JP4305920B2 - 乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法 - Google Patents
乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法 Download PDFInfo
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日本の酒税法上、「雑酒」は、麦芽又は麦を原料の一部とした「発泡酒」と、発泡酒以外の「その他の雑酒」に分類される。ここで、「その他の雑酒」は、麦芽または麦を使用せず、マメ類、穀類などの植物タンパク質等を酵素分解した窒素源と糖化液を混合し、酵母によりアルコール発酵させるものである。
また、古来より、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料において、ろ過後の発酵麦芽飲料中に酵母を含有させて、いわゆる酵母入り発酵麦芽飲料として、香味豊かな、かつ、まろみのある発酵麦芽飲料として製品化することが行われている。しかしながら、この酵母は、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料の製造に使用されている発酵材料の範囲に留まるものであるから、その香味の改善の多様性の幅には限度がある。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、添加する乳酸発酵物の調製に用いる、乳酸菌の資化可能な発酵原料としては、オリゴ糖を含む各種資化性糖、果汁、麦汁、穀類を原料とした糖化液の1種またはそれ以上を主としてなる発酵原料液を用いることができる。特に、ビールや発泡酒のような発酵麦芽飲料との香味の調和の観点からは、麦汁を用いるのが好ましい。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において添加する乳酸発酵物の調製に際しては、ダイアセチル濃度を極力減少させた乳酸発酵物として調製するのが望ましい。ダイアセチル濃度を極力減少させた乳酸発酵物を調製する方法としては、嫌気性条件の発酵管理により、嫌気性条件下で乳酸発酵を行うことにより、ダイアセチルの生成を抑制する。例えば、嫌気性条件下の乳酸発酵を、該乳酸発酵の発酵雰囲気の空気をCO2、N2又は希ガス等の不活性ガス等で置換した雰囲気で、高度の嫌気性条件下に行うことができる。ダイアセチルの生成は完全に嫌気下で乳酸発酵を行うことで閾値以下に制御することが可能である。
本発明の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、乳酸発酵物の添加は、発酵終了時以降、製品化されるまでの工程であればいずれのタイミングでも構わない。特にろ過工程以降に添加すれば、酵母等を取り除いた上で乳酸菌を含む乳酸発酵物のみで調合することになり、品質管理が比較的容易になるため、より好ましい。
グルコース1w/w%、酵母エキス0.5w/w%に調整した発酵原料液に、同原料液で32℃24時間前培養した乳酸菌Lactobacillus.paracasei KW3110株を1w/w%添加し、32℃で乳酸発酵を行った。(初期乳酸菌数は106cells/ml)。乳酸発酵槽は容量20Lで、攪拌速度を10rpmとし、槽内は窒素ガスで置換した状態とした。槽内はやや陽圧になる程度とし、通気は実施しなかった。発酵は48時間実施し、途中32時間まではpHが4.8を下回らないよう水酸化ナトリウムを添加した。
得られた発酵液は非常に爽快でまろやかな酸味を兼ね備えた香味であった。また、発酵液の組成は表1の通りであった。
乳酸発酵液を添加していない、一般的な製法で製造したアルコール分5.5v/v%、外観エキス1.7w/w%の発泡酒(コントロール)にはすっきりしてやわらかい酸味は感じられなかった。
糖度10°Pに調整した麦芽汁に、同麦芽汁で32℃24時間前培養した乳酸菌Lactobacillus.paracasei KW3110株を1w/w%添加し、32℃で乳酸発酵を行った。(初期乳酸菌数は106cells/ml)。乳酸発酵槽は容量20Lで、攪拌速度を10rpmとし、槽内は窒素ガスで置換しない状態とした。槽内はやや陽圧になる程度とし、通気は実施しなかった。乳酸発酵中に生成するダイアセチルを分解するために、市販のダイアセチル分解酵素(例えば、Novo Nordisk社のMaturex L)を0.5mg/L添加した。発酵は48時間実施し、途中32時間まではpHが4.5を下回らないよう水酸化ナトリウムを添加した。発酵終了後はプレート式熱交換機により80℃30秒の殺菌を行い発酵を停止した。
発酵液を一般的な製法で製造したアルコール分6.1v/v%、外観エキス1.9w/w%の発泡酒に、ろ過工程後に10w/w%添加した。得られた発泡酒はすっきり、柔らかい酸味を有しつつ、甘さと酸味が調和したマイルドな味覚を有していた。また、発泡酒の組成は表1の通りであった。
糖度10°Pに調整した麦芽汁に、同麦芽汁で32℃24時間前培養した乳酸菌Lactobacillus.paracasei KW3110株を1w/w%添加し、32℃で乳酸発酵を行った。(初期乳酸菌数は106cells/ml)。乳酸発酵槽は容量20Lで、攪拌速度を10rpmとし、槽内は窒素ガスで置換しない状態とした。槽内はやや陽圧になる程度とし、通気は実施しなかった。また、市販のダイアセチル分解酵素は添加しなかった。発酵は48時間実施し、途中32時間まではpHが4.5を下回らないよう水酸化ナトリウムを添加した。発酵終了後はプレート式熱交換機により80℃30秒の殺菌を行い発酵を停止した。
この発酵液をスプレードライヤーにて粉末の状態とした。乾燥の条件は入り口温度70℃、出口温度100℃、熱風温度180℃、処理速度を0.5L/hとした。
この粉体を一般的な製法で製造したアルコール分5.5v/v%、外観エキス1.7w/w%の発泡酒に、ろ過工程後に10w/w%添加した。得られた発泡酒は実施例2と同様に非常に爽快でまろやかな酸味と麦汁の甘味を兼ね備えた香味であった。また、発酵液の組成は表1の通りであった。また、発酵液、発泡酒の組成は表1の通りであった。
実施例2の乳酸発酵液を一般的な製法で製造したアルコール分6.1v/v%、外観エキス1.9w/w%の発泡酒にろ過前に10w/w%添加して、ろ過を実施した。得られた発泡酒の組成は実施例2と同様であるが、乳酸菌がないために、実施例2と比較するとまろやかさが足りない味覚となった。発泡酒の組成は表1の通りであった。
実施例3の乳酸発酵を乾燥せずにアルコール分6.1v/v%、外観エキス1.9w/w%の発泡酒に、ろ過後工程に10w/w%添加した。得られた発泡酒はすっきり、柔らかい酸味を有してはいるものの、強いダイアセチル臭によりビール本来の爽快さが損なわれていた。また、発酵液、発泡酒の組成は表1の通りであった。
一般的な製法で製造したアルコール分5.5v/v%、外観エキス1.7w/w%の発泡酒に実施例1の発泡酒と同程度の乳酸組成となるように、乳酸を700mg/L添加した。得られた発泡酒は、するどい、とがった酸味を有する味覚であった。発泡酒の組成は表1の通りであった。
一般的な製法で製造したアルコール分5.5v/v%、外観エキス1.7w/w%の発泡酒に実施例1の発泡酒と同程度の乳酸組成、pHとなるように、乳酸を700mg/L、25%水酸化ナトリウムを400mg/L添加した。得られた発泡酒は、比較例3ほどするどい、とがった酸味はなかったものの、やわらかい調和した酸味は有していなかった。発泡酒の組成は表1の通りであった。
Claims (7)
- 発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法において、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造工程中の酵母によるアルコール発酵終了時以降に、オリゴ糖を含む乳酸菌資化性糖、果汁、麦汁、穀類を原料とした糖化液の1種又はそれ以上を発酵原料液とする乳酸発酵物を、熱風乾燥処理或いは加熱殺菌処理により乳酸菌を殺菌したものを添加することを特徴とする乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
- 乳酸発酵物の添加が、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造工程の濾過工程後であることを特徴とする請求項1記載の乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
- 添加する乳酸発酵物が、嫌気性条件下に乳酸発酵を行って製造された乳酸発酵物であることを特徴とする請求項1又は2記載の乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
- 乳酸発酵物の熱風乾燥処理温度が95〜100℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
- 乳酸発酵物の加熱殺菌処理が、プレート式熱交換器による80℃30秒の殺菌処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
- 発酵麦芽飲料が、ビール又は雑酒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか記載の発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料の製造方法によって製造された、発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料が、ダイアセチル濃度がビール又は発泡酒での閾値0.1mg/1以下であることを特徴とする乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料。
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