JP2003102458A - 発酵麦芽飲料の製造法 - Google Patents
発酵麦芽飲料の製造法Info
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Abstract
して、香味の優れた発酵麦芽飲料を製造すると共に、発
酵を促進して比較的短い期間で発酵麦芽飲料の製造が可
能な方法を提供すること、特に発酵麦芽飲料の製造にお
ける発酵工程の短縮を図ると共に、発酵麦芽飲料の香味
のバランスがとれた香味豊かな発酵麦芽飲料を製造する
方法を提供すること。 【解決手段】 麦汁に酵母を添加して発酵させる発酵麦
芽飲料の製造において、発酵タンクへ酵母を添加した後
の発酵時に、一定時間通気を行うことにより、発酵を促
進し、尚且つ香味バランスのとれた優れた香味の発酵麦
芽飲料を製造することができる。本発明の発酵麦芽飲料
の製造方法は、特に高アルコール発酵麦芽飲料の製造に
おける発酵の促進と、香味バランスの調整に好適に適用
することができる。
Description
の発酵麦芽飲料の製造方法、詳しくは、ビールや発泡酒
等の発酵麦芽飲料の製造に際して、発酵タンクで酵母を
添加した後の発酵に、一定時間の通気を用いることによ
り、発酵の促進を図ると共に、香味の優れた発酵麦芽飲
料を製造する方法に関する。
の製造における発酵工程は、麦汁へ酵母を添加すること
で開始される。発酵においては、糖はアルコールと炭酸
ガスに分解し、更に蛋白質の分解,酸の生成、香気成分
の生成が行われる。ビールや発泡酒等の発酵麦芽飲料の
主発酵工程では、発酵の促進と香味のバランスとの調和
が問題となり、この発酵の促進と香味のバランスとの調
和を図るべく、それぞれの発酵麦芽飲料の種類に応じ
て、種々の発酵管理が行われている。これらの発酵管理
の中で、発酵麦芽飲料の製造における発酵工程の発酵温
度は重要なファクターであり、発酵の促進と目的とする
ビールや発泡酒の香味の形成との関連で、重要な管理項
目となっている。例えば、高い発酵温度では発酵は促進
するが、エステル類の生成が相対的に多くなり、華やか
な香味が形成される。一方では、比較的低い発酵温度、
例えばピルスナータイプのビール等で5〜10℃の低温
発酵では、エステル類の生成が相対的に抑えられた香味
が形成されることになるが、発酵は比較的穏やかに進行
することになる。
酵温度の管理については、多くの提案がなされている。
例えば、特開昭61−58573号公報には、ダイアセ
チル臭の低減や独特の風味ないし香味を有する発酵麦芽
飲料を製造するために、主発酵工程を多段階で行う方法
が、特開平6−30756号公報には、エステル香の高
いビールを製造するために、17℃で発酵させ、発酵液
のエキス含量の低下速度が1日当たり2%以上になった
ときに、発酵温度を1〜3℃低下させてエステルの生成
を高める方法が、及び特開平6−181735号公報に
は、未熟臭味の低減されたまろやかな香味を有するビー
ルを製造するために、13℃で第一の発酵を行い、ビー
ル発酵液の1日当たりのエキス含量の低下速度が、2%
以上になった時点で発酵温度を1.5℃下げて第二の発
酵を行い、更に発酵液のエキス含量が3.5%以下にな
った時点で第三の発酵を行い、熟成を行うビールの製造
方法がそれぞれ開示されている。
飲料の主発酵工程では、発酵の促進と香味のバランスと
の調和を図るために、発酵温度の管理等について種々の
提案がなされている。
の製造工程における発酵において、発酵の促進を図るた
めに、通気により溶存酸素量を高め、酵母を活性化し、
発酵を進めることも提案されている。例えば、その一つ
の方法として、発酵工程において使用する酵母を、発酵
工程において添加する前に、予め通気により酸素の供給
を増大させたタンクで培養し、酵母の増殖と活性化を図
った後に発酵に供する方法が用いられている。この方法
は、発酵に用いる酵母の増殖と活性化を目的とするもの
であり、発酵工程における発酵液中の酵母の活性化と発
酵の促進及び香味の生成のバランスを直接制御すること
を目的とするものではない。また、ビール等の製造に際
しての発酵における影響因子として、通気量に関する検
討を行い、その報告もなされている(宮地秀夫著「ビー
ル醸造技術」株式会社食品産業新聞社(1999.12.28)P2
93−296)。これらの報告には、酵母の添加前と添加後
の短時間の通気による溶存酸素濃度と発酵の促進、発酵
液の香味等の関係について示されている。
ルや発泡酒等の発酵麦芽飲料の製造に際して、香味の優
れた発酵麦芽飲料を製造すると共に、発酵を促進して比
較的短い期間で発酵麦芽飲料の製造が可能な方法を提供
すること、特に発酵麦芽飲料の製造における発酵工程の
短縮を図ると共に、発酵麦芽飲料の香味のバランスがと
れた香味豊かな発酵麦芽飲料を製造する方法を提供する
ことにある。特に、通常のビール(アルコール度5%前
後)に比べ、高いアルコール度数を有するいわゆる「高
アルコールビール」のような高アルコール発酵麦芽飲料
の製造に際しては、アルコールによって発酵が抑制され
ることから、発酵を促進し、かつ香味バランスのとれた
発酵麦芽飲料を製造することが特に重要となる。本発明
の課題は、このような高アルコール発酵麦芽飲料の製造
にも好適に適用できる発酵方法を提供することにもあ
る。
解決すべく鋭意研究の結果、麦汁に酵母を添加して発酵
させる発酵麦芽飲料の製造において、発酵タンクへ酵母
を添加した後の発酵時に、一定時間通気を行うことによ
り、発酵を促進することが可能であり、尚且つ香味バラ
ンスのとれた優れた香味の発酵麦芽飲料を製造すること
ができることを見い出し本発明をなした。本発明におけ
る「一定時間の通気」とは、短か過ぎる通気時間では、
発酵速度及び香味バランスにおいて悪い効果しか得られ
ず、又長すぎる通気時間においても逆に悪い効果しか得
られないことから、通常8〜14時間程度の通気を行う
ことを意味する。本発明の発酵麦芽飲料の製造方法は、
特に高アルコール発酵麦芽飲料の製造に好適に適用する
ことができる。
発酵させる発酵麦芽飲料の製造において、発酵タンクへ
酵母を添加した直後の発酵時に、一定時間通気を行うこ
とを特徴とする発酵麦芽飲料の製造方法(請求項1)
や、通気を、酵母を添加後、10〜0.0001vvm
の空気を連続的に8〜14時間行なうことを特徴とする
請求項1記載の発酵麦芽飲料の製造方法(請求項2)
や、麦汁中の酵母によるアミノ酸消費速度がほぼゼロに
なるまで、連続的に通気を行なうことを特徴とする請求
項1記載の発酵麦芽飲料の製造方法(請求項3)や、酵
母に資化される麦汁中のアミノ酸の取り込みが実質的に
終了するまで、連続的に通気を行なうことを特徴とする
請求項1記載の発酵麦芽飲料の製造方法(請求項4)
や、発酵麦芽飲料が、高アルコールビールであることを
特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の発酵麦芽飲料
の製造方法(請求項5)からなる。
発酵させる発酵麦芽飲料の製造において、発酵タンクへ
酵母を添加した後の発酵時に、一定時間通気を行うこと
よりなる。本発明の通気は、少なくても8時間以上、通
常8〜14時間通気される。通気は、間隔が長くならな
い限り、必ずしも連続して行うことに限定されないが、
所定時間連続して通気することが好ましい。通気量とし
ては、麦汁の溶存酸素濃度を考慮して10〜0.000
1vvmの空気を連続的に供給する。ここで「vvm」
とは、1分間で,液容量の何倍の通気をするかというこ
とを示すものであり、例えば、10リッターの液に対し
て、2vvmの通気を行ったとは、毎分20リッターの
通気を行ったということを意味するものである。本発明
の発酵における通気工程の終点は、酵母による麦汁中の
アミノ酸消費速度がほぼゼロになるまでであり、又、酵
母に資化される麦汁中のアミノ酸の取り込みが実質的に
終了するまでであり、それまで連続的に通気を行なう。
その他の発酵条件については、通常発酵麦芽飲料の製造
において採用される条件を採用することが出来る。
高アルコール発酵麦芽飲料の製造に適用することができ
る。すなわち、本発明の方法は、高アルコール濃度の発
酵液の下でも、発酵を促進することが出来、しかも、香
味バランスのとれた発酵麦芽飲料を製造することが可能
である。
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。 実施例 高アルコールビールの発酵条件を用いて、ビールの発酵
を行った。麦汁(オリジナルエキス濃度(O.E.)2
2°P)を1リットルの発酵容器に入れ、圧搾酵母9.
5gを添加し、12℃で発酵を行った。酵母を添加後、
0.2〜2vvmの空気をそれぞれ所定時間通気し、以
下の調査を行った。
度=22°P)において、酵母添加直後の発酵時の通気
時間と発酵8日目糖度との関係を調査した。その結果、
通気時間と発酵能とには、直接的な関係はないが、短す
ぎる通気時間は発酵能が悪く、一方で長時間の通気はか
えって発酵性を悪くさせることが判明した。即ち、発酵
に際しては、通気により発酵を促進することができる
が、その通気には、適正な一定の通気時間が存在し、そ
の時間の通気を行うことによって初めて、発酵促進の効
果が得られることを見い出した(第1図)。因みに、適
正な一定の通気時間としては、8〜14時間の通気が、
最も高い糖消費を示すことを確認した。
について調査した。発酵液の分析結果より、通気時間と
しては、8〜14時間の通気の時間で最も低い500p
pm(500mg/l)の残存アミノ酸濃度を示し、そ
の後若干の残存アミノ酸濃度の増加が見られるものの低
いほぼ一定の値で推移することが判明した。その原因
は、通気時間の延長化により、酵母に取り込まれるアミ
ノ酸が消費尽くされて、枯渇した状態になってしまう事
にあることがわかった(第2図)。
度の関係について調査した。アルデヒドは、通気時間8
〜14時間が最も低い値を示すことが判明した。この時
間帯での通気が、細胞の発酵状態を良好にしていること
を示唆している(第3図)。
セテート濃度の関係について調査した。エステルは通気
時間の延長化に伴い低下し、通気時間8〜14時間を超
えると、かなりの低下が見られた(第4図)。
ルコール濃度の関係について調査した。アミルアルコー
ルは、8時間以上の通気で最大値に達し、その後一定と
なった(第5図)。
度の関係について調査した。中鎖脂肪酸濃度は、8時間
以上の通気でほぼ最低値まで低下し、その後一定の値で
推移した(第6図)。
ら、酵母を添加した直後の発酵液に、8〜14時間の通
気を行うことにより、発酵性が改善され、発酵の促進が
図られると共に、アルデヒド等のオフフレーバーも低減
され、香味のバランスのとれた発酵麦芽飲料が製造でき
ることが判明した。
せる発酵麦芽飲料の製造において、発酵タンクへ酵母を
添加した直後の発酵時に、8〜14時間程度の一定時間
の通気を行うことにより、発酵を促進し、尚且つ香味バ
ランスのとれた優れた香味の発酵麦芽飲料を製造するこ
とを可能にした。本発明の発酵麦芽飲料の製造方法は、
特に、発酵液中の高アルコール含量の故に発酵が抑制さ
れる高アルコール発酵麦芽飲料の製造に好適に適用する
ことができ、発酵時間の短縮を図ると共に、香味の優れ
た高アルコール発酵麦芽飲料の製造を可能とした。
の8日目の糖度の関係を示す図である。
の残存アミノ酸濃度の関係を示す図である。
のアルデヒド濃度の関係を示す図である。
のイソアミルアセテート濃度の関係を示す図である。
のイソアミルアルコールの関係を示す図である。
の中鎖脂肪酸濃度の関係を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 麦汁に酵母を添加して発酵させる発酵麦
芽飲料の製造において、発酵タンクへ酵母を添加した直
後の発酵時に、一定時間通気を行うことを特徴とする発
酵麦芽飲料の製造方法。 - 【請求項2】 通気を、酵母を添加後、10〜0.00
01vvmの空気を連続的に8〜14時間行なうことを
特徴とする請求項1記載の発酵麦芽飲料の製造方法。 - 【請求項3】 麦汁中の酵母によるアミノ酸消費速度が
ほぼゼロになるまで、連続的に通気を行なうことを特徴
とする請求項1記載の発酵麦芽飲料の製造方法。 - 【請求項4】 酵母に資化される麦汁中のアミノ酸の取
り込みが実質的に終了するまで、連続的に通気を行なう
ことを特徴とする請求項1記載の発酵麦芽飲料の製造方
法。 - 【請求項5】 発酵麦芽飲料が、高アルコールビールで
あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の発
酵麦芽飲料の製造方法。
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