JPH06171250A

JPH06171250A - 溶融転写型インク受像シート

Info

Publication number: JPH06171250A
Application number: JP43A
Authority: JP
Inventors: Tomotsugu Takahashi; 友嗣高橋; Shiro Nakano; 四郎中野; Mitsuhiro Yabuuchi; 三弘薮内
Original assignee: New Oji Paper Co Ltd
Current assignee: New Oji Paper Co Ltd
Priority date: 1992-12-03
Filing date: 1992-12-03
Publication date: 1994-06-21

Abstract

(57)【要約】【目的】ドットの再現性が良好で記録濃度が高い優れ
たプリント画像が得られる溶融転写型インク受像シート
を提供する。【構成】シート状支持体（例、厚さ１１０μｍの合成
紙、ユポＦＰＧ−１１０）の一面上に形成され、かつバ
インダー樹脂（例、スチレンーブタジエンラテックス
等）および顔料（例、焼成クレー等）を主成分として含
有するインク受像層（塗工量：８ｇ／ｍ² ）を有し、前
記受像層に固体可塑剤（例、フタル酸ジシクロヘキシル
等）を含有させ、しかるのちに受像層部を固体可塑剤の
溶媒中に浸せきすることにより、固体可塑剤を溶出さ
せ、多孔質化した受像層を有することを特徴とする溶融
転写型インク受像シート（平滑度：１０００秒前後）。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶融転写型インク受像
シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、
本発明は、溶融転写型熱転写用プリンターに使用された
時、ドット再現性が良好で、記録濃度の高い優れたプリ
ント画像が得られる溶融転写型インク受像シートに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】熱転写インクシートとサーマルヘッドを
利用した熱溶融転写記録方式は、機構が簡単で保守が容
易なため、ワープロやファクシミリ等のプリンターに広
く用いられており、インク受像シートとしては上質紙が
使用されてきた。しかし近年、熱転写記録のフルカラー
化に伴い、従来より高い階調再現性を得るため、プリン
ターにおいては、１つのドットの大きさを変えず階調を
得る方法から、各ドットの大きさを変えるドット可変方
式に変更しており、受像シートにおいては、低い印加エ
ネルギーから高い印加エネルギーにわたるフルカラー記
録において、溶融転写されたインクのドット形状が忠実
に再現される、ドット再現性がすぐれていること、およ
び十分な量のインクが転写され、記録濃度が高いことが
重要な記録品質となっている。

【０００３】上記のような熱転写のフルカラー化に伴い
受像シートの特性もこれに対応する必要が生じている。
すなわち、通常の印刷用の普通紙では、表面が粗すぎる
ためインクが転写されない部分、すなはちヌケが発生し
たり、逆に表面が平滑すぎてインクの投錨効果が働か
ず、受像シートに転写されたインク画像がインクリボン
に逆転写してしまうことによるヌケが発生しやすくな
る。これらはいずれもドット再現性不良の原因である。
またドット再現性の不良に起因する記録濃度の低下のほ
かに、受像層のインク吸収性の低さに起因する記録濃度
の低下も発生することがある。インク受像層のインクの
転写性および吸収性を向上させるために、ポリアミド樹
脂やポリウレタン樹脂を他の添加剤とともに親水性有機
溶剤に溶解し、この塗布液を支持体表面に塗布し、次い
で湿式方式で成膜してインク吸収性の高い受像層を形成
することが知られている（特開昭６２−７９２３７
号）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
欠点を解消し、熱転写カラープリンターに使用した場合
に、インク画像のドット再現性が良好で、記録濃度の高
い良好な記録が得られる溶融転写型インク受像シートを
提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、インク受像層を多孔
質化することにより、上記課題を解決し得ることを見出
し、本発明を完成した。すなわち本発明の溶融転写型イ
ンク受像シートは、シート状支持体と、この支持体の一
面上に形成され、かつバインダー樹脂および顔料を主成
分として含有するインク受像層とを有し、前記受像層に
固体可塑剤を含有させ、しかるのちに受像層部を固体可
塑剤の溶媒中に浸せきすることにより、固体可塑剤を溶
出させ、多孔質化した受像層を有することを特徴とする
ものである。

【０００６】

【作用】溶融型熱転写プリンターによる記録において、
本発明の溶融転写型インク受像シートを用いることによ
り従来の樹脂および顔料のみからなる熱転写用受像シー
トよりもドット再現性が良好となり、高濃度で鮮明な記
録が実現できる。本発明において得られる記録画像の記
録濃度が高い理由は、十分には明らかでないが、本発明
に用いられるインク受像層中の固体可塑剤が溶媒により
溶出された部分が空隙となり、インク受像層が多孔質構
造になり、転写時に溶融したインクが染み込み易くな
り、インクの転写性が向上し、ドットの再現性が良好と
なるためと考えられる。

【０００７】本発明の受容層に用いられる固体可塑剤
は、フタル酸ジシクロヘキシル、リン酸トリフェニルな
どが使用できるが、溶出されて受像層を多孔質化する機
能があるため、極端に粒子径が大きなものは受像層の平
滑性を損ねるため不適当であり、平均粒子径は１５μｍ
以下が好ましい。かかる固体可塑剤はボールミル、サン
ドグラインダー等による通常の湿式粉砕により分散で
き、容易に所望の粒径に調整できる。また固体可塑剤の
溶媒への溶出を迅速にするために、固体可塑剤の分子量
は４００を越えないことが好ましい。

【０００８】本発明において、受像層の形成には、バイ
ンダー樹脂とともに、前記の固体可塑剤に加えて、従来
既知の顔料を混合して使用できる。これらの顔料として
は、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、けい酸、
けい酸塩、クレー、タルク、マイカ、焼成クレー、水酸
化アルミ、硫酸バリウム、リトポン、二酸化チタン、酸
化亜鉛、などの無機顔料、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フ
ェノール樹脂、スチレン−アクリル共重合体などの粉末
やビ−ズ、でんぷん粉末、セルロース粉末、マイクロス
フェアー、中空粒子などが単独または併用して使用でき
る。一般に受像層とインクリボンの密着性を良好にし、
転写不良を起こさないようにするためにも受像層に使用
される顔料の平均粒径は５μｍ以下であることが好まし
い。

【０００９】本発明において受像層の形成に用いられる
バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸化
でんぷん、エーテル化でんぷん、メトキシセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、ポリビニル
ピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸など
の水溶性樹脂、並びに塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢
酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニ
ルー塩化ビニリデン共重合体樹脂、アクリル酸エステル
共重合樹脂、メタクリル酸エステル共重合樹脂、ブチラ
ール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ化ビ
ニリデン樹脂、ニトロセルロース樹脂、スチレン樹脂、
スチレンーアクリル共重合体樹脂、スチレンーブタジエ
ン共重合体などのような非水溶性樹脂を用いることがで
きる。インク受像層の形成に際し、上記水溶性樹脂は水
溶液として用いられ、また上記非水溶性樹脂は水性エマ
ルジョン、又はラテックスとして用いられる。これらの
水性樹脂は、単独で、又は２種類以上混合して使用し得
るが、固体可塑剤溶出用の溶媒に対して不溶性のものが
望ましい。

【００１０】本発明におけるインク受像層に使用される
バインダー樹脂の合計量は、全塗料固形分重量の１５〜
８０重量％の範囲内にあることが好ましく、顔料の合計
量は８５〜２０重量％の範囲内にあることが好ましい。
全バインダー樹脂の割合が１５重量％より少ないと、得
られる受像層塗膜の強度が不十分になり、熱転写の際に
インクリボンに受像層の一部が剥ぎ取られて記録不良を
発生することがある。また全バインダー樹脂の使用量が
８０重量％より多いと、受像層表面が平滑になり過ぎ
て、インクの投錨効果が働かず、転写インク画像にヌケ
が発生することがある。

【００１１】また、全顔料中の固体可塑剤と、その他の
顔料との割合は、前者が１００〜５重量％、後者は０〜
９５重量％であることが好ましい。固体可塑剤の含有量
が５重量％より少ないと、ドット再現性が向上せず、記
録濃度が不十分になることがある。上記の固体可塑剤、
およびそれ以外の樹脂および顔料は、すでに工業化され
ている方法で分散、塗料化できる。すなわち、固体可塑
剤、それ以外の顔料または顔料分散物および水系樹脂を
所定の比率で混合し、分散媒とともに撹はん機、サンド
グラインダーなど適当な分散機で混合、分散し、固形分
濃度や液状などを調整することができる。

【００１２】受像層を支持体上に形成するには、通常の
塗工方式、すなわちメイヤーバー方式、グラビアロール
方式、リバースロール方式、ブレード方式、エアーナイ
フ方式、スリットダイ方式等が利用できる。受像層表面
の粗さは、王研式平滑度で７００秒以上１３００秒以下
が最適である。受像層平滑度が７００秒に満たないと、
インクリボンと受像層との密着性が不良になり転写不良
によるヌケが発生することがある。また受像層平滑度が
１３００秒を越えると、表面が平滑すぎてインクの投錨
効果が働かず、受像層に転写されたインク画像がインク
リボンに逆転写してしまい、インク画像にヌケが発生す
ることがある。ただし、本発明による受像層は、多孔質
化されているため、インクが受像層に染み込み十分な投
錨効果が働くため、受容層の平滑度が１３００秒を越え
ても構わない。

【００１３】受像層を支持するシート状支持体は、上質
紙、塗工紙などの紙、織布、不織布、ポリエステルフィ
ルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィル
ム、酢酸セルロースフィルムなどのプラスチックフィル
ム、合成紙などから選ぶことができる。支持体は断熱性
の良好なものほど同一印画エネルギーでドット再現性が
良好であり、かつ、記録濃度の増加が期待できる。ま
た、断熱性の良好な支持体ほど同じ濃度、記録品質を得
るために必要なエネルギー量が少なくて済み、省エネル
ギーを達成できる。支持体の断熱性は、一般的に、クリ
アフィルム＜上質紙＜合成紙の順に良好となる。

【００１４】上質紙の、受像層形成面の凹凸を少なくす
るとともに、断熱性を向上させるために、上質紙にアン
ダーコート層を設け、その上に受像層を設けてもよい。
アンダーコート層の断熱性を向上させるために、それに
多孔質の無機顔料や中空顔料を含有させてもよいが、受
像層の固体可塑剤を溶出するときに溶媒に溶解しない顔
料が望ましい。上記の条件を満たすインク受像シート
は、感熱カラープリンターによる記録において、従来の
顔料および樹脂成分のみからなる熱転写用インク受像シ
ートよりも、ドット再現性が良好で、記録画像の濃度が
高く、かつ鮮明である。

【００１５】

【実施例】下記実施例によって本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれによって制限されるものでは
ない。なお、実施例および比較例中の部はすべて重量部
を基準とする。実施例１．厚さ１１０μｍの合成紙（ユポＦＰＧ−１１
０．王子油化合成紙製）の片面に、下記の組成物を撹は
ん混合した受像層塗料（１）を、乾燥後の塗工量が８ｇ
／ｍ² となるように塗布乾燥し、これにスーパーカレン
ダーによる平滑処理を施し、１０００秒の王研式平滑度
を有するインク受像層を形成して、溶融転写型インク受
像シートを作製した。受像層塗料（１）成分重量部フタル酸ジシクロヘキシル水分散液（融点６１℃．平均粒子径１μｍ、固形分４０％）５０部焼成クレー分散物（アンシレックス９３、エンゲルハード製固形分５０％）１２０部スチレン−ブタジエン共重合体（Ｌ−１８７６．旭化成工業製固形分４８％）４２部水１８８部上記塗工紙をトルエン中に１分間浸せき後、乾燥して熱
転写受容紙を得た。フタル酸ジシクロヘキシル水分散液下記組成の混合物をサンドグラインダーで分散し、調整
した。成分重量部フタル酸ジシクロヘキシル２０部でんぷん溶液（固形分５％）３０部

【００１６】実施例２．実施例１と同じ支持体の片面
に、下記の組成物を撹はん混合した受像層塗料（２）
を、乾燥後の塗工量が８ｇ／ｍ² となるように塗布乾燥
し、これにスーパーカレンダーによる平滑処理を施し、
１０００秒の王研式平滑度を有するインク受像層を形成
して、溶融転写型インク受像シートを作製した。受容層塗料（２）成分重量部リン酸トリフェニル水分散液（融点４８.４〜４９℃．平均粒子径１.４μｍ、固形分４０％）５０部焼成クレー分散物（アンシレックス９３．エンゲルハード製固形分５０％）１２０部スチレン−ブタジエン共重合体（Ｌ−１８７６．旭化成工業製固形分４８％）４２部水１８８部上記塗工紙をトルエン中に１分間浸せき後、乾燥して熱
転写受容紙を得た。リン酸トリフェニル水分散液下記組成の混合物をサンドグラインダーで分散し、調整
した。成分重量部リン酸トリフェニル２０部でんぷん溶液（固形分５％）３０部

【００１７】比較例１．実施例１のトルエン浸せき前の
塗工紙をそのまま溶融転写型インク受像シートとした。

【００１８】比較例２．実施例２のトルエン浸せき前の
塗工紙をそのまま溶融転写型インク受像シートとした。

【００１９】比較例３．実施例１と同じ支持体の片面
に、下記組成の混合物を撹はん機で混合して調整した受
像層塗料（３）を、乾燥後の塗工量が８ｇ／ｍ² となる
ように塗布乾燥し、これにスーパーカレンダーによる平
滑処理を施し、１０００秒の王研式平滑度を有するイン
ク受像層を形成して、溶融転写型インク受像シートを作
製した。受像層塗料（３）成分重量部焼成クレー分散物（アンシレックス９３．エンゲルハード製固形分５０％）１６０部スチレン−ブタジエン共重合体（Ｌ−１８７６．旭化成工業製固形分４８％）４２部水１９８部上記塗工紙をトルエン中に１分間浸せき後、乾燥して溶
融転写型インク受像シートを作製した。

【００２０】比較例４．比較例３のトルエン浸せき前の
塗工紙をそのまま溶融転写型インク受像シートとした。性能テスト上記実施例１〜２および比較例１〜４のインク受像シー
トを２０℃、６５％ＲＨの環境で２時間調湿後、市販の
熱転写カラープリンター（商標：ＪＸ−５６０、シャー
プ製）によりインク画像を記録した結果を表１に示す。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【発明の効果】本発明により、インク画像のドット再現
性が良好で、記録濃度の高い良好な記録が得られる溶融
転写型インク受像シートの実用が作成可能となり、産業
界に寄与するところが大である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シート状支持体と、この支持体の一面上
に形成され、かつバインダー樹脂および顔料を主成分と
して含有するインク受像層とを有し、前記受像層に固体
可塑剤を含有させ、しかるのちに受像層部を固体可塑剤
の溶媒中に浸せきすることにより、固体可塑剤を溶出さ
せ、多孔質化した受像層を有することを特徴とする溶融
転写型インク受像シート。