JP2008069893A - 防音構造 - Google Patents

Abstract

【課題】動力源または動力伝達装置のケースの内面に突設されるリブを利用して少ない部品点数の小型で低コストの防音構造を供する。
【解決手段】動力源または動力伝達装置のケース30の内面に突出されるリブ35が単数または複数の筒体を形成して突出され、リブ35による単数または複数の筒体のケース30内方に向いた開口を蓋部材36が覆って単数または複数の筒体内空間37が形成され、蓋部材36に穿設された孔36ａにより単数または複数の筒体内空間37とケース30の内部空間とが連通された防音構造。
【選択図】図３

Description

本発明は、動力源やその動力伝達装置の防音構造に関する。

この種の防音構造としては、作業機の原動部を覆うカバー構造が特許文献１に開示されている。
特開２００２−３１７４６３号公報

同特許文献の実施例に開示されたカバー構造は、内壁と外壁が中空部を間に形成した２重構造のカバーであり、内壁に孔を設けて共鳴によって作動音を減衰させるレゾネータを構成するものである。

原動部を構成するケースではなく、原動部を覆うカバーに防音構造が構成されているので、カバーを必要としないものでは、防音のために特別にカバーを設けることになって、カバーによってスペースを取られ大型化するとともに、部品点数が増え、コスト高となる。
カバー自体が２重構造でレゾネータとしての効果を得るため中空部の容積を確保しようとすると、カバーの厚みが増し、益々大型化することになる。

本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、動力源または動力伝達装置のケースの内面に突設されるリブを利用して少ない部品点数の小型で低コストの防音構造を供する点にある。

上記目的を達成するために、請求項１記載の発明は、動力源または動力伝達装置のケースの内面に突出されるリブが単数または複数の筒体を形成して突出され、前記リブによる単数または複数の筒体のケース内方に向いた開口を蓋部材が覆って単数または複数の筒体内空間が形成され、前記蓋部材に穿設された孔により前記単数または複数の筒体内空間と前記ケースの内部空間とが連通された防音構造とした。

請求項２記載の発明は、請求項１記載の防音構造において、前記ケースが、内燃機関の動力を伝達するベルト式無段変速機を収容する伝動ケースであることを特徴とする。

請求項３記載の発明は、請求項１または請求項２記載の防音構造において、前記リブは、前記ケースの内面に直線状をなして複数形成され、平行な複数のリブとこれら複数のリブと交差する平行な複数のリブとにより単数または複数の四角筒状の前記筒体が形成されることを特徴とする。

請求項１記載の防音構造によれば、動力源または動力伝達装置のケースの内面に突出されるリブが形成する筒体の開口を、蓋部材が覆って筒体内空間を形成し、蓋部材に穿設された孔により筒体内空間とケースの内部空間とが連通しているので、共鳴によって作動音を減衰させるレゾネータを構成して防音効果を持たせることができる。

別途防音カバーを設けることなく、ケースの内面に突出されるリブを利用してレゾネータを構成しているので、小型であり、少ない部品点数の低コストの防音構造とすることができる。

請求項２記載の防音構造によれば、内燃機関の動力を伝達するベルト式無段変速機を収容する伝動ケースに適用することで、伝動ケースの内面に突設されるリブを利用したレゾネータを構成するので、レゾネータをケース外側に張り出して構成することなく大型化を回避し、高い防音効果を得ることができる。

請求項３記載の防音構造によれば、リブがケースの内面に直線状をなして複数形成され、平行な複数のリブとこれら複数のリブと交差する平行な複数のリブとにより単数または複数の四角筒状の筒体を形成するので、ケースの補強機能が強化され、かつ多数の四角筒状の筒体を容易に形成することができ、高い防音効果が期待できる。

以下、本発明に係る一実施の形態について図１ないし図４を参照して説明する。
本実施の形態に係る防音構造は、自動二輪車１に搭載されるパワーユニットＰの伝動ケースに適用したものである。

図１は、その自動二輪車１の全体側面図である。
車体フレームＦを車体カバーＣが覆って車体を構成し、車体フレームＦに支持されるパワーユニットＰは、水冷式の単気筒４ストローク内燃機関Ｅと同内燃機関Ｅから左側に偏って後方に延設されるベルト式無段変速機Ｔとからなり、内燃機関Ｅのクランク軸25が車幅方向に指向する横置き姿勢で車体フレームＦに搭載される。
なお、この実施形態において、上下、前後および左右は、自動二輪車１を基準としたものとする。

車体フレームＦは、前端部のヘッドパイプ２と、ヘッドパイプ２から下方に傾斜して後方に延びる左右１対のメインフレーム３と、ヘッドパイプ２からほぼ鉛直下方に延びた後に屈曲してほぼ水平に後方に延びてメインフレーム３の後部に接続される左右１対のダウンチューブ４と、メインフレーム３の中央部よりもやや後部寄りに接続されて上方に傾斜して後方に延びる左右１対のシートレール５と、メインフレーム３の後部とシートレール５の後部とを連結する左右１対のリヤフレーム６とを備える。

ヘッドパイプ６に回動自在に支持されたフロントフォーク11の下端に前輪12が軸支され、パワーユニットＰの後方に延設されるベルト式無段変速機Ｔの後部の減速ギヤ機構に後輪13が軸支されている。
フロントフォーク６と一体のステアリングシャフト14の上端に左右に展開してハンドル15が設けられている。

パワーユニットＰは、その前部の内燃機関Ｅが車体中央部で車体フレームＦに揺動可能に支持され、ベルト式無段変速機Ｔの後端部と、タンデム型のシート16を支持するシートレール５との間にリヤクッション17が介装されている。

パワーユニットＰの一部省略した全体側面図である図２を参照して、パワーユニットＰのユニットケースは、前部が内燃機関Ｅのクランクケース20を構成し、クランクケース20から前方に突出してシリンダブロック21、シリンダヘッド22、シリンダヘッドカバー23が順次重ねられ配置され、相互に一体に結合されている。

ユニットケースは、左右割りに構成され、クランクケース20の一部をなす左側ユニットケースが、後方に延出してベルト式無段変速機Ｔを収容する伝動ケース30を構成している。
伝動ケース30は、前後に長尺であり、左方に向けて開放していて、伝動ケースカバー40が左方から覆い、内部にベルト式無段変速機Ｔを収容する動力伝達室41が形成される。

図２は、伝動ケースカバー40を取り外した状態のパワーユニットＰの側面図である。
動力伝達室41の前側において、内燃機関Ｅのクランクケース20に左右方向に指向して軸支されたクランク軸25の左端には駆動プーリ26が設けられ、動力伝達室41の後側には被動軸27が軸支されていて同被動軸27に被動プーリ28が設けられている。
前側の駆動プーリ26と後側の被動プーリ28との間にＶベルト29が架渡されてベルト式無段変速機Ｔが構成されている。

伝動ケース30は、このベルト式無段変速機Ｔの周囲を外周壁31が囲繞し、外周壁31の左端面が、伝動ケースカバー40との合せ面31ａとなっている。
図３は、伝動ケース30の左側面図であり、動力伝達室41が示されており、同伝動ケース30の断面図を図４に示す。

同図３および図４を参照して、伝動ケース30の外周壁31に囲まれた鉛直の側壁32は、前側にクランク軸25が貫通する軸受円孔33があり、後側に減速ギヤ機構を収容する凹部34が形成されており、この軸受円孔33と凹部34との間の内面32ａには、複数のリブ35が突出形成されて伝動ケース30の剛性と強度を保っている。

伝動ケース30の側壁32の内面32ａに突出形成されるリブ35は、直線状に形成され、平行な複数のリブ35とこれら複数のリブ35と交差する平行な複数のリブ35とにより複数の四角（菱形）筒状の筒体が形成されている。

リブ35の端面は概ね同一平面をなし、部分的に平板状の蓋部材36がリブ35の端面に当接されて、複数の筒体の開口を同時に覆い、筒体ごとに筒体内空間37を形成している。
蓋部材36は、周縁部４箇所をねじ45で固着されて取り付けられる。

なお、伝動ケース30の内面32ａには一部左方に向けて伝動ケースカバー40の取り付けに使用する取付ボス部39が突出形成されており、蓋部材36には取付ボス部39が貫通する貫通孔が形成されていて、蓋部材36のリブ35上への取り付けにより取付ボス部39が貫通孔を貫通して左方に突出している。

また、蓋部材36には各筒体内空間37に対応して円孔36ａが１つずつ穿設され、円孔36ａにより伝動ケース30の内側の動力伝達室41と筒体内空間37とが連通している。
すなわち、ベルト式無段変速機Ｔを収容する伝動ケース30の内面32ａに、リブ35を利用して複数に区画して形成された筒体内空間37が円孔36ａにより動力伝達室41と連通して設けられ、複数の筒体内空間37がレゾネータＲを構成している。

したがって、この伝動ケース30の内面32ａに構成されたレゾネータＲにより内燃機関Ｅやベルト式無段変速機Ｔ等の作動音を共鳴によって減衰させることができる。
筒体内空間37の容積や数および円孔36ａを適正に設定することで、機関音や変速機音の特定の周波数の音を共鳴により効果的に減衰させることができる。

伝動ケース30は、ベルト式無段変速機Ｔを収容するものであるが、ベルト式無段変速機Ｔを構成するケースでもあり、かかる伝動ケース30にレゾネータＲが形成された防音構造であり、別途カバーを設けて同カバーにレゾネータを形成するものではないので、パワーユニットＰを大型化することはない。

伝動ケース30の内面32ａに突出形成されるリブ35を利用してレゾネータＲを構成しているので、部品点数が少なく、低コストの防音構造とすることができる。
伝動ケース30の内面にリブ35を利用してレゾネータＲが構成されるので、レゾネータをケース外側に張り出して構成することなく伝動ケース30の大型化を回避し、より音源に近い伝動ケース30の内面のレゾネータＲにより消音して高い防音効果を得ることができる。

リブ35が伝動ケース30の内面32ａに直線状をなして複数形成され、平行な複数のリブ35とこれら複数のリブ35と交差する平行な複数のリブ35とにより複数の四角（菱形）筒状の筒体を形成するので、ケースの補強機能が強化され、かつ複数の筒体により多数の筒体内空間37を容易に形成することができ、最も効果的な設定により高い防音効果が期待できる。

蓋部材36の形状を変えることで、筒体の開口を塞いで形成する筒体内空間37の数を簡単に変えることができ、また蓋部材36に形成される円孔36ａの大きさも簡単に変えることができ、機種の異なるパワーユニットＰに簡単に適用することができる。

筒体の開口の形状に形成し中央に孔を穿設した蓋部材を、各筒体の開口にそれぞれ嵌着するようにして複数の筒体内空間を形成するようにしてもよく、蓋部材の取り付けは種々の方法が考えられる。

本発明の一実施の形態に係る防音構造が適用されたパワーユニットを搭載した自動二輪車の全体側面図である。 同パワーユニットの一部取り外した側面図である。 伝動ケースの左側面図である。 同断面図（図３におけるIV−IV線断面図）である。

符号の説明

Ｆ…車体フレーム、Ｃ…車体カバー、Ｐ…パワーユニット、Ｅ…内燃機関、Ｔ…ベルト式無段変速機、Ｒ…レゾネータ、
１…自動二輪車、20…クランクケース、25…クランク軸、26…駆動プーリ、27…被動軸、28…被動プーリ、29…Ｖベルト、
30…伝動ケース、31…外周壁、32…側壁、32ａ…内面、33…軸受円孔、34…凹部、35…リブ、36…蓋部材、36ａ…円孔、37…筒体内空間、40…伝動ケースカバー、41…動力伝達室、45…ねじ。

Claims (3)

1. 動力源または動力伝達装置のケースの内面に突出されるリブが単数または複数の筒体を形成して突出され、
   前記リブによる単数または複数の筒体のケース内方に向いた開口を蓋部材が覆って単数または複数の筒体内空間が形成され、
   前記蓋部材に穿設された孔により前記単数または複数の筒体内空間と前記ケースの内部空間とが連通されたことを特徴とする防音構造。
2. 前記ケースは、内燃機関の動力を伝達するベルト式無段変速機を収容する伝動ケースであることを特徴とする請求項１記載の防音構造。
3. 前記リブは、前記ケースの内面に直線状をなして複数形成され、
   平行な複数のリブとこれら複数のリブと交差する平行な複数のリブとにより単数または複数の四角筒状の前記筒体が形成されることを特徴とする請求項１または請求項２記載の防音構造。

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