ＶＡの特性は、酢酸ビニルの含有率によって変動する
が、一般に柔軟性、および弾性に優れた熱可塑性樹脂で
あり、水および紫外線に対し優れた安定性を有してい
る。

【０００９】本発明において得られる記録画像が高い記
録濃度を示す理由は、未だ十分には明らかでないが、転
写時に、受像層表面温度上昇により可塑剤が溶融し、Ｅ
ＶＡの可塑化を促進してインクと相溶性を高めてインク
の転写量を増加し、それによって記録濃度が向上するた
めと推測される。

【００１０】このような本発明の受像層の特性は、固体
可塑剤が転写温度において溶融するために発生するもの
と考えられるので、４０℃未満の融点を有し、常温で既
に液状の可塑剤、又は、融点が１００℃を越える固体可
塑剤を受像層に使用した場合は、受像層と支持体との接
着強度が不良になり、また、インクが転写されたときに
受像層がインクリボンに剥ぎ取られやすくなり、このた
めに記録不良が発生することがあり、従って記録濃度が
向上しないという不都合を生ずることがある。

【００１１】本発明において、受像層の樹脂成分として
は、ＥＶＡの他にワックス、および／又はロジン化合物
を含んでいてもよく、さらにこれらに加えて、従来知ら
れている他の樹脂をバインダー樹脂として混合使用して
もよい。これら他の樹脂としては、ポリビニルアルコー
ル、酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、メトキシセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポ
リビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリ
ル酸などの水溶性樹脂、並びに塩化ビニル樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩
化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、アクリル酸エ
ステル共重合樹脂、メタクリル酸エステル共重合樹脂、
ブチラール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、フ
ッ化ビニリデン樹脂、ニトロセルロース樹脂、スチレン
樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−ブ
タジエン共重合体などのような非水溶性樹脂を用いるこ
とができる。インク受像層の形成に際し、上記バインダ
ー樹脂は溶液、エマルジョン、または、ラテックスとし
て用いられる。これらの樹脂は、単独で、又は２種類以
上混合して使用できる。

【００１２】本発明の受像層に用いられる融点４０〜１
００℃の可塑剤は、好ましくはフタル酸ジシクロヘキシ
ル、およびリン酸トリフェニルなどから選ばれる。この
ような可塑剤は、ボールミル、サンドグラインダー等に
よる通常の湿式粉砕法により、あるいは分散媒とともに
加熱溶融した後、撹拌しながら冷却する方法により、あ
るいは前記加熱溶融の後に、可塑剤をその凝固点以下の
分散媒中に撹拌しながら投入、分散する方法により調製
することができる。また、可塑剤を溶媒中に溶解し溶液
化して使用することもできる。

【００１３】本発明において、受像層中には、前記の融
点４０〜１００℃の可塑剤およびＥＶＡに加えて、従来
既知の顔料を混合含有させてもよい。これらの顔料とし
ては、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、けい
酸、けい酸塩、クレー、タルク、マイカ、焼成クレー、
水酸化アルミ、硫酸バリウム、リトポン、二酸化チタ
ン、などの無機顔料、ポリスチレン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノー
ル樹脂、スチレン−アクリル共重合体などの粉末やビー
ズ、でんぷん粉末、セルロース粉末、マイクロスフェア
ー、中空粒子などが単独に、またはそれらの２種以上を
併用して使用できる。一般に、受像層とインクリボンの
密着性を良好にし転写不良が起らないようにするために
も、受像層に使用される顔料の平均粒径は５μｍ以下で
あることが好ましい。

【００１４】本発明の受像層に使用される樹脂成分、お
よび可塑剤の合計量は、全塗料固形分重量（受像層の乾
燥重量）の５０〜１００重量％の範囲内にあることが好
ましい。また、受像層中に含まれる顔料の合計量は５０
〜０重量％の範囲内にあることが好ましい。全樹脂成分
および可塑剤の合計量が５０重量％より少ないと、得ら
れる受像層のインク転写性が不十分になり、ドット再現
性の向上および記録濃度が不十分になるおそれがある。

【００１５】上記の樹脂及び可塑剤中のＥＶＡおよび可
塑剤の合計量と、その他の樹脂分の合計量との固形分重
量割合について、前者が１０〜１００重量％であり、後
者が９０〜０重量％であることが好ましい。全樹脂成分
中のＥＶＡおよび可塑剤の合計量が１０重量％より少な
いと、得られる受像層のインク転写性が不十分になり、
ドット再現性の向上および記録濃度の増加が不十分にな
るおそれがあり好ましくない。

【００１６】また、全ＥＶＡの合計量は、全塗料固形分
重量（受像層の乾燥重量）の１５〜９９重量％の範囲内
にあることが好ましく、全可塑剤の合計量は、全塗料固
形分重量（受像層乾燥重量）の１〜５０重量％の範囲内
にあることが好ましい。上記固形分重量割合のそれぞれ
が、上記の範囲を逸脱すると、所望の画像濃度向上効果
が得られないおそれがあり好ましくない。また、可塑剤
は、ＥＶＡとインクとの相溶性を助長する目的で添加さ
れるため、ＥＶＡと可塑剤の配合比率はＥＶＡ１００重
量％に対して可塑剤１〜１００重量％であることが好ま
しい。

【００１７】また、ＥＶＡおよび融点４０〜１００℃の
可塑剤、それ以外の樹脂および顔料を、既に工業化され
ている方法で分散し、塗料化することができる。すなわ
ち、ＥＶＡおよび融点４０〜１００℃の可塑剤、それ以
外の樹脂および顔料を所定の比率で混合し、分散媒とと
もに撹拌機、サンドグラインダーなどの適宜な分散機で
混合、分散し、固形分濃度や液状などを調整することが
できる。

【００１８】受像層を支持体上に形成するには、通常の
塗工方式、すなわちメイヤーバー方式、グラビヤロール
方式、リバースロール方式、ブレード方式、エアーナイ
フ方式、スリットダイ方式などを利用することができ
る。

【００１９】一般に受像層の機能を十分にするために、
受像層用塗料は乾燥固化後の塗工量が４〜２０ｇ／ｍ²
になるように塗布され、乾燥されることが好ましい。

【００２０】本発明に用いられるシート状支持体は、上
質紙、塗工紙、ラミネート紙などの紙、織布、不織布な
どの布、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリスチレン、メタクリレート、酢
酸セルロースなどのプラスチック材料からなるフィル
ム、ポリオレフィン樹脂と顔料とからなる合成紙および
多孔シート、並びに発泡ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムなどの多孔質合成樹脂フィルムなどから選ぶこと
ができる。

【００２１】支持体は、断熱性の良好なものほど同一印
画エネルギーによるドット再現性が良好であり、記録濃
度の増加が期待できる。また、支持体の断熱性が高いほ
ど同一濃度、および記録品質を得るために必要なエネル
ギー量が少なくて済み、省エネルギーを達成できる。

【００２２】これら支持体用シート材料は、互いに貼合
して積層体として使用することもできる。特に合成紙や
多孔フィルムと紙を貼合したものは断熱性、クッション
性、こわさ（剛直性）の点から良好である。

【００２３】また、上質紙を支持体として使用する場
合、その受容層形成面の凹凸を少なくするとともに、断
熱性を向上させるために、上質紙上にアンダーコート層
を設け、その上に受像層を設けてもよい。アンダーコー
ト層の断熱性を向上させるために、それに多孔質の無機
顔料や中空顔料を含有させてもよい。

【００２４】上記条件を満たすインク受像シートは、感
熱カラープリンターによる記録において、従来の顔料お
よび樹脂成分のみからなる熱転写用インク受像シートよ
りも、ドット再現性が良好で、記録画像の濃度が高く、
かつ鮮明である。

【００２５】

【実施例】下記実施例によって本発明をさらに具体的に
説明する。しかし、本発明はこれらによって制限される
ものではない。なお、実施例および比較例中の「部」は
すべて「重量部」を表す。

【００２６】実施例１下記配合組成を有する混合物を撹拌機を用いて混合して
受像層塗料（１）を調製し、この塗料（１）を、厚さ１
１０μｍのポリオレフィン系合成紙（商標：ユポＦＰＧ
−１１０、王子油化合成紙製）の片面上に、乾燥後の塗
工量が５ｇ／ｍ ²となるように塗布し、乾燥・固化して
受像層を形成し、溶融転写型インク受像シートを作製し
た。

【００２７】受像層塗料（１）成分重量部リン酸トリフェニル水分散液（融点４８．４〜４９℃、平均粒子径１．４μｍ、固形分４０％）６０ＥＶＡ（商標：ポリゾールＥＶＡＡＤ−２、昭和高分子製、固形分５５％）１７５水１６５

【００２８】リン酸トリフェニル水分散液の調製下記組成の混合物をサンドグラインダーで分散し、分散液を調製した。成分重量部リン酸トリフェニル２０でんぷん水溶液（固形分５％）３０

【００２９】実施例２実施例１と同じ支持体の上に、下記配合組成を有し、撹
拌機で混合して調製された受像層塗料（２）を、乾燥後
の塗工量が５ｇ／ｍ²となるように塗布し、乾燥・固化
して受像層を形成し、溶融転写型インク受像シートを作
製した。

【００３０】受像層塗料（２）成分重量部フタル酸ジシクロヘキシル水分散液（融点６１℃、平均粒子径０．８μｍ、固形分４０％）６０ＥＶＡ（実施例１に同じ）１７５水１６５

【００３１】フタル酸ジシクロヘキシル水分散液の調製下記組成の混合物をサンドグラインダーで分散し分散液を調製した。成分重量部フタル酸ジシクロヘキシル２０でんぷん水溶液（固形分５％）３０

【００３２】実施例３実施例１と同じ支持体の上に、下記配合組成を有し、撹
拌機で混合して調製された受像層塗料（３）を、乾燥後
の塗工量が５ｇ／ｍ²となるように塗布し、乾燥・固化
して受像層を形成し、溶融転写型インク受像シートを作
製した。

【００３３】受像層塗料（３）成分重量部フタル酸ジシクロヘキシル水分散液（実施例２に同じ）６０ＥＶＡ（実施例１に同じ）１３０ワックスエマルジョン（ハイドリンＰ−７、中京油脂製、固形分３０％）８０水１３０

【００３４】比較例１実施例１と同じ支持体の上に、下記配合組成を有し、撹
拌機で混合して調製された受像層塗料（４）を、乾燥後
の塗工量が５ｇ／ｍ²となるように塗布し、乾燥・固化
して受像層を形成し、溶融転写型インク受像シートを作
製した。

【００３５】受像層塗料（４）成分重量部ＥＶＡ（実施例１に同じ）２２０水１８０

【００３６】比較例２実施例１と同じ支持体の上に、下記配合組成を有し、撹
拌機で混合して調製された受像層塗料（５）を、乾燥後
の塗工量が５ｇ／ｍ²となるように塗布し、乾燥・固化
して受像層を形成し、溶融転写型インク受像シートを作
製した。

【００３７】受像層塗料（５）成分重量部ＥＶＡ（実施例１に同じ）１７５ワックスエマルジョン（実施例３に同じ）８０水１４５

【００３８】性能テスト上記実施例１〜３および比較例１〜２の受像シートの各
々を、２０℃、６５％ＲＨの環境で２時間調湿後、市販
の熱転写カラープリンター（ＣＨＣ−４４５、神鋼製機
製）によりインク画像を溶融転写記録した。その結果を
表１に示す。

【００３９】評価上記テストにおいて、ドット再現性を３段階に評価し、
インクリボンから受像層に転写されたインクのドットが
良好に再現されているものから不良なものへの順に○，
△，×と表示した。

【００４０】

【表１】

【００４１】

【発明の効果】本発明の溶融転写型インク受像シート
は、ドット再現性が良好で、高い記録濃度の画像を記録
し得るものであって、産業上、きわめて有用なものであ
る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シート状支持体と、この支持体の一面上
に形成され、かつ樹脂及び顔料を主成分として含むイン
ク受像層とを有し、前記インク受像層がエチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂、および４０〜１００℃の融点を有す
る可塑剤を含むことを特徴とする溶融転写型インク受像
シート。