JP6604761B2 - 飲料に関する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料及びこれに関する方法に関し、特に、アルコール発酵を行うことを含む方法に関する。
ビールやビールテイスト飲料の製造においては、ホップに由来する苦味成分を効率よく飲料に移行させることが好ましい。この点、従来、ホップが添加された麦汁を煮沸する際の当該麦汁のpHを高めることにより、当該ホップに由来する苦味成分の移行率を向上させる方法があった(例えば、非特許文献1)。
なお、特許文献1には、コーングリッツを原料として発酵前液を調製し、当該発酵前液を発酵させることを含む発泡性アルコール飲料を製造する方法において、当該発酵が加圧発酵法によって行われること、及び発酵開始24時間後から窒素ガス充填により加圧を開始し、0.08MPaで7日間発酵することで、当該飲料のプリン体濃度が低減されたことが記載されている。
特開2014−117205号公報
宮地秀夫,ビール醸造技術,株式会社食品産業新聞社,1999年,p.263
しかしながら、上記非特許文献1には、ホップが添加された麦汁の煮沸に関し、当該麦汁のpHが高いと苦味質の溶出は良いが、苦味が残り良質の苦味とならないと記載されている。すなわち、上記従来の方法においては、苦味成分の移行率は向上するものの、飲料の香味が損なわれることとなっていた。また、上記特許文献1には、発酵期間を通じて常時加圧する方法が記載されているに過ぎず、苦味成分の移行率については何ら記載されていない。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、香味を損なうことなく苦味成分の移行率を向上させた飲料及びこれに関する方法を提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る飲料の製造方法は、ホップを使用して調製された発酵液のアルコール発酵を容器内で行うことを含む飲料の製造方法であって、前記アルコール発酵中に、前記容器の空寸部の加圧と、その後の前記加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行うことをさらに含むことを特徴とする。本発明によれば、香味を損なうことなく苦味成分の移行率を向上させた飲料の製造方法が提供される。
また、前記アルコール発酵の時間に占める前記加圧の時間の合計の割合が、1%以上、50%以下であることとしてもよい。また、1回の前記圧力操作における前記加圧の時間が、720分以下であることとしてもよい。また、前記加圧は、前記容器外からのガスによる加圧であることとしてもよい。また、前記加圧は、ゲージ圧で20kPa以上、250kPa以下の加圧であることとしてもよい。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る方法は、ホップを使用して調製された発酵液のアルコール発酵を容器内で行うことを含む飲料の製造方法において、前記アルコール発酵中に、前記容器内の空寸部の加圧と、その後の前記加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行うことにより、前記複数の圧力操作を行わない場合に比べて、前記飲料の香味を損なうことなく苦味価の移行率を向上させることを特徴とする。本発明によれば、飲料の香味を損なうことなく苦味成分の移行率を向上させる方法が提供される。
本発明によれば、香味を損なうことなく苦味成分の移行率を向上させた飲料及びこれに関する方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る圧力操作による効果を評価した結果の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る圧力操作による効果を評価した結果の他の例を示す説明図である。 参考例において、従来の加圧発酵法を評価した結果を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
本実施形態に係る飲料の製造方法(以下、「本方法」という。)は、ホップを使用して調製された発酵液のアルコール発酵を容器内で行うことを含む飲料の製造方法であって、当該アルコール発酵中に、当該容器の空寸部の加圧と、その後の当該加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行うことをさらに含む。
本方法においては、ホップを使用して調製された発酵液を使用し、当該発酵液のアルコール発酵を容器内で行う。発酵液は、ホップを使用して調製された発酵前液と、酵母とを混合することにより調製される。したがって、発酵液はホップ由来成分と酵母とを含む。
ホップは、ビール等の飲料の製造に使用されるものであれば特に限られず、例えば、生ホップ、プレスホップ、ホップパウダー、ホップペレット、ホップエキス、イソ化ホップ、ローホップ、テトラホップ及びヘキサホップからなる群より選択される1種以上が好ましく使用される。プレスホップは、乾燥させたホップの球果を圧縮して得られる。ホップパウダーは、乾燥させたホップの球果を粉砕して得られる。ホップペレットは、ホップパウダーをペレット状に圧縮成形して得られる。ホップエキスは、ホップを抽出して得られる。より具体的に、ホップエキスは、例えば、ホップをエタノール又は炭酸ガスで抽出して得られる。
発酵前液は、ホップを含む原料と水とを混合することにより調製される。したがって、発酵前液は、ホップ由来成分を含む。ホップ由来成分は、例えば、ホップに由来する苦味成分である。また、発酵前液は、酵母が資化できる炭素源及び窒素源を含む。
炭素源は、炭素原子を含む化合物であって酵母が資化できるものであれば特に限られず、例えば、酵母が資化できる糖類である。糖類は、例えば、グルコース、フルクトース、シュクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)及びマルトトリオースからなる群より選択される1種以上である。
窒素源は、窒素原子を含む化合物であって酵母が資化できるものであれば特に限られず、例えば、アミノ酸及び/又はペプチドである。窒素源は、例えば、タンパク質酵素分解物であってもよい。タンパク質酵素分解物は、タンパク質をタンパク質分解酵素により分解することにより調製された、アミノ酸及び/又はペプチドを含む組成物である。
発酵前液は、ホップと、当該ホップ以外の植物原料とを使用して調製されてもよい。ホップ以外の植物原料は、飲料の製造に使用できる植物又は植物由来原料であれば特に限られず、例えば、穀類(例えば、麦、米類及びトウモロコシからなる群より選択される1種以上)、豆類及びイモ類からなる群より選択される1種以上であってもよい。これら穀類、豆類及びイモ類は、発芽させたものであってもよく、発芽させていないものであってもよい。
具体的に、発酵前液は、ホップと、麦芽及び/又は麦(以下、発芽させていない麦を単に「麦」という。)とを使用して調製されてもよい。この場合、発酵前液は、ホップ由来成分と、麦芽由来成分及び/又は麦由来成分とを含む。より具体的に、発酵前液は、ホップ由来成分と、麦芽及び/又は麦に由来する炭素源及び窒素源を含む。
麦は、例えば、大麦、小麦、燕麦及びライ麦からなる群より選択される1つ以上であってもよく、大麦及び小麦からなる群より選択される1つ以上であることが好ましい。麦芽は、麦を発芽させることにより得られる。
麦芽は、大麦麦芽、小麦麦芽、燕麦麦芽及びライ麦麦芽からなる群より選択される1つ以上であってもよく、大麦麦芽及び小麦麦芽からなる群より選択される1つ以上であることが好ましい。麦芽としては、麦芽エキスを使用してもよい。麦芽エキスは、麦芽の抽出により調製され、麦芽由来成分(例えば、酵母が資化できる炭素源及び窒素源)を含む組成物である。麦芽エキスとしては、市販の麦芽エキスを使用してもよい。
麦芽を使用する場合、発酵前液は、糖化を行って調製されてもよい。糖化は、例えば、少なくとも麦芽と水とを混合して得られた混合液を、当該麦芽に含まれる消化酵素(例えば、デンプン分解酵素、タンパク質分解酵素)が働く温度(例えば、30〜80℃)に維持することにより行う。
発酵前液の調製においては、少なくともホップと水とを混合して得られた混合液を煮沸してもよい。ホップ及び麦芽を使用する場合、少なくともホップ、麦芽及び水を混合して得られた混合液を煮沸してもよい。すなわち、この場合、発酵前液は、まず少なくとも麦芽と水とを混合して得られた混合液の糖化を行い、その後、当該混合液にホップを添加し、煮沸することにより調製されてもよい。
酵母は、アルコール発酵を行う酵母であれば特に限られない。アルコール発酵を行う酵母は、発酵前液に含まれる炭素源及び窒素源を資化して、エタノール及び炭酸ガスを生成する。具体的に、酵母は、例えば、ビール酵母、ワイン酵母、焼酎酵母及び清酒酵母からなる群より選択される1種以上である。酵母は、上面発酵酵母及び下面発酵酵母のいずれであってもよい。
アルコール発酵は、発酵前液と酵母とを混合することにより開始される。本実施形態において、アルコール発酵は、いわゆる熟成、貯酒、及び後発酵のいずれでもなく、これらより前に行われる。すなわち、本実施形態において、アルコール発酵は、未だアルコール発酵に供されていない発酵前液と、酵母とを混合することにより開始される。なお、本方法においては、アルコール発酵を行い、その後、熟成、貯酒又は後発酵を行ってもよいし、アルコール発酵を行い、当該熟成、貯酒及び後発酵は行わないこととしてもよい。
アルコール発酵は、例えば、発酵前液に酵母を添加して調製された発酵液を所定の温度(例えば、0℃〜40℃)で所定の時間(例えば、1日〜14日)維持することにより行う。発酵開始時の発酵液における酵母の密度は特に限られず、例えば、1×10個/mL〜3×10個/mLであってもよい。
アルコール発酵に使用される容器は、その内部で発酵液のアルコール発酵を行うことができるものであれば特に限られず、例えば、ビール等の発泡性アルコール飲料の製造に使用される、いわゆる発酵槽(発酵タンク)が好ましく使用される。容器の容量は特に限られないが、例えば、30L以上であってもよく、1000L以上(例えば、商業生産用のスケールとして好ましい容量)であってもよく、500kL以上(例えば、工場における大量生産用のスケールとして好ましい容量)であってもよい。
本実施形態に係る飲料(以下、「本飲料」という。)は、本方法により製造される。本飲料は、ホップを使用して製造されるため、当該ホップに由来する成分(例えば、当該ホップに由来する苦味成分)を含む。
本飲料がホップと当該ホップ以外の植物原料とを使用して製造される場合、本飲料は、当該ホップに由来する成分と、当該植物原料に由来する成分とを含む。具体的に、例えば、本飲料が、ホップと、麦芽及び/又は麦とを使用して製造される場合、本飲料は、ホップ由来成分と、麦芽由来成分及び/又は麦由来成分とを含む。また、本飲料は、アルコール発酵において酵母により生成された香味成分(例えば、エステル成分)を含む。
本飲料は発泡性飲料であってもよい。発泡性飲料は、泡立ち特性及び泡持ち特性を含む泡特性を有する飲料である。すなわち、発泡性飲料は、例えば、炭酸ガスを含有する飲料であって、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料である。
本飲料は、アルコール飲料であってもよい。本実施形態において、アルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%以上(アルコール分1度以上)の飲料である。アルコール飲料のアルコール含有量は、1体積%以上であれば特に限られないが、例えば、1〜20体積%であってもよい。
本飲料は発泡性アルコール飲料であってもよい。すなわち、本飲料はビール又はビールテイスト飲料であってもよい。ビールテイスト飲料は、ホップと、麦芽及び/又は麦とを使用して製造され、麦芽使用量がビールのそれより小さい発泡性アルコール飲料である。
本飲料はノンアルコール飲料であってもよい。本実施形態において、ノンアルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%未満の飲料である。ノンアルコール飲料のアルコール含有量は、1体積%未満であれば特に限られないが、例えば、0.5体積%未満であってもよく、0.05体積%未満であってもよく、0.005体積%未満であってもよい。なお、本飲料がノンアルコール飲料である場合、本方法においては、例えば、アルコール発酵後の発酵液(発酵後液)に対して、そのアルコール含有量を低減する処理を施してもよいし、酵母によるアルコールの生成が抑制される条件でアルコール発酵を行ってもよい。
本飲料は発泡性ノンアルコール飲料であってもよい。すなわち、本飲料は、ノンアルコールビールテイスト飲料であってもよい。ノンアルコールビールテイスト飲料は、ホップと、麦芽及び/又は麦とを使用して製造された発泡性ノンアルコール飲料である。
そして、本方法においては、容器内でのアルコール発酵中に、当該容器の空寸部の加圧と、その後の当該加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行う。1回の圧力操作は、容器の空寸部を加圧することと、その後、当該空寸部の加圧を解除することとを含む。
すなわち、1回の圧力操作においては、まず容器の空寸部の加圧を開始して当該空寸部の圧力を増加させ、次いで、当該空寸部の圧力が所定値又は所定範囲内に到達したら、当該空寸部の圧力を当該所定値又は所定範囲内に所定時間維持し、その後、当該空寸部の加圧を解除して、当該空寸部の圧力を当該所定値未満又は所定範囲未満に低下させる。
ここで、容器の空寸部は、当該容器内において、発酵液が充填されている部分以外の部分に充填されているガスから構成される。すなわち、容器の空寸部の加圧は、当該加圧前に比べて、当該空寸部を構成するガスの圧力を増加させることである。
容器の空寸部の加圧状態は、当該空寸部を構成するガスの圧力が、加圧前より高い、所定の値又は所定範囲内に維持された状態である。容器の空寸部の加圧の解除は、所定の値又は所定範囲内に維持されていた、当該空寸部を構成するガスの圧力を、当該所定の値未満又は当該所定範囲未満に低減させることである。
加圧の方法は、特に限られないが、容器の空寸部の加圧は、当該容器外からのガスによる加圧であることが好ましい。すなわち、この場合、容器の空寸部の加圧は、容器外のガスを当該容器の空寸部に供給して、当該空寸部の圧力を増加させることにより行う。
加圧に使用されるガスは、特に限られないが、例えば、炭酸ガス、窒素ガス及び空気からなる群より選択される1種以上、又は当該群より選択される2種以上の混合ガスが好ましく使用される。また、酸素含有量が20体積%以下であるガスが好ましく使用される。
容器の空寸部の加圧の解除は、加圧状態の空寸部を構成するガスの一部を容器外に排出することにより行う。すなわち、所定の値又は所定範囲内に維持されていた、当該空寸部を構成するガスの一部を、当該空寸部の圧力が当該所定の値未満又は当該所定範囲未満に低減されるよう、当該容器外に排出する。
ガスによる加圧を行う場合、当該ガスを空寸部に供給し、当該空寸部から排出するための開口部を備えた容器を使用する。すなわち、例えば、加圧においては、まず容器外のガスを、容器の開口部から空寸部に供給することにより、当該空寸部を上記所定値又は所定範囲内まで加圧し、次いで、当該開口部を閉じて、当該空寸部の圧力を当該所定値又は所定範囲内に維持する。また、加圧の解除においては、空寸部が加圧状態である容器の開口部を開くことにより、当該空寸部のガスの一部を当該開口部から当該容器外に排出して、当該空寸部の圧力を低下させる。なお、開口部を備えた容器は、加圧及び当該加圧の解除に共通の開口部を備えたものであってもよいし、加圧用の開口部と、加圧解除用の開口部とを備えたものであってもよい。
開口部を備えた容器としては、例えば、空寸部から容器外まで連通しており当該空寸部に開口部を有する配管を備えた発酵槽が好ましく使用される。この場合、配管を介して、容器外のガスの空寸部への供給、及び空寸部のガスの一部の容器外への排出を効率よく且つ簡便に行うことができる。
なお、容器の空寸部の加圧は、例えば、当該容器内の発酵液中で酵母により生成される炭酸ガスを利用して行うことも可能であるが、この場合、短時間で加圧することが難しい。このため、上述のように、容器外からのガスにより容器の空寸部の加圧を行うことが好ましい。
容器の空寸部の加圧において、当該空寸部の圧力を増加させる速度(昇圧速度)は、当該容器の容量(空寸部の体積)等の条件に応じて調節されるが、例えば、1kPa/分以上であることが好ましく、3kPa/分以上であることがより好ましい。
また、加圧解除後に空寸部の圧力を低下させる速度(降圧速度)もまた、当該容器の容量(空寸部の体積)等の条件に応じて調節されるが、例えば、1kPa/分以上であることが好ましく、3kPa/分以上であることがより好ましい。
加圧状態で維持される空寸部の圧力は、圧力操作による効果が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、容器の空寸部の加圧は、ゲージ圧で20kPa以上、250kPa以下の加圧であることが好ましく、30kPa以上、250kPa以下の加圧であることがより好ましく、40kPa以上、250kPa以下の加圧であることが特に好ましい。
すなわち、1回の圧力操作においては、まず、容器の空寸部の圧力を、20kPa、30kPa又は40kPaの下限値より低い初期値から、当該下限値以上、250kPa以下の所定値又は所定範囲内まで増加させることにより、当該空寸部を加圧し、次いで、当該空寸部の圧力を当該所定値又は所定範囲内に所定時間維持し、その後、当該空寸部の加圧を解除して、当該空寸部の圧力を当該所定値未満又は所定範囲未満に低下させる。
加圧解除後は、空寸部の圧力を、20kPa、30kPa又は40kPaの下限値未満まで低下させることとしてもよいし、当該下限値未満である、当該加圧前の値(初期値)まで低下させることとしてもよい。
具体的に、例えば、まず、容器の空寸部の圧力を、大気圧(ゲージ圧0(ゼロ)kPa)又は大気圧付近の値(例えば、ゲージ圧0kPa以上、5kPa以下の範囲、0kPa以上、10kPa以下の範囲、0kPa以上、15kPa以下の範囲、又は0kPa以上、20kPa未満の範囲)の初期値から、20kPa以上、30kPa以上又は40kPaの下限値以上であって250kPa以下の所定値又は所定範囲内まで増加させ、次いで、当該空寸部の圧力を当該所定値又は所定範囲内に所定時間維持し、その後、当該空寸部の加圧を解除して、当該空寸部の圧力を当該初期値まで低下させてもよい。
圧力操作は、容器の空寸部の圧力を測定しながら行うこととしてもよい。すなわち、例えば、空寸部の圧力を測定する圧力測定装置(例えば、圧力センサー)を備えた容器を使用し、当該空寸部の加圧においては、当該圧力測定装置により測定される圧力値と、上述の所定値又は所定範囲とを比較しながら、当該空寸部の圧力を上昇させ、当該所定値又は所定範囲内に維持してもよい。
1回の圧力操作における加圧の時間は、当該圧力操作による効果が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、720分以下であってもよく、600分以下であってもよく、540分以下であってもよく、480分以下であってもよく、420分以下であってもよく、360分以下であってもよく、300分以下であってもよく、240分以下であることが好ましく、180分以下であることがより好ましく、120分以下であることが特に好ましい。1回の加圧操作における加圧の時間の下限値は、当該圧力操作による効果が得られる範囲であれば特に限られないが、当該加圧の時間は、例えば、5分以上であることが好ましい。
加圧の時間は、容器の空寸部の圧力を、20kPa以上、30kPa以上又は40kPaの下限値未満の初期値から増加させ始めることにより加圧を開始し、その後、当該加圧を解除して当該空寸部の圧力を当該初期値まで低下させる場合、当該加圧を開始してから、加圧解除後に当該空寸部の圧力が当該初期値に低下するまでの時間である。
また、加圧の時間は、容器の空寸部の圧力を、20kPa以上、30kPa以上又は40kPaの下限値未満の初期値から増加させ始めることにより加圧を開始し、その後、当該加圧を解除して、当該空寸部の圧力を、当該初期値とは異なる、20kPa以上、30kPa以上又は40kPaの下限値未満の所定値まで低下させる場合、当該加圧を開始してから、加圧解除後に当該空寸部の圧力が当該所定値に低下するまでの時間である。なお、容器の空寸部の体積が大きくなるほど、当該空寸部の昇圧及び降圧に要する時間が長くなるため、加圧の時間も長くなる傾向がある。
また、1回の圧力操作における加圧の時間の一部である、容器の空寸部を加圧状態に維持する時間は、当該圧力操作による効果が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、300分以下であってもよく、30分以下であることが好ましい。加圧状態に維持する時間の下限値は特に限られないが、例えば、1秒以上であることとしてもよい。なお、1回の圧力操作において、空寸部の圧力が増加して上述の所定値又は所定範囲に到達した直後に、加圧を解除して当該空寸部の圧力を低下させる場合であっても、当該圧力操作による効果は得られる。
本方法においては、アルコール発酵中に、上述のような圧力操作を複数回行う。圧力操作の回数は、2回以上であれば特に限られないが、例えば、5回以上であってもよく、10回以上であってもよい。
ここで、本方法においては、圧力操作を複数回行って、発酵液の液面における泡を抑制する。すなわち、アルコール発酵中の複数回の圧力操作は、当該複数回の圧力操作を行わない場合に比べて、発酵液の液面における泡の形成を抑制し、及び/又は当該発酵液の液面に形成された泡の破壊を促進する。
複数回の圧力操作による泡の抑制は、例えば、当該複数回の圧力操作を行った場合における、発酵液の表面全体の面積に対する、泡でおおわれている表面の面積の割合が、当該複数の圧力操作を行わない場合に比べて低減されることで確認される。
複数回の圧力操作を行うタイミングは、アルコール発酵中であれば特に限られないが、上述の泡抑制の観点から、酵母による炭酸ガスの発生に伴って発酵液の液面に泡が形成される期間に、当該複数回の圧力操作を行うことが好ましい。このため、アルコール発酵中、酵母による炭酸ガスの発生に伴って発酵液の液面に形成される泡の量が最も多くなるタイミングで、複数回の圧力操作を行うことが好ましい。
そこで、例えば、発酵を開始した時点(発酵前液と酵母との混合による発酵液の調製が完了した時点)から、48時間以上が経過した期間、又は72時間以上が経過した期間に複数回の圧力操作を行うこととしてもよい。
さらに、この場合、本方法は、例えば、発酵を開始した時点から、48時間以上が経過した期間、又は72時間以上が経過した期間において、24時間以内に複数回の圧力操作を行うことを含んでもよい。
また、本方法は、例えば、発酵の開始から48時間経過後、120時間経過前の期間、又は72時間経過後、120時間経過前の期間に、複数回の圧力操作を行うことを含んでもよい。
さらに、この場合、本方法は、例えば、発酵の開始から48時間経過後、120時間経過前の期間、又は72時間経過後、120時間経過前の期間において、24時間以内に複数回の圧力操作を行うことを含んでもよい。
アルコール発酵の時間に占める、容器の空寸部の加圧の時間の合計の割合は、圧力操作による効果が得られる範囲であれば特に限られないが、例えば、1%以上、50%以下であることが好ましい。このアルコール発酵の時間に占める、容器の空寸部の加圧の時間の合計の割合は、さらに、1%以上、40%以下であってもよく、1%以上、30%以下であってもよく、1%以上、20%以下であってもよく、1%以上、15%以下であってもよく、1%以上、10%以下であってもよい。
アルコール発酵の時間に占める、容器の空寸部の加圧の時間の合計の割合を低減することにより、当該加圧が酵母に及ぼす影響によって飲料の香味が損なわれることをより効果的に抑制することができる。
また、1回の圧力操作における加圧の時間が、720分以下であり、且つアルコール発酵の時間に占める、容器の空寸部の加圧の時間の合計の割合が、1%以上、50%以下であることがより好ましい。
この場合もまた、上述のとおり、1回の圧力操作における加圧の時間は、600分以下であってもよく、540分以下であってもよく、480分以下であってもよく、420分以下であってもよく、360分以下であってもよく、300分以下であってもよく、240分以下であることが好ましく、180分以下であることがより好ましく、120分以下であることが特に好ましい。
また、これらの場合、上述のとおり、アルコール発酵の時間に占める、容器の空寸部の加圧の時間の合計の割合は、1%以上、40%以下であってもよく、1%以上、30%以下であってもよく、1%以上、20%以下であってもよく、1%以上、15%以下であってもよく、1%以上、10%以下であってもよい。
このように、1回の圧力操作における加圧の時間が短く、且つルコール発酵の時間に占める、容器の空寸部の加圧の時間の合計の割合も小さい場合、加圧が酵母に及ぼす影響によって飲料の香味が損なわれることを極めて効果的に抑制することができる。
本方法においては、上述のとおり、容器内でのアルコール発酵中に、当該容器の空寸部の加圧と、その後の当該加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行うことにより、飲料の香味を損なうことなく、当該発酵液から飲料への苦味価の移行率を効果的に向上させる(例えば、当該苦味価の移行率を、当該複数の圧力操作を行わない場合に比べて、2%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは4%以上増加させる)ことができる。
したがって、本実施形態は、ホップを使用して調製された発酵液のアルコール発酵を容器内で行うことを含む飲料の製造方法において、当該アルコール発酵中に、当該容器内の空寸部の加圧と、その後の当該加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行うことにより、当該複数の圧力操作を行わない場合に比べて、当該飲料の香味を損なうことなく苦味価の移行率を向上させる方法も含む。
複数回の圧力操作によって苦味成分の移行率が向上する原因の一つとしては、上述のとおり、当該複数回の圧力操作によって、アルコール発酵中の発酵液の液面における泡が効果的に抑制されることが考えられる。苦味成分の移行率が向上することにより、ホップの使用量を低減でき、製造コストを削減することができる。
また、泡が抑制されることにより、容器(例えば、発酵槽)から泡があふれ出すといった不都合を効果的に回避することもできる。また、加圧のみならず当該加圧の解除を含む圧力操作を複数回行うことによって、例えば、従来の加圧発酵法(常時加圧する発酵法)に比べて、当該加圧が酵母に及ぼす影響を効果的に低減でき、その結果、当該加圧によって飲料の香味が損なわれることを効果的に回避することができる。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
まず、ホップ及び麦芽を使用して発酵前液を調製した。麦芽としては、大麦麦芽を使用した。発酵前液の調製においては、麦芽を含む混合液を65℃で維持することにより糖化を行い、その後、ホップを添加して煮沸を行った。こうして調製された発酵前液を5つに分けた。アルコール発酵を行う容器としては、その空寸部内に配置された開口部を有する配管を備えた、容量30Lの発酵タンクを5つ使用した。
そして、各発酵タンクに、発酵前液27Lと、当該発酵前液に対して0.5重量%のビール酵母とを添加して混合することにより、発酵液を調製するとともに、当該発酵タンク内においてアルコール発酵を開始した。
実施例1−1に係る発酵タンクにおいては、7日間のアルコール発酵期間中、毎日、圧力操作を2回ずつ行った。各圧力操作においては、まず発酵タンク外から配管を介して空寸部に炭酸ガス(炭酸ガスの含有量100体積%)の供給を開始することにより、当該空寸部の加圧を開始し、当該空寸部の圧力を、大気圧値(ゲージ圧0kPa)から、ゲージ圧50kPaまで増加させた。昇圧速度は約10kPa/分であった。
次いで、発酵タンクの配管の開口部を閉じて、空寸部への炭酸ガスの供給を停止し、当該空寸部を密閉状態とすることにより、空寸部の圧力をゲージ圧50kPaに維持し、当該ゲージ圧50kPaの加圧状態を約5分間維持した。
その後、発酵タンクの配管の開口部を開けて、空寸部の加圧されたガスの一部を当該発酵タンク外に排出することにより、当該空寸部の加圧を解除して、当該空寸部の圧力を加圧前の大気圧値まで低下させた。降圧速度は約10kPa/分であった。
このような発酵タンクの空寸部の加圧を開始してから、当該空寸部の加圧状態を経て、当該空寸部の圧力を大気圧値まで低下させるまでの時間(1回の圧力操作の時間)は15分であった。
実施例1−2に係る発酵タンクにおいては、各圧力操作において、加圧状態の圧力を、50kPaに代えて、100kPaとしたこと以外は上述の実施例1−1と同様にして、アルコール発酵を行った。
実施例1−3に係る発酵タンクにおいては、各圧力操作において、加圧状態の圧力を、50kPaに代えて、150kPaとしたこと以外は上述の実施例1−1と同様にして、アルコール発酵を行った。
実施例1−4に係る発酵タンクにおいては、各圧力操作において、加圧状態の圧力を、50kPaに代えて、200kPaとしたこと以外は上述の実施例1−1と同様にして、アルコール発酵を行った。
一方、比較例1に係る発酵タンクにおいては、圧力操作を実施しない以外は上述の実施例1−1と同様にして、アルコール発酵を行った。なお、発酵タンクの空寸部の圧力(ゲージ圧)は、当該発酵タンクに備えられた圧力センサーにより測定した。
各例において、アルコール発酵の終了後、さらに熟成を行った。そして、熟成後の発酵液をろ過し、アルコール含有量が約5体積%の発泡性アルコール飲料を得た。そして、各例において、アルコール発酵開始直前の発酵前液の苦味価(BU:Bitter Unit)、アルコール発酵後の発酵液の仮性エキス、最終的に製造された飲料の苦味価及び香味成分を測定した。
苦味価は、公知の文献(「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂、ビール酒造組合国際技術委員会(分析委員会)編、公益財団法人日本醸造協会発行」の「7.12 苦味価」及び「8.15 苦味価(IM)」)に記載の方法により測定した。
仮性エキスは、公知の文献(「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂、ビール酒造組合国際技術委員会(分析委員会)編、公益財団法人日本醸造協会発行」の「7.3 最終発酵度」)に記載の方法により測定した。飲料の香味成分は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
また、各例で製造された飲料について、熟練した6人のパネラーによる官能検査を行った。官能検査においては、各パネラーが、各例で製造された飲料に対し、「不快臭」、「渋味・雑味」及び「総合」のそれぞれの項目について、5段階の点数を付与した。
具体的に、「不快臭」について、「1点:弱い」、「2点:やや弱い」、「3点:比較例と同等」、「4点:やや強い」又は「5点:強い」が付与された。また、「渋味・雑味」について、「1点:弱い」、「2点、やや弱い」、「3点、比較例と同等」、「4点:やや強い」、又は「5点:強い」が付与された。また、「総合」について、「1点:悪い」、「2点:やや悪い」、「3点:比較例と同等」、「4点:やや良い」又は「5点:良い」が付与された。
図1には、各例について、圧力操作の条件、発酵特性、飲料成分及び官能検査の結果を示す。図1において、「加圧時間合計/発酵時間(%)」は、アルコール発酵の時間(24時間×7)に対する、加圧時間の合計(15分×2×7)の割合を示し、実施例1−1〜実施例1−4の全てで2.1%であった。
「BU移行率(%)」は、アルコール発酵開始直前の発酵前液の苦味価に対する、最終的に製造された飲料の苦味価の割合(%)を示し、次の式で算出された:BU移行率(%)=(飲料のBU/発酵前液のBU)×100(%)。「アセトアルデヒド(ppm)」及び「ジアセチル(ppm)」は、それぞれ最終的に製造された飲料におけるアセトアルデヒド及びジアセチルの含有量を測定した結果を示す。アセトアルデヒド及びジアセチルは、未熟臭の原因成分であり、発酵性が損なわれると、これらの含有量が増加する傾向がみられる。
図1に示すように、実施例1−1〜実施例1−4においては、BU移行率が、比較例1のそれに比べて4〜8%増加した。すなわち、圧力操作を行うことにより、BU移行率が向上した。
一方、実施例1−1〜実施例1−4と、比較例1とで、アルコール発酵後の発酵液の仮性エキス、飲料のアセトアルデヒド含有量、及びジアセチルの含有量は大差なかった。また、官能検査においては、実施例1−1〜実施例1−4について、比較例1に比べてやや良い評価が得られた。
すなわち、圧力操作を行った実施例1−1〜実施例1−4においては、当該圧力操作を行わなかった比較例1に比べて、発酵性は損なわれず、飲料の香味はやや向上するとの結果が得られた。
また、アルコール発酵中に、発酵液の液面に形成される泡の量を目視で観察したところ、実施例1−1〜実施例1−4においては、当該液面に形成される泡の量、及び当該液面の面積に占める当該泡の面積の割合が、比較例1に比べて顕著に低減されていた。
上述の実施例1と同様にして、発酵前液を調製した。ただし、圧力操作を行う予定の実施例2と、圧力操作を行わない予定の比較例2とにおいて、発酵前液のBU値が同等になるよう、ホップの使用量を調節した。すなわち、実施例2における発酵前液の調製においては、圧力操作によってBU移行率が向上することを見越して、比較例2より少ない量のホップを使用した。アルコール発酵を行う容器としては、その空寸部内に配置された開口部を有する配管を備えた、容量5kLの発酵タンクを2つ使用した。
そして、各発酵タンクに、発酵前液4.7kLと、当該発酵前液に対して0.5重量%のビール酵母とを添加して混合することにより、発酵液を調製するとともに、当該発酵タンク内においてアルコール発酵を開始した。
実施例2に係る発酵タンクにおいては、7日間のアルコール発酵期間中、毎日、圧力操作を2回ずつ行った。各圧力操作においては、まず発酵タンク外から配管を介して空寸部に炭酸ガス(炭酸ガスの含有量100体積%)の供給を開始することにより、当該空寸部の加圧を開始し、当該空寸部の圧力を、大気圧値(ゲージ圧0kPa)から、ゲージ圧100kPaまで増加させた。昇圧速度は約10kPa/分であった。
次いで、発酵タンクの配管の開口部を閉じて、空寸部への炭酸ガスの供給を停止し、当該空寸部を密閉状態とすることにより、空寸部の圧力をゲージ圧100kPaに維持し、当該ゲージ圧100kPaの加圧状態を約10分間維持した。
その後、発酵タンクの配管の開口部を開けて、空寸部の加圧されたガスの一部を当該発酵タンク外に排出することにより、当該空寸部の加圧を解除して、当該空寸部の圧力を加圧前の大気圧値まで低下させた。降圧速度は約10kPa/分であった。
このような発酵タンクの空寸部の加圧を開始してから、当該空寸部の加圧状態を経て、当該空寸部の圧力を大気圧値まで低下させるまでの時間(1回の圧力操作の時間)は30分であった。一方、比較例2に係る発酵タンクにおいては、圧力操作を実施しない以外は上述の実施例2と同様にして、アルコール発酵を行った。
各例において、アルコール発酵の終了後、さらに熟成を行った。そして、熟成後の発酵液をろ過し、アルコール含有量が約5体積%の発泡性アルコール飲料を得た。そして、各例において、上述の実施例1と同様、アルコール発酵開始直前の発酵前液の苦味価、アルコール発酵後の発酵液の仮性エキス、最終的に製造された飲料の苦味価及び香味成分を測定した。
また、各例で製造された飲料について、熟練した6人のパネラーによる官能検査を行った。官能検査においては、上述の実施例1における「総合」に相当する項目について、「A:香味良好」、「B:並」又は「C:香味劣る」の3段階で評価した。
図2には、上述の図1と同様、各例について、圧力操作の条件、発酵特性、飲料成分及び官能検査の結果を示す。図2において、「加圧時間合計/発酵時間(%)」は、アルコール発酵の時間(24時間×7)に対する、加圧時間の合計(30分×2×7)の割合を示し、実施例2では4.2%であった。
図2に示すように、実施例2においては、BU移行率が、比較例2のそれに比べて9%増加した。すなわち、圧力操作を行うことにより、BU移行率が向上した。一方、実施例2と、比較例2とで、アルコール発酵後の発酵液の仮性エキス、飲料のアセトアルデヒド含有量、及びジアセチルの含有量は大差なかった。また、官能検査において、比較例2では、1人のパネラーが「A」と評価し、4人のパネラーが「B」と評価し、1人のパネラーが「C」と評価したのに対し、実施例2では、2人のパネラーが「A」と評価し、3人のパネラーが「B」と評価し、1人のパネラーが「C」と評価した。すなわち、官能検査においては、実施例2について、比較例2に比べてやや良い評価が得られた。
このように、圧力操作を行った実施例2においては、当該圧力操作を行わなかった比較例2に比べて、発酵性は損なわれず、飲料の香味はやや向上するとの結果が得られた。また、アルコール発酵中に、発酵液の液面に形成される泡の量を目視で観察したところ、実施例2においては、当該液面に形成される泡の量、及び当該液面の面積に占める当該泡の面積の割合が、比較例2に比べて顕著に低減されていた。
[参考例]
上述の実施例1と同様にして、ホップ及び大麦麦芽を使用して発酵前液を調製した。アルコール発酵を行う容器としては、その空寸部内に配置された開口部を有する配管を備えた、容量250Lの発酵タンクを2つ使用した。
そして、各発酵タンクに、発酵前液230Lと、当該発酵前液に対して0.5重量%のビール酵母とを添加して混合することにより、発酵液を調製するとともに、当該発酵タンク内においてアルコール発酵を開始した。
比較例3−1に係る発酵タンクにおいては、圧力操作を実施することなく、大気圧下でアルコール発酵を行った。
一方、比較例3−2に係る発酵タンクにおいては、8日間のアルコール発酵期間を通じて、継続的に、当該発酵タンクの空寸部を加圧して、当該空寸部の圧力をゲージ圧100kPaに維持した。
すなわち、比較例3−2においては、アルコール発酵の開始と同時に、発酵タンク外から配管を介して空寸部に炭酸ガス(炭酸ガスの含有量100体積%)の供給を開始することにより、当該空寸部の加圧を開始し、当該空寸部の圧力を、大気圧値(ゲージ圧0kPa)から、ゲージ圧100kPaまで増加させた。昇圧速度は約0.07kPa/分であった。
次いで、発酵タンクの配管の開口部を閉じて、空寸部への炭酸ガスの供給を停止し、当該空寸部を密閉状態とすることにより、空寸部の圧力をゲージ圧100kPaに維持し、その後、降圧することなく、アルコール発酵の終了時点まで、継続的に、当該ゲージ圧100kPaの加圧状態を維持した。
その後、アルコール発酵の終了時に、発酵タンクの配管の開口部を開けて、空寸部の加圧されたガスの一部を当該発酵タンク外に排出することにより、当該空寸部の加圧を解除して、当該空寸部の圧力を加圧前の大気圧値まで低下させた。降圧速度は約0.07kPa/分であった。
各例において、アルコール発酵の終了後、さらに熟成を行った。そして、熟成後の発酵液をろ過し、アルコール含有量が約5体積%の発泡性アルコール飲料を得た。そして、各例において、上述の実施例1と同様、アルコール発酵開始直前の発酵前液の苦味価、アルコール発酵後の発酵液の仮性エキス、最終的に製造された飲料の苦味価及び香味成分を測定した。
図3には、各例について、圧力操作の条件、発酵特性、及び飲料成分を示す。図3において、「加圧時間合計/発酵時間(%)」は、アルコール発酵の時間に対する、加圧時間の合計の割合を示し、比較例3−2では100%であった。
図3に示すように、比較例3−2においては、BU移行率が、比較例3−1のそれに比べて9%増加した。すなわち、継続的な加圧発酵を行うことにより、BU移行率が向上した。一方、比較例3−1と、比較例3−2とで、アルコール発酵後の発酵液の仮性エキスに大差はなかった。
しかしながら、継続的な加圧発酵を行った比較例3−2においては、飲料のアセトアルデヒド含有量、及びジアセチルの含有量が、加圧を行わなかった比較例3−1のそれらに比べて、顕著に増加した。また、各例で製造された飲料について、熟練したパネラーによる官能検査を行った結果、比較例3−2において継続的な加圧発酵により製造された飲料は、「未熟臭」及び「ムレ臭」が強いと評価された。すなわち、継続的な加圧発酵を行うことにより、飲料の香味が顕著に損なわれた。

Claims (6)

  1. ホップを使用して調製された発酵液のアルコール発酵を容器内で行うことを含む飲料の製造方法であって、
    前記アルコール発酵中に、前記容器の空寸部の前記容器外からのガスによる加圧と、その後の前記加圧の解除とを含む圧力操作を以上行うことをさらに含む
    ことを特徴とする飲料の製造方法。
  2. ホップを使用して調製された発酵液のアルコール発酵を容器内で行うことを含む飲料の製造方法であって、
    前記アルコール発酵中に、前記容器の空寸部の加圧と、その後の前記加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行うことをさらに含み、
    前記アルコール発酵の時間に占める前記加圧の時間の合計の割合が、1%以上、50%以下である
    ことを特徴とする飲料の製造方法。
  3. ホップを使用して調製された発酵液のアルコール発酵を容器内で行うことを含む飲料の製造方法であって、
    前記アルコール発酵中に、前記容器の空寸部の加圧と、その後の前記加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行うことをさらに含み、
    1回の前記圧力操作における前記加圧の時間が、720分以下である
    ことを特徴とする飲料の製造方法。
  4. 前記加圧は、前記容器外からのガスによる加圧である
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の飲料の製造方法。
  5. 前記加圧は、ゲージ圧で20kPa以上、250kPa以下の加圧である
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の飲料の製造方法。
  6. ホップを使用して調製された発酵液のアルコール発酵を容器内で行うことを含む飲料の製造方法において、
    前記アルコール発酵中に、前記容器内の空寸部の加圧と、その後の前記加圧の解除とを含む圧力操作を複数回行うことにより、前記複数の圧力操作を行わない場合に比べて、前記飲料の香味を損なうことなく苦味価の移行率を向上させる
    ことを特徴とする方法。
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