JP4667112B2 - 高エキス食酢の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、高エキス濃度の食酢の製造方法に関し、詳しくはエキス濃度による酢酸発酵阻害から起こる誘導期の発生を抑え、短時間、かつ高効率に香りの良い食酢を製造する方法に関するものである。
一般に、食酢の製造法は、発酵液表面に酢酸菌を増殖させて発酵させる表面発酵法と、空気(酸素)を通気して攪拌などによって気泡を微細化して発酵液全体に空気(酸素)を供給して発酵させる深部培養法による発酵方法とに大別されるが、発酵効率の点からは、表面発酵法に比し、深部培養法による発酵方法が優れているとされている。
ここで、食酢の成分としては、酢酸、その他有機酸(グルコン酸、乳酸、クエン酸など)、糖分、窒素分などがあり、特に酢酸は疲労回復、血圧低下機能やカルシウム補給機能があると言われている。さらに、食酢の成分には、無塩可溶性固形分(以下、エキスという。)も含まれており、その濃度は、通常、家庭で用いられている食酢の場合、おおよそ0.1重量/容量%〜13.8重量/容量%である。このエキスには、主に糖分が含まれており、甘味があり、飲用に適するため、高エキス濃度の食酢が好まれるケースも少なくない。
ところで、出来上がった食酢の香味が良いことは商品価値を高める上で好ましいことであり、深部発酵法により製造された食酢においても、良好な香味を呈することが望まれている。
しかしながら、高エキス食酢を深部発酵法にて製造する場合に、該方法の環境下で発酵が旺盛な酢酸菌を用いて酢酸発酵を行うと、エタノールから酢酸への酸化以外の反応が発生して酢酸以外の各種有機酸が生成し、食酢として好ましくない香りの生成が生じることから、品質的には問題があった。
すなわち、エキス濃度が3.0重量/容量%より少ない食酢を製造する場合は、原料の使用量そのものが少ないため、香りへの影響は小さく大きな問題はない。しかし、エキス濃度が3.0重量/容量%以上の高エキス食酢を製造する場合、香りへの影響が無視できない程度となる。また、エキス濃度が6.0重量/容量%以上の高エキス食酢を深部発酵法にて製造する場合、その香りへの影響はさらに大きいものとなる。
そこで、高エキス環境下での食酢の製造、特にエキス濃度が6.0重量/容量%以上の高エキス食酢を製造する際にも、酢酸以外の有機酸の生成が少なく、原料の風味を残した香りの良い食酢の製造方法の開発が求められていた。
ここで、特許文献1には、深部発酵法による食酢の製造の際、もろみ中のアミノ酸度が約2.0以下で、かつもろみのエキス分中の発酵性糖に対する非発酵性糖の割合が約0.6以下であるようにもろみの組成を調整することにより、高エキス下でも香味の良い食酢を製造する方法が紹介されている。
しかしながら、この方法によれば、製造時の発泡は抑えられるものの、得られる食酢は原料の風味を十分に残していなかった。また、使用するもろみのアミノ酸度や非発酵性糖の割合を限定する必要があり、製造条件や製品の品質が限定されるおそれがであった。
このような状況下、香りが良く、しかもアミノ酸度や非発酵性糖の割合を限定せずに、高エキス環境下で食酢を製造するための方法の開発が望まれていた。
特公平4−59874号公報
本発明は、高エキス環境下において、原料の風味を残した食酢として好ましい香りを持つ高エキス食酢を製造する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、エキスによる発酵阻害から起こる誘導期をなくすか、あるいは10時間以内となるような速度で、発酵液のエキス濃度を上昇させることで、上記のような高エキス食酢を、短時間、かつ効率的に製造することのできる方法を提供することをも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、高エキス食酢を深部発酵法にて製造する場合に、発酵液中に特定濃度以上のエキスを一度に添加した場合、酢酸菌の活性が低下し、発酵阻害が生じることを見出した。また、この活性低下による誘導期が10時間以上存在すれば、得られた食酢の香りは好ましくないことをも見出した。
これは、高エキス下での誘導期間に、高エキス環境下に適した酢酸菌に変換されるためであると考えられる。また、高エキス環境下において食酢を発酵生産するにあたり、高エキス環境下での発酵期間が短いほど、好ましくは72時間以内に発酵を終了すれば、原料の風味を残した香りの良いすっきりとした品質の食酢の製造ができることも同時に見出した。
これは、高エキス環境下での酢酸発酵において、その発酵期間が短ければ、高エキス環境下に適した酢酸菌に変換するまでの時間を与えずに、発酵を終了できるためであると考えられる。ここでいう高エキス環境下に適した酢酸菌とは、エタノールから酢酸への酸化以外の反応を発生して、食酢の香りとして好ましくない香りを生成する菌のことである。
すなわち、発酵槽内で発酵液のエキス濃度が急激に上昇する製法では、発酵阻害から誘導期が発生し、さらには活性低下から発酵時間が長期化し、高エキス環境下に適した酢酸菌に変換してしまうことになる。そのため、酢酸以外の物質の生成が起こり、香りの良い高エキス食酢が製造できないことを解明した。
本発明者らは、これらの知見に基づき、酢酸以外の物質を生成しないエキス濃度以下で発酵を開始し、その後、発酵の進行に応じて、エキスによる発酵阻害から誘導期が発生しない特定速度以下でエキス含有液を添加すれば、従来以上に短時間、かつ効率的に、高エキス食酢を製造できることを解明した。
その結果、従来得ることができなかったような香りの良いすっきりとした品質の高エキス食酢の製造が可能になるとの知見を得て本発明を完成することができた。
すなわち、第一の発明は、食酢を深部発酵法によって製造する方法において、エキス濃度が0.1重量/容量以上6.0重量/容量%未満であり、酢酸生成速度が0.5g/L・hr以上で酢酸発酵を継続している発酵液を用いて、発酵終了時に発酵液のエキス濃度が6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下となるようにエキス濃度を上昇させながら酢酸発酵を行うと共に、この酢酸発酵工程において、発酵液のエキス濃度が6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下である発酵期間を72時間以内とすることを特徴とする、エキス濃度が6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下である食酢の製造方法に関するものである。
第二の発明は、酢酸発酵工程において、発酵液のエキス濃度が6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下である発酵期間を72時間以内とすることを特徴とする、請求項1記載の食酢の製造方法に関する発明である。
第三の発明は、請求項1又は2記載の食酢の製造方法によって製造された食酢に関する発明である。
本発明によれば、高エキス環境下において、もろみ中のアミノ酸度や非発酵性糖の割合の限定なしに、原料の風味を残した食酢として好ましい香りを持つ食酢を製造することができる。
また、高エキス濃度の食酢を製造するにあたり、本発明によれば、短時間、かつ効率的な酢酸発酵が可能になり、香りの良い高エキス食酢を製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の食酢の製造方法は、エキス濃度6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下で、かつ香りの良い食酢の発酵生産に関するものである。
エキスとは、無塩可溶性固形分を意味し、発酵生産にあたり培養液に添加される原料からもたらされる食酢中の成分である。
食酢のエキス濃度が6.0重量/容量%未満である場合には、本発明の方法によらずとも、香りの良い食酢を製造することができる。本発明は、エキス濃度6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下の高エキス食酢を、短時間、かつ効率的に製造する方法を提供するものである。
このようなエキス濃度範囲の食酢として、例えば、穀物酢、米酢、米黒酢、りんご酢、ぶどう酢などの醸造酢が挙げられる。
本発明で用いられる酢酸菌としては、食酢の発酵生産に用いられる通常の酢酸菌であればよく、特に制限はない。例えば、アセトバクター(Acetobacter)属の酢酸菌が用いられ、アセトバクター・アセチIFO3281(Acetobacter aceti IFO3281)株、アセトバクター・アセチIFO3283(Acetobacter aceti IFO3283)株などが有効に使用される。
これらの酢酸菌をアルコールおよび酢酸菌の栄養源等を含有する原料液が入った深部培養用の発酵タンクに接種して種菌液の調製のための培養を開始する。すなわち、酢酸菌を接種した後、アルコール又はアルコール水溶液を添加して酢酸発酵を行わせ、酢酸濃度を上げていくのが望ましい。一般的には、アルコールまたはアルコール水溶液を、酢酸濃度とアルコール濃度の和が6〜10%程度となるように添加し、酢酸濃度が5〜9重量/容量%でアルコール濃度が0.3〜3.0容量/容量%程度となった時点で、得られた発酵液を種菌液として使用するのがよい。
また、エキス濃度を上昇させるための原料を、種菌液に添加することもできる。例えば、ペプトンや酵母エキスなどの微生物エキス、或いはフラクトースや蔗糖などの糖類を添加することも可能であり、また、米、小麦、コーンなど各種穀物の糖化液、酒粕抽出液、果汁その他の糖類を含む原料液を適宜希釈調製して使用しても良い。ただし、これらの糖類その他の原料液は、発酵開始時の種菌液の組成において、発酵液中のエキス濃度が6.0重量/容量%を超えると、発酵中に酢酸以外の各種有機酸の生成するおそれがあるため、エキス濃度が6.0重量/容量%以下、好ましくは3.0〜5.0重量/容量%となるように適宜希釈して用いることが好ましい。
種菌液のエキス濃度については、0.1重量/容量以上6.0重量/容量%未満、好ましくは3.0〜5.0重量/容量%に調整すべきである。
このようにして高エキス食酢を製造するための発酵を行わせるが、本発明では、酢酸発酵時に添加するエキス濃度を上昇させるための原料に、アルコールを含有させてもよい。アルコールを含有させる場合のアルコール濃度は、目的とする食酢の酢酸濃度に合わせて調整することができる。
一方、エキス濃度を上昇させるための原料にアルコールを含有させない場合は、酢酸発酵に必要なアルコールを発酵タンク内に前もって添加しておくか、または、エキス濃度を上昇させるための原料とは別にアルコール又はアルコール水溶液を添加するのが好ましい。エキス濃度を上昇させるための原料液、またはアルコールを含有するエキス濃度を上昇させるための原料液を添加する場合のいずれにおいても、発酵液中のアルコール濃度は5容量/容量%以下とすることが好ましい。
高エキス食酢製造のための酢酸発酵は、深部培養用の発酵タンクで、25〜38℃、好ましくは30.0〜32.0℃で実施される。
深部培養用の発酵タンクの通気方法においても、従来公知の方法が採用でき、何ら制限がない。例えば、空気、酸素ガスなどの酸素を含む気体を通気管を通じて供給する方法などが挙げられる。通気量は、発酵状況に応じて適宜設定すればよく、例えば0.02〜1vvm(通気容量/発酵液量/分)の通気量で、発酵液の下部に供給し、これを攪拌機で微細化・拡散させ、発酵液中の溶存酸素が0.2〜8ppm程度で維持されるように制御すれば良い。
本発明に使用する発酵タンクについても特に制限はなく、従来から深部培養による食酢の発酵に使用されているものであればよく、例えば一般的な通気攪拌型の深部発酵装置を使用することができる。また、発酵形式についても、回分発酵法、半連続発酵法、二段発酵法など、従来から実施されてきた各種の方式を採用することができる。
ここで、発酵液中のエキス濃度を一度に上昇させると、高エキス濃度による発酵阻害から酢酸菌の活性が低下し、誘導期が発生するおそれがある。本発明でいう誘導期とは、酢酸を全く生成しない期間と定義する。
香りの良い高エキス食酢を得るには、この誘導期を生じさせないか、あるいは該期間が10時間以内であることが好ましく、10時間を超過すると、得られた食酢の香りは悪くなる。また、この誘導期を10時間以内にするには、例えば、発酵液中のエキス濃度の上昇を、1時間あたり0.1重量/容量%以上10.0重量/容量%以下になるよう制御することにより行うことができる。
しかし、誘導期を10時間以内とするために、エキス濃度の上昇速度を低く制御したとしても、それが低すぎると発酵期間が長くなり、発酵液のエキス濃度が6.0重量/容量%以上の発酵期間が72時間を超過してしまうと、得られた食酢の香りはかえって悪くなる。そこで、発酵液中のエキス濃度の上昇を、1時間あたり0.1重量/容量%以上10.0重量/容量%以下で、さらには発酵液のエキス濃度が6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下である発酵を72時間以内、好ましくは48時間以内に終了するように、原料液の添加速度を制御することが好ましい。
エキス濃度の上昇速度とは、横軸を時間、縦軸をエキス濃度として作図した場合の傾きに相当する。従って、エキス濃度を所定速度で上昇させるとは、エキス濃度を上昇させるための原料を、上記したような1時間あたり0.1重量/容量%以上10.0重量/容量%以下のエキス濃度上昇速度の場合の傾きに沿うように添加するという意味である。尚、このような条件で原料を添加すれば、多少階段状にエキス濃度を上昇させても構わない。
ここで、例えば、エキス上昇速度が「5重量/容量%/時間」で、エキス濃度を5重量/容量%から10重量/容量%に上昇させる場合には、エキス濃度を上昇させるための原料を1時間かけて添加して、エキス濃度を5重量/容量%上昇させることになる。また、エキス上昇速度が「5重量/容量%/時間」で、エキス濃度を5重量/容量%から7.5重量/容量%に上昇させる場合には、エキス濃度を上昇させるための原料を0.5時間かけて添加してエキス濃度を2.5重量/容量%上昇させることになる。
エキス濃度を上昇させるための原料液の組成は、種菌液にあらかじめ添加することのできるものとして既に述べたのと同様のものを適宜用いることができる。ここで、種菌液にあらかじめ添加したエキス濃度を上昇させるための原料液と、発酵過程で添加する原料とが互いに同じ種類のものであっても良いし、異なる種類のものであっても良い。なお、エキス濃度の上昇速度は一定とする必要はなく、発酵時間、食酢に求められるエキス濃度等に応じて適宜変化させることができる。
以上の方法で、所定の酢酸濃度まで発酵が進行した時点で発酵を終了し、発酵タンクから取り出された高エキス食酢発酵液は、以下通常の方法で、酢酸菌の除去、熟成、清澄化処理、殺菌の各工程を経て、高エキス食酢として製品化することが可能となる。
このような製法で高エキス食酢を製造すれば、エキスによる発酵阻害から酢酸菌の活性が低下し、誘導期が発生することを回避して、効率良く、かつ短時間に高エキス食酢を安定して製造することができると共に、得られる高エキス食酢は、原料の風味を残しており、また香りも良い。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)種菌液の調製
発酵タンク内に投入する酢酸菌の前培養を行った。
アセトバクター・アセチIFO3281(Acetobacter aceti IFO3281)株を、3%容量/容量なるようアルコール(エタノール)を添加した殺菌済みの804培地(ポリペプトン10g、酵母エキス10g、グルコース10g/リッター)で30℃、200rpmの条件下で48時間、振とう培養し、前培養液を得た。
得られた前培養液1000mlを、酢酸菌の栄養源、アルコール3容量/容量%、および酢酸0.5重量/容量%からなる2000mlの原料液を有する深部培養用の発酵タンク(10L容量:ミツワ理化学工業社製)に投入し、30℃、500rpm、0.2vvmの条件で深部培養して、種菌液調製用の発酵を開始した。
発酵開始より、エキス濃度が3.0重量/容量%、酢酸濃度とアルコール濃度の和が8.0%の組成の添加液を流加しつつ発酵を継続した。
発酵が進行し、最終的にエキス濃度が3.0重量/容量%、酢酸濃度6.0重量/容量%でアルコール濃度1.5容量/容量%程度となった段階で、得られた発酵液を種菌液として、以下の試験に供した。
(2)エキス濃度の上昇速度の相違による誘導期と香味の変化
前記(1)にて調製された種菌液3.0Lに、アルコール濃度が3.0容量/容量%、酢酸濃度が5.0重量/容量%、エキス濃度が27.3重量/容量%である米糖化液希釈液を、エキス終濃度、すなわち食酢のエキス濃度が20.0重量/容量%になるように、7.0L添加して発酵を行った。
このときの発酵液中のエキス濃度上昇速度が、1時間あたり15.0重量/容量%、10.0重量/容量%、7.0重量/容量%、5.0重量/容量%、または3.0重量/容量%となるように5試験区実施した。
すなわち、エキス上昇速度が1時間あたり15.0重量/容量%の場合は、1時間49分かけて7L添加した。1時間あたり10.0重量/容量%の場合は、2時間44分かけて添加した。エキス上昇速度が1時間あたり7.0重量/容量%の場合は、3時間54分かけて7L添加した。1時間あたり5.0重量/容量%の場合は、5時間28分かけて7L添加した。1時間あたり3.0重量/容量%の場合は、9時間6分かけて添加した。温度は30.0℃とし、酸度7.0%、残留アルコール0.3%となるまで発酵を行った。
発酵液中のエキス上昇速度が、1時間あたり15.0重量/容量%、および10.0重量/容量%、7.0重量/容量%の場合には、発酵開始後に誘導期が存在した。また、この誘導期は、エキス濃度上昇速度が高いほど長くなり、また酢酸菌の活性が低下するので、発酵開始から終了までの時間が長くなることがわかった。また、発酵時間が長い場合は、連続通気によるアルコールの飛散度合いも大きかった。ここで、各試験区にて得られた食酢の香りを評価したところ、エキス濃度の上昇速度が1時間あたり15.0重量/容量%の試験区で得られた食酢においては、残りの試験区とは異なり、明らかに食酢として好ましくない香りを有していた。
なお、食酢の香りの評価としては、エキス濃度の上昇速度が1時間あたり3.0重量/容量%のものを対照にして、官能検査員20名による官能検査に供し、食酢の香りを評価した。評価基準は、1:悪い、2:やや悪い、3:変わらない、4:やや良い、5:良いの5段階として、各検査員の平均値を評価値とした。
エキス濃度の上昇速度の相違による誘導期と食酢の香りの対応を表1に示す。
Figure 0004667112
表1から明らかなように、エキス濃度の上昇速度が、1時間あたり10重量/容量%以下の場合は、発酵開始後の誘導期が10時間以内であり、いずれも食酢の香りに大きな差は見られなかった。しかし、エキス濃度の上昇速度が1時間あたり10重量/容量%の場合は、誘導期が10時間以上も発生し、食酢の香りの評価が著しく下がるという結果となった。
この結果から、高エキス環境下にて香りの高い食酢を製造するためには、誘導期を10時間以内に抑える必要があることがわかった。また、誘導期を10時間以内に抑えるためには、エキス濃度を上昇させるための原料液を、1時間あたりのエキス濃度上昇速度が10.0重量/容量%以下となるように制御しながら添加する必要があることが判明した。
(実施例2)
(1)種菌液の調製
発酵タンク内に投入する酢酸菌の前培養を行った。
アセトバクター・アセチIFO3281(Acetobacter aceti IFO3281)株を、3%容量/容量なるようアルコール(エタノール)を添加した殺菌済みの804培地(ポリペプトン10g、酵母エキス10g、グルコース10g/リッター)で30℃、200rpmの条件下で48時間、振とう培養し、前培養液を得た。
得られた前培養液1000mlを、酢酸菌の栄養源、アルコール3容量/容量%、および酢酸0.5重量/容量%からなる2000mlの原料液を有する深部培養用の発酵タンク(10L容量:ミツワ理化学工業社製)に投入し、30℃、500rpm、0.2vvmの条件で深部培養して、種菌液調製用の発酵を開始した。
発酵開始より、エキス濃度が6.0重量/容量%、酢酸濃度とアルコール濃度の和が8.0%の組成の添加液を流加しつつ発酵を継続した。
発酵が進行し、最終的にエキス濃度が6.0重量/容量%、酢酸濃度6.5重量/容量%でアルコール濃度1.0容量/容量%程度となった段階で、得られた発酵液を種菌液として、以下の試験に供した。
(2)発酵時間による食酢の香味の変化
この種菌液3.0Lに、アルコール濃度が5.0容量/容量%、酢酸濃度が3.0重量/容量%、エキス濃度が40.0重量/容量%である米糖化液希釈液を、エキス終濃度が30.0重量/容量%になるように、7.0L添加して発酵を行った。エキス濃度上昇速度は1時間あたり3.0重量/容量となるようにし13時間20分かけて7L添加した。
このとき、誘導期は存在せず、最終的にエキス濃度が6.0重量/容量%、酸度7.0%、残留アルコール0.3容量/容量%となるまでの発酵時間は約24時間であった。
その後、エキス濃度が30.0重量/容量%、アルコール濃度が3.0容量/容量%、酢酸濃度が5.0重量/容量%に調整した水溶液を、発酵液のアルコール濃度が0容量/容量%とならないように、発酵液のアルコール濃度が0.3〜0.5容量/容量%となるよう制御しながら連続発酵を継続して実施した。このとき得られた食酢は、発酵時間が長くなるほど、食酢として好ましくない香りを有する傾向がみられた。
そこで、発酵時間が24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間の各時点で発酵液を採取し、得られた食酢を24時間のものを対照にして、官能検査員20名による官能検査に供し、食酢の香りを評価した。評価基準は、1:悪い、2:やや悪い、3:変わらない、4:やや良い、5:良いの5段階として、各検査員の平均値を評価値とした。発酵時間の相違による香りの対応を表2に示す。
Figure 0004667112
表2の結果より、発酵時間が長くなることにより、食酢の香りの評価が下がることがわかった。すなわち、エキス濃度が6.0重量/容量%以上の発酵期間が72時間以内であることが、好ましいという結果になった。
(実施例3)
(1)種菌液の調製
発酵タンク内に投入する酢酸菌の前培養を行った。
アセトバクター・アセチIFO3281(Acetobacter aceti IFO3281)株を、3%容量/容量なるようアルコール(エタノール)を添加した殺菌済みの804培地(ポリペプトン10g、酵母エキス10g、グルコース10g/リッター)で30℃、200rpmの条件下で48時間、振とう培養し、前培養液を得た。
得られた前培養液1000mlを、酢酸菌の栄養源、アルコール3容量/容量%、および酢酸0.5重量/容量%からなる2000mlの原料液を有する深部培養用の発酵タンク(10L容量:ミツワ理化学工業社製)に投入し、30℃、500rpm、0.2vvmの条件で深部培養して、種菌液調製用の発酵を開始した。
発酵開始より、エキス濃度が5.0重量/容量%、酢酸濃度とアルコール濃度の和が8.0%の組成の添加液を流加しつつ発酵を継続した。
発酵が進行し、最終的にエキス濃度が5.0重量/容量%、酢酸濃度5.0重量/容量%でアルコール濃度2.3容量/容量%程度となった段階で、得られた発酵液を種菌液として、以下の試験に供した。
(2)りんご酢の発酵
前記(1)にて調製された種菌液3.0Lに、アルコール濃度が5.0容量/容量%、酢酸濃度が3.0重量/容量%、エキス濃度が77.3重量/容量%であるりんご果汁希釈液を、エキス終濃度が55.0重量/容量%になるように、7.0L添加して発酵を行った。
このときの発酵液中のエキス濃度の上昇速度が、1時間あたり3.0重量/容量%になるように25時間45分かけて7L添加した。発酵温度は30.0℃で、酸度7.0%、残留アルコール0.3容量/容量%となるまで発酵を行った。発酵開始後の誘導期は存在せず、37時間で発酵を終了した。得られた食酢は、原料の風味を残しており、香りもよく、甘味があり、十分に飲用に適するものであった。
本発明によれば、高エキス環境下において、もろみ中のアミノ酸度や非発酵性糖の割合の限定なしに、原料の風味を残した食酢として好ましい香りを持つ食酢を短時間、かつ効率よく製造することができる。

Claims (3)

  1. 食酢を深部発酵法によって製造する方法において、エキス濃度が0.1重量/容量以上6.0重量/容量%未満であり、酢酸生成速度が0.5g/L・hr以上で酢酸発酵を継続している発酵液を用いて、発酵終了時に発酵液のエキス濃度が6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下となるように、1時間あたり0.1重量/容量%以上10.0重量/容量%以下の上昇速度で発酵液のエキス濃度を上昇させながら酢酸発酵を行うことにより、誘導期がないか、あるいは誘導期を10時間以内に抑えることを特徴とする、エキス濃度が6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下である食酢の製造方法。
  2. 酢酸発酵工程において、発酵液のエキス濃度が6.0重量/容量%以上55.0重量/容量%以下である発酵期間を72時間以内とすることを特徴とする、請求項1記載の食酢の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の食酢の製造方法によって製造された食酢。
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