JP3399896B2 - アイアンゴルフクラブヘッド - Google Patents

アイアンゴルフクラブヘッド

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    • A63B53/0475Heads iron-type with one or more enclosed cavities

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打球面のたわみ量
を大きくすることで、反発性を向上させ、打球の飛距離
を増大できるアイアンゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年のアイアンゴルフクラブヘッドは、
ヘッドの打球面の裏側がソール部からトップエッジ部ま
で徐々に薄くなるいわゆるプレーンバックアイアンより
も、ヘッド本体の周辺部の肉厚を厚くし、ヘッド本体の
周辺に重量を配分する構成のキャビティバックアイア
ンのほうが主流となっている。これは、キャビティ
ックアイアンのほうが、打点のばらつきに対する方向性
の安定が高いためである。合わせてキャビティバック
構造にすることで、余裕のできた質量をソール部に付加
すると、より低重心のヘッドとなり、ボールがあがり易
く、打ち易くなるためである。このキャビティーバック
構造のアイアンゴルフクラブヘッドは、キャビティ
区画する打球面部の肉厚は薄く、ソール部の肉厚は厚く
形成され、打球面部とソール部は一体に構成されてい
る。このためボール打撃時に、打球面のたわみがソール
部に抑制されて反発性が低下し、打球の飛距離が低下す
るという課題を有していた。
【0003】そこで、この課題を解決するために、図1
1に示すようにソール部2の厚肉部分と打球面4との間
にスリット20を設け、スリット20に弾性体を充填し
て打球面4の拘束部を減らし、スイートエリアの拡大と
低重心化を図ったアイアンゴルフクラブヘッドが特開平
11−104283号に開示されている。また、図12
に示すようにソール部2の厚肉部分をアンダーカット2
1形状にして打球面4の拘束部を減らし、飛距離を得よ
うとするアイアンゴルフクラブヘッドが特開平11−2
44430号に開示されている。
【0004】なお、特開平10−263122号に開示
されている、図13に示すような中空アイアンと呼ばれ
る形態のアイアンゴルフクラブヘッドにおいては、打球
面4が大きくなり打球面4のたわみも大きくなるが、そ
の形態からソール幅22の大きなヘッド形状となってい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記キャビ
ティーバック構造のアイアンゴルフクラブヘッドの課題
を解決する図11に示すアイアンゴルフクラブヘッドに
おいては、アイアンヘッド本体を成形後に予めスリット
部に配設した心材を除去する工程が必要となり、図12
に示すアイアンゴルフクラブヘッドにおいては、鍛造で
形成する場合は中子の取り付け取り外しを、機械加工で
形成する場合は切削加工を必要とするなど、時間と製造
コストがかかることとなる。また、これらの加工では複
雑な形状のスリットやアンダーカットを形成することは
困難であった。
【0006】また、図13に示す中空アイアンにおいて
は、重量の制限によりソール部の肉厚を厚くできないた
め重心が高くなる。さらに、ソール部の幅が広いため、
アドレス時にヘッドの後面が視角に入り、アドレスしに
くいヘッド形状であった。
【0007】そこで本発明は、キャビティーバック構造
のアイアンゴルフクラブヘッドの特徴である広いスイー
トエリア、低重心といった特性を保ったまま、さらに打
球面の反発性を向上させ、ボールの初速を高めて飛距離
を増大することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のアイアンゴルフ
クラブヘッドは、ソール部がトップエッジ部よりも厚肉
であるキャビティーバック構造で、前面部部品と後面部
部品の両部品の外周縁部の接合部を固着し一体に組み付
けることで形成し、前面部部品と後面部部品との間に空
間が設けられ、打球面裏側の空間の投影面積/打球面の
面積の面積比が 60%以上95%以下であり、前記空間
は、アイアンゴルフクラブヘッドの接地面からの高さが
15mmないし25mmの位置で、前面部部品と後面部
部品との間の空間の間隔が0.5mm〜5mmに形成さ
れたものである。このように形成することで、ヘッド形
成後の加工を行うことなく、打球面のたわみを大きくし
て、反発性を向上させ、打球の飛距離を増大させるもの
である。さらに、空間形状を自由に設計できるので、微
妙な質量配分を可能とし、設計の自由度を大きくする。
また、ボールを打撃する確率が高い部位であるアイアン
ゴルフクラブヘッドの接地面からの高さが15mmない
し25mmの位置で、前面部部品と後面部部品との間の
空間の間隔が0.5mm〜5mmに形成することで、打
球面が後面部部品に接触せずにたわむことをより確実に
することができる。
【0009】また、前面部部品を後面部部品よりも低比
重とすることで、重心深度が深くなりスイートエリアを
広くすることができる。さらに、前面部部品を打球面と
ホーゼルを一体に構成することで、質量配分の自由度を
高め、より低重心のアイアンゴルフクラブヘッドとする
ことができる。
【0010】また、前面部部品を後面部部品よりも低弾
性の材料とすることで、より反発性能を向上させること
ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のアイアンゴルフクラブヘ
ッドは、ソール部がトップエッジ部よりも厚肉であるキ
ャビティーバック構造であって、打球面を含む前面部部
品と残余の部分の後面部部品を一体に組付ける事で構成
され、該前面部部品および/または後面部部品の内面に
凹部を形成することで、前面部部品と後面部部品との間
に空間を形成するものである。なお、打球面の裏側の空
間が広いほどたわみ量が大きくなり望ましいが、打球面
裏側の空間の投影面積/打球面の面積は60%以上あれ
ば十分であり、望ましくは70%以上あれば良い。ま
た、接合部の面積を小さくするほど前面部部品と後面部
部品との接合力が落ちるので、前記面積比は95%以下
とするのが良い。
【0012】該アイアンゴルフクラブヘッドを形成する
材料は、従来より用いられている、軟鉄、ステンレス、
アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、
銅、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、錫、クロム
等の金属材料の単一ないし合金を用いる。
【0013】前面部部品および後面部部品の成形方法
は、ダイキャスト成形、プレス成形、インジェクション
成形、鍛造成形、鋳造成形等による。また、前面部部品
と後面部部品の組付けは、溶接、接着、圧入、嵌合、圧
接、ビス止め、ろう付け等によって行なう。なお、前面
部部品と後面部部品の接合部は、外周縁部に前記組付け
に必要な最小限の幅で、前面部部品と後面部部品を合せ
た時に隙間ができないように面一に形成している。この
ように最小限の幅とすることで、打球面の拘束距離を長
くし、打球時の打球面のたわみを大きくすることができ
る。
【0014】前記のように、前面部部品および後面部部
品を成形することで、前面部部品と後面部部品との間に
形成する空間を、複雑な形状でも容易に形成することが
できる。また、前面部部品および後面部部品の空間を形
成する内面に、より高比重の質量体を取付けることもで
きる。従って、微妙な質量配分を容易にすることができ
るので、設計の自由度を大きくすることができる。
【0015】また、前面部部品を低比重の材料とするこ
とで、質量配分の余裕ができ、従来のキャビティーバッ
ク構造のアイアンゴルフクラブヘッドよりも、より広い
スイートエリアで、より低重心のアイアンゴルフクラブ
ヘッドとすることができる。また、前面部部品を低弾性
の材料とすることで、打球面がよりたわみ、飛距離が増
大するアイアンゴルフクラブヘッドとすることができ
る。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。図1は打球面4を形成する前面部部品10と残余の
部分の後面部部品11で構成されるアイアンゴルフクラ
ブヘッド1の前面部部品10と後面部部品11を組付け
る前の分解斜視図であり、図2は図1の前面部部品10
と後面部部品11を組付け後のA−A線断面図である。
図1の実施例は、前面部部品10をチタンの板材で形成
し、後面部部品11をステンレスの精密鋳造で形成した
もので、後面部部品11には空間12を形成する凹部1
3aを設けており、該前面部部品10を後面部部品11
に合せて、両部品の接合部6の周縁を溶接し一体化した
ものである。
【0017】図3は打球面4とホーゼル5が一体で構成
される前面部部品10と残余の部分の後面部部品11で
構成されるアイアンゴルフクラブヘッド1の前面部部品
10と後面部部品11を組付ける前の分解斜視図であ
り、図4は図3の前面部部品10と後面部部品11を組
付け後のB−B線断面図である。図3の実施例は、前面
部部品10をアルミニウム合金の鍛造で形成し、後面部
部品11をステンレスの精密鋳造で形成したもので、前
面部部品10と後面部部品11に空間12を形成する凹
部13a,13bを設けており、該前面部部品10を後
面部部品11に合せて、幅約3mmの接合部6の周縁を
溶接し一体化したものである。
【0018】図5は前記空間12を形成する後面部部品
11の凹部13aのソール部2を更に深く凹ませ、空間
12をソール部2まで広げたアイアンゴルフクラブヘッ
ド1の断面図である。このように空間12を大きくする
ことで、重心深度を深くするとともに、質量配分の自由
度を高めることができる。
【0019】図6は後面部部品11の上部の肉厚を下部
よりも薄くし、前記空間12の上部を広くしたアイアン
ゴルフクラブヘッド1の断面図である。このように上部
の空間12を広くすることで、より低重心のアイアンゴ
ルフクラブヘッド1とすることができる。
【0020】図7は前面部部品10の周縁に近い部分の
肉厚を、打球面4の肉厚よりも薄くしたアイアンゴルフ
クラブヘッド1の断面図である。このように形成するこ
とで、打球面4のたわみを大きくするとともに、打点が
ばらついてもたわみが大きく変化しないようにすること
ができる。
【0021】図8は前面部部品10の打球面4の反対面
4aを山形状に、空間12の内側に膨らませたアイアン
ゴルフクラブヘッド1の断面図である。このように打球
部の肉厚を連続的に変化させることで、打点がばらつい
ても打球面4のたわみが大きく変化しないようにするこ
とができる。
【0022】図9は前面部部品10と後面部部品11の
接合部6を、打球面4からできるだけ後方に設けたアイ
アンゴルフクラブヘッド1の断面図である。このように
接合部6を後方に設けることで、打球時の接合部6にか
かる衝撃力を下げることができ、接合による打球面4の
たわみのばらつきを小さくすることができる。
【0023】図10は、前面部部品10と後面部部品1
1との間の空間12の間隔が最も広くなる最大幅部12
aの位置を示すアイアンゴルフクラブヘッド1の断面図
である。図示のように最大幅部12aを、ボールを打撃
する確率が高い部位であるアイアンゴルフクラブヘッド
1の接地面8からの高さが15mmないし25mmの位
置に形成することで、打球時に前面部部品10が後面部
部品11に当ることなく、打球面4のたわみをより確実
なものにすることができる。なお、該最大幅部12aの
間隔は、前面部部品10と後面部部品11の材料と形状
により異なるが、0.5mm〜5mmであることが望ま
しい。
【0024】前記前面部部品10を後面部部品11より
も低比重の材料を用いることで、より質量配分の自由度
を高めることができる。また、前面部部品10を後面部
部品11よりも低弾性の材料を用いることで、打球面4
のたわみをより大きくし、ボールの初速を高めて飛距離
を増大することができる。また、打球時にホーゼル5と
シャフトとの接合部に伝わる衝撃力を軽減できるため、
シャフトの破損を低減することもできる。なお、このよ
うな前面部部品10と後面部部品11との組み合わせと
しては、前面部部品10にはチタンやアルミニウム合
金、後面部部品11にはステンレスや軟鉄を用いること
が望ましい。
【0025】
【発明の効果】上記のように本発明のアイアンゴルフク
ラブヘッドは、キャビティーバック構造の特徴である広
いスイートエリア、低重心といった特性を保ったまま、
さらに打球面の反発性を向上させ、ボールの飛距離を増
大することができる。
【0026】また、アイアンゴルフクラブヘッドを前面
部部品と後面部部品を一体に組み付けて形成すること
で、前面部部品と後面部部品との間に形成する空間を、
複雑な形状でも容易に形成することができ、設計の自由
度を高めることができる。
【0027】また、前面部部品を後面部部品よりも低比
重の材料や低弾性の材料とすることで、従来のキャビテ
ィーバック構造のアイアンゴルフクラブヘッドよりも、
より広いスイートエリア、より低重心で、打球面がより
たわむアイアンゴルフクラブヘッドとすることができ
る。
【0028】さらに、従来のキャビティーバック構造の
課題を解決するアイアンゴルフクラブヘッドを、前記前
面部部品と後面部部品を一体に組付けるだけで形成でき
るので、ヘッド形成後の加工が不要となりコストダウン
がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示すアイアンゴルフクラ
ブヘッドの分解斜視図。
【図2】図1の前面部部品と後面部部品を組付け後のA
−A線断面図。
【図3】本発明の第二実施例を示すアイアンゴルフクラ
ブヘッドの分解斜視図。
【図4】図3の前面部部品と後面部部品を組付け後のB
−B線断面図。
【図5】前面部部品と後面部部品との間の空間形状を示
す断面図。
【図6】前面部部品と後面部部品との間の空間形状を示
す他の例を示す断面図。
【図7】前面部部品の打球部の肉厚を大きくしたアイア
ンゴルフクラブヘッドの断面図。
【図8】前面部部品の打球部の肉厚を連続的に変化させ
たアイアンゴルフクラブヘッドの断面図。
【図9】前面部部品と後面部部品の接合部を後方に設け
たアイアンゴルフクラブヘッドの断面図。
【図10】前面部部品と後面部部品との間の空間の最大
幅部の位置を示すアイアンゴルフクラブヘッドの断面
図。
【図11】キャビティーバック構造の従来のアイアンゴ
ルフクラブヘッドの断面図。
【図12】キャビティーバック構造の従来のアイアンゴ
ルフクラブヘッドの他の例の断面図。
【図13】中空アイアンの断面図。
【符号の説明】
1 アイアンゴルフクラブヘッド 2 ソール部 3 トップエッジ部 4 打球面 4a 反対面 5 ホーゼル 6 接合部 7 キャビティー 8 接地面 10 前面部部品 11 後面部部品 12 空間 12a 最大幅部 13a 凹部 13b 凹部 20 スリット 21 アンダーカット 22 ソール幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 更家 衛 大阪府大阪市住之江区南港北1丁目12番 35号 美津濃株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−234897(JP,A) 特開2001−246030(JP,A) 特開2001−120694(JP,A) 特公 平5−66829(JP,B2) 特許2605253(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A63B 53/00 - 53/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソール部(2)がトップエッジ部(3)
    よりも厚肉であるキャビティーバック構造のアイアンゴ
    ルフクラブヘッド(1)であって、打球面(4)を形成
    する前面部部品(10)と残余の部分の後面部部品(1
    1)を一体に組付ける事で構成され、前面部部品(1
    0)と後面部部品(11)は、両部品の外周縁部の接合
    部(6)で固着され、前面部部品(10)と後面部部品
    (11)との間に空間(12)が設けられ、打球面
    (4)裏側の空間の投影面積/打球面の面積の面積比が
    60%以上95%以下であり、前記空間(12)は、ア
    イアンゴルフクラブヘッド(1)の接地面(8)からの
    高さが15mmないし25mmの位置で、前面部部品
    (10)と後面部部品(11)との間の空間(12)の
    間隔が0.5mm〜5mmに形成されたことを特徴とす
    るアイアンゴルフクラブヘッド(1)。
  2. 【請求項2】 ソール部(2)がトップエッジ部(3)
    よりも厚肉であるキャビティーバック構造のアイアンゴ
    ルフクラブヘッド(1)であって、打球面(4)とホー
    ゼル(5)が一体で構成される前面部部品(10)と残
    余の部分の後面部部品(11)を一体に組付ける事で構
    成され、前面部部品(10)と後面部部品(11)は、
    両部品の外周縁部の接合部(6)で固着され、前面部部
    品(10)と後面部部品(11)との間に空間(12)
    が設けられ、打球面(4)裏側の空間の投影面積/打球
    面の面積の面積比が60%以上95%以下であり、前記
    空間(12)は、アイアンゴルフクラブヘッド(1)の
    接地面(8)からの高さが15mmないし25mmの位
    置で、前面部部品(10)と後面部部品(11)との間
    の空間(12)の間隔が0.5mm〜5mmに形成され
    ことを特徴とするアイアンゴルフクラブヘッド
    (1)。
  3. 【請求項3】 前記前面部部品(10)を構成する材料
    は、後面部部品(11)を構成する材料より低比重であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアイア
    ンゴルフクラブヘッド(1)。
  4. 【請求項4】 前記前面部部品(10)を構成する材料
    は、後面部部品(11)を構成する材料より低弾性であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアイア
    ンゴルフクラブヘッド(1)。
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