JP2008136833A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

【課題】雨天時やラフからのショットの場合にボールのスピン量が大きく低減することを防止し、また、ボールに傷がつくことを低減すること。
【解決手段】フェース面と、前記フェース面に形成された複数のスコアライン溝と、ミーリング加工により前記フェース面に形成された切削跡と、を備え、前記スコアライン溝の一対の側面が、それぞれ、フェース面と連続する第１の面と、前記スコアライン溝の深さ方向に前記第１の面と連続する第２の面と、を有し、前記一対の側面の各々の前記第１の面がなす第１角度が、前記一対の側面の各々の前記第２の面がなす第２角度よりも大きく、前記切削跡の形成により、前記フェース面の表面粗さが、算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上であることを特徴とする。
【選択図】図１

Description

本発明はゴルフクラブヘッドに関するものである。

ゴルフクラブヘッドのフェース面には、マーキングライン、スコアライン或いはフェースライン溝と呼ばれる溝（本書においてはスコアライン溝と称する。）が複数形成されている。スコアライン溝はボールのスピン量に影響する。アイアン型のゴルフクラブヘッド、とりわけウェッジ型のゴルフクラブヘッドの場合には、ボールのスピン量が増大するように、この溝が形成されることが望ましい。

特許文献１にはスコアライン溝の断面形状をＶ字型或いは台形型としたゴルフクラブが開示されている。特許文献２及び３にはスコアライン溝の縁（スコアライン溝の側面とフェース面との境界部分）に丸みをつけたゴルフクラブヘッドが開示されている。この丸みはボールが傷つくこと（ささくれ等）を防止する効果がある。特許文献４及び５にはスコアライン溝の側面を単一の面とせずに、角度が異なる２つの面から構成したゴルフクラブヘッドが開示されている。なお、公式競技用のゴルフクラブヘッドではスコアライン溝の幅や深さにルール上の制約があり、公式競技での用途を考慮した場合には、そのようなルールを満たす範囲での工夫が必要である。

また、ボールのスピン量はフェース面の表面粗さも影響する。特許文献６にはフェース面の表面粗さを４０Ｒａ以上としたゴルフクラブヘッドが開示されている。特許文献７にはフェース面にスコアライン溝とは別に複数の細溝を形成したゴルフクラブヘッドが開示されている。なお、公式競技用のゴルフクラブヘッドでフェース面の表面粗さについてもルール上の制約があり、公式競技での用途を考慮した場合には、そのようなルールを満たす範囲での工夫が必要である。

特開平９−１９９７４号公報 特開平９−７０４５７号公報 特開平１０−１７９８２４号公報 特開２００３−９３５６０号公報 特開２００５−２８７５３４号公報 特開２００５−１６９１２９号公報 特許第３０００９２１号公報

ここで、雨天時やラフからのショットの場合には晴天時やフェアウェイからのショットの場合と比べると、ボールのスピン量が低減する傾向にある。雨天時やラフからのショットの場合にボールのスピン量の低減を防止する方法としては、フェース面のスコアライン溝の容積を大きくすることが挙げられる。スコアライン溝の容積を大きくするとフェース面とボールとが噛んだ草や塵がスコアライン溝内に逃げ易く、また、フェース面の排水性が向上する。

断面形状が方形のスコアライン溝は、スコアライン溝の幅が同じ他の断面形状を有するスコアライン溝と比べると、スコアライン溝の容積が最も大きくなる。しかし、スコアライン溝の縁の角が立つため、ボールが傷つき易くなる。

一方、スコアライン溝の断面形状をＶ字型や台形とすると、方形の場合と比べてボールが傷つくことを低減できる。しかし、スコアライン溝の容積が小さくなり、雨天時やラフからのショットの場合にボールのスピン量が大きく低減する傾向にある。

特許文献４のゴルフクラブヘッドでは、スコアライン溝の容積を拡大しようとすると、スコアライン溝の縁の角が立ち、ボールが傷つき易くなる。特許文献５に記載のゴルフクラブヘッドでは、フェース面におけるスコアライン溝の幅よりもスコアライン溝内部の幅が広いため、加工が容易ではない。更に、スコアライン溝の縁の角が立ち、ボールが傷つき易くなる。特許文献５にはスコアライン溝の縁に丸みをつけることも開示されているが、特許文献５のスコアライン溝のようにスコアライン溝の縁の角度が著しく鋭角である場合、丸みをつけてもボールに傷がつき易い場合がある。特許文献６及び７のゴルフクラブヘッドのように、フェース面の表面粗さを工夫しても、フェース面の排水性が悪いとボールのスピン量は低減する。

本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものである。

本発明によれば、フェース面と、前記フェース面に形成された複数のスコアライン溝と、ミーリング加工により前記フェース面に形成された切削跡と、を備え、前記スコアライン溝の一対の側面が、それぞれ、前記フェース面と連続する第１の面と、前記スコアライン溝の深さ方向に前記第１の面と連続する第２の面と、を有し、前記一対の側面の各々の前記第１の面がなす第１角度が、前記一対の側面の各々の前記第２の面がなす第２角度よりも大きく、前記切削跡の形成により、前記フェース面の表面粗さが、算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上であることを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される。

このゴルフクラブヘッドでは、前記一対の側面の各々の前記第１の面がなす第１角度が、前記一対の側面の各々の前記第２の面がなす第２角度よりも大きく形成される。前記スコアライン溝のうち、前記第１の面の部分は、ボールに傷がつくことを防止することに寄与し、前記第２の面の部分はスコアライン溝の容積確保に寄与する。よって、雨天時やラフからのショットの場合にボールのスピン量が大きく低減することを防止し、また、ボールに傷がつくことを低減することができる。

また、前記切削跡の形成により、前記フェース面の表面粗さを、算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上とすることにより、ボールと前記フェース面との摩擦力を向上し、ボールのスピン量をより多く得られる。

以上述べた通り、本発明によれば、雨天時やラフからのショットの場合にボールのスピン量が大きく低減することを防止し、また、ボールに傷がつくことを低減することができる。

図１は本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドＡの外観図である。同図の例はアイアン型のゴルフクラブヘッドに本発明を適用した例を示す。本発明はボールのスピン量が多いことが要求されるゴルフクラブヘッドに好適であり、特にサンドウェッジ、ピッチングウェッジ、アプローチウェッジ等のウェッジ型のゴルフクラブヘッドに好適である。しかし、本発明はウッド型やユーティリティー型のゴルフクラブヘッドにも適用できる。

ゴルフクラブヘッドＡは、そのフェース面１０に複数のスコアライン溝２０が形成されている。フェース面１０はゴルフボールの打撃面である。本実施形態の場合、各々のスコアライン溝２０はトウ−ヒール方向に延在した直線状の溝であり、各々のスコアライン溝２０の配設間隔（ピッチ）は等間隔（等ピッチ）であり、互いに平行に形成されている。フェース面１０には、また、ミーリング加工により形成された切削跡として、複数の細溝３０が形成されている。

＜スコアライン溝２０＞
図２はスコアライン溝２０近傍の、その長手方向（トウ−ヒール方向）に直交する方向の断面図である。本実施形態において、スコアライン溝２０の断面形状は、その長手方向の両端部を除き、同じである。各々のスコアライン溝２０の断面形状は同じである。

スコアライン溝２０は一対の側面２１及び２２と、底面２３とにより形成されている。本実施形態の場合、スコアライン溝２０の断面形状はその中心線ＣＬについて対称である。スコアライン溝２０の一対の側面２１及び２２は、それぞれ、フェース面１０と連続する第１の面２１ａ及び２２ａと、スコアライン溝２０の深さ方向に第１の面２１ａ及び２２ａと連続する第２の面２１ｂ及び２２ｂと、から構成されている。底面２３はフェース面１０と平行であり、また、第２の面２１ｂ及び２２ｂと連続している。

スコアライン溝２０は底面幅Ｗｂ、深さＤ及び幅Ｗ、を有する。底面幅Ｗｂは底面２３の両端間の距離を意味する。また、深さＤはフェース面１０から底面２３までの距離を意味する。幅Ｗはスコアライン溝２０の長手方向に直交する方向の幅であり、スコアライン溝２０の縁間（第１の面２１ａとフェース面１０との境界部分と、第１の面２２ａとフェース面１０との境界部分との間）の距離を意味する。なお、図３（Ａ）に示すようにスコアライン溝２０の縁に半径ｒの丸みをつける場合は、丸みが始まる点（同図の破線位置）から幅Ｗを測定するものとする。

このような丸みはボールが傷つくこと（ささくれ等）を防止する効果があり、半径ｒは０．０５（ｍｍ）以上、０．３（ｍｍ）以下であることが好ましい。また、ボールのスピン量の点で、更に好ましくは、半径ｒは０．０５（ｍｍ）以上、０．１（ｍｍ）以下である。

本書において、スコアライン溝の幅というときは上記の測定方法による幅Ｗを意味し、競技用ゴルフクラブヘッドのスコアライン溝の幅の測定方法である、いわゆる３０度測定方法（Ｒ＆Ａ規則内規「３０度測定法」）による幅とは区別される。３０度測定法とは図３（Ｃ）に示すようにフェース面１０に対して３０度の傾きを持つ仮想線Ｌがスコアライン溝２０の側面２１及び２２と接する点間をスコアライン溝２０の幅（Ｗｒ）として測定するものである。以下、この３０度測定法で測定した場合の幅をルール上の幅と言う。

図３（Ａ）に示したようにスコアライン溝２０の縁に丸みを設けた場合には、スコアライン溝２０の幅Ｗはルール上の幅Ｗｒと異なる場合がある。スコアライン溝２０の縁に丸みを設けない場合には、スコアライン溝２０の幅Ｗとルール上の幅Ｗｒとは一致する。なお、ルール上の幅Ｗｒは０．９（ｍｍ）以下であることが定められている。また、ルール上、スコアライン溝の深さＤは０．５（ｍｍ）以下である。

図２に戻り、スコアライン溝２０の第１の面２１ａ及び２２ａがなす角度θ１は、第２の面２１ｂ及び２２ｂがなす角度θ２よりも大きい。角度θ１を大きくすればする程、スコアライン溝２０の縁（第１の面２１ａ及び２２ａとフェース面１０との境界部分）の角度が大きくなるため、ボールが傷つくことが防止される。つまり、スコアライン溝２０のうち、第１の面２１ａ及び２２ａの部分は、ボールに傷がつくことを防止することに寄与する。

次に、角度θ２が角度θ１よりも小さいことは、スコアライン溝２０の容積をより大きくすることに寄与する。詳細には、スコアライン溝２０の側面２１及び２２を、傾斜が異なる第１の面２１ａ及び２２ａと第２の面２１ｂ及び２２ｂとから構成することで、スコアライン溝２０の側面２１及び２２を第１の面２１ａ及び２２ａのみで構成した場合と比べて、スコアライン溝２０の底部側の幅を広くできる。これにより、スコアライン溝２０の容積を大きくすることができる。つまり、スコアライン溝２０のうち、第２の面２１ｂ及び２２ｂの部分はスコアライン溝の容積確保に寄与する。

こうして本実施形態のゴルフクラブヘッド１では、雨天時やラフからのショットの場合にボールのスピン量が大きく低減することを防止し、また、ボールに傷がつくことを低減できる。

スコアライン溝２０の容積はスコアライン溝２０の断面積が大きければ大きい程、大きくなる。スコアライン溝２０の断面積の大きさ、換言すれば、スコアライン溝２０の容積の大きさを評価する指標として、本実施形態では以下に述べる断面積比率を提案する。上記の通り、競技用ゴルフクラブヘッドのルール上、深さＤは０．５（ｍｍ）以下である。従って、スコアライン溝２０の縁に丸みがない場合であって、スコアライン溝２０のルール上の幅Ｗｒの場合のスコアライン溝２０の最大断面積は、図３（Ｂ）の右に示すようにＷｒ（ｍｍ）×０．５（ｍｍ）＝０．５・Ｗｒ（ｍｍ²）である。

そこで、この最大断面積に対するスコアライン溝２０の断面積Ｓ（ｍｍ²：図３（Ｂ）の左参照）の断面積比率はスコアライン溝２０の容積の大きさを評価する指標となる。断面積比率は下式（１）で表される。後述するように、この断面積比率は好ましくは７０（％）以上である。
断面積比率（％）＝Ｓ／（Ｗｒ×０．５）×１００ ・・・式（１）
＜スコアライン溝２０の断面形状例＞
図４（Ａ）は図２の例よりも角度θ１を小さくしたものである。図４（Ａ）の例に示すように、角度θ１を小さくすればする程、スコアライン溝２０の断面積は大きくなり、スコアライン溝２０の容積が大きくなる。但し、角度θ１を小さくすればする程、スコアライン溝２０の縁の角度が小さくなり、ボールが傷つき易くなる。この場合は、上述した通り、スコアライン溝２０の縁に丸みを付けることが望ましい。

角度θ１が５０度以下の場合、スコアライン溝２０の縁に丸みを付けることが望ましく、この場合、上述したように丸みの半径ｒは０．０５（ｍｍ）以上、０．３（ｍｍ）以下であることが好ましく、更に、半径ｒは０．０５（ｍｍ）以上、０．１（ｍｍ）以下である。一方、角度θ１が余りにも小さいと、スコアライン溝２０の縁に丸みをつけてもボールが傷つく場合がある。従って、角度θ１は１０度以上であることが望ましい。

次に、図２に示したスコアライン溝２０は底面２３を有するものであったが、底面２３が無いスコアライン溝とすることもできる。但し、底面を設けた方が、スコアライン溝の断面積を大きくし易くなる。図４（Ｂ）は底面の無いスコアライン溝１２０の断面図である。スコアライン溝１２０は底面が無いことを除けばスコアライン溝２０と同様の構成であり、一対の側面１２１及び１２２とにより形成されている。本実施形態の場合、スコアライン溝１２０の断面形状はその中心線ＣＬについて対称である。スコアライン溝１２０の一対の側面１２１及び１２２は、それぞれ、フェース面１０と連続する第１の面１２１ａ及び１２２ａと、スコアライン溝１２０の深さ方向に第１の面１２１ａ及び１２２ａと連続する第２の面１２１ｂ及び１２２ｂと、から構成されている。また、スコアライン溝１２０の第１の面１２１ａ及び１２２ａがなす角度θ１は、第２の面１２１ｂ及び１２２ｂがなす角度θ２よりも大きい。

＜細溝３０＞
図１及び図２を参照して、細溝３０はその断面積がスコアライン溝２０の断面積よりも小さい溝であり、本実施形態の場合、著しく小さく形成されている。本実施形態の場合、各々の細溝３０は円弧線状をなしており、互いに重ならないように形成されている。また、本実施形態の場合、各々の細溝３０は、同じ半径の円の円弧である。なお、本実施形態では、ミーリング加工によりフェース面１０に形成された切削跡として、複数の細溝３０を採用したが、切削跡の形状としてはこれに限られず、種々の形状を採用できる。

図１において、矢印ｄ０は複数の細溝３０の配列方向を示している。本実施形態の場合、上記の通り、各々の細溝３０は同じ半径の円の円弧である。配列方向ｄ０は各々の細溝３０の円弧の円の中心を通る方向として定義される。配列方向ｄ０と、スコアライン溝２０の長手方向とがなす角度θ０は、スコアライン溝２０のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下である。図１に示した細溝３０の場合、角度θ０は約４５度である。

細溝３０を形成するためのミーリング加工は例えばフライス盤を用いて行なうことができる。図５はフライス盤を用いた細溝３０の加工方法を示す図である。フライス盤は鉛直軸Ｚ回りに回転駆動されるスピンドル２を有し、スピンドル２の下端には切削工具（エンドミル）１が取り付けられている。細溝３０が未加工のゴルフクラブヘッドＡはフェース面１０を水平にして冶具３を介してフライス盤に固定される。切削工具１の刃部１ａは、鉛直軸Ｚから距離ｒｔだけ離間している。距離ｒｔは細溝３０の円弧の円の半径となる。

図６は細溝３０のミーリング加工時の切削工具１の移動軌跡を示す平面視図である。切削工具１とゴルフクラブヘッドＡとの相対移動方向（水平方向）は、細溝３０の配列方向ｄ０と一致する。切削工具１をゴルフクラブヘッドＡに対して、相対的に、配列方向ｄ０に移動しながら、フェース面１０を切削工具１で切削することにより、複数の細溝３０が形成される。各々の細溝３０の円弧の円の中心、すなわち、鉛直軸Ｚの位置は配列方向ｄ０を通過する。従って、配列方向ｄ０は各々の細溝３０の円弧の円の中心を通る方向となる。切削工具１によるフェース面１０の切り込み深さ、切削工具１の相対移動速度により、細溝３０の深さ及び幅、ピッチが調節される。

このようなミーリング加工により、本実施形態では、フェース面１０の表面粗さを算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上とする。フェース面１０の表面粗さを算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上とすることで、フェース面１０を鏡面加工とした場合と比べて、その表面粗さ粗くなる。フェース面１０の表面粗さが粗くなることで、ボールとフェース面１０との摩擦力が向上し、ラフからのショットの場合においてもボールにスピンがかかり易くなる。フェース面１０の表面粗さが粗い程ボールにスピンがかかり易くなるが、ボールに傷がつきやすくなる。

従って、フェース面１０のうち、細溝３０を形成した部分の表面粗さは、算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上４．５７μｍ以下であることが望ましい。また、最大高さ（Ｒｙ）で言えば２５μｍ以下であることが望ましい。フェース面１０の表面粗さをこの数値範囲内とすれば、公式競技用のゴルフクラブヘッドのフェース面の表面粗さに関する規定も満たされる。

上述した通り、スコアライン溝２０の角度θ１を大きくすればする程、ボールが傷つくことが防止されるが、ボールのスピン量は低減する。一方、フェース面１０の表面粗さを算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上とすることで、ラフからのショットの場合においてもボールのスピン量は向上する。従って、フェース面１０の表面粗さを算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上とすることで、スコアライン溝２０の角度θ１をより大きくすることができる。

つまり、スコアライン溝２０の角度θ１とフェース面１０の表面粗さとの調整により、ボールが傷つくことを防止しながらボールのスピン量を向上できる。更に、本実施形態では上述した通りスコアライン溝２０によりフェース面１０の排水性が向上し、また、フェース面１０とボールとが噛んだ草や塵がスコアライン溝２０内に逃げ易くなっている。従って、雨天時やラフからのショットの場合に、フェース面１０の摩擦係数が大きく減少せず、ボールにスピンがかかり易くなる。従って、晴天時にフェアウエーからショットした場合のボールのスピン量と、雨天時やラフからショットした場合のボールのスピン量と、の差を減少することができる。

次に、本実施形態では、複数の細溝３０の配列方向ｄ０とスコアライン溝２０とがなす角度θ０を、４０度以上７０度以下としたことにより、フェース面１０を開いてゴルフクラブヘッドＡを装着したゴルフクラブを使用する場合に、ボールにスピンがかかり易くなり、スピン量をより多く得られる。これを図７（Ａ）及び（Ｂ）を参照して説明する。

図７（Ａ）はフェース面１０をターゲット方向に直角に向けた場合を示し、図７（Ｂ）はフェース面１０を開いた場合を示している。なお、図７（Ａ）及び図７（Ｂ）において細溝３０は図示省略されている。また、図７（Ａ）及び図７（Ｂ）において、矢印は打撃時のフェース面１０に対するボールの相対移動方向を示す。

本実施形態では、複数の細溝３０を設けたことにより、図７（Ａ）及び（Ｂ）のいずれの場合においてもボールにスピンがかかり易くなる。ここで、図７（Ｂ）に示すように、フェース面１０を開いた場合には、打撃時にボールはスコアライン溝２０を斜めに横切るようにしてフェース面１０上を摺動することになる。

本実施形態では、複数の細溝３０の配列方向ｄ０とスコアライン溝２０とがなす角度θ０を４０度以上７０度以下としたことにより、図７（Ｂ）に示すように、フェース面１０を開いた場合に、ボールが摺動する細溝３０の数がより多くなる。換言すれば、ボールの相対移動方向と細溝３０との角度が直角に近くなる。従って、ボールにスピンがかかり易くなり、スピン量をより多く得られる。

なお、本実施形態では細溝３０の形状を円弧線状としたが直線状としてもよい。図８は細溝の他の形状例を示すゴルフクラブヘッドＡの外観図である。図８の例は複数の細溝４０が直線状をなしている点以外は図１の例と同じである。

複数の細溝４０は互いに平行に形成されている。本実施形態のように、複数の細溝４０を直線状とした場合、その配列方向ｄ０'は各々の細溝４０と直交する方向として定義される。配列方向ｄ０'と、スコアライン溝２０の長手方向とがなす角度θ０'は、スコアライン溝２０のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下である。

このように、細溝４０を直線状とした構成の場合も、ボールにスピンがかかり易くなり、特に、フェース面１０を開いた場合にボールにスピンがかかり易くなり、スピン量をより多く得られる。

＜スコアライン溝の評価実験＞
図１０はスコアライン溝の仕様が異なるゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９について、ボールの損傷度（ささくれ度）とスピン量とを測定した実験の結果を示す。ゴルフクラブヘッドはいずれもロフト角５６度のサンドウエッジであり、フェース面にはミーリング加工を施していないものである。

実験はゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９をそれぞれ装着したゴルフクラブを使用し、ロボットマシーンにて未使用のボールを打つことにより行なった。サンドウェッジのヘッドスピードは４０ｍ／ｓである。また、晴天時でのショットの場合と雨天時及びラフからのショットの場合とを想定して、フェース面が乾いた場合（ドライ）、フェース面を水で濡れた薄い紙で覆った場合（ウェット）についてそれぞれ１０発ずつボールを打つことにした。

図１０において、「スコアライン溝の仕様」はゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９の各スコアライン溝の仕様を示す。「断面形状」はゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９の各スコアライン溝の断面形状を示す。ゴルフクラブヘッド＃１乃至＃３の「側面単一（台形）」とは図９（Ａ）に示されるスコアライン溝２２０の断面形状を意味する。スコアライン溝２２０の断面形状はその中心線について左右対称である。角度θ１は側面２２１と側面２２２とがなす角度であり、側面２２１と側面２２２とは途中で角度が変化しない単一の面である。深さＤはフェース面１０から底面２２３までの距離であり、スコアライン溝２２０の幅Ｗはスコアライン溝２２０の縁間の距離を意味する。

なお、ゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１７はいずれもスコアライン溝の縁に丸みを付けていないものであり（丸みの半径ｒ＝０）、従って、いずれの場合においても幅Ｗはルール上の幅Ｗｒに一致し、かつ、図１０に示すように０．９（ｍｍ）としている。一方、ゴルフクラブヘッド＃１８及び＃１９はいずれもスコアライン溝の縁に丸みをつけており（丸みの半径ｒ＝０．２）、幅Ｗとルール上の幅Ｗｒは一致していない。但し、ゴルフクラブヘッド＃１８及び＃１９のルール上の幅Ｗｒはいずれも０．９（ｍｍ）以下である。

ゴルフクラブヘッド＃４及び＃５の「側面単一（Ｖ字形）」とは図９（Ｂ）に示されるスコアライン溝３２０の断面形状を意味し、スコアライン溝３２０はその中心線について左右対称である。角度θ１は側面３２１と側面３２２とがなす角度であり、側面３２１と側面３２２とは途中で角度が変化しない単一の面である。深さＤはフェース面１０から側面３２１及び３２２の交点までの距離である。スコアライン溝３２０の幅Ｗはスコアライン溝３２０の縁間の距離を意味する。

ゴルフクラブヘッド＃１１乃至＃１４及び＃１６乃至＃１９の「側面２段（底面あり）」とは図２及び図４（Ａ）に示した断面形状を意味する。ゴルフクラブヘッド＃１５の「側面２段（底面なし）」とは図４（Ｂ）に示した断面形状を意味する。つまり、ゴルフクラブヘッド＃１１乃至＃１９は本発明の一実施形態に係る上記のスコアライン溝２０又はスコアライン溝１２０を採用したものである。

図１０の「角度θ１」、「角度θ２」、「幅Ｗ」、及び「溝深さＤ」は、それぞれ図２、図３及び図４（Ａ）及び（Ｂ）に示される符号に対応する寸法である。なお、「溝深さＤ」はルール上の溝深さの最大値である０．５（ｍｍ）である。「断面積Ｓ」は各スコアライン溝の断面積である。「断面積比率」は上記式（１）により算出される。図１０の「ピッチ」はスコアライン溝の間隔であり、ゴルフクラブヘッド＃１８以外はいずれも３．６０ｍｍである。

次に、「実験結果」のうち、「ささくれ度」はフェース面がドライの場合において、ショット後のボールの表面の荒れ具合を３人の評価者が目視及び触感にて観察し、１０段階で評価したものである。この実験において最もボールの表面が荒れたものを１０とし、最も荒れていないものを１とした。「スピン量」はボールの表面にマークを予め付したおき、インパクト時のボールをビデオカメラで撮影してマークの位置の変化により算出したものである。ドライ、ウェットそれぞれについて１０発のショットの平均値である。

図１１（Ａ）は図１０の実験結果を「角度θ１」−「ささくれ度」の関係でグラフ化したものである。角度θ１が小さいことはスコアライン溝の縁の角度が小さいことを意味し、角度θ１が大きいことはスコアライン溝の縁が大きいことを意味する。ゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９が同様の傾向を示しており、角度θ１が小さい程、ボール表面の荒れ具合が強く、角度θ１が大きい程、ボール表面の荒れ具合が弱い。一方、スコアライン溝の縁に丸みを付けたゴルフクラブヘッド＃１８及び＃１９では、角度θ１が略同じであるゴルフクラブヘッド＃２及び＃６と比べると、ささくれ度が小さい。これはスコアライン溝の縁に丸みを付けることが、ボールの傷つきを防止する効果があることを示している。

「ささくれ度」が８以上であると、実用上、数ホール連続して使用することが難しい程度のボール表面の荒れ具合である。従って、スコアライン溝の縁に丸みをつけない場合には、角度θ１は５０度以上であることが望ましい。

図１１（Ｂ）は図１０の実験結果を、ドライとウェットに分けて「角度θ１」−「スピン量」の関係でグラフ化したものである。ドライの場合ではゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９が同様の傾向を示している。この実験結果ではドライの場合では角度θ１に対してスピン量の大きな変化は見られない。ウェットの場合では角度θ１に対してスピン量の変化が見られるが、全体的な傾向として、ゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５よりもゴルフクラブヘッド＃１１乃至＃１９の方がスピン量の低下が小さいことが分かる。

角度θ１が６０度であるゴルフクラブヘッド＃１２及び角度θ１が９０度であるゴルフクラブヘッド＃１４については、角度θ１が同じく６０度、９０度であるゴルフクラブヘッド＃３及び＃４よりもスピン量の低下が抑制されている。これは断面積Ｓの差が効いているものと推定される。つまり、「側面２段」であるゴルフクラブヘッド＃１１乃至＃１９の方が、同じ角度θ１の場合に、より断面積を大きくできるので、スコアライン溝への水分の逃げ量が大きくなりスピン量の低下が抑制されていると考えられる。一方、ゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５とゴルフクラブヘッド＃１１乃至＃１９との差は角度θ１が１００度を越えると大差なくなっている。従って、ゴルフクラブヘッド＃１１乃至＃１９のように、「側面２段」とした場合、角度θ１は１００度以下であることが望ましい。

角度θ１が略３０度であるゴルフクラブヘッド＃２、ゴルフクラブヘッド＃１１、＃１８及び＃１９ではいずれもウェット時のスピン量の低下が小さい。このうち、ゴルフクラブヘッド＃１８が最もスピン量の低下が小さいが、これはゴルフクラブヘッド＃１８のスコアライン溝のピッチがゴルフクラブヘッド＃２、ゴルフクラブヘッド＃１１及び＃１９よりも小さいことも影響していると考えられる。ゴルフクラブヘッド＃１９はゴルフクラブヘッド＃１８の次にスピン量の低下が小さい。これは、幅Ｗがゴルフクラブヘッド＃２及びゴルフクラブヘッド＃１１よりも大きいことも影響していると考えられる。

図１１（Ｃ）は図１０の実験結果を、ウエット時について「断面積比率」−「スピン量」の関係でグラフ化したものである。ゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９が同様の傾向を示しており、ウェット時のスピン量と断面積比率とは相関関係がある。断面積比率が７０（％）を超えるあたりからプロット線の傾きが大きくなり、ウエット時のスピン量の向上が見られる。断面積比率が８０（％）を超えるあたりからは、プロット線の傾きが更に大きくなっている。従って、ゴルフクラブヘッド＃１１乃至＃１９のように、「側面２段」とした場合、断面積比率は７０（％）以上であることが望ましく、更に望ましくは８０（％）以上である。

ゴルフクラブヘッド＃１１乃至＃１９のように「側面２段」とした場合において、断面積比率を８０（％）以上とする場合、スコアライン溝の設計上、角度θ１が５０度を越えると、その実現が難しくなる。従って、断面積比率を８０（％）以上とする場合は、角度θ１を５０度以下とすることが望ましい。この場合、「ささくれ度」の観点から、スコアライン溝の縁に丸みをつけることが望ましく、更に、角度θ１を１０度以上とすることが望ましい。

以上の実験結果を踏まえると、図２に示したスコアライン溝２０において、スコアライン溝２０の縁に丸みをつけない場合は、角度θ１は５０度以上１００度以下、断面積比率は７０％以上であることが望ましい。角度θ２を３０度以下とすると、設計上、断面積比率を７０％以上とし易く、従って、角度θ２は３０度以下とすることが好ましい。

一方、断面積比率として８０％以上を達成するとウェット時のスピン量の低減が更に防止されるが、この場合は、角度θ１は１０度以上５０度以下とし、スコアライン溝２０の縁に丸みをつけることが望ましい。また、角度θ２を３０度以下とすると、設計上、断面積比率を８０％以上とし易く、従って、角度θ２は３０度以下とすることが好ましく、更に好ましくは１５度以下である。

上記の実験結果ではルール上の幅Ｗｒが０．９（ｍｍ）以下となるようにスコアライン溝の仕様を設定とした。本発明のゴルフクラブヘッドを公式競技に用いる場合、ルール上の幅Ｗｒは０．９（ｍｍ）以下とする必要がある。しかし、ルール上の幅Ｗｒを余り狭くするとスコアライン溝の断面積も狭くなる。従って、本発明のゴルフクラブヘッドのスコアライン溝の、ルール上の幅Ｗｒは０．６（ｍｍ）以上０．９（ｍｍ）以下であることが好ましい。

＜細溝の評価実験＞
図１２は細溝の仕様が異なるゴルフクラブヘッド＃２１、＃２２及び＃３１乃至＃３７について、ボールのスピン量を測定した実験の結果を示す。ゴルフクラブヘッド＃２１、＃２２及び＃３１乃至＃３７はいずれもロフト角が５６度のサンドウエッジであり、図１に示した円弧状の細溝３０をミーリング加工によりフェース面に施したものである。また、スコアライン溝の仕様については共通とし、図９に示した断面形状が台形のものとした。

ゴルフクラブヘッド＃２１、＃２２及び＃３１乃至＃３７のいずれにおいても、細溝３０のミーリング加工においては、半径（図５のｒｔ）が３７．５ｍｍの切削工具を用いた。

図１２において「θ０」は図１に示したθ０であり、細溝３０の配列方向（図１のｄ０）とスコアライン溝とがなす角度である。「Ｒａ」はフェース面のうち、細溝を形成した部分の表面粗さ（算術平均粗さ）の実測値である。

図１２において「スピン量」はボールのスピン量を示す。ボールのスピン量はボールの表面にマークを予め付したおき、インパクト時のボールをビデオカメラで撮影してマークの位置の変化により算出したものである。

実験は、ゴルフクラブヘッド＃２１、＃２２及び＃３１乃至＃３７をそれぞれ装着したゴルフクラブを用いて、３人の試験者がラフから４０ヤード先の目標を狙ってボールを打つことにより行なった。３人の試験者は、フェース面を目標方向に直角とした場合、フェース面を開いた場合で、それぞれ５球ずつボールを打った。なお、フェース面を開く角度は試験者の自由とした。

図１２の「スピン量」のうち、「ノーマル」はフェース面を目標方向に直角とした場合のボールのスピン量の平均値、「オープン」はフェース面を開いた場合のボールのスピン量の平均値である。

図１３（Ａ）は図１２の実験結果を「スピン量」−「Ｒａ」の関係でグラフ化したものである。「ノーマル」の場合、「オープン」の場合のいずれの場合でも、フェース面の表面粗さが粗い程、ボールのスピン量が増加していることが分かる。また、「Ｒａ」が４μｍ近傍からプロット線の傾きが大きくなり、スピン量が特に増加していることから、フェース面の表面粗さ「Ｒａ」は４μｍ以上であることが望ましいと言える。但し、上述した通り、フェース面の表面粗さが粗い程、ボールに傷がつきやすくなることや、公式競技用のゴルフクラブヘッドのフェース面の表面粗さに関する規定を考慮すると、フェース面の表面粗さ「Ｒａ」は４．００μｍ以上４．５７μｍ以下であることが望ましいと言える。

図１３（Ｂ）はゴルフクラブヘッド＃２１、＃２２及び＃３５乃至＃３７について、図１２の実験結果を「スピン量」−「θ０」の関係でグラフ化した図である。なお、ゴルフクラブヘッド＃２１、＃２２及び＃３５乃至＃３７はフェース面の表面粗さが同じである（Ｒａ：４．４μｍ）。

「ノーマル」の場合、「オープン」の場合のいずれの場合でも、θ０が０度から５５度近傍まではスピン量が増加し、５５度近傍を超えるとスピン量が低下していることが分かる。５５度近傍を中心としてθ０が３０度程度〜８０度程度の範囲では、「オープン」の場合に７０００ｒｐｍ以上のスピン量が得られており、θ０が４０度以上７０度以下であると「オープン」の場合のボールのスピン量を十分に得られると言える。

本発明の実施例と比較例とについてボールのスピン量の評価実験を行なった。図１４（Ａ）は本発明の実施例と比較例１乃至３との仕様を示す図、図１４（Ｂ）は本発明の実施例と比較例１乃至３との実験の結果を示す図である。実施例及び比較例１乃至３はいずれもロフト角が５６度のサンドウエッジである。

図１４（Ａ）において、「スコアライン溝の仕様」の各項目の意味は図１０の各項目と同じである。実施例及び比較例３のスコアライン溝の断面形状は、図２及び図４（Ａ）に示した断面形状である。比較例１及び比較例３のスコアライン溝の断面形状は図９（Ａ）に示した断面形状である。

図１４（Ａ）において、「ミーリング加工」はフェース面のミーリング加工の有無を意味する。実施例及び比較例２は図１に示した円弧状の細溝３０をミーリング加工によりフェース面に施したものである。細溝３０のミーリング加工においては、半径（図５のｒｔ）が３７．５ｍｍの切削工具を用いた。比較例１及び比較例３のフェース面にはミーリング加工を施していない。図１４（Ａ）の「Ｒａ」は、フェース面の表面粗さ（算術平均粗さ）の実測値である。

まとめると、比較例１と比較例２とは、「スコアライン溝の仕様」が共通するが、フェース面の表面粗さが異なる。比較例３と実施例とは「スコアライン溝の仕様」が共通するが、フェース面の表面粗さが異なる。比較例２と実施例とはフェース面の表面粗さが同じであるが、「スコアライン溝の仕様」が異なる。

実験は、実施例及び比較例１乃至３の各ゴルフクラブヘッドをそれぞれ装着したゴルフクラブを用いて、３人の試験者がラフから４０ヤード先の目標を狙ってボールを打つことにより行なった。３人の試験者は、フェアウェイからと、ラフからとで、それぞれ５球ずつボールを打った。

図１４（Ｂ）において、「ささくれ度」はフェアウェイからのショットについて、ショット後のボールの表面の荒れ具合を３人の試験者が目視及び触感にて観察し、４段階で評価したものである。×→△→○→◎の順に、ボールの表面の荒れ具合が弱いことを意味する。

図１４（Ｂ）において、「スピン量」はボールのスピン量を示す。ボールのスピン量はボールの表面にマークを予め付したおき、インパクト時のボールをビデオカメラで撮影してマークの位置の変化により算出したものである。図１４（Ｂ）の「スピン量」のうち、「フェアウェイ」はフェアウェイからボールを打った場合のボールのスピン量の平均値、「ラフ」はラフからボールを打った場合のボールのスピン量のの平均値である。

「ささくれ度」について着目すると、比較例３及び実施例はボールの表面の荒れ具合が弱く、比較例１及び比較例２はボールの荒れ具合が強い。これは、「スコアライン溝の仕様」に起因すると考えられる。図１４（Ａ）に示すように、比較例１及び比較例２の「角度θ１」は、比較例３及び実施例の「角度θ１」よりも小さく、スコアライン溝の縁が立っている。加えて、比較例３及び実施例にはスコアライン溝の縁に丸み（半径０．２ｍｍ）が付されているが、比較例１及び比較例２のスコアライン溝の縁には丸みが付されていない。

また、比較例１と比較例２との比較では比較例２の方がボールの荒れ具合が強く、また、実施例と比較例３との比較では実施例の方がボールの荒れ具合が強い。これはミーリング加工の有無に起因すると考えられる。

次に、「スピン量」に着目する。図１５は、図１４（Ｂ）の実験結果のうち、スピン量についてグラフ化した図である。実施例と比較例１乃至３とで、フェアウェイからのショットの場合には大差がない。一方、ラフからのショットの場合には差がある。

実施例及び比較例１乃至３の中で、実施例がフェアウエイからのショットの場合とラフからのショットの場合とでスピン量の差が最も小さいことが分かる。比較例３と実施例とは「スコアライン溝の仕様」は共通しているが、ラフからのショットの場合にボールのスピン量に大きな差が生じている。従って、ミーリング加工の有無が影響しているものと言える。

「ささくれ度」と「スピン量」とを総合的に評価すると、比較例１及び比較例２は「ささくれ度」の点で比較例３及び実施例に劣る。比較例３は「ささくれ度」が最も優れているが、その反面、ラフからのショットの場合のスピン量の減少が大きい。従って、実施例が最も優れていると言える。

本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドＡの外観図である。 スコアライン溝２０近傍の、その長手方向（トウ−ヒール方向）に直交する方向の断面図である。 （Ａ）はスコアライン溝２０の縁に丸みを設けた場合の説明図、（Ｂ）は断面積比率の説明図、（Ｃ）は３０度測定法の説明図である。 （Ａ）及び（Ｂ）はスコアライン溝の断面形状例を示す断面図である。 フライス盤を用いた細溝３０の加工方法を示す図である。 細溝３０のミーリング加工時の切削工具１の移動軌跡を示す平面視図である。 （Ａ）はフェース面１０をターゲット方向に直角に向けた場合を示す図であり、（Ｂ）はフェース面１０を開いた場合を示す図である。 細溝の他の形状例を示す図である。 （Ａ）及び（Ｂ）はゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５のスコアライン溝の断面図である。 スコアライン溝の仕様が異なるゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９について、ボールの損傷度（ささくれ度）とスピン量とを測定した実験の結果を示す図である。 （Ａ）乃至（Ｃ）はゴルフクラブヘッド＃１乃至＃５及び＃１１乃至＃１９の実験結果を示す図である。 細溝の仕様が異なるゴルフクラブヘッド＃２１、＃２２及び＃３１乃至＃３７について、ボールのスピン量を測定した実験の結果を示す図である。 （Ａ）は図１２の実験結果を「スピン量」−「Ｒａ」の関係でグラフ化した図、（Ｂ）は図１２の実験結果を「スピン量」−「θ０」の関係でグラフ化した図である。 （Ａ）は本発明の実施例と比較例１乃至３との仕様を示す図、（Ｂ）は本発明の実施例と比較例１乃至３との実験の結果を示す図である。 図１４（Ｂ）の実験結果のうち、スピン量についてグラフ化した図である。

符号の説明

Ａ ゴルフクラブヘッド
１０ フェース面
２０ スコアライン溝
３０ 細溝

Claims (10)

1. フェース面と、
   前記フェース面に形成された複数のスコアライン溝と、
   ミーリング加工により前記フェース面に形成された切削跡と、を備え、
   前記スコアライン溝の一対の側面が、それぞれ、
   前記フェース面と連続する第１の面と、
   前記スコアライン溝の深さ方向に前記第１の面と連続する第２の面と、
   を有し、
   前記一対の側面の各々の前記第１の面がなす第１角度が、前記一対の側面の各々の前記第２の面がなす第２角度よりも大きく、
   前記切削跡の形成により、前記フェース面の表面粗さが、算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 前記切削跡の形成により、前記フェース面の表面粗さが、算術平均粗さ（Ｒａ）で４．００μｍ以上４．５７μｍ以下であることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
3. 前記切削跡が複数の細溝であり、
   前記複数の細溝の配列方向と前記スコアライン溝とがなす角度が、前記スコアライン溝のトウ側から時計回りに見て４０度以上７０度以下であることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
4. 各々の前記細溝が円弧線状をなし、
   前記配列方向が、各々の前記細溝の前記円弧の円の中心を通る方向であることを特徴とする請求項３に記載のゴルフクラブヘッド。
5. 前記スコアライン溝が、前記一対の側面と、底面とを有し、
   前記スコアライン溝の、３０度測定法により測定した幅Ｗｒ（ｍｍ）、及び、前記スコアライン溝の断面積Ｓ（ｍｍ²）が、
   Ｓ／（Ｗｒ×０．５）×１００≧７０（％）
   であることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
6. 前記第１角度が５０度以上１００度以下であることを特徴とする請求項５に記載のゴルフクラブヘッド。
7. 前記第２角度が３０度以下であることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
8. 前記第１の面と前記フェース面との境界部分に、半径０．３（ｍｍ）以下の丸みが付けられていることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
9. 前記第１角度が１０度以上５０度以下であり、
   前記第１の面と前記フェース面との境界部分に、半径０．０５ｍｍ以上０．３ｍｍ以下の丸みが付けられていることを特徴とする請求項５に記載のゴルフクラブヘッド。
10. 前記幅Ｗｒ（ｍｍ）及び前記断面積Ｓ（ｍｍ²）が、
    Ｓ／（Ｗｒ×０．５）×１００≧８０（％）
    であることを特徴とする請求項９に記載のゴルフクラブヘッド。

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