JP2007039684A - 複合圧力容器または複合管状体ならびに複合中間物 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維強度発現率の優れた圧力容器又は複合管状体を得ること。
【解決手段】少なくとも1種の繊維と、少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の界面活性オリゴマーまたはポリマーとを含むプリプレグまたはプリプレグトウ;少なくとも1種の繊維と少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂の固形分を基準にして1〜10質量%の少なくとも1種の分子量が5,000から30,000である界面活性オリゴマーまたはポリマーとを含む繊維強化複合材料;繊維と、少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の界面活性オリゴマーまたはポリマーとを含む強化された繊維;内側シェルまたはライナと接触した上記の強化繊維を含む圧力容器または複合管状体。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリプレグトウプロセスを使用して製造された複合圧力容器、複合管状体および/または複合中間物、これらに使用される強化繊維およびプリプレグトウ、ならびにこれらの製造および使用方法に関する。
近年、CNG(圧縮天然ガス)タンク、例えば消防士が使用する呼吸用酸素タンク、例えば燃料電池用の水素貯蔵タンク、沖合パイプ、フライホイールロータなどの応用で、複合成形品がますます使用されている。これらの成形品は一般に、フィラメントワインディング法によって製造される。
フィラメントワインディング法は、円筒形または球形の成形品の製造に適しており、また、自動製造プロセスを容易にするのでこの方法は非常に有利である。さらにこの方法では、例えば通常の金属の代わりに複合材料を使用することによって、成形品の重量を大幅に低減することができる。
フィラメントワインディング法では一般に、低粘度樹脂を含む含浸浴に強化用の繊維(強化繊維)を浸し、過剰な樹脂を除去した後にこの強化繊維をマンドレルまたは型に巻きつけて、圧力容器または管状体を製造する。
圧力容器では、貯蔵された圧縮液体または気体が漏れないように、プラスチック製または金属製のライナが使用され、このライナの外側シェルに強化繊維を巻きつけてライナの強度を高める。
「湿式」フィラメントワインディング法では、樹脂が含浸されていない強化繊維に、現場で形成した樹脂を含浸して、強化繊維を形成する。次いで、この強化繊維を、先に述べたライナなどのマンドレルに巻きつける。湿式フィラメントワインディング法は今もなお主流のプロセスとして使用されている。
フィラメントワインディングでは主にエポキシ樹脂が樹脂として使用される。含浸を容易にするため一般に低粘度樹脂が使用される。湿式フィラメントワインディング法では樹脂組成物、硬化剤または触媒が一般に、硬化反応が室温で徐々に進むように選択される。
上述の樹脂は小型成形品の製造に適している。しかし、例えば大型の複合構造物を製造するときには、ワインディングの完了までに時間がかかり、したがって、硬化反応が室温で進行するこのような樹脂の使用が問題になる。この問題を解決するため、いわゆる「プリプレグトウ」が使用されることがある。
プリプレグトウでは一般に、潜在性硬化剤(latent curing agent)または潜在硬化特性を有する樹脂組成物が選択され、これらは低温または室温で保管される。潜在硬化特性のため、硬化反応は非常にゆっくりと進み、たとえワインディングが室温で実施されたとしても樹脂の増粘は起こらない。さらに、湿式法の樹脂と比べると、プリプレグトウ樹脂は一般に相対的に高い粘度を有するので、プリプレグトウ樹脂のほうがロールまたはガイドに付着しにくい。しかし、たとえプリプレグトウ樹脂がロールまたはガイドに付着したとしても、先に述べたとおり樹脂の増粘は起こらない。したがって、溶剤または溶剤樹脂除去の必要は最小限に抑えられる。したがって、大型の成形品を容易かつ非常に効果的に製造することができる。
圧力容器は、ガソリンの代替エネルギー源の貯蔵および/または保管に特に適しているので、多くの関心を集めている。これらの圧力容器はこれまで、重い金属材料を用いて製造されてきた。金属圧力容器を自動車に使用すると運転費は高くなり、有効積載量は制限されざるを得ない。複合圧力容器を使用すると軽量の容器で高破裂圧力を実現できることが分かり、これによって完全複合または部分複合圧力容器が使用されるようになった。
圧力容器の重量を最小化する努力が続けられた。最も重要な要件の1つは、使用する特定の強化繊維の繊維強度発現率をできるだけ大きくし、必要な材料の量をできるだけ抑えることである。
複合圧力容器の製造に関連したこれまでの問題の1つは、圧力容器の実質の引張強度(フープ引張強度)が、強化繊維の引張強度(ストランド引張強度)よりも弱くなることである。複合容器の一般的な性能標準は、強化繊維の強度から複合圧力容器中のフープ繊維の引張強度への高い変換(繊維強度発現)を示すことである。繊維強度発現率は、圧力容器の設計重量強度および材料コストに直接に影響する。繊維強度発現率が数パーセントでも上昇すると、コストの面で非常に有利である。そのため、複合圧力容器のフープ繊維の引張強度を増大させることが極めて重要である。
米国特許第5356499号は、強化繊維で強化された圧力容器のフープ繊維の破裂圧力、またはそれから計算される強化繊維の繊維強度発現率は、予めその粘度を化学的に調整した樹脂組成物に適当な量の界面活性剤を加えることによって向上すると報告している。この特許によれば、界面活性剤を使用すると、使用しない場合に比べて、繊維強度発現率が著しく増大し、適当な量の界面活性剤の使用、特にプリプレグトウの使用によって破裂圧力のその変動係数(CV)は最小化される。この技法では、室温硬化剤と潜在硬化剤の組合せ、室温硬化剤を用いた樹脂粘度の適当な調整、および約1%以下の量の界面活性剤が、複合圧力容器の繊維強度発現率の向上に貢献する。しかし、繊維強度発現率のレベルはせいぜい90%であり、更なる改良の余地は残っている。
米国特許第5356499号明細書
したがって、本発明の1つの目的は上述の問題を解決することにある。
本発明の他の目的は、フープ繊維の繊維強度発現率が向上したプリプレグトウを使用した複合圧力容器または複合管状体を提供することにある。
本発明の他の目的は、環境に優しい方法で製造することができるプリプレグトウを使用した複合圧力容器または複合管状体を提供することにある。
これらの目的および他の目的は本発明によって達成された。本発明の最初の実施形態は複合圧力容器または複合管状体を提供する。この複合圧力容器または複合管状体は、
少なくとも1種の繊維を未硬化の熱硬化性樹脂と接触させて、コーティングされた繊維を形成する段階と、
前記コーティングされた繊維を外側シェル、型、ライナまたはマンドレルに巻きつける段階と、
樹脂を硬化させる段階と
を含むプロセスによって得られたプリプレグトウ巻回物を含み、
前記未硬化の熱硬化性樹脂が、少なくとも1種の界面活性オリゴマーまたはポリマーを含む。
本発明の他の実施形態は、プリプレグトウおよび/またはプリプレグを製造するためのプロセスを提供する。このプロセスは、
少なくとも1種の強化繊維を、
熱硬化性樹脂、および
水性媒体
を含む水性組成物
と接触させて、コーティングされた繊維を形成する段階と、
コーティングされた繊維から水性媒体を蒸発させる段階と
を含む。
本発明の他の実施形態は、プリプレグトウおよび/またはプリプレグを製造するためのプロセスを提供する。このプロセスは、
少なくとも1種の強化繊維を製造する段階と、
強化繊維を、
熱硬化性樹脂、および
水性媒体
を含む水性組成物
と接触させて、コーティングされた繊維を形成する段階と、
コーティングされた繊維から水性媒体を蒸発させる段階と
を含む。
本発明の他の実施形態は、少なくとも1種の繊維と、少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の界面活性オリゴマーまたはポリマーとを含むプリプレグまたはプリプレグトウを提供する。本発明の他の実施形態は、少なくとも1種の繊維と少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂の固形分を基準にして1〜10質量%の少なくとも1種の分子量が5,000から30,000である界面活性オリゴマーまたはポリマーとを含む繊維強化複合材料を提供する。また、本発明の他の実施形態は、少なくとも1種の熱硬化性樹脂、少なくとも1種の水性媒体、及び、少なくとも1種の分子量が5,000から30,000である界面活性オリゴマー又はポリマーを前記熱硬化性樹脂の固形分を基準にして1〜10質量%含む水性組成物により少なくとも1種の繊維を被覆する工程と、前記被覆工程後に前記水性媒体を除去する工程とを含む繊維強化複合材料の製造方法を提供する。
本発明の他の実施形態は、繊維と、少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の界面活性オリゴマーまたはポリマーとを含む強化された繊維を提供する。
本発明の他の実施形態は、内側シェルまたはライナと接触した上記の強化繊維を含む圧力容器または複合管状体を提供する。
本発明によって、環境に優しいプロセスが可能となり、複合圧力容器または複合管状体のフープ繊維の繊維強度発現率が大幅に向上する。
本発明および付随する本発明の多くの利点のより完全な理解は、以下の詳細な説明を参照し、添付図面とともに検討することによって本発明をより深く理解したときに自ら得られよう。
本発明のさまざまな他の目的、特徴およびその付随する利点は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から本発明の理解がより深まったときに、より完全に理解される。
本発明は、1層または数層のフープ層として巻きつけられた強化繊維が、送出された強化繊維の引張強度に対して、高い達成率(後述する繊維強度発現率の割合が高い)で、フープ強度としての引張強度を示す圧力容器または複合管状体に関する。より具体的には本発明は、プリプレグトウを使用して複合圧力容器または複合管状体を製造するときに、複合容器または複合管状体の強度、実質的には複合圧力容器または複合管状体の中での繊維強度発現率を向上させるのに最も適した樹脂、界面活性添加剤、複合材料の強度、未硬化樹脂の粘度、樹脂含有率、およびその複合中間物に関する。
本発明まで、プリプレグトウは、有機溶剤を使用して熱硬化性樹脂の粘度を下げ、この熱硬化性樹脂を強化繊維に含浸し、次いで溶剤を揮発させ乾燥させる方法によって形成されてきた。環境問題に関連した近年の溶剤の規制、溶剤回収および溶剤回収装置の高いコスト、および残留溶剤によって複合製品に欠陥が生じる懸念を考慮して、溶剤を使用しない方法が使用されている。
本発明では、熱硬化性樹脂と共に界面活性ポリマーまたはオリゴマーを使用し、希釈剤として水性媒体を使用する。水性媒体の例には、水、及び、メタノール、エタノール等の低級アルコールのような水混和性媒体、並びに、水と水混和性媒体との混合物が含まれるが、好ましくは、水性媒体は水である。本発明で使用する熱硬化性樹脂、水性媒体、界面活性ポリマーまたはオリゴマーを含む水性(樹脂)組成物は、水溶液、水性懸濁液又は水性乳濁液(連続水性相を有する)のいずれの形態をもとることができる。
プリプレグトウを製造する図1に示した好ましいプロセスでは、界面活性ポリマーまたはオリゴマーを含む水を媒体とする樹脂水溶液を樹脂タンク5に入れ、この溶液を定量ポンプを用いて強化繊維束に供給する。樹脂含浸ロール3を使用して樹脂水溶液を繊維に十分に含浸した後、炉6を用いて加熱により水を蒸発させる。
この樹脂水溶液等の水性組成物のこの時点での水性媒体含量は、水性組成物の重量を基準にして90%以下であることが好ましい。水性媒体含量は、水性組成物の重量を基準にして50%以下であることがより好ましく、40%以下であることがなお好ましく、30%以下であることが特に好ましく、20%以下であることが最も好ましい。これらの範囲には、89、80、75、61、60、59、55、51、47、45、42、38、35、25、18、15、10、9、5および2%を含む、その間の全ての値および部分範囲が含まれる。
繊維と接触し、または繊維に含浸する水性組成物の粘度は、1から10,000cpsであることが好ましい。粘度が10から1,000cpsであることがより好ましく、50から100cpsであることがなお好ましい。これらの範囲には、2、15、25、75、200、500、750、1,500、5,000、7,500および9,000cpsを含む、その間の全ての値および部分範囲が含まれる。
強化繊維中の樹脂量の制御には、それぞれの重量で定量ポンプを使用することが好ましい。シムまたはニードル弁で制御することによっても、それぞれの重量の樹脂を配分することができる。樹脂含有率のインライン検出を用いたシムまたはニードル弁によるフィードバック制御も好ましい。最も単純でかつ好ましい方法は歯車ポンプを使用する方法である。定量ポンプによる方法とシムまたはニードル弁を使用した制御方法とを組み合わせることも可能である。
樹脂の量を制御する従来の方法では、樹脂を過剰に付着させ、次いで過剰な樹脂を圧搾して除去する。この方法に比べ、一定量を供給する方法では、供給される樹脂の量をそれぞれの重量に制御しやすく、さらに圧搾段階が排除される。これによって、繊維を傷つける可能性を減らし、製造速度を高めることができ、したがって好ましい。
樹脂の含浸では、一定に供給される樹脂が繊維束に連続的に接触(付着)して含浸を始めることが特に好ましい。樹脂を接触させ含浸するための装置は、樹脂を連続的に供給する装置であることが好ましく、流れる樹脂は、連続的に供給でき、特に含浸の開始時に強化繊維維束と効率的に接触する樹脂であることが好ましい。
強化繊維は多くのフィラメントからなる。「含浸」は、好ましくは全てのフィラメントまたは実質的に全てのフィラメントの表面が樹脂また水性樹脂組成物で濡れていることを意味する。含浸の前、強化繊維の表面は空気に面しており、または空気に取り囲まれている。強化繊維表面の空気は、毛細管効果またはフィラメント束を通る樹脂の流れによって、未硬化の樹脂または水性樹脂組成物と置き換わると考えられる。含浸後、フィラメントの表面は樹脂と接触している。
水性樹脂組成物の場合、加熱中に水性媒体分子、特に水分子が蒸発し、最終的に、樹脂だけ、または実質的に樹脂だけ(揮発性の少量の水性媒体を含む)がフィラメントの表面と接触する。
樹脂タンクでは、界面活性ポリマーまたはオリゴマーを撹拌することが好ましく、凝集しないように絶えず撹拌することがより好ましい。
炉を用いた乾燥方法はどんな方法でもよいが、温度を完全に制御できることがより好ましい。温度制御された空気、非反応性のガス、または反応性のガスを、繊維の供給方向とは反対の方向に流す方法は、最も簡単でかつ最も確実な方法として好ましい。
乾燥時間に特に制限はない。高温に曝露する合計時間は、揮発物含量(最も好ましくは水分含量)が2%未満、より好ましくは1%未満となるように制御することが好ましい。好ましくは100〜200℃(212−392°F)、より好ましくは100〜120℃(212−250°F)の乾燥温度を使用する。これらの範囲には、105、110、115、125、130、140、150、160、170、180、190および195℃を含む、その間の全ての値および部分範囲が含まれる。
複合圧力容器または複合管状体に適した強化繊維として、さまざまな繊維が使用可能であり、これに特に制限はない。繊維は、使用法および必要な特性に基づいて選択的に使用することができる。繊維を混合することも可能である。撚繊維又は撚糸も使用可能である。
歴史的に一般的な強化繊維であるので、強化繊維としてはガラス繊維が適当である。しかし、炭素繊維、酸化繊維、グラファイト繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン(ポリアミド)、ポリプロピレン、Eガラス、Sガラス、カーボングラファイト、およびPBO(ポリフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維と呼ばれる有機ポリマー繊維も適している。繊維を組み合わせることも可能である。
この湿式法では、低粘度エポキシ樹脂と、液体アミノ硬化剤、酸無水物硬化剤、イミダゾール硬化剤または触媒とを組み合わせることが好ましい。プリプレグトウの好ましい樹脂成分を以下で説明する。
熱硬化特性を示す好ましい樹脂の例には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ビスマレイミドトリアジン、シアン酸エステル、ベンゾオキサジンおよびビスマレイミドが含まれる。樹脂を組み合わせることも可能である。化学抵抗性およびコストを考慮すればエポキシ樹脂が最も好ましい。
エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンと少なくとも1つのヒドロキシル基を含む化合物との反応生成物、エポキシ化されたクレゾールノボラック、エポキシ化されたフェノールノボラック、芳香族ヒドロキシル化合物とグリオキサールの反応生成物、グリシジルアニリン、グリシジルアニリン誘導体およびビスフェノールAノボラック誘導体を含む群から選択することが好ましい。組み合わせることも可能である。
より具体的には、エポキシ樹脂が、4,4’−(イソプロピリデンジフェノール)、イソプロピリデンジフェノールビス(2,6−ジブロモフェノール)、酸触媒を用いたクレゾールの樹脂化から得られるクレゾール縮合物をグリシジル化することによって形成されるエポキシ化されたクレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン樹脂のテトラグリシジルエーテル、4,4’−メチレンビス(N,N−グリシジルアニリン)およびN,N−ジグリシジルアニリンを含む群から選択されることが好ましい。混合することも可能である。
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤としては、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンおよびこれらの異性体を含む群から選択された芳香族アミン硬化剤;脂肪族アミン硬化剤、芳香族アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール硬化剤およびルイス酸を含む群から選択された硬化剤;またはジシアンジアミド、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンおよびヘキサメチレンジアミンを含む群から選択された硬化剤を使用することが好ましい。ジアミノジフェニルスルホンおよびジシアンジアミドが硬化剤として特に好ましい。組み合わせることも可能である。プリプレグトウの貯蔵寿命を調整するために、任意選択で他の硬化剤を適宜、組み込むことができ、またそうすることが好ましい。
エポキシ樹脂の触媒は、第三級アミン、ルイス酸、尿素化合物およびイミダゾールを含む群から選択することが特に好ましい。組み合わせることも可能である。具体的には、触媒は、ベンジルジメチルアミン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、2−メチルイミダゾール、2−エチルメチルイミダゾール、BF3MEA、フェニルジメチル尿素、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、1,1’−4−(メチル−m−フェニレン)ビス(3,3’−ジメチル)尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1’−ジメチル尿素、4−ジアミノ−6−(2’−ジメチルイミダゾリル−(1’))、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))エチル−S−トリアジン、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールおよび2−ヘプタデシルイミダゾールを含む群から選択することが特に好ましい。これらを組み合わせて使用することもできる。
界面活性オリゴマーまたはポリマーに関して、樹脂、好ましくはエポキシ樹脂は、一般に水性媒体、特に水に溶けないので、界面活性オリゴマーまたはポリマーを介して水性媒体に分散させることが好ましい。したがって、エポキシ樹脂および水性媒体に対する界面活性オリゴマーまたはポリマーの親和力を考慮することが好ましい。
多くの界面活性剤が界面活性オリゴマーまたはポリマーとして使用可能である。複合圧力容器または複合管状体のエポキシ樹脂を使用したプリプレグトウに関しては特に、適当な分子量を考慮することが好ましい。
界面活性オリゴマーまたはポリマーの分子量は、5,000以上、30,000以下であることが好ましい。分子量が5,000未満のときには、安定な熱硬化性樹脂の水性組成物を得ることが難しい。分子量が30,000を超えると、樹脂を混合することが難しくなる。界面活性剤の分子量は5,500から25,000であることがより好ましく、7,400から20,000であることがなお好ましく、10,000から17,500であることが特に好ましく、12,000から15,000であることが最も好ましい。
特に断らない限り、本明細書で使用する用語「分子量」は数平均分子量を意味する。
界面活性オリゴマーまたはポリマーは、1つまたは複数の親水性原子または親水基をその主鎖または側鎖に有することが好ましい。親水性原子または親水基の好ましい例には、酸素、窒素、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸、スルホナート、ヒドロキシ、スルホニル、カルボキシラート、カルボン酸、ホスホナート、ホスファート、エステル、エーテルなどが含まれる。組み合わせることも可能である。主鎖に介在する1つまたは複数の酸素原子が最も好ましい。界面活性オリゴマーまたはポリマーの繰返し単位では、主鎖の他の原子に関して原子の少なくとも1/10が酸素原子であることが好ましい。少なくとも2/10が酸素原子であることがより好ましく、少なくとも4/10が酸素原子であることがなお好ましく、6/10が酸素原子であることが最も好ましい。
界面活性オリゴマーまたはポリマーにはホモポリマーおよびコポリマーが適する。ブロック共重合体、ランダムまたは統計共重合体およびグラフト共重合体が好ましい。
界面活性オリゴマーまたはポリマーの一部または全部が、使用されるエポキシ樹脂に対して親和力を有することが好ましい。1つの方法では、エポキシ骨格、例えばビスフェノールA骨格を主鎖に導入することによって、界面活性オリゴマーまたはポリマー以外のエポキシ樹脂との適合性を高めることができる。このケースでは、エポキシ骨格の分子量が300以上、より好ましくは500以上、最も好ましくは700以上であることが好ましい。
界面活性オリゴマーまたはポリマーが、1つ又は複数の酸素原子と、1つ又は複数のビスフェノールA骨格を共に備えることも可能である。この場合、界面活性オリゴマーまたはポリマーは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールとエポキシ樹脂の反応生成物であることが好ましい。また、1つ又は複数の酸素原子を含む骨格の分子量は300以上が好ましく、より好ましくは500以上、最も好ましくは700以上であることが好ましい。
界面活性オリゴマーまたはポリマーの好ましい1つの例は、ポリエチレングリコール2モルを、エポキシ当量あたり468g/モルであるビスフェノールAエポキシ樹脂1モルと反応させることによって形成することができる。
界面活性オリゴマーまたはポリマーの含量は、樹脂の固体含量を基準にして1%以上10%以下であることが好ましく、2%以上10%以下がより好ましく、4%以上10%以下が更に好ましい。これらの範囲には、樹脂の固体含量を基準にして1.5、2.5、3、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9および9.5%を含む、その間の全ての値および部分範囲が含まれる。
界面活性オリゴマーまたはポリマーの含量が1%未満だと界面活性効果が低くなり、これが水性組成物の安定性に不利な効果を与える。また、含量が10%を超えると、水を容易に吸収して耐熱性が低下する。
硬化剤、触媒または硬化促進剤は室温で粉末であることが好ましい。
粉末の粒径は20μm以下であることが好ましく、10μm以下であるとより好ましい。粒径が20μmを超えると、水性組成物またはスラリー中での安定性が悪くなり、沈殿しやすくなる。これらの範囲には、18、16、14、12、8、6、4、2および1μm以下を含む、その間の全ての値および部分範囲を含まれる。
高い繊維強度発現率を示すためには、以下の機械特性が複合圧力容器中のプリプレグトウには好ましい。
一方向に配列した積層品である一方向複合材料を、ASTM D 2344(参照によって本明細書に組み込まれる)に従って評価する層間せん断強度(interlaminar shear strength)またはSBS(short beam shear)が8Ksi以上、18Ksi以下、ASTM D 790(参照によって本明細書に組み込まれる)に従って評価した90°方向の曲げ強度(flexural strength)(FS90)が8Ksi以上、22Ksi以下であることが好ましい。
Ksiは圧力の単位である。Ksiは、キロポンド毎平方インチ(kilopound (LB) per square inch)の短縮形である。1Ksiは6.89MPaを意味する。
SBS(Short Beam Shear)が18Ksiよりも高く、またはFS90が22Ksiよりも高いとき、強化繊維と樹脂の間の付着は非常に強く、引張強度はそれほどでもない。複合材料の引張強度をより高くするためには、複合材料のフィラメントと樹脂の間の付着が最適でなければならない。複合材料のフィラメントと樹脂の間の付着が強い場合には、局所的なフィラメント破損が、比較的に低い応力レベルで横断(90°)方向の壊滅的欠陥につながる可能性がある。付着が最適な場合、初期の破損が局所にとどまり、さらに、フィラメントからフィラメントへの適当な応力伝達を促進することができる。一方、付着が弱いと、フィラメント間の応力伝達が低下し、フィラメント間の応力不均衡が甚だしくなる可能性がある。それによって引張強度が低下する可能性がある。最適な付着範囲は存在する。具体的には、SBS(Short Beam Shear)および90°曲げ強度は、付着の直接の基準ではないが、付着特性、および最終的には引張強度発現率(tensile strength translation)に強く関係している。
「フープ状態」または「フープ層」は、プリプレグトウが円周方向に巻きつけられて管または円筒の形状を形成した、1つまたは複数の層を意味する。プリプレグトウを切断することなく複合管状体の表面全体にぴったりと巻きつけるためには、円周方向に対する巻き角が小さいことが必要であり、巻き角はプリプレグトウの幅によって決まる。正確には巻き角は円周方向に垂直ではない。これはフープ層と呼ばれる。最初のフープ層を巻きつけた後、最初の層の上に反対の巻き角で第2のフープ層を巻きつけることができる。いくつかのフープ層を適宜、追加することができる。「フープ状態」は1層または数層のフープ層の総称である。複合品として利用するため、巻きつけたプリプレグトウ層は硬化される。圧力容器または複合管状体に内圧をかけることによって、圧力容器または複合管状体の硬化した複合材料の破裂強度を試験することができる。
圧力容器では、フープトウ方向(円周方向)に対してプリプレグトウがより大きな角度で配置された追加のらせん層が必要であることがある。らせん層の主な目的は、プリプレグトウを巻きつけて圧力容器のドームまたは球形部分を覆うことである。ほとんど全ての圧力容器がフープ層およびらせん層を有するが、いくつかのタイプの圧力容器はフープ層だけを有する。しかし、複合圧力容器は少なくとも1つのフープ層を有する。破裂試験での圧力容器の破損は容器のフープ層で始まり、または破裂試験での圧力容器の破損は、この破損がフープ層またはフープ状態で始まるように設計される。
複合圧力容器または複合管状体のフープ強度の破損特徴は、破裂試験における引張モードとみなすことができ、その引張強度の達成率は、圧力容器または複合管状体の能力を定義する重要な因子である。
「繊維強度発現率」は、ストランド引張試験で評価された引張強度に比べて、フープ状態でその繊維が実際にどれだけの引張強度を示すかということを意味する引張強度の達成率と定義される。元の繊維は、ASTM D2343に基づく引張ストランド試験で測定することができる固有の引張強度を有する。この引張強度は、「ストランド引張強度」または「送出引張強度(Delivered Tensile Strength)」と呼ばれ、σstで表す。その数値は、繊維の供給業者によって提供され、またはその内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるASTM D2343に基づいて測定される。
複合圧力容器または複合管状体では、樹脂でコーティングし、かつ/または樹脂を含浸した強化繊維をライナに巻きつけ、硬化させる。ライナの内側から、ライナおよび複合材料シェルが破裂するまで水圧をかける。破裂したときの圧力を破裂圧力と呼ぶ。複合材料シェルの内表面にかかる実際の圧力をPactで表す。
σact=R/t・Pact
上式で、σは破裂時の複合材料の引張応力、Rは複合材料シェルの内半径、tは複合材料シェルの厚さである。
実際の繊維引張強度は以下のように定義される。
σ=σact/V
上式で、
σ:破裂時の繊維引張強度
:複合材料シェル中の繊維体積比
である。
繊維引張強度発現率は以下のように定義される。
繊維引張強度発現率=σ/σst(%)。
さらに、SBS(Short Beam Shear)強度が8Ksi未満のとき、フィラメント間の応力の伝達はより低減し、これは、複合材料の性能に問題をもたらす。さらに、SBS強度が8Ksi未満のときには、フィラメント間の応力伝達が効率的でなく、フィラメント間の応力不均衡は甚だしくなり、その結果、引張強度発現率は低下する。
ASTM D 2290(参照によって本明細書に組み込まれる)に基づくNOLリング試験(NOL ring test)で300Ksi以上の強度を有するプリプレグトウは、複合圧力容器または複合管状体に対して好ましい。したがって、高い強度を有する強化繊維が好ましい。
同様に、リング破裂試験では、繊維強度発現率が少なくとも80%、好ましくは90%であることが望ましい。プリプレグトウを使用した複合圧力容器が少なくとも80%の繊維強度発現率を示すためにはこれらの機械特性が好ましい。
ここで使用されるリング破裂試験は、三菱レイヨン株式会社が確立したものである。具体的には、リング破裂試験は、本明細書に参照によって組み込まれる特開平11−14379号に記載されている。この方法の試験結果は、圧力容器のフープ部分を含む実際の管状体または圧力容器でプリプレグトウが、どれくらいの繊維強度発現率を示すことができるかの基準を、リングの内側から水圧をかけることによって提供することができる。試験片は円筒形の形状を有し、実寸法は、内径500mm、外径510mm、筒の長さ25mmであり、フィラメントワインディングプロセスによって製造されたより長い円筒部分から許容差0.1mmで機械加工されたものである。試験片は適合した金属ダイに取り付けられ、試験片の内側から水圧がかけられる。より具体的には、加圧用流体を、試験片の内側に位置するゴム状の管に注入し、試験片が破損するか、または破壊されるまで、試験片の内表面に実際に圧力をかける。試験片の外面にひずみゲージを取り付け、ひずみを記録することができる。水圧も記録する。このリング破裂試験は、実際の圧力容器または複合管状体の破裂圧力に近い破裂圧力を示し、その破断は引張破断モードと考えられる。一方、NOLリング試験も複合管状体の引張破断モードを示す。その差は力を加える方法である。リング破裂試験はNOLリング試験よりも、圧力容器および複合管状体のフープ強度に対して実用的であり、プリプレグトウ能力を評価するのにNOLリング試験よりも有用である。リング破裂試験と同等のASTM規格はない。
フィラメントワインディングプロセスにおいて複合圧力容器または複合管状体の機械特性に影響を及ぼす可能性があるため、樹脂粘度、樹脂含有率などのプリプレグトウの他の特性を考慮することが好ましい。
プリプレグトウのトウカウント中のフィラメントの数は500から300,000の間であることが好ましい。トウカウントが500未満の場合、トウプレグの製造コストは非常に高くなる。さらに、フィラメントワインディングプロセスに、あまりに多くのスプールが必要であり、これは望ましくない。トウカウントが300,000を超える場合、プリプレグトウの両端間の張力の差が、より小さいトウカウントを有するプリプレグトウよりも高くなる可能性があり、それによって引張強度トランスレーションが低下する可能性がある。上記の範囲には、750、1000、1100、1500、2000、5,000、10,000、15,000、20,000、25,000、50,000、75,000、85,000、95,000、99,000、100,000、150,000、200,000、250,000、275,000および295,000を含む、その間の全ての値および部分範囲が含まれる。
プリプレグトウの樹脂粘度は、75°Fで10,000から1,000,000cpsであることが好ましい。樹脂粘度が10,000cps未満であると、プリプレグトウをスプールに巻きつける際に、樹脂が表面に流れ出る。樹脂粘度が1,000,000cpsを超えるときには、マンドレルにプリプレグトウを巻きつける際にプリプレグトウ間に空隙が形成され、これによって繊維強度発現率が低下する可能性がある。上述の樹脂粘度範囲には、75°Fで12,000、15,000、25,000、50,000、100,000、150,000、500,000、750,000および900,000cpsを含む、その間の全ての値および部分範囲が含まれる。
プリプレグトウの幅は均一であることが好ましい。標準偏差は、好ましくは0.01インチ以下、より好ましくは0.005インチ以下に調整する。これらの範囲には、0.009、0.007、0.006、0.004、0003、0.002および0.001インチ以下を含む、その間の全ての値および部分範囲が含まれる。トウ幅の標準偏差が大きいと、トウ間のすき間またはトウの重なり生じて成形品の均一性が低下する可能性があり、それらが、フープ繊維の繊維強度発現率に有害な影響を及ぼす可能性がある。
プリプレグトウの繊維体積含有率は40から95%であることが好ましく、50%から75%がより好ましく、65から75%であると更に好ましい。これらの範囲には、51、55、57、59、61、63、67、69、71および73%を含む、その間の全ての値および部分範囲が含まれる。繊維体積含有率が40%未満であると、層間に大量の樹脂が存在し、それが、フープ繊維の繊維強度発現率に有害な影響を及ぼす可能性がある。あるいは、大量の樹脂が表面に流れ出て外観を劣化させる。繊維、或いは、繊維を構成するフィラメントは部分的に切断されていてもよい。
本明細書では用語「管状体」が一般に、沖合、地上、地下または水中パイプなどのパイプ;チューブ;移送パイプ;タンク;円筒体;円形体;ロータ;フライホイールロータなどを意味する。複合管状体は適宜、車軸、旋盤またはスピンドルへ取り付ける1つまたは複数の手段を有することができ、あるいは、一端または両端に、フランジあるいは接続または密封手段を有することができる。本明細書では用語「圧力容器」が一般に、圧縮された液体、気体、他の流体、超臨界流体、泡、粉末、エアロゾルなどを貯蔵し、保管し、運搬しかつ/または配達するのに使用される容器を意味する。圧力容器は適宜、1つまたは複数の巻きつけられた繊維、樹脂、ライナおよびシェルを含むことができる。圧力容器は適宜、プラスチック、金属および/または複合材料製の1つまたは複数のシェルおよび/またはライナ、あるいはこれらの任意の組合せを含むことができる。圧力容器の強度を高めるためにライナの外側シェルに強化繊維が巻きつけられていることが好ましい。圧力容器はさらに、1つまたは複数の弁、弁取付け手段、内容物送出手段、フランジ、ねじ、レギュレータ、キャップ、逃し弁、圧力計および/またはコネクタを適宜、任意の組合せで含むことができる。
本発明を全般的に説明してきたが、例示だけを目的に本明細書に提供され、特に明記しない限り限定を意図しないある特定の実施例を参照することによって、理解をさらに深めることができよう。
製造例1
分子量7000のポリエチレングリコール1モルを、エポキシ当量あたり188gであるジグリシジルエーテルビスフェノールA1モルと反応させて、重量平均分子量約8,000のコポリマーを形成した。このコポリマー1キログラムを、Shell社のEPON 828、EPON 1050およびEPON 1001Fからなる混合比45/45/10のエポキシ混合物11kgと混合して、樹脂混合物を形成した。この樹脂混合物を、ジシアンジアミド880gおよび3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素440gと均一に混合した。結果として生じる樹脂混合物を形成するため、ジシアンジアミドおよび3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素の平均粒径は10μmであった。
得られた樹脂混合物を70℃に熱し、それを同量の70℃の脱イオン水に注いで溶液を形成した。この溶液を1,500rpmで撹拌した。次いで温度を35℃まで下げ、乳濁液を形成させた。加えられたコポリマーの量は約8%(8.3%)であった。
実施例1
図1に示したプリプレグトウ製造装置および製造例1で形成した乳濁液を使用してプリプレグトウを製造した。乳濁液を樹脂タンク5に入れ、35℃に保ち、攪拌装置で常に攪拌した。この樹脂乳濁液を、定量ポンプを用いて樹脂供給管4を通して樹脂含浸装置に供給した。
三菱レイヨン株式会社製の炭素繊維TR50Sからなる12,000本のフィラメントのスプールをクリールに取り付けた。炭素繊維トウを樹脂含浸装置に供給し、樹脂タンクから供給された樹脂と接触させた。続いて、樹脂含浸ロールによって樹脂を繊維に含浸し、次いで炉6を用いて水を蒸発させた。巻取機7を用いてトウを巻き取った。製造速度は15m/分、樹脂含有率は30質量%であった。
試験例1
実施例1で製造したプリプレグトウを使用し、それらを一方向に配列して一方向プリプレグを形成した。12層のプリプレグを積層し、275°Fのオートクレーブで2時間硬化させて、一方向複合材料を形成した。
この一方向複合材料から、層間せん断強度(SBS)および90°引張強度(FS90)用の試験片を準備し、ASTM D2344およびASTM D790(これらはともに参照によって本明細書に組み込まれる)に従ってSBSおよびFS90を測定した。
75°FでのSBSおよびFS90はそれぞれ15Ksiおよび16Ksiであった。
試験例2
実施例1で形成したプリプレグトウを使用して、内径146mm、厚さ1.50mm、幅6.35mmのNOLリング試験片を準備した。硬化は、257°Fで2時間実施した。
ASTM D2290に従ってNOLリング破裂試験を実施した。
フープ引張強度は645Ksiであり、繊維強度発現率は92.1%を記録し、変動係数は23%であった。
試験例3
実施例1で製造したプリプレグトウを使用してリング破裂試験を同様に実施した。
Teflonリング(厚さ5mm、外径500mmm)をマンドレルとして使用し、その上にフープを巻きつけた。次いでこれを、試験例2と同じ硬化条件で硬化させて、上述の寸法と同じ寸法を有する試験片を準備した。
内側から静水圧をかけてリングを破裂させた。このとき、計算された繊維引張強度は670Ksiであった。引張強度発現率は95.7%、破裂圧力のCV(変動係数)は1.6%であった。
実施例2
製造例1で形成した界面活性コポリマーの量を4%に、水分含量を50%にそれぞれ変更した以外は製造例1と同じ方法で乳濁液を製造した。
実施例1と同じ条件でプリプレグトウを製造した。樹脂含有率は30%であった。
比較例1
製造例1で形成した界面活性コポリマーの量を0.5%に、水分含量を50%にそれぞれ変更した以外は製造例1と同じ方法で乳濁液を製造した。しかし、乳濁液の安定性は良くなかった。
代わりに、界面活性コポリマーの含量を0.5%に変更した以外は製造例1のとおりに樹脂混合物を形成した。この樹脂混合物を使用してプリプレグトウを製造した。樹脂含有率は30%であった。
実施例2及び比較例1のプリプレグトウを使用して試験例1から3と同じ試験を実施した。結果を実施例1と並べて表1に示す。
Figure 2007039684
実施例1、実施例2、比較例1のプリプレグトウを直径6.4”(インチ)のアルミニウム圧力容器ライナに同じパターンで巻きつけて、試験片を準備した。
続いて、参照によって本明細書に組み込まれるASTM D2585−65に記載の方法によって、ボトル破裂試験を実施した。
結果を表2に示す。
Figure 2007039684
以上の教示を検討すれば、本発明の多数の修正および変更が可能であることは明らかである。したがって、添付の請求項の範囲を逸脱することなく、本明細書で詳細に説明した以外の方法で本発明を実施することができることを理解されたい。
プリプレグトウを製造するための好ましいプロセスを示す概略図である。
符号の説明
1 クリール
2 樹脂添加装置
3 含浸ローラ
4 樹脂供給管
5 樹脂タンク
6 炉
7 巻取機

Claims (16)

  1. 少なくとも1種の繊維と、少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の界面活性オリゴマーまたはポリマーとを含むプリプレグまたはプリプレグトウ。
  2. 繊維と、少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、少なくとも1種の界面活性オリゴマーまたはポリマーとを含む強化繊維。
  3. 内側シェルまたはライナと接触した請求項2記載の強化繊維を含む圧力容器または複合管状体。
  4. 少なくとも1種の熱硬化性樹脂、少なくとも1種の水性媒体、及び、少なくとも1種の分子量が5,000から30,000である界面活性オリゴマー又はポリマーを前記熱硬化性樹脂の固形分を基準にして1〜10質量%含む水性組成物により少なくとも1種の繊維を被覆する工程と、
    前記被覆工程後に前記水性媒体を除去する工程と
    を含む繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 前記水性組成物が、水溶液、水性懸濁液又は水性乳濁液である、請求項4記載の製造方法。
  6. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項4又は5記載の製造方法。
  7. 前記界面活性オリゴマー又はポリマーが少なくとも1つの酸素原子が介在する主鎖を有する、請求項4から6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記界面活性オリゴマー又はポリマーがビスフェノール骨格を含む主鎖を有する、請求項4から6のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記界面活性オリゴマー又はポリマーが、少なくとも1つの酸素原子とビスフェノール骨格とを含む主鎖を含む、請求項4から6のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記界面活性オリゴマー又はポリマーが、ポリエチレングリコールとエポキシ樹脂の反応生成物である、請求項9記載の製造方法。
  11. 少なくとも1種の繊維と
    少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、
    前記熱硬化性樹脂の固形分を基準にして1〜10質量%の少なくとも1種の分子量が5,000から30,000である界面活性オリゴマーまたはポリマーと
    を含む繊維強化複合材料。
  12. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項11記載の繊維強化複合材料。
  13. 前記界面活性オリゴマー又はポリマーが少なくとも1つの酸素原子が介在する主鎖を有する、請求項11又は12記載の繊維強化複合材料。
  14. 前記界面活性オリゴマー又はポリマーがビスフェノール骨格を含む主鎖を有する、請求項11又は12記載の繊維強化複合材料。
  15. 前記界面活性オリゴマー又はポリマーが、少なくとも1つの酸素原子とビスフェノール骨格とを含む主鎖を含む、請求項11又は12記載の繊維強化複合材料。
  16. 前記界面活性オリゴマー又はポリマーが、ポリエチレングリコールとエポキシ樹脂の反応生成物である、請求項15記載の繊維強化複合材料。
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