JPH1057044A - 発泡酒の製造方法 - Google Patents
発泡酒の製造方法Info
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- JPH1057044A JPH1057044A JP8213834A JP21383496A JPH1057044A JP H1057044 A JPH1057044 A JP H1057044A JP 8213834 A JP8213834 A JP 8213834A JP 21383496 A JP21383496 A JP 21383496A JP H1057044 A JPH1057044 A JP H1057044A
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- Japan
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- malt
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- Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 麦芽の使用量を副原料より少なくした原料に
より発泡酒を製造する方法において、発酵後得られる発
酵液に生成されるリンゴ酸及びコハク酸の量を制御でき
るようにして発泡酒の香味を調整可能とする。 【解決手段】 麦芽と副原料と温水とを仕込釜に投入し
て形成したマイシェと麦芽と温水とを仕込槽に投入して
形成したマイシェとを混合して形成したマイシェを濾過
工程、煮沸工程を経て発酵させて発泡酒を製造する発泡
酒の製造方法において、発酵工程において発酵温度を1
0〜14℃の範囲で調整、及び/又は添加するビール酵
母の量を調整することにより発酵終了後に生成されるリ
ンゴ酸及びコハク酸含量を制御する。これにより、得ら
れる発泡酒の香味を調整することが可能となる。
より発泡酒を製造する方法において、発酵後得られる発
酵液に生成されるリンゴ酸及びコハク酸の量を制御でき
るようにして発泡酒の香味を調整可能とする。 【解決手段】 麦芽と副原料と温水とを仕込釜に投入し
て形成したマイシェと麦芽と温水とを仕込槽に投入して
形成したマイシェとを混合して形成したマイシェを濾過
工程、煮沸工程を経て発酵させて発泡酒を製造する発泡
酒の製造方法において、発酵工程において発酵温度を1
0〜14℃の範囲で調整、及び/又は添加するビール酵
母の量を調整することにより発酵終了後に生成されるリ
ンゴ酸及びコハク酸含量を制御する。これにより、得ら
れる発泡酒の香味を調整することが可能となる。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、麦芽を使用した酒
類のうち、麦芽の使用量が原料より少ない発泡酒の製造
方法に係り、特に、発酵工程における発酵条件を調整す
ることにより香味を任意に変化できるようにした発泡酒
の製造方法に関する。
類のうち、麦芽の使用量が原料より少ない発泡酒の製造
方法に係り、特に、発酵工程における発酵条件を調整す
ることにより香味を任意に変化できるようにした発泡酒
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】麦芽及び米、コーンス、ターチ等の澱粉
質原料を主原料とする発泡酒では、仕込等を同一条件で
製造したとしても、麦芽の使用量に応じてその味及び香
(以下、「香味」という)に変化を生ずる。
質原料を主原料とする発泡酒では、仕込等を同一条件で
製造したとしても、麦芽の使用量に応じてその味及び香
(以下、「香味」という)に変化を生ずる。
【0003】麦芽の使用量を減らして行き、澱粉質原料
の使用量に対して麦芽の使用量を少なくした場合には、
本発明者の研究結果によると、ビールと同一条件で製造
したとしても、通常のビールと異なる香味のものが得ら
れることがわかった。すなわち、麦芽の使用量を減らし
ていくと、味覚的には、酸味の増加が目立ってくること
が明らかになった。
の使用量に対して麦芽の使用量を少なくした場合には、
本発明者の研究結果によると、ビールと同一条件で製造
したとしても、通常のビールと異なる香味のものが得ら
れることがわかった。すなわち、麦芽の使用量を減らし
ていくと、味覚的には、酸味の増加が目立ってくること
が明らかになった。
【0004】本発明者の研究によると、麦芽の使用量を
変化させた数種類の麦汁をつくり、発酵試験を行ったと
ころ、主発酵終了時の有機酸生成量は、発酵条件が同一
であっても、麦芽使用量が少なくなるにつれて有機酸生
成量が増加することが明らかとなった。
変化させた数種類の麦汁をつくり、発酵試験を行ったと
ころ、主発酵終了時の有機酸生成量は、発酵条件が同一
であっても、麦芽使用量が少なくなるにつれて有機酸生
成量が増加することが明らかとなった。
【0005】そこで、本発明者は、発酵過程において必
要な物質である、麦汁中の遊離アミノ態窒素量と麦芽の
使用量との関連性について調査、研究を行うため、麦汁
に添加量を変化させて試験を行ったところ、アミノ酸添
加量の増加に伴ってリンゴ酸やコハク酸等の有機酸の生
成量が減少することが明らかになった。
要な物質である、麦汁中の遊離アミノ態窒素量と麦芽の
使用量との関連性について調査、研究を行うため、麦汁
に添加量を変化させて試験を行ったところ、アミノ酸添
加量の増加に伴ってリンゴ酸やコハク酸等の有機酸の生
成量が減少することが明らかになった。
【0006】また、本発明者は、さらに、リンゴ酸やコ
ハク酸の生成について、発酵工程における影響を調べる
ため発酵試験を実施した。これによると、発酵工程にお
いて発酵温度を通常のビール製造時に比して低くするこ
によりリンゴ酸やコハク酸の生成量を抑制することがで
きることが判明した。また、発酵工程におけるビール酵
母の添加量を増やすこによっても、リンゴ酸やコハク酸
の生成量を抑制するこが明らかとなった。
ハク酸の生成について、発酵工程における影響を調べる
ため発酵試験を実施した。これによると、発酵工程にお
いて発酵温度を通常のビール製造時に比して低くするこ
によりリンゴ酸やコハク酸の生成量を抑制することがで
きることが判明した。また、発酵工程におけるビール酵
母の添加量を増やすこによっても、リンゴ酸やコハク酸
の生成量を抑制するこが明らかとなった。
【0007】これらの事実は、麦芽の使用量が副原料よ
り少ない原料を使用する発泡酒の製造において、発酵工
程において、発酵温度及び/又は酵母添加量を調整する
ことにより、発酵によって得られる発酵液に含まれるリ
ンゴ酸及びコハク酸量を制御することが可能となり、発
泡酒の香味を調整可能にすることを示すものである。
り少ない原料を使用する発泡酒の製造において、発酵工
程において、発酵温度及び/又は酵母添加量を調整する
ことにより、発酵によって得られる発酵液に含まれるリ
ンゴ酸及びコハク酸量を制御することが可能となり、発
泡酒の香味を調整可能にすることを示すものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記各種研
究及び実験から得られた知見に基づきなされたもので、
麦芽及び米、コーン、スターチ等のでんぷん質副原料よ
り製造する発泡酒であって、麦芽の使用量が他の副原料
より少ない発泡酒の製造方法において、発酵工程におけ
る発酵温度及び/又は酵母添加量を調整することにより
得られる発酵液に含まれるリンゴ酸及びコハク酸量を制
御し、もって発泡酒の香味の調整を行うことができる発
泡酒の製造方法を提供することにある。
究及び実験から得られた知見に基づきなされたもので、
麦芽及び米、コーン、スターチ等のでんぷん質副原料よ
り製造する発泡酒であって、麦芽の使用量が他の副原料
より少ない発泡酒の製造方法において、発酵工程におけ
る発酵温度及び/又は酵母添加量を調整することにより
得られる発酵液に含まれるリンゴ酸及びコハク酸量を制
御し、もって発泡酒の香味の調整を行うことができる発
泡酒の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した問題点
を解決することを目的としてなされたもので、麦芽と該
麦芽よりも多い量の副原料を使用し、所定量の麦芽を仕
込槽でマイシェ化し、残りの麦芽と他の副原料とを仕込
釜にてマイシェ化した後両マイシェを混合し混合マイシ
ェを得る工程と、該混合マイシェを濾過して濾過麦汁を
得る濾過工程と、該濾過麦汁をを煮沸して得られた麦汁
を冷却し酵母を添加して発酵を行わせる発酵工程を有す
る発泡酒の製造方法であって、前記発酵工程における発
酵温度を調整して、発酵後得られる発酵液に含まれるリ
ンゴ酸及びコハク酸の量を制御するようにしたことを特
徴とする。
を解決することを目的としてなされたもので、麦芽と該
麦芽よりも多い量の副原料を使用し、所定量の麦芽を仕
込槽でマイシェ化し、残りの麦芽と他の副原料とを仕込
釜にてマイシェ化した後両マイシェを混合し混合マイシ
ェを得る工程と、該混合マイシェを濾過して濾過麦汁を
得る濾過工程と、該濾過麦汁をを煮沸して得られた麦汁
を冷却し酵母を添加して発酵を行わせる発酵工程を有す
る発泡酒の製造方法であって、前記発酵工程における発
酵温度を調整して、発酵後得られる発酵液に含まれるリ
ンゴ酸及びコハク酸の量を制御するようにしたことを特
徴とする。
【0010】発酵温度を10℃〜14℃の範囲で調整す
ることにより、リンゴ酸及びコハク酸の生成量を抑制す
ることが可能となる。また、本発明は、麦芽と該麦芽よ
りも多い量の副原料を使用し、所定量の麦芽を仕込槽で
マイシェ化し、残りの麦芽と他の副原料とを仕込釜にて
マイシェ化した後両マイシェを混合し混合マイシェを得
る工程と、該混合マイシェを濾過して濾過麦汁を得る濾
過工程と、該濾過麦汁を煮沸して得られた麦汁を冷却し
酵母を添加して発酵を行わせる発酵工程を有する発泡酒
の製造方法であって、前記発酵工程における酵母添加量
を調整して発酵後得られる発泡酒に含まれるリンゴ酸及
びコハク酸の生成量を制御することを特徴とする。
ることにより、リンゴ酸及びコハク酸の生成量を抑制す
ることが可能となる。また、本発明は、麦芽と該麦芽よ
りも多い量の副原料を使用し、所定量の麦芽を仕込槽で
マイシェ化し、残りの麦芽と他の副原料とを仕込釜にて
マイシェ化した後両マイシェを混合し混合マイシェを得
る工程と、該混合マイシェを濾過して濾過麦汁を得る濾
過工程と、該濾過麦汁を煮沸して得られた麦汁を冷却し
酵母を添加して発酵を行わせる発酵工程を有する発泡酒
の製造方法であって、前記発酵工程における酵母添加量
を調整して発酵後得られる発泡酒に含まれるリンゴ酸及
びコハク酸の生成量を制御することを特徴とする。
【0011】酵母添加量を通常のビール製造における酵
母添加量より多い1%〜3%の範囲とすることにより、
リンゴ酸及びコハク酸の生成量を抑制するこができる。
更に、本発明によれば、発酵工程における温度の調整と
酵母添加量の調整を併用することにより、発酵後得られ
る発酵液に含まれるリンゴ酸及びコハク酸の生成量の制
御を容易にすることができる。
母添加量より多い1%〜3%の範囲とすることにより、
リンゴ酸及びコハク酸の生成量を抑制するこができる。
更に、本発明によれば、発酵工程における温度の調整と
酵母添加量の調整を併用することにより、発酵後得られ
る発酵液に含まれるリンゴ酸及びコハク酸の生成量の制
御を容易にすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
き、図面を参照して説明する。図1は本発明の発泡酒の
製造方法における発酵工程前の仕込工程の1実施例を示
す仕込ダイアグラムである。
き、図面を参照して説明する。図1は本発明の発泡酒の
製造方法における発酵工程前の仕込工程の1実施例を示
す仕込ダイアグラムである。
【0013】本実施例は、麦芽の使用量が全原料の24
重量%である原料を使用して発泡酒を製造する例を示す
ものである。図1において、麦芽の一部と副原料である
米、コーン、スターチ、は温水と共に仕込釜に入れられ
煮沸してマイシェを形成する。一方、残りの麦芽は温水
と共に仕込槽に投入されて、そこで所定温度(37
℃)、所定時間(蛋白休止時間:20分)経過させてマ
イシェが形成される。
重量%である原料を使用して発泡酒を製造する例を示す
ものである。図1において、麦芽の一部と副原料である
米、コーン、スターチ、は温水と共に仕込釜に入れられ
煮沸してマイシェを形成する。一方、残りの麦芽は温水
と共に仕込槽に投入されて、そこで所定温度(37
℃)、所定時間(蛋白休止時間:20分)経過させてマ
イシェが形成される。
【0014】仕込釜で形成されたマイシェを仕込槽に移
し、両マイシェを混合し、混合されたマイシェを約65
℃に昇温させて所定時間保持する。この過程でマイシェ
は麦芽に含まれる酵素の働きで澱粉質は糖分に糖化され
る。次に、このマイシェを濾過器で濾過し、濾液として
濾過麦汁が得られる。
し、両マイシェを混合し、混合されたマイシェを約65
℃に昇温させて所定時間保持する。この過程でマイシェ
は麦芽に含まれる酵素の働きで澱粉質は糖分に糖化され
る。次に、このマイシェを濾過器で濾過し、濾液として
濾過麦汁が得られる。
【0015】上記濾過工程で得られた濾過麦汁は煮沸釜
でホップが添加されて煮沸され、熱麦汁が得られる。こ
れによって、ホップ中のフムロン等のα酸により苦み
が、ホップ油により香が麦汁に付与されるとともに麦汁
中の蛋白質が凝固される。そして、この麦汁は沈殿槽に
移され、凝固蛋白質や夾雑物を底部に沈殿させて、その
沈殿物等を分離除去する。これによって得られた麦汁を
冷却し、次の発酵工程に移される。 冷却された麦汁は
発酵槽に移され、ビール酵母を添加して所定温度(10
〜14℃)で7〜8日間かけて発酵させる。これによ
り、麦汁中の糖分は殆どがアルコールと炭酸ガスに分解
されて発酵液が得られる。
でホップが添加されて煮沸され、熱麦汁が得られる。こ
れによって、ホップ中のフムロン等のα酸により苦み
が、ホップ油により香が麦汁に付与されるとともに麦汁
中の蛋白質が凝固される。そして、この麦汁は沈殿槽に
移され、凝固蛋白質や夾雑物を底部に沈殿させて、その
沈殿物等を分離除去する。これによって得られた麦汁を
冷却し、次の発酵工程に移される。 冷却された麦汁は
発酵槽に移され、ビール酵母を添加して所定温度(10
〜14℃)で7〜8日間かけて発酵させる。これによ
り、麦汁中の糖分は殆どがアルコールと炭酸ガスに分解
されて発酵液が得られる。
【0016】本発明では、この発酵工程におけるビール
酵母の添加量を調整するとともに、発酵温度を調整して
発酵液中に生成されるリンゴ酸及びコハク酸の量を制御
するものである。
酵母の添加量を調整するとともに、発酵温度を調整して
発酵液中に生成されるリンゴ酸及びコハク酸の量を制御
するものである。
【0017】
【実施例】以下に上記仕込工程を経て得られた麦汁を使
用した発酵工程において、発酵温度、及び添加酵母量の
発酵条件を変えて行った発酵試験を示す。表1は実施し
た試験内容を示し、麦芽の使用量が全原料の24%で、
図1の仕込工程で得た発泡酒製造のための糖化液を使用
し、添加酵母量及び発酵温度それぞれ3段階に変えて実
施したもので、サンプルA1〜サンプルA9の9サンプ
ルについて実施したものである。なお、サンプルB1〜
サンプルB9は比較対象のために通常のビールの製造に
おける発酵液をサンプルを使用し、それぞれ同一の発酵
条件で行ったものである。
用した発酵工程において、発酵温度、及び添加酵母量の
発酵条件を変えて行った発酵試験を示す。表1は実施し
た試験内容を示し、麦芽の使用量が全原料の24%で、
図1の仕込工程で得た発泡酒製造のための糖化液を使用
し、添加酵母量及び発酵温度それぞれ3段階に変えて実
施したもので、サンプルA1〜サンプルA9の9サンプ
ルについて実施したものである。なお、サンプルB1〜
サンプルB9は比較対象のために通常のビールの製造に
おける発酵液をサンプルを使用し、それぞれ同一の発酵
条件で行ったものである。
【0018】
【表1】
【0019】発酵温度は10℃、12℃、14℃の3段
階とし、酵母の添加量は、発酵させる糖化液に対する水
分50%の酵母懸濁液の割合で示し、1%、2%、3%
の3種類で実施したものである。なお、通常のビールの
製造における酵母添加量は1%程度であり、2%、3%
は通常のビールの2〜3倍に相当するものである。
階とし、酵母の添加量は、発酵させる糖化液に対する水
分50%の酵母懸濁液の割合で示し、1%、2%、3%
の3種類で実施したものである。なお、通常のビールの
製造における酵母添加量は1%程度であり、2%、3%
は通常のビールの2〜3倍に相当するものである。
【0020】図2は発酵液のリンゴ酸測定結果を示す。
この測定結果が示すように、発泡酒のサンプルにおいて
は、酵母の添加量が増すにつれてリンゴ酸の生成量が減
少する。これは、いずれの発酵温度の場合でも同じ傾向
を示す。これに対してビール仕様の発酵液サンプルにお
いては、添加酵母量にほとんど影響を受けていない。
この測定結果が示すように、発泡酒のサンプルにおいて
は、酵母の添加量が増すにつれてリンゴ酸の生成量が減
少する。これは、いずれの発酵温度の場合でも同じ傾向
を示す。これに対してビール仕様の発酵液サンプルにお
いては、添加酵母量にほとんど影響を受けていない。
【0021】また、添加酵母量を一定にして発酵温度を
変化させた場合は、図3に示すようになる。図3が示す
ように、発酵温度を高くするほどリンゴ酸の生成量は増
す。なお、ビール仕様のサンプルでは、発酵温度の影響
も少ない。これらの結果が示すように、例えば、発酵温
度を10℃とし、酵母添加量を3%にすればビール並の
リンゴ酸含量に抑制することが可能となる。
変化させた場合は、図3に示すようになる。図3が示す
ように、発酵温度を高くするほどリンゴ酸の生成量は増
す。なお、ビール仕様のサンプルでは、発酵温度の影響
も少ない。これらの結果が示すように、例えば、発酵温
度を10℃とし、酵母添加量を3%にすればビール並の
リンゴ酸含量に抑制することが可能となる。
【0022】図4、図5に発酵液のコハク酸の測定結果
を示す。コハク酸の生成量はビール仕様のものではいず
れの条件でも低いのに対して、発泡酒仕様のものはいず
れも高い値を示している。図4に示すように、リンゴ酸
と同様に酵母添加量を増すほどコハク酸の生成量を抑制
することができることがわかる。また、図5に示すよう
に発酵温度を高くするほどコハク酸生成量は増加する。
を示す。コハク酸の生成量はビール仕様のものではいず
れの条件でも低いのに対して、発泡酒仕様のものはいず
れも高い値を示している。図4に示すように、リンゴ酸
と同様に酵母添加量を増すほどコハク酸の生成量を抑制
することができることがわかる。また、図5に示すよう
に発酵温度を高くするほどコハク酸生成量は増加する。
【0023】以上の試験結果からもわかるように、発酵
温度を10〜14℃の範囲で変化させることにり、リン
ゴ酸については、100mg/Lから270mg/L程
度の範囲で、また、コハク酸については200〜400
mg/Lの範囲で変化させることが可能である。なお、
発泡酒の場合、発酵温度10℃以下ではビール酵母の発
酵力が低下するため本発明においては10℃以上で実施
している。また、14℃以上においてはさらにリンゴ
酸、コハク酸の生成量は増加するが、これ以上のリンゴ
酸あるいはコハク酸が生成すると発泡酒の香味の幅の限
界(酸味が強すぎる)を越えるものとなり好ましくなく
なる。したがって、発酵温度の調整範囲としては10〜
14℃としている。 また、酵母の添加量については、
通常のビール並の1%を必要最低限度であるが、3%を
越えると酵母臭がでるようになり、発泡酒として好まし
くなく、3%を限度として調整している。なお、上述し
た発酵条件において発酵温度を10℃、酵母添加量を3
%程度にすると、リンゴ酸、コハク酸の生成量がビール
に近い値になり、香味もビールに近い発泡酒を得ること
ができる。
温度を10〜14℃の範囲で変化させることにり、リン
ゴ酸については、100mg/Lから270mg/L程
度の範囲で、また、コハク酸については200〜400
mg/Lの範囲で変化させることが可能である。なお、
発泡酒の場合、発酵温度10℃以下ではビール酵母の発
酵力が低下するため本発明においては10℃以上で実施
している。また、14℃以上においてはさらにリンゴ
酸、コハク酸の生成量は増加するが、これ以上のリンゴ
酸あるいはコハク酸が生成すると発泡酒の香味の幅の限
界(酸味が強すぎる)を越えるものとなり好ましくなく
なる。したがって、発酵温度の調整範囲としては10〜
14℃としている。 また、酵母の添加量については、
通常のビール並の1%を必要最低限度であるが、3%を
越えると酵母臭がでるようになり、発泡酒として好まし
くなく、3%を限度として調整している。なお、上述し
た発酵条件において発酵温度を10℃、酵母添加量を3
%程度にすると、リンゴ酸、コハク酸の生成量がビール
に近い値になり、香味もビールに近い発泡酒を得ること
ができる。
【0024】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、麦芽の
使用量が副原料より少ない原料を使用する発泡酒の製造
方法において、発酵工程において、発酵温度を調整する
こと、及び/又は酵母の添加量を調整することにより発
酵後得られる発酵液中に生成されるリンゴ酸及びコハク
酸量を制御することが可能となり、これによって、製造
される発泡酒の香味の幅を調整することが可能となる。
使用量が副原料より少ない原料を使用する発泡酒の製造
方法において、発酵工程において、発酵温度を調整する
こと、及び/又は酵母の添加量を調整することにより発
酵後得られる発酵液中に生成されるリンゴ酸及びコハク
酸量を制御することが可能となり、これによって、製造
される発泡酒の香味の幅を調整することが可能となる。
【図1】本発明に係る発泡酒の製造方法における仕込ダ
イアグラムの1実施例を示す。
イアグラムの1実施例を示す。
【図2】酵母添加量と発酵終了時のリンゴ酸含量の関係
を示す図である。
を示す図である。
【図3】発酵温度の変化と発酵終了時のリンゴ酸含量の
関係を示す図である。
関係を示す図である。
【図4】酵母添加量と発酵終了時ののコハク酸含量の関
係を示す図である。
係を示す図である。
【図5】発酵温度の変化と発酵終了時のコハク酸含量の
関係を示す図である。
関係を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 麦芽と該麦芽よりも多い量の副原料を使
用し、所定量の麦芽を仕込槽でマイシェ化し、残りの麦
芽と前記副原料とを仕込釜にてマイシェ化した後両マイ
シェを混合し混合マイシェを得る工程と、該混合マイシ
ェを濾過して濾過麦汁を得る濾過工程と、該濾過麦汁を
煮沸した後に冷却し酵母を添加して発酵を行わせる発酵
工程を有する発泡酒の製造方法であって、 前記発酵工程における発酵温度を調整して、発酵後得ら
れる発酵液に含まれるリンゴ酸及びコハク酸の量を制御
するようにしたことを特徴とする発泡酒の製造方法。 - 【請求項2】 麦芽と該麦芽よりも多い量の副原料を使
用し、所定量の麦芽を仕込槽でマイシェ化し、残りの麦
芽と前記副原料とを仕込釜にてマイシェ化した後両マイ
シェを混合し混合マイシェを得る工程と、該混合マイシ
ェを濾過して濾過麦汁を得る濾過工程と、該濾過麦汁を
煮沸した後に冷却し酵母を添加して発酵を行わせる発酵
工程を有する発泡酒の製造方法であって、 前記発酵工程における酵母添加量を調整して発酵後得ら
れる発酵液に含まれるリンゴ酸及びコハク酸の量を制御
することを特徴とする発泡酒の製造方法。 - 【請求項3】 麦芽と該麦芽よりも多い量の副原料を使
用し、所定量の麦芽を仕込槽でマイシェ化し、残りの麦
芽と前記副原料とを仕込釜にてマイシェ化した後両マイ
シェを混合し混合マイシェを得る工程と、該混合マイシ
ェを濾過して濾過麦汁を得る濾過工程と、該濾過麦汁を
煮沸した後に冷却し酵母を添加して発酵を行わせる発酵
工程を有する発泡酒の製造方法であって、 前記発酵工程における発酵温度を調整するとともに、発
酵工程において酵母添加量を調整して、発酵後得られる
発酵液に含まれるリンゴ酸及びコハク酸の量を制御する
ようにしたことを特徴とする発泡酒の製造方法。 - 【請求項4】 発酵温度を10℃〜14℃の範囲で調整
することを特徴とする請求項1又は請求項3記載の発泡
酒の製造方法。 - 【請求項5】 酵母添加量は1%〜3%の範囲であるこ
とを特徴とする請求項2又請求項3記載の発泡酒の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8213834A JPH1057044A (ja) | 1996-08-13 | 1996-08-13 | 発泡酒の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8213834A JPH1057044A (ja) | 1996-08-13 | 1996-08-13 | 発泡酒の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1057044A true JPH1057044A (ja) | 1998-03-03 |
Family
ID=16645806
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8213834A Pending JPH1057044A (ja) | 1996-08-13 | 1996-08-13 | 発泡酒の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1057044A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016000049A (ja) * | 2015-09-18 | 2016-01-07 | サッポロビール株式会社 | ビールテイスト飲料及びその製造方法 |
JP2018014907A (ja) * | 2016-07-26 | 2018-02-01 | キリン株式会社 | 発酵麦芽飲料およびその製造方法、ならびに発酵麦芽飲料におけるホップ香気を強調する方法 |
JP6458184B1 (ja) * | 2018-05-29 | 2019-01-23 | サッポロビール株式会社 | ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法 |
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1996
- 1996-08-13 JP JP8213834A patent/JPH1057044A/ja active Pending
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