JP2003500062A - 有機生成物の合成方法および合成材料 - Google Patents

有機生成物の合成方法および合成材料

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、有機生成物の生成方法およびその材料を提供する。本発明は特に、様々な組み換え酵母細胞、酵母細胞の培養方法、酵母細胞の形成方法、核酸構造物、および様々な有機生成物の生成方法とその材料を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 背景 1.技術分野 本発明は、有機生成物を生成する方法及び材料に関する。 2.関連技術 乳酸のような有機生成物には、多くの重要な産業的用途がある。例えば、有機
酸は塑性材料またその他の生成物の合成に用いることができる。有機生成物の需
要の増加に対処するため、より効率的でコストのかからない生成方法が開発され
ている。そのような方法の一つとして細菌の使用が挙げられる。具体的には、あ
る種の細菌は所定の発酵条件下で特定の有機生成物を大量に生成することができ
る。しかしながら、その有機生成物が増殖媒体中で堆積する際にその細菌が増殖
できないため、ファクトリー(factories)としての生きた細菌の使用は制限され
る。そのような制限に対処するため、生成物の合成の間に様々な生成物精製技術
が採用されてきた。加えて、細菌の代替物として微生物の使用も試みられてきた
。実際に、耐酸性を持つことで知られるサッカロミセス・セレビシアエ(Sacchar
omyces cerevisiae)が、乳酸生成目的で遺伝子修飾されてきた。具体的には、エ
ス・セレビシアエ細胞にウシの乳酸デヒドロゲナーゼcDNAを与えて内因性ピ
ルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(PDC1、PDC5,およびPDC6)を
分断することによって遺伝子修飾を行った。これらの遺伝子修飾エス・セレビシ
アエ細胞は幾らかの乳酸を生成したが、細胞の増殖が抑制されたため、細胞増殖
と乳酸生成の両方で改善を必要とするという結論に達した。 要約 本発明は全体的に、有機生成物を生成するための方法および材料に関する。具
体的には、本発明は酵母細胞、酵母細胞の培養方法、酵母細胞の形成方法、核酸
構造物、ならびに様々な有機生成物を生成するための方法と材料を提供するもの
である。本発明は、特定の微生物(例えば細菌性(bacterial)微生物や真菌性(fu
ngal)微生物)が、所定の培養条件下で増殖し、増殖および生成物を生成するた
めに炭素源を利用し、商業目的の所望の有機生成物を生成することができるよう
な遺伝子操作が可能であるという発見に基づく。たとえば、ここで使用されてい
る酵母細胞は低pH、高温培養すると増殖し、ある有機生成物を生成することが
できる。低pH、高温といった条件下で急速に増殖し有機生成物を効率よく生成
する能力を持つことは非常に有意義なことである。特に、中性の環境を維持する
ことは、大規模な生成プロセスにおいては困難で費用がかかる恐れがあるもので
あるが、微生物が低pHに耐性を持っていれば、pHが中性の環境を維持する必
要がなくなる。それに加え、所望の有機生成物を低pHブロスから回収するのに
要する方法および材料は、同じ有機生成物をより中性に近いpHのブロスから回
収するのに必要な方法や材料よりも実際的かつ効率的である。例えば、ある種の
有機酸生成物は、pHがその生成物のpKa値より低くなれば溶液から析出が可
能であり、回収が相当容易になる。その上、微生物が高温に対し耐性を持ってい
れば、増殖および生成相中に低温を維持する必要がなくなる。明らかに、大規模
な生成プロセスにおいて大容量のブロスのタンク内の温度を下げる必要性が緩和
されれば、プロセス全体が一層効率的となりコストが下がる。その上、微生物が
低pHと高温のどちらに対しても耐性を持っていれば、大規模な生成プロセスの
間、耐性の劣る他の微生物による汚染を防止する上で好都合な方法を提供できる
【0002】 ここで重要なのは、商業目的で所望の有機生成物を生成するための能力に関す
る重要な局面は、所望の有機生成物が生成される特定生産性(specific producti
vity)であってもよいということである。例えば、ここで記載されている方法お
よび材料を用いて高い特定生産性を提供すると、低pH、高温といった培養条件
に露出された時に微生物が細胞の維持に必要なエネルギーを発生させることが可
能である。この必要なエネルギーは呼吸経路を介してのエネルギー発生に依存し
ているのではなく、実質的に嫌気性条件下での発酵経路を介して発生される。発
酵経路を介してエネルギーを得ることは、呼吸経路を必要としない有機生成物を
生成する際に特に有効である。なぜなら、提供された炭素源のほとんど全部を、
所望の有機生成物を生成する目的で使用することができるからである。
【0003】 本発明はまた、所定の遺伝子操作微生物によって、炭素源の利用を抑制し、炭
素源が主としてバイオマスまたは所望の有機生成物の生成に利用されるようにす
るという発見に基づく。概して、本発明は二タイプの培養プロセスを含む。一方
の培養プロセスは所定の培養条件下での微生物の培養を含んでおり、その培養条
件とは、微生物および所望の結果次第でバイオマスの生成を促進する。もう一方
のプロセスはそれとは異なる培養条件を含み、その条件もまた、微生物および所
望の結果次第で、所望の有機生成物の生成を促進する。明らかに、大規模な生成
プロセスの間に炭素源の利用の操作が可能であれば、生産者は代替の方法をとっ
た場合に比べて優れた柔軟性と抑制性を享受できる。
【0004】 本発明は、加えてある種の微生物の遺伝子操作が可能であるため、全部ではな
いにせよ炭素源の大部分をバイオマスまたは所望の有機生成物の生成に利用し得
るという発見に基づいている。具体的には、本発明は、炭素源の利用をバイオマ
スや所望の有機生成物の生成からそらす生合成路が不活性化されるように遺伝子
修飾されている酵母細胞を提供する。そのような生合成路を不活性化することに
より、効率よく増殖し所望の生成物を生成し得る微生物が提供される。
【0005】 全般に、本発明は、外因性核酸分子を含有する酵母細胞を特徴とするもので、
その外因性核酸分子は細胞内部で酵素活性を持つポリペプチドを暗号化する。そ
の核酸を、細胞のゲノムに導入してもよい。酵素活性によって有機生成物が形成
され、実施態様によっては、細胞から分泌(secrete)される。その細胞はさらに
クラブトリー負表現型を持ち、その有機生成物を生成する。その細胞は例えば、
クライベラミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、ハンゼヌラ(Hansenula)、
カンジダ(Candida)、トリクスポロン(Trichosporon)、またはヤマダジマ(Yamada
zyma)の属由来でもよい。その有機生成物は例えば、発酵生成物、ピルビン酸塩
誘導生成物、有機酸、または乳酸塩のようなカルボン酸塩であってもよい。実施
態様によっては、そのポリペプチドが乳酸デヒドロゲナーゼ活性を持っていても
よい。例えば、外因性核酸が細菌性乳酸デヒドロゲナーゼまたはケー・ラクチス
(K. lactis)真菌性乳酸デヒドロゲナーゼのような真菌性乳酸デヒドロゲナーゼ
を暗号化することも可能である。
【0006】 別の実施態様では、その細胞が4個の外因性核酸分子を含有しており、その4
個の外因性核酸分子が各自、別々のポリペプチドを暗号化する。例えば、その4
個の外因性核酸分子の内第一の分子は、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を持つ第一の
ポリペプチドを暗号化することができ、第二の分子はCoA−転移酵素活性を持
つ第二のポリペプチドを暗号化することができる。第三の分子はラクチル−Co
Aデヒドラターゼ活性を持つ第三のポリペプチドを暗号化し、第四の分子はアク
リリル−CoAヒドラターゼ活性を持つ第四のポリペプチドを暗号化することが
できる。そのような細胞はカルボン酸塩生成物としてのアクリル酸塩を生成する
ことができる。或いは、4個の外因性核酸分子の内最初の1個は2−デヒドロ−
3−デオキシ−D−ペンタノエートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-pentano
ate aldolase)活性を持つ第一のポリペプチドを暗号化することができ、第二の
分子はキシロネート(xylonate)デヒドラターゼ活性を持つ第二のポリペプチドを
暗号化することができる。第三の分子はキシロノラクトナーゼ(xylonolactonase
)活性を持つ第三のポリペプチドを暗号化し、第四の分子はD−キシロースデヒ
ドラターゼ活性を持つ第四のポリペプチドを暗号化することができる。そのよう
な細胞は、有機生成物として、D−キシロースのような炭水化物を生成すること
ができる。
【0007】 さらに別の実施態様では、その細胞が6個の外因性核酸分子を含有し、その6
個の外因性核酸分子が各自別々のポリペプチドを暗号化する。例えば、その6個
の外因性核酸分子の第一の分子は2,5−ジオキソバレレートヘヒドロゲナーゼ
(dioxovalerate hehydrogenase)活性を持つ第一のポリペプチドを暗号化するこ
とができ、第二の分子は5−デヒドロ−4−デオキシ−D−グルカレート(5-deh
ydro-4-deoxy-D-glucarate)活性を持つ第二のポリペプチドを暗号化することが
できる。第三の分子はグルカレートデヒドラターゼ活性を持つ第三のポリペプチ
ドを暗号化し、第四の分子はアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を持つ第四のポリ
ペプチドを暗号化し、第五の分子はグルクロノラクトンレダクターゼ活性を持つ
第五のポリペプチドを暗号化し、第六の分子はL−グロノラクトンオキシダーゼ
活性を持つ第六のポリペプチドを暗号化することができる。そのような細胞は、
有機生成物として、例えばL−アスコルビン酸塩のようなビタミンを生成するこ
とができる。
【0008】 その有機生成物は4個以上の炭素原子を含有してもよく、例えばアミノ酸であ
ってもよい。
【0009】 別の実施態様では、その細胞はリボース、アラビノース、キシロースおよびリ
キソースのようなペントース炭素を異化する能力を有する。
【0010】 別の実施態様では、その細胞は低い(reduced)ピルビン酸デカルボキシラーゼ(
pyruvate decarboxylase)活性および低いアルコールデヒドロゲナーゼ活性を持
つ。例えば、その細胞がピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を全く持っていなく
てもよい。ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性が低いのは、分断した遺伝子座が
原因かもしれない。その場合、その座は普通、ピルビン酸デカルボキシラーゼを
暗号化する核酸シーケンスを持つ。或いは、その細胞がリボザイムのようなアン
チセンス分子を含有することもあり得る。このような分子は内因性核酸シーケン
スに相当し、その場合そのアンチセンス分子がピルビン酸デカルボキシラーゼ活
性を低下させる。またその分子が、キラープラスミドとして機能する追加の外因
性核酸分子を含有していてもよい。
【0011】 別の実施態様では、外因性核酸によって暗号化されたポリペプチドの酵素活性
によってNADH−消費法で有機生成物が形成される。
【0012】 別の実施態様では、その細胞を有機生成物生成目的で最適条件下で培養すると
、その細胞は、消費されるグルコース100グラムにつき約60グラム以上の有
機生成物を生成する。
【0013】 別の局面では、本発明は酵素細胞のような、外因性核酸分子を含有する細胞を
特徴とし、その場合その外因性核酸分子は、細胞によるペントース炭素の異化作
用を促進するポリペプチドを暗号化する。そのポリペプチドは、例えば、キシロ
ースレダクターゼ、キシリトールデヒドロゲナーゼ、またはキシルロキナーゼ(x
ylulokinase)であり、そのペントース炭素は、例えば、リボース、アラビノース
、キシロース、およびリキソースであってもよい。その細胞はさらにヘキソース
炭素を異化することも可能で、必要があれば、ヘキソース炭素とペントース炭素
を同時に異化することもできる。そのヘキソース炭素は例えば、アロース、アル
トロース、グルコース、マンノース、グロース、イオドース(iodose)、フルクト
ース、ガラクトースおよびタロース等であってもよい。
【0014】 別の局面では、本発明は外因性核酸分子を含有する酵素細胞を特徴とする。そ
の場合、その外因性核酸分子は、細胞の細胞質中でアセチル−CoAの堆積を促
進するポリペプチドを暗号化する。そのポリペプチドはクエン酸リアーゼ活性を
持つポリペプチドであってもよく、またはアセチル−CoAのミトコンドリア膜
への透過を促進するミトコンドリア膜ポリペプチドであってもよい。その細胞が
、低いピルビン酸デカルボキシラーゼ活性または低いアルコールデヒドロゲナー
ゼ活性を持っていてもよい。或いは、その酵素細胞にエタノール生成力がなく、
エタノールと酢酸塩を含まない培養条件下での増殖率が、エタノール生成力のな
い比較用の酵母細胞について観察された増殖率より高いものであってもよい。
【0015】 さらに別の局面では、本発明は低いミトコンドリア性ポリペプチドを持つ酵母
細胞を特徴とし、その場合その細胞がクラブトリー負表現型を持つ。そのような
細胞は、例えば、クライベラミセス、ピチア、ハンゼヌラ、カンジダ、トリクス
ポロン、またはヤマダジマといった属由来であってもよい。その細胞に全く活性
がなくてもよい。その細胞が分断座を含有していてもよく、その場合その座は普
通、ミトコンドリア性ポリペプチドを暗号化する核酸分子シーケンスを含む。そ
のミトコンドリア性ポリペプチドがクレーブスサイクル酵素であってもよい。さ
らに、その細胞がクレブス回路生成物を堆積してもよい。その細胞が外因性核酸
分子を含んでいてもよく、その場合その外因性核酸分子は、細胞内部で酵素活性
を持つポリペプチドを暗号化し、その酵素活性で有機生成物が生成され、その結
果その細胞は有機生成物を生成する。その有機生成物は、例えば、クエン酸塩、
α−ケトグルタル酸、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、およびオキサロ酢
酸塩であってもよい。そのポリペプチドが、乳酸塩または酢酸塩の異化作用に参
与するポリペプチドであってもよい。
【0016】 別の局面では、本発明は有機生成物の生成方法に関する。その方法では酵母細
胞を用い、その細胞は、細胞内部で酵素活性を持つポリペプチドを暗号化する外
因性核酸分子を含む。この場合、その酵素活性によってその有機生成物が形成さ
れ、それらの細胞がクラブトリー負表現型を持ち、その細胞を培地を用いて培養
することで、その有機生成物を生成する。その酵母細胞は例えば、クライベラミ
セス、ピチア、ハンゼヌラ、カンジダ、トリクスポロン、またはヤマダジマとい
った属に由来するものであってもよい。その有機生成物は発酵生成物、ピルビン
酸塩誘導生成物、炭素原子を4個以上含有する有機生成物、カルボン酸塩、炭水
化物、アミノ酸、ビタミンまたは脂質生成物であってもよい。さらにその有機化
合物が、乳酸塩、グリセリン、アクリル酸塩、キシロース、アスコルビン酸塩、
クエン酸塩、イソクエン酸塩(isocitrate)、α−ケトグルタル酸、スクシニル−
CoA、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、またはオキサロ酢酸塩であって
もよい。実施態様によっては、有機生成物をそれらの細胞によって分泌する。こ
の方法によって、低いピルビン酸デカルボキシラーゼ活性または低いアルコール
でヒドロナーゼ活性を持つ細胞となる。酵素活性により、NADH消費法で有機
生成物を形成することも可能である。
【0017】 このような方法で形成された細胞によって、培養工程が有機生成物の生成に最
良であれば、消費されるグルコース100グラムにつき約60グラム以上の有機
生成物を生成することができる。その培地は液状であってもよく、アンチマイシ
ンA、シアニド、またはアジドのような細胞呼吸の阻害剤を含んでいてもよい。
培養工程においては、好気性増殖条件下で細胞を増殖し、その後前記細胞を細胞
呼吸阻害剤と接触させてもよい。
【0018】 或いは、培養工程中で、嫌気性培養条件下で細胞を培養してもよい。さらに別
の実施態様では、培養工程中に、好気性増殖条件下で細胞を増殖させ,その後嫌
気性培養条件下で細胞を培養してもよい。また培養工程において、細胞を約35
℃より高い温度で培養してもよい。
【0019】 一実施態様では、培地の有機pH値が約3.0未満、および/または無機pH
値が約3.0未満である。別の実施態様では、培地が、リボース、アラビノース
、キシロースまたはリキソースといったペントース炭素を含有する。また培地が
、pH値が例えば約2.0〜約6.5のコーンファイバー加水分解物質を含むも
のであってもよい。
【0020】 別の局面では、本発明は、有機生成物の生成方法に関し、その方法においては
、a)細胞のペントース炭素の異化作用を促進するポリペプチドを暗号化する外
因性核酸分子を含有する酵素細胞を供給し、その場合その細胞が前記有機生成物
を形成するための酵素活性を含有し、b)その細胞を培地で培養することにより
有機生成物を生成することを特徴とする。
【0021】 さらに別の局面では、本発明は有機生成物を生成する方法に関し、その方法に
おいては、a)酵素細胞を供給し、その場合、それらの細胞が、細胞の細胞質で
アセチル−CoAの堆積を促進するポリペプチドを暗号化する外因性核酸分子を
含み、また細胞が、有機生成物の形成につながる酵素活性を含有するものであり
、b)細胞を培地で培養することによって有機生成物を生成することを特徴とす
る。
【0022】 別の局面では、本発明は有機生成物の生成方法に関し、その方法においてはa
)ミトコンドリア性酵素の活性が低い酵素細胞を供給し、その場合活性の低さが
有機生成物の堆積につながり、b)前記細胞を培地で培養することにより前記有
機生成物を生成することを特徴とする。
【0023】 別の局面では、本発明はクラブトリー負表現型を持つ酵素細胞の培養方法に関
し、その方法においては細胞を培地で培養し、その場合、その培地の有機pH値
が約3.0未満および/または無機pH値が約3.0未満であることを特徴とす
る。培養工程においては細胞を約35℃より高い温度で培養してもよい。培地に
細胞呼吸の阻害剤が含まれていてもよい。また培地がペントース炭素を含んでい
てもよい。別の実施態様では、培地がコーンファイバー加水分解物質を含んでい
てもよい。
【0024】 別の局面では、本発明はクラブトリー負表現型を持つ酵母細胞を培養する方法
に関し、その方法では培地で細胞を培養し、その場合園培地がコーンファイバー
加水分解物質を含むことを特徴とする。
【0025】 別の局面では、本発明はクラブトリー負表現型を持つ酵母細胞を培養する方法
に関し、その方法では培地で細胞を約35℃より高い温度で培養し、その培地の
無機pH値が約3.0未満であることを特徴とする。
【0026】 別の局面では、本発明はクラブトリー負表現型を持つ酵母細胞を培養する方法
に関し、その方法では培地で細胞を約35℃より高い温度で培養し、その培地が
ペントース炭素を含むことを特徴とする。
【0027】 別の局面では、本発明はクラブトリー負表現型を持つ酵母細胞を培養する方法
に関し、その方法では培地で細胞を約35℃より高い温度で培養し、その培地が
コーンファイバー加水分解物を含むことを特徴とする。
【0028】 別の局面では、本発明は組み換えシーケンスおよび選択されたシーケンスを含
む核酸構造物に関し、その組み換えシーケンスがクラブトリー負表現型を持つ細
胞のゲノムシーケンスに相当し、そのゲノムシーケンスが細胞によって発現され
る酵素を暗号化し、その選択されたシーケンスが細胞内部の有機生成物の形成に
つながる酵素を暗号化することを特徴とする。その選択されたシーケンスは、組
み換えシーケンスによって各末端でフランキングされる(flank)ように、組み換
えシーケンス内部にあってもよい。
【0029】 別の局面では、本発明は組み換え酵素細胞の形成方法に関し、その方法におい
て、クラブトリー負表現型を持つ酵素細胞を供給し、最終生成物を選択し、いず
れの外因性酵素または酵素を細胞に添加して最終生成物を生成するのか識別し、
その活性が前記細胞内で低下する外因性酵素または酵素を識別することで前記細
胞内での前記最終生成物の生成を可能とし、識別済みの外因性酵素または酵素を
供給された酵素細胞に添加し、供給された酵母細胞内で識別済みの外因性酵素ま
たは酵素の活性を低下させることでその細胞が培養条件下で最終生成物を生成す
るようにすることを特徴とする。
【0030】 別の局面では、本発明はコーンファイバー加水分解物質に関し、その加水分解
物質のpH値が約2.0〜約6.5であることを特徴とする。その加水分解物質
はグルコース、キシロース、およびアラビノースを含んでいてもよい。加水分解
物質は約40グラム/Lのグルコース、約40グラム/Lのキシロース、および
約20グラム/Lのアラビノースを含んでいてもよい。或いは、加水分解物質が
約38.7グラム/Lのグルコース、約39.1グラム/Lのキシロース、約2
0.7グラム/Lのアラビノース、および約1.6グラム/Lのフルフラールを
含んでいてもよい。
【0031】 別の局面では、本発明は有機生成物の形成方法に関し、その方法においてはa
)微生物を培養条件下で培養するが、その場合にその微生物は低い酵素活性を持
ち、その酵素活性はピルビン酸デカルボキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナー
ゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、またはアセチル−CoAシンターゼ活性であ
ってもよく、その微生物が、エタノールおよび酢酸塩が添加されていない場合に
呈示する増殖率は、相当する微生物が前記低い酵素活性を持たない場合との比較
において約30%以上であり、b)培養条件を変更して有機生成物の生成を促進
することを特徴とする。
【0032】 別の局面では、本発明は有機生成物の形成方法に関し、その方法においてはa
)微生物を、細胞呼吸を促進する培養条件下で培養し、その場合にその微生物は
低い酵素活性を持ち、その酵素活性はピルビン酸デカルボキシラーゼ、アルコー
ルデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、またはアセチル−CoAシ
ンターゼ活性であってもよく、その微生物がエタノールおよび酢酸塩が添加され
ていない場合に呈示する増殖率は、相当する微生物が前記低い酵素活性を持たな
い場合との比較において約30%以上であり、b)培養条件を変更して細胞呼吸
を減少させることで有機生成物の生成を促進することを特徴とする。
【0033】 特に断りがなければ、ここで使用されている技術用語および化学用語は、本発
明が属する技術分野の当業者によって通常解釈されている意味と同一の意味を持
つ。ここに記載されている方法および材料と類似または同等のものを本発明を実
施または試行する上で使用することも可能であるが、適切な方法および材料は以
下に記載されている通りである。ここで言及されている刊行物、特許出願、特許
、およびその他の引例を参考のためすべて挿入している。抵触が起こったら、本
明細書が、定義も含め、比較の対象となる。それから、これらの材料、方法、お
よび実施例は本発明の限定を意図するものではない。
【0034】 以下に述べる詳細な説明および請求項より、本発明の他の特徴および利点は明
らかであろう。 詳細な説明 本発明は、有機生成物の生成に関する方法および材料を提供するものである。
特に本発明は、酵母細胞、酵母細胞の培養方法、酵母細胞の形成方法、核酸構造
物、および様々な有機生成物を生成する方法および材料に関する。
【0035】 ここで提供される酵母細胞を、有機生成物を生成する目的で使用してもよい。
そのような有機生成物を、広範囲の用途に使用することも可能である。例えば、
ここで記載されている酵母細胞によって生成された有機生成物を、食品、薬品ま
たは化粧品の防腐剤または添加物として用いることもできるし、プラスチックお
よびその他の製品を作る目的で用いてもよい。
【0036】 上記本発明の目的のために、有機生成物は炭素原子を含有するどのような化合
物であってもよい。例えば、カルボン酸塩(例えば、乳酸塩、アクリル酸塩、ク
エン酸塩、イソクエン酸塩、α−ケトグルタル酸、コハク酸塩、フマル酸塩、リ
ンゴ酸塩、オキサロ酢酸塩)、炭水化物(例えばD−キシロース)、アルジトー
ル(例えば、キシリトール、アラニトール、リビトール)、アミノ酸(例えば、
グリシン、トリプトファン、グルタミン酸塩)、脂質、エステル、ビタミン(例
えば、L−アスコルビン酸塩)、ポリオール(例えば、グリセリン、1,3−プ
ロパンジオール、エリトリトール)、アルデヒド、アルケン、アルキン、および
ケトンが有機生成物である。従って、1個の有機生成物が1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10またはそれ以上の炭素原子を含有してもよい。加えて、有
機生成物の分子量が約1,000未満(例えば、約900、800、700、6
00、500、400、300、200または100未満)であってもよい。例
えば、D−キシロース(C5105)は、分子量が150の有機生成物である。さ
らに、有機生成物は発酵生成物であってもよい。ここで用いられている「発酵生
成物」という語は、発酵プロセスによって生成される有機化合物を指す。一般に
、発酵プロセスとは、炭水化物のような有機化合物からエチルアルコールのよう
な化合物への嫌気性酵素変換を含み、その結果アデノシン三リン酸(ATP)の
形態でエネルギーとなる。従って、発酵は、分子の酸素ではなく有機生成物が電
子受容体として用いられるという点で細胞呼吸と区別される。発酵生成物の例と
しては、酢酸塩、エタノール、ブチレート、および乳酸塩が挙げられるが、これ
らに限定されない。
【0037】 また、有機生成物がピルビン酸塩誘導生成物であってもよい。ここで用いられ
ている「ピルビン酸塩誘導生成物」という語は、15以下の酵素工程でピルビン
酸塩から合成される化合物を指す。酵素工程は酵素活性を持つポリペプチドによ
って触媒作用を受ける化学反応または一連の化学反応である。ここで用いられて
いる「酵素活性を持つポリペプチド」という語は、一度または複数回の反応の完
了に際して自身が破壊されたり変質することなくほかの物質の化学反応の触媒と
して作用するポリペプチドを指す。通常、酵素ポリペプチドは1種または複数の
物質から1種または複数の生成物を形成する際に触媒として作用する。そのよう
なポリペプチドはあらゆるタイプの酵素活性を持ち得るが、限定を意図せずにそ
の例を挙げるならば、その酵素活性が関与する酵素は例えば、アコニターゼ、イ
ソクエン酸デヒドロゲナーゼ、ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ、コハク酸チオ
キナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、フマラーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ
、クエン酸シンターゼ、2,5−ジオキソ吉草酸デヒドロゲナーゼ(dioxovalera
te dehydrogenase)、5−デヒドロ−4−デオキシ−D−グルカル酸デヒドロゲ
ナーゼ、グルカル酸デヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルクロ
ノラクトンレダクターゼ、L−グロノラクトンオキシダーゼ、2−デヒドロ−3
−デオキシ−D−ペンタン酸塩アルドラーゼ(pentanoate aldolase)、キシロネ
ートデヒドロゲナーゼ(xylonate dehydratase)、キシロラクトネーゼ(xylonolac
tonase)、D−キシロースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、CoA−
転移酵素、ラクチル−CoAデヒドラターゼ、またはアクリリルCoA−ヒドラ
ターゼ(acrylyl-CoA hydratase)である。
【0038】 重要なのは、特定の酵素活性を持つポリペプチドは、天然(naturally-occurri
ng)ポリペプチドまたは非天然(non-naturally-occurring)ポリペプチドであって
もよいということである。天然ポリペプチドは、天然で発見されるようなアミノ
酸シーケンスを持つポリペプチドであり、野生型および多型ポリペプチドを含む
。限定を意図したものではないが、そのような天然ポリペプチドは、哺乳動物、
真菌および細菌といったあらゆる種から得られる。非天然ポリペプチドは、天然
に発見されないアミノ酸シーケンスを持つポリペプチドである。従って、非天然
ポリペプチドが天然ポリペプチドの突然変異(mutated version)または作り変え
た(engineered)ポリペプチドであってもよい。例えば、クエン酸シンターゼ活性
を持つ非天然ポリペプチドが、少なくとも幾らかのクエン酸シンターゼ活性を保
持するクエン酸シンターゼ活性を持つ天然ポリペプチドの突然変異であってもよ
い。ポリペプチドは例えば、シーケンス転化、欠失(deletion)および/または置
換などによって突然変異させてもよい。
【0039】 有機生成物は、その生成物が16以上の酵素工程を必要とするピルビン酸塩か
ら合成されるのであればピルビン酸塩誘導生成物ではない。ピルビン酸塩誘導生
成物の例として挙げられるのは、クエン酸塩、α−ケトグルタル酸、コハク酸塩
、フマル酸塩、リンゴ酸塩、オキサロ酢酸塩、2−デヒドロ−3−デオキシ−D
−キシロネート、D−キシロネート、D−キシロノラクトン(xylonolactone)、
D−キシロース、アクリル酸塩、酢酸塩、エタノール、ブチレート、および乳酸
塩であるが、これらに限定されるのではない。
【0040】 本発明の目的において、「自由酸」または「塩」形態をとり得るカルボン酸塩
生成物を、塩形態の命名法を用いて表すことにする。例えば、乳酸を乳酸塩と見
なす。従ってこの場合、「乳酸塩」という語は乳酸塩と同じく乳酸も含むものと
する。
【0041】 ここで用いられている「核酸(nucleic acid)」という語は、RNAとDNAの
双方に及び、cDNA、ゲノムDNAおよび合成(例えば、化学合成した)DN
Aを含む。核酸は二本鎖であっても一本鎖であってもよい。一本鎖の場合、その
核酸はセンス鎖であってもアンチセンス鎖であってもよい。加えて、核酸は円形
でも線状でもよい。
【0042】 核酸細胞および特定の細胞に関してここで用いられている「外因性」という語
は天然に発見される特定の細胞に起因するものではない核酸細胞を指す。従って
、全ての非天然核酸細胞は、細胞に一旦導入されると細胞にとって外因性となる
と考えられる。ここで重要なのは、非天然核酸分子が、その核酸分子が全体とし
て天然に存在しない場合でも、天然に発見される核酸シーケンスまたは核酸シー
ケンスの断片を含有する可能性があるということである。例えば、発現ベクター
内部にゲノムDNAシーケンスを含有する核酸分子は非天然核酸分子と考えられ
るので、一旦細胞内に導入されると細胞にとって外因性となると考えられる。な
ぜなら、その核酸分子が全体としては(ゲノムDNAに加えベクターDNA)天
然に存在しないからである。従って、いずれのベクターも、自己複製プラスミド
(autonomously replicating plasmid)、または全体としては天然に存在しないウ
イルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)
が、非天然核酸分子であると考えられる。すなわち、cDNAの場合と同様、P
CRまたは制限酵素処理で生成したゲノムDNA断片も、非天然核酸分子である
と考えられる。なぜなら、それらは天然に発見されない別個の分子として存在す
るからである。また、天然に発見されない配列(arrangement)のプロモーターシ
ーケンスおよびポリペプチド暗号化シーケンス(例えばcDNAまたはゲノムD
NA)を含有する核酸分子は非天然核酸分子と考えられる。
【0043】 「内因性」という語は外因性ではないゲノム材料を指す。一般的に、内因性ゲ
ノム材料は有機体、組織または細胞内部で生じ(develop)、組み換え技術によっ
て挿入されたり修飾されることはない。内因性ゲノム材料の範囲には、天然変種
(naturally occurring varations)は含まれない。
【0044】 また重要なことは、天然の核酸分子によっては特定の細胞にとって外因性とな
り得るということである。例えば、ある個人Xの細胞から単離した純粋な染色体
は、一旦その染色体が個人Yの細胞に導入されると、Yの細胞にとって外因性核
酸分子となると考えられるであろう。
【0045】 ここで用いられている「遺伝子修飾」という語句は、そのゲノムが例えばゲノ
ム材料の添加、置換または欠失によって修飾された有機体を指す。ゲノム材料を
添加または欠失する方法は周知であり、限定を意図するものではないが例として
挙げられるのは、無作為の突然変異形成(random mutagenesis)、挿入や欠失およ
び置換を含む点的突然変異(point mutations)、ノックアウト技術、および、組
み換え技術を用いての核酸シーケンスを備えた有機体の形質転換であり、安定性
形質転換体と遷移性形質転換体(transient transformant)の両方が含まれる。ま
た酵母細胞が自然に、または遺伝子修飾によって澱粉を異化することもあり、例
えば真菌性セルラーゼを添加することにより、遺伝子変換してセルロース化合物
を異化することすらあり得る。 1.クラブトリー負表現型を持つ酵母細胞 本発明は、クラブトリー負表現型を持つ様々な遺伝子操作酵母細胞を提供する
。そのような組み換え酵母細胞は、有機生成物を生成するのに用いられる。例え
ば、本発明が提供する酵母細胞はクラブトリー負表現型を持ち、有機生成物の形
成につながる酵素活性を持つポリペプチドを暗号化する外因性核酸分子を含有す
る。そのような酵母細胞は、その有機生成物を生成するのであれば本発明の範囲
に含まれる。特筆すべきなのは、生成された有機生成物を酵母細胞から分泌する
ことができ、細胞膜を分断して有機生成物を取り出す必要がないということであ
る。通常、本発明の酵母細胞は、培養条件が有機生成物の生成に最良であれば、
消費されるグルコース100グラムにつき約40グラム以上(例えば、少なくと
も約45、50、55、65、70、75、80、85、90または95グラム
)の収率で有機生成物を生成する。特定の酵母細胞について有機生成物の生成の
収率を決定する際には、どのような方法を用いてもよい。例として、キエルズら
(Kiers et al.)Yeast, 14(5):459−469 (1998))を参照。また特筆すべきは、暗
号化されたポリペプチドの酵素活性によって、NADHを消費する方法で有機生
成物が形成されることである。すなわち、その有機生成物の生成には、NADH
がエネルギー源として必要かもしれない。「NAD」という語は、特定の酸化還
元反応において電子および水素の担体として作用する補因子(co-factor)を指し
、一方「NADH」はNADの還元体を指す。合成の際にNADHを必要とする
有機生成物の例としては、乳酸塩、エタノール、酢酸塩、およびアクリル酸塩が
挙げられるが、これらに限定されるのではない。通常、本発明の範囲内の酵母細
胞はグルコースのようなヘキソース炭素を異化する。しかしながら、そのような
酵母細胞はまた、ペントース炭素(例えばリボース、アラビノース、キシロース
およびリキソース)を異化する。換言すれば、本発明の範囲内の酵母細胞は、天
然の状態で(naturally)ペントース炭素を利用することもできるし、またはペン
トース炭素を利用するために作り変えることも可能である。例えば、酵母細胞に
外因性核酸分子を与えてもよい。この外因性核酸分子はキシロースレダクターゼ
、キシリトールデヒドロゲナーゼおよび/またはキシルロキナーゼを暗号化する
ので、キシロースが異化されることもあり得る。酵母細胞はまた、天然の澱粉か
または遺伝子修飾された澱粉を異化することもあり得るし、例えば真菌性セルラ
ーゼのようなものを添加することで、遺伝子修飾されてセルロース化合物を異化
することすらあり得る。
【0046】 クラブトリー負表現型を持つ酵母細胞はクラブトリー効果を呈示しない酵母細
胞である。「クラブトリー負(crabtree-negative)」という語は、天然の有機体
および遺伝子修飾された有機体の両方を指す。簡単に言えば、クラブトリー効果
とは、高濃度(例えばグルコース/Lが50グラム)のグルコースが存在するた
めに、好気性条件下で培養した時に微生物による酸素の消費を阻害することと定
義される。換言すれば、クラブトリー正表現型を持つ酵母細胞は、グルコースの
存在により利用可能な酸素量とは無関係に発酵を継続するが、一方でクラブトリ
ー負表現型を持つ酵母細胞は、グルコースを介した酸素消費の阻害が呈示されな
い。通常クラブトリー負表現型を持つ酵素細胞の例として挙げられるのは、クラ
イベラミセス、ピチア、ハンゼヌラ、カンジダ、トリクスポロン、およびヤマダ
ジマであるがこれらに限定されるのではない。
【0047】 ここに記載されているように、本発明は、幅広い種類の有機生成物を生成する
ことのできる多くの異なるタイプの組み換え酵母細胞を提供している。例えば、
酵母細胞が、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチドを暗号化しそれによ
って乳酸塩を生成できるような外因性核酸分子を含有していてもよい。そのよう
なポリペプチドの例としては、これに限定されるものではないが、ウシ乳酸デヒ
ドロゲナーゼ、細菌性乳酸デヒドロゲナーゼおよび真菌性乳酸デヒドロゲナーゼ
(例えばケー・ラクチス、またはケー・サーモトレランス真菌性乳酸デヒドロゲ
ナーゼ)が挙げられる。この場合も、乳酸デヒドロゲナーゼ活性のような酵素活
性を持つポリペプチドが天然のものであっても非天然のものであってもよい。
【0048】 重要なのは、ここで記載されている酵母細胞が特定の外因性核酸分子の単一の
複製または複数の複製(例えば約5、10、20、35、50、75、100ま
たは150)を含有してもよいということである。例えば、一酵母細胞が外因性
核酸分子Xの複製を約50個含有していてもよい。また重要なことは、ここに記
載されている酵母細胞が2個以上の特定の外因性核酸分子を含有していてもよい
ということである。例えば、ある酵母細胞が外因性核酸分子Xの複製を約50個
と、同様に外因性核酸分子Yの複製を約75個含有していてもよい。このような
場合、異なる核酸分子が各自、固有の酵素活性を持つポリペプチドを暗号化する
のでもよい。例えばある酵母細胞が4個の異なる外因性核酸分子を含有しそれに
よってアクリル酸塩を生成するのでもよい。この例では、そのような酵母細胞が
持ち得る第一の外因性核酸分子は、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチ
ドを暗号化し、第二の分子はCoA−転移酵素活性を持つポリペプチドを暗号化
し、第三の分子はラクチル−CoAデヒドラターゼ活性を持つポリペプチドを暗
号化し、第四の分子はアクリリル−CoAヒドラターゼ活性を持つポリペプチド
を暗号化する。別の例では、ある酵母細胞が4個の異なる外因性核酸分子を含有
し、それによってD−キシロースを生成することができる。具体的には、そのよ
うな酵母細胞が含有し得る第一の外因性核酸分子は、2−デヒドロ−3−デオキ
シ−D―ペンタノエートアルドラーゼ活性を持つポリペプチドを暗号化し、第二
の分子はキシロネートデヒドラターゼ活性を持つポリペプチドを暗号化し、第三
の分子はキシロノラクトナーゼ活性を持つポリペプチドを暗号化し、第四の分子
はD−キシロースデヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチドを暗号化する。さら
に別の例では、ある酵母細胞が6個の異なる外因性核酸分子を含有し、それによ
ってビタミン、L−アスコルビン酸塩が生成される。具体的には、そのような酵
母細胞の持ち得る6個の外因性核酸分子の第一の分子は2,5−ジオキソバレレ
ートヘヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチドを暗号化し、第二の分子は5−デ
ヒドロ−4−デオキシ−D−グルカレートデヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプ
チドを暗号化し、第三の分子はグルカレートデヒドラターゼ活性を持つポリペプ
チドを暗号化し、第四の分子はアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプ
チドを暗号化し、第五の分子はグルクロノラクトンレダクターゼ活性を持つポリ
ペプチドを暗号化し、第六の分子はL−グロノラクトンオキシダーゼ活性を持つ
ポリペプチドを暗号化する。
【0049】 重要なのは、酵素ポリペプチドを使用して所望の有機生成物を光学的に純粋(
例えば、約90、95、99%の純度)にすることができるという点である。例
えば、(L)−乳酸デヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチドを用いて(L)−
乳酸塩を生成してもよい。
【0050】 本発明の範囲内の酵母細胞はまた、低いピルビン酸デカルボキシラーゼおよび
/またはアルコールデヒドロゲナーゼ活性のような低い酵素活性を持っていても
よい。ここで、細胞および特定の酵素活性について用いられている「低い(reduc
ed)」という語は、比較の対象としての同種の酵母細胞で計測したレベルよりも
低いレベルの酵素活性を指す。従って、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を欠
く酵母細胞は、低いピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持つと考えられる。な
ぜなら、全部とはいえなくてもかなりの酵母細胞が少なくとも幾らかのピルビン
酸デカルボキシラーゼ活性を持つからである。そのように酵素活性が低くなる原
因は、低い酵素濃度、低い酵素比活性、またはそれらが組み合わさった結果であ
るとも考えられる。低い酵素活性を持つ酵母細胞を形成する目的で、多くの異な
る方法を用いることができる。例えば、一般的な突然変異生成またはノックアウ
ト技術を用いて酵母細胞を処理することによって酵母細胞が分断された酵素暗号
化座(disrupted enzyme-encoding locus)を持つようにしてもよい。例として、(
'Methods in Yeast Genetics'1997年度版)、アダムズ(Adams)、ゴツリング
(Gottschling)、カイザー(Kaiser)、スターンズ(Sterns)、コールドスプリング
ハーバープレス(Cold Spring Harbor Press)(1998)を挙げる。或いは、ア
ンチセンス技術を用いて酵素活性を低下させてもよい。例えば、酵母細胞を処理
することによって、酵素の形成を防止するアンチセンス分子を暗号化するcDN
Aを含有させてもよい。ここで用いられている「アンチセンス分子」という語に
は、内因性ポリペプチドの暗号鎖に相当するシーケンスを含有する核酸分子まで
もが含まれる。アンチセンス分子もフランキングシーケンス(例えば調節シーケ
ンス)を持つ可能性がある。従って、アンチセンス分子がリボザイムまたはアン
チセンスオリゴヌクレオチドであってもよい。リボザイムは、その分子がRNA
を開裂させるとすれば、限定を意図するものではないが、ヘアピン型、ハンマー
ヘッド型、またはアックスヘッドといった一般的な構造をとり得る。
【0051】 低い酵素活性を持つ酵母細胞は、何らかの方法で識別可能である。例えば、低
いピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持つ酵素細胞は、通常の方法を用いて容
易に識別できる。例として、アルブリック(Ulbrich)'Methods in Enzymology'
18:109〜115(1970)を参照。 2.クラブトリー正表現型またはクラブトリー負表現型を持つ酵母細胞 本発明はまた、クラブトリー負表現型を持つ必要のない遺伝子操作された様々
な酵母細胞を提供する。換言すれば、そのような細胞はクラブトリー正表現型で
あってもクラブトリー負表現型であってもよい。そのような組み換え酵母細胞を
、有機生成物の生成に用いることができる。例えば、本発明は、細胞によるペン
トース炭素(例えばリボース、アラビノース、キシロースおよびリキソース)の
異化を促進するポリペプチドを暗号化する外因性核酸分子を含有する酵母細胞を
提供する。具体的には、酵母細胞がキシロースレダクターゼ、キシリトールデヒ
ドロゲナーゼ、および/またはキシルロキナーゼを暗号化する外因性核酸分子を
持ち、それによってキシロースをより効率的に異化させることが可能になる。そ
の上、ペントース炭素を異化させることのできるその酵母細胞はまた、ヘキソー
ス炭素(例えばアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、
イオドース、ガラクトースおよびタロース)を、順次または同時に異化させるこ
ともできる。例えば、酵母細胞を処理してキシロースおよびグルコースが同時に
異化されるようにしてもよいということである。特筆すべきは、高いペントース
炭素異化能力を持つ酵母細胞を用いて、ペントース炭素源から有機生成物を生成
できる酵母細胞を処理してもよい。この特徴は特に有利である。なぜなら、キシ
ロースのようなペントース炭素源は通常グルコースのようなヘキソース炭素源よ
り安価だからである。異化が可能なその他の炭素源としては、メリビオース、サ
ッカロース、フルクトース、ラフィノース、スタキオース、澱粉(例えば、コー
ンスターチおよび小麦澱粉)、および加水分解物質(例えば、コーンファイバー
加水分解物質およびその他のセルロース性加水分解物質)が挙げられるが、これ
らに限定されるのではない。
【0052】 加えて、本発明は外因性核酸分子を含有する酵母細胞を提供し、その外因性核
酸分子は細胞の細胞質でのアセチル−CoAの堆積を促進するポリペプチドを暗
号化する。例えば、酵母細胞が、クエン酸リアーゼ活性を持つポリペプチドを暗
号化する外因性核酸分子を持っていてもよい。或いは、酵母細胞が、ミトコンド
リア膜へのアセチル−CoAの浸透を促進するミトコンドリア膜ポリペプチドを
暗号化する外因性核酸分子を持っていてもよい。特筆すべきは、エタノール生成
能力のない多くの酵母細胞は、エタノールと酢酸塩が存在しなければ増殖できな
いことである。通常、ピルビン酸デカルボキシラーゼまたはアルコールデヒドロ
ゲナーゼの活性のいずれかが何らかの理由で不足していれば、酵母細胞はエタノ
ール生成能力を欠く。例えば、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性に欠けるクラ
ブトリー正表現型(例えばサッカロミセス)は、エタノールと酢酸塩がなければ
増殖率が悪化する。従って、エタノールの生成を減少させてピルビン酸塩が他の
有機生成物に利用されるよう再度仕向ける(redirect)方法でそのようなクラブト
リー正表現型酵母の操作を行うと、特にエタノールおよび酢酸塩がない時に増殖
率が悪化する。これは、グルコースが存在するとクラブトリー正表現型酵母が細
胞呼吸を制限するからである。ここに記載されているように、細胞質の酢酸塩濃
度およびアセチル−CoA合成酵素活性に頼らない方法で細胞質のアセチル−C
oAの堆積を促進できる酵母細胞は、エタノールを生成することが不可能な時で
もエタノールおよび酢酸塩無しで増殖可能である。特筆すべきは、エタノール生
成能力を欠きながらも、エタノールおよび酢酸塩が存在しないところで増殖する
能力を持つ酵母細胞は、ピルビル酸塩を、エタノール以外の有機生成物を生成目
的で利用できるように再度仕向けることが可能ということである。
【0053】 いずれのタイプの酵母でも、細胞の細胞質でのアセチル−CoAの堆積を促進
するポリペプチドを暗号化する外因性核酸分子を含有し得る。例えば、クラブト
リー正表現型またはクラブトリー負表現型を持つ酵母細胞が、細胞の細胞質でア
セチル−CoAの堆積を促進するポリペプチドを暗号化する外因性核酸分子を含
有していてもよい。通常、そのような酵母細胞は以下の方法で識別可能である。
すなわち(1)外因性核酸分子を含有する細胞を操作して、ピルビン酸デカルボ
キシラーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼを持たないようにする、(2)細
胞を、微量(titrating amounts)の呼吸阻害剤(例えば、アンチマイシンA、シ
アナイド、またはアジド化物)の存在下で培養しながらその細胞の増殖特性を判
断し、(3)それらの増殖特性を、同じ外因性核酸分子を含まずまたピルビン酸
デカルボキシラーゼやアルコールデヒドロゲナーゼを持たないよう同様に操作さ
れた比較対照用の酵母細胞の観察結果と比較する。比較の結果、外因性核酸分子
が存在する故により好ましい増殖特性を持つと判断された酵母細胞は、細胞の細
胞質でアセチル−CoAの堆積を促進するポリペプチドを暗号化する外因性核酸
分子を含有すると考えられる。
【0054】 細胞の細胞質でアセチル−CoAの堆積を促進するポリペプチドを暗号化する
外因性核酸分子を含有する酵母細胞はまた、低いピルビン酸デカルボキシラーゼ
および/またはアルコールデヒドロゲナーゼ活性といった低い酵素活性を持ち得
る。例えば、ある酵母細胞に、エタノールを生成する能力が欠けていてもよい。
通常、そのような酵母細胞はエタノールおよび酢酸塩を欠く培養条件下では、外
因性核酸分子を含有しないものの類似の条件下(すなわち、エタノールおよび酢
酸塩を欠く条件)で培養された比較対照用の酵母細胞(すなわち、エタノール生
成能力を各酵母細胞)よりも高い増殖率(例えば約5、10、20、35、50
、75、100、150、200%またはそれ以上)を示す。
【0055】 本発明はまた、ポリペプチドの活性が低い酵母細胞を提供する。そのような酵
母細胞は、クラブトリー正表現型またはクラブトリー負表現型を持っていてもよ
い。例えば、本発明の範囲内の酵母細胞は、プラズマ膜ポリペプチド(例えば、
プラズマ膜輸送体)、細胞質のポリペプチド(例えばピルビン酸デカルボキシラ
ーゼ)、および/またはミトコンドリアポリペプチド(例えばピルビン酸デヒド
ロゲナーゼ)の活性が低くてもよい。「プラズマ膜輸送体」という語は、有機生
成物がプラズマ膜を通過して移動し易くなるようにするポリペプチドを指す。そ
のようなポリペプチドの例としては、エス・セレビシアエ(S. cerevisiae)中の
JEN1(ジェンバンク(Genbank)登録番号U24155)のようなカルボン酸
輸送体が挙げられるが、これに限定されるわけではない。「ミトコンドリアポリ
ペプチド」という語は、ミトコンドリア内部で機能するポリペプチドを指し、そ
の例としては、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、乳酸塩またはアセチル−CoAの
異化に参与するポリペプチド(例えばチトクロムb2ポリペプチド)、およびク
レブズ回路酵素が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。クレブズ回
路酵素はアコニターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、ケトグルタル酸デヒド
ロゲナーゼ、コハク酸チオキナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、フマラーゼ、
リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、およびクエン酸シンターゼを含む。ここに記載した
ように、低い酵素活性を持つ酵母細胞には、特定の酵素活性を全く持たない酵母
細胞も含まれる。重要なのは、酵母細胞およびポリペプチド活性に関してここで
用いられている「低い(reduced)」という語が、類似の条件下で同種の比較対照
用酵母細胞で測定した活性のレベルより低いレベルを指すことである。従って、
特定の輸送体活性を持たない酵母細胞は、比較対照用の細胞が少なくとも幾らか
の輸送体活性を持つのであれば、低い輸送体活性を持つと考えられる。そのよう
な低いポリペプチド活性は、低いポリペプチド濃度、低いポリペプチド比活性、
あるいはそれらが組み合わさった結果ということも有り得る。低いポリペプチド
活性を持つ酵母細胞を形成する際に、様々な方法のいずれを用いてもよい。例え
ば、ミトコンドリアポリペプチドを暗号化する核酸シーケンスを持つ座を、一般
的な突然変異生成またはノックアウト技術等により不活性にしてもよい。
【0056】 低いミトコンドリア酵素活性を持つ酵母細胞は、クレブス回路生成物(例えば
、クエン酸塩、イソクエン酸塩、α−ケトグルタル酸、スクシニル−CoA、コ
ハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、およびオキサロ酢酸塩)を堆積することが
できる。例えば、低いフマラーゼ活性を持つ酵母細胞は、フマル酸塩を堆積する
ことができる。加えて、その酵母細胞は、有機生成物の形成につながる酵素活性
を持つポリペプチドを暗号化する外因性核酸分子を含有し得るので、それによっ
てその細胞は有機生成物を生成する。
【0057】 重要なのは、幾つかのクレブス回路生成物(例えばα−ケトグルタル酸および
スクシニル−CoA)がミトコンドリア膜を透過できないということである。従
って、特定のクレブス回路酵素の活性を低下させると、結果的にミトコンドリア
内腔のある種のクレブス回路生成物が堆積する。このような場合、クレブス回路
の活性が低い酵母細胞を、1個または複数の異なる外因性核酸分子を含有するよ
う処理してもよく、それらの分子はそれぞれ異なる酵素活性を持つポリペプチド
を暗号化し、その結果望ましいクレブス回路生成物が細胞質内部に堆積する。例
えば、ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼの活性を低下させると、結果的にα−ケ
トグルタル酸が堆積し、また順次、イソクエン酸塩も堆積する。α−ケトグルタ
ル酸はミトコンドリア膜を透過できないが、一方、イソクエン酸塩はミトコンド
リア膜を透過できる。従って、イソクエン酸塩は細胞の細胞質内部で堆積可能で
ある。しかしながら、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチドを
暗号化する外因性核酸分子を同様に含有する酵母細胞を含有し、また細胞質内部
で機能的ポリペプチド(functional polypeptide)を発現させる酵母細胞は、細胞
質α−ケトグルタル酸を生成可能である。従って、特定のクレブス回路酵素の活
性を低下させる一方で、その細胞質内部で機能を持つようにその(または別の)
クレブス回路酵素を暗号化する外因性核酸分子を供給していると、細胞質内部で
様々なクレブス回路生成物(またはクレブス回路生成物に由来する生成物)を生
成することが可能である。
【0058】 さらに、本発明は、炭素源がバイオマスや所望の有機生成物の生成に利用でき
ないようにする酵素の活性が低い酵母細胞を提供する。例えば、培地内の炭素源
がバイオマスまたは所望の有機生成物の生成に主として利用されるようにグリセ
リンまたはアセトイン経路内の酵素を分断する。グリセリン経路酵素の例として
挙げられるのは、ジヒドロキシアセトンリン酸還元酵素であるがこれに限定され
ない。アセトイン経路酵素の例として挙げられるのは、α−アセト乳酸シンター
ゼおよびα−アセト乳酸デカルボキシラーゼであるがこれらに限定されない。こ
の場合も、酵素の活性を低下させるためにどのような方法をとってもよい。
【0059】 その上、ここで提供されている酵母細胞のいずれかが、キラープラスミドとし
て機能する外因性核酸分子を含有していてもよい。ここで用いられている「キラ
ープラスミド」という語は、他の種の酵母を殺す能力を備えた酵母の一種を供給
する核酸分子を指す。例えば、キラープラスミドを含有する属のクライベラミセ
スに由来する酵母細胞は、属サッカロミセス由来の酵母の増殖を防止することが
できる。従って、キラープラスミドを持つ酵母細胞を、大規模な生成プロセス中
に起こる汚染の問題を防止する目的で用いることができる。加えて、どのような
タイプのキラープラスミドを酵母細胞に与えてもよい。例えば、ケー・ラクチス
から単離したキラープラスミドをケー・マルシアヌス酵母細胞に与えてもよい。
キラープラスミドを含有する酵母細胞は、一般的な方法を用いて容易に識別可能
である。例として、ガンジェら(Gunge et al., J. Bacteriol. 145(1):382390 (
1981))、ガンジェおよびキタダ(Gunge and Kitada, Eur. J. Epidemiol.,4:4094
14 (1988))、およびウェソロスキ−ローベルら(Wesolowski-Louvel et al., Non
conventional yeasts in Biotechnology: Kluyveromyces lactis, ed. Klaus Wo
lf, Springer verlag, Berlin, p. 138-201 (1996))参照。
【0060】 同様に、ここで提供した酵母細胞のいずれも、ATPアーゼ活性を持つポリペ
プチドを暗号化する外因性核酸分子を含有してもよい。そのポリペプチドは、酵
母細胞が低pH環境により高い耐性を持つよう形質転換されている。例えば、あ
る酵母細胞に、細胞外プロトン濃度が高い時に効率よく低細胞質プロトン濃度を
維持するATPアーゼを与えてもよい。そのようなポリペプチドは、モルソメら
(Morsomme et al. (EMBO J. 15:5513-5526 (1996))に記載されているように処理
してもよい。
【0061】 重要なのは、ここで記載されている組み換え酵母細胞のいずれも、記載されて
いる遺伝子操作の如何なる組み合わせも含有し得ることである。例えば、クラブ
トリー正表現型を持つ酵母細胞は、有機生成物の生成につながる酵素活性を持つ
ポリペプチドを暗号化する外因性核酸分子同様に、クエン酸リアーゼ活性を持つ
ポリペプチドを暗号化する外因性核酸分子を含有してもよい。 3.適切な有機体 様々な有機体が本発明における使用に適している。エス・セレビシアエおよび
エス・ウバルム(S. uvarum)を含むサッカロミセス種、ケー・サーモトレランス
、ケー・ラクチス、およびケー・アルシアヌスを含むクライベラミセス、ピチア
、エイチ・ポリモルファ(H. polymorpha)を含むハンヌセラ、カンジダ、トリコ
スポロン、ワイ・スチピチス(Y. stipitis)を含むヤマダジマ、またはトルラス
ポラ・プレトリエンシス(Torulaspora pretoriensis)といった、クラブトリー負
表現型およびクラブトリー正表現型微生物に加え、幅広い範囲の微生物種由来の
有機体が、乳酸生成用の宿主として有用である。例えば、天然の乳酸生成者(pro
ducer)であるリゾプス・オリーゼ(Rhizopus oryzae)のような有機体wo、耐酸性
、収率向上、および任意の純度の乳酸を得るといった目的で遺伝子修飾してもよ
い。アスペルギルス種(Aspergillus spp.)も、クエン酸のような有機酸類を生成
することと、低pHへの耐性を持つことで知られる。乳酸を生成する目的でアス
ペルギルス種を遺伝子修飾する方法も有効である。その上、リゾプスおよびアス
ペルギルス種のような真菌は酵素を生成し、それによって澱粉およびその他の炭
水化物重合体を減成(degrade)して炭素源として使用される単量体炭水化物とす
ることができる。
【0062】 大腸菌(Escherichia coli)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、
およびかん菌属(Bacillus spp.)といった原核生物(Prokaryotes)は、乳酸生成目
的で既に遺伝子修飾が行われており、またそれが可能である。バチルス-コアグ
ランス(Bacillus coagulans)として識別されてきた微生物もまた、低pH乳酸生
成を改善する目的でさらなる遺伝子修飾も可能な天然の乳酸生成者である。
【0063】 加えて、アルキア(Archea)科由来の極オフィレ(extremeophile)有機体は、極
低pHおよび高温に耐えることができる。この科から選択された種の遺伝子修飾
によって乳酸生成菌株の提供も可能かもしれない。 4.遺伝学的局面 酵素活性を持つポリペプチドを暗号化する核酸分子は、あらゆる方法を用いて
識別および形成が可能である。例えば、遺伝子暗号に基づいて核酸シーケンスを
アミノ酸シーケンスに翻訳する標準的な核酸配列技術およびソフトウェアプログ
ラムを用いて、特定の核酸が公知の酵素ポリペプチドを備えた何らかのシーケン
スホモロジーを持つか否かを判断することができる。メガライン(登録商標)(M
EGALIGNR,DNASTAR, Madison, WI, 1997)のような配列アラインメントソフトウェ
アを用いて、様々なシーケンスを比較することができる。加えて、公知の酵素ポ
リペプチドを暗号化する核酸分子を、一般的な分子クローニング技術(例えば部
位指向性突然変異生成)を用いて突然変異させることができる。限定を意図した
ものではないが、可能な突然変異として挙げられるのは、欠失、挿入、および塩
基置換(base substitutions)で、欠失、挿入および塩基置換を組み合わせてもよ
い。さらに、核酸およびアミノ酸データベース(例えばジェンバンク(登録商標
)(GenBankR))を用いて、酵素活性を持つポリペプチドを暗号化する核酸シーケ
ンスを識別することもできる。簡単に言えば、酵素活性を持つポリペプチドに対
するなんらかのホモロジーを持つアミノ酸シーケンス、または酵素活性を持つポ
リペプチドを暗号化するシーケンスに対する何らかのホモロジーを持つ核酸シー
ケンスを、ジェンバンク(登録商標)のサーチを行うクエリーとして用いること
ができる。識別されたポリペプチドはその後、酵素活性を呈示するかどうか判断
する目的で分析することもできる。
【0064】 酵素活性を持つポリペプチドを暗号化する核酸分子を、PCRのような一般的
な分子クローニングまたは化学核酸合成処理方法および技術を用いて識別および
形成することも可能である。PCRは、標的となる核酸を、米国特許第4,68
3,195号に記載されている方法と類似の方法で増幅することと、その後にそ
の中で記載されているプロセスの修飾を指す。一般に、対象領域の末端またはそ
の周辺(beyond)からのシーケンス情報を用いて、増幅されるポテンシャルテンプ
レートの対生菌株(opposite strands)にシーケンスが一致するかまたは類似して
いるオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。PCRを用いて、核酸シーケン
スをRNAまたはDNAから増幅してもよい。例えば、核酸シーケンスを、PC
R増幅によって、総細胞RNA(total cellular RNA)、総ゲノムDNAおよびc
DNAから、さらにはバクテリオファージシーケンス、プラスミドシーケンス、
ウイルスシーケンス等から単離することができる。RNAをテンプレート源とし
て用いる時、優勢な(complimentary)DNA菌株を合成する目的で逆転写酵素を
用いてもよい。
【0065】 さらに、酵素活性を持つポリペプチドを暗号化する核酸分子を識別および形成
するために核酸ハイブリッド形成技術を用いてもよい。簡単に言えば、公知の酵
素ポリペプチドまたはその断片を暗号化する核酸分子を、中〜高度の厳密さの条
件下でのハイブリッド形成によって類似の核酸分子を識別するプローブとして用
いることができる。そのような類似の核酸分子をその後単離、配列および分析す
ることにより、暗号化されたポリペプチドが酵素活性を持つかどうか判断するこ
ともできる。
【0066】 ハイブリッド形成は、DNAまたはRNAシーケンスをそれぞれ識別するサザ
ン分析またはノーザン分析によって行うことも可能であり、プローブのために異
種交配を行う。そのプローブは、32Pのような放射性同位体、酵素、ジゴキシゲ
ニンを用いて、またはビオチニレーション(biotinylation)によって標識されて
もよい。分析用のDNAまたはRNAは、アガロースまたはポリアクリルアミド
ゲル表面で電気泳動分離され、ニトロセルロース、ナイロン、またはその他の適
当な膜に移植され、当業者に周知の標準的な技術を用いてプローブで異種交配さ
れる。そのような技術は例えば、サムブルックら(Sambrook et al. sections 7.
39-7.52 of Sambrook et al., (1989) Molecular Cloning, second edition, Co
ld Spring harbor Laboratory, Plainview, NY.)に記載されている。通常、プロ
ーブの長さは約20ヌクレオチド以上である。例えば、哺乳類のクエン酸リアー
ゼ活性を暗号化する20ヌクレオチドに相当するプローブを、クエン酸リアーゼ
活性を持つ真菌性ポリペプチドを暗号化する核酸分子の識別に用いてもよい。加
えて、20ヌクレオチドより長いまたは短いプローブを用いてもよい。
【0067】 外因性核酸分子を細胞に導入するのにあらゆる方法が用いられる。実際に、酵
母細胞に核酸を導入する多くの方法が当業者間で知られている。例えば、形質転
換、エレクトロポレーション、接合(conjugation)およびプロトプラスト融合法
が、核酸を酵母細胞に導入する一般的な方法である。例として、イトウら(Ito e
t al. J. Bacterol. 153:163-168 (1983); Durrens et al., Curr. Genet. 18:7
-12 (1990); and Becker and Guarente, Methods in Enzymology 194:182-187 (
1991))を参照。
【0068】 重要なのは、本発明の酵母細胞内部に含有される外因性核酸分子を、あらゆる
形態で細胞内で維持できるということである。例えば、外因性核酸分子を細胞の
ゲノムに組み込むか、エピゾームの状態で維持することができる。換言すれば、
本発明の細胞は、安定性形質転換体でもよくまた遷移性形質転換体であってもよ
い。加えて、ここに記載されている酵母細胞は、上記のような特定の外因性核酸
分子の、単一または複数の複製(例えば約5、10、20、35、50、75、
100または150個)を含有していてもよい。
【0069】 外因性核酸分子からアミノ酸シーケンスを発現させる方法は、当業者間でよく
知られている。限定を意図したものではないが、そのような方法の一例として挙
げられるのは、調節要素(regulatory elements)ポリペプチドを暗号化する核酸
シーケンスの発現を促進できるように核酸を構成するということである。通常、
調節要素は、転写のレベルで他のDNAシーケンスの発現を調節するDNAシー
ケンスである。従って、調節要素は、プロモーター、エンハンサーおよびその他
を含むが、これらに限定されるのではない。その上、酵母の外因性核酸分子から
ポリペプチドを発現させる方法は当業者間でよく知られている。例えば、クライ
ベラミセス内部で外因性ポリペプチドを発現できる核酸構造物がよく知られてい
る。例として、米国特許第4,859,596号および第4,943,529号
を参照。
【0070】 ここに記載されているように、本発明の範囲内の酵母細胞は外因性核酸分子を
含有している。その分子は例えば、有機生成物の形成につながる酵素活性を持つ
ポリペプチドを暗号化する。外因性核酸を含有する細胞を識別する方法は、当業
者間でよく知られている。そのような方法の例として挙げられるのは、PCRお
よび、ノーザン分析およびサザン分析のようなハイブリッド形成技術であるが、
これらに限定されるのではない。場合によっては、免疫組織化学および生化学的
な技術を用いて、特定の核酸分子によって暗号化された酵素ポリペプチドの発現
を検出することで、ある細胞がその特定の核酸を含有しているかどうかを判断す
ることもできる。例えば、ある暗号化された酵素に関して特異性を持つ抗体を用
いて、ある特定の酵母細胞がその暗号化された酵素を含有するかどうかを判断す
ることができる。さらに、生化学的な技術を用いて、ある酵素ポリペプチドの発
現の結果として生成された有機生成物を検出することによって、ある細胞がその
酵素ポリペプチドを暗号化する特定の核酸分子を含有するかどうかを判断するこ
とができる。例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を持つポリペプチドを暗号化す
る外因性核酸分子を、通常はそのようなポリペプチドを発現しない酵母細胞に導
入した後に乳酸塩が検出されれば、酵母細胞が導入された外因性核酸分子を含有
するのみならず、その導入された外因性核酸分子からの暗号化された酵素ポリペ
プチドを発現するということがわかる。具体的な酵素活性または特定の有機生成
物の存在を検出する方法は、当業者によく知られている。例えば、乳酸塩の存在
は、別記の方法で判断できる。例として、ウィッテら(Witte et al. J. Basic M
icrobiol. 29:707-716 (1989))参照。
【0071】 本発明はまた、組み換えシーケンスおよび選択されたシーケンスを含有する核
酸構造物を提供する。ここで用いられている「組み換えシーケンス」という語は、
細胞内に発見されるゲノムシーケンスに相当する核酸シーケンスを指す。ここで
記載されている組み換えシーケンスを、ノックアウト有機体の発生(generation)
の間に、組み換え事象を指示する(direct)目的で用いてもよい。換言すれば、組
み換えシーケンスを、特定のシーケンスを暗号化する核酸シーケンスを含有する
座を特に限定して分断することもできる。ここで用いられている「選択されたシ
ーケンス」という語にはあらゆる核酸シーケンスが含まれる。通常、ある選択さ
れたシーケンスは、細胞内の有機生成物の形成につながる酵素活性を持つポリペ
プチドを暗号化する。従って、本発明の核酸構造物を用いて、一工程で内因性酵
素活性をノックアウトし、外因性酵素活性を添加することもできる。ほとんどの
場合、選択されたシーケンスは組み換えシーケンス内部にあるので、その選択さ
れたシーケンスは組み換えシーケンスによって各末端部でフランキングされる。 5.有機生成物の生成および培養方法 本発明は、酵母細胞およびその他ここで提供されている細菌性細胞のいずれか
を用いて有機生成物を生成する方法を提供する。そのような方法の一例では、酵
母細胞を供給しその供給された酵母細胞を培地で培養することによって、有機生
成物(例えば、グリセリン、アクリル酸塩、キシロース、アスコルビン酸塩、乳
酸塩、クエン酸塩、イソクエン酸塩、α−ケトグルタル酸、スクシニル−CoA
、コハク酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、およびオキサロ酢酸塩)が生成される
。一般的に、培地および/または培養条件は、2種のカテゴリーのいずれかに分
類される。すなわち、細胞呼吸および/またはバイオマス生成を促進するカテゴ
リーと、細胞呼吸を減少させるカテゴリーである。通常、細胞呼吸を促進する培
地および/または培養条件は、急速な増殖が要求される状況、またはその生成物
が細胞呼吸無しでは生成不可能な状況で用いられる。そのような有機生成物がク
レブス回路生成物を含んでいてもよいが、必ずしもそれに限定されない。一方、
細胞呼吸を減少させる培地および/または培養条件は、急速な増殖が不要もしく
は望ましくない、またはその生成物が細胞呼吸無しでも生成可能な状況で用いら
れる。そのような生成物には乳酸塩、アクリル酸塩およびキシロースが含まれる
がこれらには限定されない。ここでのように、「細胞呼吸を促進する」または「
バイオマス生成を促進する」といった語句を培養条件について用いた場合、それ
は、主として培地内の炭素源が酸化呼吸(oxidative respiration)により、また
は有機体を生成するために新陳代謝されるように、その細胞培養条件が維持され
ていることを意味する。ここで用いられている「バイオマス」という語は、その
有機体の乾燥重量を指す。ここでの「有機体を生成するために主として新陳代謝
される」という語句は、(炭水化物の形態で)消費される炭素源1グラムあたり
約0.3グラム以上のバイオマス(例えば、約0.4、0.45、0.5、また
は0.6グラム以上のバイオマス)を意味する。一般的に、炭素源1グラムあた
り約0.3グラム〜約0.6グラムのバイオマスが生成される。ある培養におけ
るバイオマスの量(乾燥細胞重量)を判断する方法は公知であり、その例として
挙げられるのは、ポスツマら(Postma et al. "Enzymic analysis of the Crabtr
ee effect in glucose-limited chemostat cultures of Saccharomyces cerevis
iae," Appl. Environ. Mocrobiol., 53, 468-477 (1989))、およびキエルズら(K
iers et al., "Regulation of alcoholic fermentation in batch and chemost
at cultures of Kluyveromyces lactis CBS 2359," Yeast, 14, 459-469 (1998)
)である。炭素源の消費量を判断する方法は公知であり、例えばHPLC方法学
が挙げられる。
【0072】 特筆すべきは、炭素源利用の効率が炭素源および有機体によって変わり得ると
いうことである。従って、炭水化物以外の炭素源を含む複合増殖媒体(complex g
rowth media)を用いてもよいが、炭素源1グラムに対し生成されるバイオマスの
量は、消費された炭水化物炭素源1グラムに対するバイオマスの量のみを指す。
【0073】 通常、細胞呼吸の阻害剤(例えば、アンチマイシンA、シアニド、およびアジ
ド)を含有する培地は細胞呼吸を減少させ、一方そのような阻害剤がなければ細
胞呼吸が促進されるであろう。同様に、嫌気性培養条件は細胞呼吸を減少させる
が、好気性条件下は細胞呼吸を促進するであろう。好気性条件とは、酸素が導入
されるか自然に発生し、呼吸経路用の基剤の役割を果たす条件のことである。一
般的に、「好気性」という語は、培地が空気流0.1VVM(空気量/液体量/
分)以上(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、または2
.0VVMより大きい)に維持される培地条件を指す。空気以外の気体を用いる
場合は、見かけの(nominal)VVMをその基質の酸素含有量に基づいて空気と同
等になるよう調整する。或いは、「好気性」を、大気圧の空気で飽和した状態で
存在する量に対し、溶解した酸素の量が2%以上(例えば5、10、20、30
、40、50、60、75または80%以上)である培地として定義してもよい
【0074】 嫌気性条件は、酸素が故意にまたは自然に、その呼吸経路でほとんど利用でき
ないようにされている条件のことであり、結果的に例えばエタノールのような還
元生成物が生成される。一般的に、培地に溶解している酸素(DO)の量が約2
.0%未満(例えば、約1.5、1.0、もしくは0.5%未満または約0%)
であれば、嫌気性条件と考えられる。同様に、VVM(空気量/液体量/分)が
約0.1未満(例えば、約0.05未満または約0)であれば、嫌気性条件であ
ると考えられる。通常、VVMに関してここで用いられている「空気」という語
は、大気中に存在するような空気を指す。それ以外に細胞呼吸に影響を及ぼし得
る培養条件としては、pH、温度、および特定の炭素源(グルコース等)が挙げら
れるが、これらに限定されるのではない。重要なのは、一つの種の酵母内部で細
胞呼吸を促進する幾つかの培地および/または培養条件は、別の種内部の細胞呼
吸を減少させる可能性があるということである。例えば、培地内部にグルコース
が存在すると、クラブトリー正表現型を持つ酵母細胞の細胞呼吸が減少するが、
クラブトリー負表現型を持つ酵母細胞の細胞呼吸にはほとんど、または全く影響
がない。
【0075】 商業的生成中に培養条件を直接的に操作することは、ここに記載されているよ
うな所望の有機生成物の最適なレベルに到達する上で重要な工程であるといえる
。通常、本発明の範囲内の酵母細胞は細胞呼吸を促進し有意の細胞密度を生成す
る培養条件下で増殖される。例えば、酵母細胞を培養容器に設置し、大量のグル
コースと酸素を与えればよい。通常、細胞呼吸が促進される条件下では、ここで
供給された微生物が倍増する時間は約10時間未満(例えば、約8、5、または
3時間未満)である。一旦細胞が有意の密度に達すると、細胞呼吸を減少させる
ようにその培養条件の切り替えを行うことによって、細胞呼吸を必要としない有
機生成物が生成される。例えば、酵母細胞を培養容器に移して大量のグルコース
を与えるが酸素は与えないようにしてもよい。この場合、培養条件を直接的に操
作し好気性条件から嫌気性条件に切り替えることにより、所望の有機生成物を最
適レベルで生成することができる。或いは、場合によっては、細胞呼吸を促進す
る条件下でそのような細胞を単独で培養することにより、細胞呼吸を必要とする
有機生成物を生成してもよい。特筆すべきは、生成容器内の細胞マスが、約2g
/Lを超える(例えば約4、6、または8g/Lを超える)ことである。
【0076】 培養の間、温度を約35℃より高く(例えば、36、37、38、39、40
、41、42、43、44、または45℃より高く)してもよい。加えて、培地
が液体であってもよい。その培地は通常、炭素源を含有する。一般的に、炭素源
は粗材料を含有する炭水化物を含む。通常、養分培地(nutrient media)はまた、
窒素源も含有する。その窒素源が有機および無機の窒素化合物の組み合わせを含
むのが好ましい。
【0077】 一実施態様においては、大型の発酵容器に、バイオマス生成および所望の生成
物の生成に十分なように、必要とされる全栄養素と全炭水化物を含む培地を満た
すのが望ましいといえよう。その容器を、例えば好気性条件にすることによって
当初はバイオマス生成が促進され、次に所望の生成物を生成するために嫌気性条
件に切り替えるといった条件下で操作してもよい。
【0078】 また別の実施態様では、バイオマス生成用として小型の容器を使用し、高レベ
ルの栄養素と十分な炭水化物を用いて、例えば約100g/lのバイオマスを生
成する。この容器の内容物をその後、栄養素が少な目の第二の培地を含有するよ
り大きめの容器に移してもよい。そのような培地は例えば、水中に炭素源として
のグルコースまたはその他の炭水化物炭素源のみを含有する。この容器を嫌気性
条件下で操作して、所望の有機生成物を生成してもよい。低い栄養素レベルと嫌
気性条件のため、バイオマス増殖は減少する。
【0079】 好ましい実施態様では、所望の生成物の回収を簡略化するために、養分媒体を
必要な材料のためだけに保持する。好気性増殖を利用すると、嫌気性条件下での
増殖が必要とされる場合に比べ、単純な媒体を使用することが可能になる。ここ
で記載されている酵母の多くが、好気性条件下で、糖類、無機窒素源、微量金属
およびいくらかのビタミン類のみで構成される媒体表面で増殖可能である。
【0080】 発酵またはその他のプロセスの結果として生じた培地に有機生成物を添加する
までは、その培地のpHは一般的には約5.0〜7.0である。しかしながら、
有機酸等の有機生成物が微生物によってその培地に分泌されると、培地のpHは
低下し易い。ここで用いられている「有機pH」という語は、乳酸等のカルボン
酸塩類のような、その培地に存在する有機化合物に起因する培地のpHを指す。
ここで用いられている「無機pH」という語は、HClやH2SO4といった無機
化合物に起因するpHを指す。その培地の有機pH値が約3.0未満(例えば、
約2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1
、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、または1.5未満)、または無機
pH値が約3.0未満(例えば、約2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、
2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、
または1.5未満)であればよい。培養処理中はあらゆる炭素源を用いることが
できる。例えば、ペントース炭素(例えばリボース、アラビノース、キシロース
およびリキソース)を含有する培地を用いてもよい。加えてコーンファイバー加
水分解物質を含有する培地も用いられる。コーンファイバー加水分解物質のpH
値が2.0〜6.5であってもよい。通常、コーンファイバー加水分解物質はグ
ルコース、キシロースおよびアラビノースを含有する。例えば、コーンファイバ
ー加水分解物質がグルコースを約40グラム/L、キシロースを約40グラム/
L、およびアラビノースを約20グラム/L含有していてもよい。
【0081】 大規模な生成プロセスでは、以下に示す方法を用いてもよい。ヘキソースおよ
び/またはペントース炭素等を含む適当な培地を備えた大型タンク(例えば、5
0−、100−、200−ガロンまたはそれ以上のタンク)に特定の微生物を植
え付ける。植え付けの後、炭素源がバイオマスの生成に主に利用されるように、
培養条件を操作してもよい。例えば、培地を操作して、pH値が約7.0、温度
が約35℃、そしてタンク全体が好気性環境となる程度の量の酸素を溶解させて
もよい。特筆すべきは、このバイオマス生成相の間に所望の有機生成物の生成が
可能ということである。一旦十分なバイオマスに到達すれば、その微生物を含有
するブロスを第二のタンクに移してもよい。この第二のタンクはどのようなサイ
ズでもよい。例えば、第二のタンクが最初のタンクに比べ、大きくても、小さく
ても、または同サイズでもよい。通常、第二のタンクは、第一のタンクからのブ
ロスに追加の培地を添加できるように、第一のタンクより大きくなっている。加
えて、この第二のタンク内の培地は第一のタンクで使用されている培地と同じで
も、異なっていてもよい。例えば、第一のタンクがキシロースとアラビノースを
含有するのであれば、第二のタンクがグルコース入りの培地を備えていてもよい
【0082】 微生物を移した後、炭素源が主として有機生成物の生成に用いられるよう、第
二のタンク内の培養条件を操作してもよい。ここで、「有機生成物」としてはまず
ピルビン酸塩誘導生成物および二酸化炭素(CO2)が含まれるが、バイオマス
(すなわち細胞乾燥重量)は含まれない。ここで、培養条件に関して用いられて
いる「選択された有機生成物を主として生成する」または「選択されたピルビン
酸塩誘導生成物」という語句は、その炭素源が培地内で、通常は発酵プロセスに
よって(必ずしもというのではないが)新陳代謝されることを意味し、消費され
る炭素源1グラムあたり0.5グラム以上の有機生成物(例えば0.6、0.7
5、または0.8グラム以上の有機生成物)が形成される。生成された有機生成
物および/または消費された炭素源の量を判断する方法は公知であり、その一例
としてHPLCが挙げられる。
【0083】 先に記載したように、炭素源利用効率は基質および有機体によって変化し得る
。従って、炭水化物以外の炭素源(アミノ酸等)を含む複合増殖培地を用いるこ
とも可能であるが、1グラムの炭素源に対して生成される有機生成物またはピル
ビル酸塩誘導生成物の量は、消費される炭水化物炭素源1グラムに対して生成さ
れる有機生成物またはピルビル酸塩誘導生成物の量のみを指す。好ましくは、こ
の段階では、炭素源1グラムあたり0.3グラム以下のバイオマス(例えば、0
.2、0.1、または0.05グラム以下のバイオマス)が生成される。
【0084】 例えば、酸素分を溶解させてタンク全体を嫌気性環境とするか、または細胞呼
吸の阻害剤を添加して培地を操作してもよい。加えて、培地を操作することで、
特定のpH値(例えば、酸性、中性、または塩基性pH値)を維持してもよい。
或いは、特定のpH値を維持することなく、培養のpHを定期的に調整してもよ
い。通常、有機酸を生成する際には、培地のpH値は約1.5を超えるように(
例えば、約2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5
、6.0、6.5または7.0を超える)に維持される。さらに、微生物がその
供給された炭素源を異化する際に、タンク内部の温度は上昇する。従って、培地
を操作することにより、特定の温度を維持してもよい。或いは、特定の温度を維
持することなく、培地の温度を定期的に調整してもよい。通常、熱に敏感な微生
物を用いる時には温度を約35℃未満(例えば、約34、33、32、31、ま
たは30℃未満)に維持し、一方、熱に反応しない微生物を用いる時には温度を
約45℃未満(例えば、約44、43、42、41、40、39、38、37、
36、または35℃未満)に維持する。特筆すべきは、この有機生成物生成相の
間にバイオマスの生成が可能であるということである。加えて、第二のタンク内
部の培養条件を生成物の生成を促進する条件からバイオマス生成を促進する条件
へ、またはその逆の切替を、1回または複数回行える。例えば、第二のタンク内
部の培養条件を、短期間断続的に酸素を溶解させつつほとんどの時間を嫌気性条
件とすることで、好気性条件を定期的に存在させることもできる。
【0085】 別の方法では、例えば末端電子受容体を添加することによってその嫌気性条件
を変更し、培養された微生物の新陳代謝エネルギーを増加させてもよい。ここで
用いられている「新陳代謝エネルギー」という語は、エネルギー源(炭素源等)
から有機体によって誘導されるエネルギー(ATP換算)を指す。条件によって
は、炭素源の新陳代謝によって有機体から得られる新陳代謝エネルギーが、それ
とは異なる条件下で同じ炭素源から得られるエネルギー量よりも大きい。
【0086】 生細胞は生き延びて増殖するために、で高度に規則配列(order)されておりま
たその内部で規則配列を作成しなければならない。有機体内部の規則配列を維持
するために、有機体内では何千もの異なる化学反応が同時にまたひっきりなしに
起こっている。例えば、細胞は、DNAやRNAそれにタンパク質を重合する反
応のような生合成反応や新陳代謝生成物の形成にエネルギーを必要とする。細胞
はまた、基質を細胞に導入し、細胞内部の新陳代謝を保ち、適度な膨圧と内部の
pHをを維持するための、また運動のためのエネルギーを必要とする。
【0087】 エネルギーは作り出すことも壊すこともできないので、細胞はその規則配列を
維持するために環境からのエネルギー入力を必要とする。エネルギーは一般的に
、電磁放射または化学エネルギーの形態で環境より供給される。環境から得られ
るエネルギーは、2種類の一般的な生化学メカニズム、すなわち基質レベルの燐
酸化および電子伝達のいずれか一方によってその細胞に利用される。
【0088】 一般的に、嫌気性条件下では、ATP(エネルギーの「細胞輸送(cellular cu
rrency)」)が基質レベルの燐酸化によって生成される。基質レベルの燐酸化で
は、エネルギーは化学結合から放出され、主にATPの形態で保存される。
【0089】 基質レベル形成の一例が、以下に示すようなグルコースからグリコリシスを介
してのピルビン酸塩への転換である。
【0090】 グルコース=2ピルビン酸塩+2ATP+2H2 ピルビン酸塩がその後、乳酸に転換されることもあり得る。
【0091】 ピルビン酸塩+2H2=乳酸塩 上記基質変換によって生成された正味エネルギーは、2ATPに等しい。
【0092】 ピルビン酸塩をさらに加工処理してトリカルボン酸(TCA)サイクルとし、
さらにエネルギーおよび水素原子を発生させてもよい。
【0093】 ピルビン酸塩+3H2O=3CO2+ATP+5H2 グルコース呼吸のためのネット反応(net reaction)を以下に示す。
【0094】 グルコース+6H2O=6CO2+4ATP+12H2 従って、基質レベル燐酸化によって、グルコースのCO2への完全呼吸が、4
ATPおよび24水素原子と同等の正味エネルギーを供給するであろう。
【0095】 「電子伝達」では、「電子伝達鎖」の要素を構成する化合物の酸化還元ポテン
シャルが平衡を保っているので、各要素を前述の要素の還元形態によって還元す
ることができる。従って、還元力が電子として、担体分子の鎖を通って酸素(O 2 )、硝酸塩(NO3 -)、およびフマル酸塩といった末端電子受容体まで流れる
ことができる。酸素、硝酸塩、およびフマル酸塩といった末端電子受容体を培地
に添加することで、高い新陳代謝エネルギー(例えば、消費分と同等の炭素源を
生成するための高いATP生成)を備えた微生物を供給することができる。酸素
は最も好ましい末端電子受容体である。
【0096】 例えば、酸素を末端電子受容体として使用するのであれば、水素をその電子伝
達鎖を介して加工処理し、細胞に対し、水素原子1個あたり1.5ATPおよび
酸素原子1個あたり3ATPを追加的に供給することが可能である。一般的に、
新陳代謝エネルギーの量は、グルコース消費量に対する酸素消費量の比を計測す
ることによって判断可能である。表1に、TCAサイクル(および、結果的に呼
吸)に対するピルビン酸塩の損失が原因で減少する収率の関数として、生成中に
酸素を添加した場合の、エネルギー収率の最大および最小向上期待値(グルコー
スのモル毎のATPのモル)を示す。最大向上%を、P/O比が3と仮定して算
出し、一方最小向上%を、P/O比が0.5であると仮定して算出した。表2は
、消費されるグルコース1モルあたり消費される酸素の最大量の推定値を示す。
酸素を添加することによって、炭素を切り離して(sequester)生合成する最低限
度の増殖を促進することができるので、少量の炭素が残りそれを呼吸(従って酸
素利用)に用いることが可能である。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】 従って、細胞培養中の微生物の新陳代謝エネルギーを向上させるために、末端
電子受容体として酸素をその細胞培養に添加してもよい。グルコースから乳酸を
得る際の最大モル収率はグルコース1モルに対し乳酸塩2モルでありグルコース
からATPを得るモル収率はグルコース1モルに対しATP2モルであるが、末
端電子受容体として酸素を添加すると、ピルビン酸塩の一部がクエン酸(TCA
)サイクルに向けられ、そこでCO2およびエネルギーに転換される。従って、
末端電子受容体を供給すると微生物の「新陳代謝エネルギーが増加する」。
【0100】 ピルビン酸塩をTCAに転向すると、生成される他のピルビン酸塩誘導生成物
(乳酸等)の量が減少する傾向がある。例えば、収率が10%減少すると結果的
に微生物の新陳代謝エネルギーの発生が2.6倍になり、収率が20%減少する
と微生物の新陳代謝エネルギーの発生が4.2倍になり、さらに収率が50%減
少すると微生物の新陳代謝エネルギーの発生が9倍になることもあり得る。
【0101】 プロセスの後半の段階で、乳酸のような新陳代謝性の生成物が高レベルで存在
している場合、細胞は機能を維持するためにより多くの新陳代謝エネルギーを必
要とするであろうことが予測される。
【0102】 従って、嫌気性培地内の微生物を、溶解した酸素に短時間断続的に露出するこ
とが望ましいとも考えられる。「溶解酸素に短時間(brief pulse of dissolved
oxygen)」露出した結果、その培地が濃度0.5パーセント以下、好ましくは約
0.1〜0,5パーセントの溶解酸素を持つようになるのが好ましい。交替で、
嫌気性発酵中の微生物の増殖率または細胞維持を、硝酸塩またはフマル酸塩のよ
うな別の末端電子受容体を添加することで向上させることも可能である。酸素を
、所望のレベルでの生産性を維持しつつ微生物の新陳代謝エネルギーを増加させ
るのにちょうど十分なレベルで添加する。収率損失が過度にならないよう注意し
なければならない。この技術は、残留糖類の消費を助けそれによって回収プロセ
スをさらに簡略化するのにも用いることができる。 6.有機生成物精製方法 生成後に、所望の生成物を単離するの目的でどのような方法を用いてもよい。
例えば、公知の分離技術を用いてブロスからバイオマスを除去してもよいし、公
知の単離処理方法(例えば、抽出、蒸留、およびイオン交換法)を用いて微生物
を含まないブロスから有機生成物を得ることも可能である。例として、米国特許
第4,275,234号、米国特許第5,510,526号、米国特許第5,8
31,122号、米国特許第5,641,406号、および、国際出願WO93
/00440を参照。加えて、所望の有機生成物をその生成中に単離したり、生
成物生成相が終了した後でブロスから単離してもよい。重要なのは、第二のタン
ク内部の培養条件を操作することが可能なので、単離プロセスを向上させられる
という点である。例えば、第二のタンク内部のpHおよび温度を操作して、所望
の有機生成物が溶液から析出するか、またはより単離し易い形態とすることも可
能である。具体的には、ブロスのpHが有機酸のpKa値より低い時、有機酸の
pH値は溶液からの析出が可能なものである。例えば、グルタミン酸生成中の培
養条件が、そのpHが2.19、すなわちグルタミン酸のpKa値より低くても
よい。すなわち、pH、温度、およびブロスの含有量を操作することにより、有
機生成物の単離を容易にすることが可能である。加えて、特定の遺伝子操作酵母
を選択する、および/または所定の培養条件を操作することによって、そのブロ
ス内の副生物を、所望の有機生成物の回収を妨げないようにすることが可能であ
る。
【0103】 ここに記載されている方法および材料があらゆるタイプの培養プロセスでも採
用および使用可能であると都合がよく、限定を意図するものではないが、そのよ
うな方法には、普通「連続発酵」や「バッチ発酵」プロセスと呼ばれるプロセス
が含まれる。加えて、ある生成プロセスの間に使用される微生物を回収して後続
の生成プロセスで再使用してもよい。例えば、その微生物を複数回再使用して所
望の有機生成物を生成してもよい。さらに、どのような炭素源を用いてもよい。
例えば、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イオド
ース、ガラクトース、タロース、メリビオース、サッカロース、フルクトース、
ラフィノース、スタキオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソー
ス、コーンスターチや小麦澱粉等の澱粉、および、コーンファイバー加水分解物
質やその他のセルロース加水分解物質等の加水分解物質が、バイオマスまたは所
望の有機生成物を生成するための炭素源として使用可能である。その上、どのよ
うな培地を用いてもよい。例えば、標準的な培地(例えば酵母最小培地およびY
P培地(酵母エキスが10g/L、ペプトンブロスが20g/L))、また、コ
ーン浸漬(steep)水またはコーン浸漬流体(liquor)を用いることもできる。
【0104】 本発明における重要な利点の一つが、好ましい微生物が、特に好気性条件下で
増殖させると、最小培地を利用できるということである。通常、嫌気性生成は養
分を追加する必要がないため、様々な分離技術のいずれかを用いて、比較的清浄
な発酵ブロスから最終生成物を単離することができる。液液抽出は、発酵ブロス
から有機酸を分離する上でよく知られている技術であり、かなりの純度が得られ
る。本発明によって、より単純で、費用がかからず、エネルギーを節約できるシ
ステムが利用できるとも考えられる。
【0105】 一実施態様では、本発明は、トレインタイププロセス(train-type process)に
おいて、クラブトリー負表現型を持つ遺伝子修飾酵母を用いる。トレインタイプ
プロセスとは、臨界細胞密度に到達した後で、かつ、所望の有機生成物の特定生
産性を激増させることが望ましい場合に、新陳代謝経路での「切替(switch)」を
誘発することである。新陳代謝経路切替を誘発する方法としては通常、バイオマ
スを高ばっ気式容器から実質的に嫌気性の容器に移動させて酸素欠乏を生じさせ
る。特筆すべきは、増殖相と生成相のいずれでも、一般的な炭水化物(例えばグ
ルコースまたはキシロース)を炭素源として用いることが可能ということである
。クラブトリー負表現型を持つ遺伝子修飾酵母細胞の使用が、この実施態様を成
功させる上で非常に重要といえよう。加えて、所望の有機生成物の特定生産性も
成功する上で非常に重要といえる。ここで用いられている「特定生産性」という
語は、生成物の量を反映し、1時間に1グラムのバイオマス(乾燥重量)に対し
て生成される有機生成物のグラム数として、すなわちg/(g*時間)で表され
る。通常、乳酸塩およびアクリル酸塩のような有機生成物の特定生産性は、約0
.1g/(g*時間)を超える、例えば約0.2g/(g*時間)を超えるかまた
は約0.5g/(g*時間)を超える。ここで記載されているような高い特定生
産性を提供することにより、細胞の維持に必要なエネルギーを、呼吸経路を介し
た大量のエネルギーを発生するエアレーションによらずとも、実質的に嫌気性で
ある条件下での発酵生成物路を介して得られるであろう。特筆すべきは、実質的
に嫌気性である容器が約0.1VVMより低い率でばっ気されるということであ
る。生成状態によっては、エアレーションは用いられない。加えて、この実施態
様の収率(すなわち、有機生成物のg/消費される炭素源のg)は、約70重量
%を超え、エタノールや酢酸塩のような炭素源を添加することなく生成される。
場合によっては、細胞維持に必要なエネルギーを発生するために必要な特定生産
性を達成するために、所望の生成物の生成に必要な酵素の供給に加えて、グルコ
ースからピルビン酸塩への経路を増強することも必要かもしれない。
【0106】 別の実施態様では、トレインタイププロセスを、高ばっ気増殖容器のみが滅菌
能力を備えるように設計してもよい。嫌気性生成容器は通常、約35℃より高い
温度(例えば、約36、37、38、39、40、41、42、43、44、ま
たは45℃より高い温度)で作動される。このような温度では、生成物を生成す
る間にそのpHが下がるので、生き延びて遺伝子修飾酵母と競えるような野生型
酵母はほとんどない。そのような野生型酵母は特に、細胞維持のためのエネルギ
ーを発生できるよう増強された発酵経路を持たないと思われるからである。加え
て、その酵母を、ここで記載されているような「キラープラスミド」を含むよう
に処理してもよく、そうすれば、他の種からの酵母が生き残るのを防止すること
ができる。
【0107】 本発明はまた、酵母細胞を培養する様々な方法を提供している。例えば、クラ
ブトリー負表現型を持つ酵母細胞を、有機pH値が約3.0未満であるかまたは
コーンファイバー加水分解物質を含有する培地で培養してもよい。酵母細胞を培
養する方法として他に挙げられるのは、限定を意図したものではないが、クラブ
トリー負表現型を持つ酵母細胞を、無機pH値が約3.0未満であるかまたはペ
ントース炭素もしくはコーンファイバー加水分解物質を含有する培地で約35℃
より高い温度で培養する方法である。
【0108】 さらに、本発明は有機生成物を形成するプロセスを提供する。このプロセスは
、培養条件下で微生物を増殖し、培養条件を変更して有機生成物の生成を促進す
ることを含む。このプロセスでは、微生物は低いピルビン酸デカルボキシラーゼ
、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、および/または
アセチル−CoAシンターゼ活性を持ち、エタノールおよび酢酸塩のない場合に
呈示する増殖率が、低いピルビン酸デカルボキシラーゼ、アルコールデヒドロゲ
ナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼおよび/またはアセチル−CoAシンター
ゼ活性を持たない同等の微生物との比較において、約30パーセント以上(例え
ば、約35、40、50、75、100、150、200%またはそれ以上)で
ある。通常、細胞呼吸を促進する培養条件は、急速な増殖が要求される状況、ま
たは、その有機生成物が細胞呼吸無しでは生成不可能な状況で用いられ、一方、
細胞呼吸を減少させる培養条件は、急速な増殖が不要、またはその有機生成物が
細胞呼吸無しでも生成可能な状況で用いられる。
【0109】 本発明は、以下の実施例でさらに詳細に説明されているが、これらの実施例は
請求項に記載されている本発明の範囲を限定するものではない。
【0110】 実施例 実施例1−組み換えプラスミドpHES/pSEH 0.5マイクログラムのキエンら(Chien et al.)(Proc. Nat'l Acad. Sci.
, 88(21):9578-9582(1991))の記載によるプラスミドpGAD424を、制限酵
素HindIIIと消化させた。消化させた混合物は、TBE緩衝液(buffer)を
用いて、0.8%のアガロースゲル上でゲル電気泳動により分離された。5.9
kbpの断片は、サムブルックら(Sambrook et al.)(Molecular Cloning, se
cond edition, Cold Spring harbor Laboratory, Plainview, NY (1989))に記
載されているように、その後ゲルから精製された。92bpの多重制限酵素認識
部位を有する合成オリゴマーの相補対が設計された。1番目はfwd hes o
ligoと表わされ、以下のシーケンスからなる。 5'‐CCCAAGCTTGAATTCCCCGGGGGATCCCTGCAGGGTACCACGCGTAGATCTACTAGTGCGGCCGCCTC
GAGTCTAGAGGGCCCAAGCTTGGG-3' (SEQ ID NO:1) 2番目はcomp hes oligoと表わされ、以下のシーケンスからなる。 5'‐CCAAGCTTGGGCCCTCTAGACTCGAGGCGGCCGCACTAGTAGATCTACGCGTGGTACCCTGCAGGGAT
CCCCCGGGGAATTCAAGCTTGGG-3' (SEQ ID NO:2) 500ナノモルの二つの相補オリゴマーを10分間沸騰させ、徐々に室温にまで
冷却させて互いにアニールさせた。二本鎖92bpDNAをHindIIIと消化
させ、5.9kbpのpGAD424を消化させHindIIIに連結させた。連
結混合物は、サムブルックら(Molecular Cloning, second edition, Cold Spri
ng harbor Laboratory, Plainview, NY (1989))に記載されているような電気穿
孔法により、大腸菌DH10B(electromax cells, Life Technologies, Rockv
ille, MD)を形質転換させるのに使用された。組み換え大腸菌を、ルリア・ベル
ターニブロスプレート上で平板培養(plate)し、100マイクログラム/ml
の抗生物質性アンピシリンを用いて、プラスミドを含む細胞を選別した。アンピ
シリン耐性大腸菌クローンからのプラスミドDNAをふるいにかけ、二つのプラ
スミドpHESとpSEHを得た(図1および図2)。二つのプラスミドは、ア
ルコールデヒドロゲナーゼ、すなわちベクター上のADH1プロモーターの点で
、合成オリゴマーの配向が異なる。
【0111】 実施例2−ラクトバチルス・ヘルヴェティクスおよびペジオコックス・アシジ
ラクティシからの乳酸デヒドロゲナーゼを暗号化する核酸のPCR増幅 ゲノムDNAを、PUREGENE(登録商標)ゲノムDNA単離キット(Ge
ntra systems, Minneapolis, MN)を用いて、ラクトバチルス・ヘルヴェティク
ス(ATCC10797)およびペジオコックス・アシジラクティシ(ATCC
25741)の一晩培養物から単離させた。PCRプライマーは、エル・ヘルヴ
ェティクス(lh-ldh oligos)およびピー・アシジラクティシ(pa-ldh oligos)
ゲノムDNAから乳酸デヒドロゲナーゼ暗号化核酸を単離するように設計された
。これらのプライマーは、ジェンバンクデータベースの中の乳酸デヒドロゲナー
ゼに関して入手可能な遺伝子シーケンスに基づいて設計され、以下のシーケンス
からなる。 5' lh-ldh, 5'-CCGGGATCCATGGCAAGAGAGGAAAAACCTC-3' (SEQ ID NO:3)、3' lh-ld
h, 5'-CCAAGATCTTTATTGACGAACCTTAACGCCAG-3' (SEQ ID NO:4)、5' pa-ldh, 5'-C
CGGGATCCATGTCTAATATTCAAAATCATCAAAAAG-3' (SEQ ID NO:5)および、3' pa-ldh,
5'-CCAAGATCTTTATTTGTCTTGTTTTTCAGCAAG-3' (SEQ ID NO:6) プライマーは、サイエドソフトウェア(Sci-ed software)(Durham, NC)から
入手したプライマーデザイナーソフトを用いて最適化された。100ナノモルの
プライマーと共に、1マイクロモルのゲノムDNAを使用した。PfuDNAポ
リメラーゼ(New England Biolabs)を用いて、サムブルックら(Molecular Clo
ning, second edition, Cold Spring harbor Laboratory, Plainview, NY (1989
))に記載されているように、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)核酸をPCR増
幅させた。
【0112】 同様の方策を用いて、桿菌属種、例えば巨大菌(Bacillus megaterium)(ATC
C 6458)またはリゾプス・オリーゼ(Rhizopus oryzae)(ATCC 76275)、また
は乳酸を生成する他のいかなる有機体(菌類や細菌などの微生物と哺乳類などの
多細胞有機体を含む)、または乳酸を生成する有機体の組織からのゲノムDNA
から、L乳酸デヒドロゲナーゼ暗号化核酸を単離させる。ゲノムDNAを、PU
REGENE(登録商標)ゲノムDNA単離キット(Gentra systems, Minneapo
lis, MN)を用いて、有機体の増殖培地から単離させる。適正なPCRプライマ
ーは、ゲンバンクから入手可能なこれらの種に対するLDH遺伝子シーケンスに
基づき、乳酸デヒドロゲナーゼ暗号化核酸を単離するように設計される。一般に
、100ナノモルの適正なプライマーと共に、1マイクロモルのゲノムDNAを
使用する。PfuDNAポリメラーゼ(New England Biolabs)または他のいか
なる適正なDNAポリメラーゼが、例えばサムブルックら(Molecular Cloning,
second edition, Cold Spring harbor Laboratory, Plainview, NY (1989))に
記載されているように、PCR技術を用いて各ゲノムDNAから乳酸デヒドロゲ
ナーゼ(LDH)核酸をPCR増幅させるのに使用される。
【0113】 交互に、乳酸デヒドロゲナーゼ暗号化核酸は、以下の方法論のいずれかを用い
て、クライベラミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces theromotolerans)
ATCC52709、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma Reesei)ATCC
13631、トルラスポラ・プレトリエンシス(Torulaspora pretoriensis)A
TCC36425、または乳酸デヒドロゲナーゼを生成する他のいかなる有機体
から単離される。
【0114】 1)これらの有機体の一つからのゲノムcDNAライブラリーは、標準技術(
Sambrook et al., (1989) Molecular cloning: a laboratory manual, 2nd ed.
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)を用いて
、pUC19などの標準大腸菌発現ベクターにクローニングされる。大腸菌(ld
h pfl)突然変異株NZN111(Bunch et al., (1997) "The ldhA gene encod
ing the fermentative lactate dehydrogenase of Escherichia coli, " Microb
iology, 143: 187-95)を、このライブラリーと形質転換させて、細胞を嫌気性
条件下でカザミノ酸を補充したM9培地の中で増殖させる。これらの条件下で増
殖する大腸菌はいずれも、乳酸デヒドロゲナーゼを暗号化するか、またはldh
やpflにおける復帰突然変異体である。陽性(嫌気性増殖条件下で形成される
コロニー)は、(L)−LDHと(D)−LDH(Witte et al. (J. Basic Mic
robiol. 29:707-716 (1989))とが区別できる乳酸特定軟寒天培地オーバーレイ
(LASSO)の比色アッセイを用いて、LDH活性のためにふるいにかけられ
る。L乳酸デヒドロゲナーゼを発現する疑いのあるクローンからのプラスミドD
NAを、その後単離して配列する。
【0115】 2)ケー・サーモトレランスATCC52709、ティー・リーセイATCC
13631、およびトルラスポラ・プレトリエンシスATCC36425は、い
ずれも嫌気性条件下で培養されたときにL乳酸を生成する真核細胞である(Witt
e et al. (J. Basic Microbiol. 29:707-716 (1989))。従って、この方法によ
ると、これらの株の少なくとも一つは、乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性を誘発す
るために嫌気性条件下増殖される。細胞のないエキスを、その後標準方法を用い
て得たら、公知のタンパク質精製法にかけて、乳酸デヒドロゲナーゼ酵素を単離
させる。乳酸デヒドロゲナーゼを精製する方法はすでに知られている(Kelly et
al., (1978) "Affinity chromatography of bacterial lactate dehydrogenase
s," Biochem J. 171 (3): 543-7)。タンパク質の精製後、アミノ酸シーケンス
を測定するために部分的に切断され配列される。このアミノ酸シーケンスは、遺
伝子暗号化乳酸デヒドロゲナーゼをゲノムDNAから単離するため、その後縮退
プライマーの設計に使用される。
【0116】 ケー・サーモトレランスまたはトリコデルマ・リーセイまたはトルラスポラ・
プレトリエンシスから単離されたものなどの真核細胞からなるLDHは、桿菌族
または乳酸桿菌族などの細菌源からのLDHに比べると、(転写効率、翻訳効率
および/またはタンパク質活性の点において)ケー・マルキアヌスの酵母の中で
より良く機能するかもしれない。
【0117】 3)ジェンバンクから入手可能な公知の真核細胞からなる乳酸デヒドロゲナー
ゼ遺伝子シーケンスを用いて、ケー・サーモトレランスATCC52709、テ
ィー・リーセイATCC13631またはトルラスポラ・プレトリエンシスAT
CC36425のゲノムDNAから乳酸デヒドロゲナーゼの遺伝子を単離するよ
うに、縮退プライマーを設計する。LDH遺伝子シーケンスの中の保存NAD+
結合部位およびピルビン酸塩結合部位を用いて、縮退プライマーを設計する。1
00ナノモルのプライマーと共に、1マイクロモルのゲノムDNAを使用する。
PfuDNAポリメラーゼ(New England Biolabs)または他の適正なDNAポ
リメラーゼを用いて、例えばサムブルックら(Molecular Cloning, second edit
ion, Cold Spring harbor Laboratory, Plainview, NY (1989))に記載されてい
るような公知のPCR方法により、L+乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)核酸の
断片を増幅させる。
【0118】 実施例3−エル・ヘルヴェティクスおよびピー・アシジラクティシのpCRII
ベクターへのクローニング PCR増幅LDHのDNA生成物は、インヴィトロゲン(Invitrogen)(Carl
sbad, CA)から入手したTAクローニングキットを用いて、pCRIIベクター(
図3および図4)に連結させた。連結混合物は、サムブルックら(Molecular Cl
oning, second edition, Cold Spring harbor Laboratory, Plainview, NY (198
9))に記載されている方法を用いて、その後大腸菌DH10Bの形質転換に用い
られた。キットと共に供給されたpCRIIベクターは、製造者の指示に従って、
PCR生成物を迅速にクローニングさせる。エル・ヘルヴェティクスおよびピー
・アシジラクティシからのLDH遺伝子と共にpCRIIベクターを、図4に示す
【0119】 実施例4−pHESベクターにおけるエル・ヘルヴェティクスおよびピー・ア
シジラクティシLDH遺伝子を有する組み換えプラスミドpLh ldh−HE
S/pPa ldh−HES エル・ヘルヴェティクスおよびピー・アシジラクティシからのLDH遺伝子を
含むpCRIIベクターを、適正な制限エンドヌクレアーゼと消化させた。pHE
Sベクターも同様に、同じ制限エンドヌクレアーゼと消化させた。pCRIIベク
ターからのLDHを含む1kbpインサートを、サムブルックら(Molecular Cl
oning, second edition, Cold Spring harbor Laboratory, Plainview, NY (198
9))に記載されているようなT4DNAリガーゼを用いて、その後6.0kbp
のpHESに連結させた。連結混合物は、大腸菌DH10B(electromax cells
, Life Technologies, Rockville, MD)を形質転換させるのに使用され、アンピ
シリン耐性のために組み換えクローンを選択した。組み換えクローンから単離さ
れたDNAは、pLh ldh−HESおよびpPa ldh−HESベクターを
測定するために分析された(図5)。これらのベクターは、酵母アルコールデヒ
ドロゲナーゼプロモーター(ADH1)を抑制しながら、pHESベクターの中
でエル・ヘルヴェティクスおよびピー・アシジラクティシからLDHを暗号化す
る遺伝子を含有している。
【0120】 実施例5−サッカロミセスPDC1遺伝子プロモーターを用いた、発現のため
の桿菌属種、リゾプス・オリーゼ、ケー・サーモトレランス、トリコデルマ・リ
ーセイまたはトルラスポラ・プレトリエンシスLDH遺伝子のクローニング リゾプス・オリーゼ、ケー・サーモトレランス、トリコデルマ・リーセイまた
はトルラスポラ・プレトリエンシスで発見された乳酸デヒドロゲナーゼプロモー
ターを、ケー・マルキアヌスの中でクローニングされた乳酸デヒドロゲナーゼ遺
伝子の発現を抑制するために使用することは可能ではあるが、サッカロミセス・
セレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)からのPDC1プロモーターを、
単離した乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現制御に用いてもよい。サッカロミセ
ス・セレヴィシアエ解糖プロモーターは、クライベラミセス株の中で遺伝子の発
現に使用され成功している(Gellissen and Hollenberg, (1997) "Application
of yeasts in gene expression studies: a comparison of Saccharonyces cere
visiae, Hansenula polymorpha and Kluyveromyces lactis - a review, "Gene,
190(1):87-97)。
【0121】 これにより、ジェンバンクで入手可能なサッカロミセス・セレヴィシアエのゲ
ノムシーケンスを用いた適正なオリゴマープライマーを設計することで、サッカ
ロミセス・セレヴィシアエからのPDC1プロモーターを得た。PDC1遺伝子
シーケンスおよびPDC1遺伝子を囲む1Kb領域は、PCR技術により増幅さ
れる。結果としての4KbのDNA断片は、プロモーターと、PDC1遺伝子発
現を抑制する終了暗号の両方を含んでいる。多重制限酵素部位を、プロモーター
と、PDC1遺伝子発現を制御する終了暗号の間に含めることで、PDC1プロ
モーターと終了暗号を抑制しながら多様なLDH遺伝子を挿入することができる
。4kbのDNA断片は、pUC19を基にしたサッカロミセス・セレヴィシア
エまたは大腸菌シャトルベクターのような適正なベクターの中に挿入される。L
DH遺伝子は、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現がPDC1プロモーターと終
了暗号によって抑制されるように、PDC1プロモーターと終了暗号を抑制しな
がら多重クローニング部位の一つでベクターにその後導入される(図14)。交
互に、サッカロミセス・セレヴィシアエ・グリセルアルデヒド−3リン酸デヒド
ロゲナーゼまたはホスホ・グリセリン酸塩キナーゼ遺伝子の発現を抑制するよう
なその他のサッカロミセス解糖プロモーターを、クローニングされたLDH遺伝
子をケー・マルキアヌスで発現させるのに同様に使用してもよい。
【0122】 実施例6−ピルビン酸デカルボキシラーゼの遺伝子を分断する相同DNAの線
形断片の増幅 82bpのオリゴマープライマー(5'kmPDC1Ko)を、ケー・マルキ
アヌスからのピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)の5'末端に等しい51
bpと、pHESベクターからのADH1プロモーターの5'末端に等しい30
bpを含有するように設計した。5'KmPDC1Koのシーケンスは以下のと
おりである。 5'-TAAACAGTACAATCGCAAAGAAAAGCTCCACACCCA AACCAAATAATTGCAATGCAACTTCTTTTCTTTTTTTTTCTTTTCT-3' (SEQ ID NO:7) 提出されたジェンバンクのシーケンスから、酵母(ケー・マルキアヌスまたはワ
イ・スティピティスまたはエイチ・ポリモルファ)からのPDC遺伝子に対する
シーケンスを得た。同様に、逆79bpオリゴマー(3'kmPDC1Ko)を
、54bpがPDC遺伝子の3'末端に等しく、22bpがADH1終了暗号の
3'末端に等しくなるように設計した。3'KmPDC1Koのシーケンスは以下
のとおりである。 5'-TTATAAAATCATTAAAATCCAAAATCGTAATTTATCTCTTTATCCTCTCC CTCTCTACATGCCGGTAGAGGTGTGGTCA-3' (SEQ ID NO:8) プライマーは、pLhldh−HESおよびpPaldh−HESプラスミドか
らの線形DNA断片を、その断片がADH1プロモーターと終了暗号と共に全て
の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含有するように、増幅させる設計とした(図6
)。PCR増幅生成物もまた、ケー・マルキアヌスPDC1、ヤマダジマ・ステ
ィピティスPDC1およびPDC2、並びにハンゼヌラ・ポリモルファPDC1
およびPDC2のいずれかからのシーケンスと相同であった末端を含有している
。増幅反応は、PfuDNAポリメラーゼを用いて行われた(New England Biol
abs; Beverly, MA)。100ナノグラムのpLhldh−HESまたはpPal
dh−HESを、5単位のポリメラーゼと100ナノモルのオリゴマーと共に反
応で使った。反応は、サムブルックら(Molecular Cloning, second edition, C
old Spring harbor Laboratory, Plainview, NY (1989))に記載のプロトコルに
従って実施された。図6は、説明した相同での最終線形生成物を示す。
【0123】 ケー・マルキアヌスのpdc陰性株を得る尤度を向上させるため、交互構造物
を準備した。これらの構造物を準備するために、ケー・マルキアヌス1.7kb
pPDC1遺伝子を囲む5.5kbp断片を、PCRおよびゲノム歩行技術(Cl
onetech)を用いて単離した(図6)。5.5kbp断片は、その後標準方法を
用いて、pCRIITAクローニングベクター(インヴィトロゲン)にクローニン
グされた。PDC1の1.7kbp暗号化領域中央付近ほぼ370bpの一部を
、ケー・マルキアヌス5.5kbp断片から制限消化により(サムブルック)取
り出した。取り出された断片は、以下のシーケンスからなる。 CCGGTTCTTTCTCTTACTCTTACAAGACCAAGAACATTGTCGAATTCCACTCCGACTACATCAAGGTCAGAA
ACGCCACTTTCCCAGGTGTCCAAATGAAGTTCGTCTTGCAAAAGTTGTTGACCAAGGTCAAGGATGCTGCTA
AGGGTTACAAGCCAGTTCCAGTTCCTCACGCTCCAAGAGACAACAAGCCAGTTGCTGACTCTACTCCATTGA
AGCAAGAATGGGTCTGGACTCAAGTCGGTAAGTTCCTACAAGAAGGTGATGTTGTTCTAACTGAAACCGGTA
CCTCCGCTTTCGGTATCAACCAAACCCACTTCCCAAATGACACCTACGGTATCTCCCAAGTCTTGTGGGGTT
CCATTGGTTTCA (Sequence ID No. 10) カナマイシン耐性遺伝子とそのプロモーターを、標準制限技術(サムブルック
らを参照のこと)を用いて、pPIC9Kベクター(インヴィトロゲン)からそ
の後単離し、上記断片を取り出した5.5kbpの中の部位にクローニングした
。pPIC9K(インヴィトロゲン)カナマイシン耐性遺伝子とそのプロモータ
ーを挿入し、挿入した領域のシーケンスが以下のようになるようにした。 GTACAACTTGAGCAAGTTGTCGATCAGCTCCTCAAATTGGTCCTCTGTAACGGATGACTCAACTTGCACATT
AACTTGAAGCTCAGTCGATTGAGTGAACTTGATCAGGTTGTGCAGCTGGTCAGCAGCATAGGGAAACACGGC
TTTTCCTACCAAACTCAAGGAATTATCAAACTCTGCAACACTTGCGTATGCAGGTAGCAAGGGAAATGTCAT
ACTTGAAGTCGGACAGTGAGTGTAGTCTTGAGAAATTCTGAAGCCGTATTTTTATTATCAGTGAGTCAGTCA
TCAGGAGATCCTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCGACCTGCAGGGGGGGGGGGGGCGCTGAGGTCTGCCTCG
TGAAGAAGGTGTTGCTGACTCATACCAGGCCTGAATCGCCCCATCATCCAGCCAGAAAGTGAGGGAGCCACG
GTTGATGAGAGCTTTGTTGTAGGTGGACCAGTTGGTGATTTTGAACTTTTGCTTTGCCACGGAACGGTCTGC
GTTGTCGGGAAGATGCGTGATCTGATCCTTCAACTCAGCAAAAGTTCGATTTATTCAACAAAGCCGCCGTCC
CGTCAAGTCAGCGTAATGCTCTGCCAGTGTTACAACCAATTAACCAATTCTGATTAGAAAAACTCATCGAGC
ATCAAATGAAACTGCAATTTATTCATATCAGGATTATCAATACCATATTTTTGAAAAAGCCGTTTCTGTAAT
GAAGGAGAAAACTCACCGAGGCAGTTCCATAGGATGGCAAGATCCTGGTATCGGTCTGCGATTCCGACTCGT
CCAACATCAATACAACCTATTAATTTCCCCTCGTCAAAAATAAGGTTATCAAGTGAGAAATCACCATGAGTG
ACGACTGAATCCGGTGAGAATGGCAAAAGCTTATGCATTTCTTTCCAGACTTGTTCAACAGGCCAGCCATTA
CGCTCGTCATCAAAATCACTCGCATCAACCAAACCGTTATTCATTCGTGATTGCGCCTGAGCGAGACGAAAT
ACGCGATCGCTGTTAAAAGGACAATTACAAACAGGAATCGAATGCAACCGGCGCAGGAACACTGCCAGCGCA
TCAACAATATTTTCACCTGAATCAGGATATTCTTCTAATACCTGGAATGCTGTTTTCCCGGGGATCGCAGTG
GTGAGTAACCATGCATCATCAGGAGTACGGATAAAATGCTTGATGGTCGGAAGAGGCATAAATTCCGTCAGC
CAGTTTAGTCTGACCATCTCATCTGTAACATCATTGGCAACGCTACCTTTGCCATGTTTCAGAAACAACTCT
GGCGCATCGGGCTTCCCATACAATCGATAGATTGTCGCACCTGATTGCCCGACATTATCGCGAGCCCATTTA
TACCCATATAAATCAGCATCCATGTTGGAATTTAATCGCGGCCTCGAGCAAGACGTTTCCCGTTGAATATGG
CTCATAACACCCCTTGTATTACTGTTTATGTAAGCAGACAGTTTTATTGTTCATGATGATATATTTTTATCT
TGTGCAATGTAACATCAGAGATTTTGAGACACAACGTGGCTTTCCCCCCCCCCCCTGCAGGTCGGCATCACC
GGCGCCACAGGTGCGGTTGCTGGCGCCTATATCGCCGACATCACCGATGGGGAAGATCGGGCTCGCCACTTC
GGGCTCATGAGCGCTTGTTTCGGCGTGGGTATGGTGGCAGGCCCCGTGGCCGGGGGACTGTTGGGCGCCATC
TCCTTGCATG (Sequence ID No.9) 結果としての構造物は、図6cに示すように、pdc領域のほぼ5kbpに囲
まれたG418耐性遺伝子を含んでいる。また、図6dに示すようなpCRIIベ
クターでは、ケー・マルキアヌスPDC1の2.3kbpにより囲まれた内部G
418遺伝子を含む同様のDNA構造物が作られた。
【0124】 実施例7−内因PDC暗号化シーケンスを分断し、LDH暗号化シーケンスを
同時挿入するための線形DNA断片の使用 実施例5に記載のPCRにより生成された線形DNA断片を用いて、ケー・マ
ルキアヌス、ヤマダジマ・スティピティス、またはハンゼヌラ・ポリモルファを
形質転換する。形質転換に用いたプロトコルは、ウィソロフスキー−ルーヴルら
(Wesolowski-Louvel et al.)(Nonconventional yeasts in Biotechnology: K
luyveromyces lactis, ed. Klaus Wolf, Springer verlag, Berlin, p.138-201
(1996)))に記載されているとおりである。簡単に言えば、5mlの一晩培養物
の回転を遅くし、電気穿孔法緩衝液(Trin−HCL 10nM、スクロース
270nM、MgCl2 1nM、pH値7.5)で洗浄する。洗浄した細胞を、
その後30分、30℃で定温培養緩衝液(酵母エキス5グラム/L、ペプトンブ
ロス10グラム/L、グルコース10グラム/L、DTT20nM、HEPES
20nM、pH値8.0)で培養する。この時期の終わりに、細胞を再び洗浄し
、400マイクロリットルの定温培養緩衝液の中で再び懸濁させる。これらの細
胞に200ナノグラムのDNAを加え、細胞をビオラドジーンパルサー(Bio-Ra
d Gene Pulser)を用いて、0.4センチのキュベットで1800ボルト、10
00アンペア、25マイクロFで脈動させる。
【0125】 細胞を正規YDP(酵母エキス10グラム/L、ペプトンブロス20グラム/
L、グルコース20グラム/L、寒天培地15%)上で平板培養し、コロニーを
72時間にわたり再生させる。コロニーを有するそれぞれのプレートを、新しい
YPDプレート上にレプリカ培養し、48時間保温する。コロニーを、その後6
.5%の軟寒天培地(Tris−HCl 300mM中の寒天培地0.5%、グ
ルタミン酸塩 187mM、pH値8.3)で上塗りする。上塗りしたプレート
に、染色混合物(1%の寒天培地3.2mL、120mM Tris 1.6ml
、グルタミン酸塩 75mM、pH値8.3、2ミリグラム/mlフェナジンメ
トスルフェート0.4ml、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ7単位
、L(+)仔豚筋肉乳酸デヒドロゲナーゼ7単位)を加える。L(+)の高い酵
母株は、10〜120分の間に青色ハローを形成する。この方法は、サブデンら
(Subden et al.)(Canadian J. Microbiol., 28:883-886 (1982)))が提案し
、ウィッテら(Witte et al.)(J. Basic Microbiol. 29:707-716 (1989))が
変更した方法に類似している。コロニーを選び出し、コロニーから単離されたD
NAは、PCR分析で試験し、分断ピルビン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を検出す
るために配列される。
【0126】 別の実施態様において、上記実施例6に記載された、図6cおよび図6dに示
したクローンを、二つの制限酵素と消化させて(サムブルックらを参照のこと)
、半シーケンス挿入カナマイシン耐性遺伝子の含まれる相同PDC領域を含有し
ている断片DNAを、ほぼ3マイクログラム産出する。ケー・マルキアヌスは、
電気穿孔法等の公知技術を用いて、断片と形質転換させてケー・マルキアヌスの
pdcを分断する。
【0127】 一般に、電気穿孔法は以下の手順で行われる。a)容量20mlのYPAD内
で一晩(15時間まで)微生物の培養物を増殖させる;b)培養物から500u
lをマイクロフーゲチューブ(microfuge tube)に移し、@4Kで4分回転させ
、上澄みを捨てる;c)ペレットを1mlの冷却EB(EB=電気穿孔法緩衝液
:Tris−HCL10mM、pH値7.5;スクロース270mM;MgCl 2 1mM)で洗浄する;d)1mlのIB(IB=インキュベーション緩衝液:
YPD;DTT25mM;Hepes20mM、ph値8.0)で再び懸濁させ
る;e)エッペンドルフサーモミキサー内で、@800回転/分、30℃で30
分シェークする;f)回転を遅くし、EBで一回洗浄し、400ulのEBで再
び懸濁させる;g)3マイクログラムの断片DNAを加え(Tris−Cl 1
0mMの水、pH値8.5)、氷の上で30分保温する;h)0.4センチの電
気穿孔法キュベットに移す。ビオラドジーンパルサーの設定は、1000ボルト
、1000アンペア、50時間周波数である。パルス後の時定数:20ミリセカ
ンドまで;i)3mlのモートンクロージャーチューブ(Morton Closure tube
)に移し、シェークせずに30℃で1時間保温する。液体YPAD培地400u
l(YPAD:酵母エキス10グラム;ペプトン20グラム;グルコース20グ
ラム、アデニンヘミスルフェート(Adenine Hemisulphate)100ミリグラム。
容量=1L。pH調整なし)を加え、エッペンドルフサーモミキサー内で、@8
00回転/分、30℃で1時間シェークする。400ulの液体YPADを加え
て4〜6時間回収する;j)マイクロフーゲチューブ内で@4K、4分間回転を
遅くして、上澄みを捨て、1Mのソルビトール400ul内で懸濁させる;k)
200ug/mlのG418選択プレート上で平板培養し、l)30℃で3〜5
日間保温する。
【0128】 コロニーを、まず第二のパッチングにより300ug/mlのG418上へと
ふるいにかける。ゲノムDNAを、標準ゲノム製剤(サムブルック)によって二
次酵母パッチから単離する。これらを、PCRを介して、1)適正なプライマー
および条件(サムブルック)を用いてカナマイシン断片の存在と、2)適正なプ
ライマーおよびPCR条件を用いて分断されたpdc領域の不在に対して、その
後ふるいにかける。選択マーカーに対して陽性でありpdc分断領域に対して陰
性のコロニーは、その後増殖され、HPLCによる生理学分析を行った。これら
の株からのゲノムDNAは、サザン交雑分析により分析が進められた。
【0129】 実施例8−細胞の増殖特性 1.低pH/高温 ケー・マルキアヌスの一晩培養物を、キールスら(Kiers et al.)(Yeast, 1
4(5): 459-469 (1998))に従って、50mlの酵母最小培地に接種した。炭素源
としてグルコース100グラム/Lを使用した。一晩培養物を40℃で保ち、同
じく40℃に保たれた培地の中に接種した。接種剤の添加により、培地のpH値
は5.5から2.5に変化した。実験の最中、pH値は2.5のままであった。
グルコース濃度はYSIメンブレンで測定され、光学密度(OD)は分光光度計
を用いて測定された。
【0130】 グルコースは72時間後に利用されたので、代謝活動が低pH値で高温の培養
条件下でその時期に起こるのが分かった(図7)。その上、48〜72時間の時
期にバイオマスがわずかに減少したことから、細胞異化のペースが同化のを追い
越すのが分かった(図7)。
【0131】 2.ペントス炭素源 ケー・マルキアヌスの一晩培養物を、キールスら(Yeast, 14(5): 459-469 (1
998))に従って、酵母最小培地を含む三つの50mlフラスコの中に接種した。
三つのフラスコのそれぞれには、異なる炭素源が含まれていた。第一のは、グル
コース10パーセント、第二のはDキシロース10パーセント、第三のはLアラ
ビノース10パーセントを含んでいた。これらのフラスコを30℃で保温し、周
期的にOD測定を行った。
【0132】 40時間後、グルコースまたはキシロースで培養した酵母のバイオマス収量は
類似していたのに対し、アラビノースで培養した酵母のバイオマス収量は低下し
ていた(図8)。グルコースと、キシロースまたはアラビノースで培養した酵母
の増殖を比較した結果、増殖に初期遅れ時間のあることが判明した。アラビノー
スで培養した酵母は、数時間の遅れ時間を示したのに対し、キシロースで培養し
た酵母の遅れ時間は、一層顕著であった(図8)。この遅れ時間の存在は、酵母
細胞がキシロースおよびアラビノース炭素源に適合するのに時間を要することを
示している。おそらく、この時間は、通常発現されないポリペプチドの合成を誘
発するのに必要なのであろう。
【0133】 3.低pHのコーンファイバー加水分解物質 ケー・マルキアヌスの一晩培養物を、キールスら(Yeast, 14(5): 459-469 (1
998))に従って、酵母最小培地を含むフラスコの中に接種した。それぞれのフラ
スコには、炭素源としてコーンファイバー加水分解物質30%が含まれていた。
簡単に言えば、コーンファイバー加水分解物質は、コーンファイバーを硫酸1.
2%と145℃で25分反応させて作られた。反応の間に、ヘミセルロースは、
単量体生成物であるアラビノース、キシロース、およびグルコースに分解された
。反応中は高温であるため、アラビノースとキシロースの中にはフルフラールへ
と劣化したものがあるのに対し、グルコースの中にはヒドロキシメチルフルフラ
ールへと劣化するものがあった。加水分解物質のHPLC分析の結果、グルコー
ス38.7グラム/L、キシロース39.1グラム/L、アラビノース20.7
グラム/L、およびフルフラール1.6グラム/Lであるのが判明した。その上
、加水分解物質のpH値は1.51であった。酵母を培養する前、コーンファイ
バー加水分解物質のpH値は3.0に調整された。培養実験中、周期的にOD測
定を行った。
【0134】 酵母細胞は、コーンファイバー加水分解物質と共に培養したときにバイオマス
を生成することができた(図9)。
【0135】 4.多様なpH値の条件 ケー・マルキアヌスの一晩培養物を、50mlの酵母YPD培地(酵母エキス
10g/L、ペプトンブロス20グラム/L、グルコース20グラム/L)を含
む四つのフラスコの中に接種した。それぞれのフラスコで異なるpH値は、HC
lを用いて調整された。培養実験中、温度は30℃に保たれ、周期的にOD測定
を行った。各フラスコ内での増殖の観察を行った(図10)。
【0136】 5.多様なpH値の条件/乳酸 ケー・マルキアヌスの一晩培養物を、50mlの酵母YPD培地(酵母エキス
10g/L、ペプトンブロス20グラム/L、グルコース20グラム/L)と、
乳酸40グラム/Lとを含む四つのフラスコの中に接種した。乳酸を添加した結
果、pH値は2.8になった。従って、三つのフラスコ内のpH値は、NaOH
を用いて指示pHに調整された。培養実験中、温度は30℃に保たれ、周期的に
OD測定を行った。各フラスコ内での増殖の観察を行った(図11)。
【0137】 実施例9−アクリリルCoAの生成可能な組み換え細胞 アクリル酸塩を炭素源として利用することのできない有機体(例えば、大腸菌
)は、クロストリジウム・プロピオニカム・ゲノムライブラリーと形質転換させ
る。シー・プロピオニカム・ゲノムライブラリーは、シー・プロピオニカム・ゲ
ノムの10kbp断片を発現するように、pHESプラスミドを用いて生成され
る。形質転換された大腸菌は、炭素源としてアクリル酸だけを用いて選択培地上
で平板培養される。アクリル酸塩と同化する能力を有する細胞だけが、増殖する
ことになる。アクリル酸塩は通常、その酵素媒介変換によって乳酸塩へと同化す
る。次に、乳酸塩はピルビン酸塩へと変換されて、クレブス回路を介して細胞に
よって利用されることができる。
【0138】 いったん形質転換された大腸菌を選択したら、DNAプラスミドはゲノムライ
ブラリーから単離され、挿入された断片は配列される。いったん配列されると、
乳酸塩とアクリル酸塩との変換に係わる酵素の暗号化シーケンスを測定するため
に断片の転写解読枠を走査する(例えば、ラクトイル−CoAデヒドロゲナーゼ
およびCoAトランスフェラーゼ)。
【0139】 これらの酵素に対する暗号化シーケンスを含む単離されたクローンは、乳酸デ
ヒドロゲナーゼを含み、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性のない実施例6に記
載さの酵母細胞へと導入される。導入された核酸を含む組み換え酵母細胞を、G
418(300グラム/L)を用いて選択する。いったん単離したら、組み換え
酵母細胞はグルコース上で好気的に増殖され、その後嫌気性条件に切り換えられ
る。ブロスをその後回収し、ダナーら(Danner et al.)(Biotechnological pr
oduction of acrylic acid from biomass, In: Applied Biochemistry and Biot
echnology, Vol. 70-72 (1998))に記載されているような標準HPLC方法を用
いてアクリル酸塩に評価分析される。
【0140】 実施例10−アスコルビン酸塩を生成可能な組み換え細胞 発現ベクターを作り変えて、次のポリペプチド、すなわち、2,5−ジオキソ
吉草酸デヒドロゲナーゼ、5−デヒドロ−4−デオキシ−D−グルカラート・デ
ヒドラターゼ、グルカラート・デヒドラターゼ、アルデヒドデヒドラターゼ、グ
ルクロノラクトン・レダクターゼ、およびLグルオノラクトン・オキシダーゼ、
が発現されるようにする。これらのポリペプチドを暗号化する核酸シーケンスを
、様々な微生物から単離する。いったん作り変えたら、発現ベクターは、電気穿
孔法により酵母細胞に形質転換される。いったん形質転換されたら、酵母細胞は
、これらがL−アスコルビン酸塩を生成するか否かを測定するために分析される
【0141】 実施例11−D−キシロースを生成可能な組み換え細胞 発現ベクターを作り変えて、次のポリペプチド、すなわち、2−デヒドロ−3
−デオキシ−D−ペンタノエート・アルドラーゼ、ザイロネート・デヒドラター
ゼ、ザイロノラクトナーゼ、およびD−キシロース・デヒドゲナーゼが発現され
るようにする。これらのポリペプチドを暗号化する核酸シーケンスを、シュード
モナス属種から単離する。いったん作り変えたら、発現ベクターは、電気穿孔法
により酵母細胞へと形質転換される。いったん形質転換されたら、酵母細胞は、
これらがD−キシロースまたはその他のペンタロース炭素化合物を生成するか否
かを測定するために分析される。
【0142】 実施例12−クエン酸塩を生成可能な組み換え細胞 エス・セレビシアエ・アコニターゼ(ACO1、ジェンバンク登録番号M33
131)核酸シーケンスを基にして、PCRプライマーを設計する。これらのプ
ライマーは、クライベラミセス、ヤマダジマ、またはハンゼヌラ種からのアコニ
ターゼ暗号化核酸をクローニングするのに使用される。いったん配列されたら、
実施例5に記載されているような線形構造物が作られ、酵母細胞内でアコニター
ゼ暗号化核酸を分断するのに用いられる。選択マーカーとして使用したのは、実
施例5に記載されている乳酸塩生成の代わりに、抗生物質G418である。抗生
物質G418に耐性をもたらす核酸は、ネオマイシン/カナマイシン遺伝子であ
る。この遺伝子は、pPIC9Kベクター(インヴィトロゲン)から得られ、p
HESベクターに挿入される。酵母細胞は、上記のようにACO1に相同する末
端を有するように作り変えられたPCR生成線形断片と形質転換させる。線形断
片は、G418耐性遺伝子を暗号化する設計となっている。アコニターゼ暗号化
核酸の位置で線形断片を同化した細胞だけが、抗生物質に対して耐性をもってい
る。これらの細胞の同化が適正であるかを、PCRを用いて分析する。この方法
によって得られた酵母細胞は、部分的に機能性TCA回路を有するため、クエン
酸塩を過剰に生産することができる。クエン酸塩は、ミトコンドリアメンブレン
を横切り、ブロスの中に輸送される。その上、これらの酵母細胞には、これらが
堆積クエン酸塩のオキサル酢酸塩への変換を触媒させることができるように、A
TPクエン酸リアーゼ等の酵素を暗号化する外因性核酸分子が与えられている(
実施例13を参照のこと)。
【0143】 実施例13−クエン酸リアーゼをサイトゾル内で発現可能な組み換え細胞 クラブトリー正酵母細胞を、ATPクエン酸リアーゼ活性を有するポリペプチ
ドを暗号化する核酸シーケンスを含むpHESプラスミドと形質転換させる。こ
の核酸は、大腸菌、肺炎かん菌(ジェンバンク登録番号X79817)、または
その他の既刊出典から単離される。いったん形質転換されたら、酵母細胞を、こ
れらが多量の脂質堆積を生成するのに砂糖を利用できるか否かを測定するために
分析する。その上、酵素細胞を、これらがホルズワースら(Holdsworth et al.
)(J. Gen. Microbiol., 134:2907-2915 (1998))に記載されているようなAT
Pクエン酸リアーゼ活性を示すか否かを測定するために分析する。ATPクエン
酸リアーゼ活性を有する酵母細胞は、アルデヒドを、アルデヒド・デヒドロゲナ
ーゼを介してアセタートに分解すること以外の手順によって、好気性条件下でサ
イトゾル・アセタートを提供することができる。さらに、このような酵母がピル
ビン酸デカルボキシラーゼまたはアルデヒド・デヒドロゲナーゼ活性に欠けると
き、これらは、クレブス回路を介して生合成のためのアセタートを提供できるは
ずである。
【0144】 実施例14−乳酸塩を炭素源として利用できない組み換え細胞 エス・セレビシアエJEN1ポリペプチドに類似したカルボキシ酸輸送体の活
性が減少するように、酵母細胞を作り変える。このような酵母細胞は、乳酸塩を
輸送する能力が劣っていて、よって乳酸塩の利用効率が低い。酵母細胞内のカル
ボキシ酸輸送体の活性は、このポリペプチドに対する暗号化シーケンスを含む座
を分断させることによって減少する。まず、JEN1ポリペプチドの相同体を、
JEN1(ジェンバンク登録番号U24155)に対して入手可能なシーケンス
に基づいて設計された縮退プライマーを用いて、宿主細胞から単離する。いった
ん核酸を宿主細胞から単離したら、配列を行う。このポリペプチドに対する暗号
化シーケンスの分断は、実施例11に記載の手順を用いて行われる。線形断片が
生成され、JEN1シーケンスに対する相同領域ならびに全てのG418耐性遺
伝子を暗号化する。この線形断片がJEN1ゲノムシーケンスに同化される結果
、活性が分断される。カルボキシ酸輸送体活性のない細胞は、それらがカルボキ
シ酸を輸送する能力がないことにより、従って乳酸塩上で培養されたときに増殖
する能力がないことにより識別される。
【0145】 さらに、エス・セレビシアエ・チトクロームb2ポリペプチドの機能性等価物
の活性が低下するように、細胞の変更を行う。チトクロームb2ポリペプチドは
、エス・セレビシアエ細胞がミトコンドリア内で乳酸塩を新陳代謝させるのを可
能にする。まず、縮退プライマーを、サッカロミセス・チトクロームb2シーケ
ンス(ジェンバンク登録番号Z46729)から設計する。いったん単離したら
、クローンの配列を行う。チトクロームb2の酵母宿主相同体の分断は、酵母遺
伝学の方法(Eds. Alison et al., Cold Spring Harbor Press (1997))に記載
されている方法を用いて行われる。この組み換え酵母細胞は、乳酸塩を炭素源と
して利用することができなくなる。
【0146】 実施例15−乳酸塩の大量生産 PDC活性の低下したケー・マルキアヌス細胞の多様な変異株を生成し、単離
させる。各変異株は、LDH活性を有するポリペプチドを暗号化する外因性核酸
分子の異なるコピー数を含むように作り変えられる。LDHポリペプチドは、多
様な異なる源からのものである。このような変異体細胞は、乳酸に対して異なる
特定生産性を40℃で有することができる。
【0147】 各変異体を、1.5VVMの空気流と30%の溶存酸素量のある好気性条件下
で、細胞密度が乾燥量基準で約60グラム/Lになるように容器内で増殖させる
。いったん十分な密度になったら、空気流を停止し、容器内の条件を嫌気性条件
に切り換える。塩基の添加は行わない。嫌気性相中に最高の特定生産性を有する
変異体は、低い特定生産性を有する変異体よりも、乳酸を迅速に生成するだけで
なく、低pH値で高い濃度とも実現することが分かる。生成相中のグルコース上
の生成物収量は、90%を越えることができる。
【0148】 一定の変異体を選択し、空気流を完全に切るのではなく、0.1VVMに減少
させる以外は同じ培養方法により培養する。このような条件下では、容器内の最
終pH値を低下させることができ、乳酸塩の濃度は、空気流がない条件の場合よ
りも高くなることができる。グルコース上の生成物収量は低下するが、約90%
を維持することができる。0.5VVMの空気流でこの試験を繰り返したら、グ
ルコース上の生成物収量は、80%未満に減少させることができる。
【0149】 実施例16−一連の一括発酵を用いた乳酸塩の大量生産 PDC活性がなく、LDH活性のあるケー・マルキアヌスの培養物を、一連の
一括発酵で接種材料として使用する。それぞれの発酵は、連続的に大きくなる容
器内で行われ、それぞれの容器は、使用直前に滅菌される。その上、それぞれの
容器には、1.5VVMの空気流が与えられ、10%を越える溶存酸素量を保つ
ように十分攪拌を行う。最終容器の容量は、6,000Lである。容器はまた、
遺伝子変更されたケー・マルキアヌス細胞が、野生型酵母やその他の微生物を制
して生存するのを高めるために45℃の温度に保たれる。それぞれの容器には、
最適増殖のための標準培養培地が充填されている。
【0150】 細胞密度が乾燥量基準で100グラムの細胞/Lとなる最終容器の内容量は、
300,000Lの容量を有する最近蒸気を出した生成容器に移された。オプシ
ョンとして、前の生成プロセスの濾過で得られた付加の細胞を加える。生成容器
内の細胞密度は、乾燥量基準で6グラムの細胞/Lである。グルコースを、80
グラム/Lのレベルまで加える。容器内の条件は嫌気性であり、42℃の温度を
25時間保つ。特定生産性は、生産性が低下し始めるプロセスの終了近くまで、
乳酸塩0.5グラム/(グラムバイオマス*時間)よりも大きい。いったん生産
性が低下し始めると、細胞を取り出して再利用のために保管する。最終乳酸塩濃
度は、75グラム/Lで、pH値は2.8となることができる。バイオマスを取
り出した後、溶液を蒸発させて乳酸塩50%の濃度にまで濃縮する。遊離酸(全
乳酸塩の約86%)が、液体抽出法で有機酸へと抽出され、高温で水へと再度抽
出される。乳酸塩を含むラフィネートは、増殖容器内で洗浄されて緩衝液として
リサイクルされるか、例えば硫酸で酸性化され、精製される。
【0151】 実施例17:クラブトリー負(ケー・マルキアヌス)およびクラブトリー正(
エス・ウバルム)有機体を、それぞれ好気性および嫌気性の一括発酵器で増殖し
た。一括培養は、30℃で実験室の発酵器において1.5Lの使用量で行われた
。pH値は、2モル・L-1の水酸化カリウム(KOH)を自動的に加えて、5.
0±0.1に保たれた。発酵器には、空気(好気培養物)または窒素ガス(嫌気
性培養物)を0.81・分-1の流量で流し込み、800回転/分で攪拌を行った
。溶存酸素濃度は、酸素電極(Ingold,341003002型)で連続的にモニターされた
。好気性培養物では、溶存酸素濃度は60%より高く保たれた。10mlの試料
を、乾燥重量と代謝濃度の測定のために適正な間隔で抜き出した。嫌気性培養物
には、脂肪酸合成に必要な化合物を供給するため、トウィーン80およびエルゴ
ステロールを加えた。
【0152】 指数増殖の間、酵母培養物の乾燥重量およびOD660の両方と、上澄みのグ
ルコースおよびエタノール濃度を、適正な間隔で測定した。特定エタノール生産
速度(qethanol,mmol・g-1・h-1)は、線形回帰分析を用いて以下の式
により計算された。 qethanol=dE/dCx・μmax dE/dt(培養物内のエタノール濃度の上昇率;mmol・g-1・h-1)お
よびdCx/dt(バイオマス濃度の上昇率;g-1・h-1)は、時間μmax(h-1 )に対するエタノール濃度とバイオマス濃度のプロットの差異を用いて計算した
。グルコース上の最大特定増殖率は、時間に対するCxのプロットの指数部分か
ら推定された。特定グルコース消費率(qglucose,mmol・g-1・h-1)を
計算するために、dEをdGと置き換えた(1時間あたりのグルコース消費量)
【0153】 好気性一括培養物では、クライベラミセスとサッカロミセスの株が、グルコー
ス上でそれぞれ0.4h-1と0.28h-1の最大特定成長率を示した。高いグル
コース濃度と、その結果としてのサッカロミセス培養物の高い特定成長率の結果
、好気的アルコール発酵率が高くなった(表3、図1)。サッカロミセス株にお
けるグルコースの特定消費率は、強力なアルコール発酵により、クライベラミセ
スと比較して2〜3倍高かった。エネルギーの観点から、アルコール発酵は、細
胞のATP生成方法としては効率が低い。グルコース上のバイオマス収量は、ク
ライベラミセスでは0.38グラム/グラムであり、サッカロミセス・ウバルム
では0.14グラム/グラムであった。グルコール上のエタノール収量は、クラ
ブトリー負表現型クライベラミセス株ではゼロであり、クラブトリー正表現型で
あるサッカロミセス培養物では1.83ミリモル/ミリモルであった。 表3:2%(重量/容量)のグルコースを含むミネラル培地上のサッカロミセス
・ウバルムおよびクライベラミセス・マルキアヌスの一括培養物における指数増
殖中の最大特定増殖率、エタノール生成およびグルコース消費の特定率(q、ミ
リモル[グラム バイオマス]-1-1)、バイオマス収量(グラム/グラム)、
生成物収量(ミリモル/ミリモル)、および炭素回収(%表示、嫌気性培養物に
対してのみ計算)
【0154】
【表3】
【0155】 嫌気性一括培養物では、両方の株の特定増殖率とバイオマス収量は、好気性条
件下で発見されたのに比べて非常に低かった(表3、図1および図2)。クライ
ベラミセスおよびサッカロミセスの株に対しては、バイオマス収量は、それぞれ
0.07と0.09グラム/グラムであった。両方の株は、アルコール発酵の特
定率について、嫌気性条件下で同等に良好である。このことは、CO2生成デー
タを用いて確認された。
【0156】 一般に、この実施例は、バイオマスの好気的生成が、嫌気的よりもずっと迅速
であり、好気性条件下でのバイオマスの収量が、クラブトリー負有機体に対して
高いことを示している(なぜなら、クラブトリー正有機体では、あるアルコール
発酵が起こり、グルコースを使い切ってしまうから)。この実施例は、発酵生成
物(この場合、エタノール)が、嫌気性条件下でクラブトリー正負両方の有機体
が同じ速度で生成されることも表わしている。従って、好気性増殖段階は、高い
バイオマス収量を与え、その次の嫌気性発酵段階は、代謝エネルギーを生成物形
成へと振り向ける(増殖を上げるよりも)。全体的に、生成を増殖と分離するプ
ロセスは、プロセスの融通性を高め、プロセス収量の全体にわたる抑制をより良
く行うことができる。
【0157】 実施例18:自然にL乳酸を作る宿主株の中での乳酸塩生成の改善:ピルビン
酸デカルボキシラーゼの遺伝子を分断する相同DNAの線形断片の増幅 酵母クライベラミセス・サーモトレランス(ケー・サーモトレランス)は、L
乳酸を自然に生成する酵素である(Kurtzman and Fell, (1998) "The Yeasts, A
Taxonomic Study" pp. 240-241; Elsevier Science B.V.; Amsterdam, The Net
herlands)。ケー・サーモトレランスには、自然発生の乳酸デヒドロゲナーゼ(
ldh)遺伝子があり、それがL乳酸を生成させる。嫌気性条件下で生成させる
乳酸の量は、利用されるグルコースのほぼ4%グラム/グラムであるのに対し、
グルコースの残余は殆どエタノール(消費されるグルコースの42.5%グラム
/グラム)、グリセロール(消費されるグルコースの3%グラム/グラム)およ
びアセタート(消費されるグルコースの0.3%グラム/グラム)に変換される
。 表4:ケー・サーモトレランスを用いた嫌気性発酵の結果、YPAD培地におけ
るグルコース100グラム/lを始点とした場合(リッチ培地)
【0158】
【表4】
【0159】 PDC1の600bp領域を、ケー・マルキアヌスおよびケー・ラクティスか
らのPDC1遺伝子シーケンスと比較することにより誘導されたシーケンスから
構成したコンセンサスプライマーを用いて、ケー・サートモレランスから単離し
た。PDC1断片は、その後配列され(Sanger)、PCRおよびゲノム歩行技術
(Clonetech)を用いて、ケー・サーモトレランスpdc1(図6c)を囲む7
.5kbp断片を単離した。7.5kbp断片は、その後pCRIITAクローニ
ングベクター(インヴィトロゲン)にクローニングされた。PDC1の暗号化領
域中央付近ほぼ730bpの一部を、ケー・サーモトレランス7.5kbp断片
から取り出した。制限消化(サムブルック)により取り出されたケー・サーモト
レランスpdc1の部分は、以下のシーケンスを含んでいた。 TTACCACTGTCTTCGGTCTGCCAGGTGACTTCAATCTGCGTCTGTTGGACGAGATCTACGAGGTCGAGGGTA
TGAGATGGGCCGGTAACTGTAACGAGTTGAACGCTTCTTACGCTGCCGACGCTTACGCCAGAATCAAGGGTA
TGTCCTGTTTGATCACCACCTTCGGTGTCGGTGAGTTGTCCGCTTTGAACGGTATCGCCGGTTCTTACGCTG
AGCACGTCGGTGTCTTGCACATTGTCGGTGTCCCATCCGTCTCCGCCCAGGCCAAGCAGCTATTGTTGCACC
ACACCTTGGGTAACGGTGACTTCACTGTCTTCCACAGAATGTCCGCCAACATCTCTGAGACCACTGCTATGA
TCACTGATCTAGCTACCGCCCCATCTGAGATCGACAGATGTATCAGAACCACCTACATTAGACAGAGACCTG
TCTACTTGGGTTTGCCATCTAACTTCGTTGACCAGATGGTCCCAGCCTCTCTATTGGACACCCCAATTGACT
TGGCCTTGAAGCCAAACGACCAGCAGGCTGAGGAGGAGGTCATCTCTACTTTGTTGGAGATGATCAAGGACG
CTAAGAACCCAGTCATCTTGGCTGACGCTTGCGCTTCCAGACACGATGTCAAGGCTGAGACCAAGAAGTTGA
TTGACATCACTCAGTTCCCATCTTTCGTTACCCCAATGGGTAAGGGTTCCATTGACGAGAAGCACCCAAGAT
TCGGTGGTGTCTACGTCGGTACCTTGT (Sequence ID No. XX) プロモーターを含むカナマイシン耐性暗号化遺伝子は、その後制限消化(サムブ
ルック)によりpPIC9Kベクター(インヴィトロゲン)から単離され、73
0bp断片を取り出した7.5kbpの部位にクローニングされた。pPIC9
K(インヴィトロゲン)からのカナマイシン耐性遺伝子とそのプロモーターのシ
ーケンスは、以下のとおりであった。 GTACAACTTGAGCAAGTTGTCGATCAGCTCCTCAAATTGGTCCTCTGTAACGGATGACTCAACTTGCACATT
AACTTGAAGCTCAGTCGATTGAGTGAACTTGATCAGGTTGTGCAGCTGGTCAGCAGCATAGGGAAACACGGC
TTTTCCTACCAAACTCAAGGAATTATCAAACTCTGCAACACTTGCGTATGCAGGTAGCAAGGGAAATGTCAT
ACTTGAAGTCGGACAGTGAGTGTAGTCTTGAGAAATTCTGAAGCCGTATTTTTATTATCAGTGAGTCAGTCA
TCAGGAGATCCTCTACGCCGGACGCATCGTGGCCGACCTGCAGGGGGGGGGGGGGCGCTGAGGTCTGCCTCG
TGAAGAAGGTGTTGCTGACTCATACCAGGCCTGAATCGCCCCATCATCCAGCCAGAAAGTGAGGGAGCCACG
GTTGATGAGAGCTTTGTTGTAGGTGGACCAGTTGGTGATTTTGAACTTTTGCTTTGCCACGGAACGGTCTGC
GTTGTCGGGAAGATGCGTGATCTGATCCTTCAACTCAGCAAAAGTTCGATTTATTCAACAAAGCCGCCGTCC
CGTCAAGTCAGCGTAATGCTCTGCCAGTGTTACAACCAATTAACCAATTCTGATTAGAAAAACTCATCGAGC
ATCAAATGAAACTGCAATTTATTCATATCAGGATTATCAATACCATATTTTTGAAAAAGCCGTTTCTGTAAT
GAAGGAGAAAACTCACCGAGGCAGTTCCATAGGATGGCAAGATCCTGGTATCGGTCTGCGATTCCGACTCGT
CCAACATCAATACAACCTATTAATTTCCCCTCGTCAAAAATAAGGTTATCAAGTGAGAAATCACCATGAGTG
ACGACTGAATCCGGTGAGAATGGCAAAAGCTTATGCATTTCTTTCCAGACTTGTTCAACAGGCCAGCCATTA
CGCTCGTCATCAAAATCACTCGCATCAACCAAACCGTTATTCATTCGTGATTGCGCCTGAGCGAGACGAAAT
ACGCGATCGCTGTTAAAAGGACAATTACAAACAGGAATCGAATGCAACCGGCGCAGGAACACTGCCAGCGCA
TCAACAATATTTTCACCTGAATCAGGATATTCTTCTAATACCTGGAATGCTGTTTTCCCGGGGATCGCAGTG
GTGAGTAACCATGCATCATCAGGAGTACGGATAAAATGCTTGATGGTCGGAAGAGGCATAAATTCCGTCAGC
CAGTTTAGTCTGACCATCTCATCTGTAACATCATTGGCAACGCTACCTTTGCCATGTTTCAGAAACAACTCT
GGCGCATCGGGCTTCCCATACAATCGATAGATTGTCGCACCTGATTGCCCGACATTATCGCGAGCCCATTTA
TACCCATATAAATCAGCATCCATGTTGGAATTTAATCGCGGCCTCGAGCAAGACGTTTCCCGTTGAATATGG
CTCATAACACCCCTTGTATTACTGTTTATGTAAGCAGACAGTTTTATTGTTCATGATGATATATTTTTATCT
TGTGCAATGTAACATCAGAGATTTTGAGACACAACGTGGCTTTCCCCCCCCCCCCTGCAGGTCGGCATCACC
GGCGCCACAGGTGCGGTTGCTGGCGCCTATATCGCCGACATCACCGATGGGGAAGATCGGGCTCGCCACTTC
GGGCTCATGAGCGCTTGTTTCGGCGTGGGTATGGTGGCAGGCCCCGTGGCCGGGGGACTGTTGGGCGCCATC
TCCTTGCATG (Sequence ID No.9) 結果としての構造物は、図6fに示すように、PDC領域のほぼ6.8kbp
に囲まれたカナマイシン耐性遺伝子(G418)を含んでいる。
【0160】 図6fに示す構造物は、二つの制限酵素と消化させ(サムブルック)、相同P
DC領域と半シーケンス挿入カナマイシン耐性遺伝子を含有するほぼ3マイクロ
グラムの断片DNAを産出する。ケー・サーモトレランスは、電気穿孔法等の公
知の形質変換技術を用いて、断片と形質転換させ、ケー・サーモトレランスのP
DCを分断する。電気穿孔法は、次のとおりである。a)容量20mlのYPA
D内で一晩(15時間まで)微生物の培養物を増殖させる;b)培養物から50
0ulをマイクロフーゲチューブに移し、@4Kで4分回転させ、上澄みを捨て
る;c)1mlの冷却EB(EB=電気穿孔法緩衝液:Tris−HCl 10
mM、pH値7.5;スクロース270mM;MgCl2 1mM)で洗浄する;
d)1mlのIB(IB=インキュベーション緩衝液:YPD;DTT25mM
;Hepes 20mM、ph値8.0)で再び懸濁させる;e)エッペンドル
フサーモミキサー内で、@800回転/分、30℃で30分シェークする;f)
回転を遅くし、EBで一回洗浄し、400ulのEBで再び懸濁させる;g)3
マイクログラムの断片DNAを加え(Tris−Cl 10mMの水、pH値8
.5)、氷の上で30分保温する;h)0.4センチの電気穿孔法キュベットに
移す。ビオラドジーンパルサーの設定は、1000ボルト、1000アンペア、
50時間周波数である。パルス後の時定数:20ミリセカンドまで;i)3ml
のモートンクロージャーチューブに移し、シェークせずに30℃で1時間保温す
る。j)液体YPAD培地400ul(YPAD:酵母エキス10グラム;ペプ
トン20グラム;グルコース20グラム、アデニンヘミスルフェート100ミリ
グラム。容量=1L。pH調整なし)を加え、エッペンドルフサーモミキサー内
で、@800回転/分、30℃で1時間シェークする。k)液体YPAD400
ulを加えて4〜6時間回収する;l)マイクロフーゲチューブ内で@4K、4
分間回転を遅くして、上澄みを捨て、1Mソルビトール400ul内で懸濁させ
、100ug/mlのG418選択プレート上で平板培養し、m)30℃で3〜
5日間保温する。
【0161】 コロニーを、まず第二のパッチングにより200ug/mlのG418を含む
培養皿へとふるいにかける。ゲノムDNAを、標準ゲノム製剤(サムブルック)
によって二次酵母パッチから単離する。単離したゲノムを、PCRを介して、1
)適正なプライマーおよび条件(サムブルック)を用いてカナマイシン断片の存
在と、2)適正なプライマーおよびPCR条件を用いて分断されたPDC領域の
不在に対して、その後ふるいにかける。選択マーカーに対して陽性でPDC分断
領域に対して陰性のコロニーは、さらなる研究のためにその後増殖され、例えば
、これらの株からのゲノムDNAは、サザン交雑分析により分析が進められる。
【0162】 その他の実施態様 本発明は、詳細な説明と共に記載されているが、前記説明は、付加の請求項の
範囲によって規定されている発明の範囲を例証することを目的とし、それを制限
するものではないと理解されるべきである。その他の側面、利点および変更は、
以下の請求項の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】pHESプラスミドを示す線図。
【図2】pSEHプラスミドを示す線図。
【図3】Lh−1dhまたはPa−1dhを含有するpCRIIプラスミドの発生
を示す線図。
【図4】1dh/CRIIプラスミドを示す線図。
【図5】Lh−1dhまたはPa−1dhを含有するpHESプラスミドの発生
を示す線図。
【図6A】ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)ノックアウト断片の発生を
示す線図。
【図6B】ケー・マルキシアヌス1.7kbpPDC1を囲む5.5kbp断片
を示す線図。
【図6C】400bpの5.5kbpPDC相同領域(homologous region)の欠
失およびカナマイシン耐性遺伝子の挿入を示す線図。
【図6D】カナマイシン耐性遺伝子を含有し2.3kbpのPDC1を囲む4k
b領域を示す線図。
【図6E】7.5kbpケー・サーモトレランスPDC1および周辺の領域を示
す線図。
【図6F】1.7kbpのPDC1遺伝子からの750bpの欠失およびカナマ
イシン耐性遺伝子の挿入を示す線図。
【図7】低pH(pH2.5)および高温(40℃)条件下で培養されたクルベロ
ミセス・マルキシアヌスの、時間(hour)に対する増殖(光学密度;OD)を示
すグラフ。
【図8】グルコース、キシロース、またはアラビノースを用いて30℃で培養し
たケー・マルキシアヌスの時間(hour)に対する増殖(OD)を示すグラフ。
【図9】コーンファイバー加水分解物質を用いて30℃で培養したケー・マルキ
シアヌスの時間(hour)に対する増殖(OD)を示すグラフ。
【図10】30℃で培養したケー・マルキシアヌスの時間(hour)に対する増殖
(OD)およびその際のpHを示すグラフ。
【図11】30℃で培養したケー・マルキシアヌスの所要時間(hour)に対する
増殖(OD)および、40グラムの酪酸の存在下でのpHを示すグラフ。
【図12】好気性条件下で2%のグルコースを含む無機培地上で培養した時の、
エス・ウバルムおよびケー・マルキシアヌスに関する、(A)はバイオマス生成
、(B)はグルコース消費、および(C)はエタノール生成を示す3種のグラフ
【図13】嫌気性条件下で2%のグルコースを含む無機培地上で培養した時の、
エス・ウバルムおよびケー・マルキシアヌスに関する、(A)はバイオマス生成
、(B)はグルコース消費、および(C)はエタノール生成を示す3種のグラフ
【図14】PDC1プロモータベクターのプラスミド遺伝学的地図。 SEQUENCE LISTING <110> Cargill Dow LLC <120> METHODS AND MATERIALS FOR THE SYNTHESIS OF ORGANIC PRODUCTS <130> 6786.169WOI1 <140> PCT/US00/13907 <141> 2000-05-19 <150> 09/316,490 <151> 1999-05-21 <160> 11 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 92 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 1 cccaagcttg aattccccgg gggatccctg cagggtacca cgcgtagatc tactagtgcg 60 gccgcctcga gtctagaggg cccaagcttg gg 92 <210> 2 <211> 91 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic Primer <400> 2 ccaagcttgg gccctctaga ctcgaggcgg ccgcactagt agatctacgc gtggtaccct 60 gcagggatcc cccggggaat tcaagcttgg g 91 <210> 3 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic Primer <400> 3 ccgggatcca tggcaagaga ggaaaaacct c 31 <210> 4 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic Primer <400> 4 ccaagatctt tattgacgaa ccttaacgcc ag 32 <210> 5 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic Primer <400> 5 ccgggatcca tgtctaatat tcaaaatcat caaaaag 37 <210> 6 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic Primer <400> 6 ccaagatctt tatttgtctt gtttttcagc aag 33 <210> 7 <211> 82 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic Primer <400> 7 taaacagtac aatcgcaaag aaaagctcca cacccaaacc aaataattgc aatgcaactt 60 cttttctttt tttttctttt ct 82 <210> 8 <211> 79 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic Primer <400> 8 ttataaaatc attaaaatcc aaaatcgtaa tttatctctt tatcctctcc ctctctacat 60 gccggtagag gtgtggtca 79 <210> 9 <211> 1738 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Kanamycin resistance gene & promoter <400> 9 gtacaacttg agcaagttgt cgatcagctc ctcaaattgg tcctctgtaa cggatgactc 60 aacttgcaca ttaacttgaa gctcagtcga ttgagtgaac ttgatcaggt tgtgcagctg 120 gtcagcagca tagggaaaca cggcttttcc taccaaactc aaggaattat caaactctgc 180 aacacttgcg tatgcaggta gcaagggaaa tgtcatactt gaagtcggac agtgagtgta 240 gtcttgagaa attctgaagc cgtattttta ttatcagtga gtcagtcatc aggagatcct 300 ctacgccgga cgcatcgtgg ccgacctgca gggggggggg gggcgctgag gtctgcctcg 360 tgaagaaggt gttgctgact cataccaggc ctgaatcgcc ccatcatcca gccagaaagt 420 gagggagcca cggttgatga gagctttgtt gtaggtggac cagttggtga ttttgaactt 480 ttgctttgcc acggaacggt ctgcgttgtc gggaagatgc gtgatctgat ccttcaactc 540 agcaaaagtt cgatttattc aacaaagccg ccgtcccgtc aagtcagcgt aatgctctgc 600 cagtgttaca accaattaac caattctgat tagaaaaact catcgagcat caaatgaaac 660 tgcaatttat tcatatcagg attatcaata ccatattttt gaaaaagccg tttctgtaat 720 gaaggagaaa actcaccgag gcagttccat aggatggcaa gatcctggta tcggtctgcg 780 attccgactc gtccaacatc aatacaacct attaatttcc cctcgtcaaa aataaggtta 840 tcaagtgaga aatcaccatg agtgacgact gaatccggtg agaatggcaa aagcttatgc 900 atttctttcc agacttgttc aacaggccag ccattacgct cgtcatcaaa atcactcgca 960 tcaaccaaac cgttattcat tcgtgattgc gcctgagcga gacgaaatac gcgatcgctg 1020 ttaaaaggac aattacaaac aggaatcgaa tgcaaccggc gcaggaacac tgccagcgca 1080 tcaacaatat tttcacctga atcaggatat tcttctaata cctggaatgc tgttttcccg 1140 gggatcgcag tggtgagtaa ccatgcatca tcaggagtac ggataaaatg cttgatggtc 1200 ggaagaggca taaattccgt cagccagttt agtctgacca tctcatctgt aacatcattg 1260 gcaacgctac ctttgccatg tttcagaaac aactctggcg catcgggctt cccatacaat 1320 cgatagattg tcgcacctga ttgcccgaca ttatcgcgag cccatttata cccatataaa 1380 tcagcatcca tgttggaatt taatcgcggc ctcgagcaag acgtttcccg ttgaatatgg 1440 ctcataacac cccttgtatt actgtttatg taagcagaca gttttattgt tcatgatgat 1500 atatttttat cttgtgcaat gtaacatcag agattttgag acacaacgtg gctttccccc 1560 ccccccctgc aggtcggcat caccggcgcc acaggtgcgg ttgctggcgc ctatatcgcc 1620 gacatcaccg atggggaaga tcgggctcgc cacttcgggc tcatgagcgc ttgtttcggc 1680 gtgggtatgg tggcaggccc cgtggccggg ggactgttgg gcgccatctc cttgcatg 1738 <210> 10 <211> 372 <212> DNA <213> Kluyveromyces marxianus <400> 10 ccggttcttt ctcttactct tacaagacca agaacattgt cgaattccac tccgactaca 60 tcaaggtcag aaacgccact ttcccaggtg tccaaatgaa gttcgtcttg caaaagttgt 120 tgaccaaggt caaggatgct gctaagggtt acaagccagt tccagttcct cacgctccaa 180 gagacaacaa gccagttgct gactctactc cattgaagca agaatgggtc tggactcaag 240 tcggtaagtt cctacaagaa ggtgatgttg ttctaactga aaccggtacc tccgctttcg 300 gtatcaacca aacccacttc ccaaatgaca cctacggtat ctcccaagtc ttgtggggtt 360 ccattggttt ca 372 <210> 11 <211> 747 <212> DNA <213> Kluyveromyces thermotolerans <400> 11 ttaccactgt cttcggtctg ccaggtgact tcaatctgcg tctgttggac gagatctacg 60 aggtcgaggg tatgagatgg gccggtaact gtaacgagtt gaacgcttct tacgctgccg 120 acgcttacgc cagaatcaag ggtatgtcct gtttgatcac caccttcggt gtcggtgagt 180 tgtccgcttt gaacggtatc gccggttctt acgctgagca cgtcggtgtc ttgcacattg 240 tcggtgtccc atccgtctcc gcccaggcca agcagctatt gttgcaccac accttgggta 300 acggtgactt cactgtcttc cacagaatgt ccgccaacat ctctgagacc actgctatga 360 tcactgatct agctaccgcc ccatctgaga tcgacagatg tatcagaacc acctacatta 420 gacagagacc tgtctacttg ggtttgccat ctaacttcgt tgaccagatg gtcccagcct 480 ctctattgga caccccaatt gacttggcct tgaagccaaa cgaccagcag gctgaggagg 540 aggtcatctc tactttgttg gagatgatca aggacgctaa gaacccagtc atcttggctg 600 acgcttgcgc ttccagacac gatgtcaagg ctgagaccaa gaagttgatt gacatcactc 660 agttcccatc tttcgttacc ccaatgggta agggttccat tgacgagaag cacccaagat 720 tcggtggtgt ctacgtcggt accttgt 747
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12P 7/56 C12R 1:72 C12R 1:645) C12N 15/00 ZNAA (C12P 7/56 C12R 1:81) (C12P 7/56 C12R 1:78) (C12P 7/56 C12R 1:72) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 ハッツィマニカティス、ヴァッスィリー アメリカ合衆国、55404 ミネソタ州、ミ ネアポリス、15ス ストリート 622 イ ー. (72)発明者 オルソン、ステイシー アメリカ合衆国、55417 ミネソタ州、ミ ネアポリス、42ンド アヴェニュー サウ ス 5525 (72)発明者 カールソン、ティン リウ アメリカ合衆国、45458 オハイオ州、デ イトン、カントリー クリーク ウェイ 9764 (72)発明者 スター、ジョン エヌ. アメリカ合衆国、55318 ミネソタ州、チ ャスカ、マヌエラ ドライブ 2350 (72)発明者 コルスタッド、ジェフリー ジェイ. アメリカ合衆国、55391 ミネソタ州、ウ ェイザタ、リンガー ロード 16122 (72)発明者 イェール、アハロン エム. イスラエル、93386 エルサレム、ベイタ ール ストリート 32 Fターム(参考) 4B024 AA05 BA80 CA04 DA12 EA04 GA14 4B064 AD33 CA06 CA19 CA21 CC12 CC24 DA16 4B065 AA72X AA73X AA76X AA77X AB01 AC11 AC20 BA03 BC02 BC05 BC06 BD21 CA10 CA41 CA42

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 選択された有機生成物の形成方法であり、 a)クラブトリー負表現型(crabtree-negative phenotype)を呈示する微生物を
    供給し、 b)前記クラブトリー負表現型微生物を、細胞呼吸を促進する第一の培養条件下
    で、炭素源を含む第一の培地で培養し、 c)前記クラブトリー負表現型微生物を、前記選択された有機生成物の生成を促
    進する第二の培養条件下で、炭素源を含む第二の培地で培養する方法。
  2. 【請求項2】 前記選択された有機生成物がピルビン酸塩誘導生成物(pyruvat
    e-derived product)を含む請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記ピルビン酸塩誘導生成物が乳酸塩を含む請求項2に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 前記第一の培地が前記第二の培地と異なる請求項1に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記第一の培養条件が好気性条件を含む請求項1に記載の方法
  6. 【請求項6】 前記第一の培地の溶解酸素含有量が2%以上である請求項1に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記第一の培養条件が、培地を0.1VVM以上の空気流下で
    維持することを含む請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記微生物が前記第一の培養条件下で倍増する時間が10時間
    より短い請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記第一の培養条件下で消費される炭素源1グラムあたり約0
    .3グラム以上のバイオマスが生成される請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記第一の培養条件が、培地のpHが3.0未満、温度が3
    5℃を超え、溶解酸素含有量が約2%以上であることを含む請求項1に記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 前記第二の培養条件が嫌気性条件を含む請求項1に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 前記第二の培養条件が、溶解酸素含有量が2%以下であるこ
    とを含む請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記第二の培養条件が、培地を0.1VVM未満の空気流下
    で維持することを含む請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記第二の培養条件下で消費される炭素源1グラムあたり約
    0.3グラム以下のバイオマスが生成される請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記第二の培養条件が、培地のpHが3.0未満、温度が3
    5℃を超え、溶解酸素含有量が2%未満であることを含む請求項1に記載の方法
  16. 【請求項16】 前記第二の培地が細胞呼吸の阻害剤を含む請求項1に記載の
    方法。
  17. 【請求項17】 前記第一の培地および第二の培地の少なくともいずれかがペ
    ントース炭素を含む請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記クラブトリー負微生物が酵母を含む請求項1に記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 前記酵母がクライベラミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pich
    ia)、ハンゼヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)、トリクスポロン(Trichsporo
    n)、およびヤマダジマ(Yamadazyma)からなる群より選択される請求項18に記載
    の方法。
  20. 【請求項20】 前記クラブトリー負微生物が遺伝子組み換えされている請求
    項1に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記クラブトリー負微生物が、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ
    遺伝子を含むよう遺伝子組み換えされる請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記クラブトリー負微生物が、ウシ(bovine)乳酸デヒドロゲ
    ナーゼ、細菌性乳酸デヒドロゲナーゼおよび真菌性乳酸デヒドロゲナーゼからな
    る群から選択される乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含むよう遺伝子組み換えされ
    る請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記第二の培地に末端電子受容体を添加する工程をさらに含
    む請求項1に記載の方法。
  24. 【請求項24】 選択されたピルビン酸塩誘導生成物を生成する方法であり、
    a.微生物を準備し、 b.前記微生物を、細胞呼吸を促進する第一の培養条件下で培養し、 c.前記微生物を、前記選択されたピルビン酸塩誘導生成物の生成を促進する第二
    の培養条件下で培養し、 d.前記微生物の新陳代謝エネルギーを増加させる作用物質を含有する培地を含む
    第三の培養条件下で前記微生物を培養する方法。
  25. 【請求項25】 第一の培養条件下で前記微生物を培養する工程において炭素
    源を含有する培地で前記微生物を培養し、前記培養によって炭素源1グラムあた
    り0.4gを超える微生物(乾物重量)が得られる請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 第一の培養条件下で微生物を培養する工程によって、増殖率
    が0.2hr-1を超える微生物が得られる請求項24に記載の方法。
  27. 【請求項27】 第一の培養条件下で前記微生物を培養する工程が、好気性条
    件下での前記微生物の培養を含む請求項24に記載の方法。
  28. 【請求項28】 第二の条件下で前記微生物を培養する工程が、嫌気性条件下
    での前記微生物の培養を含む請求項24に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記ピルビン酸塩誘導生成物が、第二の培養条件下の前記微
    生物培養工程中に、1時間で微生物1グラムあたり0.1グラム以上の割合で生
    成される請求項24に記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記微生物の新陳代謝エネルギーを増加させる前記作用物質
    が酸素を含む請求項24に記載の方法。
  31. 【請求項31】 乳酸生成工程においてクラブトリー負表現型を呈示する遺伝
    子組み換え微生物の使用であり、前記プロセスが好気性相および嫌気性相を含む
    使用法。
  32. 【請求項32】 野生型酵母株との比較においてエタノール生成能力を欠くか
    またはエタノール生成能力が低く、内因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を持つ酵
    母株。
  33. 【請求項33】 前記酵母株がケー・サーモトレランス(K. thermotolerans)
    である請求項32に記載の酵母株。
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