JP2000050887A - 新規蛋白質脱アミド酵素、それをコ―ドする遺伝子、その製造法並びにその用途 - Google Patents

新規蛋白質脱アミド酵素、それをコ―ドする遺伝子、その製造法並びにその用途

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JP2000050887A JP11158703A JP15870399A JP2000050887A JP 2000050887 A JP2000050887 A JP 2000050887A JP 11158703 A JP11158703 A JP 11158703A JP 15870399 A JP15870399 A JP 15870399A JP 2000050887 A JP2000050887 A JP 2000050887A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】蛋白質中の側鎖アミド基に作用して、側鎖カル
ボキシル基とアンモニアを遊離する作用を有する新規蛋
白質脱アミド酵素、それをコードする遺伝子、その製造
法並びにその用途を提供する。 【構成】シトファガレス(Cytophagales)或いはアクチ
ノマイセテス(Actinomycetes)に分類される細菌に属
し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵
素生産能を有する菌株を培地に培養し、該酵素を生産せ
しめ、培養物より該酵素を採取する酵素の製造法、蛋白
質中のアミド基に直接作用する新規な酵素を用いた蛋白
質の修飾方法、並びに該酵素をコードする遺伝子、該遺
伝子を含有する組換えベクター、該ベクターを導入した
形質転換体、および、該形質転換体を培地に培養し、蛋
白質脱アミド酵素を生産せしめ、培養物より蛋白質脱ア
ミド酵素を採取する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な酵素、即ち
蛋白質中の側鎖アミド基に作用して、側鎖カルボキシル
基とアンモニアを遊離する作用を有する新規な酵素及び
その製造法に関する。更に詳細には、シトファガレス
(Cytophagales)或いはアクチノマイセテス(Actinomy
cetes)に分類される細菌、より詳細にはクリセオバク
テリウム(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム
(Flavobacteium)属、エンペドバクター(Empedobacte
r)属、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)
属、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミ
ロイデス(Myroides)属に属し、蛋白質中のアミド基を
脱アミドする性質を有する酵素生産能を有する菌株を培
地に培養し、該酵素を生産せしめ、培養物より該酵素を
採取することを特徴とする蛋白質中のアミド基を脱アミ
ドする性質を有する酵素の製造法に関する。更に本発明
は、蛋白質中のアミド基に直接作用する新規な酵素を用
いた蛋白質の修飾方法に関する。更に、本発明は、蛋白
質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素、該酵
素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有するベクター、
該ベクターを導入した形質転換体、及び形質転換体を培
地に培養し、該酵素を生産せしめ、培養物より該酵素を
採取することを特徴とする蛋白質のアミド基を脱アミド
する性質を有する酵素の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】グルタミナーゼ/アスパラギナーゼはグ
ルタミン/アスパラギンを水解してグルタミン酸/アス
パラギン酸とアンモニアにする酵素であり、これが動植
物及び微生物から得られることはよく知られている。し
かし、この酵素は遊離のグルタミン/アスパラギンに特
異的に作用する酵素であり、ペプチド中のグルタミン/
アスパラギンを脱アミドすることはできない。ましてペ
プチドより分子量の大きな蛋白質中のグルタミン/アス
パラギンのγ/β-アミド基を脱アミドすることはでき
ない。
【0003】また、ペプチド状態に存在するアミド基に
作用する酵素としては、トランスグルタミナーゼがあ
る。この酵素はペプチド結合グルタミンのアミド基をア
シル供与体、一級アミンのアミノ基をアシル受容体とし
て、蛋白質にアミン化合物の共有結合的導入や、蛋白質
中のグルタミンとリジン両残基間でのε‐(γ‐グルタ
ミル)リジン‐ペプチド結合による架橋形成を触媒す
る。反応系にアミンやリジンが存在しない或いはブロッ
クされている場合には水がアシル受容体になり、ペプチ
ド中のグルタミン残基が脱アミドされグルタミン酸とな
ることが知られているが、この酵素は上述のように本来
アシル転移酵素であるため、通常の蛋白質に作用させる
と架橋反応が起こり、蛋白質を脱アミド化する反応は生
ぜず、本発明の酵素とは異なる。
【0004】また、ペプチド中に結合するグルタミンに
作用して脱アミドする酵素についてはバチルス サーキ
ュランス(Bacillus circulans)由来の酵素、Peptideg
lutaminase I及びPeptideglutaminase IIが知られて
いる。前者は、ペプチドのC末端に位置するグルタミン
残基に作用し、後者はペプチド中のグルタミン残基に作
用することが知られている.しかしながら、これらの酵
素は高分子蛋白質には作用せず、低分子ペプチドにのみ
作用する酵素である [M. Kikuchi, H. Hayashida, E. N
akano, and K. Sakaguchi, Biochemistry, 10巻, 1222-
1229(1971)]。
【0005】これらの酵素(PeptideglutaminaseI及び
II)を、低分子ペプチドでなく高分子の蛋白質に作用さ
せる試みが、複数の研究によってなされてきたが、それ
らの酵素が高分子蛋白質に実質的に作用せず、蛋白質加
水分解ペプチドにしか作用しないことが明らかにされて
いる.具体的には、Gillらは、乳カゼインとホェイ蛋白
質に対して、nativeな状態ばかりでなく、変性後におい
ても、PeptideglutaminaseI及びIIいずれも作用しない
ことを報告している。彼らは、またそれらの蛋白質の加
水分解物に対する作用性を検討した結果、Peptidegluta
minase IIのみ作用したが、分子量5000以下のペプチド
にしか作用しないことを報告している(B. P. Gill, A.
J. O'Shaughnessey, P. Henderson and D. R. Headon,
Ir. J. Food Sci. Technol., 9巻, 33-41(1985))。大豆
蛋白質を用いて同様の検討が、Hamadaらによって行われ
たが、Gillらの結果との一致を見ている。即ち、大豆ペ
プチド(Peptone)に対する脱アミド率が24.4−47.7%に
対し、大豆蛋白質に対しては実質的に作用しないこと
(0.4−0.8%)が報告されている(J. S. Hamada,F. F.Shi
h, A. W. Frank and W. E. marshall, J. Food Scienc
e, 53巻, 2号, 671-672(1988))。
【0006】植物の種子中に蛋白質を脱アミドする酵素
の存在の可能性が報告されている(I.A. Vaintraub,
l. V. Kotova, R. Shara, FEBS Letter, 302巻, 169-17
1 (1992))。しかしながら、この報告においては、部分
精製品を用いて蛋白質からアンモニアの遊離を観察して
いるが、以下に述べる理由により、本発明に開示される
酵素の存在を証明するものではないことは明らかであ
る。即ち、部分精製品を用いている点、プロテアーゼ活
性が存在しないことが確認されていない点、反応後の基
質蛋白質の分子量変化が生じていないことが確認されて
いない点により、一つの酵素の作用ではなく複数の酵
素、例えばプロテアーゼ、ペプチダーゼにより蛋白質か
ら遊離したアミノ酸、グルタミン/アスパラギンがグル
タミナーゼ/アスパラギナーゼにより脱アミド化されア
ンモニアが遊離されている可能性、或いは同様にして生
じたグルタミン含有低分子ペプチドがペプチドグルタミ
ナーゼ様酵素により脱アミドされている可能性が残され
ている。或いはまたプロテアーゼの複反応により脱アミ
ドされている可能性も否定できない。とりわけ、上記の
報告中において、用いられた部分製製品中に遊離のグル
タミンに作用してアンモニアを遊離するグルタミナーゼ
活性が存在することが明記されていることは特記すべき
である。このように、高分子蛋白質作用して脱アミド反
応を触媒する酵素について、単一蛋白質まで精製し、更
に遺伝子を単利し発現させることにより、その存在を証
明した報告はこれまでになかった。
【0007】一般に蛋白質中のグルタミン及びアスパラ
ギン残基を脱アミド化し、カルボキシル基を生じさせる
と、その蛋白質の負電荷が増加し、その結果等電点の低
下、水和力が増加する。さらに静電反撥力の上昇による
蛋白質間の相互作用の低下、すなわち会合性の低下がも
たらされる。これらの変化により蛋白質の可溶性、水分
散性は大きく増大する。また蛋白質の負電荷の増加は、
その蛋白質の折りたたみをほぐし、高次構造を変化さ
せ、分子内部に埋もれていた疎水性領域を分子表面に露
出させる。したがって脱アミド化蛋白質は、両親媒性を
有し理想的な界面活性剤となり、蛋白質の乳化力、乳化
安定性、起泡性、泡沫安定性が大きく向上する。
【0008】このように、蛋白質の脱アミド化は、蛋白
質の様々な機能特性の向上をもたらし、その蛋白質の用
途は飛躍的に増大させる (例えば、Molecular Approach
es to Improving Food Quality and Safety, D.Chatnag
ar and T. E. Cleveland, eds., Van Nostrand Reinhol
d, New York, 1992, p.37)。
【0009】この為、蛋白質を脱アミド化する方法は、
古くより盛んに研究され多くの方法が考えられてきた。
蛋白質を化学的に脱アミド化させる方法としては、高温
条件下での温和な酸または温和なアルカリ処理法などが
あった。一般に蛋白質中のグルタミン及びアスパラギン
残基のアミド基は、酸或いは塩基により加水分解され
る。しかしながらこの反応は非特異的であり、強酸、強
アルカリ条件下では、ペプチド結合の切断も伴う。また
蛋白質の変性も伴い、その蛋白質の機能性を損なう結果
となる。
【0010】そこでこれらの望ましくない反応を制限す
るため種々工夫されて、温和な酸処理 (例えば、J.W. F
inley, J. Food Sci. 40, 1283, 1975; C.W. Wu, S. Na
kai,and W. D. Powie, J. Agric. Food Chem., 24, 50
4, 1976など)や温和なアルカリ処理 (例えば、A. Dilol
lo, I. Alli, C. Biloarders, N. Barthakur, J. Agri
c. Food Chem., 41. 24, 1993など)が考案された。ま
た、酸としてドデシル硫酸ナトリウム(F.F. Shih and
A. Kalmar, J. Agric. Food Chem., 35, 672, 1987)や
陽イオン交換樹脂(F. F. Shih, J.food Sci., 52, 152
9, 1987)などを触媒として用いたり、或いはまた低水分
下での高温処理法(J. Zhang, T.C. Lee, andC.-T. Ho,
J. Agric. Food Chem., 41, 1840, 1993)なども試みら
れてきた。
【0011】しかしながら、いずれの方法でもペプチド
結合の切断を完全に制限することは困難であった。ペプ
チド結合の切断は、脱アミド化により期待される蛋白質
の機能性の向上を阻害するばかりでなく、苦味の生成も
もたらし好ましくない。また酸処理法に比べて効率のよ
いアルカリ処理法では、アミノ酸のラセミ化や毒性の疑
いのあるリジノアラニンが生ずる欠点もあった。
【0012】一方、上述の化学法の問題点を克服するた
め、蛋白質の酵素的脱アミド化法もいくつか試みられて
きた。高pH(pH10)条件下でのプロテアーゼ処理法(A. Ka
to,A. Tanaka, N. Matsudomi, and K. Kobayashi, J. A
gric. Food Chem., 35, 224, 1987)、トランスグルタミ
ナーゼ法(M. Motoki, K. Seguro, A. Nio, and K. Taki
nami, Agric. Biol. Chem., 50, 3025, 1986)、ペプチ
ドグルタミナーゼ法(J.S. Hamada, and W.E. Marshall,
J. Food Sci., 54, 598, 1989)の三つの方法が考えら
れてきたが、いずれも欠点があった。
【0013】まずプロテアーゼ法では、その本来の反応
であるペプチド結合の切断はさけられなかった。ペプチ
ド結合の切断が好ましくないことは上述の通りである。
【0014】またトランスグルタミナーゼ法では、その
本来の反応であるグルタミンとリジン間でのイソペプチ
ド結合の形成による架橋反応を押さえるためには、予め
リジン残基のε-アミノ基を化学的に保護しておく必要
があった。脱アミド化蛋白質を食品用などに供する場合
は、可逆的保護基であるシトラコニル基などで保護して
おいた後、グルタミンを脱アミドさせ、その後保護基を
はずし、さらに遊離したシトラコニル酸と脱アミド化蛋
白質を分離しなければならなかった。これらの過程は製
造コストを大きく増大させ、実用化にほど遠いものであ
るのは明らかである。
【0015】一方、ペプチドグルタミナーゼ法では、本
酵素が蛋白質にはほとんど作用せず、低分子ペプチドに
のみ作用する酵素であるため、生の蛋白質に作用させる
ことができず、蛋白質加水分解物を用いる必要があっ
た。
【0016】このように本来酵素法においては、酵素の
持つ高い基質特異性に由来する反応選択性が、化学的、
物理的方法を凌ぐ最大の利点の一つであるが、蛋白質を
脱アミド化する目的においては、副反応が伴わず、また
高分子蛋白質に作用して脱アミド化する為のふさわしい
酵素が存在しなかったため、実用化されていなかったの
が現状である。
【0017】この様に、蛋白質の脱アミド化は大きな機
能性向上をもたらす優れた修飾法であるにもかかわら
ず、従来の化学法、酵素法いずれの方法でも欠点があ
り、実用化は進んでいなかった。
【0018】
【課題を解決するための手段】よって、本発明者らは蛋
白質に結合した状態にあるアミド基に直接作用して脱ア
ミドする酵素の給源を安価な微生物に求め、鋭意スクリ
ーニングを重ねた結果、本発明者らが土壌中より新たに
分離したクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属
に属する新菌株が、蛋白質中に結合するアミド基に直接
作用し、ペプチドの結合及び蛋白質の架橋を伴わず、脱
アミドする作用を有する酵素を生産することを見いだ
し、本発明を完成した。本明細書においては上述の作用
を有する酵素を蛋白質脱アミド酵素と称する。
【0019】更に本発明者らは、タイプカルチャーより
クリセオバクテリウム属に属する菌株をランダムに選択
してその菌株による蛋白質脱アミド酵素の生産について
検討した。その結果、すべての菌株にその生産性が確認
され、その他の菌株、例えばフラボバクテリウム(Flav
obacteium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属
及びスフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、
アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミロイ
デス(Myroides)属にもその生産が確認された。これら
の菌株は何れもシトファガレス(Cytophagales)或いは
アクチノマイセテス(Actinomycetes)に分類される細
菌であり、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)
属、エンペドバクター(Empedobacter)属、フラボバク
テリウム(Flavobacteium)属及びミロイデス(Myroide
s)属は何れもフラボバクテリアチェ(Flavobacteriace
ae)に分類される細菌である。
【0020】さらに、本発明者らは、蛋白質脱アミド酵
素を単離、精製し、該蛋白質脱アミド酵素をコードする
遺伝子の塩基配列を決定し、さらに、該遺伝子を含有す
るベクターを導入した形質転換体を用いて蛋白質脱アミ
ド酵素を製造することが可能であることを確認した。
【0021】すなわち、本発明は、蛋白質脱アミド酵素
を産生する微生物を用いて蛋白質脱アミド酵素を生産す
る方法、蛋白質脱アミド酵素を用いた蛋白質の修飾方
法、蛋白質脱アミド酵素を有効成分として含有する蛋白
質の修飾用組成物、蛋白質脱アミド酵素を用いた蛋白質
の機能性を改善する方法、蛋白質脱アミド酵素を用いた
食品の機能性を改善する方法、蛋白質脱アミド酵素を用
いた蛋白質及び/又はペプチドの抽出効率を改善する方
法、および、蛋白質脱アミド酵素を用いたトランスグル
タミナーゼの反応を制御する方法に関する。
【0022】さらに、本発明は、蛋白質脱アミド酵素、
該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組換え
ベクター、該ベクターを導入した形質転換体、および、
該形質転換体を培地に培養し、蛋白質脱アミド酵素を生
産せしめ、培養物より蛋白質脱アミド酵素を採取するこ
とを特徴とする蛋白質脱アミド酵素の製造法に関する。
【0023】本発明の蛋白質脱アミド酵素は、蛋白質中
の少なくともアスパラギン残基及びグルタミン残基のア
ミド基に有効であるが、特にその作用部位は、それらに
限定されるものではなく、他のアミノ酸残基に結合した
アミド基に対しても有効であってもよい。尚、本願明細
書において蛋白質とは、蛋白質単体に限定されるもので
はなく、糖、脂質等との複合蛋白質等であってもよい。
そして、その蛋白質の分子量は、特に限定されないが、
通常、5000(50残基)以上、好ましくは10,0
00〜2,000,000の範囲である。
【0024】また、本発明の蛋白質脱アミド酵素は、蛋
白質以外にもアミド基を有するペプチドやそれらの誘導
体等に対しても脱アミド化に用いることができる。ペプ
チドとしては、通常、アミノ酸残基数が2〜50のもの
が挙げられ、用途としては、栄養改善剤等に用いられて
いるものに好適である。即ち、本発明の蛋白質脱アミド
酵素は、ポリペプチドを含むジペプチド以上から高分子
の蛋白質まで基質とすることができる。なお、本願明細
書の「ポリペプチド」という用語は、蛋白質を含む。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の蛋白質脱アミド酵素を生
産する微生物は、例えば以下のようにしてスクリーニン
グすることができる。即ち、土壌の懸濁液を、Z-Gln-Gl
yを唯一の窒素源として含有する分離用液体培地に接種
することにより集積培養を行い、その培養液を同様の分
離用平板寒天培地に塗布して、生育したコロニーを選択
して拾う。これらの菌株を適当な液体培地で培養して、
Z-Gln-Glyからアンモニア遊離活性を有する菌株を選択
することができる。
【0026】このようにして選択された菌株について、
更にカゼインを基質としてアンモニア遊離活性を指標と
して蛋白質脱アミド酵素産生微生物をスクリーニングす
ることができる。
【0027】このようにしてスクリーニングされた菌株
は、バージー著のマニュアル・オブ・デターミネテイブ
・バクテリオロジーに従ってクリセオバクテリウム属と
同定された。更にクリセオバクテリウム属のタイプカル
チャーよりランダムに選択した菌株についても上述と同
様の検定法により蛋白質脱アミド酵素が生産されている
ことを確認した。より具体的な菌種としては例えば、ク
リセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gle
um)JCM2410、クリセオバクテリウム・インドロゲネス
(Chryseobacterium indologenes)IFO14944、クリセオ
バクテリウム・メニンゴセプチカム(Chryseobacterium
meningosepticum)IFO12535、クリセオバクテリウム・
バラスチナム(Chryseobacterium balustinum)IFO1505
3、クリセオバクテリウム・インドルセティカム(Chrys
eobacterium indolthticum ATCC27950)、クリセオバク
テリウム・スコフサルナム(Chryseobacterium scophth
alnum CCM4109)等が挙げられる。
【0028】また、その他の微生物についても同様なス
クリーニングを行ったところ、フラボバクテリウム属、
より具体的な菌種としては例えばフラボバクテリウム・
アクアティレ(Flavobacterium aquatile)IFO15052、
エンペドバクター(Empedobacter)属、より具体的な菌
種としては例えばエンペドバクター・ブレビス(Empedo
bacter brevis)IFO14943、スフィンゴバクテリウム(Sp
hingobacterium)属、より具体的な菌種としては例えば
スフィンゴバクテリウム・スピリチボラム(Sphingobac
terium spiritivorum)IFO14948、スフィンゴバクテリ
ウム・ヘパリナム(Sphingobacterium heparinum)IFO1
2017、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属、よ
り具体的な菌種としては例えばアウレオバクテリウム・
エステロアロマティカム(Aureobacterium esteraromat
idum)IFO3751およびミロイデス(Myroides)属、より
具体的な菌種としてはミロイデス・オドラタス(Myroid
esodoratus)IFO14945の菌株にも蛋白質脱アミド酵素の
生産が確認された。
【0029】尚、この酵素は、蛋白質のグルタミン残基
とリジン残基の間でのイソペプチド形成を触媒する活性
すなわちトランスグルタミナーゼ活性を有しておらず、
既知のトランスグルタミナーゼとは区別される。また蛋
白質のペプチド結合を加水分解する活性すなわちプロテ
アーゼ活性も有しておらず既知のプロテアーゼとも区別
される。
【0030】上述した各菌株を用いて蛋白質脱アミド酵
素を製造するための菌株の培養法としては液体培養、固
体培養の何れでも良いが、好ましくは液体培養が利用さ
れる。液体培養としては例えば、以下のようにして行う
ことができる。
【0031】使用できる培地としては、蛋白質脱アミド
酵素を生産する微生物が生育可能な培地であれば、如何
なるものでも良い。例えば、グルコース、シュクロー
ス、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素
源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸
アンモニウム、酢酸アンモニウム、或いは、ペプトン、
酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分
解物、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシ
ウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、
亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができ
る。
【0032】培地のpHは例えば約3〜10、好ましくは約
7〜8程度に調製し、培養温度は通常約10〜50℃、好ま
しくは約20〜37℃程度で、1〜20日間、好ましくは3〜
12日間程度好気的条件下で培養する。培養法としては例
えば振盪培養法、ジャーファーメンターによる好気的深
部培養法が利用できる。
【0033】得られた培養液から蛋白質脱アミド酵素を
通常の手段で単離し、本発明の蛋白質脱アミド酵素を得
ことができる。例えば培養液から、蛋白質脱アミド酵素
を単離精製するには、遠心分離、UF濃縮、塩析、イオ
ン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーを組み合わせ、
常法により処理して、精製した蛋白質脱アミド酵素を得
ることができる。
【0034】更に、より具体的に本発明を詳述する。即
ち、蛋白質脱アミド酵素を生産する菌株として、上述し
たクリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium
gleum)JCM2410を使用し、液体培地で培養し、当該酵
素の産生と該酵素の精製、酵素の諸性質について検討し
た。
【0035】新鮮なスラントから1白金耳の菌をとり、
下記のラクトース培地で30℃、2〜7日間振盪培養し、
その後遠心上清を得る。 ラクトース培地組成(pH7.2) ラクトース(和光純薬工業製) 0.5% ポリペプトン(和光純薬工業製) 1.0% Na2HPO4 ・H2O 0.17% KH2PO4 0.025% MgSO4 ・7H2O 0.025 % FeSO4 ・7H2O 0.005 % 培養経過を図1に示した。
【0036】酵素の精製方法は、培養終了後、培養液を
遠心分離(12000rpm、4℃、20分間)し、上清を粗酵素
液として得、UF濃縮(SEP-0013)、塩析、フェニールセ
ファロース、セファシールS-100により処理し酵素を精
製した。精製の工程を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】尚、酵素活性の測定は以下のように従い、
基質としてZ-Gln-Gly及びカゼインを使用した。
【0039】活性測定方法:10mM Z-Gln-Glyを含む176m
Mリン酸緩衝液(pH6.5)100μlに酵素溶液10μlを添加
して、37℃、60分間インキュベートした後、12%トリク
ロロ酢酸溶液100μlを加えて反応を停止する。遠心分離
(15000rpm、4℃、5分間)した後、上清について以下
のようにF-kit ammonia(ベーリンガー・マンハイム社
製)を用いて測定する(A1)。別に酵素溶液の代わりに水
を用いて同様にして測定する(A2)。
【0040】F-kit ammonia 100μl 試薬2に上清10μl
と水190μlを加え室温で5分間放置後100μlを用いての
340nmの吸光度(E1)を測定する。残りの200μIに、1.0μ
lの試薬3(グルタメートデヒドロゲナーゼ)を加えた
後、更に20分間室温に放置した後に残りの200μlの340n
mの吸光度(E2)を測定する。上記条件下で1分間あたり
1μmolのアンモニアを遊離する酵素量を1単位とし、
以下の式に従って求める。 u/ml=1.76×[A1(E1-E2)-A2(E1-E2)] 基質として10mM Z-Gln-Glyに代えて1%カゼイン(ハー
マステイン、メルク社製)を用いて同様にして活性を求
め、蛋白質に結合するアミド基に作用することを確認す
る。この時同時に反応停止後の遠心上清について280 nm
の吸光度を測定することによりプロテアーゼ活性を測定
した。プロテアーゼ活性はこの条件下で1ODユニット上
昇させる酵素量を1単位とした。基質として10mM Z-Gln
-Glyに代えて10mMグルタミンを用いて同様にして、
グルタミナーゼ活性を測定した。
【0041】また、トランスグルタミナーゼ活性は、基
質としてZ-Gln-Glyを用いた以下に示すヒドロキシサム
酸法で測定した。 試薬A 0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH6.0) 0.1Mヒドロキシルアミン 0.01M還元型グルタチオン 0.03Mベンジルオキシカルボニル -L-グルタミニルグリシン 試薬B 3N塩酸 12%トリクロロ酢酸 5%FeCl3 ・6H2O(0.1N HCl に溶解) 上記溶液の1:1:1の混合液を試薬Bとする。酵素液の0.0
5mlに試薬A 0.5mlを加えて混合し、37℃で10分間反応
後、試薬B0.5mlを加えて反応停止とFe錯体の形成を行
った後、525nmの吸光度を測定する。対照として予め熱
失活させた酵素液を用いて同様に反応させたものの吸光
度を測定し、酵素液との吸光度差を求める。別に酵素液
のかわりにL−グルタミン酸γ−モノヒドロキサム酸を
用いて検量線を作成し、前記吸光度差により生成された
ヒドロキサム酸の量を求め、1分間に1μモルのヒドロ
キサム酸を生成する酵素活性を1単位とした。
【0042】尚、蛋白質の定量はBCAプロテイン・アッ
セイ・キット(ピアース社製)により、牛血清アルブミ
ンを標準蛋白質として用いて定量した。
【0043】分子量の測定:SDS-ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動で20kDaであった。
【0044】至適pHの測定:各pHの(10mMのZ-Gln-Gl
yを含む)100μl[40mMブリットン−ロビンソン緩衝液
(pH3〜12)]を37℃で5分間予熱後、0.32μgの蛋白
質脱アミド酵素を含む酵素液10μlを加え、37℃で60分
間反応し、酵素活性を測定した。その結果を図2に示
す。
【0045】至適温度の測定:基質溶液(10mMのZ-Gl
n-Glyを含む)100μl [176mMリン酸緩衝液(pH6.5)]
に1.21μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素溶液10μlを
添加して、各温度で60分間反応し、酵素活性を測定し
た。その結果を図3に示す。
【0046】pH安定性の測定:0.75μgの蛋白質脱ア
ミド酵素を含む酵素溶液22μl[40mMブリットン−ロビ
ンソン緩衝液(pH3〜12)]を30℃で18時間処理する。
その後残存する酵素活性を測定した。その結果を図4に
示す。
【0047】温度安定性の測定:1.76μgの蛋白質脱
アミド酵素を含む酵素溶液43μl[50mMリン酸緩衝液(pH
7.0)]を10分間、各温度で放置した後、残存する酵素
活性を測定した。その結果を図5に示す。
【0048】基質特異性:基質として各種蛋白質(1
%)溶液を用い、それらの溶液100μlに蛋白質脱アミド
酵素溶液10μl(10mU)を加え混合後、37℃で18時間反
応させた。対照として、酵素液の代わりに水を添加し同
様に処理し、遊離したアンモニアの量を測定した。酵素
添加の場合の遊離アンモニア量から水添加の場合の遊離
アンモニア量を差し引いた結果を表2に示す。また、反
応終了後の混合液の一部をSDS-PAGEに供し、対照と比較
したところ、蛋白質の高分子化及び蛋白質の低分子化は
観察されなかった。このことは本酵素が既知のトランス
グルタミナーゼやプロテーゼとは区別される新規な酵素
であることを意味する。
【0049】
【表2】
【0050】等電点の測定:アンフォラインを用いた
等電点集積(600V、4℃、48時間通電)により測定した
ところ、本酵素の等電点は10.2であった。
【0051】次いで、本発明である上記の蛋白質脱アミ
ド酵素を用いた蛋白質の修飾方法について詳述する。
【0052】各種蛋白質に本発明の蛋白質脱アミド酵素
を作用させる。蛋白質としては上記酵素の作用を受ける
ものであればいかなるものであってもよく、例えば、植
物性蛋白質であれば豆類、穀類由来の蛋白質、動物性蛋
白質であればカゼイン、β−ラクトグロブリンなどの乳
蛋白、オボアルブミンなどの卵蛋白、ミオシン、アクチ
ンなどの肉蛋白、血清アルブミンなどの血液蛋白、ゼラ
チン、コラーゲンなどの腱蛋白質があげられる。また、
酸、アルカリなどによる化学的、あるいはプロテアーゼ
などによる酵素的部分分解蛋白質や、各種試薬による化
学修飾蛋白質や、合成ペプチドであってもよい。
【0053】これら基質蛋白質は、溶液またはスラリー
あるいはペースト状態で反応に供されるが、その濃度は
特に限定されるものではなく、目的の脱アミド化蛋白質
の望まれる性状、状態によって適宜選択される。またこ
の基質蛋白質の溶液またはスラリーあるいはペースト
は、水溶液に限らず油脂とのエマルジョンであってもよ
く、さらに必要に応じて塩類、糖類、蛋白質、香料、保
湿剤、着色料などが添加されたものであってもよい。
【0054】反応条件として、酵素量、反応の時間、温
度、反応溶液のpHなども特に限定されるものではない
が通常、蛋白質1gに対し、0.1〜100ユニット、好まし
くは1〜10ユニット、反応温度は通常、5〜80℃、好ま
しくは20〜60℃、反応溶液のpHは通常、2〜10、好ま
しくは4〜8で10秒〜48時間、好ましくは10分〜24時間
反応させる。また、これらの条件は、使用する酵素の純
度や基質蛋白質の種類、純度などに応じて適宜変更して
行うことができる。また、これらの反応条件は、以下に
記載する様々な本発明酵素の用途においても同様であ
る、
【0055】このように本発明の蛋白質脱アミド酵素を
各種蛋白質に作用させることにより、蛋白質中のアミド
基を直接脱アミドすることができる。その結果、生じた
脱アミド化蛋白質は、負電荷の増加に伴い、pIの低
下、水和力の上昇、静電反発力の上昇がもたらされる。
更に蛋白質の高次構造の変化により、表面疎水性の上昇
がもたらされる。これらの効果により、可溶性・分散性
の向上、起泡性・泡沫安定性の向上、乳化性・乳化安定
性の向上など、蛋白質の機能性の改善がもたらされる。
【0056】このように機能性が改善された蛋白質は、
主として食品分野での用途が大きく拡大する。多くの植
物性蛋白質は、特に通常の食品のpH範囲である弱酸性に
おいて、可溶性、分散性、乳化性などの機能性が乏しい
ため、多くの食品例えばコーヒー・ホワイトナー、ジュ
ースなどの酸性飲料、ドレッシング、マヨネーズ、クリ
ームなどへの使用が制限されていた。しかしながら、例
えば小麦グルテンなどの植物性難溶解性蛋白質を本発明
により脱アミド化することにより、可溶性、分散性が増
大し、これまで使用に適さなかったこれらの食品への使
用が可能となり、また分散性の高い天ぷら粉としても使
用できる。
【0057】また、製パン・製菓におけるドウの改質の
ためにも本酵素が使用できる。例えばグルテン含量が高
いドウは伸展性が低く、ドウのハンドリング性や機械特
性に問題があり、また出来上がったパンの体積や品質に
も問題があった。グルテンを本酵素により脱アミド化す
ることにより、伸展性が向上し、これらの問題を改善す
ることが出来る。また脱アミド化グルテンが乳化剤とし
ての効果も示し、日持ち性、ソフトネスなどの製パン特
性も向上する。さらに脱アミド化グルテンを含むドウ
は、可塑性が低く伸展性に優れているため、クラッカ
ー、ピスケット、クッキー、ピザや或いはパイのクラス
トの製造にふさわしく、これらの製造にも本酵素が使用
できる。この用途のためには、小麦粉、水等からなるド
ウの全量に対して、本発明の酵素を通常、0.01〜10000
ユニット、好ましくは0.1〜150ユニット、通常の方法に
よって混合する。
【0058】またさらに、食品中の蛋白質に起因するア
レルギー、不耐症或いは遺伝的疾患などの原因となる蛋
白質を本酵素による処理によって、その毒性、アレルゲ
ン性を除去、低減化することが出来る。食物アレルギー
の場合、一般にアレルゲンペプチドは疎水性が高いもの
が多い。本酵素処理により親水性ペプチドに変換される
ことによりアレルゲン性の除去、低下がなされる。とり
わけ、小麦グルテン由来のアレルゲンに見られるよう
に、アレルゲンペプチド中にグルタミン残基を含有する
場合は大きな効果がもたらされる。
【0059】またさらに、蛋白質を本酵素により脱アミ
ド化することにより、蛋白質のミネラル感受性を低下さ
せ、蛋白質・ミネラル溶液中の可溶性ミネラル含量を高
め、ミネラルの人体への吸収性を高めることが出来る。
一般に食品中のカルシウムの人体への吸収性は、カルシ
ウムを有機酸やカゼインホスホペプチドを用いて可溶化
させると向上することはよく知られている。同じメカニ
ズムにより、本酵素により蛋白質を脱アミド化させるこ
とにより、多量のカルルシムを可溶化させることが可能
である。この脱アミド化蛋白質を用いて、高ミネラル
(例えばカルシウム)含有飲料や、ミネラル(例えばカ
ルシウム)の吸収促進剤を製造することもできる。
【0060】さらに、アミノ酸系調味料(動物性蛋白質
の加水分解物(HAP), 植物性蛋白質の加水分解物(HV
P))或いは味噌・醤油製造においては、苦味の低下、
プロテアーゼの蛋白質分解率の向上、グルタミン酸含量
の増強などの効果がもたらされる。一般に苦味の原因は
疎水性ペプチドに由来することは周知のとおりであり、
脱アミドにより苦味ペプチドの低減化がもたらされる。
N末端にグルタミン酸を有するペプチドは苦味のマスキ
ング効果を有することも知られている。また脱アミド化
により、原料蛋白質の一次構造、高次構造が変化するた
め、その蛋白質のプロテアーゼ感受性を高めることもで
きる。結果、酵素的HAP、HVP製造において問題の一つで
あった低分解率を改善することも出来る。また一方、HA
P、HVP製造においては、ピログルタミン酸生成によるグ
ルタミン酸含量の低下が問題であった。このピログルタ
ミン酸は遊離のグルタミンの分子内環状化により生成す
るものであるが、原料蛋白質を脱アミド化しておくこと
によりこれを防ぐことが出来、結果としてグルタミン酸
含量の増強がもたらされる。
【0061】またさらにトランスグルタミナーゼの反応
制御剤としても使用できる。トランスグルタミナーゼ
は、蛋白質の改質剤すなわち架橋用酵素として食品分野
をはじめ産業用に広く利用されている。トランスグルタ
ミナーゼの蛋白質架橋反応により蛋白質のゲル化物を得
ることや蛋白質の機能性を向上させることを目的とする
のであるが、それぞれの用途、目的に応じた架橋度や機
能性を有する産物を得ること、すなわち反応を適当な時
点で停止させるなど架橋反応を制御することは困難であ
った。特に食品用蛋白質の改質の場合、EDTAや塩化アン
モニウムあるいはSH試薬など一般に知られているトラン
スグルタミナーゼ阻害剤を添加することは好ましくなか
った。
【0062】本発明による蛋白質脱アミド酵素をトラン
スグルタミナーゼの反応中適当な時点で添加する事によ
り、トランスグルタミナーゼ反応を停止させることが可
能である。つまり基質蛋白質中のトランスグルタミナー
ゼ反応のターゲットであるグルタミン残基を、蛋白質脱
アミド酵素によりグルタミン酸残基に変換することによ
り、トランスグルタミナーゼ反応を停止させることが出
来る。
【0063】この場合、蛋白質脱アミド酵素の基質であ
る蛋白質中のグルタミン残基との親和性が、トランスグ
ルタミナーゼのそれより高いことが必要であるが、後者
の反応においては、グルタミン残基の他にリジン残基の
ε−アミノ基が必要であるのに対し、前者の場合グルタ
ミン残基の他には反応環境中豊富に存在する水を必要と
するだけであるので、一般に蛋白質脱アミド酵素の反応
の方がトランスグルタミナーゼの反応に先行することが
推定できる。もちろん、予め基質蛋白質を蛋白質脱アミ
ド酵素により適当に処理して、所望のグルタミン残基を
グルタミン酸残基に変換しておいた後トランスグルタミ
ナーゼ反応に供すれば、所望の架橋度の蛋白質改質物、
蛋白質ゲル化物を得ることが出来る。
【0064】またさらに蛋白質の機能改変用すなわち蛋
白質工学用試薬としても使用できる。基質蛋白質が酵素
である場合は、その酵素の酵素化学的、物理化学的性質
を改変する事が出来る。例えば酵素蛋白質を本酵素によ
り脱アミドすることにより、酵素蛋白質の等電点が低下
しpH安定性を改変することが出来る。また、活性部位の
構造や電気的環境を変化させることにより、その酵素の
基質親和性、基質特異性、反応速度、pH依存性、温度依
存性、温度安定性などを改変することが出来る。
【0065】さらに蛋白質のアミド含量定量用試薬、蛋
白質の可溶化用試薬など蛋白質分析・研究用試薬として
も使用できる。
【0066】またさらに穀類、豆類蛋白質の抽出・濃縮
効率の向上などに利用できる。一般に小麦、大豆など穀
類や豆類の蛋白質は水に不溶性の蛋白質が多く、蛋白質
を抽出することは容易ではないが、小麦粉や大豆粉の縣
濁液を本酵素で処理し蛋白質を可溶化することにより、
蛋白質を容易に抽出することが出来、また高含量の蛋白
質単離物を得ることが出来る。
【0067】大豆蛋白質の場合、一般に、脱脂大豆粉ま
たはフレーク(蛋白質含量約50%)から蛋白質を抽出す
る際には、まず熱処理やエタノール処理或いはpH4.5
付近の等電点処理により蛋白質を不溶化させた後、可溶
性の多糖を除いて蛋白質含量約70%の大豆蛋白質濃縮物
(コンセントレート)が得られる。さらに高純度の蛋白
質が望まれる場合は、大豆粉や濃縮物を希釈アルカリに
縣濁・溶解し蛋白質を溶解させ不溶性の物質を除いて調
整される。このものは大豆蛋白質単離物(アイソレー
ト)と呼ばれ蛋白質を約90%含む。これらの大豆蛋白質
製品は、大豆蛋白質の乳化性、ゲル化特性、保水性等の
機能性や高栄養価を利用して、ハム・ソーセージや乳児
用食品をはじめ様々な食品に利用されている。
【0068】これらの大豆蛋白質製品を製造する際に本
酵素を利用すれば、蛋白質の溶解性の向上により収率の
向上ばかりでなくより高濃度の蛋白質製品を製造するこ
とが出来る。さらにこのようにして得られた蛋白質製品
は、脱アミド化されているため機能性に優れている。従
って、畜肉、魚肉製品、麺類など種々の食品に使用した
場合優れた効果を示し、また新しいテクスチャーや機能
を有する食品の製造が可能となる。
【0069】以下、本発明の蛋白質脱アミド酵素、蛋白
質脱アミド酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有す
る組換えベクター、該ベクターを導入した形質転換体、
および、該形質転換体を培地に培養し、蛋白質脱アミド
酵素を生産せしめ、培養物より蛋白質脱アミド酵素を採
取することを特徴とする蛋白質脱アミド酵素の製造法に
ついてさらに説明する。
【0070】本発明の蛋白質脱アミド酵素としては、上
述した蛋白質脱アミド酵素の製造法で得られるすべての
蛋白質脱アミド酵素が含まれるが、特に、配列表の配列
番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個
のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少な
くとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペ
プチドが好ましく、さらに、配列表の配列番号6に記載
のアミノ酸配列を有するポリペプチドがより好ましい。
【0071】本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする
遺伝子としては、該蛋白質脱アミド酵素を産生する微生
物から該遺伝子のクローニングによって取得することが
できる遺伝子や該遺伝子に相同性を有する遺伝子があげ
られる。相同性としては、少なくとも60%以上の相同
性を有する遺伝子、好ましくは80%以上の相同性を有
する遺伝子、さらに好ましくは95%以上の相同性を有
する遺伝子をあげることができる。本発明の蛋白質脱ア
ミド酵素をコードする遺伝子としては以下のようなヌク
レオチド(DNAまたはRNA)が好ましい。
【0072】下記(a)〜(g)から選択されるヌクレ
オチドからなり、かつ、蛋白質中のアミド基を脱アミド
する活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチ
ド。 (a)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(b)配列
表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又
は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置
換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有す
るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(c)配列
表の配列番号5に記載の塩基配列を有するヌクレオチ
ド、(d)配列表の配列番号5に記載の塩基配列におい
て、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは
置換の少なくとも1つがなされている塩基配列を有する
ヌクレオチド、(e)上記(a)〜(d)のいずれかに
記載のヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズする遺伝子、(f)上記(a)〜(d)のい
ずれかに記載のヌクレオチドに相同性を有するヌクレオ
チド、(g)上記(a)〜(f)の少なくともいずれか
1つに記載のヌクレオチドに縮重するヌクレオチド。
【0073】本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする
遺伝子は、上述した蛋白質脱アミド酵素を産生する微生
物から、例えば以下に記載するような方法で該遺伝子の
クローニングを行うことによって取得することができ
る。まず、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から上
述の方法によって本発明の蛋白質脱アミド酵素を単離、
精製し、その部分アミノ酸配列に関する情報を得る。
【0074】部分アミノ酸配列決定方法としては、例え
ば、精製した蛋白質脱アミド酵素を直接常法に従ってエ
ドマン分解法〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケ
ミストリー、第 256巻、第7990〜7997頁(1981)〕によ
りアミノ酸配列分析〔プロテイン−シーケンサ476
A、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosyste
ms)社製等〕に供してもよいし、あるいはタンパク質加
水分解酵素を作用させて限定加水分解を行い、得られた
ペプチド断片を分離精製し、得られた精製ペプチド断片
についてアミノ酸配列分析を行うのが効果的である。
【0075】こうして得られる部分アミノ酸配列の情報
を基に、蛋白質脱アミド酵素遺伝子をクローニングす
る。一般的に、 PCRを用いる方法あるいはハイブリダイ
ゼーション法を利用してクローニングを行うことができ
る。
【0076】ハイブリダイゼーション法を利用する場
合、例えば、モレキュラー クローニング、ア ラボラ
トリー マニュアル〔Molecular Cloning, A Laborator
y Manual、T .マニアティス(T. Maniatis )他著、コ
ールド スプリング ハーバーラボラトリー(Cold Spr
ing Harbor Laboratory )、1989年発行〕に記載の方法
を用いることができる。
【0077】また、 PCR法を利用する場合、以下のよう
な方法を用いることができる。まず、蛋白質脱アミド酵
素を産生する微生物のゲノムDNA を鋳型とし、部分アミ
ノ酸配列の情報を基にデザインした合成オリゴヌクレオ
チドプライマーを用いて PCR反応を行い、目的の遺伝子
断片を得る。PCR 法は、PCR テクノロジー〔PCR Techno
logy、エルリッヒ(Erlich)HA編集、ストックトンプレ
ス社(Stocktonpress)、1989年発行〕に記載の方法に
準じて行う。更に、この増幅 DNA断片について通常用い
られる方法、例えば、ジデオキシチェーンターミネータ
ー法で塩基配列を決定すると、決定された配列中に合成
オリゴヌクレオチドプライマーの配列以外に蛋白質脱ア
ミド酵素の部分アミノ酸配列に対応する配列が見出さ
れ、目的の蛋白質脱アミド酵素遺伝子の一部を取得する
ことができる。もちろん得られた遺伝子断片をプローブ
として更にハイブリダイゼーション法等を行うことによ
って蛋白質脱アミド酵素全長をコードする遺伝子をクロ
ーニングすることができる。
【0078】下記の実施例26ではクリセオバクテリウ
ム・グレウム JCM2410を用い、PCR法を利用して、蛋白
質脱アミド酵素をコードする遺伝子を決定した。クリセ
オバクテリウム・グレウム JCM2410由来の蛋白質脱アミ
ド酵素をコードする遺伝子の全塩基配列は、配列番号5
に記載したものであり、これによってコードされるアミ
ノ酸配列は配列番号6に記載したものであると決定され
た。なお、配列番号6に記載したアミノ酸配列に対応す
る塩基配列は配列番号5に記載したもの以外に無数に存
在するが、これらはすべて本発明の範囲に含まれる。
【0079】配列番号6に記載のアミノ酸配列や配列番
号5に記載の塩基配列の情報を元にして、化学合成によ
って目的とする遺伝子を得ることもできる(参考文献:G
ene,60(1), 115-127 (1987))。また、本発明の蛋白質脱
アミド酵素遺伝子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列
において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付
加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている
アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレ
オチドや該ヌクレオチドにストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズする遺伝子、該ヌクレオチドに相同性を
有するヌクレオチド、及び該ヌクレオチドに縮重するヌ
クレオチドもそれらがコードするポリペプチドが蛋白質
脱アミド酵素活性を有する限り本発明に含まれる。
【0080】ここでいう「ストリンジェントな条件下」
とは、例えば以下の条件をいう。すなわち 0.5%SD
S、5×デンハルツ〔Denhartz's、0.1%ウシ血清アル
ブミン(BSA )、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%
フィコール400 〕及び 100μg/mlサケ精子DNA を含む6
×SSC (1×SSC は、0.15 M NaCl 、0.015 M クエン酸
ナトリウム、pH7.0 )中で、50℃〜65℃で4時間〜一晩
保温する条件をいう。
【0081】クリセオバクテリウム・グレウム JCM2410
を用いて全塩基配列が明らかにされた蛋白質脱アミド酵
素遺伝子の全体あるいは一部分をハイブリダイゼーショ
ン用のプローブとして用いて、他の蛋白質脱アミド酵素
を産生する微生物のゲノムDNA ライブラリーあるいはcD
NAライブラリーから、配列表5の蛋白質脱アミド酵素遺
伝子と相同性の高いDNA を選別することができる。
【0082】ハイブリダイゼーションは、上記に示した
ストリンジェントな条件下で行うことができる。例え
ば、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から得たゲノ
ムDNAライブラリーあるいはcDNAライブラリーを固定化
したナイロン膜を作成し、6×SSC 、 0.5%SDS 、5×
デンハルツ、100 μg/mlサケ精子DNA を含むプレハイブ
リダイゼーション溶液中、65℃でナイロン膜をブロッキ
ングする。その後、32Pでラベルした各プローブを加え
て、65℃で一晩保温する。このナイロン膜を6×SSC
中、室温で10分間、0.1% SDSを含む2×SSC 中、室温
で10分間、0.1% SDSを含む0.2×SSC 中、45℃で30分
間洗浄した後、オートラジオグラフィーをとり、プロー
ブと特異的にハイブリダイズするDNA を検出することが
できる。また、洗いなどの条件を変えることによって様
々な相同性を示す遺伝子を得ることができる。
【0083】一方、本発明の遺伝子の塩基配列から PCR
反応用のプライマーをデザインすることができる。この
プライマーを用いて PCR反応を行うことによって、本発
明の遺伝子と相同性の高い遺伝子断片を検出したり、更
にはその遺伝子全体を得ることもできる。
【0084】得られた遺伝子が目的の蛋白質脱アミド酵
素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子である
かどうかを確認するには、決定された塩基配列を本発明
の蛋白質脱アミド酵素の塩基配列又はアミノ酸配列と比
較し、その遺伝子構造及び相同性から推定することもで
きる。また、得られた遺伝子のポリペプチドを製造し、
蛋白質脱アミド酵素活性を測定することにより、目的の
蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドをコード
する遺伝子であるかどうか確認することができる。
【0085】本発明の蛋白質脱アミド酵素遺伝子を用い
て、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドを生
産するには以下の方法が便宜である。まず、目的の蛋白
質脱アミド酵素遺伝子を含むベクターを用いて宿主の形
質転換を行い、次いで該形質転換体の培養を通常用いら
れる条件で行うことによって、蛋白質脱アミド酵素活性
を有するポリペプチドを生産させることができる。
【0086】また、宿主としては微生物、動物細胞、植
物細胞等を用いることができる。微生物としては、大腸
菌、Bacillus属、Streptomyces属、Lactococcus属等の
細菌、Saccharomyces属、Pichia属、Kluyveromyces属等
の酵母、Aspergillus属、Penicillium属、Trichoderma
属等の糸状菌が挙げられる.動物細胞としては、バキュ
ロウイルスの系統が挙げられる.
【0087】発現の確認や発現産物の確認は、蛋白質脱
アミド酵素に対する抗体を用いて行うことが簡便である
が、蛋白質脱アミド酵素活性を測定することにより発現
の確認を行うこともできる。
【0088】形質転換体の培養物から蛋白質脱アミド酵
素を精製するには上述のように、遠心分離、UF濃縮、塩
析、イオン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーを適宜
組み合わせて行うことができる。
【0089】また、本発明により蛋白質脱アミド酵素の
一次構造及び遺伝子構造が明らかとなったことにより、
本発明の遺伝子を用いて、ランダム変異あるいは部位特
異的変異を導入し、天然の蛋白質脱アミド酵素のアミノ
酸配列中に、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付
加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている
遺伝子を得ることが可能である。これにより、蛋白質脱
アミド酵素活性を有するが、至適温度、安定温度、至適
pH、安定pH、基質特異性等の性質が少し異なった蛋白質
脱アミド酵素をコードする遺伝子を得ることが可能であ
り、遺伝子工学的にこれら蛋白質脱アミド酵素を製造す
ることが可能となる。
【0090】ランダム変異を導入する方法としては、例
えば、 DNAを化学的に処理する方法として、亜硫酸水素
ナトリウムを作用させシトシン塩基をウラシル塩基に変
換するトランジション変異を起こさせる方法〔プロシー
ディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ
サイエンシーズ オブ ザ USA、第79巻、第1408〜14
12頁(1982)〕、生化学的方法として、〔α-S〕dNTP存
在下、二本鎖を合成する過程で塩基置換を生じさせる方
法〔ジーン(Gene)、第64巻、第313 〜319 頁(198
8)〕、 PCRを用いる方法として、反応系にマンガンを
加えて PCRを行い、ヌクレオチドの取込みの正確さを低
くする方法〔アナリティカル バイオケミストリー(An
alytical Biochemistry )、第224 巻、第347 〜353 頁
(1995)〕等を用いることができる。
【0091】部位特異的変異を導入する方法としては、
例えば、アンバー変異を利用する方法〔ギャップド デ
ュプレックス(gapped duplex )法、ヌクレイック ア
シッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)、第12
巻、第24号、第9441〜9456頁(1984)〕、制限酵素の認
識部位を利用する方法〔アナリティカル バイオケミス
トリー、第 200巻、第81〜88頁(1992)、ジーン、第 1
02巻、第67〜70頁(1991)〕、dut (dUTPase )とung
(ウラシルDNA グリコシラーゼ)変異を利用する方法
〔クンケル(Kunkel)法、プロシーディングズ オブ
ザ ナショナル オブ サイエンシーズ オブ ザ US
A、第82巻、第488 〜492 頁(1985)〕、 DNAポリメラ
ーゼ及び DNAリガーゼを用いたアンバー変異を利用する
方法〔オリゴヌクレオチド−ダイレクティッド デュア
ル アンバー(Oligonucleotide-directed Dual Amber
:ODA )法、ジーン、第 152巻、第271 〜275 頁(199
5)、特開平7-289262号公報〕、 DNAの修復系を誘導さ
せた宿主を利用する方法(特開平 8-70874号公報)、 D
NA鎖交換反応を触媒するタンパク質を利用する方法(特
開平8-140685号公報)、制限酵素の認識部位を付加した
2種類の変異導入用プライマーを用いた PCRによる方法
(USP5,512,463)、不活化薬剤耐性遺伝子を有する二本
鎖 DNAベクターと2種類のプライマーを用いた PCRによ
る方法〔ジーン、第 103巻、第73〜77頁(1991)〕、ア
ンバー変異を利用した PCRによる方法〔国際公開WO98/0
2535号公報〕等を用いることができる。
【0092】また、市販されているキットを使用するこ
とにより、部位特異的変異を容易に導入することができ
る。市販のキットとしては、例えば、ギャップド デュ
プレックス法を用いた Mutan(登録商標)-G(宝酒造社
製)、クンケル法を用いた Mutan(登録商標)-K(宝酒
造社製)、ODA 法を用いたMutan (登録商標)-Express
Km (宝酒造社製)、変異導入用プライマーとピロコッ
カス フリオサス(Pyrococcus furiosus )由来 DNAポ
リメラーゼを用いたQuikChangeTM Site-Directed Mutag
enesis Kit〔ストラタジーン(STRATAGENE)社製〕等を
用いることができ、また、 PCR法を利用するキットとし
て、TaKaRa LA PCR in vitro Mutagenesis Kit(宝酒造
社製)、Mutan (登録商標)-Super Express Km (宝酒
造社製)等を用いることができる。
【0093】このように、本発明により、蛋白質脱アミ
ド酵素の一次構造及び遺伝子構造が提供されたことによ
り、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドの安
価で高純度な遺伝子工学的な製造が可能となる。なお、
本明細書では種々の文献等を引用したが、これらはすべ
て参考として本明細書に組み込まれるものである。
【0094】以下、本発明を実施例を用いて詳述するが
本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に
明記しない限り、本明細書において%はW/V%で示し
た。
【0095】
【実施例】実施例1 クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium g
leum)JCM2410を前述したラクトース培地で、30℃、6
日間振盪培養した。その培養経過を図1に示す。
【0096】実施例2 実施例1と同様にしてクリセオバクテリウム・インドロ
ゲネス(Chryseobacterium indologenes) IFO14944、
クリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム(Chryseob
acterium meningosepticum)IFO12535、クリセオバクテ
リウム・バラスチナム(Chryseobacterium balustinu
m)IFO15053についての培養経過を図6〜8に示す。
【0097】実施例3 実施例1と同様にしてフラボバクテリウム・アクアティ
レ(Flavobacterium aquatile)IFO15052について培養
した。培養液中の蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示
す。
【0098】実施例4 実施例1と同様にしてエンペドバクター ブレビス(Em
pedobacter brevis)IFO14943について培養した。培養液
中の蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示す。
【0099】実施例5 実施例1と同様にしてスフィンゴバクテリウム・スピリ
チボラム(Sphingobacterium spiritivorum)IFO1494
8、スフィンゴバクテリウム・ヘパリナム(Sphingobact
erium heparinum)IFO12017について培養した。培養液
中の蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示す。
【0100】実施例6 実施例1と同様にしてアウレオバクテリウム・アステロ
アロマティカム(Aureobacterium esteraromatidum)IF
O3751について培養した。培養液中の蛋白質脱アミド酵
素活性を表3に示す。
【0101】実施例7 実施例1と同様にしてミロイデス・オドラタス(Myroid
es odoratus)IFO14945について培養した。培養液中の
蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示す
【0102】
【表3】
【0103】実施例1〜7において何れの菌株にも蛋白
質脱アミド酵素の生産が確認された。
【0104】実施例8 ラクトース培地に代え、以下の培地を用いて同様にして
培養したところ、実施例1〜5に用いた何れの菌株にも
蛋白質脱アミド酵素の生産が確認された 酵母エキス 0.25% ポリペプトン 0.3% カゼインナトリウム 0.25% Na2HPO4・12H2O 0.3% MgSO4 ・7H2O 0.02 % (pH7.0)
【0105】実施例9 実施例1で得られた、24時間培養液を4℃、12000 rpm(2
2200×g)、15分間の遠心分離により菌体を除去し、得ら
れた遠心上清を、限外濾過(UF)膜(SEP-0013、旭化成
製)により約17倍に濃縮後、2.0M NaClを含む10mM燐酸
ナトリウム緩衝液(pH6.5)に対し4℃で一晩透析した。生
じた沈殿物を4℃、10000 rpm(12300×g)、15分間の遠心
分離により除いた後、得られた遠心上清を、2.0M NaCl
を含む10mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化した
フェニルセファロース CL-6Bカラム(ファルマシア社製)
に供し、2.0Mから0MのNaCl直線濃度勾配により吸着し
た蛋白質を溶離させた。
【0106】蛋白質脱アミド活性画分を集め、限外濾過
膜で濃縮後、0.6M NaCl及び0.05%Tween 20を含む10mM
燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化したセファクリ
ルS-100カラムに供して、同緩衝液で溶離した。蛋白質
脱アミド活性画分を集め、限外濾過膜で濃縮後、蒸留水
に対して透析して、蛋白質脱アミド酵素溶液を得た。
【0107】図9に精製工程における各ステップのサン
プルを10〜20%SDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳
動に供したパターンを示す。このように本精製酵素標品
(レーン5)はSDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
おいて分子量20kDaの単一蛋白質であることが判る。
【0108】上述の測定法(Z-Gln-Glyを基質とする方
法とカゼインを基質とする方法)で活性を測定したとこ
ろ18.8単位/ml(Z-Gln-Glyを基質)、14.0単位/ml(カ
ゼインを基質)の酵素標品が得られた。また、トランス
グルタミナーゼ活性及びプロテアーゼ活性は検出されな
かった。従って、図1における培養液中のプロテアーゼ
活性は上記精製工程で完全に除去されていることがわか
る。又、本酵素標品には遊離のグルタミンに作用するグ
ルタミナーゼ活性も検出されなかった。
【0109】実施例10 実施例9と同様にして、実施例2〜7で得られた培養液
を精製した。その結果、各々表4に示すような活性が得
られた。得られた蛋白質脱アミド酵素にはトランスグル
タミナーゼ活性及びプロテアーゼ活性は検出されなかっ
た。従って、培養液中のプロテアーゼ活性は上記精製工
程で完全に除去されていることがわかる。
【0110】
【表4】
【0111】実施例11 脱アミド化グルテンの調製 小麦グルテン1gを100mlの176mM 燐酸ナトリウム緩衝
液(pH 6.5)に縣濁し、5Uの蛋白質脱アミド酵素を添加
して、37℃で20時間振とう反応させた。この時のアンモ
ニア又はアンモニウムの遊離パターンを図10に示す。
このように、対照として行った酵素無添加の反応に対
し、酵素添加の反応においては、反応時間の進行と共に
アンモニアが遊離し脱アミド反応が生じていることが判
る。反応後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥して脱ア
ミド化グルテン粉末を得た。
【0112】得られた脱アミド化グルテンの脱アミド化
率は37.4%であった。なお、脱アミド化率は、反応終了
後に遊離したアンモニアを定量し、小麦グルテンの総ア
ミド含量に対する百分率として表した。蛋白質の総アミ
ド含量は、蛋白質(1%w/v)を2N塩酸中100℃で2
時間加水分解し、遊離したアンモニアを定量して求め
た。
【0113】実施例12 脱アミド化グルテンの機能性
(溶解性、分散性)の向上 実施例11で得た脱アミド化グルテン粉末及び対照実験で
得た酵素未処理グルテン粉末2.0mgを1.0mlのpH3から1
2までの40mMブリットン-ロビンソン緩衝液に縣濁、溶解
させ室温で30分間振とう後、さらに30分間室温に静置し
た。ここでpHを測定後、24℃で10分間、3000rpm(760×
g)の低速で遠心分離し、得られた上清中の蛋白質含量を
BCA法で測定し、上清中の蛋白質の含量を分散性の指標
とした(Methods of Testing Protein Functinality, p
25, edited by G.M.Hall, Blackie Academic & Profess
ional, London, 1996)。
【0114】さらにこの上清を24℃で30分間、14000rpm
(16000×g)の高速で遠心分離し、得られた上清を0.45μ
mの膜で濾過し、濾液中の蛋白質含量をBCA法で測定し
た。この濾液中の蛋白質含量を溶解性の指標とした(Me
thods of Testing Protein Functinality, p47-55, edi
ted by G.M.Hall, Blackie Academic & Professional,L
ondon, 1996)。
【0115】結果、図11及び図12に示すように、脱アミ
ド化グルテンは酵素未処理グルテンに比べて、pH4.2付
近からpH12付近までの広範囲において、分散性も溶解性
も著しく向上していることが判る。
【0116】実施例13 脱アミド化グルテンを用いたコ
ーヒー・ホワイトナーの製造 実施例11に準じて製造した5gの脱アミド化グルテン、
2gのコーン・シロップ2g、0.4 gのポリソルベート6
0、51gの水を混ぜ合わせ40℃に加熱後、0.3 gの燐酸二
カリウムを加え80℃まで加熱した。この混合液に、溶融
状態の部分水添ココナッツ油6gと0.2gのモノグリセリ
ドを添加し80℃で20分間放置した後、211kg/cm2でホモ
ゲナイズし、冷却して脱アミド化グルテンを含有するコ
ーヒー・ホワイトナーを製造した。この産物は、安定な
エマルジョン状態を示し、またコーヒーに添加した場合
に良好な分散・溶解性、口当たりを示した。
【0117】実施例14 天ぷら粉の製造 小麦粉100gを1Lの水に縣濁し、 10ユニットの蛋白質
脱アミド酵素を添加して、37℃で20時間振とう反応処理
後、遠心分離により脱水し、熱乾燥して脱アミド処理し
た小麦粉を得た。この小麦粉50gを水60mlで溶き、天ぷ
ら用の衣液とした。大正エビ(約25g)に打ち粉をして
この衣液をつけて170〜180℃の菜種/大豆調合油で3分
間フライした。また、蛋白質脱アミド酵素処理を行わな
い小麦粉を用いて同様にしてフライした。蛋白質脱アミ
ド酵素処理を行った小麦粉は衣液を調整する際において
その分散性が優れ、得られたフライの衣の堅さ、衣のサ
クミなどの食感、外観、風味において非常に優れてい
た。
【0118】実施例15 プレミックスの製造 実施例14に従って調整した蛋白質脱アミド酵素処理小麦
粉を用いて以下のような組成のホットケーキ用プレミッ
クスを調製した。 蛋白質脱アミド酵素処理小麦粉 72.0% 砂糖 20.0% 膨剤(炭酸水素ナトリウム) 1.5% 油脂 3.0% 食塩 1.0% グルコノデルタラクトン 2.0% 香料 0.5% 上記のプレミックス200gをボールに入れこれに牛乳150
ml、全卵50gを添加して撹拌混合してホットケーキ用生
地を調製した。対照に未処理の小麦粉を用いて同様に調
製した。得られた生地100gを160℃のホットプレート上
に円形に流し、表を4分、裏を2分焼成してホットケー
キを調製した。
【0119】生地のハンドリング、ホットケーキのソフ
ト感、口どけ感、しっとり感についてパネラーにより判
定した。その結果、蛋白質脱アミド酵素処理小麦粉を用
いた場合はすべての点で対照に比べて優れていた。
【0120】実施例16 製パン生地の調製 以下に示す配合でノータイム法によりワンローフ食パン
を製造した。 [配合] 小麦粉 100 % 2000 g 砂糖 5 % 100 g 食塩 2 % 40 g ショートニング 4 % 80 g イースト 3 % 60 g アスコルビン酸 20 ppm 40 mg 水 69 % 1380 ml
【0121】上記配合を基本とし、蛋白質脱アミド酵素
添加(7.5単位/小麦粉1kg)群と酵素無添加(対
照)群を調製し比較した。
【0122】[工程] (1)ミキシング :低速4分 → 高速4分 → ショ
ートニング添加 →低速1分 → 中速4分 → 高速4
分 (2)捏上温度 :27〜29℃ (3)フロアタイム:27℃、30分 (4)分割 :生地重量 450 g (5)ベンチタイム:30分 (6)ホイロ :38℃、パンケース型上3.5 cm (7)焼成 :230℃、25分
【0123】蛋白質脱アミド酵素添加群は生地のハンド
リングが良好となり、生地の伸展性の向上、焼成パンの
ソフトネスの向上にも効果が見られた。
【0124】実施例17 ビスケット生地の調製 実施例14に従って調整した蛋白質脱アミド酵素処理小麦
粉を用いて以下のような組成でビスケット用生地を調製
した。
【0125】 蛋白質脱アミド酵素処理小麦粉 100g ショートニング 16g 砂糖 50g 重炭酸ナトリウム 0.81g 重酒石酸カリウム 0.5g 水 16g 卵 2g
【0126】混合、成形、焼成(180〜220℃)を常法に
従って行い、ハードビスケットを調製した。生地のハン
ドリング、伸展性の向上が顕著であり、得られたビスケ
ットの食感も優れたものであった。
【0127】実施例18 脱アミド化カゼインの調製 ミルクカゼイン1gを100mlの176mM燐酸ナトリウム緩衝
液(pH 6.5)に縣濁し、5ユニットの蛋白質脱アミド酵素
を添加して、37℃で20時間振とう反応させた。この時の
アンモニア又はアンモニウムの遊離パターンを図13に示
す。このように、対照として行った酵素無添加の反応に
対し、酵素添加の反応においては、反応時間の進行と共
にアンモニアが遊離し脱アミド反応が生じていることが
判る。反応後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥して脱
アミド化カゼイン粉末を得た。
【0128】得られた脱アミド化カゼインの脱アミド化
率は40.9%であった。なお、脱アミド化率は、反応終了
後に溶液中に遊離したアンモニア又はアンモニウムを定
量し、カゼインの総アミド含量に対する百分率として表
した。蛋白質の総アミド含量は、蛋白質(1%w/v)
を2N塩酸中100℃で2時間加水分解し、遊離したアンモ
ニアを定量して求めた。又、図14にこの脱アミド化カゼ
インを酵素未処理カゼインと共に10〜20%SDS‐ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動に供したパターンを示す。
脱アミド化カゼイン(レーン2)その分子量が変化して
いないこと、即ち分解も架橋高分子化も生じていないこ
とが判る。ここで脱アミド化カゼインのバンドがわずか
に高分子側にシフトしていることが観察されるが、これ
は脱アミド化により蛋白質の負電荷が増加したため同じ
負電荷を持つSDSとの結合が静電反発力により減少し、
その結果全体の負電荷が脱アミド化されていないカゼイ
ンに比べ小さくなった結果、電気泳動での移動度が減少
したためと考えられる。
【0129】実施例19 脱アミド化カゼインのカルシウ
ム溶解性の向上 実施例18で得た脱アミド化カゼイン粉末及び対照実験で
得た酵素未処理カゼイン粉末2.0mgを0〜30mMの塩化カ
ルシウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.1)に縣濁、
溶解させ室温で30分間振とう後、さらに30分間室温に静
置した。この液を24℃で10分間、3000rpm(760×g)の低
速で遠心分離し、上清をさらに24℃で30分間、14000rpm
(16000×g)の高速で遠心分離し、得られた上清を0.45μ
mの膜で濾過し、濾液中の蛋白質含量をBCA法で測定し
た。この濾液中の蛋白質含量をカルシウム溶解性の指標
とした。
【0130】結果、図15に示すように、脱アミド化カゼ
インは、酵素未処理カゼインに比べて、高濃度カルシウ
ム存在下においても高い溶解性を示し、顕著にカルシウ
ム溶解性が向上していることが判る。
【0131】実施例20 酵素分解調味液の製造 グルテン45gに15%食塩水150mlを加え、蛋白質脱アミ
ド酵素50ユニット、グルタミナーゼF100(天野製薬製)
0.1%及びプロテアーゼM(天野製薬製)0.75%を加
え、45℃で3〜4日間反応した。反応後90℃で20分間加
熱し、酵素分解調味液を調製した。対照として蛋白質脱
アミド酵素を加えないで同様に操作して調製した調味液
と比較して分解率、分解速度がともに向上し、得られた
調味液の苦味成分の生成が少なく良好な調味液を製造す
ることができた。
【0132】実施例21 大豆蛋白質の濃縮・回収方法並
びに脱アミド化大豆蛋白質の製造 大豆粉100gを1Lの水に縣濁・溶解し、攪拌しながらpH
を6.5に調整し、500ユニットの蛋白質脱アミド酵素を添
加して室温で2時間攪拌を続けた。反応後pHを8に調整
し1時間攪拌後、室温で10000rpm(12300×g)、30分間の
遠心分離により不要物を除いた。得られた上清から蛋白
質を回収するため、80℃で30分間熱処理を施したのち、
10000rpm(12300×g)、30分間の遠心分離により生じた沈
殿物を回収し、乾燥させて蛋白質粉末を得た。この蛋白
質標品は、95%の蛋白質含量を有し、大豆粉からの収率
も約40%と高いものであった。
【0133】実施例22 脱アミド化大豆蛋白質を用いた
ソーセージの製造 実施例21に従って製造した脱アミド化大豆蛋白質を、撹
拌、押出、圧延を繰り返して行うことにより、凝固処理
を行う。得られた大豆蛋白の凝固物と原料肉及び各種香
辛料を以下の配合に練合したのち、常法に従ってケーシ
ングに充填して、ソーセージを調製した。得られた製品
は非常に食感に優れたものであった。
【0134】 ブタ肩肉 500g ウシもも肉 500g ブタ挽脂肪 100g 凝固物 100g 食塩 25g 硝石 3g 砂糖 5g 味の素 3g ホワイトペパー 3g ナッツメッグ 4g シナモン 0.5g タマネギ汁 5g
【0135】実施例23 トランスグルタミナーゼ反応制
御剤としての利用 10%カゼインを含む20mM燐酸緩衝液(pH 7.0)25μlに、0.
0125ユニットのStreptoverticillium由来のトランスグ
ルタミナーゼ(Agric. Biol. Chem., 53巻10号、2613-2
617頁、1989年に従って調製)を含む溶液12.5μlを添加
し攪拌後、37℃で静置反応させた。一時間後、0.0188ユ
ニットの蛋白質脱アミド酵素を含む溶液12.5μlを添加
し攪拌後、さらに37℃に静置した。反応中、1,2,4,24時
間後に反応液の一部を分取して2〜15% SDS-ポリアク
リルアミドゲルを用いたSDS-ポリアクリルアミドゲル電
気泳動に供した。対照実験として蛋白質脱アミド酵素溶
液の代わりに水を添加したものも行った。
【0136】その結果を図16に示し、図16の各レーンの
サンプルは以下の表5に示す。
【0137】
【表5】
【0138】結果、図16の様に、蛋白質脱アミド酵素を
添加しなかった対照の反応では、時間の経過と共に蛋白
質の架橋反応による高分子化が観察され、0時間で観察
されたカゼイン単量体のバンドが減少、消滅していくの
に対し、蛋白質脱アミド酵素を添加した反応では、添加
後も添加時点のパターン(レーン7)から変化していな
いことが判る。このことは、トランスグルタミナーゼの
架橋高分子化反応が蛋白質脱アミド酵素の添加によって
停止したことを表す。
【0139】実施例18で得た脱アミド化カゼイン10%を
含む20mM燐酸緩衝液(pH7.0)25μlに、0.0125ユニット
のStreptoverticillium由来のトランスグルタミナーゼ
を含む溶液12.5μlを添加し攪拌後、37℃で静置反応さ
せた。反応中、1、2、4、24時間後に反応液の一部を分
取して2〜15%SDS-ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS
-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。対照実験
として脱アミド化カゼインの代わりに未処理のカゼイン
を用いたものも行った。その結果を図17に示し、図17の
各レーンのサンプルは以下の表6に示す。
【表6】 結果、図17のように、酵素未処理カゼインを用いた対照
の反応では、時間の経過と共に蛋白質の架橋反応による
高分子化が観察され、0時間で観察されたカゼイン単量
体のバンドが減少、消滅していくのに対し、脱アミド化
カゼインを用いた反応では、0時間のバンド(レーン1)
から反応後も変化していないことが判る。このことは、
蛋白質脱アミド酵素により脱アミド化された蛋白質は、
トランスグルタミナーゼの基質となり得ないことを示
す。
【0140】実施例24 トランスグルタミナーゼと蛋白
質脱アミド酵素によるプリン様食品の製造 市販牛乳を減圧濃縮により濃縮し、この濃縮液100mlに
砂糖5gを添加溶解し、Streptoverticillium由来のト
ランスグルタミナーゼを1ユニット加え、55℃でインキ
ュベートした。適当なゲルが生成された時点で蛋白質脱
アミド酵素を1.5ユニット加え攪拌してトランスグルタ
ミナーゼ反応を停止させた後冷却した。結果、望ましい
柔らかさのプリン様食品を製造することが出来た。
【0141】実施例25 脱アミド化カゼインの機能性(溶解性、分解性)の向上 実施例18で得た脱アミド化カゼイン粉末及び対照実験で
得た酵素未処理カゼイン粉末を用いて、実施例12と同様
の操作を行い脱アミド化カゼインの溶解性、分酸性を調
べた。結果、図18に示すように、脱アミド化カゼイン酵
素未処理カゼインに比べて、特に通常の食品のpH域であ
るpH4付近から5付近において、分散性も溶解性も著しく
向上していることが判る。
【0142】以下に実施例を用いて、本発明をさらに説
明する。尚、本明細書においては、遺伝子操作手法は特
に記載しない限り成書(例えば"Molecular Cloning" 2n
d ed., Cold Spring Harbor Laboratoty Press, 1989)
に従って行った。
【0143】実施例26 クリセオバクテリウム・グ
レウム(Chryseobacterium gleum) JCM2410由来の蛋白
質脱アミド酵素をコードする遺伝子の単離 a)染色体DNAの単離 "Current Protocols in Molecular Biology", Unit 2.4
(John Wiley & Sons,Inc., 1994)に従って、100ml の
カルチャーから、190μg/mlの濃度の染色体DNAを、3.3m
l得た。
【0144】b)部分アミノ酸配列の決定 実施例9で得られた蛋白質脱アミド酵素の精製標品を、
プロテイン・シークエンサー(Applied Biosystems社)
に供し、配列番号1に示す20残基のN末端アミノ酸配列を
決定した。次に、実施例9で得られた蛋白質脱アミド酵
素の精製標品を過ギ酸により還元・アルキル化した後、
トリプシンによる分解を行った。得られた分解物を逆相
液体クロマトグラフィーに供し、分離されたペプチド画
分の一つをプロテイン・シークエンサーに供し、配列番
号2に示す20残基の内部アミノ酸配列を決定した。
【0145】配列番号1: Ala-Val-Ser-Val-Ile-Pro-Asp-Leu-Ala-Thr-Leu-Asn-Se
r-Leu-Phe-Thr-Gln-Ile-Lys-Asn 配列番号2: Ser-Pro-Ser-Gly-Ser-Leu-Leu-Tyr-Asp-Asn-Asn-Tyr-Va
l-Asn-Thr-Asn-Cys-Val-Leu-Asn
【0146】c)PCRによるDNAプローブの作成 N末端領域アミノ酸配列および内部アミノ酸配列をもと
に、以下の2種の混合オリゴヌクレオチドをDNA合成機
(Applied Biosystems社)により合成し、PCRプライマ
ーとした。
【0147】配列番号3 センス・プライマー: 5'-(TA)(CG)IGTIAT(TCA)CCIGA(TC)(CT)T(TCAG)AC-3' 配列番号4 アンチセンス・プライマー: 5'-A(AG)(TCAG)AC(AG)CA(AG)TT(TCAG)GT(AG)TT(TCAG)AC
-3'
【0148】これらのプライマーとクリセオバクテリウ
ム・グレウム(Chryseobacterium gleum) JCM2410の染
色体DNAを鋳型として、以下の条件下、Omnigene Therma
l Cycler(Hybaid社)を用いてPCR反応を行なった。 <PCR反応液> 10 x PCR反応緩衝液 (Perkin Elmer社) 5.0 μl dNTP混合液 (それぞれ2.5 mM、Promega社) 4.0 μl 20μM センス・プライマー 10. 0 μl 20μMアンチセンス・プライマー 10.0 μl 蒸留水 20.25μl 染色体DNA溶液 (190μg/ml) 0.5 μl Taq DNAポリメラーゼ (Perkin Elmer社) 0.25μl <PCR反応条件> ステージ1: 変性(94℃、5分) 1サイクル ステージ2: 変性(94℃、1分) 30サイクル アニール(44℃、1分) 伸長(72℃、1分) ステージ3: 伸長(72℃、10分)1サイクル
【0149】得られた約0.48kbのDNA断片をpCRII(Invit
rogene社)にクローニング後、塩基配列を確認したとこ
ろ、センス・プライマーの直後とアンチセンス・プライ
マーの直前に、上記の部分アミノ酸配列をコードする塩
基配列が見出された。本DNA断片を全長遺伝子クローニ
ングのためのDNAプローブとした。
【0150】d)遺伝子ライブラリーの作成 クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium g
leum) JCM2410の染色体DNAのサザン・ハイブリダイゼ
ーション解析の結果、Eco RI分解物中にプローブDNAと
ハイブリダイズする約3.7 kbのシングルバンドが確認さ
れた。この約3.7kbのEcoRI DNA断片をクローニングする
ため、以下の様に遺伝子ライブラリーを作成した。上記
a)で調製した染色体DNAをEcoRIで分解し、得られた分解
物をEcoRI処理したλZAPII (Stratagene社)ベクターに
ライゲーションし、Gigapack IIIgold (Stratagene社)
を用いてパッケージングし遺伝子ライブラリーを得た。
【0151】e)遺伝子ライブラリーのスクリーニング 上記c)で得た0.48 kbのDNA断片をMegaprime DNA Labeli
ng system (Amersham社)と32P-α-dCTPを用いてラベル
した。これをDNAプローブとして、d)で得た遺伝子ライ
ブラリーをプラーク・ハイブリダイゼーションによりス
クリーニングした。得られた陽性プラークからファージ
を回収した後、Stratagene社のインストラクションに従
い、in vivo Exicision法により、約3.7 kb Eco RI断片
を含むプラスミドp7T-1を得た。
【0152】f)塩基配列の決定 プラスミドp7T-1の塩基配列を定法に従って決定した。
蛋白質脱アミド酵素をコードする塩基配列を配列番号5
に示す。また配列番号5によりコードされるアミノ酸配
列を、配列番号6に示す。このアミノ酸配列中には、
b)で決定したN末端領域アミノ酸配列(配列番号1)およ
び内部アミノ酸配列(配列番号2)が見出された。
【0153】 配列番号5 GCAGTCAGTGTTATTCCTGATCTGGCAACGCTGAACAGTTTATTTACCCAG ATCAAAAACCAGGCTTGCGGAACTTCTACAGCATCTTCTCCTTGTATCACC TTCAGATATCCGGTTGACGGATGTTATGCAAGGGCTCACAAAATGAGACAA ATCCTATTGAACGCCGGCTATGACTGTGAAAAGCAGTTCGTATATGGTAAT CTGAGAGCTTCTACAGGAACATGCTGTGTATCATGGGTATATCACGTAGCA ATTTTGGTAAGCTTCAAAAATGCTTCAGGAATTGTTGAAAAAAGAATCATA GATCCTTCATTATTCTCCAGCGGTCCTGTAACAGATTCTGCATGGAGAGCT GCATGTACCAACACAAGCTGCGGATCTGCGTCTGTATCTTCCTACGCCAAT ACAGCAGGAAATGTTTACTACAGAAGTCCGTCAGGTTCATTACTGTATGAT AACAACTATGTGAATACCAATTGTGTATTAAACATATTCTCATCCCTTTCA GGATGTTCTCCTTCCCCAGCACCAAGTGTAGCAAGCTGTGGATTT (555 bp)
【0154】配列番号6 AVSVIPDLATLNSLFTQIKN QACGTSTASSPCITFRYPVD GCYARAHKMRQILLNAGYDC EKQFVYGNLRASTGTCCVSW VYHVAILVSFKNASGIVEKR IIDPSLFSSGPVTDSAWRAA CTNTSCGSASVSSYANTAGN VYYRSPSGSLLYDNNYVNTN CVLNIFSSLSGCSPSPAPSV ASCGF (185 amino acids)
【0155】この遺伝子のオープンリーディングフレー
ムを配列番号11に示す。配列番号12に示すように、全体
が319アミノ酸残基のPrepro体としてコードされてお
り、うちN−末端の134残基(下記配列番号11の下線
部)がPrepro領域、残りの185残基が成熟体に対応する
(配列番号6を参照)。Prepro領域134残基のうち、N-末
端の21残基がシグナル配列の特徴を有しているためPre
領域と推定され、残りの113残基がPro領域と推定され
る。本発明は蛋白質脱アミド化活性を有するポリペプチ
ドやそれをコードするヌクレオチドに特に限定されるも
のではなく、蛋白質脱アミド化活性を有するポリペプチ
ドからなる更に長いポリペプチド(例えば、Prepro体や
Pro体等)やそれをコードするヌクレオチドを含むもの
である。
【0156】 配列番号11 AATAAGTGAACTATTACAATTAAAAAGTTCACTAAAACTAAACACCAAAATATAAAAACT ATGAAAAAATTTCTGTTATCCATGATGGCATTCGTGACGATTCTGTCATTCAATGCCTGC 1 M K K F L L S M M A F V T I L S F N A C 20 TCAGATTCAAGTGCCAACCAGGACCCGAATCTTGTCGCTAAAGAATCTAACGAAGTCGCT 21 S D S S A N Q D P N L V A K E S N E V A 40 ATGAAAGATTTCGGTAAGACTGTTCCGGTAGGGATTGAAAAAGAAGATGGAAAATTTAAA 41 M K D F G K T V P V G I E K E D G K F K 60 ATCTCATTTATGGTTACTGCCCAGCCGTATGAAATTGCGGACAGTAAAGAAAATGCAGGT 61 I S F M V T A Q P Y E I A D S K E N A G 80 TATATTTCCATGATCAGACAGGCTGTTGAGAATGAAACTCCCGTTCATGTTTTCCTTAAA 81 Y I S M I R Q A V E N E T P V H V F L K 100 GTCAACACCAATAAAATTGCAAAAGTAGAAAAAGCAACAGATGATGACATCCGTTATTTT 101 V N T N K I A K V E K A T D D D I R Y F 120 AAATCTGTATTCAACAAGCAAGAGAGAGGTGAAAGCAACAAAGCAGTCAGTGTTATTCCT 121 K S V F N K Q E R G E S N K A V S V I P 140 GATCTGGCAACGCTGAACAGTTTATTTACCCAGATCAAAAACCAGGCTTGCGGAACTTCT 141 D L A T L N S L F T Q I K N Q A C G T S 160 ACAGCATCTTCTCCTTGTATCACCTTCAGATATCCGGTTGACGGATGTTATGCAAGGGCT 161 T A S S P C I T F R Y P V D G C Y A R A 180 CACAAAATGAGACAAATCCTATTGAACGCCGGCTATGACTGTGAAAAGCAGTTCGTATAT 181 H K M R Q I L L N A G Y D C E K Q F V Y 200 GGTAATCTGAGAGCTTCTACAGGAACATGCTGTGTATCATGGGTATATCACGTAGCAATT 201 G N L R A S T G T C C V S W V Y H V A I 220 TTGGTAAGCTTCAAAAATGCTTCAGGAATTGTTGAAAAAAGAATCATAGATCCTTCATTA 221 L V S F K N A S G I V E K R I I D P S L 240 TTCTCCAGCGGTCCTGTAACAGATTCTGCATGGAGAGCTGCATGTACCAACACAAGCTGC 241 F S S G P V T D S A W R A A C T N T S C 260 GGATCTGCGTCTGTATCTTCCTACGCCAATACAGCAGGAAATGTTTACTACAGAAGTCCG 261 G S A S V S S Y A N T A G N V Y Y R S P 280 TCAGGTTCATTACTGTATGATAACAACTATGTGAATACCAATTGTGTATTAAACATATTC 281 S G S L L Y D N N Y V N T N C V L N I F 300 TCATCCCTTTCAGGATGTTCTCCTTCCCCAGCACCAAGTGTAGCAAGCTGTGGATTTTAA 301 S S L S G C S P S P A P S V A S C G F * 319 TTTTGATACATTGCAGGAGCTTTTTATTTAATACTTTTTATTATGAAAGCCTGGTCCTAT (1080)
【0157】 配列番号12 M K K F L L S M M A F V T I L S F N A C S D S S A N Q D P N L V A K E S N E V A M K D F G K T V P V G I E K E D G K F K I S F M V T A Q P Y E I A D S K E N A G Y I S M I R Q A V E N E T P V H V F L K V N T N K I A K V E K A T D D D I R Y F K S V F N K Q E R G E S N K A V S V I P D L A T L N S L F T Q I K N Q A C G T S T A S S P C I T F R Y P V D G C Y A R A H K M R Q I L L N A G Y D C E K Q F V Y G N L R A S T G T C C V S W V Y H V A I L V S F K N A S G I V E K R I I D P S L F S S G P V T D S A W R A A C T N T S C G S A S V S S Y A N T A G N V Y Y R S P S G S L L Y D N N Y V N T N C V L N I F S S L S G C S P S P A P S V A S C G F
【0158】実施例27 蛋白質脱アミド酵素の大腸
菌での生産 a)蛋白質脱アミド酵素の大腸菌での発現プラスミドの構
築 N末端領域アミノ酸配列およびC末端領域アミノ酸配列を
コードするDNA配列をもとに、以下の2種のオリゴヌクレ
オチドをDNA合成機(Applied Biosystems社)により合
成し、PCRプライマーとした。
【0159】配列番号7 センス・プライマー: 5'-GCGAATTCGCAGTCAGTGTTATTCCTGATC-3' 配列番号8 アンチセンス・プライマー: 5'-TAGAATTCTTAAAATCCACAGCTTGCTAC-3'
【0160】これらのプライマーと蛋白質脱アミド酵素
遺伝子を有するプラスミドp7T-1を鋳型として、以下の
条件下、Omnigene Thermal Cycler (Hybaid 社)を用い
てPCR反応を行なった。 <PCR反応液> 10 x PCR反応緩衝液 (Perkin Elmer社) 10.0 μl dNTP混合液 (それぞれ2.5 mM、Promega社) 8.0 μl 20μM センス・プライマー 2.5 μl 20μMアンチセンス・プライマー 2.5 μl 蒸留水 75.5 μl プラスミドp7T-1溶液 (50μg/ml) 1.0 μl Taq DNAポリメラーゼ (Perkin Elmer社) 0.5 μl
【0161】 <PCR反応条件> ステージ1: 変性(94℃、5分) 1サイクル ステージ2: 変性(94℃、1分) 30サイクル アニール(55℃、1分) 伸長(72℃、1分) ステージ3: 伸長(72℃、10分) 1サイクル
【0162】得られた約0.57kbのDNA断片をpCRII(Invit
rogen社)にクローニングし、塩基配列が正しいことを確
認した後、本プラスミドから EcoRI処理により約0.57 k
bのDNA断片を回収した。このDNA断片を大腸菌での発現
ベクターpGEX-1λT (Pharmacia社)のEcoRI部位に挿入
し、pGEX-1λTが有するグルタチオンSトランスフェラー
ゼのコードDNAのC末端に蛋白質脱アミド酵素のコードDN
Aを同方向に連結した。得られた蛋白質脱アミド酵素の
大腸菌での発現プラスミドpN7-7は、tacプロモーターの
制御下でグルタチオンSトランスフェラーゼと蛋白質脱
アミド酵素の融合蛋白質を発現させることが出来、Thro
mbin処理により融合蛋白質から蛋白質脱アミド酵素を切
り出すことが出来る。
【0163】b)蛋白質脱アミド酵素の大腸菌での発現 発現プラスミドpN7-7を大腸菌BL21(Pharmacia社)に導入
し形質転換体を得た。また対照として発現ベクターpGEX
-1λTを有する大腸菌BL21の形質転換体も得た。これら
の形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを含有するLB
培地で37℃、 200rpmで培養して得た対数増殖期(OD600=
0.9~1.0)の細胞に終濃度0.1 mMのIPTGを添加後さらに4
時間同条件で培養し集菌した。菌体を培養液の1/10量の
50 mM Tris-HCl、 pH8.0/2 mM EDTAに縣濁し、終濃度
0.1 mg/mlのEgg white lysozymeと終濃度0.1%のTriton
X-100を添加し、30℃で15 min放置後、温和な超音波処
理(10 sec. On and 30 sec. Offを3 cycles)で粘凋なDN
Aを揃断しCell extractを得た。このCell extract 100
μlに、4μlのThrombin(1U/μl-9 mM sodium phosphat
e、 pH6.5/140 mM NaCl)を添加し、室温に16時間放置
し、Trombin処理Cell extractを得た。また4μlの緩衝
液(9 mM sodium phosphate、 pH6.5/140 mM NaCl)を添
加し、同様の反応を行ったものをTrombin処理の対照と
した。
【0164】得られたサンプルについて、蛋白質脱アミ
ド酵素活性の測定を行った結果を以下の表に示す。
【0165】
【表7】
【0166】この様に、蛋白質脱アミド酵素発現プラス
ミドpN7-7を有する大腸菌は、蛋白質脱アミド活性を発
現していることが判る。一方、対照とした発現ベクター
pGEX-1λTを有する大腸菌には蛋白質脱アミド活性の発
現は観察されなかった。また、これらのサンプルを12%
SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、蛋白質脱
アミド酵素に対する抗体を用いたWestern解析を行っ
た。その結果、サンプル1中にはグルタチオンSトラン
スフェラーゼと蛋白質脱アミド酵素の融合蛋白質を考え
られる分子量約43kDaの位置に抗体と反応するバンドが
検出され、サンプル2中には、この分子量約43kDaのバン
ドの他に蛋白質脱アミド酵素の分子量約20kDaの位置に
バンドが検出された。一方、サンプル3、4中には抗体
と反応するバンドは何も検出されなかった。これらの結
果より、本発明で得られた蛋白質脱アミド酵素遺伝子を
用いて、組換え蛋白質脱アミド酵素を大腸菌を用いて製
造出来ることが確認された。
【0167】実施例28 蛋白質脱アミド酵素の糸状
菌での発現 a)蛋白質脱アミド酵素の糸状菌での発現カセットの構築 N末端領域アミノ酸配列およびC末端領域アミノ酸配列を
コードするDNA配列をもとに、以下の2種のオリゴヌクレ
オチドをDNA合成機(アプライド・システム社)により
合成し、PCRプライマーとした。
【0168】配列番号9 センス・プライマー: 5'-GCGTCGACGCAGTCAGTGTTATTCCTGATC-3' 配列番号10 アンチセンス・プライマー: 5'-TAGGATCCTTAAAATCCACAGCTTGCTAC-3'
【0169】これらのプライマーと蛋白質脱アミド酵素
遺伝子を有するプラスミドp7T-1を鋳型として、実施例
27と同様にしてPCR反応を行った。得られた約0.57kb
のDNA断片をpCRII(Invitrogen社)にクローニングし、塩
基配列が正しいことを確認した後、本プラスミドからSa
lI/BamHI処理により約0.57 kbのDNA断片を回収した。こ
のDNA断片を糸状菌での発現カセット構築ベクターpY4'
(特開平7-123987)のSalI-BamHI部位に挿入し、プラスミ
ドpD5'を得た。このプラスミドにはPenicilliumcamembe
rtii由来のモノ及びジアシルグリセロールリパーゼと蛋
白質脱アミド酵素の融合蛋白質をコードするDNA配列を
有する。さらにモノ及びジアシルグリセロールリパーゼ
と蛋白質脱アミド酵素の接合部に存在する不必要な塩基
配列(5'-GTCGAC-3'、これは蛋白質脱アミド酵素遺伝子
を連結するために導入したSalI部位に相当する)を部位
特異的変異により欠失させ、プラスミドpD5を得た。こ
のプラスミドは、モノ及びジアシルグリセロールリパー
ゼのC末端部位のプロセッシング部位(Lys-Arg配列、そ
れぞれC末端から3番目及び2番目)の直後に蛋白質脱
アミド酵素が連結された融合蛋白質をコードするDNA配
列を有する。またこの融合蛋白質は、その上流と下流に
あるPenicillium camembertii由来のモノ及びジアシル
グリセロールリパーゼ遺伝子のプロモーターとターミネ
ーターの制御によって糸状菌や酵母で発現される。ま
た、発現された融合蛋白質は宿主のもつプロテアーゼに
よってLys-Arg部位で切断され、蛋白質脱アミド酵素を
切り出すことが可能である(特開平7-123987)。
【0170】b)蛋白質脱アミド酵素のPenicilluim came
mbertiiでの発現 上記a)で得られたプラスミドpD5を、Penicillium camem
bertiiの形質転換プラスミドpH1と共にco-transformati
onによりPenicillium camembertii U-150株に導入し
た。対照としてpH1のみによる形質転換体も得た。得ら
れた形質転換体を培養し、培養ろ液中の蛋白質脱アミド
酵素活性を測定したところ、プラスミドpD5を導入した
形質転換体において10.3 mU/ml(基質:Z-Gln-Gly)の蛋
白質脱アミド酵素の生産が確認された。一方、pH1のみ
による形質転換体の培養ろ液中には活性は検出されなか
った。尚、プラスミドpH1及び形質転換法は特開平7-123
987に詳細が記載されている。
【0171】実施例29 蛋白質脱アミド酵素のAsperg
illus oryzaeでの発現 実施例28 a)で得られたプラスミドpD5を、Aspergillu
s oryzaeの形質転換プラスミドpN3と共にco-transforma
tionによりAspergillus oryzae AO1.1株 (Mol.Gen. Gen
et., 218, 99-104, 1989)に導入した。対照としてpN3の
みによる形質転換体も得た。得られた形質転換体を培養
し、培養ろ液中の蛋白質脱アミド酵素活性を測定したと
ころ、プラスミドpD5を導入した形質転換体において4.5
1 mU/ml(基質:Z-Gln-Gly)の蛋白質脱アミド酵素の生
産が確認された。一方、pN3のみによる形質転換体の培
養ろ液中には活性は検出されなかった。尚、プラスミド
pN3及び形質転換法は特開平7-123987に詳細が記載され
ている。実施例28及び29の結果より、本発明で得ら
れた蛋白質脱アミド酵素遺伝子を用いて、組換え蛋白質
脱アミド酵素を糸状菌を用いて製造出来ることが確認さ
れた。
【0172】
【発明の効果】蛋白質中のグルタミンに作用して脱アミ
ド反応を触媒する新規な酵素として、微生物より初めて
見い出され、本酵素は広い応用範囲が期待される。ま
た、本発明により、蛋白質脱アミドの一次構造及び遺伝
子構造が提供されたことにより、蛋白質脱アミド酵素活
性を有するポリペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的
な製造が可能となる。
【0173】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Amano Pharmaceutical Co., Ltd. <120> NOVEL PROTEIN-DEAMIDATING ENZYME, GENE ENCODING THE SAME, PRODUCTION PROCESS THEREFOR, AND USE THEREOF <130> P-31928 <140> <141> <150> HEI-10-173940 <151> 1998-06-04 <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 20 <212> PRT <213> Chryseobacterium gleum <400> 1 Ala Val Ser Val Ile Pro Asp Leu Ala Thr Leu Asn Ser Leu Phe Thr 1 5 10 15 Gln Ile Lys Asn 20 <210> 2 <211> 20 <212> PRT <213> Chryseobacterium gleum <400> 2 Ser Pro Ser Gly Ser Leu Leu Tyr Asp Asn Asn Tyr Val Asn Thr Asn 1 5 10 15 Cys Val Leu Asn 20 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <220> <221> modified#base <222> (3) <223> i <220> <221> modified#base <222> (6) <223> i <220> <221> modified#base <222> (12) <223> i <400> 3 wsngtnathc cngayytnac 20 <210> 4 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 4 arnacrcart tngtrttnac 20 <210> 5 <211> 555 <212> DNA <213> Chryseobacterium gleum <400> 5 gcagtcagtg ttattcctga tctggcaacg ctgaacagtt tatttaccca gatcaaaaac 60 caggcttgcg gaacttctac agcatcttct ccttgtatca ccttcagata tccggttgac 120 ggatgttatg caagggctca caaaatgaga caaatcctat tgaacgccgg ctatgactgt 180 gaaaagcagt tcgtatatgg taatctgaga gcttctacag gaacatgctg tgtatcatgg 240 gtatatcacg tagcaatttt ggtaagcttc aaaaatgctt caggaattgt tgaaaaaaga 300 atcatagatc cttcattatt ctccagcggt cctgtaacag attctgcatg gagagctgca 360 tgtaccaaca caagctgcgg atctgcgtct gtatcttcct acgccaatac agcaggaaat 420 gtttactaca gaagtccgtc aggttcatta ctgtatgata acaactatgt gaataccaat 480 tgtgtattaa acatattctc atccctttca ggatgttctc cttccccagc accaagtgta 540 gcaagctgtg gattt 555 <210> 6 <211> 185 <212> PRT <213> Chryseobacterium gleum <400> 6 Ala Val Ser Val Ile Pro Asp Leu Ala Thr Leu Asn Ser Leu Phe Thr 1 5 10 15 Gln Ile Lys Asn Gln Ala Cys Gly Thr Ser Thr Ala Ser Ser Pro Cys 20 25 30 Ile Thr Phe Arg Tyr Pro Val Asp Gly Cys Tyr Ala Arg Ala His Lys 35 40 45 Met Arg Gln Ile Leu Leu Asn Ala Gly Tyr Asp Cys Glu Lys Gln Phe 50 55 60 Val Tyr Gly Asn Leu Arg Ala Ser Thr Gly Thr Cys Cys Val Ser Trp 65 70 75 80 Val Tyr His Val Ala Ile Leu Val Ser Phe Lys Asn Ala Ser Gly Ile 85 90 95 Val Glu Lys Arg Ile Ile Asp Pro Ser Leu Phe Ser Ser Gly Pro Val 100 105 110 Thr Asp Ser Ala Trp Arg Ala Ala Cys Thr Asn Thr Ser Cys Gly Ser 115 120 125 Ala Ser Val Ser Ser Tyr Ala Asn Thr Ala Gly Asn Val Tyr Tyr Arg 130 135 140 Ser Pro Ser Gly Ser Leu Leu Tyr Asp Asn Asn Tyr Val Asn Thr Asn 145 150 155 160 Cys Val Leu Asn Ile Phe Ser Ser Leu Ser Gly Cys Ser Pro Ser Pro 165 170 175 Ala Pro Ser Val Ala Ser Cys Gly Phe 180 185 <210> 7 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 7 gcgaattcgc agtcagtgtt attcctgatc 30 <210> 8 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 8 tagaattctt aaaatccaca gcttgctac 29 <210> 9 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 9 gcgtcgacgc agtcagtgtt attcctgatc 30 <210> 10 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 10 taggatcctt aaaatccaca gcttgctac 29 <210> 11 <211> 1080 <212> DNA <213> Chryseobacterium gleum <220> <221> CDS <222> (61)..(1020) <220> <221> mat#peptide <222> (463)..(1017) <400> 11 aataagtgaa ctattacaat taaaaagttc actaaaacta aacaccaaaa tataaaaact 60 atg aaa aaa ttt ctg tta tcc atg atg gca ttc gtg acg att ctg tca 108 Met Lys Lys Phe Leu Leu Ser Met Met Ala Phe Val Thr Ile Leu Ser -130 -125 -120 ttc aat gcc tgc tca gat tca agt gcc aac cag gac ccg aat ctt gtc 156 Phe Asn Ala Cys Ser Asp Ser Ser Ala Asn Gln Asp Pro Asn Leu Val -115 -110 -105 gct aaa gaa tct aac gaa gtc gct atg aaa gat ttc ggt aag act gtt 204 Ala Lys Glu Ser Asn Glu Val Ala Met Lys Asp Phe Gly Lys Thr Val -100 -95 -90 ccg gta ggg att gaa aaa gaa gat gga aaa ttt aaa atc tca ttt atg 252 Pro Val Gly Ile Glu Lys Glu Asp Gly Lys Phe Lys Ile Ser Phe Met -85 -80 -75 gtt act gcc cag ccg tat gaa att gcg gac agt aaa gaa aat gca ggt 300 Val Thr Ala Gln Pro Tyr Glu Ile Ala Asp Ser Lys Glu Asn Ala Gly -70 -65 -60 -55 tat att tcc atg atc aga cag gct gtt gag aat gaa act ccc gtt cat 348 Tyr Ile Ser Met Ile Arg Gln Ala Val Glu Asn Glu Thr Pro Val His -50 -45 -40 gtt ttc ctt aaa gtc aac acc aat aaa att gca aaa gta gaa aaa gca 396 Val Phe Leu Lys Val Asn Thr Asn Lys Ile Ala Lys Val Glu Lys Ala -35 -30 -25 aca gat gat gac atc cgt tat ttt aaa tct gta ttc aac aag caa gag 444 Thr Asp Asp Asp Ile Arg Tyr Phe Lys Ser Val Phe Asn Lys Gln Glu -20 -15 -10 aga ggt gaa agc aac aaa gca gtc agt gtt att cct gat ctg gca acg 492 Arg Gly Glu Ser Asn Lys Ala Val Ser Val Ile Pro Asp Leu Ala Thr -5 -1 1 5 10 ctg aac agt tta ttt acc cag atc aaa aac cag gct tgc gga act tct 540 Leu Asn Ser Leu Phe Thr Gln Ile Lys Asn Gln Ala Cys Gly Thr Ser 15 20 25 aca gca tct tct cct tgt atc acc ttc aga tat ccg gtt gac gga tgt 588 Thr Ala Ser Ser Pro Cys Ile Thr Phe Arg Tyr Pro Val Asp Gly Cys 30 35 40 tat gca agg gct cac aaa atg aga caa atc cta ttg aac gcc ggc tat 636 Tyr Ala Arg Ala His Lys Met Arg Gln Ile Leu Leu Asn Ala Gly Tyr 45 50 55 gac tgt gaa aag cag ttc gta tat ggt aat ctg aga gct tct aca gga 684 Asp Cys Glu Lys Gln Phe Val Tyr Gly Asn Leu Arg Ala Ser Thr Gly 60 65 70 aca tgc tgt gta tca tgg gta tat cac gta gca att ttg gta agc ttc 732 Thr Cys Cys Val Ser Trp Val Tyr His Val Ala Ile Leu Val Ser Phe 75 80 85 90 aaa aat gct tca gga att gtt gaa aaa aga atc ata gat cct tca tta 780 Lys Asn Ala Ser Gly Ile Val Glu Lys Arg Ile Ile Asp Pro Ser Leu 95 100 105 ttc tcc agc ggt cct gta aca gat tct gca tgg aga gct gca tgt acc 828 Phe Ser Ser Gly Pro Val Thr Asp Ser Ala Trp Arg Ala Ala Cys Thr 110 115 120 aac aca agc tgc gga tct gcg tct gta tct tcc tac gcc aat aca gca 876 Asn Thr Ser Cys Gly Ser Ala Ser Val Ser Ser Tyr Ala Asn Thr Ala 125 130 135 gga aat gtt tac tac aga agt ccg tca ggt tca tta ctg tat gat aac 924 Gly Asn Val Tyr Tyr Arg Ser Pro Ser Gly Ser Leu Leu Tyr Asp Asn 140 145 150 aac tat gtg aat acc aat tgt gta tta aac ata ttc tca tcc ctt tca 972 Asn Tyr Val Asn Thr Asn Cys Val Leu Asn Ile Phe Ser Ser Leu Ser 155 160 165 170 gga tgt tct cct tcc cca gca cca agt gta gca agc tgt gga ttt taa 1020 Gly Cys Ser Pro Ser Pro Ala Pro Ser Val Ala Ser Cys Gly Phe 175 180 185 ttttgataca ttgcaggagc tttttattta atacttttta ttatgaaagc ctggtcctat 1080 <210> 12 <211> 319 <212> PRT <213> Chryseobacterium gleum <400> 12 Met Lys Lys Phe Leu Leu Ser Met Met Ala Phe Val Thr Ile Leu Ser 1 5 10 15 Phe Asn Ala Cys Ser Asp Ser Ser Ala Asn Gln Asp Pro Asn Leu Val 20 25 30 Ala Lys Glu Ser Asn Glu Val Ala Met Lys Asp Phe Gly Lys Thr Val 35 40 45 Pro Val Gly Ile Glu Lys Glu Asp Gly Lys Phe Lys Ile Ser Phe Met 50 55 60 Val Thr Ala Gln Pro Tyr Glu Ile Ala Asp Ser Lys Glu Asn Ala Gly 65 70 75 80 Tyr Ile Ser Met Ile Arg Gln Ala Val Glu Asn Glu Thr Pro Val His 85 90 95 Val Phe Leu Lys Val Asn Thr Asn Lys Ile Ala Lys Val Glu Lys Ala 100 105 110 Thr Asp Asp Asp Ile Arg Tyr Phe Lys Ser Val Phe Asn Lys Gln Glu 115 120 125 Arg Gly Glu Ser Asn Lys Ala Val Ser Val Ile Pro Asp Leu Ala Thr 130 135 140 Leu Asn Ser Leu Phe Thr Gln Ile Lys Asn Gln Ala Cys Gly Thr Ser 145 150 155 160 Thr Ala Ser Ser Pro Cys Ile Thr Phe Arg Tyr Pro Val Asp Gly Cys 165 170 175 Tyr Ala Arg Ala His Lys Met Arg Gln Ile Leu Leu Asn Ala Gly Tyr 180 185 190 Asp Cys Glu Lys Gln Phe Val Tyr Gly Asn Leu Arg Ala Ser Thr Gly 195 200 205 Thr Cys Cys Val Ser Trp Val Tyr His Val Ala Ile Leu Val Ser Phe 210 215 220 Lys Asn Ala Ser Gly Ile Val Glu Lys Arg Ile Ile Asp Pro Ser Leu 225 230 235 240 Phe Ser Ser Gly Pro Val Thr Asp Ser Ala Trp Arg Ala Ala Cys Thr 245 250 255 Asn Thr Ser Cys Gly Ser Ala Ser Val Ser Ser Tyr Ala Asn Thr Ala 260 265 270 Gly Asn Val Tyr Tyr Arg Ser Pro Ser Gly Ser Leu Leu Tyr Asp Asn 275 280 285 Asn Tyr Val Asn Thr Asn Cys Val Leu Asn Ile Phe Ser Ser Leu Ser 290 295 300 Gly Cys Ser Pro Ser Pro Ala Pro Ser Val Ala Ser Cys Gly Phe 305 310 315
【図面の簡単な説明】
【図1】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobac
terium gleum)JCM2410のラクトース培地での培養経過
を示す図である。
【符号の説明】
□はpH変動を示し、×は培養液の660nmの吸光度(濁
度)変動を示し、△はカゼインを基質としたときのプロ
テアーゼ活性の変動を示し、●はZ-Gln-Glyを基質とし
たときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示し、黒三角
はカゼインを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性
の変動を示す。
【図2】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobac
terium gleum)JCM2410より得られた蛋白質脱アミド酵
素の至適pHを示す図である。
【図3】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobac
terium gleum)JCM2410より得られた蛋白質脱アミド酵
素の至適温度を示す図である。
【図4】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobac
terium gleum)JCM2410より得られた蛋白質脱アミド酵
素のpH安定性を示す図である。
【図5】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobac
terium gleum)JCM2410より得られた蛋白質脱アミド酵
素の温度安定性を示す図である。
【図6】クリセオバクテリウム・インドロゲネス(Chry
seobacterium indologenes) IFO14944のラクトース培
地での培養経過を示す図である。
【符号の説明】
□はpH変動を示し、×は培養液の660nmの吸光度(濁
度)変動を示し、△はカゼインを基質としたときのプロ
テアーゼ活性の変動を示し、●はZ-Gln-Glyを基質とし
たときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示し、黒三角
はカゼインを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性
の変動を示す。
【図7】クリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム
(Chryseobacterium meningosepticum)IFO12535のラク
トース培地での培養経過を示す図である。
【符号の説明】 □はpH変動を示し、×は培養液の660nmの吸光度(濁
度)変動を示し、△はカゼインを基質としたときのプロ
テアーゼ活性の変動を示し、●はZ-Gln-Glyを基質とし
たときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示し、黒三角
はカゼインを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性
の変動を示す。
【図8】クリセオバクテリウム・バラスチナム(Chryse
obacterium balustinum)IFO15053のラクトース培地で
の培養経過を示す図である。
【符号の説明】
□はpH変動を示し、×は培養液の660nmの吸光度(濁
度)変動を示し、△はカゼインを基質としたときのプロ
テアーゼ活性の変動を示し、●はZ-Gln-Glyを基質とし
たときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示し、黒三角
はカゼインを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性
の変動を示す。
【図9】実施例9の精製蛋白質脱アミド酵素及び精製の
各ステップのサンプルのSDS-ポリアクリルアミドゲル電
気泳動の結果を示す図である。
【図10】実施例11のアンモニア又はアンモニウムの遊
離パターンを示す図である。
【符号の説明】
△は蛋白質脱アミド酵素を添加した場合の結果を示し、
黒三角はブランクの結果を示す。
【図11】実施例12の脱アミド化グルテンの分散性を示
す図である。
【符号の説明】
黒四角は蛋白質脱アミド酵素処理したグルテンの結果を
示し、●は未処理の結果を示す。
【図12】実施例12の脱アミド化グルテンの溶解性を示
す図である。
【符号の説明】
黒四角は蛋白質脱アミド酵素処理したグルテンの結果を
示し、●は未処理の結果を示す。
【図13】実施例18のアンモニア又はアンモニウムの遊
離パターンを示す図である。
【符号の説明】 ○は蛋白質脱アミド酵素を添加した場合の結果を示し、
●はブランクの結果を示す。
【図14】実施例18の脱アミド化カゼインのSDS-ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。
【図15】実施例19の脱アミド化カゼインのカルシウム
溶解性を示す図である。
【符号の説明】
黒四角は蛋白質脱アミド酵素処理したカゼインの結果を
示し、●は未処理の結果を示す。
【図16】実施例23のトランスグルタミナーゼ反応中に
蛋白質脱アミド酵素を添加した場合のSDS-ポリアクリル
アミドゲル電気泳動の結果を示す図である。
【図17】実施例23の脱アミド化カゼインをトランスグ
ルタミナーゼで処理した場合のSDS-ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動の結果を示す図である。
【図18】実施例25の脱アミド化カゼインの分酸性及び
溶解性を示す図である。
【符号の説明】
黒四角は蛋白質脱アミド酵素処理したカゼインの結果を
示し、●は未処理の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23J 3/00 506 A23J 3/00 506 3/10 3/10 3/16 502 3/16 502 3/18 502 3/18 502 3/34 3/34 A23L 1/176 A23L 1/176 1/23 1/23 1/317 1/317 A (C12N 9/80 C12R 1:01) (C12N 9/80 C12R 1:20)

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用
    を有する酵素。
  2. 【請求項2】 蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプ
    チド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドす
    る作用を有する酵素。
  3. 【請求項3】 該酵素は微生物由来であることを特徴と
    する請求項1又は2記載の酵素。
  4. 【請求項4】 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配
    列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付
    加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている
    アミノ酸配列を有し、蛋白質中のアミド基を脱アミドす
    る作用を有するポリペプチドからなるポリペプチド。
  5. 【請求項5】 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配
    列を有するポリペプチドからなるポリペプチド。
  6. 【請求項6】 蛋白質中のアミド基を脱アミドする活性
    を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプ
    チド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドす
    る活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチ
    ド。
  8. 【請求項8】 下記(a)〜(g)から選択されるヌク
    レオチドからなり、かつ、蛋白質中のアミド基を脱アミ
    ドする活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオ
    チドからなるヌクレオチド。 (a)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有す
    るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(b)配列
    表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又
    は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置
    換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有す
    るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(c)配列
    表の配列番号5に記載の塩基配列を有するヌクレオチ
    ド、(d)配列表の配列番号5に記載の塩基配列におい
    て、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは
    置換の少なくとも1つがなされている塩基配列を有する
    ヌクレオチド、(e)上記(a)〜(d)のいずれかに
    記載のヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイ
    ブリダイズする遺伝子、(f)上記(a)〜(d)のい
    ずれかに記載のヌクレオチドに相同性を有するヌクレオ
    チド、(g)上記(a)〜(f)の少なくともいずれか
    1つに記載のヌクレオチドに縮重するヌクレオチド。
  9. 【請求項9】 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配
    列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドから
    なるヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 請求項5から9のいずれかに記載のヌ
    クレオチドを含有することを特徴とする組換えベクタ
    ー。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の組換えベクターを導
    入させた形質転換体。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の形質転換体を培養
    し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵
    素を生産せしめ、培養物より蛋白質中のアミド基を脱ア
    ミドする作用を有する酵素を採取することを特徴とする
    蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素の
    製造法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の形質転換体を培養
    し、該培養物から採取される、蛋白質中のアミド基を脱
    アミドする作用を有する組換えポリペプチド。
  14. 【請求項14】微生物を栄養培地に培養し、蛋白質中の
    アミド基を脱アミドする作用を有する新規な酵素を生産
    せしめ、該酵素を採取することを特徴とする新規な酵素
    の製造法。
  15. 【請求項15】微生物を栄養培地に培養し、蛋白質中の
    アミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質
    の架橋を伴わず、脱アミドする作用を有する新規な酵素
    生産せしめ、該酵素を採取することを特徴とする蛋白質
    中のアミド基を脱アミドする作用を有する新規な酵素の
    製造法。
  16. 【請求項16】微生物がシトファガレス(Cytophagale
    s)或いはアクチノマイセテス(Actinomycetes)に分類
    される細菌である請求項14或いは請求項15記載の製
    造法。
  17. 【請求項17】微生物がフラボバクテリアチェ(Flavob
    acteriaceae)に分類される細菌である請求項14或い
    は請求項15記載の製造法。
  18. 【請求項18】微生物がクリセオバクテリウム(Chryse
    obacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteiu
    m)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフィ
    ンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバ
    クテリウム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myro
    ides)属より選ばれる請求項14或いは請求項15記載
    の製造法。
  19. 【請求項19】蛋白質及び/又はペプチドに、蛋白質及
    びペプチド中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の
    切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドする作用を有
    する酵素を作用させることを特徴とする蛋白質及び/又
    はペプチドの修飾法。
  20. 【請求項20】蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接
    作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
    ず、脱アミドする作用を有する酵素を有効成分としてな
    る蛋白質及び/又はペプチドの修飾用組成物。
  21. 【請求項21】蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接
    作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
    ず、脱アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋
    白質及び/又はペプチドに作用させ、当該蛋白質及び/
    又はペプチドの機能性を改善する方法。
  22. 【請求項22】蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接
    作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
    ず、脱アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋
    白質及び/又はペプチドを含む食品に作用させ、当該食
    品の機能性を改善する方法。
  23. 【請求項23】蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接
    作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
    ず、脱アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋
    白質及び/又はペプチドを含有する粗原料に作用させ、
    当該粗原料からの蛋白質及び/又はペプチドの抽出効率
    を改善する方法。
  24. 【請求項24】蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接
    作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
    ず、脱アミドする作用を有する酵素によりトランスグル
    タミナーゼの反応を制御する方法。
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