JP4439041B2 - 軽質炭酸カルシウム及びそれを用いたインクジェット用記録紙 - Google Patents

軽質炭酸カルシウム及びそれを用いたインクジェット用記録紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽質炭酸カルシウム及びそれを利用したインクジェット用記録紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット用記録紙には、高いインク吸収性が要求されるため、多孔質で表面積の高い顔料を塗工してなる塗工層を形成した塗工紙等が用いられている。このような顔料としては合成シリカ、アルミナ等が一般的であるが、安価で且つ粒子径の小さい膠質炭酸カルシウムを用いたインクジェット用記録紙も種々開発されている。
【0003】
しかし通常の炭酸カルシウムは、シリカ等に比べインク吸収性、インク定着性などのインクジェット記録特性が劣るため、これを改善するために種々の提案がなされている。例えば特公平4-60033号、特公平4-60034号、特開平8-198623号などには、インク吸収性を高めるために、比表面積が特定の範囲の炭酸カルシウムを用いたものや特定のポーラス構造のものなどが提案されている。またインク定着性や耐水性を高めるために、炭酸カルシウムをカチオン剤で改質することや記録層用塗工液中にカチオン剤を含有せしめることが提案されている(特開平10-129113号、特開平11-20301号など)。
【0004】
一方、写真画像の印刷等に適用される高品質のインクジェット用記録紙では高い光沢性が求められているが、一般にシリカを用いたものではシリカの粒径が非常に小さいため凝集が強く、高平滑になりにくいため、そのままでは十分な光沢が得られないので、塗工層を形成後、キャストコート(鏡面仕上げ)やスーパーカレンダー処理などを行うことにより高い光沢性を出している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
炭酸カルシウムの場合には、塗工層中の顔料の割合を高めることにより光沢性を高めることが可能であるが、上述したようにインク吸収性を高めるために、微細炭酸カルシウム、特に平均粒子径0.10μm以下の膠質炭酸カルシウムを用いた場合、かかる顔料は分散性が悪いため、塗工液に添加した時に、表面が粗くなり光沢が上がらないという問題があった。また、軽質炭酸カルシウム(PCC)スラリー濃度が低いため、塗工液中のカラー濃度を低くせざるを得ないので、生産性が低いという問題があった。
【0006】
一方、光沢を上げる方法として、顔料の分散処理があるが、分散剤はアニオン系のものが一般的であるため、分散処理した炭酸カルシウムを行うとインク吸収能力が低下するという問題があった。またインク吸収能力を高めるために塗工液中にカチオン剤を含有せしめた場合、カチオン剤の分布状態が悪いと、色抜けが生じるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、微細炭酸カルシウムを比較的大量に含有し、その後の用途における取り扱いが容易なカチオン性の炭酸カルシウムスラリーを提供することを目的とする。また本発明は、インク吸収性、定着性等の記録特性に優れ、しかも高い光沢を有するインクジェット用記録紙を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究の結果、まず微細炭酸カルシウムを分散剤として機能するカチオン剤で分散処理しておくことにより、ゼータ(ζ)電位が+5mV以上であって各種用途に使用可能で且つ取り扱いやすい炭酸カルシウムスラリーが得られること、またこのようなスラリー状の炭酸カルシウムをバインダーと混合すると、比較的多量の顔料及びカチオン剤を均一且つ容易にバインダーに分散させた塗工液が得られること、またこのような塗工液を塗布してなる記録層はインクの吸収性、定着性に優れ、且つ高い光沢性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明の軽質炭酸カルシウムは、カチオン系分散剤で分散処理した軽質炭酸カルシウムであって、ゼータ電位が+5mV以上、最頻度細孔径が0.9μm以下のものである。カチオン系分散剤は、分子量が1000以上且つ10万未満のものを用いる。
【0010】
尚、ゼータ電位(界面動電位)とは、固体表面の固着層と液体(ここでは水)との電位差を意味し、この値が高いほど固着層の電荷量が多い。また本明細書において最頻度細孔径は、水銀圧入式細孔分布測定機で測定した値であり、分散度を高めるほど最頻度細孔径を小さくできる。
【0011】
このような炭酸カルシウムは、内填紙の填料やコート紙の顔料として利用することができ、特にインクジェット用記録紙の填料或いは顔料として好適に利用することができる。
【0012】
また本発明の軽質炭酸カルシウムは、カチオン系分散剤で分散処理した、ゼータ電位が+5mV以上、最頻度細孔径が0.9μm以下の軽質炭酸カルシウムであって、且つBET比表面積が30m/g以上のものである。
【0013】
本発明の軽質炭酸カルシウムにおいて、好適にはカチオン剤は、分子量10万未満のカチオン性化合物またはカチオン性樹脂である。
【0014】
また本発明のインクジェット用記録紙は、基紙上に、カチオン系分散剤で分散処理した軽質炭酸カルシウムとバインダーとを含む塗工液を塗工してなる層を有するものである。
【0015】
好ましい態様においては、上記軽質炭酸カルシウムは、ζ電位が+5mV以上、最頻度細孔径が0.9μm以下の軽質炭酸カルシウムである。
より好ましい態様では、BET比表面積が30m/g以上の軽質炭酸カルシウムである。
またカチオン系分散剤は、分子量10万未満のカチオン性化合物またはカチオン性樹脂である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の軽質炭酸カルシウムは、カチオン系分散剤で分散処理した軽質炭酸カルシウムであって、ζ電位が+5mV以上、最頻度細孔径が0.9μm以下のものである。
【0018】
本発明において分散処理前の軽質炭酸カルシウム(PCC)は、炭酸化工程後のスラリーに濃縮処理、濃縮後脱水処理或いは脱水処理を施すことにより、濃縮液又は脱水ケーキとしたもの、さらに乾燥し粉末化したもののいずれでもよい。特に濃縮液又は脱水ケーキが好適である。
【0019】
原料となるPCCは、石灰石を焼成し、水を加えて得られた石灰乳に、炭酸ガスを吹き込む等、公知の方法により製造されたものを用いることができるが、特にSEM粒子径が0.10μm以下の膠質炭酸カルシウムが好ましい。このような膠質炭酸カルシウムを得るためには、炭酸化工程を複数回に分けて行う方法、炭酸化工程において可溶性金属塩、多価アルコール、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、ヘキサメタリン酸ソーダ、ビスホスホン酸等の添加物を添加する方法、反応後、熟成を行う方法等を適宜組み合わせて用いることができる。
【0020】
炭酸化後のスラリーの濃縮処理は、通常の濃縮手段、例えば遠心脱水機、沈降濃縮機などを用いて行われる。遠心脱水機の例としては、デカンター、スクリューデカンターなどが挙げられる。
【0021】
また脱水処理は、通常の脱水手段、例えばフィルタープレス、ベルトプレス、チューブプレス等の加圧型脱水機、オリバーフィルター等の真空ドラム脱水機、デカンター等の遠心脱水機を用いるか、圧搾手段、例えばベルトプレスや造粒ローラなどの脱水と同時に所要の形状に造粒しる手段等を用いて行われる。
【0022】
PCCの濃縮液又は脱水ケーキを用いる場合、PCCの固形分濃度は、用途によっても異なるが、通常乾燥重量換算で好ましくは20〜85重量%、より好ましくは25〜80重量%、さらに好ましくは30〜75重量%である。
【0023】
本発明において分散処理には、カチオン系分散剤を用いる。カチオン系分散剤とは、正の表面電位を有する化合物または樹脂であって分散剤としての機能を有するものを意味する。
【0024】
このようなカチオン系分散剤としては、具体的には1)ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミン基、第3級アミン基或いは第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物、ポリアルキレンポリアミン類とジシアンジアミドの共重合体等のジシアンアミド系樹脂、5)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、6)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアンモニウムクロライド等の重合物或いはスルホニル或いはアクリルアミドとの共重合物、7)ジメチルジアミノエチルアクリレートサルフェート等のジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物或いはアクリルアミドとの共重合物、8)アリルアミン塩の重合物、9)、アクリルアミド−ジアクリルアミン塩共重合物等のカチオン性樹脂やカチオン性化合物が用いられる。このうち特にジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアンモニウムクロライド、ジメチルジアミノエチルアクリレートサルフェート等のモノマーからなる重合物、または、上記モノマーと他のモノマー、例えばアクリルアミドとの共重合物が好ましい。
【0025】
これらカチオン性化合物或いはカチオン性樹脂は、分散剤として機能するためには分子量が1000以上、好ましくは10000以上のものを用いる。一方、分子量が10万以上であると、ブロック化してスラリー粘度が上がり、これを用いて塗工液を調製した場合、塗工が困難となる。従ってカチオン系分散剤の分子量は10万未満であることが好ましい。
【0026】
カチオン系分散剤の量は、乾燥重量換算で好ましくは顔料の0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜50重量%である。
【0027】
分散は、コーレスミキサー、ホモジナイザー等の高速撹拌器やサンドミル、アトライター、ピンミル、ボールミル等の媒体ミルを用いた慣用の装置を用いて行うことができるが、分散度を上げるために、分散回数を多くする、媒体ミルを用いた場合にはその充填率を上げることが好ましい。
【0028】
このようにカチオン系分散剤で分散処理した炭酸カルシウムは、そのゼータ電位が+5mv以上となる。これによって、アニオン系の成分を含む材料に用いた場合、アニオン系成分と反応し或いは結合し、材料の特性を改善することができる。
【0029】
また分散度を上げるほど、大きな比表面積および小さい最頻度細孔径とすることができ、本発明の軽質炭酸カルシウムは最頻度細孔径が0.9μm以下のものである。また軽質炭酸カルシウムの比表面積(BET)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは40m/g、さらに好ましくは50m/gのものである。
【0030】
上述した範囲の比表面積および最頻度細孔径のものを用いることにより、インクジェット用記録紙の顔料として用いた場合に高いインク吸収性を保つことができる。
【0031】
次にこのような炭酸カルシウムスラリーを利用した本発明のインクジェット用記録紙について説明する。
【0032】
インクジェット用記録紙には、無機顔料を塗工層中に含有させたものが、クリアコート処方インクジェット用記録紙の上位グレードとして生産販売されている。無機顔料を塗工層中に含有させたインクジェット用記録紙は、1層又は複層の記録層、インク吸収層、光沢層と称される塗工層を設けており、光沢層をキャスト仕上げしたものもあるが、本発明の炭酸カルシウムスラリーはいずれのタイプにも適用することができ、これら記録層、インク吸収層、光沢層の少なくとも1層に顔料として添加することができる。
【0033】
本発明のインクジェット用記録紙の基材としては、一般の塗工紙に使用される酸性紙、中性紙等の紙基材、合成紙、樹脂シート等が適宜使用される。
【0034】
塗工層は、主として顔料とバインダーとからなり、顔料として上述のカチオン系分散剤で分散処理した炭酸カルシウムを用いたものである。この場合、特に最頻度細孔径が、0.9μm以下であり、比表面積(BET)が30m/g以上の膠質炭酸カルシウムが好ましい。
【0035】
塗工層の顔料として、このような軽質炭酸カルシウムの他、シリカ(非晶質シリカ、コロイダルシリカ、無定形シリカ)、アルミナ(Al2O3)等の無機顔料を併用することができる。このような炭酸カルシウム以外の顔料は、塗工液を調製する際に添加してもよいが、軽質炭酸カルシウムの製造工程において添加することも可能である。
【0036】
バインダーとしては、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質等のタンパク質類、デンプンや酸化デンプン等の各種デンプン類、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体等の水溶性接着剤、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等の水分散性接着剤等を単独でまたは併用して用いることができる。
【0037】
バインダーの配合量は、塗工層の用途によっても異なるが、通常、顔料100重量%に対し、通常5〜100重量%、好ましくは10〜95重量%とする。
また、本発明において使用される塗工液は、その他、一般に塗工紙の製造において使用される増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の助剤を含有し得る。
【0038】
本発明のインクジェット用記録紙においては、塗工層は、分散処理によってスラリー化した炭酸カルシウムをバインダーと混合し、塗工し、乾燥することにより形成され得る。
【0039】
塗工液は、通常0.05〜30g/m、好ましくは0.1〜20g/m、さらに好ましくは0.2〜15g/mの固形分濃度で塗工する。
塗工液は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビアコーター、ゲートロール、サイズプレス等の慣用の塗工装置により塗工され、乾燥される。
塗工層として記録層の他に光沢層を設ける場合には、記録層用の塗工液を塗工、乾燥後、更に光沢層用の塗工液を塗工、乾燥する。
【0040】
また必要に応じて、塗工液が乾燥した後、得られた記録層或いは光沢層の表面に、スーパーカレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理やキャスト仕上げを施すこともできる。
【0041】
このような本発明のインクジェット用記録紙は、表面の塗工層の顔料としてカチオン剤で分散された軽質炭酸カルシウムを用いたことにより、インク中のアニオン系分散剤と反応し、染料が内部まで浸透するのを防止するとともに、記録画像の耐水性を高めることができる。また塗工層の調製が容易であり、インク吸収性に優れ光沢のある塗工層を得ることができる。
【0042】
【実施例】
本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。
【0043】
尚、以下の実施例において、ゼータ電位はPEN KEN 社製LAZER ZEE model 501を用いて、BET比表面積は島津製作所製:Flow Sorb II 型を用いて、細孔容積および最頻度細孔径は水銀圧入式細径分布測定機(島津製作所製Auto pore II 9220)を用いてそれぞれ測定した。メディアン径はレーザー式粒度分布測定機(堀場製作所製LA-920型)で測定した50%粒子径である。
【0044】
実施例1
100リットルの容器に、東京都西多摩郡瑞穂町の水道水を60リットル入れ、60℃に温度調節した後、撹拌機で撹拌周速2.6m/s(500rpm)で撹拌しながら、酸化カルシウムを6kg投入し、撹拌を継続し、投入から30分後に325meshの篩で篩過を行い、100g/lの水酸化カルシウム水性スラリーを得た。
【0045】
このスラリー30リットルを容量50リットルの撹拌機を備えた円筒型半回分式反応器に仕込み、20℃に調製した後、撹拌周速10m/s(2550rpm)で撹拌しながら、硫酸バンド8%溶液(AL(SO・18HO)を水酸化カルシウムの乾燥重量あたり3%添加し、その後、二酸化炭素含有ガスを水酸化カルシウム1kgあたり100容量%換算で10NL/minの割合で吹き込み、炭酸化率が100%になるまで反応させて、PCC水性懸濁液を得た。これを325mesh篩で濾過して得た炭酸カルシウム(PCC)は、細孔容積2.1cc/g、最頻度細孔径1.3μm、メディアン径3.5μm、SEM粒子径0.08μm、ゼータ電位+1mV、BET比表面積56m/gのカルサイト型膠質粒子であった。
【0046】
得られたPCC水性懸濁液を、フィルタープレスして脱水を行い、固形分濃度55重量%の脱水ケーキを得た。
【0047】
コーレスミキサー(6400rpm、撹拌周速25m/s)に固形分濃度45〜46%となるように、水及びカチオン系分散剤を入れ、これに上記で得られた脱水ケーキを投入し、20分間1次分散を行った。 カチオン系分散剤は、平均分子量1万のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体(以下、カチオンaという)を[分散剤固形分/PCC固形分]で2%の割合で用いた。次いでガラスビーズ(径1〜1.4mm)を充填率85%で用いたサンドミル(ダイノーミルKDL−PILOT:シンマルエンタープライゼス製)で周速14m/s、液流量0.1L/minで二次分散を行い、水性スラリーを得た。
【0048】
得られた炭酸カルシウムスラリーの粘度をBrookfield型粘度計(25℃、60rpm)で測定するとともにゼータ電位およびメディアン径を測定した。また水性スラリーを105℃で24時間乾燥後、コーヒーミルで1分間粉砕した試料についてBET比表面積、細孔容積および最頻度細孔径を測定した。結果を表1,2に示す。
【0049】
実施例2
実施例1と同様に製造した膠質炭酸カルシウム(BET比表面積56m/gのカルサイト型膠質粒子を含む脱水ケーキ)を用いて、カチオンaの代わりに他のカチオン性分散剤(平均分子量2万のジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドとのコポリマー、以下カチオンbという)を分散剤として分散を行い、その他は実施例1と同じ方法により、水性スラリーを製造した。このスラリーについても実施例1と同様に、粘度、ゼータ電位およびメディアン径を測定した。結果を合わせて表1に示す。また水性スラリーを実施例1と同様に粉末化した試料についても実施例1と同様にBET比表面積、細孔容積および最頻度細孔径を測定した。結果を表2に示す。
【0050】
実施例3
水酸化カルシウムスラリーの炭酸化工程における添加剤として、硫酸バンドに加えてポリ硫酸アルミニウム(PAC)を水酸化カルシウム乾燥重量に対して3重量%の量で添加したこと以外は実施例1と同じ方法により、水性スラリー(スラリー4)を製造した。このスラリーについても実施例1と同様に、粘度、ゼータ電位およびメディアン径を測定した。結果を合わせて表1に示す。また水性スラリーを実施例1と同様に粉末化した試料についても実施例1と同様にBET比表面積、細孔容積および最頻度細孔径を測定した。結果を表2に示す。
【0051】
実施例4
水酸化カルシウムスラリーの炭酸化工程において炭酸化率が80%の時に、珪酸ソーダ水溶液(3号工業用)を水酸化カルシウム乾燥重量当たり10重量%添加し、その後炭酸化率100%になるまで反応させて膠質炭酸カルシウムを製造した。この膠質炭酸カルシウムを用いた以外は実施例1と同じ方法により、炭酸カルシウム水性スラリーを製造した。このスラリーについても実施例1と同様に、粘度、ゼータ電位およびメディアン径を測定した。結果を合わせて表1に示す。また水性スラリーを実施例1と同様に粉末化した試料についても実施例1と同様にBET比表面積、細孔容積および最頻度細孔径を測定した。結果を表2に示す。
【0052】
比較例1
実施例1で得られた炭酸カルシウム脱水ケーキを、コーレスミキサーで固形分濃度45〜46%となるように水を添加してスラリー化を行った。分散剤は用いなかった。これらスラリーについても実施例1と同様に、粘度、ゼータ電位およびメディアン径を測定した。結果を合わせて表1に示す。また水性スラリーを実施例1と同様に粉末化した試料についても実施例1と同様にBET比表面積、細孔容積および最頻度細孔径を測定した。結果を表2に示す。
【0053】
比較例2
実施例1で得られた炭酸カルシウム脱水ケーキを、コーレスミキサーで固形分濃度45〜46%となるように水を添加してスラリー化を行った後、さらにサンドミルで分散処理を行ったが、スラリー粘度が10000cP以上に増粘してしまった。このスラリーについても粘度、ゼータ電位およびメディアン径を測定した結果を表1に示す。また水性スラリーを実施例1と同様に粉末化した試料についても実施例1と同様にBET比表面積、細孔容積および最頻度細孔径を測定した。結果を表2に示す。
【0054】
比較例3
実施例1で得られた炭酸カルシウム脱水ケーキをアニオン系分散剤(平均分子量15000のポリアクリル酸ソーダ)を用い、その他は実施例1と同様にして分散させ、水性スラリーを製造した。このスラリーについても粘度、ゼータ電位およびメディアン径を測定した結果を表1に示す。また水性スラリーを実施例1と同様に粉末化した試料についても実施例1と同様にBET比表面積、細孔容積および最頻度細孔径を測定した。結果を表2に示す。
【0055】
比較例4
炭酸カルシウムの代わりに、合成シリカ(水沢化学製、ミズカシルP−78A、BET比表面積400m/g)をコーレスミキサーで30重量%の濃度となるように水に分散したスラリーを得た。
【0056】
比較例5
実施例1と同様に製造した膠質炭酸カルシウムを、カチオンaの代わりに他のカチオン性分散剤(平均分子量50万のジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドとのコポリマー、以下カチオンcという)を用いて、コーレスミキサーでスラリー化を行った。分散初期は、局所的にブロックが形成されていたが、分散が進むにつれブロックは解消した。しかしカチオン系分散剤の分子量が高いため、スラリー粘度が10000cP以上に増粘してしまった。このスラリーについても粘度およびゼータ電位を測定した結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004439041
【0058】
【表2】
Figure 0004439041
【0059】
表1,2の結果からもわかるように分散剤を用いて分散させることにより、細孔容積、最頻度細孔径およびメディアン径のいずれも原料の軽質炭酸カルシウムより小さくすることができ、またBET比表面積を大きくすることができた。しかもカチオン系分散剤で分散させることにより、高いゼータ電位の炭酸カルシウムが得られた。
【0060】
応用例1〜4
上記実施例1〜4で得られた各スラリー100重量%に、ポリビニルアルコール(クラレ製PV−117)15重量%を加え、固形分濃度20重量%の塗工液を調製し、市販の上質紙にコーティングロッドで手塗りを行い、105℃で2分間乾燥した。その後24時間調湿を行い、カレンダー処理(線圧:100kg/cm、処理温度:55℃、処理速度8m/min、ニップ回数:1回)を行うことにより、インクジェット用記録紙を製造した。
【0061】
応用例5
実施例2で得られた水性スラリー50重量%とシリカ50重量%にポリビニルアルコール(クラレ製PV−117)15重量%およびカチオンa1重量%を加え、固形分濃度20重量%の塗工液を調製し、それ以外は応用例1〜4と同様にしてインクジェット用記録紙を製造した。
【0062】
比較例1〜4の応用例(比較応用例1〜4)
比較例1〜4でそれぞれ得られたスラリー100重量%に、ポリビニルアルコール(クラレ製PV−117)15重量%およびカチオンa2重量%を加え、それ以外は応用例1〜4と同様にしてインクジェット用記録紙を製造した。
応用例および比較応用例の各塗工液の配合割合を表3に示す。
【0063】
【表3】
Figure 0004439041
【0064】
上記応用例1〜6及び比較応用例1〜4により製造されたインクジェット用紙について、インクジェットプリンター(EPSON製、PM−750C)を用いて印刷を行い、インクジェット記録適性(ベタ均一性、インク乾燥性、画質、印字濃度)を評価した。また白紙部分及び印字部分の光沢性を評価した。
【0065】
各項目の評価方法は下記のとおりである。
ベタ均一性:シアンおよびマゼンタの2色混合のベタ印字部について目視で印字ムラを観察し、印字ムラが見られなかった場合を○、印字ムラがほとんど見られなかった場合を△、印字ムラが著しい場合を×とした。
インク乾燥性:ベタ印字部を印字直後に指で触れたとき、まったく汚れなかった場合を○、かすかに汚れた場合を△、汚れた場合を×とした。
画質:印字部と非印字部の境界部のインクのにじみを目視により観察し、にじみが認められなかった場合を○、やや認められた場合を△、かなりにじんでいたものを×とした。
白紙部分および印字部分の光沢性:JIS-P8142に準じて白色部および黒ベタ部の75°光沢を測定した。結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
Figure 0004439041
【0067】
表4に示す結果からも明らかなように、実施例1〜4で得られた炭酸カルシウムスラリーを用いて作製したインクジェット用記録紙では、いずれも良好な或いは実用レベルの記録適性が得られ、特に炭酸化工程で珪酸ソーダを添加して製造した炭酸カルシウムを用いた場合(応用例4)或いはシリカと併用した場合(応用例5)では、すべての記録適性においてシリカを用いたもの(比較応用例4)に劣らない優れた特性を示した。
【0068】
光沢性についても白色部分、印字部分共に、シリカのみを用いたもの(比較応用例4)に比べ優れた光沢を示し、特に炭酸カルシウムのみを用いた場合に優れた光沢性を示した。これに対し分散剤を用いないかアニオン系分散剤を用いて分散させたスラリーを用いて作製したインクジェット用記録紙では、光沢性は優れているものの記録適性については実用に耐えうるレベルではなかった。
【0069】
また軽質炭酸カルシウムを合成するときの添加剤として、硫酸アルミニウムとPACを併用して合成した軽質炭酸カルシウムを用いた場合(応用例3)、硫酸アルミニウム単独の場合と比較して優れたインクジェット特性が得られた。
【0070】
【発明の効果】
本発明のインクジェット用記録紙においては、記録層等の塗工層をカチオン系分散剤で分散処理した炭酸カルシウムとバインダーとを混合して得られる塗工液を塗布することにより形成しているため、顔料及びカチオン剤が、記録層中に均一に分散している。従って、本発明のインクジェット用記録紙は、インク吸収性に優れ、しかもインクのにじみや色抜けがないなど、インクジェット記録特性に優れている。また、顔料として膠質炭酸カルシウムを用いた場合は、さらにインク吸収性が向上すると共に、光沢性をも改良することができる。従って、別に光沢層を設ける必要がなく、生産コストの低減、生産性の向上を達成し得る。

Claims (6)

  1. 分子量が1000以上且つ10万未満のカチオン系分散剤で分散処理した軽質炭酸カルシウムであって、ζ電位が+5mV以上、最頻度細孔径が0.9μm以下である軽質炭酸カルシウム。
  2. 前記軽質炭酸カルシウムのBET比表面積が30m2/g以上である請求項1記載の軽質炭酸カルシウム。
  3. 前記カチオン系分散剤が、カチオン性化合物またはカチオン性樹脂である請求項1または2に記載の軽質炭酸カルシウム。
  4. 基紙上に、分子量が1000以上且つ10万未満のカチオン系分散剤で分散処理した軽質炭酸カルシウムとバインダーとを含む塗工液を塗工してなる層を有するインクジェット用記録紙であって、前記軽質炭酸カルシウムが、ζ電位が+5mV以上、最頻度細孔径が0.9μm以下である軽質炭酸カルシウムであることを特徴とするインクジェット用記録紙。
  5. 前記軽質炭酸カルシウムが、BET比表面積が30m2/g以上の軽質炭酸カルシウムである請求項4記載のインクジェット用記録紙。
  6. 前記カチオン系分散剤が、カチオン性化合物またはカチオン性樹脂である請求項4または5に記載のインクジェット用記録紙。
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