JP2001170227A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】金属製のゴルフクラブヘッドにおいて、その打
球感をソフトにすると共に、打球時の衝撃によって割れ
にくい構成のゴルフクラブヘッドを提供することを目的
とする。 【解決手段】本発明のゴルフクラブヘッドは、金属製の
フェース１２を有し、このフェースの打球面側にスコア
ライン１２ａを形成し、フェースの裏面に複数の凹状溝
１２ｂを形成しており、凹状溝１２ｂは、スコアライン
１２ａに対し交差する方向に形成されていることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフクラブヘッ
ドに関し、詳細には、金属製のゴルフクラブヘッドに関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、金属製のゴルフクラブヘッド
は、合成樹脂製や木製等のゴルフクラブヘッドに比べて
打球感が硬く、いわゆる「ソフトな打球感」が得にくい
ものとなっている。また、ヘッドの大型化に伴ってボデ
ィやフェースの肉厚が薄くなりつつある近年の金属製ゴ
ルフクラブヘッドにおける打球感は、ソフトになってき
てはいるものの、十分な満足感が得られるに至っていな
い。

【０００３】特開平４−２１２３８７号には、金属製の
ゴルフクラブヘッドに関し、フェースの裏面に所定間隔
をおいて溝を形成することにより、その打球感をソフト
にしようとする技術が開示されている。この溝は、フェ
ース表面に形成されたスコアライン（トウ・ヒール方向
に水平に形成されている）に沿うと共に、スコアライン
対して半ピッチずれて形成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フェー
スの裏面に所定間隔をおいて形成された溝は、フェース
表面に形成されているスコアラインの方向と一致してお
り、かつフェースの長手方向（トウ・ヒール方向）に沿
っていることから、打球の衝撃でひび割れ（亀裂）が生
じやすい。具体的には、打球の衝撃によってフェースが
撓むと、圧縮側（表面）よりも引張側（裏面）において
亀裂が生じやすく、このような亀裂は裏面側に形成され
た溝に沿って生じることとなる。そして、このような亀
裂は、フェースの薄肉化が進むとより生じやすくなると
考えられる。

【０００５】この発明は、上記した問題点に着目してな
されたものであり、金属製のゴルフクラブヘッドにおい
て、その打球感をソフトにすると共に、打球時の衝撃に
よってひび割れ等が生じにくい構成のゴルフクラブヘッ
ドを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、金属製フェースを有し、該フェースの打
球面側にスコアラインを形成し、フェースの裏面に複数
の凹状溝を形成したゴルフクラブヘッドにおいて、前記
凹状溝を、スコアラインに対し交差する方向に形成した
ことを特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るゴルフクラブ
ヘッド（以下、ヘッドと称する）の実施の形態について
説明する。図１は、本実施の形態に係るヘッド（ウッド
タイプ）を装着したゴルフクラブを示す図である。ゴル
フクラブ１は、ヘッド１０と、ヘッド１０に装着され、
グリップ２０ａが固着されたシャフト２０とを備えてい
る。

【０００８】図２〜図４に示すように、ヘッド１０は、
トップ１０ａ、ソール１０ｂ、およびトウ１０ｃ、バッ
ク１０ｄ、ヒール１０ｅからなるサイド、並びにフェー
ス１２を有している。

【０００９】この実施の形態では、フェース１２を除く
部分（ボディ）は、チタン、チタン合金等の金属を用い
て、鋳造によって一体的に形成されている。そして、ボ
ディは、その開口端面に、溶接剤１１によってフェース
１２を止着した際、ヘッド全体の容積が２５０ｃｃ以上
となるように形成されている。このため、フェース１２
は、その高さが４０ｍｍ以上に形成されている。なお、
ボディは、トップ１０ａ、ソール１０ｂ、トウ１０ｃ、
バック１０ｄ、ヒール１０ｅの各外殻部材を、鋳造、プ
レス、鍛造等によって、独立に、あるいは任意の部材同
士を一体化し、これらを相互に溶着することで形成して
も良い。

【００１０】前記ヘッド１０には、トップ１０ａから突
出するようにホーゼル１５が設けられており、そのシャ
フト止着孔１５ａに前記シャフト２０が挿入されて止着
される。

【００１１】前記フェース１２は、チタン、チタン合金
（例えば、Ｔｉ−１５Ｍｏ−５Ｚｒ−３Ａｌ、Ｔｉ−２
２Ｖ−４Ａｌ、Ｔｉ−１５Ｖ−３Ｃｒ−３Ａｌ−３Ｓ
ｎ）等の金属によって形成されている。この場合、フェ
ース１２の打球面側（表面側）には、トウ・ヒール方向
に沿って、所定間隔をおいてスコアライン１２ａが形成
されている。また、フェース１２の裏面側には、スコア
ラインに対して交差する方向に、所定間隔をおいて複数
の凹状の溝１２ｂが平行となるように形成されている。
なお、複数の凹状溝は平行でなくても良い。

【００１２】この実施の形態では、各凹状の溝１２ｂ
は、トップ・ヒール側（図２の右上側）からソール・ト
ウ側（図２の左下側）に、スコアライン１２ａに対して
傾斜するように形成されている。この場合、スコアライ
ンに対する傾斜角度については限定されることはない
が、２０〜７０°、好ましくは、４０〜５０°程度の角
度に形成するのが良い。

【００１３】また、凹状の溝１２ｂの深さは、フェース
１２の耐久性、製造のしやすさ、金型の耐久性等を考慮
して、１ｍｍ以下、好ましくは０．５ｍｍ以下にするの
が良い。また、その断面形状は、図５に示すような矩形
の他、半円、三角形状等に形成しても良い。又、スコア
ラインは、トウ・ヒール方向に連続的に形成したものの
他に、断続的に形成したものでも良い。さらに、ディン
プル形状のように方向性のない凹部を並列させたもので
も良い。

【００１４】上記したような凹状溝を有するフェース
は、まず、上述した金属を、圧延機を用いて平板状に成
形し、この平板からフェース形状にプレスで打ち抜いた
後に、フェースのバルジロールを形成するためにプレス
する際に一体的に形成することができる。又、凹状溝の
形成は、バルジロールを形成するためのプレスと一体的
に行わなくても良く、例えば、フェース形状の平板にス
コアラインを打刻や彫刻等で形成した後、フェース裏面
にプレスで凹状溝を設け、さらにプレスでバルジロール
を形成しても良い。このように凹状溝をプレスで形成す
ることにより、凹状溝部分は、他の部分よりも密度が高
くなった状態で薄肉化されることとなり、その凹状溝に
よってソフトな打球感を実現しながら、凹状溝部分での
強度低下を防止してひび割れ等を効果的に抑制すること
ができる。なお、凹状溝を有するフェースは、例えば鋳
造によって一体的に形成することも可能である。

【００１５】フェース１２を、圧延機によって圧延され
た平板状の板材から、プレスによって形成する場合、そ
の圧延方向は、図２、図４の矢印で示すように、スコア
ライン１２ａや凹状溝１２ｂと交差する方向にすること
が好ましい。これは、圧延方向に沿って金属の組織が配
列するため、圧延方向に沿って比較的ひび割れ等が生じ
やすいからである。したがって、そのような圧延方向
は、フェースとしてひび割れが生じやすい方向、すなわ
ちスコアラインや凹状溝が形成される方向と一致しない
トップ・ソール方向にすることが好ましい。

【００１６】また、上記のように構成されたフェース
は、ソフトな打球感が有効に得られるように、その厚さ
Ｔ（スコアラインや凹状の溝が無い部分での厚さ）は３
ｍｍ以下に形成することが好ましい。

【００１７】次に、上述したフェースの別の実施形態に
ついて説明する。上述した実施の形態では、フェース１
２の圧延方向は、トップ・ソール方向としていたが、図
６に示すように、フェース１２の裏面に形成された凹状
溝１２ｂと直交する方向にしても良い。通常、フェース
のひび割れ等は、打球した際に引張応力が加わる裏面側
から生じるケースが多い。このため、フェースの圧延方
向を、最初にひび割れが生じやすい凹状溝１２ｂに対し
て、直交する方向にすることによって効果的に補強効果
が得られるようになる。

【００１８】また、上述した実施の形態では、凹状溝１
２ｂは、トップ・ヒール側からソール・トウ側に形成さ
れていたが、図７に示すように、スコアライン１２ａと
交差するのであれば、トップ・トウ側からソール・ヒー
ル側に形成しても良い。

【００１９】また、フェースの裏面に形成される複数の
凹状溝は、それぞれ直線状に形成されていたが、図８に
示すように、間隔をおいて曲線状の凹状溝１２ｃを形成
しても良い。あるいは、直線状の凹状溝と曲線状の凹状
溝を組み合わせて形成しても良い。

【００２０】さらに、上述した実施の形態では、凹状溝
１２ｂ，１２ｃは、連続した形状となっていたが、図９
に示すように、スコアライン１２ａが通過する部分につ
いては、溝が埋まっているような構成の凹状溝１２ｄで
あっても良い。凹状溝をこのように形成することで、補
強効果がより向上する。

【００２１】なお、上述した実施の形態におけるそれぞ
れの構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であ
る。また、上記した実施の形態では、ウッドタイプのヘ
ッドを例示して説明したが、アイアンタイプのヘッドに
適用しても良い。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、金属製のヘッドであり
ながら、打球感がソフトで、かつ打球時の衝撃によって
も割れやひび等が生じ難いゴルフクラブが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ゴルフクラブの全体構成を示す図。

【図２】本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施の形
態を示す図。

【図３】図２に示すゴルフクラブヘッドの縦断面図。

【図４】図１に示すゴルフクラブヘッドの分解斜視図。

【図５】図１に示すゴルフクラブヘッドに止着されるフ
ェースの拡大断面図。

【図６】本発明に係るゴルフクラブヘッドの第２の実施
の形態を示す図。

【図７】本発明に係るゴルフクラブヘッドの第３の実施
の形態を示す図。

【図８】本発明に係るゴルフクラブヘッドの第４の実施
の形態を示す図。

【図９】本発明に係るゴルフクラブヘッドの第５の実施
の形態を示す図。

【符号の説明】

１ ゴルフクラブ １０ ゴルフクラブヘッド １０ａ トップ １０ｂ ソール １０ｃ トウ １０ｄ バック １０ｅ ヒール １２ フェース １２ａ スコアライン １２ｂ，１２ｃ，１２ｄ 凹状溝

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製フェースを有し、該フェースの打
   球面側にスコアラインを形成し、フェースの裏面に複数
   の凹状溝を形成したゴルフクラブヘッドにおいて、前記
   凹状溝は、スコアラインに対し交差する方向に形成され
   ていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
2. 【請求項２】 前記金属製フェースは、圧延された材料
   であり、その圧延された方向が前記スコアライン及び凹
   状溝と交差する方向であることを特徴とする請求項１に
   記載のゴルフクラブヘッド。
3. 【請求項３】 前記金属製フェースは、その肉厚が３ｍ
   ｍ以下であることを特徴とする請求項１又は２に記載の
   ゴルフクラブヘッド。
4. 【請求項４】 前記複数の凹状溝が形成された金属製フ
   ェースは、プレスにて形成されることを特徴とする請求
   項１乃至３のいずれか１項に記載のゴルフクラブヘッ
   ド。