JP3609648B2 - 新規蛋白質脱アミド酵素、それをコードする遺伝子、その製造法並びにその用途 - Google Patents

新規蛋白質脱アミド酵素、それをコードする遺伝子、その製造法並びにその用途 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な酵素、即ち蛋白質中の側鎖アミド基に作用して、側鎖カルボキシル基とアンモニアを遊離する作用を有する新規な酵素及びその製造法に関する。更に詳細には、シトファガレス(Cytophagales)或いはアクチノマイセテス(Actinomycetes)に分類される細菌、より詳細にはクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myroides)属に属し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素生産能を有する菌株を培地に培養し、該酵素を生産せしめ、培養物より該酵素を採取することを特徴とする蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素の製造法に関する。更に本発明は、蛋白質中のアミド基に直接作用する新規な酵素を用いた蛋白質の修飾方法に関する。更に、本発明は、蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有するベクター、該ベクターを導入した形質転換体、及び形質転換体を培地に培養し、該酵素を生産せしめ、培養物より該酵素を採取することを特徴とする蛋白質のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
グルタミナーゼ/アスパラギナーゼはグルタミン/アスパラギンを水解してグルタミン酸/アスパラギン酸とアンモニアにする酵素であり、これが動植物及び微生物から得られることはよく知られている。しかし、この酵素は遊離のグルタミン/アスパラギンに特異的に作用する酵素であり、ペプチド中のグルタミン/アスパラギンを脱アミドすることはできない。ましてペプチドより分子量の大きな蛋白質中のグルタミン/アスパラギンのγ/β−アミド基を脱アミドすることはできない。
【0003】
また、ペプチド状態に存在するアミド基に作用する酵素としては、トランスグルタミナーゼがある。この酵素はペプチド結合グルタミンのアミド基をアシル供与体、一級アミンのアミノ基をアシル受容体として、蛋白質にアミン化合物の共有結合的導入や、蛋白質中のグルタミンとリジン両残基間でのε‐(γ‐グルタミル)リジン‐ペプチド結合による架橋形成を触媒する。反応系にアミンやリジンが存在しない或いはブロックされている場合には水がアシル受容体になり、ペプチド中のグルタミン残基が脱アミドされグルタミン酸となることが知られているが、この酵素は上述のように本来アシル転移酵素であるため、通常の蛋白質に作用させると架橋反応が起こり、蛋白質を脱アミド化する反応は生ぜず、本発明の酵素とは異なる。
【0004】
また、ペプチド中に結合するグルタミンに作用して脱アミドする酵素についてはバチルス サーキュランス(Bacillus circulans)由来の酵素、Peptideglutaminase I及びPeptideglutaminase IIが知られている。前者は、ペプチドのC末端に位置するグルタミン残基に作用し、後者はペプチド中のグルタミン残基に作用することが知られている.しかしながら、これらの酵素は高分子蛋白質には作用せず、低分子ペプチドにのみ作用する酵素である [M. Kikuchi, H. Hayashida, E. Nakano, and K. Sakaguchi, Biochemistry, 10巻, 1222−1229(1971)]。
【0005】
これらの酵素(PeptideglutaminaseI及びII)を、低分子ペプチドでなく高分子の蛋白質に作用させる試みが、複数の研究によってなされてきたが、それらの酵素が高分子蛋白質に実質的に作用せず、蛋白質加水分解ペプチドにしか作用しないことが明らかにされている.具体的には、Gillらは、乳カゼインとホェイ蛋白質に対して、nativeな状態ばかりでなく、変性後においても、PeptideglutaminaseI及びIIいずれも作用しないことを報告している。彼らは、またそれらの蛋白質の加水分解物に対する作用性を検討した結果、Peptideglutaminase IIのみ作用したが、分子量5000以下のペプチドにしか作用しないことを報告している(B. P. Gill, A. J. O’Shaughnessey, P. Henderson and D. R. Headon, Ir. J. Food Sci. Technol., 9巻, 33−41(1985))。大豆蛋白質を用いて同様の検討が、Hamadaらによって行われたが、Gillらの結果との一致を見ている。即ち、大豆ペプチド(Peptone)に対する脱アミド率が24.4−47.7%に対し、大豆蛋白質に対しては実質的に作用しないこと(0.4−0.8%)が報告されている(J. S. Hamada,F. F. Shih, A. W. Frank and W. E. marshall, J. Food Science, 53巻, 2号, 671−672(1988))。
【0006】
植物の種子中に蛋白質を脱アミドする酵素の存在の可能性が報告されている(I.A. Vaintraub, l. V. Kotova, R. Shara, FEBS Letter, 302巻, 169−171 (1992))。しかしながら、この報告においては、部分精製品を用いて蛋白質からアンモニアの遊離を観察しているが、以下に述べる理由により、本発明に開示される酵素の存在を証明するものではないことは明らかである。即ち、部分精製品を用いている点、プロテアーゼ活性が存在しないことが確認されていない点、反応後の基質蛋白質の分子量変化が生じていないことが確認されていない点により、一つの酵素の作用ではなく複数の酵素、例えばプロテアーゼ、ペプチダーゼにより蛋白質から遊離したアミノ酸、グルタミン/アスパラギンがグルタミナーゼ/アスパラギナーゼにより脱アミド化されアンモニアが遊離されている可能性、或いは同様にして生じたグルタミン含有低分子ペプチドがペプチドグルタミナーゼ様酵素により脱アミドされている可能性が残されている。或いはまたプロテアーゼの複反応により脱アミドされている可能性も否定できない。とりわけ、上記の報告中において、用いられた部分製製品中に遊離のグルタミンに作用してアンモニアを遊離するグルタミナーゼ活性が存在することが明記されていることは特記すべきである。
このように、高分子蛋白質作用して脱アミド反応を触媒する酵素について、単一蛋白質まで精製し、更に遺伝子を単利し発現させることにより、その存在を証明した報告はこれまでになかった。
【0007】
一般に蛋白質中のグルタミン及びアスパラギン残基を脱アミド化し、カルボキシル基を生じさせると、その蛋白質の負電荷が増加し、その結果等電点の低下、水和力が増加する。さらに静電反撥力の上昇による蛋白質間の相互作用の低下、すなわち会合性の低下がもたらされる。これらの変化により蛋白質の可溶性、水分散性は大きく増大する。また蛋白質の負電荷の増加は、その蛋白質の折りたたみをほぐし、高次構造を変化させ、分子内部に埋もれていた疎水性領域を分子表面に露出させる。したがって脱アミド化蛋白質は、両親媒性を有し理想的な界面活性剤となり、蛋白質の乳化力、乳化安定性、起泡性、泡沫安定性が大きく向上する。
【0008】
このように、蛋白質の脱アミド化は、蛋白質の様々な機能特性の向上をもたらし、その蛋白質の用途は飛躍的に増大させる (例えば、Molecular Approaches to Improving Food Quality and Safety, D.Chatnagar and T. E. Cleveland, eds., Van Nostrand Reinhold, New York, 1992, p.37)。
【0009】
この為、蛋白質を脱アミド化する方法は、古くより盛んに研究され多くの方法が考えられてきた。蛋白質を化学的に脱アミド化させる方法としては、高温条件下での温和な酸または温和なアルカリ処理法などがあった。一般に蛋白質中のグルタミン及びアスパラギン残基のアミド基は、酸或いは塩基により加水分解される。しかしながらこの反応は非特異的であり、強酸、強アルカリ条件下では、ペプチド結合の切断も伴う。また蛋白質の変性も伴い、その蛋白質の機能性を損なう結果となる。
【0010】
そこでこれらの望ましくない反応を制限するため種々工夫されて、温和な酸処理 (例えば、J.W. Finley, J. Food Sci. 40, 1283, 1975; C.W. Wu, S. Nakai, and W. D. Powie, J. Agric. Food Chem., 24, 504, 1976など)や温和なアルカリ処理 (例えば、A. Dilollo, I. Alli, C. Biloarders, N. Barthakur, J. Agric. Food Chem., 41. 24, 1993など)が考案された。また、酸としてドデシル硫酸ナトリウム(F.F. Shih and A. Kalmar, J. Agric. Food Chem., 35, 672, 1987)や陽イオン交換樹脂(F. F. Shih, J.food Sci., 52, 1529, 1987)などを触媒として用いたり、或いはまた低水分下での高温処理法(J. Zhang, T.C. Lee, and C.−T. Ho, J. Agric. Food Chem., 41, 1840, 1993)なども試みられてきた。
【0011】
しかしながら、いずれの方法でもペプチド結合の切断を完全に制限することは困難であった。ペプチド結合の切断は、脱アミド化により期待される蛋白質の機能性の向上を阻害するばかりでなく、苦味の生成ももたらし好ましくない。また酸処理法に比べて効率のよいアルカリ処理法では、アミノ酸のラセミ化や毒性の疑いのあるリジノアラニンが生ずる欠点もあった。
【0012】
一方、上述の化学法の問題点を克服するため、蛋白質の酵素的脱アミド化法もいくつか試みられてきた。高pH(pH10)条件下でのプロテアーゼ処理法(A. Kato, A. Tanaka, N. Matsudomi, and K. Kobayashi, J. Agric. Food Chem., 35, 224, 1987)、トランスグルタミナーゼ法(M. Motoki, K. Seguro, A. Nio, and K. Takinami, Agric. Biol. Chem., 50, 3025, 1986)、ペプチドグルタミナーゼ法(J.S. Hamada, and W.E. Marshall, J. Food Sci., 54, 598, 1989)の三つの方法が考えられてきたが、いずれも欠点があった。
【0013】
まずプロテアーゼ法では、その本来の反応であるペプチド結合の切断はさけられなかった。ペプチド結合の切断が好ましくないことは上述の通りである。
【0014】
またトランスグルタミナーゼ法では、その本来の反応であるグルタミンとリジン間でのイソペプチド結合の形成による架橋反応を押さえるためには、予めリジン残基のε−アミノ基を化学的に保護しておく必要があった。脱アミド化蛋白質を食品用などに供する場合は、可逆的保護基であるシトラコニル基などで保護しておいた後、グルタミンを脱アミドさせ、その後保護基をはずし、さらに遊離したシトラコニル酸と脱アミド化蛋白質を分離しなければならなかった。これらの過程は製造コストを大きく増大させ、実用化にほど遠いものであるのは明らかである。
【0015】
一方、ペプチドグルタミナーゼ法では、本酵素が蛋白質にはほとんど作用せず、低分子ペプチドにのみ作用する酵素であるため、生の蛋白質に作用させることができず、蛋白質加水分解物を用いる必要があった。
【0016】
このように本来酵素法においては、酵素の持つ高い基質特異性に由来する反応選択性が、化学的、物理的方法を凌ぐ最大の利点の一つであるが、蛋白質を脱アミド化する目的においては、副反応が伴わず、また高分子蛋白質に作用して脱アミド化する為のふさわしい酵素が存在しなかったため、実用化されていなかったのが現状である。
【0017】
この様に、蛋白質の脱アミド化は大きな機能性向上をもたらす優れた修飾法であるにもかかわらず、従来の化学法、酵素法いずれの方法でも欠点があり、実用化は進んでいなかった。
【0018】
【課題を解決するための手段】
よって、本発明者らは蛋白質に結合した状態にあるアミド基に直接作用して脱アミドする酵素の給源を安価な微生物に求め、鋭意スクリーニングを重ねた結果、本発明者らが土壌中より新たに分離したクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属に属する新菌株が、蛋白質中に結合するアミド基に直接作用し、ペプチドの結合及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドする作用を有する酵素を生産することを見いだし、本発明を完成した。本明細書においては上述の作用を有する酵素を蛋白質脱アミド酵素と称する。
【0019】
更に本発明者らは、タイプカルチャーよりクリセオバクテリウム属に属する菌株をランダムに選択してその菌株による蛋白質脱アミド酵素の生産について検討した。その結果、すべての菌株にその生産性が確認され、その他の菌株、例えばフラボバクテリウム(Flavobacteium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属及びスフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myroides)属にもその生産が確認された。これらの菌株は何れもシトファガレス(Cytophagales)或いはアクチノマイセテス(Actinomycetes)に分類される細菌であり、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、フラボバクテリウム(Flavobacteium)属及びミロイデス(Myroides)属は何れもフラボバクテリアチェ(Flavobacteriaceae)に分類される細菌である。
【0020】
さらに、本発明者らは、蛋白質脱アミド酵素を単離、精製し、該蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子の塩基配列を決定し、さらに、該遺伝子を含有するベクターを導入した形質転換体を用いて蛋白質脱アミド酵素を製造することが可能であることを確認した。
【0021】
すなわち、本発明は、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物を用いて蛋白質脱アミド酵素を生産する方法、蛋白質脱アミド酵素を用いた蛋白質の修飾方法、蛋白質脱アミド酵素を有効成分として含有する蛋白質の修飾用組成物、蛋白質脱アミド酵素を用いた蛋白質の機能性を改善する方法、蛋白質脱アミド酵素を用いた食品の機能性を改善する方法、蛋白質脱アミド酵素を用いた蛋白質及び/又はペプチドの抽出効率を改善する方法、および、蛋白質脱アミド酵素を用いたトランスグルタミナーゼの反応を制御する方法に関する。
【0022】
さらに、本発明は、蛋白質脱アミド酵素、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組換えベクター、該ベクターを導入した形質転換体、および、該形質転換体を培地に培養し、蛋白質脱アミド酵素を生産せしめ、培養物より蛋白質脱アミド酵素を採取することを特徴とする蛋白質脱アミド酵素の製造法に関する。
【0023】
本発明の蛋白質脱アミド酵素は、蛋白質中の少なくともアスパラギン残基及びグルタミン残基のアミド基に有効であるが、特にその作用部位は、それらに限定されるものではなく、他のアミノ酸残基に結合したアミド基に対しても有効であってもよい。尚、本願明細書において蛋白質とは、蛋白質単体に限定されるものではなく、糖、脂質等との複合蛋白質等であってもよい。そして、その蛋白質の分子量は、特に限定されないが、通常、5000(50残基)以上、好ましくは10,000〜2,000,000の範囲である。
【0024】
また、本発明の蛋白質脱アミド酵素は、蛋白質以外にもアミド基を有するペプチドやそれらの誘導体等に対しても脱アミド化に用いることができる。ペプチドとしては、通常、アミノ酸残基数が2〜50のものが挙げられ、用途としては、栄養改善剤等に用いられているものに好適である。
即ち、本発明の蛋白質脱アミド酵素は、ポリペプチドを含むジペプチド以上から高分子の蛋白質まで基質とすることができる。なお、本願明細書の「ポリペプチド」という用語は、蛋白質を含む。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の蛋白質脱アミド酵素を生産する微生物は、例えば以下のようにしてスクリーニングすることができる。即ち、土壌の懸濁液を、Z−Gln−Glyを唯一の窒素源として含有する分離用液体培地に接種することにより集積培養を行い、その培養液を同様の分離用平板寒天培地に塗布して、生育したコロニーを選択して拾う。これらの菌株を適当な液体培地で培養して、Z−Gln−Glyからアンモニア遊離活性を有する菌株を選択することができる。
【0026】
このようにして選択された菌株について、更にカゼインを基質としてアンモニア遊離活性を指標として蛋白質脱アミド酵素産生微生物をスクリーニングすることができる。
【0027】
このようにしてスクリーニングされた菌株は、バージー著のマニュアル・オブ・デターミネテイブ・バクテリオロジーに従ってクリセオバクテリウム属と同定された。更にクリセオバクテリウム属のタイプカルチャーよりランダムに選択した菌株についても上述と同様の検定法により蛋白質脱アミド酵素が生産されていることを確認した。より具体的な菌種としては例えば、クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)JCM2410、クリセオバクテリウム・インドロゲネス(Chryseobacterium indologenes)IFO14944、クリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム(Chryseobacterium meningosepticum)IFO12535、クリセオバクテリウム・バラスチナム(Chryseobacterium balustinum)IFO15053、クリセオバクテリウム・インドルセティカム(Chryseobacterium indolthticum ATCC27950)、クリセオバクテリウム・スコフサルナム(Chryseobacterium scophthalnum CCM4109)等が挙げられる。
【0028】
また、その他の微生物についても同様なスクリーニングを行ったところ、フラボバクテリウム属、より具体的な菌種としては例えばフラボバクテリウム・アクアティレ(Flavobacterium aquatile)IFO15052、エンペドバクター(Empedobacter)属、より具体的な菌種としては例えばエンペドバクター・ブレビス(Empedobacter brevis)IFO14943、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、より具体的な菌種としては例えばスフィンゴバクテリウム・スピリチボラム(Sphingobacterium spiritivorum)IFO14948、スフィンゴバクテリウム・ヘパリナム(Sphingobacterium heparinum)IFO12017、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属、より具体的な菌種としては例えばアウレオバクテリウム・エステロアロマティカム(Aureobacterium esteraromatidum)IFO3751およびミロイデス(Myroides)属、より具体的な菌種としてはミロイデス・オドラタス(Myroides odoratus)IFO14945の菌株にも蛋白質脱アミド酵素の生産が確認された。
【0029】
尚、この酵素は、蛋白質のグルタミン残基とリジン残基の間でのイソペプチド形成を触媒する活性すなわちトランスグルタミナーゼ活性を有しておらず、既知のトランスグルタミナーゼとは区別される。また蛋白質のペプチド結合を加水分解する活性すなわちプロテアーゼ活性も有しておらず既知のプロテアーゼとも区別される。
【0030】
上述した各菌株を用いて蛋白質脱アミド酵素を製造するための菌株の培養法としては液体培養、固体培養の何れでも良いが、好ましくは液体培養が利用される。液体培養としては例えば、以下のようにして行うことができる。
【0031】
使用できる培地としては、蛋白質脱アミド酵素を生産する微生物が生育可能な培地であれば、如何なるものでも良い。例えば、グルコース、シュクロース、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、或いは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができる。
【0032】
培地のpHは例えば約3〜10、好ましくは約7〜8程度に調製し、培養温度は通常約10〜50℃、好ましくは約20〜37℃程度で、1〜20日間、好ましくは3〜12日間程度好気的条件下で培養する。培養法としては例えば振盪培養法、ジャーファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
【0033】
得られた培養液から蛋白質脱アミド酵素を通常の手段で単離し、本発明の蛋白質脱アミド酵素を得ことができる。例えば培養液から、蛋白質脱アミド酵素を単離精製するには、遠心分離、UF濃縮、塩析、イオン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーを組み合わせ、常法により処理して、精製した蛋白質脱アミド酵素を得ることができる。
【0034】
更に、より具体的に本発明を詳述する。即ち、蛋白質脱アミド酵素を生産する菌株として、上述したクリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)JCM2410を使用し、液体培地で培養し、当該酵素の産生と該酵素の精製、酵素の諸性質について検討した。
【0035】
新鮮なスラントから1白金耳の菌をとり、下記のラクトース培地で30℃、2〜7日間振盪培養し、その後遠心上清を得る。
Figure 0003609648
培養経過を図1に示した。
【0036】
酵素の精製方法は、培養終了後、培養液を遠心分離(12000rpm、4℃、20分間)し、上清を粗酵素液として得、UF濃縮(SEP−0013)、塩析、フェニールセファロース、セファシールS−100により処理し酵素を精製した。精製の工程を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003609648
【0038】
尚、酵素活性の測定は以下のように従い、基質としてZ−Gln−Gly及びカゼインを使用した。
【0039】
活性測定方法:10mM Z−Gln−Glyを含む176mMリン酸緩衝液(pH6.5)100μlに酵素溶液10μlを添加して、37℃、60分間インキュベートした後、12%トリクロロ酢酸溶液100μlを加えて反応を停止する。遠心分離(15000rpm、4℃、5分間)した後、上清について以下のようにF−kit ammonia(ベーリンガー・マンハイム社製)を用いて測定する(A1)。別に酵素溶液の代わりに水を用いて同様にして測定する(A2)。
【0040】
F−kit ammonia 100μl 試薬2に上清10μlと水190μlを加え室温で5分間放置後100μlを用いての340nmの吸光度(E1)を測定する。残りの200μIに、1.0μlの試薬3(グルタメートデヒドロゲナーゼ)を加えた後、更に20分間室温に放置した後に残りの200μlの340nmの吸光度(E2)を測定する。
上記条件下で1分間あたり1μmolのアンモニアを遊離する酵素量を1単位とし、以下の式に従って求める。
u/ml=1.76×[A1(E1−E2)−A2(E1−E2)]
基質として10mM Z−Gln−Glyに代えて1%カゼイン(ハーマステイン、メルク社製)を用いて同様にして活性を求め、蛋白質に結合するアミド基に作用することを確認する。この時同時に反応停止後の遠心上清について280 nmの吸光度を測定することによりプロテアーゼ活性を測定した。プロテアーゼ活性はこの条件下で1ODユニット上昇させる酵素量を1単位とした。
基質として10mM Z−Gln−Glyに代えて10mMグルタミンを用いて同様にして、グルタミナーゼ活性を測定した。
【0041】
また、トランスグルタミナーゼ活性は、基質としてZ−Gln−Glyを用いた以下に示すヒドロキシサム酸法で測定した。
Figure 0003609648
上記溶液の1:1:1の混合液を試薬Bとする。
酵素液の0.05mlに試薬A 0.5mlを加えて混合し、37℃で10分間反応後、試薬B 0.5mlを加えて反応停止とFe錯体の形成を行った後、525nmの吸光度を測定する。対照として予め熱失活させた酵素液を用いて同様に反応させたものの吸光度を測定し、酵素液との吸光度差を求める。別に酵素液のかわりにL−グルタミン酸γ−モノヒドロキサム酸を用いて検量線を作成し、前記吸光度差により生成されたヒドロキサム酸の量を求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成する酵素活性を1単位とした。
【0042】
尚、蛋白質の定量はBCAプロテイン・アッセイ・キット(ピアース社製)により、牛血清アルブミンを標準蛋白質として用いて定量した。
【0043】
▲1▼分子量の測定:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で20kDaであった。
【0044】
▲2▼至適pHの測定:各pHの(10mMのZ−Gln−Glyを含む)100μl[40mMブリットン−ロビンソン緩衝液(pH3〜12)]を37℃で5分間予熱後、0.32μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素液10μlを加え、37℃で60分間反応し、酵素活性を測定した。その結果を図2に示す。
【0045】
▲3▼至適温度の測定:基質溶液(10mMのZ−Gln−Glyを含む)100μl [176mMリン酸緩衝液(pH6.5)]に1.21μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素溶液10μlを添加して、各温度で60分間反応し、酵素活性を測定した。その結果を図3に示す。
【0046】
▲4▼pH安定性の測定:0.75μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素溶液22μl[40mMブリットン−ロビンソン緩衝液(pH3〜12)]を30℃で18時間処理する。その後残存する酵素活性を測定した。その結果を図4に示す。
【0047】
▲5▼温度安定性の測定:1.76μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素溶液43μl[50mMリン酸緩衝液(pH7.0)]を10分間、各温度で放置した後、残存する酵素活性を測定した。その結果を図5に示す。
【0048】
▲6▼基質特異性:基質として各種蛋白質(1%)溶液を用い、それらの溶液100μlに蛋白質脱アミド酵素溶液10μl(10mU)を加え混合後、37℃で18時間反応させた。対照として、酵素液の代わりに水を添加し同様に処理し、遊離したアンモニアの量を測定した。酵素添加の場合の遊離アンモニア量から水添加の場合の遊離アンモニア量を差し引いた結果を表2に示す。また、反応終了後の混合液の一部をSDS−PAGEに供し、対照と比較したところ、蛋白質の高分子化及び蛋白質の低分子化は観察されなかった。このことは本酵素が既知のトランスグルタミナーゼやプロテーゼとは区別される新規な酵素であることを意味する。
【0049】
【表2】
Figure 0003609648
【0050】
▲7▼等電点の測定:アンフォラインを用いた等電点集積(600V、4℃、48時間通電)により測定したところ、本酵素の等電点は10.2であった。
【0051】
次いで、本発明である上記の蛋白質脱アミド酵素を用いた蛋白質の修飾方法について詳述する。
【0052】
各種蛋白質に本発明の蛋白質脱アミド酵素を作用させる。蛋白質としては上記酵素の作用を受けるものであればいかなるものであってもよく、例えば、植物性蛋白質であれば豆類、穀類由来の蛋白質、動物性蛋白質であればカゼイン、β−ラクトグロブリンなどの乳蛋白、オボアルブミンなどの卵蛋白、ミオシン、アクチンなどの肉蛋白、血清アルブミンなどの血液蛋白、ゼラチン、コラーゲンなどの腱蛋白質があげられる。また、酸、アルカリなどによる化学的、あるいはプロテアーゼなどによる酵素的部分分解蛋白質や、各種試薬による化学修飾蛋白質や、合成ペプチドであってもよい。
【0053】
これら基質蛋白質は、溶液またはスラリーあるいはペースト状態で反応に供されるが、その濃度は特に限定されるものではなく、目的の脱アミド化蛋白質の望まれる性状、状態によって適宜選択される。またこの基質蛋白質の溶液またはスラリーあるいはペーストは、水溶液に限らず油脂とのエマルジョンであってもよく、さらに必要に応じて塩類、糖類、蛋白質、香料、保湿剤、着色料などが添加されたものであってもよい。
【0054】
反応条件として、酵素量、反応の時間、温度、反応溶液のpHなども特に限定されるものではないが通常、蛋白質1gに対し、0.1〜100ユニット、好ましくは1〜10ユニット、反応温度は通常、5〜80℃、好ましくは20〜60℃、反応溶液のpHは通常、2〜10、好ましくは4〜8で10秒〜48時間、好ましくは10分〜24時間反応させる。また、これらの条件は、使用する酵素の純度や基質蛋白質の種類、純度などに応じて適宜変更して行うことができる。また、これらの反応条件は、以下に記載する様々な本発明酵素の用途においても同様である、
【0055】
このように本発明の蛋白質脱アミド酵素を各種蛋白質に作用させることにより、蛋白質中のアミド基を直接脱アミドすることができる。その結果、生じた脱アミド化蛋白質は、負電荷の増加に伴い、pIの低下、水和力の上昇、静電反発力の上昇がもたらされる。更に蛋白質の高次構造の変化により、表面疎水性の上昇がもたらされる。これらの効果により、可溶性・分散性の向上、起泡性・泡沫安定性の向上、乳化性・乳化安定性の向上など、蛋白質の機能性の改善がもたらされる。
【0056】
このように機能性が改善された蛋白質は、主として食品分野での用途が大きく拡大する。多くの植物性蛋白質は、特に通常の食品のpH範囲である弱酸性において、可溶性、分散性、乳化性などの機能性が乏しいため、多くの食品例えばコーヒー・ホワイトナー、ジュースなどの酸性飲料、ドレッシング、マヨネーズ、クリームなどへの使用が制限されていた。しかしながら、例えば小麦グルテンなどの植物性難溶解性蛋白質を本発明により脱アミド化することにより、可溶性、分散性が増大し、これまで使用に適さなかったこれらの食品への使用が可能となり、また分散性の高い天ぷら粉としても使用できる。
【0057】
また、製パン・製菓におけるドウの改質のためにも本酵素が使用できる。例えばグルテン含量が高いドウは伸展性が低く、ドウのハンドリング性や機械特性に問題があり、また出来上がったパンの体積や品質にも問題があった。グルテンを本酵素により脱アミド化することにより、伸展性が向上し、これらの問題を改善することが出来る。また脱アミド化グルテンが乳化剤としての効果も示し、日持ち性、ソフトネスなどの製パン特性も向上する。さらに脱アミド化グルテンを含むドウは、可塑性が低く伸展性に優れているため、クラッカー、ピスケット、クッキー、ピザや或いはパイのクラストの製造にふさわしく、これらの製造にも本酵素が使用できる。この用途のためには、小麦粉、水等からなるドウの全量に対して、本発明の酵素を通常、0.01〜10000ユニット、好ましくは0.1〜150ユニット、通常の方法によって混合する。
【0058】
またさらに、食品中の蛋白質に起因するアレルギー、不耐症或いは遺伝的疾患などの原因となる蛋白質を本酵素による処理によって、その毒性、アレルゲン性を除去、低減化することが出来る。食物アレルギーの場合、一般にアレルゲンペプチドは疎水性が高いものが多い。本酵素処理により親水性ペプチドに変換されることによりアレルゲン性の除去、低下がなされる。とりわけ、小麦グルテン由来のアレルゲンに見られるように、アレルゲンペプチド中にグルタミン残基を含有する場合は大きな効果がもたらされる。
【0059】
またさらに、蛋白質を本酵素により脱アミド化することにより、蛋白質のミネラル感受性を低下させ、蛋白質・ミネラル溶液中の可溶性ミネラル含量を高め、ミネラルの人体への吸収性を高めることが出来る。一般に食品中のカルシウムの人体への吸収性は、カルシウムを有機酸やカゼインホスホペプチドを用いて可溶化させると向上することはよく知られている。同じメカニズムにより、本酵素により蛋白質を脱アミド化させることにより、多量のカルルシムを可溶化させることが可能である。この脱アミド化蛋白質を用いて、高ミネラル(例えばカルシウム)含有飲料や、ミネラル(例えばカルシウム)の吸収促進剤を製造することもできる。
【0060】
さらに、アミノ酸系調味料(動物性蛋白質の加水分解物(HAP), 植物性蛋白質の加水分解物(HVP))或いは味噌・醤油製造においては、苦味の低下、プロテアーゼの蛋白質分解率の向上、グルタミン酸含量の増強などの効果がもたらされる。一般に苦味の原因は疎水性ペプチドに由来することは周知のとおりであり、脱アミドにより苦味ペプチドの低減化がもたらされる。N末端にグルタミン酸を有するペプチドは苦味のマスキング効果を有することも知られている。また脱アミド化により、原料蛋白質の一次構造、高次構造が変化するため、その蛋白質のプロテアーゼ感受性を高めることもできる。結果、酵素的HAP、HVP製造において問題の一つであった低分解率を改善することも出来る。また一方、HAP、HVP製造においては、ピログルタミン酸生成によるグルタミン酸含量の低下が問題であった。このピログルタミン酸は遊離のグルタミンの分子内環状化により生成するものであるが、原料蛋白質を脱アミド化しておくことによりこれを防ぐことが出来、結果としてグルタミン酸含量の増強がもたらされる。
【0061】
またさらにトランスグルタミナーゼの反応制御剤としても使用できる。トランスグルタミナーゼは、蛋白質の改質剤すなわち架橋用酵素として食品分野をはじめ産業用に広く利用されている。トランスグルタミナーゼの蛋白質架橋反応により蛋白質のゲル化物を得ることや蛋白質の機能性を向上させることを目的とするのであるが、それぞれの用途、目的に応じた架橋度や機能性を有する産物を得ること、すなわち反応を適当な時点で停止させるなど架橋反応を制御することは困難であった。特に食品用蛋白質の改質の場合、EDTAや塩化アンモニウムあるいはSH試薬など一般に知られているトランスグルタミナーゼ阻害剤を添加することは好ましくなかった。
【0062】
本発明による蛋白質脱アミド酵素をトランスグルタミナーゼの反応中適当な時点で添加する事により、トランスグルタミナーゼ反応を停止させることが可能である。つまり基質蛋白質中のトランスグルタミナーゼ反応のターゲットであるグルタミン残基を、蛋白質脱アミド酵素によりグルタミン酸残基に変換することにより、トランスグルタミナーゼ反応を停止させることが出来る。
【0063】
この場合、蛋白質脱アミド酵素の基質である蛋白質中のグルタミン残基との親和性が、トランスグルタミナーゼのそれより高いことが必要であるが、後者の反応においては、グルタミン残基の他にリジン残基のε−アミノ基が必要であるのに対し、前者の場合グルタミン残基の他には反応環境中豊富に存在する水を必要とするだけであるので、一般に蛋白質脱アミド酵素の反応の方がトランスグルタミナーゼの反応に先行することが推定できる。もちろん、予め基質蛋白質を蛋白質脱アミド酵素により適当に処理して、所望のグルタミン残基をグルタミン酸残基に変換しておいた後トランスグルタミナーゼ反応に供すれば、所望の架橋度の蛋白質改質物、蛋白質ゲル化物を得ることが出来る。
【0064】
またさらに蛋白質の機能改変用すなわち蛋白質工学用試薬としても使用できる。基質蛋白質が酵素である場合は、その酵素の酵素化学的、物理化学的性質を改変する事が出来る。例えば酵素蛋白質を本酵素により脱アミドすることにより、酵素蛋白質の等電点が低下しpH安定性を改変することが出来る。また、活性部位の構造や電気的環境を変化させることにより、その酵素の基質親和性、基質特異性、反応速度、pH依存性、温度依存性、温度安定性などを改変することが出来る。
【0065】
さらに蛋白質のアミド含量定量用試薬、蛋白質の可溶化用試薬など蛋白質分析・研究用試薬としても使用できる。
【0066】
またさらに穀類、豆類蛋白質の抽出・濃縮効率の向上などに利用できる。一般に小麦、大豆など穀類や豆類の蛋白質は水に不溶性の蛋白質が多く、蛋白質を抽出することは容易ではないが、小麦粉や大豆粉の縣濁液を本酵素で処理し蛋白質を可溶化することにより、蛋白質を容易に抽出することが出来、また高含量の蛋白質単離物を得ることが出来る。
【0067】
大豆蛋白質の場合、一般に、脱脂大豆粉またはフレーク(蛋白質含量約50%)から蛋白質を抽出する際には、まず熱処理やエタノール処理或いはpH4.5付近の等電点処理により蛋白質を不溶化させた後、可溶性の多糖を除いて蛋白質含量約70%の大豆蛋白質濃縮物(コンセントレート)が得られる。さらに高純度の蛋白質が望まれる場合は、大豆粉や濃縮物を希釈アルカリに縣濁・溶解し蛋白質を溶解させ不溶性の物質を除いて調整される。このものは大豆蛋白質単離物(アイソレート)と呼ばれ蛋白質を約90%含む。これらの大豆蛋白質製品は、大豆蛋白質の乳化性、ゲル化特性、保水性等の機能性や高栄養価を利用して、ハム・ソーセージや乳児用食品をはじめ様々な食品に利用されている。
【0068】
これらの大豆蛋白質製品を製造する際に本酵素を利用すれば、蛋白質の溶解性の向上により収率の向上ばかりでなくより高濃度の蛋白質製品を製造することが出来る。さらにこのようにして得られた蛋白質製品は、脱アミド化されているため機能性に優れている。従って、畜肉、魚肉製品、麺類など種々の食品に使用した場合優れた効果を示し、また新しいテクスチャーや機能を有する食品の製造が可能となる。
【0069】
以下、本発明の蛋白質脱アミド酵素、蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組換えベクター、該ベクターを導入した形質転換体、および、該形質転換体を培地に培養し、蛋白質脱アミド酵素を生産せしめ、培養物より蛋白質脱アミド酵素を採取することを特徴とする蛋白質脱アミド酵素の製造法についてさらに説明する。
【0070】
本発明の蛋白質脱アミド酵素としては、上述した蛋白質脱アミド酵素の製造法で得られるすべての蛋白質脱アミド酵素が含まれるが、特に、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、さらに、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドがより好ましい。
【0071】
本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子としては、該蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から該遺伝子のクローニングによって取得することができる遺伝子や該遺伝子に相同性を有する遺伝子があげられる。相同性としては、少なくとも60%以上の相同性を有する遺伝子、好ましくは80%以上の相同性を有する遺伝子、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する遺伝子をあげることができる。本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子としては以下のようなヌクレオチド(DNAまたはRNA)が好ましい。
【0072】
下記(a)〜(g)から選択されるヌクレオチドからなり、かつ、蛋白質中のアミド基を脱アミドする活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド。
(a)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド、
(b)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド、
(c)配列表の配列番号5に記載の塩基配列を有するヌクレオチド、
(d)配列表の配列番号5に記載の塩基配列において、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている塩基配列を有するヌクレオチド、
(e)上記(a)〜(d)のいずれかに記載のヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子、
(f)上記(a)〜(d)のいずれかに記載のヌクレオチドに相同性を有するヌクレオチド、
(g)上記(a)〜(f)の少なくともいずれか1つに記載のヌクレオチドに縮重するヌクレオチド。
【0073】
本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子は、上述した蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から、例えば以下に記載するような方法で該遺伝子のクローニングを行うことによって取得することができる。まず、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から上述の方法によって本発明の蛋白質脱アミド酵素を単離、精製し、その部分アミノ酸配列に関する情報を得る。
【0074】
部分アミノ酸配列決定方法としては、例えば、精製した蛋白質脱アミド酵素を直接常法に従ってエドマン分解法〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第 256巻、第7990〜7997頁(1981)〕によりアミノ酸配列分析〔プロテイン−シーケンサ476A、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製等〕に供してもよいし、あるいはタンパク質加水分解酵素を作用させて限定加水分解を行い、得られたペプチド断片を分離精製し、得られた精製ペプチド断片についてアミノ酸配列分析を行うのが効果的である。
【0075】
こうして得られる部分アミノ酸配列の情報を基に、蛋白質脱アミド酵素遺伝子をクローニングする。一般的に、 PCRを用いる方法あるいはハイブリダイゼーション法を利用してクローニングを行うことができる。
【0076】
ハイブリダイゼーション法を利用する場合、例えば、モレキュラー クローニング、ア ラボラトリー マニュアル〔Molecular Cloning, A Laboratory Manual、T .マニアティス(T. Maniatis )他著、コールド スプリング ハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory )、1989年発行〕に記載の方法を用いることができる。
【0077】
また、 PCR法を利用する場合、以下のような方法を用いることができる。
まず、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物のゲノムDNA を鋳型とし、部分アミノ酸配列の情報を基にデザインした合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて PCR反応を行い、目的の遺伝子断片を得る。PCR 法は、PCR テクノロジー〔PCR Technology、エルリッヒ(Erlich)HA編集、ストックトンプレス社(Stockton press)、1989年発行〕に記載の方法に準じて行う。更に、この増幅 DNA断片について通常用いられる方法、例えば、ジデオキシチェーンターミネーター法で塩基配列を決定すると、決定された配列中に合成オリゴヌクレオチドプライマーの配列以外に蛋白質脱アミド酵素の部分アミノ酸配列に対応する配列が見出され、目的の蛋白質脱アミド酵素遺伝子の一部を取得することができる。もちろん得られた遺伝子断片をプローブとして更にハイブリダイゼーション法等を行うことによって蛋白質脱アミド酵素全長をコードする遺伝子をクローニングすることができる。
【0078】
下記の実施例26ではクリセオバクテリウム・グレウム JCM2410を用い、PCR法を利用して、蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子を決定した。クリセオバクテリウム・グレウム JCM2410由来の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子の全塩基配列は、配列番号5に記載したものであり、これによってコードされるアミノ酸配列は配列番号6に記載したものであると決定された。なお、配列番号6に記載したアミノ酸配列に対応する塩基配列は配列番号5に記載したもの以外に無数に存在するが、これらはすべて本発明の範囲に含まれる。
【0079】
配列番号6に記載のアミノ酸配列や配列番号5に記載の塩基配列の情報を元にして、化学合成によって目的とする遺伝子を得ることもできる(参考文献:Gene, 60(1), 115−127 (1987))。
また、本発明の蛋白質脱アミド酵素遺伝子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドや該ヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子、該ヌクレオチドに相同性を有するヌクレオチド、及び該ヌクレオチドに縮重するヌクレオチドもそれらがコードするポリペプチドが蛋白質脱アミド酵素活性を有する限り本発明に含まれる。
【0080】
ここでいう「ストリンジェントな条件下」とは、例えば以下の条件をいう。すなわち 0.5%SDS、5×デンハルツ〔Denhartz’s、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA )、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400 〕及び 100μg/mlサケ精子DNA を含む6×SSC (1×SSC は、0.15 M NaCl 、0.015 M クエン酸ナトリウム、pH7.0 )中で、50℃〜65℃で4時間〜一晩保温する条件をいう。
【0081】
クリセオバクテリウム・グレウム JCM2410を用いて全塩基配列が明らかにされた蛋白質脱アミド酵素遺伝子の全体あるいは一部分をハイブリダイゼーション用のプローブとして用いて、他の蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物のゲノムDNA ライブラリーあるいはcDNAライブラリーから、配列表5の蛋白質脱アミド酵素遺伝子と相同性の高いDNA を選別することができる。
【0082】
ハイブリダイゼーションは、上記に示したストリンジェントな条件下で行うことができる。例えば、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から得たゲノムDNA ライブラリーあるいはcDNAライブラリーを固定化したナイロン膜を作成し、6×SSC 、 0.5%SDS 、5×デンハルツ、100 μg/mlサケ精子DNA を含むプレハイブリダイゼーション溶液中、65℃でナイロン膜をブロッキングする。その後、32Pでラベルした各プローブを加えて、65℃で一晩保温する。このナイロン膜を6×SSC 中、室温で10分間、0.1% SDSを含む2×SSC 中、室温で10分間、0.1% SDSを含む0.2×SSC 中、45℃で30分間洗浄した後、オートラジオグラフィーをとり、プローブと特異的にハイブリダイズするDNA を検出することができる。また、洗いなどの条件を変えることによって様々な相同性を示す遺伝子を得ることができる。
【0083】
一方、本発明の遺伝子の塩基配列から PCR反応用のプライマーをデザインすることができる。このプライマーを用いて PCR反応を行うことによって、本発明の遺伝子と相同性の高い遺伝子断片を検出したり、更にはその遺伝子全体を得ることもできる。
【0084】
得られた遺伝子が目的の蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかどうかを確認するには、決定された塩基配列を本発明の蛋白質脱アミド酵素の塩基配列又はアミノ酸配列と比較し、その遺伝子構造及び相同性から推定することもできる。また、得られた遺伝子のポリペプチドを製造し、蛋白質脱アミド酵素活性を測定することにより、目的の蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかどうか確認することができる。
【0085】
本発明の蛋白質脱アミド酵素遺伝子を用いて、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドを生産するには以下の方法が便宜である。
まず、目的の蛋白質脱アミド酵素遺伝子を含むベクターを用いて宿主の形質転換を行い、次いで該形質転換体の培養を通常用いられる条件で行うことによって、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドを生産させることができる。
【0086】
また、宿主としては微生物、動物細胞、植物細胞等を用いることができる。微生物としては、大腸菌、Bacillus属、Streptomyces属、Lactococcus属等の細菌、Saccharomyces属、Pichia属、Kluyveromyces属等の酵母、Aspergillus属、Penicillium属、Trichoderma属等の糸状菌が挙げられる.動物細胞としては、バキュロウイルスの系統が挙げられる.
【0087】
発現の確認や発現産物の確認は、蛋白質脱アミド酵素に対する抗体を用いて行うことが簡便であるが、蛋白質脱アミド酵素活性を測定することにより発現の確認を行うこともできる。
【0088】
形質転換体の培養物から蛋白質脱アミド酵素を精製するには上述のように、遠心分離、UF濃縮、塩析、イオン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーを適宜組み合わせて行うことができる。
【0089】
また、本発明により蛋白質脱アミド酵素の一次構造及び遺伝子構造が明らかとなったことにより、本発明の遺伝子を用いて、ランダム変異あるいは部位特異的変異を導入し、天然の蛋白質脱アミド酵素のアミノ酸配列中に、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている遺伝子を得ることが可能である。これにより、蛋白質脱アミド酵素活性を有するが、至適温度、安定温度、至適pH、安定pH、基質特異性等の性質が少し異なった蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子を得ることが可能であり、遺伝子工学的にこれら蛋白質脱アミド酵素を製造することが可能となる。
【0090】
ランダム変異を導入する方法としては、例えば、 DNAを化学的に処理する方法として、亜硫酸水素ナトリウムを作用させシトシン塩基をウラシル塩基に変換するトランジション変異を起こさせる方法〔プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第79巻、第1408〜1412頁(1982)〕、生化学的方法として、〔α−S〕dNTP存在下、二本鎖を合成する過程で塩基置換を生じさせる方法〔ジーン(Gene)、第64巻、第313 〜319 頁(1988)〕、 PCRを用いる方法として、反応系にマンガンを加えて PCRを行い、ヌクレオチドの取込みの正確さを低くする方法〔アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry )、第224 巻、第347 〜353 頁(1995)〕等を用いることができる。
【0091】
部位特異的変異を導入する方法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法〔ギャップド デュプレックス(gapped duplex )法、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)、第12巻、第24号、第9441〜9456頁(1984)〕、制限酵素の認識部位を利用する方法〔アナリティカル バイオケミストリー、第 200巻、第81〜88頁(1992)、ジーン、第 102巻、第67〜70頁(1991)〕、dut (dUTPase )とung (ウラシルDNA グリコシラーゼ)変異を利用する方法〔クンケル(Kunkel)法、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第82巻、第488 〜492 頁(1985)〕、 DNAポリメラーゼ及び DNAリガーゼを用いたアンバー変異を利用する方法〔オリゴヌクレオチド−ダイレクティッド デュアル アンバー(Oligonucleotide−directed Dual Amber :ODA )法、ジーン、第 152巻、第271 〜275 頁(1995)、特開平7−289262号公報〕、 DNAの修復系を誘導させた宿主を利用する方法(特開平 8−70874号公報)、 DNA鎖交換反応を触媒するタンパク質を利用する方法(特開平8−140685号公報)、制限酵素の認識部位を付加した2種類の変異導入用プライマーを用いた PCRによる方法(USP5,512,463)、不活化薬剤耐性遺伝子を有する二本鎖 DNAベクターと2種類のプライマーを用いた PCRによる方法〔ジーン、第 103巻、第73〜77頁(1991)〕、アンバー変異を利用した PCRによる方法〔国際公開WO98/02535号公報〕等を用いることができる。
【0092】
また、市販されているキットを使用することにより、部位特異的変異を容易に導入することができる。市販のキットとしては、例えば、ギャップド デュプレックス法を用いた Mutan(登録商標)−G(宝酒造社製)、クンケル法を用いた Mutan(登録商標)−K(宝酒造社製)、ODA 法を用いたMutan (登録商標)−Express Km (宝酒造社製)、変異導入用プライマーとピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus )由来 DNAポリメラーゼを用いたQuikChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit〔ストラタジーン(STRATAGENE)社製〕等を用いることができ、また、 PCR法を利用するキットとして、TaKaRa LA PCR in vitro Mutagenesis Kit(宝酒造社製)、Mutan (登録商標)−Super Express Km (宝酒造社製)等を用いることができる。
【0093】
このように、本発明により、蛋白質脱アミド酵素の一次構造及び遺伝子構造が提供されたことにより、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的な製造が可能となる。
なお、本明細書では種々の文献等を引用したが、これらはすべて参考として本明細書に組み込まれるものである。
【0094】
以下、本発明を実施例を用いて詳述するが本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に明記しない限り、本明細書において%はW/V%で示した。
【0095】
【実施例】
実施例1
クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)JCM2410を前述したラクトース培地で、30℃、6日間振盪培養した。その培養経過を図1に示す。
【0096】
実施例2
実施例1と同様にしてクリセオバクテリウム・インドロゲネス(Chryseobacterium indologenes) IFO14944、クリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム(Chryseobacterium meningosepticum)IFO12535、クリセオバクテリウム・バラスチナム(Chryseobacterium balustinum)IFO15053についての培養経過を図6〜8に示す。
【0097】
実施例3
実施例1と同様にしてフラボバクテリウム・アクアティレ(Flavobacterium aquatile)IFO15052について培養した。培養液中の蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示す。
【0098】
実施例4
実施例1と同様にしてエンペドバクター ブレビス(Empedobacter brevis)IFO14943について培養した。培養液中の蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示す。
【0099】
実施例5
実施例1と同様にしてスフィンゴバクテリウム・スピリチボラム(Sphingobacterium spiritivorum)IFO14948、スフィンゴバクテリウム・ヘパリナム(Sphingobacterium heparinum)IFO12017について培養した。培養液中の蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示す。
【0100】
実施例6
実施例1と同様にしてアウレオバクテリウム・アステロアロマティカム(Aureobacterium esteraromatidum)IFO3751について培養した。培養液中の蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示す。
【0101】
実施例7
実施例1と同様にしてミロイデス・オドラタス(Myroides odoratus)IFO14945について培養した。培養液中の蛋白質脱アミド酵素活性を表3に示す
【0102】
【表3】
Figure 0003609648
【0103】
実施例1〜7において何れの菌株にも蛋白質脱アミド酵素の生産が確認された。
【0104】
実施例8
ラクトース培地に代え、以下の培地を用いて同様にして培養したところ、実施例1〜5に用いた何れの菌株にも蛋白質脱アミド酵素の生産が確認された
Figure 0003609648
【0105】
実施例9
実施例1で得られた、24時間培養液を4℃、12000 rpm(22200×g)、15分間の遠心分離により菌体を除去し、得られた遠心上清を、限外濾過(UF)膜(SEP−0013、旭化成製)により約17倍に濃縮後、2.0M NaClを含む10mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)に対し4℃で一晩透析した。生じた沈殿物を4℃、10000 rpm(12300×g)、15分間の遠心分離により除いた後、得られた遠心上清を、2.0M NaClを含む10mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化したフェニルセファロース CL−6Bカラム(ファルマシア社製)に供し、2.0Mから0MのNaCl直線濃度勾配により吸着した蛋白質を溶離させた。
【0106】
蛋白質脱アミド活性画分を集め、限外濾過膜で濃縮後、0.6M NaCl及び0.05%Tween 20を含む10mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化したセファクリルS−100カラムに供して、同緩衝液で溶離した。蛋白質脱アミド活性画分を集め、限外濾過膜で濃縮後、蒸留水に対して透析して、蛋白質脱アミド酵素溶液を得た。
【0107】
図9に精製工程における各ステップのサンプルを10〜20%SDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したパターンを示す。このように本精製酵素標品 (レーン5)はSDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動において分子量20kDaの単一蛋白質であることが判る。
【0108】
上述の測定法(Z−Gln−Glyを基質とする方法とカゼインを基質とする方法)で活性を測定したところ18.8単位/ml(Z−Gln−Glyを基質)、14.0単位/ml(カゼインを基質)の酵素標品が得られた。また、トランスグルタミナーゼ活性及びプロテアーゼ活性は検出されなかった。従って、図1における培養液中のプロテアーゼ活性は上記精製工程で完全に除去されていることがわかる。又、本酵素標品には遊離のグルタミンに作用するグルタミナーゼ活性も検出されなかった。
【0109】
実施例10
実施例9と同様にして、実施例2〜7で得られた培養液を精製した。その結果、各々表4に示すような活性が得られた。得られた蛋白質脱アミド酵素にはトランスグルタミナーゼ活性及びプロテアーゼ活性は検出されなかった。従って、培養液中のプロテアーゼ活性は上記精製工程で完全に除去されていることがわかる。
【0110】
【表4】
Figure 0003609648
【0111】
実施例11 脱アミド化グルテンの調製
小麦グルテン1gを100mlの176mM 燐酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)に縣濁し、5Uの蛋白質脱アミド酵素を添加して、37℃で20時間振とう反応させた。この時のアンモニア又はアンモニウムの遊離パターンを図10に示す。このように、対照として行った酵素無添加の反応に対し、酵素添加の反応においては、反応時間の進行と共にアンモニアが遊離し脱アミド反応が生じていることが判る。反応後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥して脱アミド化グルテン粉末を得た。
【0112】
得られた脱アミド化グルテンの脱アミド化率は37.4%であった。なお、脱アミド化率は、反応終了後に遊離したアンモニアを定量し、小麦グルテンの総アミド含量に対する百分率として表した。蛋白質の総アミド含量は、蛋白質(1%w/v)を2N塩酸中100℃で2時間加水分解し、遊離したアンモニアを定量して求めた。
【0113】
実施例12 脱アミド化グルテンの機能性(溶解性、分散性)の向上
実施例11で得た脱アミド化グルテン粉末及び対照実験で得た酵素未処理グルテン粉末2.0mgを1.0mlのpH3から12までの40mMブリットン−ロビンソン緩衝液に縣濁、溶解させ室温で30分間振とう後、さらに30分間室温に静置した。ここでpHを測定後、24℃で10分間、3000rpm(760×g)の低速で遠心分離し、得られた上清中の蛋白質含量をBCA法で測定し、上清中の蛋白質の含量を分散性の指標とした(Methods of Testing Protein Functinality, p25, edited by G.M.Hall, Blackie Academic & Professional, London, 1996)。
【0114】
さらにこの上清を24℃で30分間、14000rpm(16000×g)の高速で遠心分離し、得られた上清を0.45μmの膜で濾過し、濾液中の蛋白質含量をBCA法で測定した。この濾液中の蛋白質含量を溶解性の指標とした(Methods of Testing Protein Functinality, p47−55, edited by G.M.Hall, Blackie Academic & Professional, London, 1996)。
【0115】
結果、図11及び図12に示すように、脱アミド化グルテンは酵素未処理グルテンに比べて、pH4.2付近からpH12付近までの広範囲において、分散性も溶解性も著しく向上していることが判る。
【0116】
実施例13 脱アミド化グルテンを用いたコーヒー・ホワイトナーの製造
実施例11に準じて製造した5gの脱アミド化グルテン、2gのコーン・シロップ2g、0.4 gのポリソルベート60、51gの水を混ぜ合わせ40℃に加熱後、0.3 gの燐酸二カリウムを加え80℃まで加熱した。この混合液に、溶融状態の部分水添ココナッツ油6gと0.2gのモノグリセリドを添加し80℃で20分間放置した後、211kg/cmでホモゲナイズし、冷却して脱アミド化グルテンを含有するコーヒー・ホワイトナーを製造した。この産物は、安定なエマルジョン状態を示し、またコーヒーに添加した場合に良好な分散・溶解性、口当たりを示した。
【0117】
実施例14 天ぷら粉の製造
小麦粉100gを1Lの水に縣濁し、 10ユニットの蛋白質脱アミド酵素を添加して、37℃で20時間振とう反応処理後、遠心分離により脱水し、熱乾燥して脱アミド処理した小麦粉を得た。この小麦粉50gを水60mlで溶き、天ぷら用の衣液とした。大正エビ(約25g)に打ち粉をしてこの衣液をつけて170〜180℃の菜種/大豆調合油で3分間フライした。また、蛋白質脱アミド酵素処理を行わない小麦粉を用いて同様にしてフライした。蛋白質脱アミド酵素処理を行った小麦粉は衣液を調整する際においてその分散性が優れ、得られたフライの衣の堅さ、衣のサクミなどの食感、外観、風味において非常に優れていた。
【0118】
実施例15 プレミックスの製造
実施例14に従って調整した蛋白質脱アミド酵素処理小麦粉を用いて以下のような組成のホットケーキ用プレミックスを調製した。
蛋白質脱アミド酵素処理小麦粉 72.0%
砂糖 20.0%
膨剤(炭酸水素ナトリウム) 1.5%
油脂 3.0%
食塩 1.0%
グルコノデルタラクトン 2.0%
香料 0.5%
上記のプレミックス200gをボールに入れこれに牛乳150ml、全卵50gを添加して撹拌混合してホットケーキ用生地を調製した。対照に未処理の小麦粉を用いて同様に調製した。得られた生地100gを160℃のホットプレート上に円形に流し、表を4分、裏を2分焼成してホットケーキを調製した。
【0119】
生地のハンドリング、ホットケーキのソフト感、口どけ感、しっとり感についてパネラーにより判定した。その結果、蛋白質脱アミド酵素処理小麦粉を用いた場合はすべての点で対照に比べて優れていた。
【0120】
実施例16 製パン生地の調製
以下に示す配合でノータイム法によりワンローフ食パンを製造した。
Figure 0003609648
【0121】
上記配合を基本とし、蛋白質脱アミド酵素添加(7.5単位/小麦粉1kg)群と酵素無添加(対照)群を調製し比較した。
【0122】
Figure 0003609648
【0123】
蛋白質脱アミド酵素添加群は生地のハンドリングが良好となり、生地の伸展性の向上、焼成パンのソフトネスの向上にも効果が見られた。
【0124】
実施例17 ビスケット生地の調製
実施例14に従って調整した蛋白質脱アミド酵素処理小麦粉を用いて以下のような組成でビスケット用生地を調製した。
【0125】
蛋白質脱アミド酵素処理小麦粉 100g
ショートニング 16g
砂糖 50g
重炭酸ナトリウム 0.81g
重酒石酸カリウム 0.5g
水 16g
卵 2g
【0126】
混合、成形、焼成(180〜220℃)を常法に従って行い、ハードビスケットを調製した。生地のハンドリング、伸展性の向上が顕著であり、得られたビスケットの食感も優れたものであった。
【0127】
実施例18 脱アミド化カゼインの調製
ミルクカゼイン1gを100mlの176mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)に縣濁し、5ユニットの蛋白質脱アミド酵素を添加して、37℃で20時間振とう反応させた。この時のアンモニア又はアンモニウムの遊離パターンを図13に示す。このように、対照として行った酵素無添加の反応に対し、酵素添加の反応においては、反応時間の進行と共にアンモニアが遊離し脱アミド反応が生じていることが判る。反応後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥して脱アミド化カゼイン粉末を得た。
【0128】
得られた脱アミド化カゼインの脱アミド化率は40.9%であった。なお、脱アミド化率は、反応終了後に溶液中に遊離したアンモニア又はアンモニウムを定量し、カゼインの総アミド含量に対する百分率として表した。蛋白質の総アミド含量は、蛋白質(1%w/v)を2N塩酸中100℃で2時間加水分解し、遊離したアンモニアを定量して求めた。
又、図14にこの脱アミド化カゼインを酵素未処理カゼインと共に10〜20%SDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したパターンを示す。脱アミド化カゼイン(レーン2)その分子量が変化していないこと、即ち分解も架橋高分子化も生じていないことが判る。ここで脱アミド化カゼインのバンドがわずかに高分子側にシフトしていることが観察されるが、これは脱アミド化により蛋白質の負電荷が増加したため同じ負電荷を持つSDSとの結合が静電反発力により減少し、その結果全体の負電荷が脱アミド化されていないカゼインに比べ小さくなった結果、電気泳動での移動度が減少したためと考えられる。
【0129】
実施例19 脱アミド化カゼインのカルシウム溶解性の向上
実施例18で得た脱アミド化カゼイン粉末及び対照実験で得た酵素未処理カゼイン粉末2.0mgを0〜30mMの塩化カルシウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.1)に縣濁、溶解させ室温で30分間振とう後、さらに30分間室温に静置した。この液を24℃で10分間、3000rpm(760×g)の低速で遠心分離し、上清をさらに24℃で30分間、14000rpm(16000×g)の高速で遠心分離し、得られた上清を0.45μmの膜で濾過し、濾液中の蛋白質含量をBCA法で測定した。この濾液中の蛋白質含量をカルシウム溶解性の指標とした。
【0130】
結果、図15に示すように、脱アミド化カゼインは、酵素未処理カゼインに比べて、高濃度カルシウム存在下においても高い溶解性を示し、顕著にカルシウム溶解性が向上していることが判る。
【0131】
実施例20 酵素分解調味液の製造
グルテン45gに15%食塩水150mlを加え、蛋白質脱アミド酵素50ユニット、グルタミナーゼF100(天野製薬製)0.1%及びプロテアーゼM(天野製薬製)0.75%を加え、45℃で3〜4日間反応した。反応後90℃で20分間加熱し、酵素分解調味液を調製した。対照として蛋白質脱アミド酵素を加えないで同様に操作して調製した調味液と比較して分解率、分解速度がともに向上し、得られた調味液の苦味成分の生成が少なく良好な調味液を製造することができた。
【0132】
実施例21 大豆蛋白質の濃縮・回収方法並びに脱アミド化大豆蛋白質の製造
大豆粉100gを1Lの水に縣濁・溶解し、攪拌しながらpHを6.5に調整し、500ユニットの蛋白質脱アミド酵素を添加して室温で2時間攪拌を続けた。反応後pHを8に調整し1時間攪拌後、室温で10000rpm(12300×g)、30分間の遠心分離により不要物を除いた。得られた上清から蛋白質を回収するため、80℃で30分間熱処理を施したのち、10000rpm(12300×g)、30分間の遠心分離により生じた沈殿物を回収し、乾燥させて蛋白質粉末を得た。この蛋白質標品は、95%の蛋白質含量を有し、大豆粉からの収率も約40%と高いものであった。
【0133】
実施例22 脱アミド化大豆蛋白質を用いたソーセージの製造
実施例21に従って製造した脱アミド化大豆蛋白質を、撹拌、押出、圧延を繰り返して行うことにより、凝固処理を行う。得られた大豆蛋白の凝固物と原料肉及び各種香辛料を以下の配合に練合したのち、常法に従ってケーシングに充填して、ソーセージを調製した。得られた製品は非常に食感に優れたものであった。
【0134】
ブタ肩肉 500g
ウシもも肉 500g
ブタ挽脂肪 100g
凝固物 100g
食塩 25g
硝石 3g
砂糖 5g
味の素 3g
ホワイトペパー 3g
ナッツメッグ 4g
シナモン 0.5g
タマネギ汁 5g
【0135】
実施例23 トランスグルタミナーゼ反応制御剤としての利用
10%カゼインを含む20mM燐酸緩衝液(pH 7.0)25μlに、0.0125ユニットのStreptoverticillium由来のトランスグルタミナーゼ(Agric. Biol. Chem., 53巻10号、2613−2617頁、1989年に従って調製)を含む溶液12.5μlを添加し攪拌後、37℃で静置反応させた。一時間後、0.0188ユニットの蛋白質脱アミド酵素を含む溶液12.5μlを添加し攪拌後、さらに37℃に静置した。反応中、1,2,4,24時間後に反応液の一部を分取して2〜15% SDS−ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。対照実験として蛋白質脱アミド酵素溶液の代わりに水を添加したものも行った。
【0136】
その結果を図16に示し、図16の各レーンのサンプルは以下の表5に示す。
【0137】
【表5】
Figure 0003609648
【0138】
結果、図16の様に、蛋白質脱アミド酵素を添加しなかった対照の反応では、時間の経過と共に蛋白質の架橋反応による高分子化が観察され、0時間で観察されたカゼイン単量体のバンドが減少、消滅していくのに対し、蛋白質脱アミド酵素を添加した反応では、添加後も添加時点のパターン(レーン7)から変化していないことが判る。このことは、トランスグルタミナーゼの架橋高分子化反応が蛋白質脱アミド酵素の添加によって停止したことを表す。
【0139】
実施例18で得た脱アミド化カゼイン10%を含む20mM燐酸緩衝液(pH7.0)25μlに、0.0125ユニットのStreptoverticillium由来のトランスグルタミナーゼを含む溶液12.5μlを添加し攪拌後、37℃で静置反応させた。反応中、1、2、4、24時間後に反応液の一部を分取して2〜15%SDS−ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。対照実験として脱アミド化カゼインの代わりに未処理のカゼインを用いたものも行った。
その結果を図17に示し、図17の各レーンのサンプルは以下の表6に示す。
【表6】
Figure 0003609648
結果、図17のように、酵素未処理カゼインを用いた対照の反応では、時間の経過と共に蛋白質の架橋反応による高分子化が観察され、0時間で観察されたカゼイン単量体のバンドが減少、消滅していくのに対し、脱アミド化カゼインを用いた反応では、0時間のバンド(レーン1)から反応後も変化していないことが判る。このことは、蛋白質脱アミド酵素により脱アミド化された蛋白質は、トランスグルタミナーゼの基質となり得ないことを示す。
【0140】
実施例24 トランスグルタミナーゼと蛋白質脱アミド酵素によるプリン様食品の製造
市販牛乳を減圧濃縮により濃縮し、この濃縮液100mlに砂糖5gを添加溶解し、Streptoverticillium由来のトランスグルタミナーゼを1ユニット加え、55℃でインキュベートした。適当なゲルが生成された時点で蛋白質脱アミド酵素を1.5ユニット加え攪拌してトランスグルタミナーゼ反応を停止させた後冷却した。結果、望ましい柔らかさのプリン様食品を製造することが出来た。
【0141】
実施例25
脱アミド化カゼインの機能性(溶解性、分解性)の向上
実施例18で得た脱アミド化カゼイン粉末及び対照実験で得た酵素未処理カゼイン粉末を用いて、実施例12と同様の操作を行い脱アミド化カゼインの溶解性、分酸性を調べた。
結果、図18に示すように、脱アミド化カゼイン酵素未処理カゼインに比べて、特に通常の食品のpH域であるpH4付近から5付近において、分散性も溶解性も著しく向上していることが判る。
【0142】
以下に実施例を用いて、本発明をさらに説明する。尚、本明細書においては、遺伝子操作手法は特に記載しない限り成書(例えば”Molecular Cloning” 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratoty Press, 1989)に従って行った。
【0143】
実施例26 クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum) JCM2410由来の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子の単離
a)染色体DNAの単離
”Current Protocols in Molecular Biology”, Unit 2.4 (John Wiley & Sons, Inc., 1994)に従って、100ml のカルチャーから、190μg/mlの濃度の染色体DNAを、3.3ml得た。
【0144】
b)部分アミノ酸配列の決定
実施例9で得られた蛋白質脱アミド酵素の精製標品を、プロテイン・シークエンサー(Applied Biosystems社)に供し、配列番号1に示す20残基のN末端アミノ酸配列を決定した。次に、実施例9で得られた蛋白質脱アミド酵素の精製標品を過ギ酸により還元・アルキル化した後、トリプシンによる分解を行った。得られた分解物を逆相液体クロマトグラフィーに供し、分離されたペプチド画分の一つをプロテイン・シークエンサーに供し、配列番号2に示す20残基の内部アミノ酸配列を決定した。
【0145】
配列番号1:
Ala−Val−Ser−Val−Ile−Pro−Asp−Leu−Ala−Thr−Leu−Asn−Ser−Leu−Phe−Thr−Gln−Ile−Lys−Asn
配列番号2:
Ser−Pro−Ser−Gly−Ser−Leu−Leu−Tyr−Asp−Asn−Asn−Tyr−Val−Asn−Thr−Asn−Cys−Val−Leu−Asn
【0146】
c)PCRによるDNAプローブの作成
N末端領域アミノ酸配列および内部アミノ酸配列をもとに、以下の2種の混合オリゴヌクレオチドをDNA合成機(Applied Biosystems社)により合成し、PCRプライマーとした。
【0147】
配列番号3
センス・プライマー:
5’−(TA)(CG)IGTIAT(TCA)CCIGA(TC)(CT)T(TCAG)AC−3’
配列番号4
アンチセンス・プライマー:
5’−A(AG)(TCAG)AC(AG)CA(AG)TT(TCAG)GT(AG)TT(TCAG)AC−3’
【0148】
これらのプライマーとクリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum) JCM2410の染色体DNAを鋳型として、以下の条件下、Omnigene Thermal Cycler(Hybaid社)を用いてPCR反応を行なった。
Figure 0003609648
【0149】
得られた約0.48kbのDNA断片をpCRII(Invitrogene社)にクローニング後、塩基配列を確認したところ、センス・プライマーの直後とアンチセンス・プライマーの直前に、上記の部分アミノ酸配列をコードする塩基配列が見出された。本DNA断片を全長遺伝子クローニングのためのDNAプローブとした。
【0150】
d)遺伝子ライブラリーの作成
クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum) JCM2410の染色体DNAのサザン・ハイブリダイゼーション解析の結果、Eco RI分解物中にプローブDNAとハイブリダイズする約3.7 kbのシングルバンドが確認された。この約3.7 kbのEcoRI DNA断片をクローニングするため、以下の様に遺伝子ライブラリーを作成した。上記a)で調製した染色体DNAをEcoRIで分解し、得られた分解物をEcoRI処理したλZAPII (Stratagene社)ベクターにライゲーションし、Gigapack III gold (Stratagene社)を用いてパッケージングし遺伝子ライブラリーを得た。
【0151】
e)遺伝子ライブラリーのスクリーニング
上記c)で得た0.48 kbのDNA断片をMegaprime DNA Labeling system (Amersham社)と32P−α−dCTPを用いてラベルした。これをDNAプローブとして、d)で得た遺伝子ライブラリーをプラーク・ハイブリダイゼーションによりスクリーニングした。得られた陽性プラークからファージを回収した後、Stratagene社のインストラクションに従い、in vivo Exicision法により、約3.7 kb Eco RI断片を含むプラスミドp7T−1を得た。
【0152】
f)塩基配列の決定
プラスミドp7T−1の塩基配列を定法に従って決定した。蛋白質脱アミド酵素をコードする塩基配列を配列番号5に示す。また配列番号5によりコードされるアミノ酸配列を、配列番号6に示す。このアミノ酸配列中には、 b)で決定したN末端領域アミノ酸配列(配列番号1)および内部アミノ酸配列(配列番号2)が見出された。
【0153】
Figure 0003609648
【0154】
Figure 0003609648
【0155】
この遺伝子のオープンリーディングフレームを配列番号11に示す。配列番号12に示すように、全体が319アミノ酸残基のPrepro体としてコードされており、うちN−末端の134残基(下記配列番号11の下線部)がPrepro領域、残りの185残基が成熟体に対応する(配列番号6を参照)。
Prepro領域134残基のうち、N−末端の21残基がシグナル配列の特徴を有しているためPre領域と推定され、残りの113残基がPro領域と推定される。
本発明は蛋白質脱アミド化活性を有するポリペプチドやそれをコードするヌクレオチドに特に限定されるものではなく、蛋白質脱アミド化活性を有するポリペプチドからなる更に長いポリペプチド(例えば、Prepro体やPro体等)やそれをコードするヌクレオチドを含むものである。
【0156】
Figure 0003609648
Figure 0003609648
【0157】
Figure 0003609648
【0158】
実施例27 蛋白質脱アミド酵素の大腸菌での生産
a)蛋白質脱アミド酵素の大腸菌での発現プラスミドの構築
N末端領域アミノ酸配列およびC末端領域アミノ酸配列をコードするDNA配列をもとに、以下の2種のオリゴヌクレオチドをDNA合成機(Applied Biosystems社)により合成し、PCRプライマーとした。
【0159】
配列番号7
センス・プライマー:
5’−GCGAATTCGCAGTCAGTGTTATTCCTGATC−3’
配列番号8
アンチセンス・プライマー:
5’−TAGAATTCTTAAAATCCACAGCTTGCTAC−3’
【0160】
これらのプライマーと蛋白質脱アミド酵素遺伝子を有するプラスミドp7T−1を鋳型として、以下の条件下、Omnigene Thermal Cycler (Hybaid 社)を用いてPCR反応を行なった。
Figure 0003609648
【0161】
Figure 0003609648
【0162】
得られた約0.57kbのDNA断片をpCRII(Invitrogen社)にクローニングし、塩基配列が正しいことを確認した後、本プラスミドから EcoRI処理により約0.57 kbのDNA断片を回収した。このDNA断片を大腸菌での発現ベクターpGEX−1λT (Pharmacia社)のEcoRI部位に挿入し、pGEX−1λTが有するグルタチオンSトランスフェラーゼのコードDNAのC末端に蛋白質脱アミド酵素のコードDNAを同方向に連結した。
得られた蛋白質脱アミド酵素の大腸菌での発現プラスミドpN7−7は、tacプロモーターの制御下でグルタチオンSトランスフェラーゼと蛋白質脱アミド酵素の融合蛋白質を発現させることが出来、Thrombin処理により融合蛋白質から蛋白質脱アミド酵素を切り出すことが出来る。
【0163】
b)蛋白質脱アミド酵素の大腸菌での発現
発現プラスミドpN7−7を大腸菌BL21(Pharmacia社)に導入し形質転換体を得た。また対照として発現ベクターpGEX−1λTを有する大腸菌BL21の形質転換体も得た。これらの形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地で37℃、 200rpmで培養して得た対数増殖期(OD600=0.9 ̄1.0)の細胞に終濃度0.1 mMのIPTGを添加後さらに4時間同条件で培養し集菌した。菌体を培養液の1/10量の50 mM Tris−HCl、 pH8.0/2 mM EDTAに縣濁し、終濃度0.1 mg/mlのEgg white lysozymeと終濃度0.1%のTriton X−100を添加し、30℃で15 min放置後、温和な超音波処理(10 sec. On and 30 sec. Offを3 cycles)で粘凋なDNAを揃断しCell extractを得た。このCell extract 100μlに、4μlのThrombin(1U/μl−9 mM sodium phosphate、 pH6.5/140 mM NaCl)を添加し、室温に16時間放置し、Trombin処理Cell extractを得た。また4μlの緩衝液(9 mM sodium phosphate、 pH6.5/140 mM NaCl)を添加し、同様の反応を行ったものをTrombin処理の対照とした。
【0164】
得られたサンプルについて、蛋白質脱アミド酵素活性の測定を行った結果を以下の表に示す。
【0165】
【表7】
Figure 0003609648
【0166】
この様に、蛋白質脱アミド酵素発現プラスミドpN7−7を有する大腸菌は、蛋白質脱アミド活性を発現していることが判る。一方、対照とした発現ベクターpGEX−1λTを有する大腸菌には蛋白質脱アミド活性の発現は観察されなかった。また、これらのサンプルを12% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、蛋白質脱アミド酵素に対する抗体を用いたWestern解析を行った。その結果、サンプル1中にはグルタチオンSトランスフェラーゼと蛋白質脱アミド酵素の融合蛋白質を考えられる分子量約43kDaの位置に抗体と反応するバンドが検出され、サンプル2中には、この分子量約43kDaのバンドの他に蛋白質脱アミド酵素の分子量約20kDaの位置にバンドが検出された。一方、サンプル3、4中には抗体と反応するバンドは何も検出されなかった。これらの結果より、本発明で得られた蛋白質脱アミド酵素遺伝子を用いて、組換え蛋白質脱アミド酵素を大腸菌を用いて製造出来ることが確認された。
【0167】
実施例28 蛋白質脱アミド酵素の糸状菌での発現
a)蛋白質脱アミド酵素の糸状菌での発現カセットの構築
N末端領域アミノ酸配列およびC末端領域アミノ酸配列をコードするDNA配列をもとに、以下の2種のオリゴヌクレオチドをDNA合成機(アプライド・システム社)により合成し、PCRプライマーとした。
【0168】
配列番号9
センス・プライマー:
5’−GCGTCGACGCAGTCAGTGTTATTCCTGATC−3’
配列番号10
アンチセンス・プライマー:
5’−TAGGATCCTTAAAATCCACAGCTTGCTAC−3’
【0169】
これらのプライマーと蛋白質脱アミド酵素遺伝子を有するプラスミドp7T−1を鋳型として、実施例27と同様にしてPCR反応を行った。得られた約0.57kbのDNA断片をpCRII(Invitrogen社)にクローニングし、塩基配列が正しいことを確認した後、本プラスミドからSalI/BamHI処理により約0.57 kbのDNA断片を回収した。このDNA断片を糸状菌での発現カセット構築ベクターpY4’(特開平7−123987)のSalI−BamHI部位に挿入し、プラスミドpD5’を得た。このプラスミドにはPenicillium camembertii由来のモノ及びジアシルグリセロールリパーゼと蛋白質脱アミド酵素の融合蛋白質をコードするDNA配列を有する。さらにモノ及びジアシルグリセロールリパーゼと蛋白質脱アミド酵素の接合部に存在する不必要な塩基配列(5’−GTCGAC−3’、これは蛋白質脱アミド酵素遺伝子を連結するために導入したSalI部位に相当する)を部位特異的変異により欠失させ、プラスミドpD5を得た。このプラスミドは、モノ及びジアシルグリセロールリパーゼのC末端部位のプロセッシング部位(Lys−Arg配列、それぞれC末端から3番目及び2番目)の直後に蛋白質脱アミド酵素が連結された融合蛋白質をコードするDNA配列を有する。またこの融合蛋白質は、その上流と下流にあるPenicillium camembertii由来のモノ及びジアシルグリセロールリパーゼ遺伝子のプロモーターとターミネーターの制御によって糸状菌や酵母で発現される。また、発現された融合蛋白質は宿主のもつプロテアーゼによってLys−Arg部位で切断され、蛋白質脱アミド酵素を切り出すことが可能である(特開平7−123987)。
【0170】
b)蛋白質脱アミド酵素のPenicilluim camembertiiでの発現
上記a)で得られたプラスミドpD5を、Penicillium camembertiiの形質転換プラスミドpH1と共にco−transformationによりPenicillium camembertii U−150株に導入した。対照としてpH1のみによる形質転換体も得た。得られた形質転換体を培養し、培養ろ液中の蛋白質脱アミド酵素活性を測定したところ、プラスミドpD5を導入した形質転換体において10.3 mU/ml(基質:Z−Gln−Gly)の蛋白質脱アミド酵素の生産が確認された。一方、pH1のみによる形質転換体の培養ろ液中には活性は検出されなかった。尚、プラスミドpH1及び形質転換法は特開平7−123987に詳細が記載されている。
【0171】
実施例29 蛋白質脱アミド酵素のAspergillus oryzaeでの発現
実施例28 a)で得られたプラスミドpD5を、Aspergillus oryzaeの形質転換プラスミドpN3と共にco−transformationによりAspergillus oryzae AO1.1株 (Mol. Gen. Genet., 218, 99−104, 1989)に導入した。対照としてpN3のみによる形質転換体も得た。得られた形質転換体を培養し、培養ろ液中の蛋白質脱アミド酵素活性を測定したところ、プラスミドpD5を導入した形質転換体において4.51 mU/ml(基質:Z−Gln−Gly)の蛋白質脱アミド酵素の生産が確認された。一方、pN3のみによる形質転換体の培養ろ液中には活性は検出されなかった。尚、プラスミドpN3及び形質転換法は特開平7−123987に詳細が記載されている。
実施例28及び29の結果より、本発明で得られた蛋白質脱アミド酵素遺伝子を用いて、組換え蛋白質脱アミド酵素を糸状菌を用いて製造出来ることが確認された。
【0172】
【発明の効果】
蛋白質中のグルタミンに作用して脱アミド反応を触媒する新規な酵素として、微生物より初めて見い出され、本酵素は広い応用範囲が期待される。
また、本発明により、蛋白質脱アミドの一次構造及び遺伝子構造が提供されたことにより、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的な製造が可能となる。
【0173】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)JCM2410のラクトース培地での培養経過を示す図である。
【符号の説明】
□はpH変動を示し、×は培養液の660nmの吸光度(濁度)変動を示し、△はカゼインを基質としたときのプロテアーゼ活性の変動を示し、●はZ−Gln−Glyを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示し、黒三角はカゼインを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示す。
【図2】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)JCM2410より得られた蛋白質脱アミド酵素の至適pHを示す図である。
【図3】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)JCM2410より得られた蛋白質脱アミド酵素の至適温度を示す図である。
【図4】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)JCM2410より得られた蛋白質脱アミド酵素のpH安定性を示す図である。
【図5】クリセオバクテリウム・グレウム(Chryseobacterium gleum)JCM2410より得られた蛋白質脱アミド酵素の温度安定性を示す図である。
【図6】クリセオバクテリウム・インドロゲネス(Chryseobacterium indologenes) IFO14944のラクトース培地での培養経過を示す図である。
【符号の説明】
□はpH変動を示し、×は培養液の660nmの吸光度(濁度)変動を示し、△はカゼインを基質としたときのプロテアーゼ活性の変動を示し、●はZ−Gln−Glyを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示し、黒三角はカゼインを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示す。
【図7】クリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム(Chryseobacterium meningosepticum)IFO12535のラクトース培地での培養経過を示す図である。
【符号の説明】
□はpH変動を示し、×は培養液の660nmの吸光度(濁度)変動を示し、△はカゼインを基質としたときのプロテアーゼ活性の変動を示し、●はZ−Gln−Glyを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示し、黒三角はカゼインを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示す。
【図8】クリセオバクテリウム・バラスチナム(Chryseobacterium balustinum)IFO15053のラクトース培地での培養経過を示す図である。
【符号の説明】
□はpH変動を示し、×は培養液の660nmの吸光度(濁度)変動を示し、△はカゼインを基質としたときのプロテアーゼ活性の変動を示し、●はZ−Gln−Glyを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示し、黒三角はカゼインを基質としたときの蛋白質脱アミド酵素活性の変動を示す。
【図9】実施例9の精製蛋白質脱アミド酵素及び精製の各ステップのサンプルのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。
【図10】実施例11のアンモニア又はアンモニウムの遊離パターンを示す図である。
【符号の説明】
△は蛋白質脱アミド酵素を添加した場合の結果を示し、黒三角はブランクの結果を示す。
【図11】実施例12の脱アミド化グルテンの分散性を示す図である。
【符号の説明】
黒四角は蛋白質脱アミド酵素処理したグルテンの結果を示し、●は未処理の結果を示す。
【図12】実施例12の脱アミド化グルテンの溶解性を示す図である。
【符号の説明】
黒四角は蛋白質脱アミド酵素処理したグルテンの結果を示し、●は未処理の結果を示す。
【図13】実施例18のアンモニア又はアンモニウムの遊離パターンを示す図である。
【符号の説明】
○は蛋白質脱アミド酵素を添加した場合の結果を示し、●はブランクの結果を示す。
【図14】実施例18の脱アミド化カゼインのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。
【図15】実施例19の脱アミド化カゼインのカルシウム溶解性を示す図である。
【符号の説明】
黒四角は蛋白質脱アミド酵素処理したカゼインの結果を示し、●は未処理の結果を示す。
【図16】実施例23のトランスグルタミナーゼ反応中に蛋白質脱アミド酵素を添加した場合のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。
【図17】実施例23の脱アミド化カゼインをトランスグルタミナーゼで処理した場合のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。
【図18】実施例25の脱アミド化カゼインの分酸性及び溶解性を示す図である。
【符号の説明】
黒四角は蛋白質脱アミド酵素処理したカゼインの結果を示し、●は未処理の結果を示す。

Claims (23)

  1. カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有し、分子量が20kDaであり且つ、等電点が10.2であり、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフインゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myroides)属のうちのいずれかに由来するものであることを特徴とする酵素。
  2. Z−Gln−Gly(式中Zは、ベンジルオキシカルボニル基を意味する。)を唯一の窒素源として含有する培地に生育可能なクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフインゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myroides)属のうちのいずれかに由来する細菌であり、かつZ−Gln−Gly(式中Zは、ベンジルオキシカルボニル基を意味する。)からアンモニア遊離活性を有する細菌を培養して得られる培養液から単離される酵素であって、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有し、分子量が20kDaであり且つ、等電点が10.2である酵素。
  3. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  4. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列からなり、カゼイン中のアミド基を脱アミドする作用を有し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わない作用特異性を有するポリペプチド。
  5. 配列表の配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  6. 配列表の配列番号12に記載のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列からなり、カゼイン中のアミド基を脱アミドする作用を有し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わない作用特異性を有するポリペプチド。
  7. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  8. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列からなり、カゼイン中のアミド基を脱アミドする作用を有し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わない作用特異性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  9. 配列表の配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  10. 配列表の配列番号12に記載のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列からなり、カゼイン中のアミド基を脱アミドする作用を有し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わない作用特異性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  11. 配列表の配列番号11に記載のポリヌクレオチド。
  12. 配列表の配列番号5又は請求項11に記載のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドは、カゼイン中のアミド基を脱アミドする作用を有し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わない作用特異性を有することを特徴とするポリヌクレオチド。
  13. 配列表の配列番号5又は請求項11に記載のポリヌクレオチドに95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドであって、このポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドは、カゼイン中のアミド基を脱アミドする作用を有し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わない作用特異性を有することを特徴とするポリヌクレオチド。
  14. 請求項7から13のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有することを特徴とする組換えベクター。
  15. 請求項14記載の組換えベクターを導入させた形質転換体。
  16. 請求項15記載の形質転換体を培養し、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有し、分子量が20kDaであり且つ、等電点が10.2である酵素を生産せしめ、培養物より当該酵素を採取することを特徴とする当該酵素の製造法。
  17. 請求項15記載の形質転換体を培養し、該培養物から採取される、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有し、分子量が20kDaであり且つ、等電点が10.2である組換えポリペプチド。
  18. 蛋白質及び/又はペプチドに、請求項1〜2の何れか記載の酵素、請求項3〜6の何れか記載のポリペプチド又は請求項17記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を作用させることを特徴とする蛋白質及び/又はペプチドの修飾法。
  19. 請求項1〜2の何れか記載の酵素、請求項3〜6の何れか記載のポリペプチド又は請求項17記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を有効成分としてなる蛋白質及び/又はペプチドの修飾用組成物。
  20. 請求項1〜2の何れか記載の酵素、請求項3〜6の何れか記載のポリペプチド又は請求項17記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を植物性、動物性蛋白質及び/又はペプチドに作用させ、当該蛋白質及び/又はペプチドの機能性を改善する方法。
  21. 請求項1〜2の何れか記載の酵素、請求項3〜6の何れか記載のポリペプチド又は請求項17記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を植物性、動物性蛋白質及び/又はペプチドを含む食品に作用させ、当該食品の機能性を改善する方法。
  22. 請求項1〜2の何れか記載の酵素、請求項3〜6の何れか記載のポリペプチド又は請求項17記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を植物性、動物性蛋白質及び/又はペプチドを含有する粗原料に作用させ、当該原料から蛋白質及び/又はペプチドの抽出効率を改善する方法。
  23. 請求項1〜2の何れか記載の酵素、請求項3〜6の何れか記載のポリペプチド又は請求項17記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種によりトランスグルタミナーゼの反応を制御する方法。
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