JP6882879B2 - 発泡性飲料の製造方法及び発泡性飲料の泡特性を向上させる方法 - Google Patents

発泡性飲料の製造方法及び発泡性飲料の泡特性を向上させる方法 Download PDF

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Description

本発明は、発泡性飲料の製造方法及び発泡性飲料の泡特性を向上させる方法に関する。
特許文献1には、原麦汁エキス濃度が25〜32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及びビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法が記載されている。
特許文献2には、製麦、仕込み、醗酵、熟成の各工程を経るビールの製造方法において、醗酵工程が麦汁を通気攪拌させた状態で酵母を培養し醗酵させるものであるノンアルコールビールの製造方法が記載されている。
特許文献3には、麦汁に酵母を添加して発酵させる発酵麦芽飲料の製造において、発酵タンクへ酵母を添加した直後の発酵時に、一定時間通気を行う、発酵麦芽飲料の製造方法が記載されている。
特開2014−117258号公報 特開2004−222572号公報 特開2003−102458号公報
一方、本発明の発明者は、発泡性飲料の泡特性を向上させる技術的手段について検討を行った。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、泡特性が向上した発泡性飲料の製造方法及び発泡性飲料の泡特性を向上させる方法を提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性飲料の製造方法は、原料液に酵母を添加して調製された発酵液のアルコール発酵を行うことを含み、前記アルコール発酵中に前記発酵液へのガスの通気を行うことによって、前記ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて大きなNIBEM値を有する発泡性飲料を製造する方法である。本発明によれば、泡特性が効果的に向上した発泡性飲料の製造方法が提供される。
また、前記ガスの酸素含有量は、空気のそれより小さいこととしてもよい。また、前記アルコール発酵の全時間に対して30%以上の時間、前記ガスの通気を行うこととしてもよい。また、前記原料液への前記酵母の添加後1時間以上が経過した時点から、前記発酵液への前記ガスの通気を行うこととしてもよい。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る発泡性飲料の泡特性を向上させる方法は、発泡性飲料の泡特性を向上させる方法であって、原料液に酵母を添加して調製された発酵液のアルコール発酵を行うことを含む前記発泡性飲料の製造において、前記アルコール発酵中に前記発酵液へのガスの通気を行うことによって、前記発泡性飲料のNIBEM値を、前記ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて増加させる方法である。本発明によれば、発泡性飲料の泡特性を効果的に向上させる方法が提供される。
本発明によれば、泡特性が向上した発泡性飲料の製造方法及び発泡性飲料の泡特性を向上させる方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る実施例1において発泡性飲料を製造した結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例2において発泡性飲料を製造した結果を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る実施例3において発泡性飲料を製造した結果を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
本実施形態に係る方法(以下、本方法という。)の一側面は、原料液に酵母を添加して調製された発酵液のアルコール発酵を行うことを含み、当該アルコール発酵中に当該発酵液へのガスの通気を行うことによって、当該ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて大きなNIBEM値を有する発泡性飲料を製造する、発泡性飲料の製造方法である。
また、本方法の他の側面は、発泡性飲料の泡特性を向上させる方法であって、原料液に酵母を添加して調製された発酵液のアルコール発酵を行うことを含む当該発泡性飲料の製造において、当該アルコール発酵中に当該発酵液へのガスの通気を行うことによって、当該発泡性飲料のNIBEM値を、当該ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて増加させる、方法である。
本方法において、原料液は、炭素源及び窒素源を含む。炭素源は、炭素原子を含む化合物であって酵母が資化できるものであれば特に限られないが、例えば、酵母が資化できる糖類である。糖類は、例えば、グルコース、フルクトース、シュクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)及びマルトトリオースからなる群より選択される1種以上を含む。
窒素源は、窒素原子を含む化合物であって酵母が資化できるものであれば特に限られないが、例えば、アミノ酸及び/又はペプチドである。この場合、原料液は、アミノ酸及び/又はペプチドとして、タンパク質酵素分解物を含むこととしてもよい。タンパク質酵素分解物は、タンパク質をタンパク質分解酵素により分解することにより得られ、アミノ酸及び/又はペプチドを含む。
原料液は、植物原料を使用して調製されることとしてもよい。この場合、原料液は、植物原料由来成分を含む。植物原料由来成分は例えば、植物原料由来の炭素源及び窒素源である。
植物原料は、飲料の製造に使用される、植物由来の原料であれば特に限られないが、例えば、次の(i)、(ii)及び(iii)からなる群より選択される1以上を含むことが好ましい:(i)穀類(例えば、麦類、米類及びトウモロコシからなる群より選択される1以上)、豆類及びイモ類からなる群より選択される1以上;、(ii)当該群より選択される1以上を発芽させたもの;、及び(iii)当該(i)及び/又は当該(ii)に由来する成分。上記(i)及び/又は(ii)の植物原料を使用して調製された原料液は、当該(i)及び/又は(ii)の植物原料に由来する成分を含む。上記(iii)の植物原料を使用して調製された原料液は、当該(iii)の成分を含む。
麦類は、大麦、小麦、燕麦及びライ麦からなる群より選択される1以上であることが好ましい。麦類を発芽させたものは、麦芽と呼ばれる。麦芽は、大麦、小麦、燕麦及びライ麦からなる群より選択される1以上の麦芽であることが好ましい。
上記(iii)の成分は、上記(i)及び/又は(ii)の植物原料に由来する成分であれば特に限られないが、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖類、脂質、ビタミン及びミネラルからなる群より選択される1以上である。
原料液は、ホップを使用して調製されることとしてもよい。この場合、原料液は、ホップ由来成分を含む。ホップ由来成分は、例えば、ホップ由来の苦味成分及び/又は香気成分である。
ホップの形態は、特に限られないが、例えば、生ホップ、プレスホップ、ホップパウダー、ホップペレット、ホップエキス、イソ化ホップ、ローホップ、テトラホップ及びヘキサホップからなる群より選択される1以上であることが好ましい。
原料液は、ホップを含む植物原料を使用して調製されることとしてもよい。この場合、原料液は、上記(i)、(ii)及び(iii)からなる群より選択される1以上と、ホップとを使用して調製されることとしてもよい。
原料液は、原料を調合することにより調製される。すなわち、原料液が、植物原料を使用して調製される場合、当該原料液は、当該植物原料と水とを混合して調製される。原料液は、まず植物原料と水とを混合し、次いで、糖化を行って調製されることとしてもよい。
糖化は、植物原料と水とを混合して調製された混合液を、多糖類分解酵素及び/又はタンパク質分解酵素で処理することにより行う。多糖類分解酵素及び/又はタンパク質分解酵素は、植物原料(例えば、麦芽)に含まれる酵素であってもよいし、及び/又は、植物原料とは別に外的に添加される酵素であってもよい。糖化は、多糖類分解酵素及び/又はタンパク質分解酵素が働く温度(例えば、30℃以上、80℃以下)で行う。
原料液が、ホップを使用して調製される場合、当該原料液は、ホップと水とを含む混合液を煮沸して調製されることとしてもよい。原料液がホップを含む植物原料を使用して調製される場合、当該原料液は、まず当該植物原料と水とを混合して糖化を行い、その後、当該ホップを添加して煮沸することにより調製されることとしてもよい。
本方法は、上述のようにして原料液を調製することを含んでもよい。また、本方法は、原料液の調製を行うことは含まず、予め調製された原料液を用意し(例えば、予め調製された原料液を購入し)、当該用意された原料液を使用することとしてもよい。
アルコール発酵は、原料液に酵母を添加することにより開始する。すなわち、例えば、酵母を含まない原料液に、酵母を添加することにより、アルコール発酵を開始する。原料液に酵母を添加する方法は、当該原料液と当該酵母とを混合する方法であれば特に限られない。すなわち、例えば、容器(例えば、発酵タンク)にまず原料液を入れ、次いで酵母を入れもよいし、容器にまず酵母を入れ、次いで原料液を入れてもよいし、原料液と酵母とを同時に容器に入れてもよい。
アルコール発酵開始時の発酵液における酵母の密度は特に限られないが、例えば、1×10個/mL〜3×10個/mLであることが好ましい。酵母は、アルコール発酵を行う酵母であれば特に限られず、例えば、ビール酵母、ワイン酵母、焼酎酵母及び清酒酵母からなる群より選択される1以上であることが好ましい。
アルコール発酵の条件は、発酵液中において酵母によるアルコール発酵が行われる条件であれば特に限られないが、例えば、当該発酵液を0℃以上、40℃以下の範囲内の温度で、1日以上、14日以下の時間維持することにより行う。
ここで、本方法において特徴的なことの一つは、アルコール発酵中に発酵液へのガスの通気を行うことによって、当該ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて大きなNIBEM値を有する発泡性飲料を製造することである。
すなわち、本発明の発明者は、発泡性飲料の泡特性を向上させる技術的手段について鋭意検討を重ねた結果、意外にも、アルコール発酵中に発酵液へのガスの通気を行うことによって発泡性飲料の泡特性が効果的に向上するという独自の知見を得て、本発明を完成するに至った。
具体的に、例えば、本方法によって、そのNIBEM値が、ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料のそれより5秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは15秒以上、特に好ましくは20秒以上、大きな発泡性飲料が得られる。
NIBEM値は、発泡性飲料を所定の容器に注いだ際に形成された泡の高さが所定量減少するまでの時間(秒)として評価される。具体的に、発泡性飲料のNIBEM値は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.29 泡−NIBEM−Tを用いた泡持ち測定法−」に記載の方法により測定される。
発酵液へのガスの通気は、当該発酵液中に当該ガスを吹き込むことによって行う。すなわち、発酵液へのガスの通気は、当該発酵液中に当該ガスの泡が形成されるよう、当該発酵液中に当該ガスを吹き込むことにより行う。
具体的に、例えば、配管が接続された容器(例えば、発酵タンク)内でアルコール発酵を行う場合、当該アルコール発酵中に、当該容器内の発酵液、及び/又は当該配管内の原料液又は発酵液にガスを吹き込むことにより、当該容器内の発酵液への当該ガスの通気を行う。
より具体的に、原料液を収容する第一の容器と配管を介して接続された第二の容器(例えば、発酵タンク)内でアルコール発酵を行う場合、当該第二の容器内におけるアルコール発酵中に、当該第二の容器内の発酵液、及び/又は当該配管内の原料液又は発酵液にガスを吹き込むことにより、当該第二の容器内の発酵液への当該ガスの通気を行うことしてもよい。
また、原料液を収容する第一の容器と配管を介して接続された第二の容器内でアルコール発酵を行う場合、本方法における発酵液へのガスの通気は、当該第一の容器から当該第二の容器に移送される当該配管内の原料液へのガスの吹き込みを含まないことしてもよい。
すなわち、この場合、第二の容器内におけるアルコール発酵中に、当該第二の容器内の発酵液、及び/又は当該第二の容器に接続された配管内の発酵液にガスを吹き込むことにより、当該第二の容器内の発酵液への当該ガスの通気を行う。
また、アルコール発酵を行う容器内に形成された開口(例えば、当該容器に接続された配管の開口)から当該容器内の発酵液にガスを吹き込むことにより、当該発酵液への当該ガスの通気を行うことが好ましい。
この場合、例えば、配管が接続された容器内におけるアルコール発酵中に、ガスで満たされた当該配管(すなわち、原料液及び発酵液を含まない当該配管)の当該容器内の開口から、当該容器内の発酵液にガスを吹き込むことにより、当該発酵液への当該ガスの通気を行うこととしてもよい。
容器内において発酵液にガスを吹き込む位置は、当該容器内における発酵液の気液界面より下方の位置であれば特に限られないが、例えば、当該発酵液の高さの気液界面から3分の1より下方の位置から当該ガスを吹き込むことが好ましく、当該発酵液の高さの半分より下方の位置から当該ガスを吹き込むことがより好ましく、当該気液界面から3分の2より下方の位置(例えば、発酵タンクの底部)から当該ガスを吹き込むことが特に好ましい。
発酵液に通気するガスは、本発明による効果が得られるものであれば特に限られないが、例えば、空気、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス及びアルゴンガスからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。なお、本方法において、2以上のガスを使用する場合、当該2以上のガスの各々を単独で使用してもよいし、及び/又は当該2以上のガスの混合ガスを使用してもよい。
また、通気に使用するガスの酸素含有量は、空気のそれより小さいこととしてもよい。この場合、例えば、ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて大きなNIBEM値を有し、且つガスの酸素含有量が空気のそれ以上である以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて好ましい香味を有する発泡性飲料が得られる。
すなわち、例えば、ガスの酸素含有量が空気のそれ以上である以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて、酢酸エチル及び/又は酢酸イソアミルの含有量が大きい発泡性飲料が得られる。また、例えば、ガスの酸素含有量が空気のそれ以上である以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて、n−プロピルアルコールの含有量が小さい、発泡性飲料が得られる。
酸素含有量が空気のそれより小さいガスは特に限られないが、例えば、窒素ガス、炭酸ガス及びアルゴンガスからなる群より選択される1以上のガスであってもよいし、空気及び酸素ガスからなる群より選択される1以上のガスと、窒素ガス、炭酸ガス及びアルゴンガスからなる群より選択される1以上のガスとの混合ガスであってもよい。
ガスの酸素含有量は、例えば、20体積%以下であることとしてもよく、15体積%以下であることが好ましく、10体積%以下であることがより好ましく、5体積%以下であることがより一層好ましく、1体積%以下であることが特に好ましい。
また、アルコール発酵の全時間に対して30%以上の時間、ガスの通気を行うこととしてもよい。すなわち、この場合、アルコール発酵の開始から当該アルコール発酵の終了までの時間(アルコール発酵の全時間)に対する、発酵液へのガスの通気を行う時間の割合は、30%以上である。
なお、発酵液へのガスの通気は、アルコール発酵中、中断することなく連続的に行うこととしてもよいし、アルコール発酵中、1回以上の中断を含んで間欠的に複数回行うこととしてもよい。アルコール発酵中、複数回のガスの通気を行う場合、上記割合は、当該アルコール発酵の全時間に対する、当該複数のガスの通気時間の合計の割合である。
アルコール発酵の全時間に対する、発酵液へのガスの通気を行う時間の割合は、35%以上であってもよく、40%以上であってもよく、45%以上であってもよく、50%以上であってもよい。
アルコール発酵の全時間に対する、発酵液へのガスの通気を行う時間の割合が、上記いずれかの閾値(30%、35%、40%、45%又は50%)以上であることにより、発泡性飲料のNIBEM値がより効果的に増加する。
また、原料液への酵母の添加後1時間以上が経過した時点から、発酵液へのガスの通気を行うこととしてもよい。すなわち、この場合、添加すべき酵母の全量を原料液に添加してアルコール発酵を開始した後、1時間以上の時間が経過した時点から、発酵液へのガスの通気を開始する。したがって、この場合、原料液への酵母の添加後1時間が経過する前は発酵液へのガスの通気は行わない。
発酵液へのガスの通気を開始する時間は、原料液への酵母の添加後、2時間以上が経過した時点であってもよいし、3時間以上が経過した時点であってもよいし、4時間以上が経過した時点であってもよいし、5時間以上が経過した時点であってもよい。
原料液への酵母の添加後、上記いずれかの閾値(1時間、2時間、3時間、4時間又は5時間)以上の時間が経過した時点から発酵液へのガスの通気を行うことにより、当該酵母の添加時から当該ガスの通気を行う場合に比べて、より好ましい香味を有する発泡性飲料が得られる。また、酵母の添加時からガスの通気を行う場合に比べて、発酵液の気液界面に過剰量の泡が形成されることが効果的に抑制される。
発酵液へのガスの通気は、原料液への酵母の添加後72時間が経過する前に開始することとしてもよい。この場合、原料液への酵母の添加後、70時間が経過する前、60時間が経過する前、又は50時間が経過する前に、発酵液へのガスの通気を開始することとしてもよい。
原料液への酵母の添加後、上記いずれかの閾値(72時間、70時間、60時間又は50時間)の時間が経過する前に発酵液へのガスの通気を開始することにより、発泡性飲料のNIBEM値がより効果的に増加する。
発酵液へのガスの通気は、原料液への酵母の添加後、上記いずれかの下限閾値(1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上又は5時間)以上の時間が経過し、且つ上記いずれかの上限閾値(72時間、70時間、60時間又は50時間)の時間が経過する前の時点から開始してもよい。これらガスの通気の開始時間に関する下限値と上限値とは任意に組み合わされる。
発酵液へのガスの通気は、原料液への酵母の添加後、アルコール発酵の全時間に対して75%の時間が経過する前(例えば、アルコール発酵の全時間が96時間である場合には、原料液への酵母の添加後72時間が経過する前)に開始することとしてもよい。
この場合、原料液への酵母の添加後、当該アルコール発酵の全時間に対して70%の時間が経過する前、65%の時間が経過する前、60%の時間が経過する前、又は55%の時間が経過する前に、発酵液へのガスの通気を開始することとしてもよい。
原料液への酵母の添加後、アルコール発酵の全時間に対して上記いずれかの割合(75%、65%、60%又は55%)の時間が経過する前に発酵液へのガスの通気を開始することにより、発泡性飲料のNIBEM値がより効果的に増加する。
発酵液へのガスの通気は、原料液への酵母の添加後、上記いずれかの下限閾値(1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上又は5時間以上)の時間が経過し、且つアルコール発酵の全時間に対して上記いずれかの割合(75%、70%、65%、60%又は55%)の時間が経過する前の時点から開始してもよい。これらガスの通気の開始時間に関する下限値と上限値とは任意に組み合わされる。
なお、本方法において、「アルコール発酵」は、ビール等の発泡性アルコール飲料の製造における主発酵又は前発酵に相当する。すなわち、一般的なビールの製造においては、酵母を含まない麦汁(本方法における原料液に相当)に、酵母を添加して主発酵(前発酵ということもある。)を開始し、当該主発酵の後、当該酵母の少なくとも一部を除去して、熟成(貯酒又は後発酵ということもある。)を行う。この点、本方法において、「アルコール発酵」は、上記主発酵と同様、酵母を含まない原料液に、酵母を添加することにより開始する。熟成においても、発酵液中に残存した酵母によってアルコールが生成されることがあるが、本方法における「アルコール発酵」は、あくまでも上述のとおり、主発酵に相当するアルコール発酵である。
本方法においては、アルコール発酵を行った後、熟成を行うこととしてもよいし、熟成は行わないこととしてもよい。熟成を行う場合、アルコール発酵を第一の容器(例えば、発酵タンク)で行い、その後、当該熟成を当該第一の容器とは別の第二の容器(例えば、貯酒タンク)で行うこととしてもよい。すなわち、この場合、第一の容器でアルコール発酵を行い、その後、発酵液を当該第一の容器から第二の容器に移送して、当該第二の容器で熟成を行う。また、アルコール発酵及び熟成を一つの容器で行うこととしてもよい。
本方法においては、熟成を行う場合であっても、当該熟成前のアルコール発酵中の発酵液へのガスの通気を行う。熟成中の発酵液へのガスの通気は行ってもよいし、行わなくてもよい。熟成中にガスの通気を行う場合、当該ガスは、アルコール発酵中に通気したガスと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本方法において、アルコール発酵の終了時点は、例えば、原料液に酵母を添加した後、当該アルコール発酵中の発酵液の仮性エキス(%)と、別途測定される仮性最終非発酵エキス(%)との差が3に到達した時点であることとしてもよく、2に到達した時点であってもよく、1に到達した時点であってもよい。
仮性最終非発酵エキスは、原料液(例えば、麦汁)に酵母を添加して、資化可能なエキスが全て消費された後に測定される仮性エキスである。仮性エキスは、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「7.2 エキス」に記載の方法により測定される。
また、本方法において、例えば、アルコール発酵を第一の容器(例えば、発酵タンク)で行い、その後、熟成を当該第一の容器とは別の第二の容器(例えば、貯酒タンク)で行う場合、当該アルコール発酵の終了時点は、当該発酵液を、当該第一の容器から当該第二の容器に移送するために、当該第一の容器から取り出した時点(いわゆる「下し」の時点)であることとしてもよい。
アルコール発酵を終了する時点の発酵液のアルコール含有量は、例えば、1.0体積%以上であることとしてもよく、2.0体積%以上であることとしてもよく、3.0体積%以上であることとしてもよい。また、アルコール発酵を終了する時点の発酵液のアルコール含有量は、例えば、10.0体積%以下であることとしてもよく、8.0体積%以下であることとしてもよく、7.0体積%以下であることとしてもよく、6.0体積%以下であることとしてもよい。アルコール発酵を終了する時点の発酵液のアルコール含有量については、上記いずれかの下限閾値と、上記いずれかの上限閾値とを、任意に組み合わせることとしてもよい。
アルコール発酵においては、撹拌装置(例えば、それ自体が回転することによって発酵液を撹拌するために設けられた撹拌翼を有する装置)による発酵液の撹拌は行わないこととしてもよい。
アルコール発酵を行う容器の容量は、特に限られないが、1kL以上であってもよく、5kL以上であってもよく、10kL以上であってもよく、50kL以上であってもよく、100kL以上であってもよい。
また、本方法において、原料液に酵母を添加して調製される発酵液の体積は、1kL以上であってもよく、5kL以上であってもよく、10kL以上であってもよく、50kL以上であってもよく、100kL以上であってもよい。
本方法においては、アルコール発酵後の発酵液を使用して、発泡性飲料を製造する。すなわち、例えば、アルコール発酵後の発酵液(アルコール発酵後に熟成を行う場合には、当該熟成後の発酵液)に所定の処理を施して、発泡性飲料を得る。
所定の処理は、発酵液から最終的な発泡性飲料を得るための処理であれば特に限られないが、例えば、アルコール発酵後の発酵液に含まれる不溶成分(例えば、酵母、凝固タンパク質、ホップ樹脂及び雑菌からなる群より選択される1以上)を除去するための処理、及び/又は、殺菌及び/又は除菌のための処理であることとしてもよい。
不溶成分を除去するための処理は、例えば、ろ過(例えば、珪藻土ろ過)処理及び/又は遠心分離処理である。殺菌及び/又は除菌のための処理は、例えば、加熱処理及び/又はろ過(例えば、精密ろ過)処理である。
本方法において得られる発泡性飲料は、泡立ち特性及び泡持ち特性を含む泡特性を有する飲料である。すなわち、発泡性飲料は、例えば、炭酸ガスを含有する飲料であって、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料であることが好ましい。
発泡性飲料の炭酸ガス圧は、1.0kg/cm以上であることとしてもよく、2.0kg/cm以上であることとしてもよい。発泡性飲料の炭酸ガス圧の上限値は、特に限られないが、当該炭酸ガス圧は、3.0kg/cm以下であることとしてもよい。また、発泡性飲料のNIBEM値は、50秒以上であることとしてもよい。
発泡性飲料は、ビールテイスト飲料であることとしてもよい。本実施形態において、ビールテイスト飲料は、ビール様の香味を有する発泡性飲料である。すなわち、ビールテイスト飲料は、例えば、ビール、発泡酒、又は、発泡酒とアルコール成分(例えば、スピリッツ)とを含有する発泡性飲料であることとしてもよいが、アルコール含有量、麦芽の使用の有無、及びアルコール発酵の有無に関わらず、ビール様の香味を有する発泡性飲料であれば特に限られない。ビールテイスト飲料は、発泡性アルコール飲料であってもよいし、発泡性ノンアルコール飲料であってもよい。
本実施形態において、発泡性アルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%以上(アルコール分1度以上)の発泡性飲料である。発泡性アルコール飲料のアルコール含有量は、1体積%以上であれば特に限られないが、例えば、1体積%以上、20体積%以下であってもよい。発泡性アルコール飲料は、ビール、発泡酒、又は、発泡酒とスピリッツ等のアルコール成分とを含有する発泡性飲料からなる群より選択される発泡性アルコール飲料であってもよい。
本実施形態において、発泡性ノンアルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%未満の発泡性飲料である。発泡性ノンアルコール飲料のアルコール含有量は、1体積%未満であれば特に限られないが、例えば、0.5体積%未満であってもよく、0.05体積%未満であってもよく、0.005体積%未満であってもよい。本方法においては、アルコール発酵後の発酵液に、アルコール含有量を低減する処理を施して、発泡性ノンアルコール飲料を製造することとしてもよい。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
まず、麦芽及びホップを含む原料を使用して原料液を調製した。具体的に、大麦麦芽と水とを混合して得られた混合液の糖化を行った。さらに、糖化後の混合液にホップを添加して煮沸を行った。煮沸後の混合液を冷却して原料液(いわゆる麦汁)を得た。
次いで、容器(具体的には、EBC発酵管)内で原料液にビール酵母を添加することにより、アルコール発酵を開始した。そして、アルコール発酵中、ポンプを使用して、容器の下部に接続された配管の先端から当該容器内の発酵液中にガスを吹き込むことにより、当該発酵液へのガス(空気)の通気を行った(ガス流量の設定値:12.2mL/分)。
例1−1では、原料液に酵母を添加した時点(アルコール発酵を開始した時点)から、アルコール発酵が終了する時点まで、アルコール発酵の全時間を通じて、発酵液へのガスの通気を行った。アルコール発酵の全時間は3日であった。すなわち、例1−1では、アルコール発酵の全時間に対して100%の時間、ガスの通気を行った。
例1−2では、原料液に酵母を添加した時点から発酵液へのガスの通気を開始し、当該酵母の添加後2日の時点で当該ガスの通気を停止し、その後は、アルコール発酵が終了する時点まで当該ガスの通気は行わなかった。アルコール発酵の全時間は3日であった。すなわち、例1−2では、アルコール発酵の全時間に対して67%の時間、ガスの通気を行った。
例1−3では、原料液に酵母を添加した後2日が経過した時点から発酵液へのガスの通気を開始し、その後、アルコール発酵が終了する時点まで当該ガスの通気を行った。アルコール発酵の全時間は4日であった。すなわち、例1−3では、アルコール発酵の全時間に対して50%の時間、ガスの通気を行った。
例1−4では、原料液に酵母を添加した後3日が経過した時点から発酵液へのガスの通気を開始し、その後、アルコール発酵が終了する時点まで当該ガスの通気を行った。アルコール発酵の全時間は4日であった。すなわち、例1−4では、アルコール発酵の全時間に対して25%の時間、ガスの通気を行った。
アルコール発酵後には、さらに熟成を行った。そして、熟成後の発酵液を遠心分離し、さらにカーボネーションタンクを用いてガス付けを行った。こうして、発泡性飲料として、アルコール含有量が5.6体積%〜5.7体積%の発泡性アルコール飲料(ビール)を得た。
一方、例1−Cでは、ガスの通気を行わない以外は同一の条件にて、アルコール含有量が5.6体積%の発泡性アルコール飲料(ビール)を得た。例1−Cにおけるアルコール発酵の全時間は5日であった。
各例において得られた発泡性飲料のNIBEM値及び香味成分含有量を測定した。NIBEM値は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.29 泡−NIBEM−Tを用いた泡持ち測定法−」に記載の方法により測定した。香味成分の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。
図1には、各例における発酵条件とともに、発泡性飲料の特性を評価した結果示す。アルコール発酵の全時間は、例1−Cにおいて5日であったのに対し、例1−1及び例1−2では3日、例1−3及び例1−4では4日であった。すなわち、発酵液へのガスの通気を行うことにより、当該発酵液に含まれるエキスの酵母による消費が促進され、アルコール発酵の全時間が短縮された。
例1−1〜例1−4において得られた発泡性飲料のNIBEM値は、例1−Cのそれより10秒〜39秒大きかった。すなわち、発酵液へのガスの通気により、発泡性飲料のNIBEM値が増加した。
また、例1−1〜例1−3で得られた発泡性飲料のNIBEM値は、例1−Cのそれより31秒〜39秒大きかった。特に、例1−1及び例1−3で得られた発泡性飲料のNIBEM値は、例1−Cのそれより39秒大きかった。一方、例1−4で得られた発泡性飲料のNIBEM値は、例1−1〜例1−3のそれに比べると、例1−Cに対する増加の程度は小さかった。
したがって、アルコール発酵の初期におけるガスの通気よりも、当該アルコール発酵の中期におけるガスの通気の方が、NIBEM値を増加させる上で効果的と考えられた。また、NIBEM値を効果的に増加させるためには、アルコール発酵の後期より前にガスの通気を開始すること、及び/又はアルコール発酵の全時間に対するガスの通気時間の割合が所定値より大きいことが好ましいと考えられた。
例1−1〜例1−4で得られた発泡性飲料において、好ましくない香味をもたらすアセトアルデヒドの含有量は、例1−Cのそれより低下した。すなわち、発酵液へのガスの通気により、発泡性飲料のアセトアルデヒドの含有量が低減された。
また、例1−1〜例1−4で得られた発泡性飲料において、酢酸エチル、酢酸イソアミル及びカプロン酸エチルの含有量は、例1−Cのそれより低下したが、例1−3及び例1−4では、例1−1及び例1−2に比べて、当該低下が抑制された。また、例1−1〜例1−4で得られた発泡性飲料において、n−プロピルアルコールの含有量は、例1−Cのそれより増加したが、例1−3及び例1−4では、例1−1及び例1−2に比べて、当該増加が抑制された。すなわち、アルコール発酵の初期におけるガスの通気よりも、当該アルコール発酵の中期におけるガスの通気の方が、発泡性飲料の香味の点で好ましいと考えられた。
なお、図1に数値は示していないが、各例において、発酵液の苦味価(BU)を測定したところ、例1−1〜例1−4における発酵液のBUは、例1−Cのそれより大きかった。すなわち、発酵液へのガスの通気により、ホップから発酵液への苦味成分の移行が促進された。また、例1−3及び例1−4における発酵液のBUは、例1−2のそれより大きかった。
一部の例でガスの通気時間を変更した点以外は上述の実施例1と同様にして、原料液の調製、アルコール発酵、及び発酵液へのガスの通気を行い、発泡性飲料として、アルコール含有量が5.6体積%〜5.7体積%の発泡性アルコール飲料(ビール)を得た。
例2−1では、原料液に酵母を添加した時点から、アルコール発酵が終了する時点までの全時間を通じて、発酵液へのガスの通気を行った。アルコール発酵の全時間は3日であった。すなわち、例2−1では、アルコール発酵の全時間に対して100%の時間、ガスの通気を行った。
例2−2では、原料液に酵母を添加した後5時間が経過した時点から発酵液へのガスの通気を開始し、その後、アルコール発酵が終了する時点まで当該ガスの通気を行った。アルコール発酵の全時間は3日であった。すなわち、例2−2では、アルコール発酵の全時間に対して93%の時間、ガスの通気を行った。
例2−3では、原料液に酵母を添加した後9時間が経過した時点から発酵液へのガスの通気を開始し、その後、アルコール発酵が終了する時点まで当該ガスの通気を行った。アルコール発酵の全時間は3日であった。すなわち、例2−3では、アルコール発酵の全時間に対して88%の時間、ガスの通気を行った。
一方、例2−Cでは、ガスの通気を行わなかった。例2−Cにおけるアルコール発酵の全時間は6日であった。
各例において、上述の実施例1と同様に、発泡性飲料のNIBEM値及び香味成分の含有量を測定した。また、アルコール発酵の3日目に、発酵液中の浮遊酵母数を測定した。
図2には、各例における発酵条件とともに、発泡性飲料の特性を評価した結果示す。アルコール発酵の全時間は、例2−Cにおいて6日であったのに対し、例2−1〜例2−3では3日であった。すなわち、発酵液へのガスの通気を行うことにより、当該発酵液に含まれるエキスの酵母による消費が促進され、アルコール発酵の全時間が短縮された。
例2−1〜例2−3において得られた発泡性飲料のNIBEM値は、例2−Cのそれより53秒〜58秒大きかった。すなわち、発酵液へのガスの通気により、発泡性飲料のNIBEM値が増加した。また、例2−2及び例2−3で得られた発泡性飲料のNIBEM値は、例2−1のそれよりも大きかった。
例2−1〜例2−3で得られた発泡性飲料において、好ましくない香味をもたらすアセトアルデヒドの含有量は、例2−Cのそれより低下した。すなわち、発酵液へのガスの通気により、発泡性飲料のアセトアルデヒドの含有量が低減された。
また、例2−2及び例2−3においては、アセトアルデヒドの含有量が、例2−1に比べて低減された。さらに、例2−1〜例2−3で得られた発泡性飲料において、n−プロピルアルコールの含有量は、例2−Cのそれより増加したが、例2−2及び例2−3では、例2−1に比べて、当該増加が抑制された。すなわち、原料液への酵母の添加後、所定時間が経過した時点からガスの通気を開始することが、発泡性飲料の香味の点で好ましいと考えられた。
例2−1〜例2−3において、アルコール発酵3日目の発酵液中の浮遊酵母数は、例2−Cより大きかった。すなわち、発酵液へのガスの通気により、発酵液における酵母の増殖が促進された。
なお、図2に数値は示していないが、各例において、発酵液の苦味価(BU)を測定したところ、例2−1〜例2−3における発酵液のBUは、例2−Cのそれより大きかった。すなわち、発酵液へのガスの通気により、ホップから発酵液への苦味成分の移行が促進された。また、例2−2及び例2−3における発酵液のBUは、例2−1のそれより大きかった。
一部の例でガスの種類及び流量を変更した点以外は上述の実施例1と同様にして、原料液の調製、アルコール発酵、及び発酵液へのガスの通気を行い、発泡性飲料として、アルコール含有量が5.6体積%〜5.8体積%の発泡性アルコール飲料(ビール)を得た。
例3−1−1及び例3−1−2では、原料液に酵母を添加した時点から、アルコール発酵が終了する時点までの全時間を通じて、ガス(酸素:純度99.9体積%以上)の通気を行った。ガスの流量の設定値は、例3−1−1で12.2mL/分、例3−1−2で6.1mL/分であった。アルコール発酵の全時間は4日であった。
例3−2−1及び例3−2−2では、原料液に酵母を添加した時点から、アルコール発酵が終了する時点までの全時間を通じて、ガス(窒素:純度99.9体積%以上)の通気を行った。ガスの流量の設定値は、例3−2−1で12.2mL/分、例3−2−2で6.1mL/分であった。アルコール発酵の全時間は4日であった。
例3−3−1及び例3−3−2では、原料液に酵母を添加した時点から、アルコール発酵が終了する時点までの全時間を通じて、ガス(空気)の通気を行った。ガスの流量の設定値は、例3−3−1で12.2mL/分、例3−3−2で6.1mL/分であった。アルコール発酵の全時間は4日であった。
一方、例3−Cでは、ガスの通気を行わなかった。例3−Cにおけるアルコール発酵の全時間は7日であった。
各例において、上述の実施例2と同様に、アルコール発酵2日目の発酵液中の浮遊酵母数、熟成後ろ過前の発酵液の苦味価(BU)、発泡性飲料のNIBEM値及び香味成分の含有量を測定した。
図3には、各例における発酵条件とともに、発泡性飲料の特性を評価した結果示す。アルコール発酵の全時間は、例3−Cにおいて7日であったのに対し、他の例では4日であった。すなわち、発酵液へのガスの通気を行うことにより、当該発酵液に含まれるエキスの酵母による消費が促進され、アルコール発酵の全時間が短縮された。
例3−C以外の例において得られた発泡性飲料のNIBEM値は、当該例3−Cのそれより62秒〜92秒大きかった。すなわち、発酵液へのガスの通気により、発泡性飲料のNIBEM値が増加した。
例3−C以外の例で得られた発泡性飲料において、好ましくない香味をもたらすアセトアルデヒドの含有量は、当該例3−Cのそれより低下した。すなわち、発酵液へのガスの通気により、発泡性飲料のアセトアルデヒドの含有量が低減された。
例3−C以外の例で得られた発泡性飲料において、n−プロピルアルコールの含有量は、当該例3−Cのそれより増加したが、例3−2−1及び例3−2−2では、その増加の程度が、例3−1−1、例3−1−2、例3−3−1及び例3−3−2に比べて抑制された。
また、例3−1−1、例3−1−2、例3−3−1及び例3−3−2で得られた発泡性飲料において、酢酸エチル及び酢酸イソアミルの含有量は、例3−Cのそれより低下したが、例3−2−1及び例3−2−2では、当該酢酸エチル及び酢酸イソアミルの含有量が、例3−Cのそれより増加した。
さらに、例3−1−1、例3−1−2、例3−3−1及び例3−3−2で得られた発泡性飲料において、カプロン酸エチルの含有量は、例3−Cのそれより低下したが、例3−2−1及び例3−2−2では、当該カプロン酸エチルの含有量が、例3−Cのそれと同等であった。
すなわち、窒素ガスを通気することにより、空気及び酸素を通気する場合に比べて、好ましい香味を有する発泡性飲料が得られた。
例3−C以外の例において、アルコール発酵2日目の発酵液中の浮遊酵母数は、当該例3−Cより大きかった。すなわち、発酵液へのガスの通気により、発酵液における酵母の増殖が促進された。
また、例3−2−1及び例3−2−2において、アルコール発酵2日目の発酵液中の浮遊酵母数は、例3−1−1、例3−1−2、例3−3−1及び例3−3−2のそれより小さかった。すなわち、窒素ガスを通気することにより、空気及び酸素を通気する場合に比べて、酵母の過剰な増殖が抑制された。
なお、図3に数値は示していないが、各例において、発酵液の苦味価(BU)を測定したところ、例3−C以外の例における発酵液のBUは、当該例3−Cのそれより大きかった。すなわち、発酵液へのガスの通気により、ホップから発酵液への苦味成分の移行が促進された。また、例3−2−1及び例3−2−2における発酵液のBUは、例3−1−1、例3−1−2、例3−3−1及び例3−3−2のそれより大きかった。

Claims (4)

  1. 原料液に酵母を添加して調製された発酵液のアルコール発酵を行うことを含み、
    前記アルコール発酵中に前記発酵液へのガスの通気を行うことによって、前記ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて大きなNIBEM値を有する発泡性飲料を製造する方法であって、
    前記ガスは、空気及び酸素ガスからなる群より選択される1以上であり、
    前記アルコール発酵の全時間に対して50%以上の時間、前記ガスの通気を行う、
    発泡性飲料の製造方法。
  2. 原料液に酵母を添加して調製された発酵液のアルコール発酵を行うことを含み、
    前記アルコール発酵中に前記発酵液へのガスの通気を行うことによって、前記ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて大きなNIBEM値を有する発泡性飲料を製造する方法であって、
    前記ガスは、窒素ガス、炭酸ガス及びアルゴンガスからなる群より選択される1以上であり、
    前記原料液への前記酵母の添加後50時間が経過する前に前記ガスの通気を開始し、前記アルコール発酵の全時間に対して50%以上の時間、前記ガスの通気を行う、
    発泡性飲料の製造方法。
  3. 前記原料液への前記酵母の添加後1時間以上が経過した時点から、前記発酵液への前記ガスの通気を行う、請求項1又は2に記載の発泡性飲料の製造方法。
  4. 発泡性飲料の泡特性を向上させる方法であって、
    原料液に酵母を添加して調製された発酵液のアルコール発酵を行うことを含む前記発泡性飲料の製造において、前記アルコール発酵中に前記発酵液へのガスの通気を行うことによって、前記発泡性飲料のNIBEM値を、前記ガスの通気を行わない以外は同一の条件で製造される発泡性飲料に比べて増加させる、方法。
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