JP2007222231A - アイアン型ゴルフクラブヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】いわゆるシャンクと呼ばれるミスショットを抑制する。
【解決手段】ボールを打球するフェース2を前面に有するフェース部1Aと、シャフトが差し込まれるシャフト差込孔7が設けられたホーゼル部1Bとを含むアイアン型ゴルフクラブヘッド1であって、フェース2のロフト角が50〜65度であり、かつシャフト差込孔7の軸中心線CLを垂直面内に配しかつ水平面HPに対してそのライ角αで傾けるとともに、フェース2を垂直面に対してそのロフト角で傾けて水平面HPに接地させた基準状態において、軸中心線CL上でのホーゼル部1Bの上端1BUから水平面HPまでの長さであるホーゼル長さLhが、フェース2のトウ・ヒール方向の長さであるフェース長さLfよりも大きいことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ボールを打球するフェース2を前面に有するフェース部1Aと、シャフトが差し込まれるシャフト差込孔7が設けられたホーゼル部1Bとを含むアイアン型ゴルフクラブヘッド1であって、フェース2のロフト角が50〜65度であり、かつシャフト差込孔7の軸中心線CLを垂直面内に配しかつ水平面HPに対してそのライ角αで傾けるとともに、フェース2を垂直面に対してそのロフト角で傾けて水平面HPに接地させた基準状態において、軸中心線CL上でのホーゼル部1Bの上端1BUから水平面HPまでの長さであるホーゼル長さLhが、フェース2のトウ・ヒール方向の長さであるフェース長さLfよりも大きいことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、シャンクなどのミスショットを抑制しうるアイアン型ゴルフクラブヘッドに関する。
ロフト角が大きいいわゆるウエッジタイプのアイアン型のゴルフクラブは、主としてバンカーショットの他、フェアウエイやラフといった芝生上からグリーンを直接狙うクラブとして利用される。
図6に示されるように、ウエッジは、クラブヘッドaのフェースbを大きく開いて見かけ上のロフト角を大きくし、かつ、目標方向に対していわゆるアウトサイドインの軌道でショットが行われることが多い。このようなショットは、ラフ等から行われる場合にはいわゆるロブショットとして、またバンカーで行われる場合にはいわゆるエクスプロージョンショットとして呼ばれることがあり、いずれのショットも比較的高く上がってグリーン上で止まりやすいボールを打つことができる。
しかしながら、図6のインパクト時の状態から理解されるように、フェースbを開いてヘッドaを斜めに使用すると、いわゆるスクエア(フェースを目標方向に正対させて打球した場合)に使用する場合に比べて、フェースの実効長さ(目標方向と直角に測定されるフェースの長さ)cが小さくなる。このため、仮想線で示されるように、ヘッドaのネック部dでボールを打ってしまいボールが目標方向に対して大きく右方向(左打ちの場合には左)に逸れてしまういわゆるシャンクと呼ばれるミスショットが生じやすい。
ウエッジに関連する先行技術としては、次のものがある。
発明者らは、このようなアイアン型ゴルフクラブにおけるシャンクを防止するために鋭意研究を重ねた。その結果、従来のこの種のクラブヘッドは、重心距離が大きいためにスイング中のヘッドのブレが大きく、その結果、打点がばらついてシャンクを招いていることを突き止めた。
本発明は、シャフトが差し込まれるホーゼル部の長さを、フェースのトウ・ヒール方向の長さであるフェース長さよりも大きくすることを基本として、前記重心距離を最適化し、スイング中のヘッドのブレを小さくしてシャンクを効果的に抑制しうるアイアン型ゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、ボールを打球するフェースを前面に有するフェース部と、シャフトが差し込まれるシャフト差込孔が設けられたホーゼル部とを含むアイアン型ゴルフクラブヘッドであって、前記フェースのロフト角が40〜68度であり、かつ前記シャフト差込孔の軸中心線を垂直面内に配しかつ水平面に対してそのライ角で傾けるとともに、前記フェースを前記垂直面に対してそのロフト角で傾けて該ヘッドを前記水平面に接地させた基準状態において、前記軸中心線上でのホーゼル部の上端から前記水平面までの長さであるホーゼル長さLhが、前記フェースのトウ・ヒール方向の長さであるフェース長さLfよりも大きいことを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記フェース長さLfと前記ホーゼル長さLhとの比(Lf/Lh)が0.50〜0.95である請求項1記載のアイアン型ゴルフクラブヘッドである。
また請求項3記載の発明は、前記ホーゼル長さLhが80〜120mmである請求項1又は2記載のアイアン型ゴルフクラブヘッドである。
また請求項4記載の発明は、前記基準状態において、ヘッド重心を通る垂直軸回りのヘッドの慣性モーメントが2900〜4200g ・ cm2 である請求項1乃至3のいずれかに記載のアイアン型ゴルフクラブヘッドである。
また請求項5記載の発明は、前記シャフト差込孔の軸中心線からヘッド重心までの最短距離である重心距離が30〜36mmである請求項1乃至4のいずれかに記載のアイアン型ゴルフクラブヘッドである。
請求項1記載の発明は、ホーゼル長さがフェース長さよりも大きい。このため、ヘッド重心がシャフト側に寄るため、ヘッドの重心距離が小さくなる。従って、スイング中のヘッドのブレが小さくなるので、インパクト瞬間のフェース位置のバラツキが減り、ひいてはシャンクが抑制される。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態のアイアン型ゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1をフェース側から見た正面図、図2はそれをソール面側から見た底面図、図3は図1のX−X断面図、図4は図1のヘッドをフェースと平行にソール面側から見た第2の底面図である。
図1は本実施形態のアイアン型ゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1をフェース側から見た正面図、図2はそれをソール面側から見た底面図、図3は図1のX−X断面図、図4は図1のヘッドをフェースと平行にソール面側から見た第2の底面図である。
前記ヘッド1は、フェース部1Aと、シャフト(図示省略)が挿入されるシャフト差込孔7を有する円筒状のホーゼル部1Bと、これらを滑らかに継ぎかつヒールHを有するネック部1Cとを含んで構成され、図1〜4のヘッド1は、いずれも基準状態に置かれている。
ここで、ヘッド1の基準状態とは、前記シャフト差込孔7の軸中心線CLを任意の垂直面VP1内に配しかつ水平面HPに対してそのライ角αで傾けるとともに、フェース2を前記垂直面VP1に対してそのロフト角(リアルロフト角であって、以下同じである。)βで傾けてヘッド1を水平面HPに接地させた状態とする。
そして、本明細書中で特に断りがない場合、ヘッド1は、基準状態に置かれているものとして説明される。また、ヘッド1に関して上下ないし高さ方向とは、前記基準状態のヘッド1に関しての上下ないし高さ方向を意味するものとする。同様に、ヘッド1に関して前後方向とは、相対的なものとして基準状態のヘッド1に関してフェース2側を前側、バックフェース3側を後側とする。同様に、ヘッド1のトウ・ヒール方向とは、前記基準状態おけるヘッド1に関して、前記垂直面VP1及び水平面HPにともに平行な方向とする。
本実施形態のヘッド1は、全てが金属材料で構成される。前記金属材料は、特に限定されないが、好ましくは軟鉄、ステンレス鋼、マルエージング鋼、純チタン、チタン合金又はアルミニウム合金等の1種又は2種以上が好ましい。ただし、一部に繊維強化樹脂及び/又はアイオノマー樹脂等が用いられても良いのは言うまでもない。これらは、例えば鍛造又は鋳造等によって、所定の形状に加工される。
前記フェース部1Aは、ボールを打球する面であるフェース2と、その反対側の面であるバックフェース3と、フェース2とバックフェース3との間をヘッド底面側で継ぐソール面4と、フェース2とバックフェース3との間をヘッド上面側で継ぐトップブレード面5と、フェース2とバックフェース3との間をヘッド先端側で継ぐトウ面6とを含む。このトウ面6は、最もヘッド先端側をなすトウTを含んでいる。
前記フェース2には、ボールとの摩擦を高めるためのインパクトエリアマーキングMが設けられる。前記インパクトエリアマーキングMとしては、例えば日本ゴルフ協会が定めたゴルフ規則IIの「5.クラブフェース」の項に記載されているように、溝及び/又は小さい点状のくぼみであるパンチマーク等が挙げられ、本実施形態ではトウ・ヒール方向にのびる溝8が複数本設けられる。本実施形態のフェース2は、前記インパクトエリアマーキングMを除いて実質的に単一の平面で形成される。つまり、フェースロールやフェースバルジは設けられていない。
前記インパクトエリアマーキングMは、その最もトウ側の位置et(この位置etは、インパクトエリアマーキングのトウ側の端の位置が異なる場合、その最もトウ側の端である。)と、最もヒール側の位置eh(この位置ehは、インパクトエリアマーキングのヒール側の端の位置が異なる場合、その最もヒール側の端である。)とを有する。
前記位置etから位置ehまでのトウ・ヒール方向の長さであるインパクトエリアマーキング領域長さE1は、好ましくは40mm以上、より好ましくは50mm以上が望ましく、また上限に関しては、好ましくは90mm以下、より好ましくは80mm以下、さらに好ましくは70mm以下が望ましい。このインパクトエリアマーキング領域長さE1が、小さすぎるとミスショット時にボールのバックスピン量が低下するおそれがある。
また、前記インパクトエリアマーキング領域長さE1は、フェース長さLfの60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上が望ましく、また、好ましくは100%以下、より好ましくは95%以下、さらに好ましくは90%以下が望ましい。
ここで、前記フェース長さLfは、図1に示されるように、フェース2の平面の中で最もトウ側の位置Ft(この例ではトウT)と、フェース2とネック部1Cとの境界で最もトウ側の位置Fhとの間のトウ・ヒール方向の長さとする。
また、本実施形態のヘッド1は、比較的大きなロフト角βを有するフェース2が示されている。前記ロフト角βは、好ましくは40度以上、より好ましくは50〜68度、特に好ましくは50〜65度程度が望ましい。このようなアイアン型ゴルフクラブヘッドは、一般にウエッジと称され、ピッチングウエッジ(β=42〜48度)、アプローチウエッジ(β=48〜54度)及び/又はサンドウエッジ(β=54〜66度)を少なくとも含む。このようなクラブは、主としてバンカーショット及びグリーンを直接狙うショットの際に利用される。
前記バックフェース3は、図2及び図3に示されるように、前記トップブレード面5からソール面4に向かってのびている上側部3aと、この上側部3aにコーナ部jを介して連なりかつソール面4のトレーリングエッジTeまでのびている下側部3bとを含む。
前記上側部3aは、ほぼフェース2と平行にのびるか又はソール面4に向かうに従いフェース2から離れる向きの傾きで滑らかにのびている(本実施形態では、前者である)。また、下側部3bは、前記フェース2から離れる向きの傾きを上側部3aよりも大きくして形成されている。これにより、フェース部1Aは、その上側を薄い厚さで、かつその下側を大きい厚さでそれぞれ形成されるため、ヘッド重心Gを好ましい低い位置に設けることができる。
前記ヘッド重心Gの高さHGは、特に限定されるものではないが、最適なボールのバックスピン量を得るために、好ましくは16.0mm以上、より好ましくは16.5mm以上が望ましく、また、上限に関しては、好ましくは20.0mm以下、より好ましくは19.0mm以下が望ましい。
また、図3に示されるように、ヘッド重心Gからフェース2に立てた法線が該フェース2と交わる点はスイートスポットSSと呼ばれる。フェース部1Aの前記スイートスポットSSでの厚さtは、特に限定されないが、好ましくは3mm以上、より好ましくは6mm以上が望ましい。このように、スイートスポットSSで十分な厚さtを有するヘッド1は、打球時にプレーヤの手指に伝えられる振動ないし感触(以下、これらを総称して「打球感」と呼ぶ。)を柔らかくし、かつ、打球時のヘッド1のブレを小さくしうる。これにより、打球の飛距離及び方向をよりコントロールしやすくし、ひいてはショットを安定させる。一方、スイートスポットSSでのフェース部1Aの厚さtが大きすぎると、ヘッドの重量バランスが悪化し、スイングしづらくなる傾向がある。このような観点より、前記厚さtは、好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下、さらに好ましくは10mm以下が望ましい。
さらに、図3に示されるように、ヘッド1は、フェース2とソール面4との境界をなすリーディングエッジLeと、バックフェース3とソール面4との境界をなす前記トレーリングエッジTeとを有する。言い換えると、ソール面4は、リーディングエッジLeとトレーリングエッジTeとの間の領域である。
各エッジLe及びTeは、前記垂直面VP1及び前記水平面HPにともに直交する第2の垂直面VP2でヘッド1を切断した切断面(これが図3に示されている。)において、明瞭なエッジ(稜線又は小さな曲率半径の円弧等)で定められる場合には、当該エッジによって特定される。
ただし、図5(A)、(B)に示されるように、ソール面4の前後の輪郭形状が、曲率半径の大きい円弧からなる等により明瞭なエッジが特定できない場合、前記切断面において最も前方に突出した位置をリーディングエッジLeとして、またフェース2から直角方向に最も離間する位置ZをトレーリングエッジTeとしてそれぞれ定める。
また、図3に示されるように、ソール面4には、バンスが設けられる。バンスは、リーディングエッジLeよりもトレーリングエッジTeを水平面HPに接近させるような傾きを持った膨らみである。このようなバンスは、図3に示されるように、正のバンス角θを有する。該バンス角θは、ソール幅Wの中間位置Cにあるソール面4上の点Aを通る接線Naと、水平面HPとのなす角度θであり、トレーリングエッジTeからリーディングエッジLeに向かって上向きを正とする角度である。また、前記ソール幅Wは、図3に示されるように、リーディングエッジLeからトレーリングエッジTeまでの水平方向の長さとする。
前記バンスは、例えばバンカーショットの際、砂面と衝突することでヘッドを地面から適度に跳ね返らせ該ヘッドが砂中に深く潜るのを防ぐ。これにより、ヘッドは、ボールの下の砂を薄く削り取るように移動できるとともに、ヘッドによって叩かれた砂の勢いによってボールが適度な飛距離で軟らかく打ち出しされる(前記エクスプロージョンショット。)。また、芝生上からのアプローチショット等においても、バンスは、ヘッドが地面に深く突き刺さるのを防止できる。
他方、バンスはエクスプロージョンショット等の操作性を高めるものではあるが、そのバンス角θが大きすぎると、ソール面4が地面と過度に干渉し易くなり、特に芝生上からのショットの振り抜き性が悪化しやすい。逆にバンス角θが小さすぎると、バンカーショット等においてヘッド1が砂中に深く潜り込んでしまい、エクスプロージョンショットの操作性が悪化する。このような観点より、前記バンス角θは、好ましくは2度以上、より好ましくは4度以上が望ましく、他方において、好ましくは18度以下、より好ましくは15度以下、さらに好ましくは12度以下が望ましい。
なお、アイアン型ゴルフクラブヘッドの例えばメーカーカタログ等には、各クラブヘッドのバンス角が表示されることがあり、これは、一般に「表示バンス角」と呼ばれる。しかしながら、この表示バンス角は、測定方法が一義的ではなく、また数値が丸められて表示される場合が多いので、バンス角は、上述の方法で測定されるものとする。なお、表示バンス角と本明細書で用いられる実測定バンス角とは1ないし2度程度のずれが含まれる場合が多い。
正のバンス角θを有するものであれば、図3で見られるようなバンスの断面形状は特に限定されないが、好ましくは芝生上からのショットにおいて、ソール面4と地面との引っかかりを防止しつつバンカーでの作用を十分に発揮させるために、水平面HPに向かって凸となる滑らかな円弧状の凸曲線で形成されるのが望ましい。
また、本実施形態のヘッド1において、前記バンスは、ショットの際に最も良く地面と接触しやすい領域である第1の領域Yのソール面4に少なくとも形成されるのが望ましい。つまり、第1の領域Yに含まれるソール面4は、トウ・ヒール方向に亘って正のバンス角θを有し、リーディングエッジLeがトレーリングエッジTeよりも高い位置に設けられている。
発明者らの種々の実験等により、前記第1の領域Yは、フェース2のトウ・ヒール方向の中間位置Pcからトウ側に25mmを隔てたトウ側基準位置Ptと、前記フェースの中間位置Pcからヒール側に25mmを隔てたヒール側基準位置Phとの間の領域として定められる。また、前記フェース2の中間位置Pcとは、前記インパクトエリアマーキング領域長さE1のトウ・ヒール方向の中間位置として定められる。
このように、地面との主たる接触領域である第1の領域Yのソール面4のトウ・ヒール方向の全域にバンスが設けられることにより、その効果を確実に発揮させ、ひいてはエクスプロージョンショットやロブショット等の操作性を向上し得る。このような観点より、バンスは、前記インパクトエリアマーキング領域長さE1をのびるソール面4の全領域に形成されることが望ましい。
また、本実施形態のヘッド1は、図1に示されるように、シャフト差込孔7の軸中心線CL上でのホーゼル部1Bの上端1BUから水平面HPまでの長さであるホーゼル長さLhが、前記フェース長さLfよりも大きく形成される。
通常、この種のアイアン型ゴルフクラブヘッドは、ホーゼル長さLhよりもフェース長さLfが大きく形成されているので、大きな重心距離GL(図1に示されるように、シャフト差込孔7の軸中心線CLからヘッド重心Gまでの最短距離として定義される。)を持つものが多い。そして、重心距離GLが大きなヘッドは、スイング中、ゴルファのスイングのくせやスイングのブレ等に基づいて、該ヘッド1がシャフトを撓ませながらトウ・ヒール方向にぶれやすくなる。そして、ボールを打つ瞬間にヘッドが目標位置よりもトウ側にぶれた場合には、ヘッド1のネック部1C付近でボールを打球し前記シャンクを生じさせやすいという傾向がある。
これに対して、本発明のヘッド1では、ホーゼル長さLhがフェース長さLfよりも大きく形成されているため、ヘッド重心Gをホーゼル部側に寄せることができ、ひいては重心距離GLを従来に比して小さくできる。これにより、本実施形態のヘッド1は、小さな重心距離GLを持つことができるので、スイング中のヘッドのブレが小さくなり、ひいてはインパクト瞬間のフェース位置のバラツキを低減できる。これにより、シャンクの発生を抑え得る。
ここで、前記フェース長さLfと前記ホーゼル長さLhとの比(Lf/Lh)は、特に限定されるわけではないが、この比が大きくなると、スイング時のヘッドの軌道が不安定になりシャンクが生じやすくなる傾向がある。逆に、前記比を小さくしすぎてもフェースが小型化し、フェース有効長が小さくなって同様にシャンクが発生しやすい傾向がある。このような観点より、前記比(Lf/Lh)は、好ましくは0.50以上、より好ましくは0.67以上、さらに好ましくは0.71以上が望ましく、また、好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.90以下、特に好ましくは0.80以下が望ましい。
前記ホーゼル長さLhも特に限定されないが、小さすぎると、ヘッドの重心距離が小さくなってシャンクが生じやすくなり、逆に大きすぎるとヘッド重心Gの高さHGやヘッド重量が大きくなってしまい、バランス等を悪化させスイングしづらくなる。このような観点より、ホーゼル長さLhは、好ましくは80mm以上、より好ましくは82mm以上、さらに好ましくは90mm以上が望ましく、また上限に関しては、好ましくは120mm以下、より好ましくは102mm以下が望ましい。
また、フェース長さLfも特に限定されないが、小さすぎると、フェース2の実効長さが小さくなるのでシャンクを招きやすくなり、逆に大きすぎるとヘッド重量が大きくなり、かつ、重心距離も大きくなりやすい。このような観点より、フェース長さLfは、好ましくは60mm以上、より好ましくは65mm以上、さらに好ましくは70mm以上が望ましく、上限に関しては、好ましくは90mm以下、より好ましくは80mm以下が望ましい。
以上のようなホーゼル長さが最適化されたヘッド1は、好ましくは36.0mm以下、より好ましくは35.5mm以下、さらに好ましくは35.0mm以下の重心距離GLを持つように構成できる。これによって、スイング中のヘッドの軌道をより確実に安定させ、そのブレを低減できる。他方、重心距離GLが小さすぎても、スイートスポットSSが過度にヒール側に位置してしまい、フェースの中間位置付近で打撃した際に打球の方向性が悪化しやすくなる。このような観点より、重心距離GLは、好ましくは30mm以上、より好ましくは31.0mm以上、さらに好ましくは32.0mm以上が望ましい。
また、ヘッド1は、ヘッド重心Gを通る垂直軸回りの慣性モーメントが、好ましくは2900g ・ cm2 以上、より好ましくは3000g ・ cm2 以上、さらに好ましくは3100g ・ cm2 以上が望ましい。これによって、スイング時のヘッドの軌道がさらに安定してシャンク等の発生がより一層抑制される他、ミスショット時のヘッドのブレが低減され打球の方向性が安定する。なお、前記慣性モーメントが大きすぎる場合、ホーゼル部1Bの重量が著しく大きくなる傾向があるので、好ましくは4200g ・ cm2 以下、より好ましくは4100g ・ cm2 以下、さらに好ましくは4000g ・ cm2 以下が望ましい。
表1の仕様に基づいたアイアン型ゴルフクラブについて、性能テストが行われた。各テストクラブの主な共通仕様は次の通りである。
クラブ全長:35インチ
ヘッド材料:軟鉄(S25C)の鍛造品
ヘッド重量:300g
リアルロフト角:58度
ソール面のバンス角:8度
フェース長さLf:75mm
インパクトエリアマーキング領域長さE1:52mm
シャフト:スチール(ダイナミックゴールドS400 トゥルーテンパー社製)
グリップ:ラバーグリップ(コード及びバックラインともに無し)
クラブ全長:35インチ
ヘッド材料:軟鉄(S25C)の鍛造品
ヘッド重量:300g
リアルロフト角:58度
ソール面のバンス角:8度
フェース長さLf:75mm
インパクトエリアマーキング領域長さE1:52mm
シャフト:スチール(ダイナミックゴールドS400 トゥルーテンパー社製)
グリップ:ラバーグリップ(コード及びバックラインともに無し)
また、性能テストは、10名のプロゴルファが、各テストクラブでそれぞれ約10ヤード離れたグリーン上のピンを狙って、バンカー及び芝生上からショットを行った。そして、各ショットを5球ずつ行い、テスターの官能により表中記載の項目について評価した。評価は、最高点を10点、最低点を1点とした10段階とし、かつ、比較例の全ての項目を5点とする相対的なものとした。そして、各テスターの平均値が表示された。いずれも数値が大きいほど良好である。
テストの結果などを表1に示す。
テストの結果などを表1に示す。
テストの結果、実施例のヘッドは、比較例のヘッドに比べて振り抜きやすき、かつ、シャンクが生じにくいことが確認された。
1 アイアン型ゴルフクラブヘッド
1A フェース部
1B ネック部
1C ホーゼル部
2 フェース
3 バックフェース
4 ソール面
7 シャフト差込孔
Pc フェースの中間位置
Pt トウ側基準位置
Ph ヒール側基準位置
HP 水平面
CL シャフト差込孔の軸中心線
Lf フェース長さ
Lh ホーゼル長さ
1A フェース部
1B ネック部
1C ホーゼル部
2 フェース
3 バックフェース
4 ソール面
7 シャフト差込孔
Pc フェースの中間位置
Pt トウ側基準位置
Ph ヒール側基準位置
HP 水平面
CL シャフト差込孔の軸中心線
Lf フェース長さ
Lh ホーゼル長さ
Claims (5)
- ボールを打球するフェースを前面に有するフェース部と、シャフトが差し込まれるシャフト差込孔が設けられたホーゼル部とを含むアイアン型ゴルフクラブヘッドであって、
前記フェースのロフト角が40〜68度であり、かつ
前記シャフト差込孔の軸中心線を垂直面内に配しかつ水平面に対してそのライ角で傾けるとともに、前記フェースを前記垂直面に対してそのロフト角で傾けて該ヘッドを前記水平面に接地させた基準状態において、
前記軸中心線上でのホーゼル部の上端から前記水平面までの長さであるホーゼル長さLhが、前記フェースのトウ・ヒール方向の長さであるフェース長さLfよりも大きいことを特徴とするアイアン型ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース長さLfと前記ホーゼル長さLhとの比(Lf/Lh)が0.50〜0.95である請求項1記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
- 前記ホーゼル長さLhが80〜120mmである請求項1又は2記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
- 前記基準状態において、ヘッド重心を通る垂直軸回りのヘッドの慣性モーメントが2900〜4200g ・ cm2 である請求項1乃至3のいずれかに記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
- 前記シャフト差込孔の軸中心線からヘッド重心までの最短距離である重心距離が30〜36mmである請求項1乃至4のいずれかに記載のアイアン型ゴルフクラブヘッド。
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