JP7091744B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
ゴルフクラブヘッドのフェースには、複数の溝が形成されている。溝は、典型的には、フェースをトウ-ヒール方向に沿って延びており、スコアラインとも呼ばれる。この溝は、ボール打撃時に、フェースとボールとの摩擦力を高め、打球のバックスピン量を増加させる働きをする。
ところで、近年では、雨天時やラフからのショットの場合のバックスピン量の低減を防ぐために、例えば、下記特許文献1は、フェースに、複数本のスコアラインと、複数本の溝(細溝)とが形成されたゴルフクラブヘッドを提案している。また、スコアライン及び溝は、いずれもトウ-ヒール方向に延びている。
特開2016-106904号公報
発明者らは、ラフからのショットを最適化すべく、種々の研究を重ねた。ラフからのショットでは、ボールとフェースとの間に多くの芝が介在し、両者の間で十分な摩擦が得られない。このため、打球のバックスピン量の大幅な減少を招く。特に、バックスピンを利用してグリーン上でボールを落下位置近くで止めるアプローチショットでは、バックスピン量の減少は致命的なミスを招くおそれがある。
発明者らは、ラフからのショットにおいてバックスピン量の減少を抑制するためには、ボールとフェースとの間に介在する芝をショット時の圧力で破砕し、その隙間からボールとフェースとをより多くの面積で接触させることが重要であるとの知見を得た。この知見を踏まえて、芝の繊維の方向を考慮してさらに詳細に検討した。その結果、ボールとフェースとの間の圧縮力で芝を効果的に破砕するには、図9(A)に示されるように、芝30をその長手方向と直交する切断ラインL1で破砕するよりも、むしろ、図9(B)に示されるように、芝30を、その繊維の方向に一致する長手方向に沿った切断ラインL2で引き裂くことが有利であることを突き止めた。そして、発明者らは、これらの知見を踏まえ、いわゆる溝(スコアライン)とは別の細溝に、前記機能を実現させることで本発明を完成させるに至った。
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、ラフからのショットにおいて、バックスピン量の減少を抑制することができるゴルフクラブヘッドを提供することを課題としている。
本発明は、ゴルフクラブヘッドであって、ボールを打撃するためのフェースを有し、前記フェースには、トウ・ヒール方向に沿って延びる複数の溝と、前記溝よりも小さい溝幅を有する複数の細溝とが形成されており、前記細溝は、それぞれトウ・ヒール方向に対して傾斜して延びており、前記細溝の横断面は、第1壁と、前記第1壁よりも長さが大きい第2壁とを含む非対称の三角形状であり、前記細溝の溝幅は、50~350μm であり、前記第1壁の前記フェースに沿った長さAと、前記細溝の溝幅wとの比(A/w)が0以上かつ0.5未満であり、前記第1壁と前記フェースとがなす第1コーナ部の角度が90~135度である、ゴルフクラブヘッドである。
本発明では、前記フェースをトウ・ヒール方向に沿って延びている複数の溝(スコアライン)によって、ティーアップ時やフェアウエイからのショットでは、打球に十分なバックスピン量を与えることができる。
本発明では、前記フェースには、さらに、トウ・ヒール方向に対して傾斜して延びる複数の細溝が設けられている。したがって、本発明のゴルフクラブヘッドでのショット時、ボールは、フェース上を細溝の長手方向に沿って移動しやすくなる。また、前記細溝は、横断面が特定されたことにより、ボールとフェースとの間に介在する芝を、その長手方向(芝の繊維が延びる方向)に沿った切断ラインで効果的に破砕し、ボールとフェースとをより大きな面積で接触させることができる。
また、前記細溝の横断面が非対称の三角形状とされたことにより、相対的にエッジが立っている第1コーナ部によって芝の破砕効果を高める一方、その第1コーナ部のより近くに細溝の最深部を提供することで、破砕された芝の排出性を高めることができる。これにより、前記作用がさらに高められる。
以上のように、本発明のゴルフクラブヘッドは、ラフからのショットにおいても、バックスピン量の減少を抑制することができ、アプローチショット等の精度を高めうる。
本発明の他の態様では、前記第1壁が、前記ゴルフクラブヘッドのトップ部側に位置するように、前記細溝が形成されても良い。
本発明の他の態様では、前記細溝の前記横断面において、前記第1コーナ部、又は、前記第2壁と前記フェースが交わる第2コーナ部は、円弧で面取りされても良い。
本発明の他の態様では、前記第1コーナ部及び前記第2コーナ部が円弧で面取りされても良い。
本発明の他の態様では、前記円弧の曲率半径が10μm 以下とされても良い。
本発明の他の態様では、前記複数の細溝のピッチは、前記細溝の溝幅の2.5倍以上5.0倍以下とされても良い。
本発明の他の態様では、前記複数の細溝は、トウ・ヒール方向に対して、30度以上90度以下の角度で傾斜しても良い。
本発明の他の態様では、前記細溝の深さが10~25μmとされても良い。
本発明の他の態様は、ゴルフクラブヘッドであって、ボールを打撃するためのフェースを有し、前記フェースには、トウ・ヒール方向に沿って延びる複数の溝と、前記溝よりも小さい溝幅を有する複数の細溝とが形成されており、前記細溝は、それぞれトウ・ヒール方向に対して傾斜して延びており、前記細溝の横断面は、第1壁と、前記第1壁よりも長さが大きい第2壁とを含む非対称の三角形状であり、前記第1壁の前記フェースに沿った長さAと、前記第2壁の前記フェースに沿った長さBとの比(A/B)が0以上かつ0.5未満である、ゴルフクラブヘッドである。
また、本発明の他の態様は、ゴルフクラブヘッドであって、ボールを打撃するためのフェースを有し、前記フェースには、トウ・ヒール方向に沿って延びる複数の溝と、前記溝よりも小さい溝幅を有する複数の細溝とが形成されており、前記細溝は、それぞれトウ・ヒール方向に対して傾斜して延びており、前記細溝の横断面は、第1壁と、前記第1壁よりも長さが大きい第2壁とを含む非対称の三角形状であり、前記第1壁と前記フェースとがなすコーナ部の角度が90~135度である、ゴルフクラブヘッドである。
本発明のゴルフクラブヘッドは、ラフからのショットにおいても、バックスピン量の減少を防ぐことができ、アプローチショット等の精度を高めることができる。
本実施形態のゴルフクラブヘッドの正面図である。 図1のゴルフクラブヘッドの側面図である。 図1のA-A線の部分拡大断面図である。 図1のゴルフクラブヘッドをフェースが垂直となるように前傾させた状態のフェースの正面図である。 図4のB-B線の部分断面図である。 図5の要部拡大図である。 他の形態を示すフェースの正面図である。 フェースを開いた状態でのショットを説明するための平面図である。 (A)及び(B)は、芝の破砕を説明する概念図であり、それぞれ左側が破砕前、右側が破砕後を示す。
以下、本発明のいくつかの実施形態が図面に基づき説明される。以下に詳述される実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容を理解するためのものであって、本発明は、それらの具体的な構成に限定されるものではない。
図1及び図2には、本実施形態のゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1の正面図及びトウ側から見た側面図がそれぞれ示されている。図1及び図2に示されるように、本実施形態のヘッド1は、典型的には、アイアン型ゴルフクラブヘッド2として構成されている。ただし、本発明は、アイアン型ゴルフクラブヘッド2に限定されるものではない。
[基準状態等の定義]
図1及び図2には、ヘッド1の基準状態が示されている。本明細書において、ヘッド1の「基準状態」とは、シャフト軸中心線CLが任意の基準垂直面VP内に配置されかつ規定のライ角βに保持されるとともに、フェース3が規定のロフト角αに保持されて水平面HPに置かれた状態を意味する。
本明細書において、基準垂直面VPに沿った水平方向xはヘッド1のトウ・ヒール方向とされ、基準垂直面VPと直交する方向yはヘッド1の前後方向とされ、基準垂直面VPに沿った上下方向zはヘッド1の上下方向とされる。
[ヘッドの基本構成]
ヘッド1は、典型的なアイアン型の形状を有し、フェース3、トップ4、ソール5、トウ6及びホーゼル7を含んでおり、各部が金属材料で構成されている。
フェース3は、ボールを打撃するための実質的に平坦な面である。フェース3には、ボールとの摩擦等を高めるために、複数本の溝8と、複数本の細溝9とが設けられている。細溝9は、溝8よりも小さい溝幅を有する(いずれも後述する)。
トップ4は、フェース3の上縁から後方に延びているヘッド1の上面部分である。ソール5は、フェース3の下縁から後方に延びているヘッド1の底面部分である。トウ6は、ホーゼル7から最も離れた部分である。ホーゼル7は、クラブシャフト(図示省略)の一端を固着するためのもので、例えば円筒状に構成されている。このホーゼル7の中心線は、前記シャフト軸中心線CLと一致する。
[溝の基本構成]
図1に示されるように、複数の溝8は、いずれもトウ・ヒール方向に沿って、互いに平行に延びている。前記「トウ・ヒール方向に沿って」とは、トウ・ヒール方向に対して本質的に平行であることを意味し、トウ・ヒール方向に対して、例えば、±1°程度の誤差は許容されるものである。
図3には、溝8の横断面図として、図1のA-A線の部分拡大断面図が示される。図3に示されるように、溝8は、溝底8aと、一対の溝壁8bとを有する。溝底8aは、例えば、フェース3と平行な平面で形成されている。一対の溝壁8bは、それぞれ、溝底8aからフェース3に向かって溝幅が広がる向きに傾斜している。本実施形態の溝壁8bは、本質的に平面で構成されている。一対の溝壁8bは、溝8の溝幅中心線GCに対して、互いに対称形状とされている。なお、前記「平行」や前記「対称形状」は、いずれも、溝8をフェース3に加工する際の加工精度を考慮して理解されなければならず、実質的な「平行」及び、実質的な「対称形状」を含むことが意図されている。
溝壁8bとフェース3とが交差するコーナ部は、円弧で面取りされている。この円弧の曲率半径rは、例えば、ゴルフ規則に従って、少なくとも0.010インチ(0.254mm)の有効半径を有するように定められる。なお、本明細書において、「ゴルフ規則」とは、R&Aに定められた「ゴルフ規則」を意味する。
各溝8は、深さD、幅W、溝壁の角度θ及びピッチPで特定される。
溝8の深さDは、フェース3から溝底8aまでのフェース3と垂直方向の最大距離である。溝8の幅Wは、R&Aが定める「溝の幅を測定するための30度測定法」に準拠して測定される。溝壁8bの角度θは、フェース3の法線と溝壁8bとがなす鋭角側の角度である。溝8のピッチPは、隣接する溝8の溝幅中心線GC間の距離である。本実施形態のヘッド1において、溝8の深さD、幅W、溝壁8bの角度θ、ピッチP及び前記円弧の曲率半径などは、ゴルフ規則を満たす範囲内で設計することが意図されている。
本実施形態のヘッド1では、トウ・ヒール方向に沿って延びている複数の溝8によって、ティーアップ時やフェアウエイからのショットでは、打球に十分なバックスピン量を与えることができる。
[細溝の構成]
図4には、基準状態にあるヘッド1をフェース3が垂直となるように前傾させた状態でのフェース3の正面図が描かれている。図4に示されるように、複数の細溝9は、トウ・ヒール方向に対して傾斜して配置されている。この実施形態では、細溝9は、トウ・ヒール方向に対して直交するように傾斜している。
図5には、図4のB-B線の部分拡大断面図が示される。さらに、図6は、図5の要部拡大図を示す。図5~6に示されるように、本実施形態では、好ましい態様として、細溝9の横断面が次のように特定されている。
細溝9の横断面は、例えば、第1壁11と、第1壁11よりも長さが大きい第2壁12とを含む非対称の三角形状とされる。なお、前記「三角形状」のもう一辺として、第1壁11と第2壁12との間をフェース3(の溝のない部分)に沿って継ぐ仮想フェース面が意図されている。好ましい態様では、第1壁11は、第2壁12と、最深部10で交わるように構成されている。また、細溝9の両側には、第1壁11とフェース3(溝のない部分)とがなす第1コーナ部21と、第2壁12とフェース3(溝のない部分)とがなす第2コーナ部22とが形成される。これらの第1コーナ部21及び第2コーナ部22は、それぞれ角度ω1及びω2を有する。
また、細溝9の横断面において、第1壁11のフェース3に沿った長さAと、細溝9の溝幅wとの比(A/w)は、好ましくは0以上かつ0.5未満、より好ましくは0~0.3の範囲、さらに好ましくは0~0.1の範囲とされる。この比(A/w)は、細溝9の横断面の非対称度を規定するパラメータであり、値が小さくなるに従い、細溝9の最深部10が第1コーナ部21側へ近づく。このため、第1コーナ部21の角度ω1が小さくなって先鋭化する。
さらに、細溝9の横断面において、第1壁11とフェース3(溝のない部分)とがなす第1コーナ部21の角度ω1は、好ましくは90~135度、より好ましくは90~100度とされるのが望ましい。一方、第2コーナ部22の角度ω2は、第1コーナ部21の角度ω1よりも大きく形成される。
[細溝の作用]
本実施形態のヘッド1でのショット時、ボールは、フェース3上を細溝9の長手方向に沿って移動しやすくなる。また、細溝9は、特定の非対称の三角形状とされるので、ボールとフェース3との間に介在する芝を、その長手方向(芝の繊維が延びる方向)に沿った切断ラインで効果的に破砕し、ボールとフェース3とをより大きな面積で接触させることができる。
また、本実施形態の細溝9は、相対的にエッジが立っている第1コーナ部21によって芝の破砕効果を高める一方、その第1コーナ部21のより近くに細溝9の最深部10を提供することで、破砕された芝の排出性を高めることができる。これにより、前記作用がさらに高められる。
[細溝の好ましい傾斜の角度]
ボールとフェース3との間に介在する芝をその長手方向に沿った切断ラインで破砕する作用をより高めるためには、細溝9は、トウ・ヒール方向に対して直交、すなわち、トウ・ヒール方向に対する角度δ(図4参照)が90度であることが特に望ましい。一方、細溝9は、必ずしもトウ・ヒール方向に対して直交している必要はない。他の態様では、細溝9は、トウ・ヒール方向に対して、例えば、30度以上の角度δで傾斜していれば十分に上記作用を奏することができ、好ましくは45度以上、さらに好ましくは60度以上とされる。なお、本実施形態では、複数の細溝9は、互いに平行に配置されているが、前記角度の範囲内で互いに異なる角度を有しても良い。
他の態様では、図7に示されるように、基準状態のヘッド1を、フェース3が垂直となるように前傾させた状態でのフェース3の正面図において、複数の細溝9は、トウ・ヒール方向に対して右下がりに傾斜しても良い。すなわち、細溝9は、トップ4からソール5に向かってヒール側(ホーゼル7側)へ向かうように傾斜させることもできる。
このようなヘッド1では、図8に示されるように、フェース3を角度γ(γ≠0)で開いてショットするような場合、ボールBは、フェース3と接触した後、フェース3上を矢印方向に移動する。すなわち、ボールBは、ソール5からトップ4に向かうに従ってトウ側に寄るようにフェース3上を移動するので、この実施形態のヘッド1では、細溝9の長手方向がボールBのフェース3上での移動方向により近くなるように傾斜している。
したがって、本実施形態のヘッド1では、ラフからフェース3を開いたようなショットでは、細溝9のエッジを利用して、ボールBとフェース3との間に介在する芝を、その繊維に沿ってより効果的に破砕することができる。これにより、ボールBとフェース3とをより大きな面積で接触させることができる。したがって、本実施形態のヘッド1は、ラフからのフェース3を開いたショット時でも、打球のバックスピン量の低下が抑制される。
[細溝の好ましい溝幅、深さ]
図5に示されるように、細溝9の溝幅wは、芝の破砕効果を高めるために、例えば、50~350μm とされるが、より好ましくは、50~70μmの範囲とされるのが望ましい。細溝9の深さdについては、溝8の深さDよりも小さければ特に限定されることなく種々定めることができ、例えば、10~25μmの範囲、より好ましくは、20~25μmの範囲とされるのが望ましい。このような細溝9は、例えば機械加工によって形成することができる。
[細溝のピッチ]
細溝9のピッチpは、溝8のピッチPよりも小さければ特に限定されることなく種々定めることができる。一方、細溝9のピッチpが小さくなると、芝の破砕性は高められるが、ボールのカバーが傷つきやすいという傾向がある。このような観点より、細溝9のピッチpは、細溝9の溝幅wの2.5倍以上、より好ましくは3.0倍以上とされるのが望ましい。逆に、細溝9のピッチpが大きくなると、ボールのカバーの傷つきを防止できるが、芝の破砕効果が低下するおそれがある。このような観点より、細溝9のピッチpは、細溝9の溝幅wの5.0倍以下、より好ましくは4.0倍以下とされるのが望ましい。
なお、細溝9の幅w、深さd及びピッチpについては、溝8の幅W、深さD及びピッチPと同様に特定されるものとする。
[その他の好ましい態様]
好ましい態様では、細溝9の横断面において、第1コーナ部21又は第2コーナ部22は、円弧で面取りされる。本実施形態では、好ましい態様として、第1コーナ部21及び第2コーナ部22がいずれも円弧で面取りされている。このような態様では、ボールのカバーの傷つきなどを抑制しつつ、芝の破砕効果を高めることができる。この効果をより確実に発揮させるために、円弧の曲率半径は、10μm 以下であるのが望ましい。
細溝9の両側のランドエリアに着目すると、第1コーナ部21は、第2コーナ部22よりも相対的に鋭角化されている。したがって、好ましい態様では、細溝9は、第1壁11(第1コーナ部21)が、ヘッド1のトウ6側に位置するように配置されても良い。一般に、図8で示したようなショットでは、ボールBは、細溝9のトウ6側の壁により強く押し付けられる。したがって、相対的に鋭角化された第1コーナ部21を細溝9のトウ6側に配置することで、この第1コーナ部21が芝により強く押し付けられ、ひいては上述の芝の破砕効果がさらに高められる。
他の態様では、細溝9は、第2壁12(第2コーナ部22)が、ヘッド1のトウ6側に位置するように配置されても良い。上述のように、図8のようなショットでは、第1壁11がヘッドのヒール側に位置するのが良い。しかし、例えば、フェース3をより大きく開いてボールを打撃するような場合、細溝9の角度δによっては、細溝9がヘッドの進行方向においてヒール側に傾くような状況でのショットが起こり得る。細溝9の第2壁12(第2コーナ部22)が、ヘッド1のトウ6側に位置するように配置された場合、このようなショットにおいてバックスピンの減少を効果的に抑制することができる。
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変更しうるのは言うまでもない。特に、各実施形態は、相互に独立したものとして厳格に解されるべきではない。例えば、ある実施形態の一部の要素を、他の実施形態に記載された要素に置換して得られる態様は、本発明の開示の範囲として理解されるべきである。
本発明の効果を確認するために、図1~7の基本構造を具えたゴルフクラブヘッドを、表1の仕様に基づいて複数種類試作した(実施例)。そして、各ゴルフクラブヘッドの同一のスチールシャフトを装着し、アイアン型ゴルフクラブが試作された。また、比較例のヘッドとして、細溝のない比較例1、細溝の横断面が四角形の比較例2(これは、現在のゴルフ規則に違反する)及び細溝の横断面の比A/wが0.5の対称の三角形である比較例3についても試作された。
次に、簡易式のスイングロボットを用いて、各ゴルフクラブによるラフからの打撃テストが行われ、打球のバックスピン量がそれぞれ測定された。
Figure 0007091744000001
テストの結果、実施例のゴルフクラブヘッドは、ゴルフ規則の範囲内の比較例1及び3に比べて、高いバックスピン量を維持していることが確認できた。
1 ヘッド
3 フェース
4 トップ
5 ソール
6 トウ
8 溝
9 細溝
11 第1壁
12 第2壁
21 第1コーナ部
22 第2コーナ部

Claims (8)

  1. ゴルフクラブヘッドであって、
    ボールを打撃するためのフェースを有し、
    前記フェースには、トウ・ヒール方向に沿って延びる複数の溝と、前記溝よりも小さい溝幅を有する複数の細溝とが形成されており、
    前記細溝は、それぞれトウ・ヒール方向に対して直交するように延びており、
    前記細溝の横断面は、第1壁と、前記第1壁よりも長さが大きい第2壁とを含む非対称の三角形状であり、
    前記細溝の溝幅は、50~350μm であり、
    前記第1壁の前記フェースに沿った長さAと、前記細溝の溝幅wとの比(A/w)が0以上かつ0.5未満であり、
    前記第1壁と前記フェースとがなす第1コーナ部の角度が90~135度であり、
    前記第1壁が、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に位置するように、前記細溝が形成されている、
    ゴルフクラブヘッド。
  2. 前記細溝の前記横断面において、前記第1コーナ部、又は、前記第2壁と前記フェースが交わる第2コーナ部は、円弧で面取りされている、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記第1コーナ部及び前記第2コーナ部が円弧で面取りされている、請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記円弧の曲率半径が10μm 以下である、請求項2又は3に記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 前記複数の細溝のピッチは、前記細溝の溝幅の2.5倍以上5.0倍以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
  6. 前記細溝の深さが10~25μmである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
  7. ゴルフクラブヘッドであって、
    ボールを打撃するためのフェースを有し、
    前記フェースには、トウ・ヒール方向に沿って延びる複数の溝と、前記溝よりも小さい溝幅を有する複数の細溝とが形成されており、
    前記細溝は、それぞれトウ・ヒール方向に対して直交するように延びており、
    前記細溝の横断面は、第1壁と、前記第1壁よりも長さが大きい第2壁とを含む非対称の三角形状であり、
    前記第1壁の前記フェースに沿った長さAと、前記細溝の溝幅wとの比(A/w)が0以上かつ0.5未満であり、
    前記第1壁が、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に位置するように、前記細溝が形成されている、
    ゴルフクラブヘッド。
  8. ゴルフクラブヘッドであって、
    ボールを打撃するためのフェースを有し、
    前記フェースには、トウ・ヒール方向に沿って延びる複数の溝と、前記溝よりも小さい溝幅を有する複数の細溝とが形成されており、
    前記細溝は、それぞれトウ・ヒール方向に対して直交するように延びており、
    前記細溝の横断面は、第1壁と、前記第1壁よりも長さが大きい第2壁とを含む非対称の三角形状であり、
    前記第1壁と前記フェースとがなす第1コーナ部の角度が90~135度であり、
    前記第1壁が、前記ゴルフクラブヘッドのトウ側に位置するように、前記細溝が形成されている、
    ゴルフクラブヘッド。
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