JPH1110762A - 積層型多孔質シートおよびその製造方法 - Google Patents

積層型多孔質シートおよびその製造方法

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JPH1110762A
JPH1110762A JP9169122A JP16912297A JPH1110762A JP H1110762 A JPH1110762 A JP H1110762A JP 9169122 A JP9169122 A JP 9169122A JP 16912297 A JP16912297 A JP 16912297A JP H1110762 A JPH1110762 A JP H1110762A
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pore
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JP9169122A
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Tatsu Nakai
達 中居
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クッション性と塗膜強度が両立できる積層型
多孔質シートおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 シート状支持体と、このシート状支持体
の少なくとも一面上に、樹脂および顔料を主成分とする
混合液に機械的攪拌により発泡処理した樹脂含有液を塗
布、乾燥することにより形成された少なくとも二層の気
泡含有樹脂層を有し、前記気泡含有樹脂層のうち、外側
に位置する気泡含有樹脂層の加熱溶融温度が80〜16
0℃であり、かつ表面平均気孔直径が0.5〜50μm
である積層型多孔質シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面および内部に
多数の空隙を有し、インクまたはトナーの吸収性、クッ
ション性、断熱性が高い2層以上の樹脂層を有する多孔
質シート及びその製造方法に関するものである。本発明
の多孔質シートは、インクの吸収性が高いことが要求さ
れる溶融熱転写受像シート、インクジェット受像シー
ト、または電子写真用シート等のような情報用紙等に好
適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】シートのクッション性及び断熱性の向上
を目的とし、支持体上に一層の多孔質層を設けた複合シ
ートがいくつか提案されている。例えば、支持体上に中
空粒子を含有するアンダーコート層を設けた例(特開平
2−89690号、特開昭64−27996号)、プラ
スチックを主成分とする支持体上に水中で溶出する成分
を含んだ樹脂層を形成し、この樹脂層から水溶性成分を
溶出除去して多孔質層を形成する例(特開平2−412
87号)、支持体上に低沸点溶媒を含有する発泡性プラ
スチックフィラーを塗工し乾燥した後、これを加熱して
発泡表面層を形成した例(特開平2−3396号)、及
び、樹脂含有液に機械的撹拌を施し、多数の微細気泡を
含有させた気泡含有液を支持体の表面上に塗工し、乾燥
して多孔質層を形成した例(特開平8−310145
号)等が知られている。しかし、これらの従来方法で
は、得られる受像シートのクッション性及び/又は断熱
性が未だ不十分であったり、或は塗膜強度とクッション
性とが両立できない等の問題があった。
【0003】一層の多孔質層を有するシートは、インク
またはトナーの吸収性、クッション性、断熱性が高いな
どの特性を有し、この特性を利用して、ワードプロセッ
サー及びファクシミリ等のプリンター類に用いられてい
る溶融熱転写記録方式、インクジェット記録方式、並び
に電子写真方式の複写機用受像シートとして好適に使用
されている。
【0004】前記溶融熱転写記録方式、インクジェット
記録方式、又は電子写真方式のプリンター及び複写機に
おいては、画像のフルカラー化、高画質化が進んでお
り、受像シートの使用量が逐次増加すると共に用途も拡
大されているので、紙、フィルム又は、合成紙を基材と
し、高画質の画像再現が可能な受像シートの出現が強く
要望されている。
【0005】情報記録用紙として、例えば電子写真方式
において記録画像部のモトルが少なく、白紙部と画像部
の光沢コントラストが小さい高画質の画像を得るために
は、トナーの溶融定着時に、トナーの塗工層表面におけ
る水平方向の広がりを防止して、互に隣接するトナーが
接合しないようにすることが重要である。一層の多孔質
層を有するシートを電子写真方式の受像シートとして使
用した場合に、多孔質層がトナーを多孔質層内部に十分
に吸収できる能力を有しているならば、記録画像部のモ
トルが防止され、かつ画像部の不自然な光沢を抑制する
ことができるか、このようなシートは、高画質の画像再
現が可能な受像シートとして高い適性を有している。
【0006】また溶融熱転写記録方式により高い階調再
現性および記録濃度を有する転写画像を得るためには、
低い印加エネルギーから高い印加エネルギーにわたる広
い範囲において、溶融転写されたインクのドット形状が
忠実に再現されることが重要である。溶融熱転写プリン
ターによる記録の場合は、受像シートの表面と転写用イ
ンクリボンが圧縮力を受け密着されて、インクリボンか
ら受像シートに、インクが転写されるという機構上、イ
ンク受像層のクッション性がドットの再現性に大きく関
与していると思われる。また、溶融したインクを受理す
るインク受像層は、すぐれたインク吸収力、及びシート
自身の断熱性等が同時に必要であると考えられている。
一層の多孔質層を有するシートを、溶融熱転写記録方式
の受像シートとして使用した場合、前記多孔質シートは
その構造上インク吸収性、クッション性、断熱性が高い
ので、階調再現性、ドット再現性が良好で高画質の画像
再現が可能な受像シートとして高い適性を存している。
【0007】前述のように溶融熱転写プリンターの記録
において良好なドット再現性を得るには、受像シートの
クッション性が高い方が有利であるが、シートのクッシ
ョン性は塗工された受像層自身の密度により決定される
から、高いクッション性を得るには受像層の密度を低く
しなければならない。しかし、多孔質受像層の密度が低
い場合は、受像層内部の気孔を囲む樹脂膜壁が細化し、
受像層塗膜の強度が低下し、溶融熱転写プリンターによ
る記録時に、受像層表面部分の剥離を生じ良好な記録画
像が得られないことがある。単一層の気泡含有層を有す
る多孔質シートにおいて、高いクッション性を得るには
層全体の密度を低くする必要があった。しかし、そのよ
うにすると、溶融インクと接する樹脂塗膜表面部の強度
が不足するなどの難点を生ずるから、気泡含有層の密度
を低くするには限界があり、受像シートとしては強度に
おいて不十分になる場合がある。
【0008】また、前記溶融熱転写記録方式、インクジ
ェット記録方式、および電子写真方式等の受像シートと
して、密度の低い単一層の気泡含有層を有する多孔質シ
ートを使用し、その画像記録シートをタグ、ラベル等の
産業用に用いた場合は、ペン型バーコードリーダーによ
る読み取り時、あるいは物品用コンテナー等に貼付し、
輸送する場合などに、様々の物品と接触したときなど
に、印字部が欠損するという問題が生ずるので、擦過に
対する耐久性の高い多孔質シートの出現が強く要望され
ている。
【0009】また単一の多孔質層を有するシートにおい
て、その多孔質層の主原料である水溶性樹脂または水分
散型樹脂は、多孔質シートのロールの形成時、または枚
葉として保管時に、高温高湿下でブロッキングを起こし
たり、プリンター内で走行不良が発生することがあるの
で、多孔質層形成用樹脂の選択には十分な配慮が必要で
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題点を解消し、クッション性、及び塗膜強度のコ
ントロールが可能な積層型多孔質シートを提供しようと
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型多孔質シ
ートは、シート状支持体と、その1面上に形成された少
なくとも1層の内側気孔含有樹脂層と、その外側面上に
形成された外側気孔含有樹脂層とを有し、前記内側及び
外側気孔含有樹脂層の各々が、皮膜形成性樹脂液に機械
的撹拌を施して調製された気泡含有樹脂塗布液を、塗布
・乾燥することにより形成されたものであり、前記外側
気孔含有樹脂層が、80〜160℃の溶融温度と、0.
5〜50μmの表面部平均気孔直径を有する、ことを特
徴とするものである。また、本発明に係る積層型多孔質
シートの製造方法(1)は、前記の積層型多孔質シート
を製造するに際し、少なくとも1種の内側気泡含有樹脂
塗布液及び1種の外側気泡含有樹脂塗布液を、それぞ
れ、皮膜形成性樹脂を含有する樹脂液に機械的撹拌を施
して、多数の微細気泡を含有させることにより調製し、
シート状支持体の少なくとも1面上に、前記少なくとも
1種の内側気泡含有樹脂塗布液を塗布し、乾燥して少な
くとも1層の内側気孔含有樹脂層を形成し、この内側気
孔含有樹脂層の外側面上に、前記外側気泡含有樹脂塗布
液を塗布し、乾燥して外側気孔含有樹脂層を形成する、
ことを特徴とするものである。また本発明に係る積層型
多孔質シートの製造方法(2)は、前記の積層型多孔質
シートを製造するに際し、少なくとも1種の内側気泡含
有樹脂塗布液及び1種の外側気泡含有樹脂塗布液を、そ
れぞれ、皮膜形成性樹脂を含有する樹脂液に機械的撹拌
を施して、多数の微細気泡を含有させることにより調製
し、シート状支持体の少なくとも1面上に、前記少なく
とも1種の内側気泡含有樹脂塗布液を塗布して少なくと
も1層の内側気泡含有樹脂塗布液層を形成し、この内側
気泡含有樹脂塗布液層の外側面上に、前記外側気泡含有
樹脂塗布液を塗布し、これらの塗布液層を乾燥して少な
くとも1層の内側気孔含有樹脂層及び1層の外側気孔含
有樹脂層を形成する、ことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の目的を達成
すべく鋭意検討した結果、樹脂含有液に機械的撹拌を施
し、多数の微細気泡を含有させた少なくとも二種類以上
の複数の樹脂含有液を塗工し乾燥することにより、微細
気孔を有する多孔性の塗工層を二層以上有し、かつ積層
型多孔質層表面の平均気孔直径を適正化することにより
上記課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成する
に至った。すなわち、支持体の少なくとも一面上に多孔
性の塗工層を二層以上形成することにより、すぐれた塗
膜強度とすぐれたクッション性とが両立できるようにな
った。また塗工法によって巻取り状の多孔質シートを作
製した後、保管中あるいはシート状に加工した多孔質シ
ートのブロッキング発生を抑制できるようになった。
【0013】また、本発明の積層型多孔質シートが溶融
熱転写記録方式、インクジェット記録方式、電子写真方
式等の情報記録用紙として用いられた場合、すぐれた記
録性能を発現する。その理由は、多孔質シートの物理的
特性(構造的特性や表面平滑性)が関与しているものと
考えられる。すなわち、構造特性の面から見るならば、
多孔質シートの外側気孔含有樹脂層の表面には微細な孔
が多数存在しているために、毛細管現象によるすぐれた
インクまたはトナーの吸収効果(投錨効果)が発現し、
かつ多孔質シート内へのインクまたはトナーの浸透が良
好となって、インクまたはトナーに対する高い受容能力
を発現するものと考えられる。
【0014】この点において、支持体上に形成された多
孔質層中の外側気孔含有樹脂層の表面における気孔の大
きさが重要である。すなわち、情報記録時のインクやト
ナーを転写したとき、良好な画像を本発明の積層型多孔
質シート上に形成するには、外側気孔含有樹脂層の表面
に分布している気孔の平均直径が0.5〜50μmであ
ることが必要であり、好ましくは0.5〜20μmであ
る。平均気孔直径が0.5μm未満では、インク又はト
ナーの、気孔含有樹脂層内への浸透が少なく、充分な吸
収能力が得られない。また、それが50μmより大きい
場合には、インクまたはトナーが気孔中に埋没し、転写
ムラが起こりやすく、ドット再現不良を生じて良好な画
像が形成できなくなる。ただし、本発明の積層型多孔質
シートを、溶融熱転写記録方式の受像シートとして使用
した場合は、溶融熱転写記録方式の機構上、上記転写ム
ラや埋没が起こりやすいので、外側気孔含有樹脂層表面
の平均気孔直径は0.5〜30μmであることが好まし
い。なお、気孔含有樹脂層の表面の気孔直径は、光学顕
微鏡もしくは走査型電子顕微鏡写真と画像解析装置を用
いて計測することができる。
【0015】また、外側気孔含有樹脂層表面の気孔の大
きさは、気泡形成・分散処理前の樹脂含有塗布液の組
成、すなわち材料の種類、配合比率、気泡、塗工、乾燥
後に多孔質層中の膜厚さに直接関係する成分として残存
する量、あるいは前記の発泡倍率、塗工方式などの種々
の要因を適正に設定すればよい。さらに本発明における
外側気孔含有樹脂層の表面における気孔の大きさは、機
械的撹拌によって調製された気泡含有樹脂液中の気泡の
大きさと安定性とに関係しており、おおむね、樹脂液中
の気泡が小さく、安定であるほど、塗布乾燥後の外側気
孔含有樹脂層、すなわちインク受像層表面の気孔も小さ
くなる。従って樹脂塗布液中の気泡含有状態には特に制
限はないが、気泡の大きさは、前記外側気孔含有樹脂層
表面における気孔と同じ大きさ、すなわち、平均直径が
0.5〜50μmの範囲内にあることが好ましく、より
好ましくは、平均直径が0.5〜20μmである。含有
される気泡の大きさは、その一部を光学顕微鏡で写真撮
影し、画像解析装置で計測することができる。
【0016】また、本発明において、シート状支持体上
に形成される内側及び外側気泡含有樹脂層の各々は、樹
脂および必要により顔料を主成分として含むものであ
る。このような多孔質樹脂層は、樹脂、あるいは樹脂と
顔料との混合物を含む液状物に、機械的撹拌を施してこ
れに多数の微細な気泡を形成分散させ、この気泡含有樹
脂液を支持体に塗工し、乾燥することによって形成する
ことができる。また、本発明で使用可能な皮膜形成性樹
脂としては、例えば、種々の分子量およびケン化度のポ
リビニルアルコールおよびその誘導体、デンプン、デン
プンの誘導体(例えば酸化デンプン、カチオン化デンプ
ンのような各種化工デンプン)、メトキシセルロース、
カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチ
ルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソ
ーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アク
リル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル
酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン
−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリル
アミドおよびその誘導体、ポリエチレングリコール等の
水溶性樹脂、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、
アクリル−ウレタン共重合体、スチレン−ブタジエン共
重合体(SBRラテッスク)、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体(NBRラテックス)、ポリアクリル酸
エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチ
ルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ス
チレン−ブタジエン−アクリル系共重合体、ポリ塩化ビ
ニリデン等の樹脂、さらにはニカワ、カゼイン、大豆タ
ンパク、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム等を用いるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。これ
らの樹脂は必要に応じて、単独あるいは二種類以上混合
して使用することができる。
【0017】本発明において、内側及び外側気泡含有樹
脂層に含ませることができる顔料としては、例えば酸化
亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、珪酸、珪酸塩、ク
レー、タルク、マイカ、焼成クレー、水酸化アルミニウ
ム、硫酸バリウム、リトポン、コロイダルシリカ等の無
機顔料、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エポキシ樹脂、スチレン−アクリル共重合体等の真
球、中空あるいは、さまざまな形状に加工されたタイプ
のプラスチックピグメントと称される有機顔料やデンプ
ン粉末、セルロース粉末等を用いることができるが、こ
れらに限定されるものではない。また、これらの顔料は
必要に応じて単独にあるいは二種以上混合して使用する
ことができる。また、本発明における気泡含有樹脂層
に、各種顔料を配合すると塗膜強度が低下して、画像記
録時の塗膜剥離や画像形成後の塗膜欠損を生じるなどの
トラブルの原因となることがある。したがって、水分散
型樹脂含有液に各種の顔料を含ませて、内側及び外側気
孔含有樹脂層を形成する場合には、受像シートとしての
総合的な品質を考慮して、顔料を適正な配合率で使用す
ることは当然である。
【0018】気泡形成前の樹脂液あるいは樹脂と顔料と
の混合液の中には、必要に応じて既知の粘度調節剤、分
散剤、染色剤、耐水化剤、潤滑剤、架橋剤、可塑剤など
の1種以上を添加することができる。
【0019】本発明において、樹脂液中に気泡を形成分
散含有させる方法(以下これを発泡方法と記す)には、
例えば遊星運動をしつつ回転する撹拌翼を有するいわゆ
る製菓用の発泡機、一般に乳化分散等に利用されている
ホモミキサー、カウレスディゾルバー等の撹拌機、ある
いは密閉系内に空気と樹脂含有液の混合物とを連続的に
送入しながら機械的に撹拌を施し、空気を微細な気泡に
分散、混合できる装置、例えば米国ガストンカウンティ
ー社、オランダのストーク社等の連続発泡機を用いるこ
とができるが、これらの発泡方式に特に厳格な制限はな
い。
【0020】本発明において、樹脂液に含有させる気泡
の安定性を向上するには、整泡剤、発泡剤と称されてい
る界面活性作用のある材料を適宜選定して配合してもよ
い。例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸変性物、高級脂肪
族のアルカリ塩、高級脂肪酸のアミン塩等の陰イオン性
の界面活性剤は、特に樹脂液の発泡性を高める効果及
び、分散含有させた気泡の安定性向上効果が高い。これ
ら整泡剤又は発泡剤の選定には特に厳格な制限はない
が、樹脂液の流動性を著しく阻害したり、塗工作業性を
損なうおそれのある材料の使用は避けるのが至当であ
る。但し、上記の整泡剤及び発泡剤の前記樹脂液に対す
る配合比率は、樹脂液の固形分100重量部に対して、
固形分で0〜30重量部、であることが好ましく、より
好ましくは1〜20重量部である。これを30重量部を
越えて配合してもその効果は飽和し、経済的に不利益と
なることが多い。
【0021】また本発明に用いられるシート状支持体と
しては、セルロースを主成分とする紙、塗工紙、ラミネ
ート紙等の紙類をはじめとして、織布、不織布等の布類
が使用可能である。またポリオレフィン、メタクリレー
ト、酢酸セルロース等のプラスチックフィルム類、ポリ
オレフィンと顔料からなる合成紙や発泡ポリエチレンテ
レフタレートフィルム、発泡ポリプロピレンフィルム等
の多孔質合成樹脂フィルム等を使用することができる。
これらの支持体は、断熱性の良好なものほど同一印加エ
ネルギーでドット再現性や画像の階調再現性が良好であ
り、記録濃度の増加を達成することができ、また、同一
濃度、および記録品質を得るために必要なエネルギー量
が少なくてすむため、省エネルギーにも有効である。ま
たパルプを主成分として含む紙や塗工紙を支持体として
用いた場合には、特にリサイクルが可能であるという利
点がある。
【0022】本発明の積層型多孔質シートの内側及び外
側気孔含有樹脂層は、前記の水分散型樹脂液、あるいは
水分散型樹脂および顔料を主成分として含む混合物液に
多数の微細気泡を含有させ、この塗布液をシート状支持
体上に塗工し、乾燥することによって得ることができる
が、気泡を形成、含有させる方法や設備、および塗工方
法には特に厳格な制限はない。また気泡を含有する水分
散型樹脂液の気泡含有状態にも特に制限はない。ただ
し、溶融熱転写記録方式、インクジェット記録方式、電
子写真方式等の情報記録用紙に用いる場合は、気泡含有
樹脂塗布液の原液に対する体積比(以下発泡倍率と記
す)が1倍を越え10倍以下であることが好ましく、よ
り好ましくは1.1倍以上5倍以下である。すなわち発
泡倍率は気泡含有水分散型樹脂塗布液中の気泡含有率を
示す尺度であり、発泡倍率が大きくなると気泡を構成す
る樹脂液膜(壁)の厚さが薄くなることを意味してい
る。また、発泡倍率が同一である場合には、発泡前の水
分散型樹脂液の固形分濃度が低いほど得られる気孔含有
樹脂層の気孔を囲む樹脂膜(壁)が薄くなることを意味
している。このように、樹脂膜壁が薄くなると、得られ
る気孔含有樹脂層の強度を十分なレベルに維持すること
が困難になることがあり、この点において、発泡倍率と
樹脂液の組成とのバランスを適宜に設定すればよい。
【0023】本発明の積層型多孔質シートを形成するに
は、支持体上に一層目の気孔含有樹脂層形成用気泡含有
樹脂液を塗工、乾燥した後に、この気孔含有樹脂層の表
面上に二層目以降の各気孔含有樹脂層形成用の気泡含有
樹脂液を順次に塗工、乾燥する方式、いわゆるウエット
オンドライ方式と、一層目の気孔含有樹脂層形成用気泡
樹脂含有液を塗布し、それを乾燥することなく、二層目
以降の気孔含有樹脂層形成用の気泡含有樹脂液を順次に
塗布し、これらの樹脂液層を同時に塗工、乾燥する方
式、いわゆるウエットオンウエット方式等があげられ
る。前記ウエットオンドライ方式には、一層目の塗料の
粘着性が高い場合、巻き取り作製時にブロッキングを起
こす等のトラブルが発生しやすいこと、及び一層目と二
層目の接着力が低く塗膜強度が低下すること、及び低塗
工量における塗工ができなくなる等の問題がある。また
前記ウエットオンウエット方式は、ウエットオンドライ
方式の上記問題点を解消でき、通常は単独で塗工するこ
とはできない粘着性の高い塗料や、流動性が悪く良好な
面質が得られない塗料などにも適用することができると
いう利点を有する。
【0024】本発明方法において、積層型気孔含有樹脂
層を支持体上に形成するための塗工方式としては、メイ
ヤーバー方式、グラビアロール方式、ロール方式、リバ
ースロール方式、ブレード方式、ナイフ方式、エアーナ
イフ方式、押し出し方式、キャスト方式等の既知の方法
いずれも適用することができるが、押し出し方式は塗工
時にかかる圧力が小さいため、気泡含有樹脂塗布液中の
微細な気泡の保持が良好なので特に好ましい。押し出し
方式には、一般的に塗料を合流させるためのフィードブ
ロックと呼ばれる装置が塗工ヘッドの前部に設置されて
いるフィードブロックタイプ、並びに塗工機の内部で数
種の塗料を合流させるマルチマニホールドタイプ、及び
スタックプレートタイプ等に代表される共押し出し法が
あり、いずれの方式も本発明方法に適用することができ
る。また一つのバッキングロールの周囲に、単層の押し
出し機を二機以上配置して、二種以上の異なった塗料を
押し出す直列押し出し法、また押し出しステーションを
2機以上直列に配置する方法なども適用できる。
【0025】また前記2以上の気泡含有樹脂塗布液を共
押し出し方式によって支持体上に積層塗工する際に、こ
れらの気泡含有樹脂液の粘度差が大きいときには、エン
カプシュレーション・マイグレーションと呼ばれる粘度
の低い塗料が粘度の高い塗料を包み込んでしまう現象が
起きることがある。前記2以上の気孔含有樹脂層の各層
を均一な層とするには、気泡含有樹脂塗布液の粘度調整
と粘度変化に対応する温度管理をすればよい。すなわち
本発明の微細な気泡を多数含有させた樹脂液は、発泡倍
率が高いほど樹脂液の粘度も高くなる傾向にあるので、
発泡前樹脂液の粘度は、発泡後の樹脂液の粘度を考慮し
て適宜に設定すればよい。
【0026】本発明の積層型多孔質シートの層構成の実
施形態を図1〜図4に例示する。ただし、本発明の積層
型多孔質シートの層構成はこれらの態様に限定されるも
のではない。図1は、シート状支持体1の一面上に二層
以上の気孔含有樹脂層を設けた例である。支持体1上に
形成された内側気孔含有樹脂層2は、安価であるが、耐
ブロッキング性の低い樹脂を用いて形成され、その上に
形成された外側気孔含有樹脂層3は、高価であるが耐ブ
ロッキング性にすぐれている樹脂を使用して形成し、そ
れによって、良好な耐ブロッキング性の保持と製造コス
ト低減の両立が可能である。また内側層2として、発泡
倍率の高い気泡含有樹脂塗布液を塗工して密度の低い内
側樹脂層を形成し、外側層3として発泡倍率の低い気泡
含有樹脂塗布液を用いて、密度の高い外側層を形成する
ことにより、塗工層外側表面の耐久性と塗工層のクッシ
ョン性とを両立させること等が可能である。しかし内側
および外側層における使用樹脂および発泡倍率の組み合
わせはこれらに限定されるものではない。前記内側気孔
含有樹脂層と外側気孔含有樹脂層の積層体を、以下、積
層型多孔質樹脂層と記す。
【0027】図2は、図1と同様にシート状支持体1の
一面上に二層以上の内外側気孔含有樹脂層2,3を設
け、シート状支持体1の他方の面に非多孔質層4を設け
た例である。前記のシート状支持体上に気泡含有樹脂塗
布液を塗工して、本発明の積層型多孔質シートを製造す
る際、塗工、乾燥および巻き取りなどの工程において、
シート自体がその塗工面を内側あるいは外側にしてカー
ルすることがある。そのため、このシートを所定寸法に
断裁して画像形成用シートとして使用するとき、各種プ
リンターへの給紙が正常に行われないこと、あるいはプ
リンター内部における走行性が悪化することなどのトラ
ブルを発生することがある。特に溶融転写記録方式は、
熱源をインクリボンに接触せしめてリボン中の染料成分
を記録用シート上に転写する方式であるため、画像形成
面を形成する樹脂層と、支持体層との間の、加熱に伴う
収縮の差、もしくは膨張特性の差に起因して、装置内部
で受像シートにカールを発生し、前記のようなトラブル
が発生する。このようなカール発生のために画像が正常
な紙面方向に対して斜めに形成されたり、装置内部でシ
ートにしわが発生しやすくなり、このためインクリボン
と受像シートとの接触が正常に行われず、インク転写不
良を起こし、その結果、画像品質が悪化することがあ
る。また、本発明の積層型多孔質シートを電子写真方式
の受像シートとして利用する場合も、トナーの定着はヒ
ートロールによる加熱工程が含まれているため、溶融熱
転写方式で記録の際と同じように、シートのカールによ
るトラブルが生ずることがある。
【0028】このようなカールが原因となって生ずる各
種のトラブルを防止するためには、積層型多孔質樹脂層
と支持体層との間の加熱による収縮特性の差、もしくは
膨張特性の差をできる限り小さくすることが望ましい。
そのため図2に示されているように、支持体の裏面、す
なわち積層型多孔質樹脂層2,3に対し反対側の面に非
多孔質カール防止層4を塗工あるいはラミネートしても
よい。このカール防止層4の材料、形成方法、塗工量、
ラミネート量等にはまったく制限はなく、支持体の種
類、厚さ、あるいは積層型多孔質樹脂層の性状、すなわ
ち材料組成、発泡倍率、塗工量など種々の要因を勘案し
て最適化をはかることができる。
【0029】また支持体を形成する材料によっては、得
られる積層型多孔質シートがプリンター内で走行する際
に、装置の機構上、種々の摩擦力を受けたり、加熱によ
る装置内部の湿度低下等の影響が単独に、あるいは複合
してこの積層型多孔質シートに静電気を帯電させること
がある。このような状態において多数枚の画像形成を連
続的に行うと、この積層型多孔質シートの画像形成面
と、次の積層型多孔質シートの裏面とが静電気的に密着
して剥れにくくなる。とくに各種プラスチックシート類
あるいは合成紙等は本質的に帯電しやすい性質があるた
めに、これらを支持体として利用する際は、断裁による
シート化工程、あるいは加工後の保管中に静電気発生の
ためシートの表裏が剥しにくくなる。当然のことながら
紙類を支持体とした場合でも前記のようなトラブルは起
こり得る。このような帯電に伴うトラブル防止のため
に、いわゆる帯電防止層を積層型多孔質シートの裏面側
に図2のように形成することはきわめて有効である。ま
た帯電防止は、帯電防止材料を使用すること、あるいは
該シート裏面と積層型多孔質層とのシート間の摩擦係数
を低減することにより達成することができる。従って帯
電防止層をカール防止層形成と同様に広範な材料および
方法の中から適宜選定して形成することができる。
【0030】また、前記積層型多孔質シートの製造後、
支持体の、多孔質樹脂層2,3に対し反対側の面に、多
孔質樹脂層面の識別のため、および企業名、商品名ある
いはロゴマーク印刷のため、さらにはプリンター内での
画像形成上必要な制御のための検知マークの印刷のため
に、各種の印刷が施される場合がある。そのため、積層
型多孔質シートの裏面に印刷適性を有する層を図2のよ
うに形成することによってインキセット性を付与するこ
とも可能である。前記のカール防止層、帯電防止層およ
び印刷適性付与層は、支持体の裏面に個別に形成して所
期性能を得ることは可能であるが、製造工程の簡略化、
製造コストの低減あるいは所期の機能水準等、必要に応
じて材料、形成方法を適宜選定することにより、単一層
に形成して目的を達成することができる。すなわち単一
層でカール防止、帯電防止および印刷適性などの機能を
付与することも可能である。従ってシート状支持体の裏
面に形成される層の数においてはなんら制限はない。
【0031】図3は、シート状支持体1の1面上に二層
以上の積層型多孔質樹脂層2,3を設けた他の面上に2
層以上の積層型多孔質層5,6を設けた例である。内側
気孔含有樹脂層2(表面)及び5(裏面)並びに外側気
孔含有樹脂層3(表面)及び6(裏面)の性能を適宜に
特定することにより、シートの両面に全く同様の機能を
持たせること及び、全く異なった機能を付与すること等
が可能である。多孔質シートに対する諸々の要求に対し
シート状支持体1の両面に積層型多孔質樹脂2,3,
5,6層を設けることは容易であり、製造的あるいは諸
物性的にもなんら問題はない。特にまた、支持体の両面
に同一の積層型多孔質樹脂層を設けた場合は、両面の多
孔質樹脂層が同じ収縮、もしくは膨張特性を有している
ので、保管環境の変動や、各種画像形成装置内における
加熱に伴うカールが発生しにくいというメリットがあ
る。
【0032】図4は、図1と同様にシート状支持体1の
一面上に二層以上の積層型多孔質樹脂層2,3を設け、
その外側気孔含有樹脂層3の上に非多孔質層を設けた例
である。例えば、外側気泡含有樹脂層の表面が、鉛筆に
よる筆記適性において不十分である場合があり、この場
合には、外側気孔含有樹脂層3の上に顔料含有樹脂層を
設けることにより筆記性の向上が可能である。本発明に
おいて外側気孔含有樹脂層3の表面に形成される非多孔
質層、あるいは支持体の裏面に形成される非多孔質層に
含ませることができる顔料には何ら制限がなく、例えば
前記裏面非気孔質層4用の顔料の中から必要に応じて単
独あるいは二種類以上混合して使用することができる。
【0033】本発明の積層型多孔質シートは、2種以上
の気泡含有樹脂塗布液をシート状支持体上に順次に塗
工、乾燥したままの状態でも良好な画像記録性能を示す
ことができるが、さらに金属製ロール2段以上で構成さ
れるマシンカレンダー、あるいは金属製ロールおよび樹
脂製ロール、あるいは金属製ロールとコットン製ロール
などを適宜組み合わせて構成されるスーパーカレンダー
を使用して、この積層型多孔質シートに仕上げ処理を施
し、その表面の平滑性をさらに向上させることができ
る。また塗工後、半乾燥状態もしくは乾燥状態にあるシ
ートの積層型多孔質層の表面を鏡面仕上げを施したキャ
ストドラム等に加温あるいは非加温状態において接触さ
せて、その表面平滑性を向上させてもよい。しかし過度
の加圧力下で上記平滑仕上げ処理を施すと、多孔質樹脂
層中の気泡を取り囲む樹脂膜壁が破壊され、積層型多孔
質樹脂層が緻密化され、その断熱性やクッション性が低
下し、或は、積層型多孔質樹脂層表面の気孔の変形や破
壊が起こるため、積層型多孔質樹脂層が有するすぐれた
ドット再現性が得られなくなることもある。従って、前
記の平滑仕上げ処理に際しては、上記問題が生じないよ
うに処理条件を適宜に設定すればよい。
【0034】
【実施例】本発明を下記の実施例によってさらに具体的
に説明する。但し本発明の範囲はこれらによって制限さ
れるものではない。なお、下記の実施例および比較例中
の「部」および「%」は、特に断りのない限り「固形分
重量部」および「重量%」を表す。
【0035】実施例1 下記の組成を有する樹脂混合液(粘度20,000c
p、固形分濃度35%)および樹脂混合液(粘度2
0,000cp、固形分濃度35%)の各々に、撹拌機
(商標:ケンミックスアイコーPRO、愛工舎製作所
製)を使用して、撹拌速度490rpm で6分間撹拌する
ことによる発泡処理を施した。発泡倍率はそれぞれ4.
0倍であった。 樹脂混合液の組成 樹脂 SBRラテックス (商標:780A−206、三井東圧化学(株)製 ガラス転移温度:−22℃) 100部 整泡剤 高級脂肪酸系 (商標:SNフォーム200、サンノプコ(株)製) 10部 増粘剤 カルボキシメチルセルロースナトリウム (商標:AGガム、第一工業製薬(株)製) 5部 樹脂混合液の組成 樹脂 水性ポリウレタン樹脂 (商標:アデカボンタイターHUX−401、 旭電化工業(株)製) 100部 整泡剤 高級脂肪酸系 (商標:SNフォーム200、サンノプコ(株)製) 10部 増粘剤 カルボキシメチルセルロースナトリウム (商標:AGガム、第一工業製薬(株)製) 5部 上記の組成の樹脂混合液に、発泡処理を施して調製し
た塗布液を、ただちに、坪量75g/m2 の上質紙の表
面上にアプリケーターバーを用いて塗工量(乾物量)が
10g/m2 になるように塗工した。この未乾燥塗布液
層の表面上に、上記の組成の樹脂混合液に、発泡処理
を施して調製された塗布液をただちに、アプリケーター
バーを用いて塗工量が5g/m2 となるように塗工し、
両塗布液層を乾燥して、積層型多孔質シートを作製し
た。
【0036】実施例2 樹脂混合液の塗工量を13g/m2 とし、樹脂混合液
の塗工量を2g/m 2 としたことを除き、その他は、
実施例1と同様にして積層型多孔質シートを作製した。
【0037】実施例3 下記の組成を有する樹脂混合液(粘度20,000c
p、固形分濃度35%)に、撹拌機(商標:ケンミック
スアイコーPRO、愛工舎製作所製)を使用して、撹拌
速度490rpm で6分間撹拌してこれに発泡処理を施し
た。発泡倍率は4.0倍であった。 樹脂混合液の組成 樹脂 アクリル樹脂 (商標:モビニール742N、三井東圧化学(株)製) 100部 整泡剤 高級脂肪酸系 (商標:SNフォーム200、サンノプコ(株)製) 10部 増粘剤 カルボキシメチルセルロースナトリウム (商標:AGガム、第一工業製薬(株)製) 5部 前記組成の樹脂混合液に、実施例1と同様の発泡処理
を施して調製した塗布液を、ただちに、坪量75g/m
2 の上質紙の表面上にアプリケーターバーを用いて塗工
量(乾物量)が10g/m2 となるように塗工した。こ
の未乾燥塗布液層の表面上に、上記の組成の樹脂混合液
に、発泡処理を施して調製された塗布液をただちに、
アプリケーターバーを用いて塗工量が5g/m2 となる
ように塗工し、両塗布液層を乾燥して、積層型多孔質樹
脂層を形成した。別に、下記の成分に水を混合して裏面
層用塗液(固形分10%)を調製した。 〔裏面層塗工液の調製〕 カオリナイトクレー (商標:HTクレー、エンゲルハード社製) 100部 ポリアクリル酸ソーダ (商標:アロンA−9、東亜合成社製) 5部 SBRラテックス (商標:PT−1007、日本ゼオン(株)製) 20部 変性澱粉水溶液 (商標:王子エースA、王子コーンスターチ(株)製) 5部 この裏面層塗工液を、上記の積層型多孔質樹脂層を有す
る支持体の裏面上に、メイヤーバーで塗工量が3g/m
2 となるよう塗工し乾燥して裏面層を形成して、積層型
多孔質シートを作製した。
【0038】実施例4 基材として坪量100g/m2 のPETフィルムを用い
たことを除き、その他は、実施例3と同様にして、積層
型多孔質受像シートを作製した。
【0039】実施例5 下記組成の樹脂混合液(粘度5,000cp、固形分濃
度35%)を、前記攪拌機を使用して撹拌速度490rp
m で12分間撹拌し、発泡倍率8.0倍の塗布液を調製
した。また、実施例1に記載の樹脂混合液と同じ組成
の樹脂混合液を、490rpm で4分間撹拌して発泡倍率
2.0倍の塗布液を調製した。 樹脂混合液の組成 樹脂 水性ポリウレタン樹脂 (商標:アデカボンタイターHUX−401、 旭電化工業(株)製) 100部 整泡剤 高級脂肪酸系 (商標:SNフォーム200、サンノプコ(株)製) 10部 増粘剤 カルボキシメチルセルロースナトリウム (商標:AGガム、第一工業製薬(株)製) 2.5部 樹脂混合液を、発泡処理後ただちに、坪量75g/m
2 の上質紙の表面上にアプリケーターバーを用いて塗工
量(乾物量)が10g/m2 となるように塗工した。こ
の未乾燥塗布液層の表面上に、上記の組成の樹脂混合液
を、発泡処理後ただちに、アプリケーターバーを用い
て塗工量が5g/m2 となるように塗工し、両塗布液層
を乾燥して、積層型多孔質シートを作製した。
【0040】実施例6 下記の成分に水を混合して上塗り用塗液(固形分10
%)を調製した。 〔上塗り層塗工液の調製〕 炭酸カルシウム(商標:#800、米庄石灰工業社製) 100部 ポリビニルアルコール (商標:PVA117、日本合成化学工業社製) 20部 この上塗り層塗工液を、実施例1と同様にして作製した
積層型多孔質シートの表面上に、メイヤーバーで塗工量
が1g/m2 となるよう塗工し乾燥して上塗り層を形成
して、上塗り層付き積層型多孔質シートを作製した。
【0041】実施例7 実施例1と同様にして作製した積層型多孔質シートの裏
面に、表面と全く同一な方法で積層型多孔質樹脂層を形
成し、支持体の両面上に積層型多孔質樹脂層を有するシ
ートを作製した。
【0042】実施例8 前記攪拌機の撹拌速度340rpm で9分間撹拌したこと
を除き、その他は、実施例1と同様にして積層型多孔質
シートを作製した。
【0043】比較例1 前記攪拌機の撹拌速度250rpm で12分間撹拌したこ
とを除き、実施例1と同様にして積層型多孔質シートを
作製した。
【0044】比較例2 実施例1の樹脂混合液と同じ組成の混合液を、実施例
1と同様に発泡処理後ただちに、坪量75g/m2 の上
質紙の表面上にアプリケーターバーを用いて塗工量(乾
物量)が15g/m2 となるように塗工し、乾燥して、
単層型多孔質シートを作製した。
【0045】評価方法 前記実施例、および比較例の各々において得られた塗布
液の発泡倍率の測定、および多孔質シートの多孔質樹脂
層の気孔サイズの測定、多孔質シートの耐ブロッキング
性、多孔質樹脂層のクッション性、多孔質樹脂層の強度
および多孔質シートの溶融熱転写記録適性の評価を、下
記の方法で行った。これらの測定および評価結果を表1
及び表2に示す。 〔発泡倍率の測定〕発泡処理前の樹脂含有液(原液)1
00mlの重量を、発泡処理後の気泡を含有する樹脂含有
液100mlの値で除して発泡倍率を求めた。
【0046】〔気孔直径の測定方法〕多孔質樹脂層(特
に外側気孔含有樹脂層)の表面の、気孔直径は、走査型
電子顕微鏡もしくは光学顕微鏡を使用して、受容層の表
面を写真撮影した後、表面の気孔の輪郭を正確に透明フ
ィルム上に黒色のペン等で描き写し、さらに、ドラムス
キャナー(商標:2605型ドラムスキャンデンシトメ
ーター、(株)阿部設計製)により、光学的に気孔の輪
郭の情報を読み取り、これを画像解析装置(商標:ルー
ゼックスIII 、(株)ニレコ製)を用いて測定した。な
お、本多孔質層表面上に形成された気孔の形状は、必ず
しも真円ではないので、気孔直径は画像解析で得られる
気孔の輪郭内の面積をもとに、円相当直径に換算して気
孔直径を表示した。
【0047】〔耐ブロッキング性〕鏡面仕上げしたステ
ンレス板(10cm角)上に、10cm角に裁断した積層型
多孔質シートを、その外側気孔含有樹脂層表面と支持体
の裏面とが接触するように10枚重ね合わせた後(実施
例9については、表面及び裏面側の外側気孔含有樹脂層
どうしが接触する)、この重ね合わされたシート上に、
1cm2 当たり50gの荷重が負荷されるように、鏡面仕
上げしたステンレス板(10cm角)と錘とを乗せた。こ
の状態のまま温度50℃、相対湿度80%の環境下で2
4時間保持した後、外側気孔含有樹脂層と支持体の裏面
とを手で剥がし、その剥がれ具合を、良いものから順に
A,B,C,Dの4段階で評価した。ここで、全く抵抗
がなく実用的に極めて優れているものをA、ごくわずか
に抵抗を示す程度で実用的に良好なものをB、抵抗はあ
るが多孔性インク受容層の破損がなく記録性能上実用的
には支障のないものをC、また糊付け状態のようになっ
て外側気孔含有樹脂層が破壊され実用に適さないものを
Dとした。
【0048】〔多孔質層クッション性〕ストログラフ−
M2型試験機((株)東洋精機製作所製)を用いて、圧
縮速度0.5mm/min.で、シート状支持体上に形成され
た積層型多孔質樹脂層を厚さ方向に圧縮して応力−歪み
曲線を描き、積層型多孔質シート全体の厚さの10%相
当を圧縮し、(歪ませ、)このとき生じた応力を測定し
た。
【0049】〔多孔質樹脂層強度〕積層型多孔質樹脂層
の耐久性については、プリンター(商標:KMP−81
04・II型サーマルプリンター、KSシステムズ(株)
製)を用いて、外側気孔含有樹脂層表面にバーコードを
印字し、次に、接触型バーコードリーダー(商標:IN
SPECTORIII, RJS社製)を用いて、バーコー
ド部の読み取り操作を、異なる箇所で3回行った後に、
目視により下記基準で積層型多孔質シート表面の外観を
◎、○、×の3段階で評価した。 ◎:多孔質樹脂層の欠損は全く観察されない。 ○:多孔質樹脂層の僅かな欠損が観察される。 ×:多孔質樹脂層のかなりの欠損が観察される。 なお上記評価基準において、◎及び○レベルは実用に適
するが、×レベルでは実用に適さない。
【0050】〔溶融熱転写記録適性〕上記実施例1〜8
および比較例1〜32で得られた積層型多孔質樹脂層を
有するシートについて、温度20℃、相対湿度65%の
環境下で一昼夜調湿した後、熱転写カラープリンター
(商標:Trueprint2200、日本ビクター社
製:本来は昇華型転写の画像形成装置であるが、これを
溶融転写方式の画像形成もできるように改造したもの)
に供給して、その表面にインク画像を溶融転写記録し
た。得られたインク転写画像について下記のように、そ
の反射濃度をマクベス反射型濃度計により測定するとと
もに目視評価した。なお、下記評価基準において○レベ
ルは良好で実用に適し、◎レベルはさらにその適性が良
好であることを示している。 (1)17階調で形成されるインク画像(黒単色画像)
について、マクベス反射型濃度計RD−914を用いて
印加エネルギー別に、その反射濃度を測定し、最高反射
濃度を評価した。 (2)画質は、受容層に転写されたインクのドットを観
察し、良好に再現されているものから順に◎、○、△の
3段階で評価した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明により、シートのブロッキングを
抑制することができ、クッション性と塗膜強度が両立で
きる積層型多孔質シートの製造が可能となり、産業界に
寄与するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート状支持体の一面上に、内側気泡含有樹脂
層と外側気泡含有樹脂層とが形成されている本発明の積
層型多孔質シート。
【図2】シート状支持体の一面上に、内側気泡含有樹脂
層と外側気泡含有樹脂層とが形成され、他の面上に非多
孔質層が形成されている本発明の積層型多孔質シート。
【図3】シート状支持体の表裏両面上に、それぞれ内側
気泡含有樹脂層と外側気泡含有樹脂層とが形成されてい
る本発明の積層型多孔質シート。
【図4】シート状支持体の一面上に、内側気泡含有樹脂
層と外側気泡含有樹脂層とが形成され、前記外側気泡含
有樹脂層上に非多孔質層がさらに形成されている本発明
の積層型多孔質シート。
【符号の説明】
1…支持体 2…内側気孔含有樹脂層(表面) 3…外側気孔含有樹脂層(表面) 4…非多孔質層(裏面) 5…内側気孔含有樹脂層(裏面) 6…外側気孔含有樹脂層(裏面) 7…非多孔質層(表面)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、その1面上に形成さ
    れた少なくとも1層の内側気孔含有樹脂層と、その外側
    面上に形成された外側気孔含有樹脂層とを有し、 前記内側及び外側気孔含有樹脂層の各々が、皮膜形成性
    樹脂液に機械的撹拌を施して調製された気泡含有樹脂塗
    布液を、塗布・乾燥することにより形成されたものであ
    り、 前記外側気孔含有樹脂層が、80〜160℃の溶融温度
    と、0.5〜50μmの表面部平均気孔直径を有する、 ことを特徴とする積層型多孔質シート。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の積層型多孔質シートを
    製造するに際し、少なくとも1種の内側気泡含有樹脂塗
    布液及び1種の外側気泡含有樹脂塗布液を、それぞれ、
    皮膜形成性樹脂を含有する樹脂液に機械的撹拌を施し
    て、多数の微細気泡を含有させることにより調製し、 シート状支持体の少なくとも1面上に、前記少なくとも
    1種の内側気泡含有樹脂塗布液を塗布し、乾燥して少な
    くとも1層の内側気孔含有樹脂層を形成し、 この内側気孔含有樹脂層の外側面上に、前記外側気泡含
    有樹脂塗布液を塗布し、乾燥して外側気孔含有樹脂層を
    形成する、 ことを特徴とする積層型多孔質シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の積層型多孔質シートを
    製造するに際し、少なくとも1種の内側気泡含有樹脂塗
    布液及び1種の外側気泡含有樹脂塗布液を、それぞれ、
    皮膜形成性樹脂を含有する樹脂液に機械的撹拌を施し
    て、多数の微細気泡を含有させることにより調製し、 シート状支持体の少なくとも1面上に、前記少なくとも
    1種の内側気泡含有樹脂塗布液を塗布して少なくとも1
    層の内側気泡含有樹脂塗布液層を形成し、 この内側気泡含有樹脂塗布液層の外側面上に、前記外側
    気泡含有樹脂塗布液を塗布し、これらの塗布液層を乾燥
    して少なくとも1層の内側気孔含有樹脂層及び1層の外
    側気孔含有樹脂層を形成する、 ことを特徴とする積層型多孔質シートの製造方法。
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