JP5915337B2 - 熱転写受像シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
基材と、該基材上に、中空層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートであって、
該受容層が、バインダー樹脂と、カルナバワックスとパラフィンワックスの混合物を含むワックス添加剤と、油溶性シリコーン離型剤とを含んでなる、熱転写受像シートが提供される。
バインダー樹脂と、カルナバワックスとパラフィンワックスの混合物を含むワックス添加剤と、油溶性シリコーン離型剤とを含んでなる水系分散塗布液を用いて、受容層を形成する工程
を含んでなる、熱転写受像シートの製造方法が提供される。
本発明の熱転写受像シートは、基材と、基材の一方の面に、基材上に、中空層と、受容層とをこの順に有してなるものである。好ましい態様では、熱転写受像シートは、基材と受容層の間に、中間層やプライマー層をさらに有してもよい。以下、本発明の熱転写受像シートの構成を、図面を参照しながら説明する。
本発明における基材は、中空層と、受容層とを保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
本発明における中空層は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性を有するものである。好ましい態様では、中空層は、中空粒子を含むものであり、親水性バインダーやその他の添加剤をさらに含んでもよい。好ましい態様によれば、中空層は2層以上からなるものであってもよい。中空層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備える。ここで、中空層のクッション性の程度は、熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。なお、中空層のクッション性の程度についても、例えば、中空層の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。中空層の厚みは、断熱性、クッション性等を所望の程度に調整できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、中空層の密度は、例えば0.1g/cm3〜0.8g/cm3の範囲内、なかでも0.2g/cm3〜0.7g/cm3の範囲内であることが好ましい。
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。受容層は、バインダー樹脂と、ワックス添加剤と、油溶性シリコーン離型剤とを含むものであり、ワックス添加剤をさらに含んでもよい。好ましい態様によれば、受容層は、離型剤や界面活性剤等を、各種目的に応じて含んでもよい。
本発明においては、カルナバワックスおよびパラフィンワックスを、乳化剤、好ましくはノニオン性乳化剤により乳化することが好ましい。ノニオン性乳化剤としては、例えば、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル類、ポリキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル類、およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。これらのノニオン性乳化剤は二種以上を組み合わせて用いても良い。ノニオン性乳化剤は、イオン性がないため、印画の際の熱転写シートと熱転写受像シートとの剥離において、離型性を悪化させる効果が小さいと考えられる。このため、一定期間保存後であっても、熱転写受像シートの離型性を維持することができる。
本発明の熱転写受像シートは、上記の層以外の他の層をさらに有してもよい。好ましい態様では、熱転写受像シートは、受容層側に、プライマー層、中間層、および離型層等のその他の層をさらに有することができる。
本発明におけるプライマー層は、中空層と受容層とを良好に接着する役割を有するとともに、高温高湿度環境下における、染料の中空層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。好ましい態様では、プライマー層は、中空粒子、樹脂、および親水性バインダーを含むものであり、樹脂としては、アクリル系樹脂を含むものが好ましい。プライマー層の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば1μm〜40μmであることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明においては、中空層とプライマー層の間やプライマー層と受容層の間に少なくとも1層の中間層を設けてもよい。中間層を設けることで、耐溶剤、高温/高湿下での画像保存時の染料拡散バリア、層間接着、白色付与、基材のギラつき感/ムラの隠蔽、および帯電防止等の機能を付加するこができる。中間層の形成手段としては公知の手段を用いることができ、例えば、中間層に、蛍光増白剤、無機微粒子、中空微粒子、および導電性フィラーやポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等を添加する方法が挙げられる。
本発明においては、上記の離型剤を受容層に添加せず、受容層上に別途離型層として設けても良い。
本発明における裏面層は、インクジェット方式やドットインパクト方式、筆記具等で使用するインキの定着性を有しており、記録部のにじみが生じ難く速乾性に優れたバックプリントを可能とする(バックプリント適性を向上させる)ものである。さらに、以下に示す受像紙裏面としての基本特性を有するものでもある。
1.受容層面と重ね合わせた際に、温度や加重をかけて保存しても貼り付き(ブロッキング)を生じない。
2.誤って受像紙の表裏面を逆にしてプリンターに装着し、熱転写シートと重ね合わせて熱転写を行った場合であっても、熱転写シートと貼り付いてプリンター内で詰まる事が無く、印字物が排出される(裏面離型性を有している)。
3.受容層面と擦れても受容層面を傷付けず、また、裏面層からの粒子成分の脱落(粉落ち)を生じない。
また、裏面層は、バインダー樹脂および無機微粒子を含むことが好ましく、その他の添加剤、例えば、消泡剤や帯電防止剤等を裏面層に適宜添加することができる。近年では環境配慮の観点から水系塗布方式が好まれているが、本発明の裏面層は、 水系塗布方式で受容層を形成した受像紙の裏面として特に好適に用いることができる。
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材と、該基材上に、中空層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートの製造方法であって、バインダー樹脂と、カルナバワックスとパラフィンワックスの混合物を含むワックス添加剤と、油溶性シリコーン離型剤とを含んでなる水系分散塗布液を用いて、受容層を形成する工程を含んでなるものである。本発明においては、受容層を有する面側を構成する全ての層を、水系塗布により、好ましくは水系塗布かつ同時重層塗布方式により形成することが好ましい。熱転写受像シートの各層の塗布には、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、およびカーテンコート等の公知の方法を用いることができ、受容層を有する面側においてはスライドコートやカーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法が好ましい。このような製造方法により、熱転写受像シートの各層の層間接着性の向上やコスト改善等の効果が得られる。
本発明において受容層の形成に用いる水系分散塗布液は、バインダー樹脂と、ワックス添加剤と、油溶性シリコーン離型剤とを公知の方法により、水中に分散(乳化)させて得ることができる。例えば、水系分散塗布液は、水系分散液の状態のワックス添加剤と、他の水系分散液とを混合して調製できる。水系分散液は、まず、水系溶液と溶剤系溶液を別々に調製する。水系溶液は、上記の乳化剤と水とを混合して得られる。一方、溶剤系溶液は、上記のカルナバワックスおよびパラフィンワックスと、公知の有機溶媒(溶剤)とを混合して得られる。また、溶剤系溶液はカルナバワックスおよびパラフィンワックスを加熱溶融させることによっても得ることができる。ワックス添加剤を調整する際に有機溶剤を字除去する必要がないという点では、カルナバワックスおよびパラフィンワックスを加熱溶融させて有機系溶液とすることが好ましい。より低温で有機系溶液を調整できるという点では、(少量の)有機溶媒を用いることが好ましい。この水系溶液および溶剤系溶液を、混合・撹拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、分散体を調製する。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら減圧下で脱溶剤し、脱溶剤分の体積変化を純水の追添加により補正し、固形分を調製することで、水系分散液が得られる。
本発明の熱転写受像シートと共に用いる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられており、基材シートの他方の面に耐熱滑性層が設けられている層構成を有するものがよい。以下、熱転写インクシートを構成する各層について説明する。
本発明に用いられる熱転写インクシートを構成する基材シートの材料は、従来公知のものを使用することができ、また、それ以外のものであっても、ある程度の耐熱性と強度とを有していれば使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ナイロン、酢酸セルロース、アイオノマー等の樹脂フィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、これらを任意に組み合わせた積層体を使用してもよい。これらの中でも、薄膜化可能で安価な汎用性プラスチックであるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に用いられる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられている。熱転写インクシートが昇華型熱転写インクシートの場合には、熱転写性色材層として昇華性染料を含有する層を形成し、熱溶融型熱転写インクシートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層を形成する。なお、昇華性染料を含有する層領域と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層領域と、を連続した1枚の基材シート上に面順次に設けてもよい。
本発明に用いられる熱転写インクシートは、熱転写性色材層と同一面側に面順次で保護層を設けてもよい。熱転写受像シートに色材を転写した後、この保護層を転写して画像を被覆することにより、画像を光、ガス、液体、擦過等から保護することができる。保護層として接着層、剥離層、離型層、または、下引き層等のその他の層を設けてなるものであってもよい。
耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
本発明の熱転写受像シートを用いる画像形成方法においては、熱転写受像シートと、熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することできる。
熱転写受像シート1の作製
基材としてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、下記組成の中空層A用塗布液1、中空層B用塗布液1、プライマー層用塗布液1、および受容層用塗布液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥後の塗布量がそれぞれ2.0g/m2、3.0g/m2、3.0g/m2、3.0g/m2となるように同時重層塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、50℃にて2分間乾燥し、熱転写受像シート1(層構成:裏面層/基材/中空層A/中空層B/プライマー層/受容層)を得た。なお、塗布速度は、毎分20mであった。この熱転写受像シートは、図1に示されるような層構成を有していた。
中空層A用塗布液1(下層用)の組成
・中空粒子(体積平均粒径:0.5μm、平均中空率:45%、ロームアンドハース(株)製、商品名:ローペイクST) 55質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:G1236) 26質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、新中村化学工業(株)製、商品名:ニューコートB−13) 8質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、BASFジャパン(株)製、商品名:ジョンクリル62J) 8質量部
中空層B用塗布液1(上層用)の組成
・中空粒子(体積平均粒径:0.5μm、平均中空率:45%、ロームアンドハース(株)製、商品名:ローペイクST) 59質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:G1236) 28質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、新中村化学工業(株)製、商品名:ニューコートB−13) 5質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、BASFジャパン(株)製、商品名:ジョンクリル62J) 8質量部
プライマー層用塗布液1の組成
・中空粒子(架橋中空粒子、体積平均粒径:0.4μm、平均中空率:39%、ロームアンドハース(株)製、商品名:OA−39) 70質量部
・ゼラチン(新田ゼラチン(株)製、商品名:G1236) 16質量部
・蛍光増白剤(昭和化学工業(株)製、商品名:WN−1) 4質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、新中村化学工業(株)製、商品名:ニューコートB−13) 2質量部
・バインダー樹脂(スチレン・アクリル樹脂、BASFジャパン(株)製、商品名:ジョンクリル62J) 2質量部
受容層用塗布液1の組成
・バインダー樹脂1 100質量部
・ウレタン会合型増粘剤(粘度:2000、粘度比:3.0ADEKA(株)製、商品名:UH−526) 3.8質量部
・ワックス添加剤1(水系分散液、カルナバワックスとパラフィンワックスの1:9混合物) 10質量部
・離型剤(シリコーン分散液1) 10質量部
・エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX512)
5質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸、第一工業製薬(株)製) 2.5質量部
受容層用塗布液1で用いたバインダー樹脂1は、以下のように調製した。2.5Lオートクレーブ中に脱イオン水600g、塩化ビニル単量体438.8g(全仕込み単量体に対して97.5質量%)、過硫酸カリウム2.25gを仕込んだ。この反応混合物を撹拌翼で回転数120rpmを維持するように撹拌し、反応混合物の温度を60℃に上げて重合を開始した。グリシジルメタクリレート11.2g(全仕込み単量体に対して2.5質量%)を、重合開始〜4hr後まで2.8g/hrで連続添加し、重合圧が60℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.6MPa降下した時に重合を停止して、塩化ビニル系樹脂ラテックスを得た。
受容層用塗布液1で用いたシリコーン分散液1は、以下のように分散させて、水系分散液を調製した。まず、下記の組成となるように、水系溶液1および溶剤系溶液1を調製した。この水系溶液1と溶剤系溶液1とを、混合・撹拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、分散体を調製した。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら減圧下で脱溶剤し、脱溶剤分の体積変化を純水の追添加により補正し、固形分が17%になるように調製して、水系分散液を得た。
水系溶液1の組成
・トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸Na塩(アニオン性乳化剤、固形分10%)
10質量部
・純水 56質量部
溶剤系溶液1の組成
・シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:X−22−3000T) 11質量部
・シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名:KF−410) 6質量部
・酢酸エチル 17質量部
受容層用塗布液1で用いたワックス添加剤1は、以下のように分散させて、水系分散液を調製した。まず、下記の組成となるように、水系溶液2を調製した。この水系溶液2(80質量部)と、加温によって溶融させた以下のワックス1(30質量部)とを、混合・撹拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、分散体を調製した。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら固形分が17%になるように調製して、ワックス添加剤1の水系分散液を得た。
水系溶液2の組成
・トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸Na塩(アニオン性乳化剤、固形分10%)
10質量部
・純水 70質量部
ワックス1の組成
・カルナバワックス(カルナバ1号、(株)加藤洋行製、融点83℃) 3質量部
・パラフィンワックス(Paraffin Wax−155、日本精鑞(株)製、融点69℃) 27質量部
熱転写受像シート2の作製
受容層用塗布液のワックス添加剤として、ワックス添加剤2を使用して受容層用塗布液2を調製した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート2を得た。
ワックス添加剤2の調製
ワックスとして以下のワックス2を使用した以外は、ワックス添加剤1と同様にしてワックス添加剤2の水系分散液を得た。
ワックス2の組成
・カルナバワックス(カルナバ1号、(株)加藤洋行製、融点83℃) 10質量部
・パラフィンワックス(Paraffin Wax−155、日本精鑞(株)製、融点69℃) 20質量部
熱転写受像シート3の作製
受容層用塗布液のワックス添加剤として、ワックス添加剤3を使用して受容層用塗布液3を調製した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート3を得た。
ワックス添加剤3の調製
ワックスとして以下のワックス3を使用した以外は、ワックス添加剤1と同様にしてワックス添加剤3の水系分散液を得た。
ワックス3の組成
・カルナバワックス(カルナバ1号、(株)加藤洋行製、融点83℃) 15質量部
・パラフィンワックス(Paraffin Wax−155、日本精鑞(株)製、融点69℃) 15質量部
熱転写受像シート4の作製
受容層用塗布液のワックス添加剤として、ワックス添加剤4を使用して受容層用塗布液4を調製した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート4を得た。
ワックス添加剤4の調製
ワックスとして以下のワックス4を使用した以外は、ワックス添加剤1と同様にしてワックス添加剤4の水系分散液を得た。
ワックス4の組成
・カルナバワックス(カルナバ1号、(株)加藤洋行製、融点83℃) 20質量部
・パラフィンワックス(Paraffin Wax−155、日本精鑞(株)製、融点69℃) 10質量部
熱転写受像シート5の作製
受容層用塗布液のワックス添加剤として、ワックス添加剤5を使用して受容層用塗布液5を調製した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート5を得た。
ワックス添加剤5の調製
水系溶液として以下の水系溶液3を、ワックスとして以下のワックス5を使用した以外は、ワックス添加剤1と同様にしてワックス添加剤5の水系分散液を得た。
水系溶液3の組成
・トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸Na塩(アニオン性乳化剤、固形分10%)
5質量部
・ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(ノニオン性乳化剤、第一工業製薬(株)製、商品名:ノイゲン XL−140) 5質量部
・純水 70質量部
ワックス5の組成
・カルナバワックス(カルナバ1号、(株)加藤洋行製、融点83℃) 2質量部
・パラフィンワックス(Paraffin Wax−155、日本精鑞(株)製、融点69℃) 28質量部
熱転写受像シート6の作製
受容層用塗布液のワックス添加剤として、ワックス添加剤6を使用して受容層用塗布液6を調製した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート6を得た。
ワックス添加剤6の調製
ワックスとしてパラフィンワックス(Paraffin Wax−155、日本精鑞(株)製、融点69℃)を使用した以外は、ワックス添加剤1と同様にしてワックス添加剤4の水系分散液を得た。
熱転写受像シート7の作製
受容層用塗布液のワックス添加剤として、ワックス添加剤7を使用して受容層用塗布液7を調製した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート7を得た。
ワックス添加剤7の調製
ワックスとしてカルナバワックス(カルナバ1号、東洋アドレ(株)製、融点83℃)を使用した以外は、ワックス添加剤1と同様にしてワックス添加剤7の水系分散液を得た。
熱転写受像シート8の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート8を作製した。
受容層用塗布液8の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系樹脂ラテックス、塩ビ/酢ビ=97.5/2.5):固形分36%)
100質量部
・油溶性シリコーン離型剤(信越化学工業(株)製、商品名:X−22−3000T)
10質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%)
2.5質量部
熱転写受像シート9の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート9を作製した。
受容層用塗布液9の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系樹脂ラテックス、塩ビ/酢ビ=97.5/2.5):固形分36%)
100質量部
・ワックス添加剤2 12質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%)
2.5質量部
熱転写受像シート10の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート10を作製した。
受容層用塗布液10の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系樹脂ラテックス、塩ビ/酢ビ=97.5/2.5):固形分36%)
100質量部
・水性シリコーン離型剤(中京油脂(株)製、商品名:X−22−6696B)
10質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%)
2.5質量部
熱転写受像シート11の作製
受容層用塗布液の組成を下記のとおりにした以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シート11を作製した。
受容層用塗布液11の組成
・バインダー樹脂(塩酢ビ系樹脂ラテックス、塩ビ/酢ビ=97.5/2.5):固形分36%)
100質量部
・ワックス添加剤8(マイクロクリスタリンワックス、中京油脂(株)製、商品名:セロゾールM) 12質量部
・界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液:固形分20%)
2.5質量部
上記で作製した熱転写受像シート1〜11について、(1)画像濃度評価、(2)離型性評価、(3)液安定性評価、および(4)機械安定性評価を行った。
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)と、インクリボン(メガピクセルIII用、アルテックエーディーエス(株)純正品)とを使用して、RGB値が15×n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画し、光学濃度計(グレタグマクベス社製spectrolino)(Ansi−A、D65))による光学反射濃度が最大となる値を測定し、ブラックのOD値(光学的濃度)を示した(max)。また、低濃度部グレー(n=0)のOD値(OD1)と第2ステップ(n=1)のOD値(OD2)との差(ΔOD2−1)からハイライト特性を評価した(HL)。
・評価基準(max)
3:OD値が1.85以上1.90未満であった。
2:OD値が1.80以上1.85未満であった。
1:OD値が1.80未満であった。
・評価基準(HL)
3:ΔOD2−1が0.02未満であった。
2:ΔOD2−1が0.02以上0.03未満であった。
1:ΔOD2−1が0.03以上であった。
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS(株)製、型式:MEGAPIXELIII)およびインクリボン(メガピクセルIII用、アルテックエーディーエス(株)純正品)を用いて、黒ベタ画像を印画して、その際に発生する剥離音を官能評価した。また、同様に、高温高湿環境下40℃85%RH)に結露なきよう3時間放置後、その環境下において黒ベタ画像を印画して、その際に発生する剥離音を官能評価した。
・評価基準
3:3色目印画時にほんのわずかに剥離音が聞こえたが、実用上問題ない程度であった。
2:3色目印画時に大きな剥離音が聞こえ、実用上やや問題があった。
1:印画できなかった。
上記の実施例および比較例で用いた受容層用塗布液1〜10について、一定期間保存後の安定性を目視外観にて評価した。
(i)安定性評価の条件
・保存期間:1日
・保存温度:40℃
・保存状態:静置。
(ii)安定性評価の条件
2:塗布液の粘度が変化しなかった。
1:塗布液の粘度が変化した。
上記の実施例および比較例で用いた受容層用塗布液1〜10について、分散機(高速・乳化分散機、T.K.ホモミクサーMARKII 2.5型(primix(株)製))にて、6000rpmで3分間せん断をかけて、機械安定性を目視外観にて評価した。
・評価基準
2:塗布液の状態に変化がなかった。
1:塗布液が一部ゲル化した。
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)を用いて、0.5mm巾の直線画像(黒色)を印画し、印画物を60℃Freeおよび40℃90%環境に一週間保存したものの、画像にじみを目視にて官能評価した。
・評価基準
3:にじんでいなかった。
2:はっきりと線がにじんでいた。
1:線が完全ににじみ、元が線だと確認できなかった。
11 基材
12 中空層
13 プライマー層
14 受容層
Claims (8)
- 基材と、前記基材上に、中空層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートであって、
前記受容層が、バインダー樹脂と、カルナバワックスとパラフィンワックスの混合物を含むワックス添加剤と、油溶性シリコーン離型剤とを含んでなる、熱転写受像シート。 - 前記カルナバワックスとパラフィンワックスの混合比が、1:0.5〜1:20である、請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 前記カルナバワックスとパラフィンワックスの混合物が、50〜90℃の融点を有する、請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
- 前記シリコーン離型剤が、粘度が100〜10000mm2/sであり、かつエポキシ当量が50〜2000であるエポキシ変性シリコーンを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記バインダー樹脂が、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、および塩酢ビ系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記バインダー樹脂が、60〜110℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 前記基材の前記受容層を有する面側を構成する全ての層が、水系塗布層である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱転写受像シート。
- 基材と、前記基材上に、中空層と、受容層とをこの順に有してなる、熱転写受像シートの製造方法であって、
バインダー樹脂と、カルナバワックスとパラフィンワックスの混合物を含むワックス添加剤と、油溶性シリコーン離型剤とを含んでなる水系分散塗布液を用いて、受容層を形成する工程
を含んでなる、熱転写受像シートの製造方法。
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