JP4286719B2 - 小麦を用いた発酵麦芽飲料の製造方法 - Google Patents

小麦を用いた発酵麦芽飲料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4286719B2
JP4286719B2 JP2004148352A JP2004148352A JP4286719B2 JP 4286719 B2 JP4286719 B2 JP 4286719B2 JP 2004148352 A JP2004148352 A JP 2004148352A JP 2004148352 A JP2004148352 A JP 2004148352A JP 4286719 B2 JP4286719 B2 JP 4286719B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheat
malt
fermented malt
fermented
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004148352A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005328729A (ja
Inventor
義宗 岡田
雄人 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Brewery Co Ltd filed Critical Kirin Brewery Co Ltd
Priority to JP2004148352A priority Critical patent/JP4286719B2/ja
Publication of JP2005328729A publication Critical patent/JP2005328729A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4286719B2 publication Critical patent/JP4286719B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Active legal-status Critical Current

Links

Description

本発明は、麦芽(大麦)と、該麦芽以外の副原料を使用して発酵麦芽飲料を製造する方法において、該副原料の一部または全部に小麦分解物を用いる発酵麦芽飲料の製造方法に関する。
ビールや発泡酒のような麦芽を原料とする発酵麦芽飲料は、いずれも麦芽の活性酵素を利用して、麦芽の澱粉質や副原料である澱粉質原料を糖化させ、該糖化液を発酵させることによってアルコールや炭酸ガスを生成させ、発酵によるアルコール飲料として製造されるものである。該発酵麦芽飲料の製造において、大麦麦芽以外の原料として使用される副原料としては、通常、米、コーン、スターチ、大麦、液糖等が用いられている。また、古代よりビール等の発酵麦芽飲料の製造原料として、小麦も使用されている。小麦を醸造原料に用いたウィートビール(WHEAT BEERS)は、ヴァイツェン(小麦)ビールとして知られ、独特の果実の芳香を有する酸味のビールとして親しまれてきた(石井勉編集「ビール醸造技術」株式会社食品産業新聞社(1999年12月28日)P479−481)。
しかし、小麦をビール等の醸造原料として用いる場合には、その麦芽飲料の製造における取り扱い難さ等の製造技術上の問題等から、現在に至るまでも発酵麦芽飲料の製造原料として、大麦のような普及を見ないできた。その理由は、発酵麦芽飲料の製造における麦汁の製造の際の濾過において、大麦には殻がついていて、その殻が自然のフィルター層を形成し濾過が可能となるが、小麦には殻がないので、濾過層をつまらせ、濾過が困難になり、特に、ロイター(濾過槽)等により大量の濾過を行うのは困難となるということにあった。したがって、小麦をビール等の醸造原料として用いる場合には、大麦等の原料と一定の比率で混合して用いることが必要となり、小麦原料の含有するアミノ酸、蛋白質等の成分を十分かつ有効に利用し、小麦原料成分を生かした発酵麦芽飲料を製造するために、配合割合の多い小麦原料を用いるとしてもその使用量には限度があった。
一方、昨今、麦芽とそれより多い量の副原料を使用した発泡酒の製造が増加している。日本の酒税法上、麦芽を使用する酒類のうち、ビールは主原料として麦芽、副原料として米、コーン、スターチ等の澱粉質、ホップ及び水を原料とするものであるが、水を除く麦芽の使用量が67重量%以上と規定されている。一方、発泡酒は、上記原料のうち水を除く麦芽の使用量が50重量%以上66.7重量%未満、及び、25重量%以上50重量%未満、及び25重量%未満の3種類に区分されている。前記するようにビールも発泡酒も、麦芽の酵素やその他の酵素を用い、原料中の澱粉質を糖化させ、糖化液を発酵させて製造する発酵麦芽飲料である点では基本的に大きな相違はないが、発泡酒の場合はビールの場合と同一の条件で製造したとしても、麦芽の使用量に応じて、その香味及び香味の耐久性及び泡に変化を生じる。すなわち、麦芽の使用量が減少すると硫黄臭、こげ臭などのいわゆる発泡酒臭が目立つようになり、味覚的にも酸味が増加し、後味が悪くなるなど味覚の劣化を生じ、また香味の耐久性も悪くなる。また、泡持ちや泡つきのような泡特性も悪くなる。
そこで、これらの発泡酒臭による香味の劣化や泡特性の劣化を改善するために、副原料の一部又は全部を大麦分解物とする発泡酒の製造方法が開示されている(特許第3455162号公報)。この方法は、大麦分解物が窒素源、ビタミン、ミネラルなどビールの麦汁に近い組成を持っており、それを麦芽量の少ない発泡酒に使用することで、他の副原料、コーンスターチやコーングリッツ、液糖のような殆ど糖分のみしか供給されない副原料を使用した場合よりも酵母の発酵状況を改善させることよりなる。また、同様に、発泡酒の硫黄臭や酸味等の好ましくない香味の発生を防止し、香味がまろやかな、かつ、香味の耐久性のある発酵麦芽飲料を製造するために、副原料の一部又は全部を米分解物とする発泡酒の製造方法が開示されている(特開2004−8183号公報)。この方法は、米の液化液を糖分解酵素及び蛋白質分解酵素を用いて酵素分解することにより得られるアミノ酸及びミネラルを含有する糖液を副原料の一部又は全部に用いることにより、麦芽の使用の減少によるアミノ酸量の不足分を供給することよりなる。
しかし、副原料として大麦分解物を用いた発泡酒の製造の場合、大麦分解物からの窒素源、ビタミン、ミネラルなどの供給により、麦芽の使用量の減少による該成分の不足を改善して、製造される発泡酒の香味や泡の改善を図ることができるが、これらの大麦分解物からの成分では、比較的少ないアミノ酸量や、十分な量の高分子蛋白質量及び疎水性蛋白質量を見込めないため、発泡酒臭等の効率的かつ効果的な改善が十分達成し得ない面があり、更に、アミノ酸量や高分子蛋白質量、及び疎水性蛋白質量を豊富に供給して、独特の香味や泡特性に優れた発酵麦芽飲料を製造することができるものではなかった。一方、副原料として米分解物を用いた場合には、米分解物からのアミノ酸量は増加したとしても、高分子蛋白量や、疎水性蛋白量が多くは見込めないため、大麦分解物同様、発泡酒臭等の効率的かつ効果的な改善が十分ではなかった。
なお、大麦エキスや小麦エキス或いは米エキスのような穀類エキス、或いは大麦や小麦のような麦類澱粉原料を酵素により糖化したものを、発酵させて発酵飲料とすることについては、例えば、特開2001−157号公報或いは特開2004−24151号公報等に開示されている。前者は、炭水化物のみに着目し、又乳酸菌等での処理液を別の用途で使用しようとするものであり、全くの別の課題及び技術により成るものである。一方、後者は、酵素を用いた糖源としての用途のみを開示しているに留まる。
特許第3455162号公報。 特開2001−157号公報。 特開2004−8183号公報。 特開2004−24151号公報。 石井勉編集「ビール醸造技術」株式会社食品産業新聞社(1999年12月28日)P479−481。
本発明の課題は、麦芽と、該麦芽以外の副原料を使用して発酵麦芽飲料を製造する方法において、該副原料の一部又は全部として小麦を用い、香味豊かな、かつ、泡特性に優れた発酵麦芽飲料の製造方法を提供すること、特に、麦芽とそれより多い量の副原料を使用した、すなわち、麦芽の使用比率を減少させた発泡酒の製造にも適用することができ、麦芽の使用比率の減少による硫化物臭等の発泡酒臭の発生を防止し、更に、副原料に小麦を用ることによる独特の香味を付与するとともに、泡の形成と泡持時間増加等の泡特性に優れた発酵麦芽飲料を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、発酵麦芽飲料の製造において用いる製造原料や用いる条件等について鋭意検討したところ、麦芽と麦芽以外の副原料を使用して発酵麦芽飲料を製造する方法において、該副原料すなわち米、コーン、スターチ、糖類等の一部又は全部に、小麦を小麦分解物として用いることにより、小麦分解物に含まれる豊富なアミノ酸、全蛋白質、疎水性蛋白質等を有効に利用することが可能で、小麦を用ることによる独特の香味を付与した香味豊かな、かつ、泡特性に優れた発酵麦芽飲料を製造することが可能であり、しかも、従来、副原料に小麦の使用割合を増大させた場合に問題となっていた濾過等の製造技術上の制約を解消して、使用割合の高い小麦副原料を用いることが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
特に、本発明の方法を、麦芽とそれより多い量の副原料を使用した、すなわち、麦芽の使用比率を減少させた発泡酒の製造に適用することにより、発泡酒の製造において問題となっている、麦芽の使用比率の減少による硫化物臭等の発泡酒臭の発生を顕著に低減することができ、そして、本発明の方法により、発酵麦芽飲料製造における濾過工程の困難性等の製造上の問題を解消して、豊富な使用割合の小麦副原料を用いることが可能となったことにより、小麦を用ることによる果実香味の独特の香味が付与され、しかも、すっきりした、かつ、ふくよかな発泡酒を製造することができ、更に、麦芽の使用比率の減少による泡の形成と泡持時間の減少の問題を解決して、クリーミーな泡の形成と増加した泡持ち時間等の泡特性に優れた発泡酒を製造することができることを見い出した。
本発明の発酵麦芽飲料の製造方法は、副原料の一部又は全部に、小麦を小麦分解物として用いる以外に、基本的に、通常のビール及び発泡酒等の製造方法と変わるものではない。小麦分解物の投入は、糖化液の発酵工程の前であればいずれでも良い。また、使用する原料のうち、4重量%以上を小麦分解物とすることにより、香味豊かな、かつ、泡特性の良い発酵麦芽飲料を製造することができる。特に、全原料中の小麦分解物の割合が4重量%以上24重量%以下とすることで、優れた香味バランスを整えることが可能になり、より効率的かつ効果的に香味・泡特性の調整/改善を行うことが可能になる。更に、好ましくは、8〜12重量%の小麦分解物を用いることができる。
すなわち具体的には本発明は、麦芽とそれより多い量の麦芽以外の副原料を用いた発酵麦芽飲料の製造方法において、該副原料として、小麦と小麦麦芽の混合比率が小麦:小麦麦芽=4:1〜20:1の割合で混合したものを粉砕、浸漬して糖化を行い、水溶性成分を抽出し、濃縮して固形分濃度を50〜80%に調整することによって調製された小麦分解物を、全原料中の4重量%以上乃至24重量%以下の割合で用いたことを特徴とする発酵麦芽飲料の製造方法(請求項1)や、発酵麦芽飲料の製造が、麦芽とそれより多い量の副原料を使用した発泡酒の製造であることを特徴とする請求項1記載の発酵麦芽飲料の製造方法(請求項2)や、小麦分解物が、小麦の小麦麦芽及び/又は糖化酵素による分解物であることを特徴とする請求項1又は2記載の発酵麦芽飲料の製造方法(請求項3)や、製造された発酵麦芽飲料中の全蛋白質濃度が、70mg/L以上、230mg/L以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の発酵麦芽飲料の製造方法(請求項4)や、製造された発酵麦芽飲料中の疎水性蛋白質濃度が、60mg/L以上、200mg/L以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の発酵麦芽飲料の製造方法(請求項5)や、請求項1〜5のいずれか記載の発酵麦芽飲料の製造方法によって製造された発酵麦芽飲料(請求項6)からなる。
本発明の発酵麦芽飲料の製造方法は、副原料の一部又は全部に、小麦を小麦分解物として用いることにより、小麦分解物に含まれる豊富なアミノ酸、全蛋白質、疎水性蛋白質等を有効に利用することができ、小麦を用いることによる独特の香味を付与した香味豊かな、かつ、泡特性に優れた発酵麦芽飲料を製造することができる。しかも、従来、副原料に小麦の使用割合を増大させた場合に問題となっていた濾過等の製造技術上の制約を解消して、使用割合の高い小麦副原料を用いることが可能となり、通常のビールや発泡酒と同じ製造条件や製造装置・設備を使用して、上記のような香味豊かな、かつ、泡特性に優れた発酵麦芽飲料を製造することが可能となった。
特に、本発明の方法は、麦芽とそれより多い量の副原料を使用した、すなわち、麦芽の使用比率を減少させた発泡酒の製造に適用することにより、いわゆる発泡酒臭の発生等を顕著に低減することができ、そして、豊富な使用割合の小麦副原料を用いることが可能となったことにより、小麦を用いることによる果実香味の独特の香味が付与され、しかも、すっきりした、かつ、ふくよかな発泡酒を製造することができ、更に、クリーミーな泡の形成と増加した泡持ち時間等の泡特性に優れた発泡酒を提供することを可能とした。
本発明は、麦芽と、該麦芽以外の副原料を使用して発酵麦芽飲料を製造する方法において、該副原料の一部又は全部に小麦分解物を用いた発酵麦芽飲料の製造方法からなる。該発酵麦芽飲料としては、ビールや発泡酒が挙げられるが、本発明の発酵麦芽飲料の製造方法は、特に麦芽とそれより多い量の副原料を使用した発泡酒の製造方法に好適に適用することができる。本発明の発酵麦芽飲料の製造方法は、副原料の一部又は全部に小麦分解物を用いる点を除いては、基本的に、通常のビールや発泡酒の製造に用いられる製造条件や製造装置・設備を用いることができる。
(小麦分解物の使用割合)
本発明の発酵麦芽飲料に用いられる小麦分解物の使用割合については、全原料中の小麦分解物の割合の上限について特に制限を設けることなく、麦芽以外の原料全部を小麦分解物に置き換えることも出来るが、全原料中の小麦分解物の割合が4重量%以上12%重量以下とするのが、香味バランスの優れた発酵麦芽飲料を調製するのに適合し、かつ小麦原料を使用したことによる豊富な香味と優れた泡特性を保持する発酵麦芽飲料を調製するのに適合する上でより好ましい。
また、優れた香味バランスと優れた泡特性の発酵麦芽飲料の製造を実現する観点からは、小麦分解物を副原料に用いて製造した発酵麦芽飲料中の全蛋白質濃度が70mg/L以上、230mg/L以下となるように調製されるのがより好ましく、更に、発酵麦芽飲料中の疎水性蛋白質濃度が60mg/L以上、200mg/L以下となるように調製されるのが更に好ましい。
ここで、「全蛋白濃度」とは、ミリポア社製の遠心式フィルタユニット(Centriprep)により限外濾過処理して低分子(分画分子量3000以下)を除去した試料をBradford法により定量した蛋白濃度であって、「疎水性蛋白濃度」、「疎水性蛋白量」は、「疎水性蛋白量」=「全蛋白量」−「親水性蛋白量」の関係式の下、「全蛋白量」と、PS(Phenyl Sepharose)カラム非吸着画分蛋白質量として測定した「親水性蛋白量」から算出したものである。尚、測定方法は、「P.Chandley,An Improved Method for the Measurement of Form Polypeptide in Beer,BRFI QUARTERLY,Oct.p.26(1994) 」に基づくものである。
(小麦分解物の調製)
小麦分解物は、小麦を糖化酵素により分解して調製される。該糖化酵素としては、麦芽中の糖化酵素を用いることができるが、該麦芽としては、糖化分解物の組成を均質化する目的から、小麦麦芽を用いることが好ましい。麦芽中の糖化酵素を用いて糖化を行うに際しては、更に、α−アミラーゼやβ−アミラーゼ等を添加して糖化を促進することができる。また、小麦中の蛋白質等を分解するために、プロテアーゼを添加することもできる。これらの酵素としては適宜市販の酵素等を用いることができる。
小麦麦芽を用いて小麦分解物を調製するには、小麦に小麦麦芽を特定の割合で混合したものを粉砕、浸漬して、糖化を行い、水溶性成分を抽出し、濃縮して調製する。小麦麦芽は通常の方法で製麦されたものであれば良い。小麦と小麦麦芽の混合比率(重量比)については、小麦:小麦麦芽=1:1〜10:0であればよく、より好ましくは、4:1〜20:1が良い。小麦麦芽が0の場合は糖化酵素を加え、酵素反応により、効率的に水溶性成分を抽出させるのが良い。小麦分解物を製造するにあたり、濃縮の程度は通常50〜80%程度に調整する。80%を超えると粘度が高くなり加温して粘度を下げて使用する等のハンドリング調整が必要となる。また50%より濃度が低いと雑菌が繁殖しやすくなる点で保存性が悪くなる。よって、好ましいのは固形分濃度が50%〜80%のものである。
小麦分解物が、本発明の目的、すなわち、香味豊かで、泡特性に優れた発酵麦芽飲料を製造するという目的、更に、発泡酒の製造に適用して、問題となる発泡酒臭の発生を極力低減するという目的に最も適している理由として、該目的を達成するために不可欠な、アミノ酸の量が、最も多い点がまず挙げられる。表1に、米分解物や大麦分解物と比較した小麦分解物に含まれる各種アミノ酸の量(mg/L)を比較した一例を示す。つまり、小麦分解物(アミノ酸含有量0.7重量%)中の成分は、米分解物や大麦分解物とは異なり、発酵麦芽飲料の製造に使用する醸造酵母に適した組成のアミノ酸量が多く含まれており、米、大麦分解物よりも酵母に資化されやすいアミノ酸含量が多く、酵母活性のための栄養源として有効であると言える。
(小麦分解物を用いた発酵麦芽飲料の製造)
本発明の特徴を説明するため、まず本発明が適用される発酵麦芽飲料の一般的な製造方法を説明する。図1は代表的発酵麦芽飲料の一つである発泡酒の製造工程を示す。まず、主原料である麦芽の一部と澱粉質の一部又は全部を仕込釜に温水とともに投入し、さらに攪拌しながら所定の温度制御下に加熱し液化して醪を形成する。又、残りの麦芽に温水とともに仕込槽に投入し、混合しながら所定温度所定時間経過させて醪を形成する。次に、仕込釜で形成した醪を仕込槽で形成した醪に加え、仕込槽中に醪を所定温度(50〜78℃)で所定時間保持して酵素作用による糖化を行う。糖化終了後、濾過槽で濾過して麦汁を得る。
濾過工程によって得られた麦汁にホップを加え煮沸釜にて煮沸し熱麦汁を得る。
得られた熱麦汁は沈殿槽に送られ、ここで煮沸時に形成した凝固物や粕などを沈殿させて除去し、清澄な麦汁を得る。得られた麦汁をプレートクーラーで6〜10℃までに冷却される。冷却された麦汁は発酵タンクに移され、これに酵母を加えて発酵を数日間行う。得られた発酵液を貯蔵タンクにて熟成を数週間行う。熟成を終了した段階で目的とする発泡酒が得られる。以上が発泡酒の製造の一般的な工程であるが、該工程は、ビール等麦芽を使用した通常の発酵麦芽飲料の製造工程と基本的に変わるものではない。
本発明の特徴は、上記発酵麦芽飲料の製造方法において、水を除く麦芽以外の原料の一部又は全部に小麦分解物を使用する点である。本発明の実施形態においては、図1に示した発泡酒の製造工程に適用する場合について説明すると、濾過工程で得られた麦汁に小麦分解物を混合させ、ホップを加えて煮沸釜にて煮沸し、以後の製造工程は図1に示した工程に沿って行えば良い。麦芽比率を一定とし、発酵に必要な糖分を米、大麦、トウモロコシ(コーン、スターチ)、液糖等の副原料を使用する場合、小麦分解物を副原料の一部として上記副原料に置き換えて使用することが出来る。また上記副原料すべてを小麦分解物で置き換えて使用することも可能であり、かかることにより、これまでの副原料と異なり、酵母の栄養源(アミノ酸)を豊富に含有する副原料となり得る。図1の工程において、小麦分解物の投入を発酵工程に移行する前であればどの段階で投入しても、同様の効果(アミノ酸の増加)が得られる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
麦芽使用比率24%の発泡酒を、使用する小麦分解物の量を変えて製造し、これらについて香味の官能評価、泡持ち時間、泡蛋白量、泡の形状について比較を行った。実施設備としては2klスケールの試醸設備を使用して実験醸造を行った。
本実施例においては、濾過工程で得られた麦汁に小麦分解物を混合させ、ホップを加えて煮沸釜にて煮沸し、熱麦汁を得る。この熱麦汁から煮沸時に形成した凝固物や粕などを沈殿させて除去した後、プレートクーラーで6℃〜10℃の範囲で冷却した後、発酵タンクに移し、酵母を添加して発酵を行う。発酵終了後、得られた発酵液を数週間熟成して最終的な発泡酒を得た。
[使用原料と製造工程]
使用する麦芽を106kgとし、麦芽を除く水以外の原料(副原料(米、コーン、スターチ、大麦、液糖)、ホップ及び本発明による小麦分解物)を348kgとした。そして小麦分解物の水以外の全原料に占める割合を0重量%(対照区)、4%重量(試験区1)、8重量%(試験区2)、12重量%(試験区3)、24%重量(試験区4)として、前述した発泡酒の製造工程に従って製造した。
[評価]
下記表2、表3の結果からもわかるように、従来の発泡酒に使用していた副原料をすくなくとも全体で8%の小麦分解物に代えることにより、硫化臭といった発泡酒特有の香味が低減され、水っぽさといった麦芽の量が少ないことに起因する香味が軽減されることがわかった。かつ「ふくよか」といった小麦独特の香味が付与され、グラスに注いだ時に発生する泡がクリーミーであるといった特徴も見出された。また、小麦分解物を使用していない対照区の試醸品と比較して小麦分解物を使用した試醸品の試験区2、試験区3で冷却麦汁のアミノ酸含量が増加し、製品でのアミノ酸含量との比較から酵母が消費したアミノ酸量が増加していることがわかる。小麦分解物は酵母の栄養供給源として働き、アルコール発酵をより高め、結果として好ましい香味の発酵麦芽飲料の製造に寄与していると考えることが出来る。
また、麦芽を原料とする発酵麦芽飲料の製造に際し、麦芽以外の副原料として小麦分解物を添加することで、優れた香味、クリーミーで持続する泡特性を持った発酵麦芽飲料の製造が可能となる。なお、上記実施例では、小麦分解物を煮沸工程において副含量の一部として添加したが、この小麦分解物の添加は仕込工程や冷却工程など、発酵工程の前であればどの段階でもよい。
また、上記実施例では小麦分解物の添加割合を全体の原料に対して最大12重量%までで示したが、上限については特に制限を設けることなく、麦芽以外の原料全部を小麦分解物に置き換えることも出来る。ただし、24重量%を超えると添加量に対する改善効果率の伸びが緩やかとなることに加え、小麦以外の原料の良さを引き出しかつ小麦分解物による効果と調和のとれた香味とする観点から、4〜24重量%の範囲が適当であることを確認している。より好ましくは、8〜12重量%であればよい。
[泡蛋白の測定と泡特性の評価]
「疎水性蛋白量」は、「疎水性蛋白量」=「全蛋白量」−「親水性蛋白量」の関係式の下、Centriprepにより限外濾過処理して低分子を除去した試料をBradford法により定量した蛋白量として測定した「全蛋白量」と、PS(Phenyl Sepharose)カラム非吸着画分蛋白質量として測定した「親水性蛋白量」から算出した。尚、測定方法は、「P.Chandley,An Improved Method for the Measurement of Form Polypeptide in Beer,BRFI QUARTERLY,Oct.p.26(1994) 」に基づくものである。
下記の表4、5からわかるように小麦分解物を使用した製品で全蛋白量、疎水性蛋白量が供に増加し、市販の発泡酒よりも優位に泡持ち時間が良くなり、市販ビールと同程度の泡持ち時間となることがわかった。







本発明の製造方法の説明における、一般的な麦芽アルコール飲料の製法を示す図である。

Claims (6)

  1. 麦芽とそれより多い量の麦芽以外の副原料を用いた発酵麦芽飲料の製造方法において、該副原料として、小麦と小麦麦芽の混合比率が小麦:小麦麦芽=4:1〜20:1の割合で混合したものを粉砕、浸漬して糖化を行い、水溶性成分を抽出し、濃縮して固形分濃度を50〜80%に調整することによって調製された小麦分解物を、全原料中の4重量%以上乃至24重量%以下の割合で用いたことを特徴とする発酵麦芽飲料の製造方法。
  2. 発酵麦芽飲料の製造が、麦芽とそれより多い量の副原料を使用した発泡酒の製造であることを特徴とする請求項1記載の発酵麦芽飲料の製造方法。
  3. 小麦分解物が、小麦の小麦麦芽及び/又は糖化酵素による分解物であることを特徴とする請求項1又は2記載の発酵麦芽飲料の製造方法。
  4. 製造された発酵麦芽飲料中の全蛋白質濃度が、70mg/L以上、230mg/L以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の発酵麦芽飲料の製造方法。
  5. 製造された発酵麦芽飲料中の疎水性蛋白質濃度が、60mg/L以上、200mg/L以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の発酵麦芽飲料の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の発酵麦芽飲料の製造方法によって製造された発酵麦芽飲料。
JP2004148352A 2004-05-18 2004-05-18 小麦を用いた発酵麦芽飲料の製造方法 Active JP4286719B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004148352A JP4286719B2 (ja) 2004-05-18 2004-05-18 小麦を用いた発酵麦芽飲料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004148352A JP4286719B2 (ja) 2004-05-18 2004-05-18 小麦を用いた発酵麦芽飲料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005328729A JP2005328729A (ja) 2005-12-02
JP4286719B2 true JP4286719B2 (ja) 2009-07-01

Family

ID=35483781

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004148352A Active JP4286719B2 (ja) 2004-05-18 2004-05-18 小麦を用いた発酵麦芽飲料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4286719B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4963560B2 (ja) * 2006-03-28 2012-06-27 国立大学法人京都大学 発酵麦芽飲料及びその製造方法
JP5417611B2 (ja) * 2008-08-29 2014-02-19 麒麟麦酒株式会社 ビール風味アルコール飲料の製造方法
CA2778563C (en) * 2009-10-27 2015-01-27 Sapporo Breweries Limited Effervescent drink and method for producing same
CN103097508B (zh) 2011-06-07 2016-03-23 麒麟麦酒株式会社 泡沫保持性提高剂
JP5882707B2 (ja) * 2011-12-08 2016-03-09 アサヒビール株式会社 ビールテイスト飲料の製造方法
JP6198371B2 (ja) * 2012-03-16 2017-09-20 サッポロビール株式会社 ノンアルコール麦芽飲料及びその製造方法
JP6068831B2 (ja) * 2012-05-14 2017-01-25 サッポロビール株式会社 植物原料液及び飲料並びにこれらに関する方法
JP6231590B2 (ja) * 2016-02-04 2017-11-15 アサヒビール株式会社 ビールテイスト飲料の製造方法
JP7137268B2 (ja) * 2018-06-06 2022-09-14 サッポロビール株式会社 ビールテイスト飲料の製造方法及び小麦麦芽の評価方法並びにろ過性の向上方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005328729A (ja) 2005-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4319243B2 (ja) 発泡アルコール飲料及びその製造方法
RU2564564C2 (ru) Слабоалкогольный или безалкогольный сброженный напиток на основе солода и способ его получения
JP7462596B2 (ja) ビールテイスト飲料
KR101981159B1 (ko) 오크통을 이용한 고품질 수제 쌀맥주의 제조방법
JP2009028007A (ja) 麦芽アルコール飲料の製造方法
JP5695322B2 (ja) 酵母エキスを用いたビールテイスト飲料の香味改善方法および香味改善したビールテイスト飲料
CN103582431A (zh) 非发酵啤酒味饮料及其制造方法
Aroh Beer production
JP4286719B2 (ja) 小麦を用いた発酵麦芽飲料の製造方法
JP4256351B2 (ja) 発泡アルコール飲料及びその製造方法
JP5607379B2 (ja) 玄米を用いたビールテイスト飲料およびその製造方法
WO2021070930A1 (ja) ビールテイスト発酵麦芽飲料
JP2005333981A (ja) 発泡アルコール飲料及びその製造方法
JP3455162B2 (ja) 発泡酒の製造方法
JP5855579B2 (ja) ピルビン酸含有量の高いビール様発泡性発酵飲料の製造方法
JP4104914B2 (ja) 麦芽アルコール飲料の製造方法及び麦芽アルコール飲料
KR20180068380A (ko) 연질미를 이용한 쌀맥주의 제조방법
KR102634560B1 (ko) 맥주맛 발효 맥아 음료 및 그의 제조 방법, 및 맥주맛 발효 맥아 음료의 싱거운 음용감을 완화하는 방법
JP4494123B2 (ja) 大麦、小麦及び麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料の製造方法及びその製造方法により製造した発泡性アルコール飲料、並びに麦芽アルコール飲料の製造方法及びその製造方法により製造した麦芽アルコール飲料
JP4219959B2 (ja) 発泡アルコール飲料及びその製造方法
JP3968183B2 (ja) 麦芽アルコール飲料の製造法
JP4305920B2 (ja) 乳酸菌入り発酵麦芽飲料又は麦芽代替発酵飲料、及びその製造方法
JPH1057044A (ja) 発泡酒の製造方法
JP7181333B2 (ja) 穀物香が低減された麦芽飲料
JPH07168A (ja) ビール類似の新規な発泡酒の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060808

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070730

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070914

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090324

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090325

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120403

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4286719

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120403

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150403

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250