JP2003217932A - コモンモードチョークコイルアレイ - Google Patents

コモンモードチョークコイルアレイ

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JP2003217932A JP2002013052A JP2002013052A JP2003217932A JP 2003217932 A JP2003217932 A JP 2003217932A JP 2002013052 A JP2002013052 A JP 2002013052A JP 2002013052 A JP2002013052 A JP 2002013052A JP 2003217932 A JP2003217932 A JP 2003217932A
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choke coil
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勝治 松田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2つのコモンモードチョークコイル素子(コ
イル)を密に配設した場合にも、コイル間のクロストー
クを抑制することが可能なコモンモードチョークコイル
アレイを提供する。 【解決手段】 略同軸上に巻回された2以上のスパイラ
ル形状のコイルを備えてなる2つのコモンモードチョー
クコイル素子14a,14bが、平面的に見た場合に互
いに隣り合うように積層体(チップ素体)10中に配設
された2素子型のコモンモードチョークコイルアレイに
おいて、平面的に見た場合に隣り合うように積層体10
中に配設された2つのコイル12a,12bのそれぞれ
において、隣り合う側Aの巻回数を、隣り合わない側B
の巻回数よりも少なくする。互いに隣り合うコイル12
a,12bの巻回方向を逆向きとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、コモンモードチ
ョークコイルアレイに関し、詳しくは、周回するコイル
を備えてなるコモンモードチョークコイル素子が、平面
的に見た場合に互いに隣り合うようにチップ素体中に2
つ配設された構造を有する2素子型のコモンモードチョ
ークコイルアレイに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の
コモンモードチョークコイルアレイの一つに、特開平8
−138937号に記載されているような、コモンモー
ドチョークコイルアレイがある。
【0003】図11は、その説明図であり、このコモン
モードチョークコイル(積層型コモンモードチョークコ
イル)50は、絶縁体とコイル導体を交互に積層した
後、一体的に焼成することにより作製されており、各コ
イル導体を電気的に接続することにより形成されたコイ
ル40と41、コイル42と43がそれぞれ一対の関係
にあり、2つのコモンモードチョークを構成している。
そして、積層体50aの所定の位置には、各コイル4
0,41,42,43の両端部と導通する外部電極31
a,31b,32a,32b,33a,33b,34
a,34bが配設されている。
【0004】ところで、この積層型コモンモードチョー
クコイル50のように、2つのコイルが平面的に、隣り
合うように配設されている(すなわち、コイル40と4
2が隣り合い、コイル41と43が隣り合っている)場
合、各コイルを密に配設しようとすると、隣り合うコイ
ル(コイルを構成する内部導体)間に発生するクロスト
ークが大きくなるという問題点がある。
【0005】そのため、上述の積層型コモンモードチョ
ークコイル50においては、隣り合うコイルからの影響
を受けないように、一対のコイル40,41を、他の一
対のコイル42,43から離隔して配設している。
【0006】したがって、積層型コモンモードチョーク
コイル50においては、各コイルをある程度離隔して配
設しなければならず、十分な小型化を図ることができな
いという問題点があり、各コイルを密に配設すると隣り
合うコイル間のクロストークの増大を招く結果となる。
【0007】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、平面的に見た場合に互いに隣り合うように2つの
コモンモードチョークコイル素子をチップ素体中に配設
してなる2素子型のコモンモードチョークコイルアレイ
において、2つのコモンモードチョークコイル素子を密
に配設した場合にも、コイル間のクロストークを抑制す
ることが可能で、小型化を図ることが可能なコモンモー
ドチョークコイルアレイを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明(請求項1)のコモンモードチョークコイ
ルアレイは、周回するコイルを備えてなるコモンモード
チョークコイル素子が、平面的に見た場合に互いに隣り
合うようにチップ素体中に2つ配設された2素子型のコ
モンモードチョークコイルアレイにおいて、前記周回す
るコイルは、隣り合う側の巻回数が隣り合わない側の巻
回数よりも少なくなるように構成されていることを特徴
としている。
【0009】平面的に見た場合に互いに隣り合うように
チップ素体中に配設された2つのコイルのそれぞれにお
いて、互いに隣り合う側の巻回数を、隣り合わない側の
巻回数よりも少なくすることにより、一方のコイルから
他方のコイルに影響を与える磁束を減らすことが可能に
なり、隣り合うコイル間のクロストークを抑制すること
が可能になる。
【0010】また、請求項2のコモンモードチョークコ
イルアレイは、前記周回するコイルは、略同軸上に巻回
された2以上のスパイラル形状部分を有していることを
特徴としている。
【0011】周回するコイルが、略同軸上に巻回された
2以上のスパイラル形状部分を有している場合、隣り合
うコイル間のクロストークが生じやすいが、本願発明を
適用することにより、一方のコイルから他方のコイルに
影響を与える磁束を減らして、隣り合うコイル間のクロ
ストークを抑制することが可能になる。
【0012】また、請求項3のコモンモードチョークコ
イルアレイは、前記隣り合うコイルの巻回方向が互いに
逆向きであることを特徴としている。
【0013】隣り合うコイルの巻回方向を互いに逆向き
とすることにより、隣り合うコイルを左右対称にするこ
とが可能になり、互いのインダクタンスの差を小さくす
ることが可能になる。また、各コイルの互いに隣り合う
側の巻回数を、隣り合わない側の巻回数よりも容易に少
なくすることが可能になり、本願発明をより実効あらし
めることができる。
【0014】また、請求項4のコモンモードチョークコ
イルアレイは、前記隣り合うコイルのそれぞれの始端及
び終端の両端部が、前記チップ素体の互いに隣り合うコ
イルの境界線に沿う方向の、互いに逆側の端部に引き出
されていることを特徴としている。
【0015】隣り合うコイルのそれぞれの始端及び終端
の両端部を、チップ素体の互いに隣り合うコイルの境界
線に沿う方向の、互いに逆側の端部に引き出すようにし
た場合、互いに隣り合うコイルを、隣り合う側の巻回数
が、隣り合わない側の巻回数よりも少なくなるような態
様で容易に配設することが可能になる。
【0016】また、請求項5のコモンモードチョークコ
イルアレイは、前記チップ素体が、絶縁層とコイルパタ
ーンを積層することにより形成された積層体であって、
前記コイルが、絶縁層を介して配設され、ビアホールに
より並列接続された第1のコイルパターンと第2のコイ
ルパターンとからなる2層構造を有しており、かつ、前
記第1及び第2のコイルパターンは、引出部分を除いた
主要部分が、絶縁層を介して互いに重なり合っているこ
とを特徴としている。
【0017】コイルを、第1のコイルパターンと第2の
コイルパターンとからなる2層構造とし、かつ、2層の
コイルパターンの主要部をほぼ同一の形状として、絶縁
層を介して互いに重なり合うように構成した場合、2層
構造のコイルパターンを確実に結合させることが可能に
なり、インダクタンスの低下を招くことなく、導体抵抗
を小さくすることができる。
【0018】また、請求項6のコモンモードチョークコ
イルアレイは、前記コイルの内周側領域、及び前記隣り
合うコイルの境界部を除く前記コイルの外周側領域に、
コイルの軸方向に沿って磁路形成用の磁性体が配設され
ていることを特徴としている。
【0019】コイルの内周側領域、及び隣り合うコイル
の境界部を除くコイルの外周側領域に、コイルの軸方向
に沿って磁路形成用の磁性体を配設することにより、磁
性体が配設されたコイルの略中央部を通って、コイルの
外周側に至り、再びコイルの内周側に戻る閉磁路を確実
に形成することが可能になる。したがって、従来のコモ
ンモードチョークコイルに比べて、コイル間の結合度を
高めることが可能になり、隣り合うコイル側への磁束の
漏れを少なくして、クロストークを低減することが可能
になる。また、ディファレンシャルモードのインピーダ
ンスを低く抑えることが可能になり、伝送される信号波
形に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0020】また、請求項7のコモンモードチョークコ
イルアレイは、前記チップ素体の上面側及び下面側に磁
性体基板が配設されていることを特徴としている。
【0021】チップ素体の上面側及び下面側に磁性体基
板を配設することにより、発生する磁束をチップ素体及
び磁性体基板内に閉じ込めることが可能になり、一つの
コモンモードチョークコイルを構成する一対のコイルで
発生する共通磁束を強め、大きなインダクタンスを得る
ことが可能になる。また、コイル間の結合度が高まるた
め、隣り合うコイル側への磁束の漏れを少なくして、ク
ロストークをさらに低減することができ、ディファレン
シャルモードのインピーダンスを低く抑えることが可能
になる。
【0022】また、本願発明(請求項8)のコモンモー
ドチョークコイルアレイは、周回するコイルを備えてな
るコモンモードチョークコイル素子が、平面的に見た場
合に互いに隣り合うようにチップ素体中に2つ配設され
た2素子型のコモンモードチョークコイルアレイにおい
て、前記コイルの内周側領域、及び前記隣り合うコイル
の境界部を除く前記コイルの外周側領域に、コイルの軸
方向に沿って磁路形成用の磁性体が配設され、かつ、前
記チップ素体の上面側及び下面側に磁性体基板が配設さ
れていることを特徴としている。
【0023】請求項8のコモンモードチョークコイルア
レイのように、コイルの内周側領域、及び隣り合うコイ
ルの境界部を除くコイルの外周側領域に、コイルの軸方
向に沿って磁路形成用の磁性体を配設するとともに、チ
ップ素体の上面側及び下面側に磁性体基板を配設した場
合、請求項1〜7のコモンモードチョークコイルアレイ
のように、「2つのコモンモードチョークコイルを構成
する互いに隣り合うコイルのそれぞれにおいて、隣り合
う側の巻回数が隣り合わない側の巻回数よりも少なくな
るようにする」という構成を備えていなくても、一つの
コモンモードチョークコイルを構成する複数のコイルで
発生する共通磁束を強めることが可能になり、コイル間
の結合度を高めることが可能になる。したがって、隣り
合うコイル側への磁束の漏れを少なくして、クロストー
クを低減することが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を示
して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0025】[実施形態1]図1は本願発明の一実施形
態(実施形態1)にかかるコモンモードチョークコイル
アレイの要部構成を示す断面図、図2は斜視図、図3は
コイルパターンを示す平面図、図4はこの実施形態1の
コモンモードチョークコイルアレイの要部構成を示す分
解図である。
【0026】このコモンモードチョークコイルアレイ
は、図1〜図4に示すように、略同軸上に巻回され、絶
縁層11(図4)を介して、軸方向に分離して配設され
た2つのスパイラル形状のコイル12a,13aを備え
てなる第1のコモンモードチョークコイル素子14a
(図1)と、同じく、略同軸上に巻回され、絶縁層11
(図4)を介して、軸方向に分離して配設された2つの
スパイラル形状のコイル12b,13bを備えてなる第
2のコモンモードチョークコイル素子14b(図1)
が、平面的に見た場合に互いに隣り合うように配設され
た積層体(チップ素体)10の上下両面側に、第1の磁
性体基板1aと第2の磁性体基板1bが配設された構造
を有している。
【0027】また、積層体10の、各コイル12a,1
2b,13a,13bの内周側領域と、各コイル12
a,12b,13a,13bの外周側領域(隣り合うコ
イルの境界部から離れた積層体10の両端側領域)に
は、閉磁路M(図1)が形成されるように、各コイル1
2a,12b,13a,13bの軸方向に沿って、磁性
体6が充填された磁路穴5が配設されている。
【0028】また、このコモンモードチョークコイルア
レイは、上述のように構成された接合構造体(部品本
体)15の互いに対向する端面に配設された、コイル1
2a,12b,13a,13bの始端及び終端の両端部
(内周側端部及び外周側端部)12a1,12a2,12
1,12b2,13a1,13a2,13b1,13b2
導通する8つの引出し電極3(図4)と、各引出し電極
3と導通する8つの端子電極(外部電極)4(図2)を
備えている。
【0029】そして、このコモンモードチョークコイル
アレイにおいては、コイル12a,12bと、コイル1
3a,13bのそれぞれにおいて、互いに隣り合う側
(図3においてAで示す側)の巻回数が、隣り合わない
側(図3においてBで示す側)の巻回数よりも少なくな
るように構成されており、コイル12a,12bと、コ
イル13a,13bのそれぞれにおいて、隣り合う側で
は巻回数が2、隣り合わない側では巻回数が3となるよ
うに構成されている。
【0030】なお、このコモンモードチョークコイルア
レイにおいては、互いに隣り合うコイルを構成する導体
の、隣り合う側の巻回数を、隣り合わない側の巻回数よ
りも少なくすることを可能ならしめるため、図1,3,
4に示すように、隣り合う2つのコモンモードチョーク
コイル素子14a,14bを構成するコイル12a,1
2b,13a,13bのうち、互いに隣り合うコイル1
2aと12bの巻回方向及び互いに隣り合うコイル13
aと13bの巻回方向を互いに逆向きにするとともに、
図3に示すように、平面形状が長方形である積層体10
の長辺を2等分する中心線(隣り合うコイル12aと1
2b及び13aと13bの境界線)Lに左右対称になる
ようにコイル12aと12b,及び13aと13bを配
設している。これにより、1つのコイルが配設される領
域の形状は略正方形となり、効率よくスパイラル状のコ
イルを配設することが可能になる。
【0031】また、各コイル12a,12b,13a,
13bの内周側端部12a1,12b1,13a1,13
1は、積層体10の端部に引き出されており、かつ、
各コイル12a,12b,13a,13bの始端及び終
端の両端部12a1,12a2,12b1,12b2,13
1,13a2,13b1,13b2は、積層体10の互い
に隣り合うコイル12aと12b及び13aと13bの
境界線L(図3)に沿う方向の、互いに逆側の端部に引
き出されている。
【0032】上記実施形態1のコモンモードチョークコ
イルアレイにおいて、第1の磁性体基板1a及び第2の
磁性体基板1bは、内部に2つコイル12,13が配設
された積層体10を挟持する機能を果たすものであり、
この実施形態1では、第1及び第2の磁性体基板1a,
1bとして、高周波特性の良好なフェライト基板が用い
られている。また、磁性体基板1a,1bとしては、フ
ォトリソグラフィー工法により、その上に絶縁層11、
コイル(コイルパターン)12a,12b,13a,1
3bなどを形成する際に支障がないように、表面粗さR
aが0.5μm以下になるように研磨されたものを用い
ることが望ましい。
【0033】また、磁路穴5に充填される磁性体6とし
ては、例えば、フェライト微粉60〜70vol%とポリ
イミド樹脂30〜40vol%を配合した磁性材料が用い
られている。磁性材料として、ポリイミド樹脂とフェラ
イト微粉を配合した材料を用いることにより、耐熱性に
優れ、かつ、積層体10を構成する絶縁層11との密着
性の良好な磁性体6を形成することができる。なお、添
加するフェライト微粉としては、積層体10に損傷を与
えないように、できるだけ微細なものを用いることが好
ましく、最大粒径が3μm以下のものを用いることが望
ましい。なお、磁性材料を構成する樹脂材料としては、
ポリイミド樹脂に限らず、その他の種々の樹脂材料を用
いることが可能であり、さらには、ガラスなどを用いる
ことも可能である。
【0034】また、コイル12a,12b,13a,1
3b、及び引出し電極3の構成材料(電極材料)として
は、導電性に優れたAg、Pd、Cu、Alなどの金属
あるいはこれらの合金を用いることが望ましい。なお、
この実施形態1では、Ag電極を使用している。
【0035】また、絶縁層11としては、ポリイミド樹
脂、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などの種々
の樹脂材料、あるいはSiOなどのガラス、誘電体、
磁性層に比べて低透磁率の磁性体、ガラスセラミクスな
どを用いることが可能である。また、フォトリソグラフ
ィー工法を用いる場合には、各材料として感光性機能を
付加した材料が用いられる。また、絶縁層11の構成材
料としては、その目的により複数材料を組み合わせたも
のを使用してもよい。なお、この実施形態1では、絶縁
層11を構成する絶縁材料として、感光性ポリイミド樹
脂を使用している。
【0036】なお、コイルパターンなどを構成する電極
材料と、絶縁層を構成する絶縁材料の組合せは、加工性
・密着性などを考慮して選択することが望ましい。
【0037】上述のように構成されたこの実施形態1の
コモンモードチョークコイルアレイにおいては、隣り合
う2つのコモンモードチョークコイル素子14a,14
bを構成するそれぞれのコイル12a,12b,13
a,13bにおいて、隣り合う側の巻回数(巻回数=
2)を、隣り合わない側の巻回数(巻回数=3)よりも
少なくしているので、一方のコイル12a,13aから
他方のコイル12b,13bに鎖交する磁束を減らすこ
とが可能になり、隣り合うコイル12aと12bの間及
び13aと13bの間のクロストークを抑制することが
可能になる。
【0038】また、各コイル12a,12b,13a,
13bの内周側領域と、外周側領域に、各コイル12
a,12b,13a,13bの軸方向に沿って、磁性体
6が充填された磁路穴5が配設されているので、例え
ば、図1に示すように、磁性体6が充填された磁路穴5
の配設されたコイル12a(12b)の略中央部を通っ
て、コイル12a(12b)の外周側に至り、再びコイ
ル12a(12b)の内周側に戻る閉磁路Mを確実に形
成することが可能になる。したがって、従来のコモンモ
ードチョークコイルアレイに比べて、一つのコモンモー
ドチョークコイルを構成する一対のコイルで発生する共
通磁束を強めて、コイル間の結合度を高めることが可能
になり、隣り合うコイル側への磁束の漏れを少なくし
て、クロストークを低減することが可能になる。また、
ディファレンシャルモードのインピーダンスを低く抑え
ることが可能になり、伝送される信号波形に及ぼす影響
を低減することが可能になる。
【0039】次に、この実施形態1のコモンモードチョ
ークコイルアレイの製造方法について説明する。なお、
以下では、2つのコモンモードチョークコイル素子を備
えた1つのコモンモードチョークコイルアレイを製造す
る場合について説明するが、通常は、マザー基板上に多
数個の素子を形成した後、所定の位置で切断して、個々
の部品(コモンモードチョークコイルアレイ)に分割す
ることにより、多数個のコモンモードチョークコイルア
レイを同時に製造する方法が適用される。
【0040】(1)まず、第1の磁性体基板1a上に、絶
縁層11と、内部電極(すなわち、コイル12a,12
b,13a,13b及び引出し電極3を構成する電極パ
ターン)を積層して、略同軸上に巻回され、絶縁層11
(図4)を介して、軸方向に分離して配設された2つの
スパイラル形状のコイル12a,13aを備えてなる第
1のコモンモードチョークコイル素子14a(図1)
と、同じく、略同軸上に巻回され、絶縁層11(図4)
を介して、軸方向に分離して配設された2つのスパイラ
ル形状のコイル12b,13bを備えてなる第2のコモ
ンモードチョークコイル素子14b(図1)が、互いに
隣り合うように内部に配設された積層体10を形成す
る。なお、各絶縁層11には、第1の磁性体基板1aか
ら、後の工程で積み重ねられる第2の磁性体基板1bへ
到達する磁路を形成するための磁路穴5を、フォトリソ
グラフィー工法により形成しておく。
【0041】また、所定の絶縁層11には、コイル12
a,12b,13a,13bの内周側端部12a1,1
2b1,13a1,13b1と引出し電極3を接続するた
めのビアホール16(図4)を形成しておく。なお、こ
の実施形態1では、図4の下から2層目及び4層目の絶
縁層11にビアホール16が形成されている。これによ
り、コイル12a,12b,13a,13bの内周側端
部12a1,12b1,13a1,13b1がビアホール1
6を介して引出し電極3に接続され、かつ、外周側端部
12a2,12b2,13a2,13b2が同一平面上で引
出し電極3に接続され、互いに対向する端面に引き出さ
れた積層体10が形成される。
【0042】(2)次に、積層体10の上面に、磁性体
(ポリイミド樹脂にフェライト微粉を添加してなる、比
透磁率が2〜7の範囲の材料)6を印刷工法により塗布
し、積層体10に配設された磁路穴5に磁性体6を充填
する。
【0043】(3)それから、積層体10の上面に、第2
の磁性体基板1bを接合する。これにより、積層体10
が、第1及び第2の磁性体基板1a,1bによって挟持
された構造を有する接合構造体(部品本体)15が形成
される。また、積層体10と第2の磁性体基板1bの間
には、非磁性の接着層17が形成されている。なお、接
着層17としては、種々の接着剤を用いることが可能で
あり、例えば、熱可塑性のポリイミド樹脂などを用いる
ことができる。なお、マザー基板から、多数個の素子に
分割する、いわゆる多数個取りの製造方法の場合には、
この時点で、ダイシングなどの方法により、接合構造体
を所定の位置で切断して、個々の素子に分割する。
【0044】(4)次いで、コイル12,13から引き出
された引出し電極3と導通する端子電極(外部電極)4
(図2)を素子の端面に形成する。これにより、図1,
2に示すようなコモンモードチョークコイルアレイが得
られる。
【0045】[クロストーク値の測定]上述のようにし
て形成される互いに隣り合うコイルの配設態様を異なら
せてクロストーク値を測定し、コイルの配設態様がクロ
ストーク値に与える影響を調べた。
【0046】(a)図5に示すように、互いに隣り合うコ
イル12aと12bを、互いに逆巻きのパターンとし
て、隣り合う側の巻回数が3、隣り合わない側の巻回数
が4となるようにした場合(すなわち、本願発明の実施
形態の場合)、クロストーク値は−60dB(at10
0MHz)であった。
【0047】(b)一方、図6(a)に示すように、互いに
隣り合うコイル12aと12bを、互いに逆巻きのパタ
ーンとして、隣り合う側の巻回数が4、隣り合わない側
の巻回数が3となるようにした場合(本願発明の要件を
満たしていない比較例の場合)、クロストーク値は−5
1dB(at100MHz)で、本願発明の実施形態の
場合に比べて特性が劣ることが確認された。
【0048】(c)また、図6(b)に示すように、互いに
隣り合うコイル12aと12bを、同一方向巻きのパタ
ーンとして、一方のコイル12aでは、隣り合う側の巻
回数が4、隣り合わない側の巻回数が3となり、他方の
コイル12bでは、隣り合う側の巻回数が3、隣り合わ
ない側の巻回数が4とるようにした場合(従来例の場
合)、クロストーク値は−55dB(at100MH
z)で、本願発明の実施形態の場合に比べて特性が劣る
ことが確認された。
【0049】これらの結果より、本願発明によれば、隣
り合う2つのコイルを構成する導体間のクロストークを
抑制することが可能で、複数の素子(コイル)を密に配
設した場合にも、コイル間のクロストークを抑制できる
ことがわかる。なお、上記実施形態1では、積層体10
の上下両面側に第1及び第2の磁性体基板1a,1bを
配設するようにしているが、第2の磁性体基板を備えて
いない構成とすることも可能である。
【0050】[実施形態2]図7は本願発明の他の実施
形態(実施形態2)にかかるコモンモードチョークコイ
ルアレイの要部構成を示す断面図であり、また、図8は
その要部構成を示す分解図である。なお、実施形態2の
コモンモードチョークコイルアレイを示す図7及び図8
において、図1〜図4と同一符号を付した部分は、同一
部分又は相当する部分を示している。
【0051】このコモンモードチョークコイルアレイ
は、図7及び図8に示すように、略同軸上に巻回され、
軸方向に分離して配設された2つのスパイラル形状のコ
イル12a,13aを備えてなる第1のコモンモードチ
ョークコイル素子14aと、略同軸上に巻回され、絶縁
層11を介して、軸方向に分離して配設された2つのス
パイラル形状のコイル12b,13bを備えてなる第2
のコモンモードチョークコイル素子14bが、互いに隣
り合うように内部に配設された積層体10が、第1の磁
性体基板1a上に配設されているとともに、積層体10
の上面側に、磁性層20が配設され、さらに磁性層20
上に、非磁性の接着層30を介して第2の磁性体基板1
bが配設された構造を有している。
【0052】また、積層体10の、各コイル12a,1
2b,13a,13bの内周側領域と、各コイル12
a,12b,13a,13bの外周側領域(隣り合うコ
イルの境界部から離れた積層体10の両端側領域)に
は、閉磁路M(図7)が形成されるように、各コイル1
2a,12b,13a,13bの軸方向に沿って、磁性
体6が充填された磁路穴5が配設されている。なお、磁
路穴5に充填された磁性体6は積層体10の上面側に配
設された磁性層20と一体化した構造を有している。
【0053】そして、この実施形態2のコモンモードチ
ョークコイルアレイでは、非磁性の接着層30として
は、熱可塑性のポリイミド樹脂が用いられており、磁性
体6としては、フェライト微粉60〜70vol%とポリ
イミド樹脂30〜40vol%を配合した磁性材料が用い
られている。
【0054】また、この実施形態2のコモンモードチョ
ークコイルアレイにおいては、各コイル12a,12
b,13a,13bのそれぞれが、絶縁層11を介して
配設され、ビアホール16により並列接続された第1の
コイルパターンと第2のコイルパターンとから形成され
ている。すなわち、(1)コイル12aは、第1のコイル
パターン2a1及び第2のコイルパターン2a2から形成
され、(2)コイル12bは、第1のコイルパターン2b1
及び第2のコイルパターン2b2から形成され、(3)コイ
ル13aは、第1のコイルパターン3a1及び第2のコ
イルパターン3a2から形成され、(4)コイル13bは、
第1のコイルパターン3b1及び第2のコイルパターン
3b2から形成されている。
【0055】そして、各コイル12a,12b,13
a,13bを構成する第1のコイルパターンと第2のコ
イルパターンは、それぞれ引出部分を除いた主要部分が
ほぼ同一の形状を有しており、絶縁層11を介して互い
に重なり合うような2層構造に構成されている。このよ
うに、第1のコイルパターン2a1と第2のコイルパタ
ーン2a2がビアホール16を介して並列接続すること
により、直流抵抗(Rdc)を低減することができる。
また、引出し電極3が形成される絶縁層11と同層に第
2のコイルパターン2a2を形成することにより、引出
し電極3による段差を解消することが可能になる。な
お、第1のコイルパターン2b1と第2のコイルパター
ン2b2、第1のコイルパターン3a1と第2のコイルパ
ターン3a2、及び第1のコイルパターン3b 1と第2の
コイルパターン3b2も同様に構成されている。
【0056】この実施形態2のコモンモードチョークコ
イルアレイにおいては、上述のように、各コイル12
a,12b,13a,13bを、第1のコイルパターン
と第2のコイルパターンとからなる2層構造とし、か
つ、2層のコイルパターンの主要部をほぼ同一の形状と
して、互いに重なり合うように構成しているので、2層
構造のコイルパターンを確実に結合させることが可能に
なり、インダクタンスの低下を招くことなく、導体抵抗
を小さくすることができる。
【0057】また、磁路穴5に磁性体6が充填されてい
るとともに、積層体10の上面側に磁性層20が配設さ
れていることから、図7に示すように、磁性体6が充填
された磁路穴5が配設されたコイル12bの略中央部を
通り、磁性層20を経て、コイル12bの外周側に至
り、第1の磁性体基板1aを経て、再びコイル12bの
内周側に戻る閉磁路Mを確実に形成することが可能にな
り、対向するコイル12aと13a及び12bと13b
で発生する共通磁束を強めて、コイル間の結合度を高め
ることが可能になり、隣り合うコイル側への磁束の漏れ
を少なくして、クロストークを低減することが可能にな
る。また、ディファレンシャルモードのインピーダンス
を低く抑えることが可能になり、伝送される信号波形に
及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0058】また、磁性層20と第2の磁性体基板1b
の間に配設された非磁性の接着層30により良好な接着
性が確保されるとともに、ごく僅かな厚みではあるが磁
性層20と第2の磁性体基板1bの間に非磁性のギャッ
プ部が形成されるため、磁性層20に接して第2の磁性
体基板1bを配設した場合に比べて、さらに高周波領域
にまでフラットなインダクタンス特性を得ることが可能
になる。
【0059】なお、この実施形態2のコモンモードチョ
ークコイルアレイは、基本的に実施形態1のコモンモー
ドチョークコイルアレイと同様の構成を有しており、実
施形態1のコモンモードチョークコイルアレイの製造方
法に準じる方法により製造することができる。
【0060】[実施形態3]図9は本願発明の他の実施
形態(実施形態3)にかかるコモンモードチョークコイ
ルアレイの要部構成を示す断面図であり、図10は要部
構成を示す平面図である。なお、図9及び図10におい
て、図7及び図8と同一符号を付した部分は、同一部分
又は相当する部分を示している。
【0061】この実施形態3のコモンモードチョークコ
イルアレイにおいては、隣り合うコイル12aと12
b、及びコイル13aと13bの巻回方向が互いに同じ
向きになっており、左側のコイル12a,13aの、隣
り合う側の巻回数がそれぞれ3で、右側のコイル12
b,13bの、隣り合う側の巻回数がそれぞれ2となっ
ている。
【0062】その他の構成は、上記実施形態2のコモン
モードチョークコイルアレイの場合と同様であり、略同
軸上に巻回され、軸方向に分離して配設された2つのス
パイラル形状のコイル12a,13aを備えてなる第1
のコモンモードチョークコイル素子14aと、略同軸上
に巻回され、絶縁層11を介して、軸方向に分離して配
設された2つのスパイラル形状のコイル12b,13b
を備えてなる第2のコモンモードチョークコイル素子1
4b(図9)が、互いに隣り合うように内部に配設され
た積層体10が、第1の磁性体基板1a上に配設され、
積層体10の上面側には磁性層20が配設され、磁性層
20上には、非磁性の接着層30を介して第2の磁性体
基板1bが配設された構造を有している。
【0063】また、積層体10の、各コイル12a,1
2b,13a,13bの内周側領域と、各コイル12
a,12b,13a,13bの外周側領域(隣り合うコ
イルの境界部から離れた積層体10の両端側領域)に
は、閉磁路M(図9)が形成されるように、各コイル1
2a,12b,13a,13bの軸方向に沿って、磁性
体6が充填された磁路穴5が配設されている。
【0064】上述のように、この実施形態3のコモンモ
ードチョークコイルアレイでは、隣り合うコイル12a
と12b及びコイル13aと13bの巻回方向が互いに
同じ向きになっており、左側のコイル12a,13a
の、隣り合う側の巻回数がそれぞれ3で、右側のコイル
12b,13bの、隣り合う側の巻回数がそれぞれ2と
なっており、上述の実施形態1及び2の場合のように、
隣り合う側の巻回数が隣り合わない側の巻回数よりも少
なくなっていないが、各コイル12a,12b,13
a,13bの内周側領域と、各コイル12a,12b,
13a,13bの外周側領域(隣り合うコイルの境界部
から離れた積層体10の両端側領域)には、各コイル1
2a,12b,13a,13bの軸方向に沿って、磁性
体6が充填された磁路穴5が配設されているとともに、
積層体10の下面側には、第1の磁性体基板1aが配設
され、積層体10の上面側には磁性層20が配設され、
さらに、磁性層20上に非磁性の接着層30を介して第
2の磁性体基板1bが配設された構造を有しているた
め、図9に示すような閉磁路Mが確実に形成されること
になり、各コモンモードチョークコイル14a,14b
を構成する複数のコイルで発生する共通磁束を強めるこ
とが可能になるとともに、コイル間の結合度を高めて、
隣り合うコイル側への磁束の漏れを少なくして、クロス
トークを低減することが可能になる。
【0065】なお、本願発明において、コイルの形状
は、上記実施形態のようなスパイラル形状に限られるも
のではなく、全体として周回した形状を有する種々の構
成とすることが可能であり、例えば、螺旋状(各層で同
一コイル径であってもよく、また、各層でコイル径が異
なっていてもよい)とすることも可能であり、さらに
は、スパイラル形状の部分と螺旋状の部分の両方を備え
た形状とすることも可能である。
【0066】また、コイルの形成方法については、上記
実施形態のような印刷法に限らず、スパッタリングを用
いた薄膜法や、感光性導電ペーストを用いたフォトリソ
グラフィー法などを用いることも可能である。また、巻
線を用いてコイルを形成することも可能である。
【0067】さらに、上記の実施形態では、チップ素体
が絶縁層を積層することに形成されたものである場合を
例にとって説明したが、チップ素体はこれに限られるも
のではなく、射出成形により絶縁体をモールドしたもの
であってもよい。なお、この場合、コイルは巻線を用い
ることが望ましい。
【0068】本願発明は、さらにその他の点においても
上記実施形態に限定されるものではなく、第1及び第2
の磁性体基板の構成材料や具体的な形状、絶縁層の構成
材料や厚み、コイルパターンの構成材料、チップ素体が
積層体である場合のコイルパターン及び絶縁層の積層
数、コイルの引き出し位置、磁性層の構成材料、チップ
素体の形状、チップ素体に形成される磁路形成用の磁路
穴の具体的な形状、配設位置などに関し、発明の範囲内
において、種々の応用、変形を加えることが可能であ
る。
【0069】
【発明の効果】上述のように、本願発明(請求項1)の
コモンモードチョークコイルアレイは、平面的に見た場
合に互いに隣り合うようにチップ素体中に配設された2
つのコイルのそれぞれにおいて、互いに隣り合う側の巻
回数を、隣り合わない側の巻回数よりも少なくするよう
にしているので、一方のコイルから他方のコイルに影響
を与える磁束を減らすことが可能になり、隣り合うコイ
ル間のクロストークを抑制することができる。
【0070】また、請求項2のように、周回するコイル
が、略同軸上に巻回された2以上のスパイラル形状部分
を有している場合、隣り合うコイル間のクロストークが
生じやすいが、本願発明を適用することにより、一方の
コイルから他方のコイルに影響を与える磁束を減らし
て、隣り合うコイル間のクロストークを抑制することが
可能になる。
【0071】また、請求項3のコモンモードチョークコ
イルアレイのように、隣り合うコイルの巻回方向を互い
に逆向きとした場合、隣り合うコイルを左右対称にする
ことが可能になり、互いのインダクタンスの差を小さく
することが可能になる。また、各コイルの互いに隣り合
う側の巻回数を、隣り合わない側の巻回数よりも容易に
少なくすることが可能になり、本願発明をより実効あら
しめることができる。
【0072】また、請求項4のコモンモードチョークコ
イルアレイのように、隣り合うコイルのそれぞれの始端
及び終端の両端部を、チップ素体の互いに隣り合うコイ
ルの境界線に沿う方向の、互いに逆側の端部に引き出す
ようにした場合、互いに隣り合うコイルを、隣り合う側
の巻回数が、隣り合わない側の巻回数よりも少なくなる
ような態様で容易に配設することが可能になる。
【0073】また、請求項5のコモンモードチョークコ
イルアレイのように、コイルを、第1のコイルパターン
と第2のコイルパターンとからなる2層構造とし、か
つ、2層のコイルパターンの主要部をほぼ同一の形状と
して、絶縁層を介して互いに重なり合うように構成した
場合、2層構造のコイルパターンを確実に結合させるこ
とが可能になり、インダクタンスの低下を招くことな
く、導体抵抗を小さくすることができる。
【0074】また、請求項6のコモンモードチョークコ
イルアレイのように、コイルの内周側領域、及び隣り合
うコイルの境界部を除くコイルの外周側領域に、コイル
の軸方向に沿って磁路形成用の磁性体を配設するように
した場合、磁性体が配設されたコイルの略中央部を通っ
て、コイルの外周側に至り、再びコイルの内周側に戻る
閉磁路を確実に形成することが可能になる。したがっ
て、従来のコモンモードチョークコイルに比べて、コイ
ル間の結合度を高めることが可能になり、隣り合うコイ
ル側への磁束の漏れを少なくして、クロストークを低減
することが可能になる。また、ディファレンシャルモー
ドのインピーダンスを低く抑えることが可能になり、伝
送される信号波形に及ぼす影響を低減することが可能に
なる。
【0075】また、請求項7のコモンモードチョークコ
イルアレイのように、チップ素体の上面側及び下面側に
磁性体基板を配設するようにした場合、発生する磁束を
チップ素体及び磁性体基板内に閉じ込めることが可能に
なり、一つのコモンモードチョークコイルを構成する一
対のコイルで発生する共通磁束を強め、大きなインダク
タンスを得ることが可能になる。また、コイル間の結合
度が高まるため、隣り合うコイル側への磁束の漏れを少
なくして、クロストークをさらに低減することができ、
ディファレンシャルモードのインピーダンスを低く抑え
ることが可能になる。
【0076】また、請求項8のコモンモードチョークコ
イルアレイのように、コイルの内周側領域、及び隣り合
うコイルの境界部を除くコイルの外周側領域に、コイル
の軸方向に沿って磁路形成用の磁性体を配設するととも
に、チップ素体の上面側及び下面側に磁性体基板を配設
した場合、請求項1〜7のコモンモードチョークコイル
アレイのように、「2つのコモンモードチョークコイル
を構成する互いに隣り合うコイルのそれぞれにおいて、
隣り合う側の巻回数が隣り合わない側の巻回数よりも少
なくなるようにする」という構成を備えていなくても、
一つのコモンモードチョークコイルを構成する複数のコ
イルで発生する共通磁束を強めることが可能になり、コ
イル間の結合度を高めることが可能になる。したがっ
て、隣り合うコイル側への磁束の漏れを少なくして、ク
ロストークを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態(実施形態1)にかかる
コモンモードチョークコイルアレイの要部構成を示す断
面図である。
【図2】本願発明の実施形態1にかかるコモンモードチ
ョークコイルアレイを示す斜視図である。
【図3】本願発明の実施形態1にかかるコモンモードチ
ョークコイルアレイのコイルパターンを示す平面図であ
る。
【図4】本願発明の実施形態1にかかるコモンモードチ
ョークコイルアレイの要部構成を示す分解図である。
【図5】クロストーク値の測定に供した本願発明のコモ
ンモードチョークコイルアレイのコイルパターンを示す
平面図である。
【図6】(a),(b)はクロストーク値の測定に供した比
較例のコモンモードチョークコイルアレイのコイルパタ
ーンを示す平面図である。
【図7】本願発明の他の実施形態(実施形態2)にかか
るコモンモードチョークコイルアレイの要部構成を示す
断面図である。
【図8】本願発明の実施形態2にかかるコモンモードチ
ョークコイルアレイの要部構成を示す分解図である。
【図9】本願発明のさらに他の実施形態(実施形態3)
にかかるコモンモードチョークコイルアレイの要部構成
を示す断面図である。
【図10】本願発明の実施形態3にかかるコモンモード
チョークコイルアレイの要部構成を示す平面図である。
【図11】従来の積層型コモンモードチョークコイルを
示す斜視図である。
【符号の説明】
1a: 第1の磁性体基板 1b: 第2の磁性体基板 2a1,2a2,2b1,2b2,3a1,3a2,3b1
3b2 コイルパターン 3: 引出し電極 4: 端子電極(外部電極) 5: 穴(磁路穴) 6: 磁性体 10: 積層体(チップ素体) 11: 絶縁層 12a,12b,13a,13b: コイル 12a1,12a2,12b1,12b2,13a1,13
2,13b1,13b2: コイルの両端
部(始端及び終端) 14a,14b: コモンモードチョークコイル素子 15: 接合構造体(部品本体) 16: ビアホール 17,30: 接着層 20: 磁性層 A: 一対のコイルの隣り合う側 B: 一対のコイルの隣り合わない側 L: 境界線 M: 閉磁路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 正彦 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5E070 AA01 AB01 BA12 CB13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周回するコイルを備えてなるコモンモード
    チョークコイル素子が、平面的に見た場合に互いに隣り
    合うようにチップ素体中に2つ配設された2素子型のコ
    モンモードチョークコイルアレイにおいて、 前記周回するコイルは、隣り合う側の巻回数が隣り合わ
    ない側の巻回数よりも少なくなるように構成されている
    ことを特徴とするコモンモードチョークコイルアレイ。
  2. 【請求項2】前記周回するコイルは、略同軸上に巻回さ
    れた2以上のスパイラル形状部分を有していることを特
    徴とする請求項1記載のコモンモードチョークコイルア
    レイ。
  3. 【請求項3】前記隣り合うコイルの巻回方向が互いに逆
    向きであることを特徴とする請求項1又は2記載のコモ
    ンモードチョークコイルアレイ。
  4. 【請求項4】前記隣り合うコイルのそれぞれの始端及び
    終端の両端部が、前記チップ素体の互いに隣り合うコイ
    ルの境界線に沿う方向の、互いに逆側の端部に引き出さ
    れていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載のコモンモードチョークコイルアレイ。
  5. 【請求項5】前記チップ素体が、絶縁層とコイルパター
    ンを積層することにより形成された積層体であって、前
    記コイルが、絶縁層を介して配設され、ビアホールによ
    り並列接続された第1のコイルパターンと第2のコイル
    パターンとからなる2層構造を有しており、かつ、前記
    第1及び第2のコイルパターンは、引出部分を除いた主
    要部分が、絶縁層を介して互いに重なり合っていること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコモンモ
    ードチョークコイルアレイ。
  6. 【請求項6】前記コイルの内周側領域、及び前記隣り合
    うコイルの境界部を除く前記コイルの外周側領域に、コ
    イルの軸方向に沿って磁路形成用の磁性体が配設されて
    いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    コモンモードチョークコイルアレイ。
  7. 【請求項7】前記チップ素体の上面側及び下面側に磁性
    体基板が配設されていることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載のコモンモードチョークコイルアレ
    イ。
  8. 【請求項8】周回するコイルを備えてなるコモンモード
    チョークコイル素子が、平面的に見た場合に互いに隣り
    合うようにチップ素体中に2つ配設された2素子型のコ
    モンモードチョークコイルアレイにおいて、 前記コイルの内周側領域、及び前記隣り合うコイルの境
    界部を除く前記コイルの外周側領域に、コイルの軸方向
    に沿って磁路形成用の磁性体が配設され、かつ、 前記チップ素体の上面側及び下面側に磁性体基板が配設
    されていることを特徴とするコモンモードチョークコイ
    ルアレイ。
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