WO2018181802A1 - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、電子部品およびプリント配線板 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、電子部品およびプリント配線板 Download PDF

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Abstract

部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持でき、かつ靱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物、これを用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供する。 硬化性樹脂と、少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体と、微細粉体以外のフィラーと、を含む硬化性樹脂組成物である。この硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品である。

Description

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、電子部品およびプリント配線板
 本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品に関する。また、本発明は、硬化性樹脂組成物、硬化物およびプリント配線板に関する。
 電子部品としては、配線板や、配線板に固定される能動部品や受動部品等がある。配線板には、絶縁基材に導電体の配線を施して能動部品、受動部品等を接続固定するものがあり、用途に応じて、絶縁層および導体層を多層化したり、可撓性のある絶縁基材を用いたりする場合があり、電子機器においては重要な電子部品となっている。また、配線板は、半導体パッケージにも使用され、配線板用硬化性樹脂組成物やドライフィルムは、配線板や半導体実装後の外層として使用されている。能動部品、受動部品としては、トランジスター、ダイオード、抵抗、コイル、コンデンサーなどが挙げられる。
 近年では、電子機器の小型化に伴い、電子部品に対する要求特性が厳しくなっている。配線板について配線の高密度化が要求されてきており、配線や部品接続部の信頼性確保のために、配線板の材料には低い熱膨張性が求められてきている。能動部品、受動部品も小型化、高集積化が要求され、同様に信頼性確保のために低い熱膨張性が求められてきている。
 低い熱膨張性を達成する手法として、例えば、特許文献1には、無機フィラーを樹脂に充填させて低い熱膨張率を得る手法が提案されている。
 また、このような材料の低熱膨張性を達成する手段としては、例えば、セルロース繊維で強化して繊維強化複合材料とする方法が提案されている(特許文献2参照)。
 さらに、近年では、電子機器の小型化に伴い、電子部品には、高周波を効率よく伝送するために低誘電特性が求められている。低誘電特性を達成する手法として、例えば、非特許文献1では、ジシクロペンタジエン骨格をもつエポキシ樹脂を用いて比誘電率および誘電正接を低下させる手法が提案されている。
 さらにまた、近年では、電子機器の高性能化に伴い、以前よりも高い周波数が扱われ、電子部品には高周波を効率よく伝送することが求められている。高周波の特性として、表皮効果が挙げられる。例えば、非特許文献2には、周波数が高くなるにつれて電流は導体の表面付近しか通らなくなることが説明されている。
 また、近年、プリント配線板を備える機器の小型化・高機能化に対応するため、プリント配線板のさらなる軽薄短小化が進んでいる。そのため、プリント配線板の導体回路は、さらなる細線化と実装面積の縮小化が求められている。
 これに対し、プリント配線板の製造方法では、配線板に設けたビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔に樹脂充填剤を充填し、硬化させ研磨して平滑面とした後、かかる樹脂充填剤を充填したビアホールやスルーホール上にさらに絶縁層と導体層をビルドアップし多層化する工法が広く採用されている。
 このような工法に用いられる樹脂充填剤としては、凹部や貫通孔への充填性、硬化物の研磨性や耐熱性等の諸特性に優れた材料が求められ、特許文献3のような熱硬化性樹脂組成物が提案されている。
 一方で、さらなる高密度化を目的に、最近では、樹脂充填剤で充填されたビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔上に導体パッドやビアホール等の配線を設けて部品実装する工法が採用されている。
特開2001-72834号公報 特開2011-001559号公報 特開2015-10146号公報
「ネットワークポリマー」Vol.17,No.2(1996) pp69 「物理教育」第61巻 第1号(2013)18~20頁
 しかしながら、特許文献1に記載の材料では、所望の低熱膨張率を得るためには無機フィラーを大量に充填しなくてはならず、靱性等の硬化物の物性に劣るという問題があった。
 さらに、本発明者らは、特許文献1に記載の材料では、200℃を超えるような部品実装時の温度領域では大きな熱膨張率となってしまい、信頼性確保のためには効果がないという新たな問題があることに気付いた。
 そこで本発明の第一の目的は、部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持でき、かつ靱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
 本発明の第一の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することにある。
 また、確かに、特許文献2に記載された材料によれば、平均繊維径が4~200nmの繊維をマトリクス材料中に分散させているので、低熱膨張性の複合材料を得ることができる。
 しかしながら、この特許文献2に記載の方法では、より低熱膨張性を向上させるためにセルロース繊維を選択しているが、一方で、小型化や高密度化、高集積化の目的で積層構造の電子部品とした場合に、特に層間の絶縁信頼性が悪化するという新たな問題があることに発明者らは気付いた。
 そこで本発明の第二の目的は、低熱膨張性であって、かつ小型化や高密度化、高集積化の目的で積層構造の電子部品とした場合でも、層間の絶縁信頼性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
 本発明の第二の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することにある。
 さらに、電子部品の高周波化においては、低誘電特性を備えることだけでなく、高精細な回路が形成できることも重要である。この点、非特許文献1に記載された絶縁層では、低誘電特性は得られるものの、高精細な回路(めっき銅)との密着強度が得られないことを、本発明者らは見出した。
 そこで本発明の第三の目的は、低誘電特性を有するとともに、硬化物とめっき銅との密着性が良好な硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
 また、本発明の第三の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することにある。
 さらにまた、上記表皮効果は、電子部品の配線においても発現し、高周波が配線のごく表面しか通らないことを意味している。そのため、高周波を効率よく伝送するためには、電子部品の配線と絶縁材との界面を平滑化することが考えられる。
 しかしながら、このような平滑化を行なうと、絶縁材と配線を構成するめっき銅との密着性(ピール強度)が低下してしまうという問題があった。
 一方で、配線を構成するめっき銅の密着性を向上させるために、絶縁材をレーザーで穴あけした際に底部に発生するスミアの除去(デスミア)と同時に、絶縁材表面を粗面化することが一般的に行われている。
 しかしながら、このような粗面化を行うと、高周波を効率よく伝送することができないという問題が生ずる。
 そこで、本発明の第四の主たる目的は、デスミア工程でレーザー加工によるスミアの除去が可能であるとともに、高周波伝送に有利な小さな表面粗さを有しつつ、ピール強度にも優れた硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
 また、本発明の第四の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することにある。
 さらにまた、確かに、特許文献2に記載された材料によれば、平均繊維径が4~200nmの繊維をマトリクス材料中に分散させているので、低熱膨張性の複合材料を得ることができる。
 しかしながら、上記複合材料では、材料上にめっき銅をベタ状に形成すると、部品実装等の熱履歴でめっき銅に膨れが発生するという新たな問題が発生することに、本発明者らは気付いた。
 そこで、本発明の第五の主たる目的は、低熱膨張性であって、かつ、組成物の硬化物上に配線を製造する目的で銅めっきを施し、配線パターンの他に電磁波シールドの目的でめっき銅をベタ状に形成した場合でも、熱履歴でめっき銅に膨れが発生しない、高温耐性に優れた硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
 本発明の第五の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することにある。
 さらにまた、特許文献1に記載の材料では、所望の低熱膨張率を得るためには無機フィラーを大量に充填しなくてはならず、靱性等の硬化物の物性に劣るという問題があった。
 さらに、本発明者らは、特許文献1に記載の材料では、200℃を超えるような部品実装時の温度領域では大きな熱膨張率となってしまい、信頼性確保のためには効果がないという新たな問題があることに気付いた。
 そこで本発明の第六の目的は、部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持でき、かつ靱性や耐熱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
 本発明の第六の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することにある。
 さらにまた、プリント配線板の製造方法に用いられる上記工法に対して特許文献3のような熱硬化性樹脂組成物を樹脂充填剤として使用すると、樹脂充填剤で充填したビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔上の導体パッドやビアホール等の金属配線が部品実装時の高温加熱工程で膨らみ、そのような膨らみが信頼性に影響を与えるという問題があった。
 また、凹部や貫通孔(以下、単に「穴部等」とも称する)に充填した熱硬化性樹脂組成物は、樹脂成分が加熱により溶融して硬化するため、硬化時に穴部等周辺に滲み出すという問題があった。このような滲み出した樹脂組成物はフィラー成分が希薄であるため、その粘着性により次工程の研磨で完全に除去できず残存し、めっきの不具合の原因となる。
 さらに、凹部や貫通孔に充填した熱硬化性樹脂組成物の硬化後の研磨工程では、穴部等周辺の樹脂充填剤のはみ出しをも完全に除去する必要があり、その結果、穴部等には過剰の研磨によりへこみが生じて完全な平滑面とならないという別の問題もあった。
 そこで、本発明の第七の主たる目的は、上述した課題を解決し得る硬化性樹脂組成物を提供することにあり、具体的には、部品実装時の高温加熱工程においても樹脂充填剤で充填したビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔上の導体パッドやビアホール等の配線に膨らみが生じることがなく、しかも、硬化時にはフィラー成分の希薄な樹脂組成物の滲み出しがなく、硬化後の研磨工程では平滑化のための過剰な研磨による穴部等のへこみも生じない、硬化性樹脂組成物を提供することにある。
 本発明の第七の他の目的は、上述した課題を解決し得る硬化性樹脂組成物の硬化物、およびこの硬化物で穴部等が充填されたプリント配線板を提供することにある。
 本発明者らは鋭意検討した結果、ソルダーレジストや層間絶縁材料、穴埋め材料等の電子部品材料の充填材として従来から用いられているシリカや炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化チタンなどのフィラーに対して、少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体(以下、単に「微細粉体」とも称する)を併用して配合することにより、意外にも上記課題を解決できることを見出して、本発明を解決するに至った。
 すなわち、本発明の第一の態様の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と、少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体と、該微細粉体以外のフィラーと、を含むことを特徴とするものである。
 本発明において好適には、前記微細粉体として、微細セルロース粉体(以下、単に「CNF」とも称する)またはセルロースナノクリスタル粒子(以下、単に「CNC」とも称する)を用いる。また、前記微細粉体と該微細粉体以外のフィラーの全フィラー中の配合比は、好適には、質量比で(微細粉体以外のフィラー:微細粉体)=100:(0.04~30)である。
 本発明においては、前記硬化性樹脂が、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも1種を有する環状エーテル化合物を含むか、ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むか、フェノキシ樹脂を含むか、または、ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
 本発明のドライフィルムは、上記硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布、乾燥されてなる樹脂層を有することを特徴とするものである。
 本発明の硬化物は、上記硬化性樹脂組成物、または、上記ドライフィルムの前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とするものである。
 本発明の電子部品は、上記硬化物を備えることを特徴とするものである。
 ここで、本発明において、セルロースナノクリスタル粒子とは、セルロース原料を高濃度の鉱酸(塩酸、硫酸、臭化水素酸など)で加水分解して非結晶部分を除き結晶部分のみを単離したものである。具体的には、7wt%以上の強酸、好ましくは9wt%以上の強酸、さらに好ましくは硫酸のように高濃度化が容易な強酸で60wt%以上の濃度で加水分解を施すことで得られる非結晶部分を含まない結晶体である。
 また、本発明者らは上記課題解決に向け鋭意検討した結果、プリント配線板のビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔の充填材料として、少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体と熱硬化性成分とを分散させた硬化性樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決することを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
 本発明の第二の態様の硬化性樹脂組成物は、プリント配線板の凹部および貫通孔の少なくとも一方に充填するための硬化性樹脂組成物であって、(A)少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体と、(B)熱硬化性成分と、を含むことを特徴とするものである。
 本発明の硬化性樹脂組成物は、(B)熱硬化性成分として、アミン類を前駆体とする環状エーテル化合物を含むことが好ましく、また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
 本発明の硬化性樹脂組成物は、(C)ホウ酸エステル化合物を含むことが好ましい。
 本発明の硬化性組成物は、上記(A)微細粉体以外の(D)フィラーを含むことが好ましい。
 本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物が硬化されてなることを特徴とするものである。
 本発明のプリント配線板は、プリント配線板の凹部および貫通孔の少なくとも一方が前記硬化性樹脂組成物で充填されていることを特徴とするものである。
 ここで、本発明において、微細粉体としては、特に形状に制限はなく、繊維状、鱗片状、粒状などの形状のものを用いることができ、「少なくとも一次元が100nmより小さい」とは、一次元、二次元および三次元のいずれかが100nmより小さいことを意味する。例えば、繊維状の微細粉体の場合は、二次元が100nmより小さく、残る一次元への広がりを有するものが挙げられ、鱗片状の微細粉体の場合は、その一辺が100nmより小さく、残る二次元への広がりを有するものが挙げられ、粒状の微細粉体の場合は、三次元とも100nmより小さいものが挙げられる。
 また本発明において、微細粉体における一次元、二次元および三次元の大きさは、微細粉体をSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)やTEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)やAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)等で観察し測定することができる。
 例えば、鱗片状の微細粉体の場合、最も小さい一次元である厚みの平均値を測定して、この平均厚みを100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にあり、かつ、厚みが測定可能な微細粉体をランダムに12点抽出して、最も厚い微細粉体と最も薄い微細粉体を除去した後、残る10点の厚みを測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
 繊維状の微細粉体の場合、最も小さい2次元である繊維径の平均値(以下、単に「平均繊維径」ともいう)を測定して、この平均繊維径を100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にある微細粉体をランダムに12点抽出して、最も太い繊維径と最も細い繊維径の微細粉体を除去した後、残る10点の繊維径を測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
 粒状の微細粉体の場合、粒径の平均値を測定して、この平均粒径を100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にある微細粉体をランダムに12点抽出して、最も大きい粒径と最も小さい粒径の微細粉体を除去した後、残る10点の粒径を測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
 繊維状や鱗片状などの他の次元への広がりがある微細粉体では、その広がりは、例えば、1000nm未満、好ましくは650nm未満、さらに好ましくは450nm未満である。広がりが1000nm未満であれば、微細粉体どうしのインタラクションによる補強効果を効果的に得ることができる。
 本発明においては、微細セルロース粉体の定義についても、上記微細粉体と同様とする。
 第一に、本発明によれば、部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持でき、かつ靱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
 また本発明によれば、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することができる。
 第二に、本発明によれば、低熱膨張性であって、かつ小型化、高密度化、高集積化の目的で積層構造の電子部品とした場合でも、層間の絶縁信頼性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
 また本発明によれば、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することができる。
 第三に、本発明によれば、低誘電特性を有するとともに、硬化物とめっき銅との密着性が良好な硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
 また本発明によれば、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することができる。
 第四に、本発明によれば、デスミア工程でレーザー加工によるスミアの除去が可能であるとともに、高周波伝送に有利な小さな表面粗さを有しつつ、ピール強度にも優れた硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
 また本発明によれば、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することができる。
 第五に、本発明によれば、低熱膨張性であって、かつ、組成物の硬化物上に配線を製造する目的で銅めっきを施し、配線パターンの他に電磁波シールドの目的でめっき銅をベタ状に形成した場合でも、熱履歴でめっき銅に膨れが発生しない、高温耐性に優れた硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
 また本発明によれば、この硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することができる。
 第六に、本発明によれば、部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持しつつ、かつ靱性や耐熱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができる、ポットライフに優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
 また本発明によれば、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することができる。
 第七に、本発明によれば、凹部および貫通孔の少なくとも一方を有するプリント配線板において、部品実装時の高温加熱工程においても樹脂充填剤で充填したビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔上の導体パッドやビアホール等の配線に膨らみが生じることがなく、しかも、硬化時にはフィラー成分の希薄な樹脂組成物の滲み出しがなく、硬化後の研磨工程では平滑化のための過剰な研磨による穴部等のへこみも生じない、硬化性樹脂組成物を提供することができる。
 また、本発明によれば、上述した課題を解決し得る硬化性樹脂組成物の硬化物、およびこの硬化物で穴部等が充填されたプリント配線板を提供することができる。
シリカと微細セルロース粉体の配合量と熱膨張率の関係を示すグラフである。 微細セルロース粉体の併用による熱膨張率低減の効果を示すグラフである。 微細セルロース粉体の併用による熱膨張率低減の効果を示すグラフである。 微細セルロース粉体の併用による伸び率向上の効果を示すグラフである。 実施例で用いた試験基板を示す説明図である。 本発明の電子部品の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図である。 実施例で用いた試験基板を示す説明図である。 実施例で用いた試験基板を示す他の説明図である。 実施例で用いた試験基板を示すさらに他の説明図である。 本発明の電子部品の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図である。 実施例で用いた試験基板を示す説明図である。 本発明の電子部品の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図である。 実施例で用いた試験基板を示す説明図である。 本発明の電子部品の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図である。 実施例で用いた試験基板を示す説明図である。 シリカおよびセルロースナノクリスタル粒子の配合量と熱膨張率の関係を示すグラフである。 セルロースナノクリスタル粒子の併用による熱膨張率低減の効果を示すグラフである。 セルロースナノクリスタル粒子の併用による熱膨張率低減の効果を示すグラフである。 セルロースナノクリスタル粒子の併用による伸び率向上の効果を示すグラフである。 実施例で用いた試験基板を示す説明図である。 本発明の硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法の一例を示す概略断面図である。 本発明のプリント配線板の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図である。 本発明のプリント配線板の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図である。 研磨工程で生じる穴部等のへこみについて説明する概略断面図である。
 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<<本発明の第一の態様>>
 本発明の第一の態様の硬化性樹脂組成物は、充填材として、微細粉体と微細粉体以外のフィラーとを併用した点に最大の特徴がある。
 このような構成とすることにより、第一の目的に関し、200℃を超えるような部品実装時の温度領域でも低い熱膨張率を維持することができ、かつ靱性等の諸特性に優れる硬化物を提供できる。
[微細粉体]
 本発明に用いる微細粉体とは、少なくとも一次元が100nmよりも小さい粉体であり、前述したように、微細な球状に近いものだけではなく、断面の径が100nmよりも小さい繊維状のものや、厚みが100nmよりも小さいシート状(鱗片状)のものなども含まれる。このような微細粉体は、三次元のいずれもが100nm以上であるものに比較して、単位質量当りの表面積がはるかに大きくなり、表面に露出する原子の割合が増大する。そのため、微細粉体がお互いに引き合うようなインタラクションをとって補強効果が発現し、熱膨張性が低下すると考えられる。
 微細粉体としては、少なくとも一次元が100nmよりも小さな粒子であればよく、材質は特に限定されず、2種以上のものを併用してもよい。微細粉体としては、例えば、グラファイト、グラフェン、フラーレン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブなどの炭素系、銀、金、鉄、ニッケル、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、シリカ、水酸化アルミニウムなどの無機系、クレー、スメクタイト、ベントナイトなどの鉱物系、また、植物の繊維を開繊した微細セルロース粉体およびセルロース原料から結晶部分のみを単離したセルロースナノクリスタル粒子、甲殻類などから得られたキチンを開繊した微細キチン、これら微細キチンをさらにアルカリ処理した微細キトサンなどの高分子系などが挙げられ、これらをナノチューブ、ナノワイヤー、ナノシート状に加工してもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの中で親水性の微細粉体としては、酸化チタンなどの金属酸化物微粒子、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物微粒子、クレーなどの鉱物系微粒子、微細セルロース繊維、微細キチンなどが挙げられる。このような微細粉体の中でも、特に、補強効果および取扱いの容易さの観点から、また、めっき銅との密着性向上効果および取扱いの容易さの観点から、微細セルロース粉体が望ましい。また、セルロースナノクリスタル粒子も好ましい。
 発明者らは、少なくとも一次元が100nmよりも小さい粉体として微細セルロース粉体に着目し、その配合量と熱膨張率の関係をシリカと比較して鋭意検討したところ、微細セルロース粉体によれば、少量の配合量で著しい熱膨張率の低減効果が得られることを新たに知見した(図1-1参照)。
 さらに発明者らは、微細セルロース粉体の配合によれば、少量の配合でも十分な熱膨張率の低減効果が得られる点に着目し、鋭意検討した結果、靱性等の電子部品の絶縁材料に要求される諸特性を確保するためのシリカ等のフィラーを配合しつつ、当該微細セルロース粉体を併用して配合することにより、上述した本発明特有の効果を得ることができることを見出したのである(図1-2、1-3参照)。
 以上説明したような微細粉体として、親水性の微細粉体を用いる場合、その粒子を疎水化処理したり、カップリング剤を用いた表面処理などを施すことが好ましい。このような処理は、微細粉体に適した公知慣用の方法を用いることができる。
 本発明における微細粉体の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好適には0.04~64質量%、より好適には0.08~30質量%、さらに好適には、0.1~10質量%である。微細粉体の配合量が0.04質量%以上の場合、線膨張係数の低減効果を良好に得ることができ、また、めっき銅との密着性の向上効果を良好に得ることができる。一方、64質量%以下の場合、製膜性が向上する。
 本発明に係る微細粉体のうち、微細セルロース粉体は、以下のようにして得ることができるが、これらのものに限定されるものではない。
(微細セルロース粉体)
 微細セルロース粉体の原材料としては、木材や麻、竹、綿、ジュート、ケナフ、ビート、農産物残廃物、布等の天然植物繊維原料から得られるパルプ、レーヨンやセロファン等の再生セルロース繊維等を用いることができ、中でも特に、パルプが好適である。パルプとしては、植物原料を化学的若しくは機械的に、または、両者を併用してパルプ化することにより得られるクラフトパルプや亜硫酸パルプ等のケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、ケミメカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、リファイナーメカニカルパルプ、砕木パルプおよびこれらの植物繊維を主成分とする脱墨古紙パルプ、雑誌古紙パルプ、段ボール古紙パルプなどを用いることができる。中でも、繊維の強度が強い針葉樹由来の各種クラフトパルプ、例えば、針葉樹未漂白クラフトパルプ、針葉樹酸素晒し未漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプが特に好適である。
 上記原材料は主としてセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンから構成され、このうちリグニンの含有量は通常0~40質量%程度、特には0~10質量%程度である。これらの原材料については、必要に応じ、リグニンの除去ないし漂白処理を行って、リグニン量の調整を行うことができる。なお、リグニン含有量の測定は、Klason法により行うことができる。
 植物の細胞壁の中では、セルロース分子が単分子ではなく規則的に凝集して数十本集まった結晶性を有するミクロフィブリル(微細セルロース繊維)を形成しており、これが植物の基本骨格物質となっている。よって、上記原材料から微細セルロース粉体を製造するためには、上記原材料に対し、叩解ないし粉砕処理、高温高圧水蒸気処理、リン酸塩等による処理、N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理等を施すことにより、その繊維をナノサイズまで解きほぐす方法を用いることができる。
 上記のうち叩解ないし粉砕処理は、上記パルプ等の原材料に対し直接力を加えて、機械的に叩解ないし粉砕を行い、繊維を解きほぐすことで、微細セルロース粉体を得る方法である。より具体的には、例えば、パルプ等を高圧ホモジナイザー等により機械的に処理して、繊維径0.1~10μm程度に解きほぐしたセルロース繊維を0.1~3質量%程度の水懸濁液とし、さらに、これをグラインダー等で繰り返し磨砕ないし融砕処理することにより、繊維径10~100nm程度の微細セルロース粉体を得ることができる。
 上記磨砕ないし融砕処理は、例えば、栗田機械製作所製グラインダー「ピュアファインミル」等を用いて行うことができる。このグラインダーは、上下2枚のグラインダーの間隙を原料が通過するときに発生する衝撃、遠心力および剪断力により、原料を超微粒子に粉砕する石臼式粉砕機であり、剪断、磨砕、微粒化、分散、乳化およびフィブリル化を同時に行うことができるものである。また、上記磨砕ないし融砕処理は、増幸産業(株)製超微粒磨砕機「スーパーマスコロイダー」を用いて行うこともできる。スーパーマスコロイダーは、単なる粉砕の域を超えて融けるように感じるほどの超微粒化を可能にした磨砕機である。スーパーマスコロイダーは、間隔を自由に調整できる上下2枚の無気孔砥石によって構成された石臼形式の超微粒磨砕機であり、上部砥石は固定であり、下部砥石が高速回転する。ホッパーに投入された原料は遠心力によって上下砥石の間隙に送り込まれ、そこで生じる強大な圧縮、剪断および転がり摩擦力などにより、原材料は次第にすり潰されて、超微粒化される。
 また、上記高温高圧水蒸気処理は、上記パルプ等の原材料を高温高圧水蒸気に曝すことによって繊維を解きほぐすことで、微細セルロース粉体を得る方法である。
 さらに、上記リン酸塩等による処理は、上記パルプ等の原材料の表面をリン酸エステル化することにより、セルロース繊維間の結合力を弱め、次いで、リファイナー処理を行うことにより、繊維を解きほぐし、微細セルロース粉体を得る処理法である。例えば、上記パルプ等の原材料を50質量%の尿素および32質量%のリン酸を含む溶液に浸漬して、60℃で溶液をセルロース繊維間に十分に染み込ませた後、180℃で加熱してリン酸化を進め、これを水洗した後、3質量%の塩酸水溶液中、60℃で2時間、加水分解処理をして、再度水洗を行い、さらにその後、3質量%の炭酸ナトリウム水溶液中において、室温で20分間程処理することでリン酸化を完了させ、この処理物をリファイナーで解繊することにより、微細セルロース粉体を得ることができる。
 そして、上記N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理は、上記パルプ等の原材料を酸化させた後、微細化することにより微細セルロース粉体を得る方法である。
 まず、天然セルロース繊維を、絶対乾燥基準で約10~1000倍量(質量基準)の水中に、ミキサー等を用いて分散させることにより、水分散液を調製する。上記微細セルロース繊維の原料となる天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹系パルプや広葉樹系パルプ等の木材パルプ、麦わらパルプやバガスパルプ等の非木材系パルプ、コットンリントやコットンリンター等の綿系パルプ、バクテリアセルロース等を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、これら天然セルロース繊維には、あらかじめ表面積を大きくするために叩解等の処理を施しておいてもよい。
 次に、上記水分散液中で、N-オキシル化合物を酸化触媒として用いて、天然セルロース繊維の酸化処理を行う。かかるN-オキシル化合物としては、例えば、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル)の他、4-カルボキシ-TEMPO、4-アセトアミド-TEMPO、4-アミノ-TEMPO、4-ジメチルアミノ-TEMPO、4-フォスフォノオキシ-TEMPO、4-ヒドロキシTEMPO、4-オキシTEMPO、4-メトキシTEMPO、4-(2-ブロモアセトアミド)-TEMPO、2-アザアダマンタンN-オキシル等の、C4位に各種の官能基を有するTEMPO誘導体等を用いることができる。これらN-オキシル化合物の添加量としては、触媒量で十分であり、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で0.1~10質量%となる範囲とすることができる。
 上記天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化剤と共酸化剤とを併用する。酸化剤としては、例えば、亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸および過ハロゲン酸並びにそれらの塩、過酸化水素、過有機酸を挙げることができ、なかでも、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好適である。また、共酸化剤としては、例えば、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属を用いることができる。酸化剤の使用量は、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で約1~100質量%となる範囲であり、共酸化剤の使用量は、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で約1~30質量%となる範囲である。
 上記天然セルロース繊維の酸化処理の際には、水分散液のpHを9~12の範囲で維持することが、酸化反応を効率よく進行させる観点から好ましい。また、酸化処理の際の水分散液の温度は、1~50℃の範囲で任意に設定することができ、温度制御なしで、室温においても反応可能である。反応時間としては、1~240分間の範囲とすることができる。なお、水分散液には、天然セルロース繊維の内部まで薬剤を浸透させて、より多くのカルボキシル基を繊維表面に導入するために、浸透剤を添加することもできる。浸透剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリエチレングルコール型、多価アルコール型等の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
 上記天然セルロース繊維の酸化処理の後には、微細化を行うに先立って、水分散液中に含まれる未反応の酸化剤や各種副生成物等の不純物を除去する精製処理を行うことが好ましい。具体的には例えば、酸化処理された天然セルロース繊維の水洗および濾過を繰り返し行う手法を用いることができる。精製処理後に得られる天然セルロース繊維は、通常、適量の水が含浸された状態で微細化処理に供されるが、必要に応じ、乾燥処理を行って、繊維状または粉末状としてもよい。
 次に、天然セルロース処理の微細化は、所望に応じ精製処理された天然セルロース繊維を、水等の溶媒中に分散させた状態で行う。微細化処理において使用する分散媒としての溶媒は、通常は水が好ましいが、所望に応じ、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)やエーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)等の水に可溶な有機溶媒を使用してもよく、これらの混合物を用いることもできる。これら溶媒の分散液中の天然セルロース繊維の固形分濃度は、好適には、50質量%以下とする。天然セルロース繊維の固形分濃度が50質量%を超えると、分散に極めて高いエネルギーを必要とするため好ましくない。天然セルロース処理の微細化は、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、叩解機、離解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等の分散装置を使用して行うことができる。
 微細化処理により得られる微細セルロース粉体は、所望に応じ、固形分濃度を調整した懸濁液状、または、乾燥させた粉末状とすることができる。ここで、懸濁液状にする場合には、分散媒として水のみを使用してもよく、水と他の有機溶媒、例えば、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用してもよい。
 上記天然セルロース繊維の酸化処理および微細化処理により、セルロース分子の構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシル基へと選択的に酸化され、かかるカルボキシル基の含有量が0.1~3mmol/gであるセルロース分子からなる、上記所定の数平均繊維径を有する高結晶性の微細セルロース粉体を得ることができる。この高結晶性の微細セルロース粉体は、セルロースI型結晶構造を有している。これは、かかる微細セルロース粉体が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース分子が表面酸化され微細化されたものであることを意味している。すなわち、天然セルロース繊維は、その生合成の過程において生産されるミクロフィブリルと呼ばれる微細な繊維が多束化して高次な固体構造を構築しており、そのミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、酸化処理によるアルデヒド基またはカルボキシル基の導入によって弱め、さらに、微細化処理を経ることで、微細セルロース粉体が得られる。酸化処理の条件を調整することにより、カルボキシル基の含有量を増減させて、極性を変化させたり、カルボキシル基の静電反発や微細化処理により、微細セルロース粉体の平均繊維径や平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
 上記天然セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像の測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14~17°付近と2θ=22~23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。また、微細セルロース粉体のセルロース分子中にカルボキシル基が導入されていることは、水分を完全に除去したサンプルにおいて、全反射式赤外分光スペクトル(ATR)においてカルボニル基に起因する吸収(1608cm-1付近)が存在することにより確認することができる。カルボキシル基(COOH)の場合には、上記の測定において1730cm-1に吸収が存在する。
 なお、酸化処理後の天然セルロース繊維にはハロゲン原子が付着または結合しているため、このような残留ハロゲン原子を除去する目的で、脱ハロゲン処理を行うこともできる。脱ハロゲン処理は、過酸化水素溶液やオゾン溶液に酸化処理後の天然セルロース繊維を浸漬することにより、行うことができる。
 具体的には、例えば、酸化処理後の天然セルロース繊維を、濃度が0.1~100g/Lの過酸化水素溶液に、浴比1:5~1:100程度、好ましくは1:10~1:60程度(質量比)の条件で浸漬する。この場合の過酸化水素溶液の濃度は、好適には1~50g/Lであり、より好適には5~20g/Lである。また、過酸化水素溶液のpHは、好適には8~11であり、より好適には9.5~10.7である。
 なお、水分散液に含まれる微細セルロース粉体の質量に対するセルロース中のカルボキシル基の量[mmol/g]は、以下の手法により評価することができる。すなわち、あらかじめ乾燥質量を精秤した微細セルロース粉体試料の0.5~1質量%水分散液を60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液をpHが約11になるまで滴下して、電気伝導度を測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式を用いて官能基量を決定することができる。この官能基量が、カルボキシル基の量を示す。
 官能基量[mmol/g]=V[ml]×0.05/微細セルロース粉体試料[g]
 また、本発明において用いる微細セルロース粉体は、化学修飾および/または物理修飾して、機能性を高めたものであってもよい。ここで、化学修飾としては、アセタール化、アセチル化、シアノエチル化、エーテル化、イソシアネート化等により官能基を付加させたり、シリケートやチタネート等の無機物を化学反応やゾルゲル法等によって複合化させたり、または被覆させるなどの方法で行うことができる。化学修飾の方法としては、例えば、シート状に成形した微細セルロース粉体を無水酢酸中に浸漬して加熱する方法が挙げられる。また、N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理にて得られた微細セルロース粉体は、分子中のカルボキシル基にアミン化合物や第4級アンモニウム化合物等をイオン結合やアミド結合で修飾させる方法が挙げられる。
 物理修飾の方法としては、例えば、金属やセラミック原料を、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)、無電解めっきや電解めっき等のめっき法等により、被覆させる方法が挙げられる。これらの修飾は、上記処理前であっても、処理後であってもよい。
 本発明に用いられる微細セルロース粉体は、繊維状の場合、その平均繊維径が3nm以上であって、100nmより小さいことが望ましい。微細セルロース繊維単繊維の最小径が3nmであるため、3nm未満は実質的に製造できない。また、100nmより小さいと、過剰に添加せずとも本発明の所期の効果が得られ、製膜性も良好となる。なお、微細セルロース粉体の平均繊維径は、前述した微細粉体の大きさの測定方法に従って測定することができる。
(セルロースナノクリスタル粒子)
 本発明者らは、さらに微細セルロース粉体の結晶形態に着目し鋭意検討した結果、セルロース原料を加水分解して非結晶部分を除き結晶部分のみを単離したセルロースナノクリスタル粒子によれば、意外にも上記課題を解決しつつ、ポットライフにも優れる硬化性樹脂組成物を提供することができることを見出した。
 充填材として、セルロース原料から結晶部分のみを単離したセルロースナノクリスタル粒子と該セルロースナノクリスタル粒子以外のフィラーとを併用することにより、200℃を超えるような部品実装時の温度領域でも低い熱膨張率を維持しつつ、かつ靱性や耐熱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができる、ポットライフに優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
 さて、発明者らは、セルロース原料から結晶部分のみを単離したセルロースナノクリスタル粒子に着目し、その配合量と熱膨張率の関係をシリカと比較して鋭意検討したところ、このセルロースナノクリスタル粒子によれば、少量の配合量で著しい熱膨張率の低減効果が得られることを知見した(図6-1参照)。
 また発明者らは、靱性や耐熱性等の電子部品の絶縁材料に要求される諸特性を確保するためのシリカ等のフィラーを配合しつつ、当該セルロースナノクリスタル粒子を併用して配合することにより、上述した本発明特有の効果を得ることができることを見出したのである(図6-2、6-3参照)。
 さらに発明者らは、結晶部分のみからなるセルロースナノクリスタル粒子によれば、ポットライフに優れる硬化性樹脂組成物を提供することができるという、非結晶部分を含む微細セルロース粉体にはない特異な効果を奏することを見出したのである。
 本発明において、セルロースナノクリスタル粒子とは、セルロース原料を高濃度の鉱酸(塩酸、硫酸、臭化水素酸など)で加水分解して非結晶部分を除き結晶部分のみを単離したものであればいずれの粒子をも用いることができる。この粒子の大きさとしては、平均結晶幅で3~70nm、平均結晶長で100~500nmのものが好ましく、より好ましくは、平均結晶幅で3~50nm、平均結晶長で100~400nm、さらに好ましくは、平均結晶幅で3~10nm、平均結晶長で100~300nmである。ここで、結晶幅とは粒子の短辺の長さをいい、結晶長とは粒子の長辺の長さをいう。このようなセルロースナノクリスタル粒子は、幅や長さがこれよりも大きいものに比較して、単位質量当りの表面積がはるかに大きくなり、表面に露出する原子の割合が増大する。そのため、セルロースナノクリスタル粒子がお互いに引き合うようなインタラクションをとって補強効果が発現し、熱膨張性が低下すると考えられる。
 ここで、セルロースナノクリスタル粒子の大きさ(平均結晶幅、平均結晶長)は、SEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)やTEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)やAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)等で観察し測定することができる。
 具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にあり、かつ、大きさが測定可能な粒子をランダムに12点抽出して、最も大きい粒子と最も小さい粒子を除去した後、残る10点の大きさ(結晶幅、結晶長)を測定して、それぞれの平均した値がセルロースナノクリスタル粒子の平均結晶幅と平均結晶長である。
 セルロースナノクリスタル粒子としては、原料セルロースが異なる2種以上のものを併用してもよい。
 このようなセルロースナノクリスタル粒子は、疎水化処理、カップリング剤を用いた表面処理などを施すことが好ましい。このような処理は、セルロースナノクリスタル粒子に適した公知慣用の方法を用いることができる。
 本発明におけるセルロースナノクリスタル粒子の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好適には0.04~30質量%、より好適には0.08~20質量%、さらに好適には、0.1~10質量%である。セルロースナノクリスタル粒子の配合量が0.04質量%以上の場合、熱膨張率の低減効果を良好に得ることができる。一方、30質量%以下の場合、製膜性が向上する。
 本発明に係るセルロースナノクリスタル粒子は、セルロース原料を高濃度の鉱酸(塩酸、硫酸、臭化水素酸など)で加水分解して非結晶部分を除き結晶部分のみを単離することにより得ることができる。
 ここで、セルロース原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられるが、特に限定されない。これらの中でも、入手のしやすさという点では製紙用パルプが好ましく、より耐熱性に優れるCNCを製造することができる点ではコットンやホヤが好ましい。
 製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプや針葉樹クラフトパルプなどが挙げられる。
 広葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)などが挙げられる。
 針葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)などが挙げられる。
 他に、化学パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプなどが挙げられる。化学パルプとしては、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等がある。半化学パルプとしては、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等がある。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等がある。非木材パルプとしては、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とするものがある。
 このようなセルロース原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。また、機械解繊法、リン酸エステル化法、TEMPO酸化法などで製造されたセルロースナノファイバー(以下、単に「CNF」とも称する)をセルロース原料としてもよい。
 次に、以上説明したようなセルロース原料の加水分解は、例えばセルロース原料含有の水懸濁液又はスラリーを硫酸、塩酸、臭化水素酸等によって処理したり、セルロース原料をそのまま硫酸、塩酸、臭化水素酸等の水溶液中に懸濁させることによって行うことができる。特に、セルロース原料としてパルプを使用する場合には、カッターミルやピンミルなどを用いて綿状の繊維としてから加水分解処理を施すことが、均一な加水分解処理を行うことができるという点で好ましい。
 このような加水分解処理では、温度条件は特に限定されないが、例えば25~90℃とすることができる。また、加水分解処理時間の条件も特に限定されないが、例えば10~120分とすることができる。
 なお、このようにしてセルロース原料を加水分解処理して得られたセルロースナノクリスタル粒子に対しては、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いて中和処理を行うことができる。
 このようにして得られたセルロースナノクリスタル粒子は、必要に応じて微粒化処理することができる。この微粒化処理では、処理装置や処理方法は、特に限定されない。
 微粒化処理装置としては、例えば、グラインダー(石臼型粉砕機)や高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーター等を使用することができる。
 微粒化処理の際には、セルロースナノクリスタル粒子を水と有機溶媒を単独または組み合わせて希釈してスラリー状にすることが好ましいが、特に限定されない。好ましい有機溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。分散媒は1種であってもよいし、2種以上でもよい。また、分散媒中にセルロースナノクリスタル粒子以外の固形分、例えば水素結合性のある尿素などを含んでも構わない。
 また、本発明において用いるセルロースナノクリスタル粒子は、化学修飾および/または物理修飾して、機能性を高めたものであってもよい。ここで、化学修飾としては、アセタール化、アセチル化、シアノエチル化、エーテル化、イソシアネート化等により官能基を付加させたり、シリケートやチタネート等の無機物を化学反応やゾルゲル法等によって複合化させたり、または被覆させるなどの方法で行うことができる。物理修飾としては、めっきや蒸着で行うことができる。
[微細粉体以外のフィラー]
 本発明の樹脂組成物は、さらに、上述した微細粉体以外のフィラーを含む。このようなフィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化チタン等の無機フィラーが挙げられる。また、微細粉体がセルロースナノクリスタル粒子の場合、有機フィラーでもよく、セルロースナノファイバーを有機フィラーとして用いてもよく、フィラーのなかでもシリカが好ましい。
 このフィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、1μm以下がより好ましい。なお、フィラーの平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
 このフィラーの配合量は、溶剤を除く組成物の全体量のうち、1~90質量%、好ましくは2~80質量%、より好ましくは5~75質量%である。フィラーの配合量を上記範囲内とすることで、硬化後の硬化物の塗膜性能を良好に確保することができる。
 微細粉体以外のフィラーと微細粉体の全フィラー中の配合比は、質量比で(微細粉体以外のフィラー:微細粉体)=100:(0.04~30)、好ましくは100:(0.1~20)、より好ましくは100:(0.2~10)である。このような配合比でフィラーを使用することにより、熱膨張率を低く維持しつつ、電子部品の絶縁材料に要求される靱性や耐熱性等の諸特性を両立することができる。
 また、硬化性樹脂組成物中に配合されるフィラーの総量は、硬化性樹脂組成物の用途、例えば電子部品の層間絶縁材料などの絶縁材料の要求特性に応じて、適宜慣用されている公知の量とすることが好ましい。
<第一および第六の目的に関する微細粉体および微細粉体以外のフィラーを除く他の配合成分>
 本発明の第一の態様において、第一および第六の目的に関する微細粉体および微細粉体以外のフィラーを除く他の配合成分としては、以下のとおりである。
 [硬化性樹脂]
 本発明において、硬化性樹脂としては、特に限定されるものではなく周知のものを使用することができ、例えば、熱硬化性成分および光硬化性成分のいずれか1種を含む材料でよいが、熱硬化性成分を含む材料が好ましい。
 熱硬化性成分としては、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物等の環状エーテル基を有する化合物、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を使用することができる。特に、分子中に複数の環状エーテル基および環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)の少なくとも何れか1種を有する熱硬化性樹脂が好ましい。なかでも、エポキシ化合物、オキセタン化合物が好ましく、エポキシ化合物であるエポキシ樹脂がより好ましい。
 エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル-1,3-ジグリシジルエーテル、ビフェニル-4,4’-ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
 なかでも、40℃で固形状である固形エポキシ樹脂および20℃で固形状であり40℃で液状である半固形エポキシ樹脂の少なくとも何れか1つと20℃で液状である液状エポキシ樹脂を併用して用いることが、本発明の効果を維持しつつ、さらに冷熱サイクル時の優れたクラック耐性の点から好ましい。固形エポキシ樹脂、半固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂の例示としては、特開2015-10232号公報に記載のものが挙げられる。
 上記熱硬化性成分は、必要に応じて硬化剤と共に使用される。硬化剤としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、水酸基をアセチル化などでキャッピングされた活性エステル樹脂、側鎖にカルボキシル基や水酸基、活性エステル構造を有するシクロオレフィンポリマーや、前述した硬化性樹脂の一部に水酸基、カルボキシル基、活性エステル構造を有する環状エーテル基と反応する置換基を有する硬化剤が挙げられ、単独または2種以上を組合せて用いることができる。
 上記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α-ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを用いることができる。
 上記ポリカルボン酸およびその酸無水物は、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物等の他、カルボン酸末端イミド樹脂等のカルボン酸末端を有する樹脂が挙げられる。
 上記シアネートエステル樹脂は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(-OCN)を有する化合物である。シアネートエステル樹脂は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
 上記活性エステル樹脂は、特に限定されるものではなく、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する樹脂が好ましい。活性エステル樹脂は、一般に、カルボン酸化合物およびチオカルボン酸化合物のうちの1種以上と、ヒドロキシ化合物およびチオール化合物のうちの1種以上との縮合反応によって得ることができる。この活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエニルジフェノールエステル化合物、ビスフェノールAジアセテート、フタル酸ジフェニル、テレフタル酸ジフェニル、テレフタル酸ビス[4-(メトキシカルボニル)フェニル]などが挙げられる。
 なお、この活性エステル樹脂は、比誘電率および誘電正接を低下させて、低誘電特性を有する電子部品を得るのに好適である。
 このような熱硬化成分や硬化剤等は、これらを構成成分とする熱硬化性樹脂組成物の用途、例えば電子部品の層間絶縁材料などの絶縁材料の要求特性に応じて、適宜慣用されている公知の組成で配合することが好ましい。
 本発明において、上記熱硬化成分を含む熱硬化性樹脂組成物としては、上記成分のほか、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム状粒子などの高分子樹脂、イミダゾール化合物やアミン化合物、ヒドラジン化合物、リン化合物、S-トリアジン誘導体などの硬化促進剤、難燃剤、着色剤、有機溶剤などの希釈剤、その他添加剤を含んでもよい。
 次に、光硬化性成分としては、光照射により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキシド誘導体のモノまたはジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリジジルエーテルの(メタ)アクリレート類;およびメラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
 上記光硬化性成分は、必要に応じて、ラジカル、塩基および酸のいずれか1種を発生する光反応開始剤と共に使用される。この光反応開始剤としては、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製,IRGACURE819)等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製,DAROCUR TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。以上の光反応開始剤は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 このような光硬化成分や光反応開始剤等は、これらを構成成分とする光硬化性樹脂組成物の用途、例えば電子部品の層間絶縁材料などの絶縁材料の要求特性に応じて、適宜慣用されている公知の組成で配合することが好ましい。
 本発明において、上記光硬化成分を含む光硬化性樹脂組成物としては、上記成分のほか、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム状粒子などの高分子樹脂、増感剤、難燃剤、着色剤、有機溶剤などの希釈剤、その他添加剤を含んでもよい。
 また、本発明の硬化性樹脂組成物をアルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型のフォトソルダーレジスト組成物として使用する場合には、上述した熱硬化成分と光硬化成分に加えてさらにカルボキシル基含有樹脂を使用することが好ましい。
(カルボキシル基含有樹脂)
 カルボキシル基含有樹脂としては、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂、および、感光性の不飽和二重結合を有しないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能であり、特定のものに限定されるものではない。カルボキシル基含有樹脂としては、特には、以下に列挙する樹脂を好適に使用することができる。
(1)不飽和カルボン酸と不飽和二重結合を有する化合物との共重合によって得られるカルボキシル基含有樹脂、および、それを変性して分子量や酸価を調整したカルボキシル基含有樹脂。
(2)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合樹脂に1分子中にオキシラン環とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(3)1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基および不飽和二重結合を有する化合物と不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に不飽和モノカルボン酸を反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(4)水酸基含有ポリマーに飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、この反応により生成したカルボン酸に1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基および不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる感光性の水酸基およびカルボキシル基含有樹脂。
(5)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基の一部または全部に多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(6)多官能エポキシ化合物と、1分子中に2個以上の水酸基およびエポキシ基と反応する水酸基以外の1個の反応基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)フェノール性水酸基をもつ樹脂とアルキレンオキシドまたは環状カーボネートとの反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)多官能エポキシ化合物と、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基および1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して多塩基酸無水物の無水物基を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
 このカルボキシル基含有樹脂は、この樹脂を構成成分とするソルダーレジスト組成物等のアルカリ現像型の硬化性樹脂組成物で慣用されている公知の組成で配合することが好ましい。
 以上説明したような本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに、その用途に応じて、慣用の他の配合成分を適宜配合することが可能である。慣用の他の配合成分としては、例えば前述したように、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム状粒子などの高分子樹脂、硬化促進剤、増感剤、難燃剤、着色剤、有機溶剤などの希釈剤、その他添加剤、具体的には消泡剤・レベリング剤、チクソトロピー付与剤・増粘剤、カップリング剤、分散剤等の公知慣用の添加剤などが挙げられる。
 特に、着色剤としては、赤、青、緑、黄などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減および人体への影響の観点から、ハロゲンを含有しないことが好ましい。
 赤色着色剤:
 赤色着色剤としては、モノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などが挙げられる。
 青色着色剤、緑色着色剤:
 青色着色剤や緑色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、カラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。その他、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
 黄色着色剤:
 黄色着色剤としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系などが挙げられる。
 その他、色調を調整する目的で、紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
 着色剤の具体的な配合比率は、用いる着色剤の種類や他の添加剤等の種類によって、適宜調整することができる。
 有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよび上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等を挙げることができる。
 以上説明したような成分を含む本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いてもよく、液状としてそのまま用いてもよい。なお、液状として用いる場合は、1液型でも2液型以上でもよい。
 また、本発明の硬化性樹脂組成物は、ガラスクロス、ガラスおよびアラミドの不織布等のシート状繊維質基材に塗工ないし含浸させて半硬化させた、いわゆるプリプレグとして用いることもできる。
 本発明のドライフィルムは、フィルム(支持フィルム)上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。
 ここで、ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、フィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、40~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、3~150μm、好ましくは5~60μmの範囲で適宜選択される。
 上記フィルム(支持フィルム)としては、樹脂フィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。このフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。より好ましくは15~130μmの範囲である。
 このようにして本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成したフィルムに対し、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、樹脂層表面に、剥離可能なフィルム(保護フィルム)をさらに積層することが好ましい。
 この剥離可能なフィルムとしては、剥離する際に樹脂層との接着力が樹脂層と支持フィルムとの接着力よりも小さいものであればよく、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。
 本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムにおける樹脂層を、硬化してなるものである。このような本発明の硬化物は、絶縁信頼性が要求されるソルダーレジストや層間絶縁材料、穴埋め材料等の電子部品材料として好適に用いることができる。
 本発明の電子部品は、上記本発明の硬化物を備えるものであり、具体的には、プリント配線板等が挙げられる。特には、層間絶縁材として上記本発明の硬化性樹脂組成物を用いた多層プリント配線板とすることで、良好な層間の絶縁信頼性を有するものとすることができる。
<第二~第五の目的に関する微細粉体および微細粉体以外のフィラーを除く他の配合成分>
 本発明の第一の態様において、第二~第五の目的に関する微細粉体および微細粉体以外のフィラーを除く他の配合成分としては、以下のとおりである。
 本発明の第二の目的に関し、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂として、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも1種を有する環状エーテル化合物を含むことが好ましい。
 このように、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも一種を有する環状エーテル化合物を用いることで、積層構造の電子部品とした場合において、層間マイグレーションを抑制することができ、これにより良好な層間の絶縁信頼性を得ることができる。特に、デスミア処理により粗面化した絶縁層の表面ではマイグレーションが起きやすいことから、このような場合でも層間の絶縁信頼性を確保しやすい点で、本発明は有用である。
 また、微細粉体を配合することによる熱膨張性の低下効果は、微細粉体の中でも親水性のものが顕著に発現する。このような微細粉体は、光学的・電気的・磁気的性質への量子効果が大きいため、反応性や電気的性質などの物性が変化し、予期できない変化が起こりうる。今回のような積層構造の電子部品とした場合に、層間の絶縁信頼性に劣るのは、このためであると考えられる。微細粉体が、例えば、微細セルロース繊維のような親水性の粒子である場合には、特に層間のマイグレーションが悪くなる。この点については、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも一種を有する環状エーテル化合物を用いることで解決できる。
[ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも1種を有する環状エーテル化合物]
 ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物は、ナフタレン骨格またはナフタレン骨格に由来する構造を有し、かつ、環状エーテルを有する化合物である。ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物は特に限定されないが、1分子中に2以上の環状エーテルをもつものが好ましい。この環状エーテルは、環状チオエーテルでもよい。
 市販品としては、エピクロンHP-4032、HP-4032D、HP-4700、HP-4770、HP-5000(いずれもDIC(株)製)、NC-7000L、NC-7300L、NC-7700L(いずれも日本化薬(株)製)、ZX-1355、ESN-155、ESN-185V、ESN-175、ESN-355、ESN-375、ESN-475V、ESN-485(いずれも新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
 アントラセン骨格をもつ環状エーテル化合物は、アントラセン骨格またはアントラセン骨格に由来する構造を有し、かつ、環状エーテルを有する化合物である。アントラセン骨格をもつ環状エーテル化合物は特に限定されないが、1分子中に2以上の環状エーテルをもつものが好ましい。この環状エーテルは、環状チオエーテルでもよい。
 市販品としては、YX-8800(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
 ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも1種を有する環状エーテル化合物の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好ましくは0.5質量%以上80質量%以下、より好ましくは1質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上30質量%以下である。上記環状エーテル化合物の配合量が0.5質量%以上の場合、微細セルロース繊維に起因する層間の絶縁信頼性の低下を防止することができる。一方、80質量%以下の場合、硬化性が向上する。
 本発明において、上記ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも1種を有する環状エーテル化合物は、硬化性樹脂としての機能を有し、ナフタレン骨格を有する環状エーテル化合物と、アントラセン骨格を有する環状エーテル化合物とを、それぞれ単独で用いても、併用してもよい。
 本発明においては、さらに、所望に応じ、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも1種を有する環状エーテル化合物以外の熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの硬化性樹脂を併用することができる。
 本発明の第三の目的に関し、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂として、ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
 このように、ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を用いることで、比誘電率および誘電正接を低下させて、低誘電特性を有する電子部品を得ることができる。一方で、微細粉体を用いることで、硬化物とめっき銅との密着性を確保でき、高精細な回路形成を可能とすることができる。
 また、本発明に用いる微細粉体は、めっき銅との密着性が低いジシクロペンタジエン骨格をもつ硬化性樹脂と配合することにより、かかる硬化性樹脂を含む組成物の硬化物は、非常に高いめっき銅との密着性が得られるようになる。また、この効果は、ジシクロペンタジエン骨格に由来する誘電特性を低下させることなく得られる。
[ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂]
 ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物は、ジシクロペンタジエン骨格またはジシクロペンタジエン骨格に由来する構造を有し、かつ、環状エーテルを有する化合物である。ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物は特に限定されないが、1分子中に2以上の環状エーテルをもつものが好ましい。この環状エーテルは、環状チオエーテルでもよい。
 市販品としては、エピクロンHP-7200、HP-7200H、HP-7200L(いずれもDIC(株)製)、XD-1000-1L、XD-1000-2L(いずれも日本化薬(株)製)、Tactix558、Tactix756(いずれもHuntsman Advanced Materials社製)などが挙げられる。
 ジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格またはジシクロペンタジエン骨格に由来する構造を有し、かつ、フェノール性水酸基を有する化合物である。ジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂は特に限定されないが、1分子中に2以上のフェノール性水酸基をもつものが好ましい。市販品としては、レヂトップGDP-6085、レヂトップGDP-6095LR、レヂトップGDP-6095HR、レヂトップGDP-6115L、レヂトップGDP-6115H、レヂトップGDP-6140(いずれも群栄化学工業社製)、J-DPP-95、J-DPP-115(いずれもJFEケミカル社製)などが挙げられる。
 ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好ましくは0.5質量%以上80質量%以下、より好ましくは1質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上30質量%以下である。ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の配合量が0.5質量%以上の場合、低誘電特性を良好に得ることができる。一方、80質量%以下の場合、硬化性が向上する。
 本発明において、上記ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種は、硬化性樹脂としての機能を有し、ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物と、ジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂とを、それぞれ単独で用いても、併用してもよい。
 本発明においては、さらに、所望に応じ、ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以外の熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの硬化性樹脂を併用することができる。
 本発明の第四の目的に関し、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂として、フェノキシ樹脂を含むことが好ましい。
 このように、フェノキシ樹脂と微細粉体とを用いることで、デスミア工程において短時間でスミアを除去することが可能となり、硬化物の表面粗さを小さく抑えることができるので、高周波を効率よく伝送することが可能となる。一方で、表面粗さが小さくても硬化物とめっき銅との密着性も確保できるので、高精細な回路形成が可能となる。
 また、本発明に係る微細粉体を用いることにより、かかる微細粉体を含む組成物の硬化物は、スミアを容易に除去することが可能となり、かつ硬化物の表面粗さを小さく抑えつつ、めっき銅との密着性も確保できるようになる。この効果は、後述するフェノキシ樹脂との組み合わせにより発現する。また、この効果は、微細粉体の中でも親水性のものが顕著に発現する。
[フェノキシ樹脂]
 フェノキシ樹脂は、一般的にはビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成される。使用されるビスフェノール類は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビフェニル型、ビスフェノールアセトフェノン型、フルオレン型、トリメチルシクロヘキサン型、テルペン型などがあり、さらにこれらの2種以上の共重合型もある。フェノキシ樹脂は特に限定されないが、光硬化性組成物とする場合には末端エポキシタイプが望ましい。市販品としては、1256、4250、4275、YX8100、YX6954、YL7213、YL7290、YL7482(いずれも三菱化学(株)製)、FX280、FX293、YP50、YP50S、YP55、YP70、YPB-43C(いずれも新日鐵住金化学(株)製)、PKHB、PKHC、PKHH、PKHJ、PKFE、PKHP-200、PKCP-80(いずれもInChem社製)等が挙げられる。
 フェノキシ樹脂の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。フェノキシ樹脂の配合量が0.1質量%以上の場合、微細粉体に起因するスミアの除去性と導体の密着性が向上する。一方、50質量部以下の場合、硬化性が向上する。
 本発明においては、さらに、所望に応じ、フェノキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの硬化性樹脂を併用することができる。
 本発明の第五の目的に関し、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂として、ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
 このように、ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を用いることで、硬化物上にめっき銅をベタ状に形成した場合において、部品実装等の熱履歴でめっき銅に膨れが発生することを抑制できる。
 また、微細粉体を配合することによる熱膨張性の低下効果は、微細粉体の中でも親水性のものが顕著に発現する。一方で、微細粉体が、例えば、微細セルロース繊維のような親水性の粒子である場合には、特に前述したベタ状のめっき銅における高温での膨れが生じやすいと考えられるので、本発明の適用が有用である。
[ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種]
 ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物は、ビフェニル骨格またはビフェニル骨格に由来する構造を有し、かつ、環状エーテルを有する化合物である。ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物は特に限定されないが、1分子中に2以上の環状エーテルをもつものが好ましい。この環状エーテルは、環状チオエーテルでもよい。
 市販品としては、NC-3000H、NC-3000L、NC-3100(いずれも日本化薬(株)製)、YX-4000、YX4000H、YL-6121(いずれも三菱化学(株)製)、デナコールEX-412(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
 ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好ましくは0.5質量%以上80質量%以下、より好ましくは1質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上30質量%以下である。上記化合物の配合量が0.5質量%以上の場合、微細粒子に起因するめっき銅のふくれを防止することができる。一方、80質量%以下の場合、硬化性が向上する。
 ビフェニル骨格をもつフェノール樹脂は、ビフェニル骨格またはビフェニル骨格に由来する構造を有し、かつ、フェノール性水酸基を有する化合物である。ビフェニル骨格をもつフェノール樹脂は特に限定されないが、1分子中に2以上のフェノール性水酸基をもつものが好ましい。市販品としては、GPH-65、GPH-103(日本化薬(株)製)、MEH-7851SS、MEH-7851M、MEH-7851-4H、MEH-7851-3H(明和化成(株)製)、HE200(エア・ウォーター(株)製)などが挙げられる。
 ビフェニル骨格をもつフェノール樹脂の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好ましくは0.5質量%以上60質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上20質量%以下である。上記化合物の配合量が0.5質量%以上の場合、微細粒子に起因するめっき銅のふくれを防止することができる。一方、60質量%以下の場合、硬化性が向上する。
 本発明において、上記ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種は、硬化性樹脂としての機能を有し、ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物と、ビフェニル骨格をもつフェノール樹脂とを、それぞれ単独で用いても、併用してもよい。
 本発明においては、さらに、所望に応じ、ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以外の熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの硬化性樹脂を併用することができる。
(熱硬化性樹脂)
 熱硬化性樹脂としては、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル-1,3-ジグリシジルエーテル、ビフェニル-4,4’-ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油などで変性した油変性レゾールフェノール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、尿素(ユリア)樹脂、メラミン樹脂などのトリアジン環含有樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、ノルボルネン系樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、熱硬化性ポリイミド、ジシクロペンタジエニルジフェノールエステル化合物、ビスフェノールAジアセテート、フタル酸ジフェニル、テレフタル酸ジフェニル、テレフタル酸ビス[4-(メトキシカルボニル)フェニル]などの活性エステル化合物等が挙げられる。中でも、活性エステル化合物を用いると、高温領域での熱膨張を低減させることができ、低い熱膨張率を良好に確保できるので、好ましい。
(光硬化性樹脂(ラジカル重合))
 かかる光硬化性樹脂としては、活性エネルギー線照射により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、特に、分子中に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく用いられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知慣用の光重合性オリゴマーおよび光重合性ビニルモノマー等が用いられる。 
 光重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル系オリゴマー、(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
 光重合性ビニルモノマーとしては、公知慣用のもの、例えば、スチレン、クロロスチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルまたは安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルイソブチルエーテル、ビニル-n-ブチルエーテル、ビニル-t-ブチルエーテル、ビニル-n-アミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル-n-オクタデシルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどのアリル化合物;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート、;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート類;トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートなどのイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
(光硬化性樹脂(カチオン重合))
 かかる光硬化性樹脂としては、脂環エポキシ化合物、オキセタン化合物およびビニルエーテル化合物等を好適に用いることができる。このうち脂環エポキシ化合物としては、3,4,3’,4’-ジエポキシビシクロヘキシル、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)-1,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)メタン、1-[1,1-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)]エチルベンゼン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル)メチル-3’,4’-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン-1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステル、シクロヘキセンオキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアルコール、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有する脂環エポキシ化合物などが挙げられる。市販品としては、例えば、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2000、セロキサイド2021、セロキサイド3000、EHPE3150;三井化学(株)製のエポミックVG-3101;油化シェルエポキシ(株)製のE-1031S;三菱ガス化学(株)製のTETRAD―X、TETRAD-C;日本曹達(株)製のEPB-13、EPB-27などが挙げられる。
 オキセタン化合物としては、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体などの多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等のオキセタン化合物が挙げられる。市販品としては、例えば、宇部興産(株)製のエタナコールOXBP、OXMA、OXBP、EHO、キシリレンビスオキセタン、東亞合成(株)製のアロンオキセタンOXT-101、OXT-201、OXT-211、OXT-221、OXT-212、OXT-610、PNOX-1009等が挙げられる。
 ビニルエーテル化合物としては、イソソルバイトジビニルエーテル、オキサノルボルネンジビニルエーテル等の環状エーテル型ビニルエーテル(オキシラン環、オキセタン環、オキソラン環等の環状エーテル基を有するビニルエーテル);フェニルビニルエーテル等のアリールビニルエーテル;n-ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル;ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル、αおよび/またはβ位にアルキル基、アリル基等の置換基を有するビニルエーテル化合物などが挙げられる。市販品としては、例えば、丸善石油化学(株)製の2-ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)、ジエチレングリコールモノビニルエーテル(DEGV)、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。
 また、本発明の硬化性樹脂組成物をアルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型のフォトソルダーレジストとして使用する場合には、カルボキシル基含有樹脂を使用することも好ましい。
(カルボキシル基含有樹脂)
 カルボキシル基含有樹脂としては、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂、および、感光性の不飽和二重結合を有しないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能であり、特定のものに限定されるものではない。カルボキシル基含有樹脂としては、特には、以下に列挙する樹脂を好適に使用することができる。
(1)不飽和カルボン酸と不飽和二重結合を有する化合物との共重合によって得られるカルボキシル基含有樹脂、および、それを変性して分子量や酸価を調整したカルボキシル基含有樹脂。
(2)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合樹脂に1分子中にオキシラン環とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(3)1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基および不飽和二重結合を有する化合物と不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に不飽和モノカルボン酸を反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(4)水酸基含有ポリマーに飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、この反応により生成したカルボン酸に1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基および不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる感光性の水酸基およびカルボキシル基含有樹脂。
(5)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基の一部または全部に多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(6)多官能エポキシ化合物と、1分子中に2個以上の水酸基およびエポキシ基と反応する水酸基以外の1個の反応基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)フェノール性水酸基をもつ樹脂とアルキレンオキシドまたは環状カーボネートとの反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)多官能エポキシ化合物と、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基および1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して多塩基酸無水物の無水物基を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
[フィラー]
 本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに、微細粉体以外のフィラーを含有させることが好ましい。フィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。これらのフィラーの中でも、比重が小さく、組成物中に高い割合で配合可能であり、低熱膨張性に優れる点から、シリカ、中でも、球状シリカが好ましい。フィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、1μm以下が更に好ましい。なお、フィラーの平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
 フィラーの配合量は、溶剤を除く組成物の全体量のうち、1~90質量%、好ましくは2~80質量%、より好ましくは5~75質量%である。フィラーの配合量を上記範囲内とすることで、硬化後の硬化物の塗膜性能を良好に確保することができる。
 本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに、その用途に応じて、慣用の他の配合成分を適宜配合することが可能である。慣用の他の配合成分としては、例えば、硬化触媒、光重合開始剤、着色剤、有機溶剤などが挙げられる。
 硬化触媒としては、フェノール化合物;イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物などが挙げられる。また、市販品としては、例えば、2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(四国化成工業(株)製)、U-CAT3503N、U-CAT3502T、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(サンアプロ(株)製)などが挙げられ、単独で、または2種以上を混合して使用してもかまわない。また同様に、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。
 本発明においては、中でも、フェノール化合物が好ましく用いられる。フェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、トリアジン構造含有ノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、コプナ樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類等のフェノール化合物、ナフタレン系硬化剤、フルオレン系硬化剤など公知慣用のものを、単独で、または、2種類以上組み合わせて使用することができる。上記フェノール化合物としては、エア・ウォーター(株)製のHE-610C、620C、DIC(株)製のTD-2131、TD-2106、TD-2093、TD-2091、TD-2090、VH-4150、VH-4170、KH-6021、KA-1160、KA-1163、KA-1165、TD-2093-60M、TD-2090-60M、LF-6161、LF-4871、LA-7052、LA-7054、LA-7751、LA-1356、LA-3018-50P、EXB-9854、新日鉄住金化学(株)製のSN-170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395、JX日鉱日石エネルギー(株)製のDPP、明和化成(株)製のHF-1M、HF-3M、HF-4M、H-4、DL-92、MEH-7500、MEH-7600-4H、MEH-7800、MEH-7851、MEH-7851-4H、MEH-8000H、MEH-8005、三井化学(株)製のXL、XLC、RN、RS、RX等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのフェノール化合物は、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
 本発明に用いられる硬化触媒の配合量は、通常用いられる割合で十分であり、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、フェノール化合物の場合は、1~150質量部、好ましくは5~100質量部、より好ましくは10~50質量部であり、その他の硬化触媒の場合は、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部、より好ましくは0.1~3質量部である。
 光重合開始剤は、硬化性樹脂のうち、光硬化性樹脂を硬化させるためのものであり、光ラジカル重合開始剤でもよく、光カチオン重合開始剤でもよい。
 光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアミノアルキルフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリーブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;又はキサントン類;(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル-2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド類;各種パーオキサイド類、チタノセン系開始剤などが挙げられる。これらは、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光増感剤等と併用してもよい。
 光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、ブロモニウム塩、クロロニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩;トリス(トリハロメチル)-s-トリアジン及びその誘導体等のハロゲン化化合物;スルホン酸の2-ニトロベンジルエステル;イミノスルホナート;1-オキソ-2-ジアゾナフトキノン-4-スルホナート誘導体;N-ヒドロキシイミド=スルホナート;トリ(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン誘導体;ビススルホニルジアゾメタン類;スルホニルカルボニルアルカン類;スルホニルカルボニルジアゾメタン類;ジスルホン化合物等が挙げられる。
 これらの光重合開始剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
 光重合開始剤の配合量は、固形分換算で、光硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、0.05~10質量部、好ましくは0.1~8質量部、より好ましくは0.3~6質量部である。光重合開始剤をこの範囲で配合することで、銅上での光硬化性が十分となり、塗膜の硬化性が良好となり、耐薬品性等の塗膜特性が向上し、また、深部硬化性も向上する。
 着色剤としては、赤、青、緑、黄などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減および人体への影響の観点から、ハロゲンを含有しないことが好ましい。
 青色着色剤:
 青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる:Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60。
 染料系としては、Solvent Blue 35、Solvent Blue 63、Solvent Blue 68、Solvent Blue 70、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Blue 122、Solvent Blue 136、Solvent Blue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
 緑色着色剤:
 緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系があり、具体的にはPigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5、Solvent Green 20、Solvent Green 28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
 黄色着色剤:
 黄色着色剤としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、具体的には以下のものが挙げられる。
 アントラキノン系:Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202。
 イソインドリノン系:Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185。
 縮合アゾ系:Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166、Pigment Yellow 180。
 ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181。
 モノアゾ系:Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183。
 ジスアゾ系:Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198。
 赤色着色剤:
 赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。
 モノアゾ系:Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269。
 ジスアゾ系:Pigment Red 37,38,41。
 モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68。
 ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208。
 ぺリレン系:Solvent Red 135、Solvent Red 179、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 166、Pigment Red 178、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 194、Pigment Red 224。
 ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Red 270、Pigment Red 272。
 縮合アゾ系:Pigment Red 220、Pigment Red 144、Pigment Red 166、Pigment Red 214、Pigment Red 220、Pigment Red 221、Pigment Red 242。
 アンスラキノン系:Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solvent Red 52、Solvent Red 207。
 キナクリドン系:Pigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209。
 その他、色調を調整する目的で、紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
 具体的に例示すれば、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等がある。
 着色剤の具体的な配合比率は、用いる着色剤の種類や他の添加剤等の種類によって、適宜調整することができる。
 有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよび上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等を挙げることができる。
 また、必要に応じて、消泡剤・レベリング剤、チクソトロピー付与剤・増粘剤、カップリング剤、分散剤、難燃剤等の公知慣用の添加剤を含有させることができる。
 本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても、液状として用いてもよい。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、ガラスクロス、ガラスおよびアラミドの不織布等のシート状繊維質基材に塗工ないし含浸させて半硬化させた、プリプレグとして用いることもできる。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。2液性組成物としては、例えば、微細セルロース繊維と、ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物およびアントラセン骨格をもつ環状エーテル化合物からなる群より選択される少なくとも1種、ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種、フェノキシ樹脂、または、ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種とを、分けた組成物としてもよい。
 本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、40~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、3~150μm、好ましくは5~60μmの範囲で適宜選択される。
 キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。より好ましくは15~130μmの範囲である。
 キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、樹脂層の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層との間の接着力が、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
 なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
 本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムにおける樹脂層を、硬化してなるものである。
 本発明の電子部品は、上記本発明の硬化物を備えるものであり、具体的には、プリント配線板等が挙げられる。本発明の硬化物は、層間の絶縁信頼性を要求される電子部品において、好適に使用することができる。特には、層間絶縁材として上記本発明の硬化性樹脂組成物を用いた多層プリント配線板とすることで、良好な層間の絶縁信頼性を有するものとすることができる。
 図2-1(図3-1,図4-1,図5-1)に、本発明の電子部品の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図を示す。図示する多層プリント配線板は、例えば、以下のように製造することができる。まず、導体パターン1が形成されたコア基板2に貫通穴を形成する。貫通穴の形成は、ドリルや金型パンチ、レーザー光など適切な手段によって行うことができる。その後、粗化剤を用いて粗化処理を行う。一般に、粗化処理は、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、メトキシプロパノール等の有機溶剤、または苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ性水溶液等で膨潤させ、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を用いて行われる。
 次に、無電解めっきや電解めっきの組合せ等により、導体パターン3を形成する。無電解めっきにより導体層を形成する工程は、めっき用触媒を含む水溶液に浸漬し、触媒の吸着を行った後、めっき液に浸漬してめっきを析出させるという工程である。常法(サブトラクティブ法、セミアデティブ法等)に従って、コア基板2の表面の導体層に所定の回路パターンを形成し、図示するように、両側に導体パターン3を形成する。このとき、貫通穴にもめっき層が形成され、その結果、上記多層プリント配線板の導体パターン3のコネクション部4と導体パターン1のコネクション部1aとの間は電気的に接続されることになり、スルーホール5が形成される。
 次に、スクリーン印刷法やスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等の適切な方法により、例えば、熱硬化性組成物を塗布した後、加熱硬化させ、層間絶縁層6を形成する。ドライフィルムまたはプリプレグを用いる場合には、ラミネートもしくは熱板プレスして加熱硬化させ、層間絶縁層6を形成する。次に、各導体層のコネクション部間を電気的に接続するためのビア7を、例えば、レーザー光など適切な手段によって形成し、上記導体パターン3と同様の方法で導体パターン8を形成する。さらに、同様の方法で層間絶縁層9、ビア10および導体パターン11を形成する。その後、最外層にソルダーレジスト層12を形成することで、多層プリント配線板が製造される。上記においては、積層基板上に層間絶縁層および導体層を形成する例について説明したが、積層基板の代わりに片面基板、または、両面基板を用いてもよい。
<<本発明の第二の態様>>
 本発明の第二の態様の硬化性樹脂組成物は、(A)少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体と、(B)熱硬化性成分と、を含むことを特徴とする。
 このような本発明の第二の態様の特徴的構成によれば、凹部および貫通孔の少なくとも一方を有するプリント配線板において、部品実装時の高温加熱においても樹脂充填剤で充填したビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔上の導体パッドやビアホール等の配線に膨らみが生じることはないという本発明特有の効果を発揮し得るのである。
 この高温加熱での配線の膨らみについては、その詳細なメカニズムは明らかではないが、銅で形成されたビアホールやスルーホールと、樹脂充填剤の高温時での熱膨張係数の差が大きいことが原因であると考えられる。
 一般的には、樹脂のような有機物を金属に近い熱膨張係数まで小さくさせるために、無機フィラーを多量に配合する方法が知られている。この方法によれば、確かに常温近傍の熱膨張係数を金属に近くすることが可能であるが、部品実装のような高温加熱時では、フィラーを多量に含有していても依然として熱膨張係数が金属よりはるかに大きくなる。このため、樹脂充填剤は高温加熱時に例えば貫通孔の上下に膨張すると考えられる。また、膨張を抑えているスルーホールの壁面やビアホールの底部は圧力が加わるため断線等の信頼性低下も発生する。
 この点、本発明によれば、微細セルロース繊維のような微細粉体を樹脂充填剤に分散させているので、微細粉体同士がお互いに引き合うようなインタラクションをとることによって補強効果が発現し、高温加熱時においても熱膨張係数の上昇を抑制でき、その結果、高温加熱での配線の膨らみが生じないという特有の効果が得られると考えられる。
 また、このような本発明の第二の態様の特徴的構成によれば、凹部および貫通孔の少なくとも一方を有するプリント配線板の製造方法において、凹部や貫通孔に充填した硬化性樹脂組成物の硬化時に、フィラー成分の希薄な樹脂組成物の滲み出しがないという本発明特有の効果を発揮し得るのである。
 この硬化時のフィラー成分の希薄な樹脂成分の滲みについては、その詳細なメカニズムは明らかではないが、粘度を調整するために樹脂成分として液状のものが必ず使用されることに起因していると考えられる。ビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔に充填される樹脂充填剤は揮発成分である溶剤を極力使用しないことが望ましく、このような液状の樹脂成分を使用した場合、硬化させるために加熱すると、硬化反応が起こる前に粘度が下がり、毛細管現象により銅箔のプロファイルに沿って樹脂成分が滲み出すと考えられる。
 この点、本発明の第二の態様によれば、微細セルロース繊維のような微細粉体を樹脂充填剤に分散させているので、上述した前記微細粉体同士のインタラクションによって補強効果が発現し、高温加熱されても静置時の粘度が保持されるため、樹脂成分が銅箔に滲み出す前に硬化が先行するという特有の効果が得られると考えられる。
 また、このような本発明の特徴的構成によれば、凹部および貫通孔の少なくとも一方を有するプリント配線板において、凹部や貫通孔に充填した硬化性樹脂組成物の硬化後の研磨工程において、平滑化のための過剰な研磨による穴部等のへこみが生じないという本発明特有の効果を発揮し得るのである。
 この研磨工程における凹部や貫通孔のへこみについては、その詳細なメカニズムは明らかではないが、樹脂充填剤はビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔に完全に充填されるように使用されるため、例えば貫通孔周辺と貫通孔上部にもはみ出すように充填し(図7-4(a))、熱硬化させた後、研磨工程で、不要部分をバフロール等で削り落とす。しかしながら、このような熱硬化させた樹脂充填剤は圧力をかけると変形してしまうために削り残しが生じやすい(図7-4(b))。この際、研磨の条件を厳しくして削り残しが無いように研磨すると、樹脂充填剤を削り過ぎてしまうため、貫通孔部にへこみが生じる(図7-4(c))と考えられる。
 この点、本発明の第二の態様によれば、微細セルロース繊維のような微細粉体を樹脂充填剤に分散させているので、上述した微細粉体同士のインタラクションによって補強効果が発現し、樹脂の強度が増すため、加圧変形が小さくなり、均一に研磨することが可能になるという特有の効果が得られると考えられる。
 以下、本発明の第二の態様の実施の形態について、詳細に説明する。
[(A)微細粉体]
 本発明の第二の態様に用いる微細粉体としては、第一の態様で説明したのと同様のものを用いることができる。このような微細粉体を用いることにより、かかる微細粉体を含む硬化性樹脂組成物を穴部等充填用の樹脂充填剤として用いると、微細粉体同士がお互いに引き合うようなインタラクションをとることによって補強効果が発現することで、上記のとおり、高温加熱後の膨らみや樹脂成分の滲み出しも生じにくく、研磨工程においても穴部等に充填した充填剤のへこみが生じにくい硬化物を形成できるようになる。また、この効果は、微細粉体の中でも親水性のものが顕著に発現する。
[(B)熱硬化性成分]
 熱硬化性成分は特に限定されないが、1分子中に2以上の環状エーテルをもつ化合物が好ましい。この環状エーテルは、環状チオエーテルでもよい。環状エーテル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このような環状エーテル化合物の中でも、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。
 前記エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル-1,3-ジグリシジルエーテル、ビフェニル-4,4’-ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
 本発明の硬化性樹脂組成物としては、エポキシ樹脂として、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂を混合させることにより、微細セルロース繊維のような微細粉体の分散性を向上させることができる。具体的には、微細粉体の分散体を製造した場合には流動性が上がり、低粘度化ができるため、作業性が向上するとともに組成物の粘度も下がるため、容易に無溶剤で微細粉体を混合ないし配合することができる。
 アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、キシレンジアミンのグリシジル化合物、トリグリシジルアミノフェノールや、グリシジルアニリンのそれぞれの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体が挙げられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの市販品としては、例えば、スミエポキシELM434、(住友化学(株)製)、アラルダイトMY720、MY721、MY9512、MY9612、MY9634、MY9663(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、JER604(三菱化学(株)製)が挙げられる。トリグリシジルアミノフェノールの市販品としては、例えば、JER630(三菱化学(株)製)、アラルダイトMY0500、MY0510(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、ELM100(住友化学(株)製)が挙げられる。グリシジルアニリン類の市販品としては、例えば、GAN、GOT(日本化薬(株)製)が挙げられる。
 また本発明の硬化性樹脂組成物としては、微細セルロース繊維のような微細粉体を混合ないし配合して低粘度にすると耐熱性の低下がみられ、これを改善するために耐熱性を向上させる成分を配合すると高粘度化する傾向が生じるが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂を併用して配合することにより係る問題が解消される。
 また、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのようなアルキルグリシジルエーテルは、粘度が低いため、組成物の粘度が高いときに、希釈剤や粘度調整として使用することが望ましい。
 本発明においては、(B)熱硬化性成分として、所望に応じ、環状エーテル化合物以外のその他の熱硬化性樹脂を用いてもよい。環状エーテル化合物以外の熱硬化性樹脂としては、加熱により硬化する樹脂であればよく、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油などで変性した油変性レゾールフェノール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、尿素(ユリア)樹脂、メラミン樹脂などのトリアジン環含有樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、ノルボルネン系樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、熱硬化性ポリイミド、ジシクロペンタジエニルジフェノールエステル化合物、ビスフェノールAジアセテート、フタル酸ジフェニル、テレフタル酸ジフェニル、テレフタル酸ビス[4-(メトキシカルボニル)フェニル]などの活性エステル化合物等が挙げられる。
 (B)熱硬化性成分の配合量は、組成物の全体量に対し10~70質量%であることが好ましい。10質量%以上であると印刷等の作業性に優れる。70質量%以下であるとより低熱膨張となる。より好ましくは20~60質量%である。
[硬化剤]
 本発明の硬化性樹脂組成物は、所望に応じ、硬化剤を用いることが好ましい。
 本発明の硬化剤としては、例えば、イミダゾール化合物を用いることができる。イミダゾール化合物としては、例えば、2-メチルイミダゾール、4-メチル-2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール等のイミダゾール誘導体を挙げることができる。
 また、イミダゾール化合物として、トリアジン構造を含むイミダゾール化合物も挙げられる。トリアジン構造を含むイミダゾール化合物としては、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-S-トリアジン等を挙げることができる。これらの市販品の例としては、2MZ-A、2MZ-AP、2MZA-PW、C11Z-A、2E4MZ-A(四国化成工業(株)製)等が挙げられる。
 イミダゾール化合物の中でも、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-S-トリアジンが好ましい。これにより硬化性樹脂組成物の保存安定性に優れ、短時間硬化でクラックの発生のない硬化物が得られる。
 硬化剤として、イミダゾール化合物以外の化合物を用いてもよく、例えば、ジシアンジアミドとその誘導体、メラミンとその誘導体、ジアミノマレオニトリルとその誘導体、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラメチレンペンタミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエタノールアミン、ジアミノジフェニルメタン、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の有機酸ヒドラジド等のアミン類、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、又は、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物、フェノール化合物等を用いてもよい。また、市販品としては、例えば、2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(四国化成工業(株)製)、ATU(味の素(株)製)、U-CAT3503N、U-CAT3502T、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(サンアプロ(株)製)などが挙げられる。ジシアンジアミド、メラミンや、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、3,9-ビス[2-(3,5-ジアミノ-2,4,6-トリアザフェニル)エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のグアナミン及びその誘導体、及びこれらの有機酸塩やエポキシアダクトなどは、銅との密着性や防錆性を有することが知られており、エポキシ樹脂の硬化剤として働くばかりでなく、プリント配線板の銅の変色防止に寄与することができる。
 上記フェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、トリアジン構造含有ノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、コプナ樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類等のフェノール化合物、ナフタレン系硬化剤、フルオレン系硬化剤など公知慣用のものを、単独で、または、2種類以上組み合わせて使用することができる。上記フェノール化合物としては、エア・ウォーター(株)製のHE-610C、620C、DIC(株)製のTD-2131、TD-2106、TD-2093、TD-2091、TD-2090、VH-4150、VH-4170、KH-6021、KA-1160、KA-1163、KA-1165、TD-2093-60M、TD-2090-60M、LF-6161、LF-4871、LA-7052、LA-7054、LA-7751、LA-1356、LA-3018-50P、EXB-9854、新日鉄住金化学(株)製のSN-170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395、JX日鉱日石エネルギー(株)製のDPP、明和化成(株)製のHF-1M、HF-3M、HF-4M、H-4、DL-92、MEH-7500、MEH-7600-4H、MEH-7800、MEH-7851、MEH-7851-4H、MEH-8000H、MEH-8005、三井化学(株)製のXL、XLC、RN、RS、RX等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
 硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化剤の配合量は、熱硬化性成分に対して公知慣用の配合量でよく、例えば、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01~10質量部とすることが好ましい。ただし、硬化剤がフェノール化合物の場合には、エポキシ樹脂100質量部に対して、1~150質量部とすることが好ましい。
[(C)ホウ酸エステル化合物]
 本発明の硬化性樹脂組成物は、ホウ酸エステル化合物を含有することができる。ホウ酸エステル化合物は、樹脂組成物の保存安定性をより向上させる作用があるため使用することが望ましい。ホウ酸エステル化合物は、潜在性硬化促進剤の表面と反応して、潜在性硬化剤の表面を修飾してカプセル化することによって、このような作用を発揮すると考えられる。ホウ酸エステル化合物としては、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ-n-プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ-n-ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2-エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10-テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13-ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7-トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ-o-トリルボレート、トリ-m-トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等を挙げることができる。これらは試薬として購入が可能である。また、市販品としては、エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂との配合品であるキュアダクトL-07N、L-07E(四国化成工業(株)製)があげられる。
 ホウ酸エステル化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ホウ酸エステル化合物の配合量は、熱硬化性成分100質量部に対して、0.01~3質量部とすることが好ましい。0.01質量部以上だと保存安定性が良好となる。3質量部以下だと硬化性が良好となる。
[(D)フィラー]
 本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、前記(A)微細粉体以外のフィラーを含有することができる。前記(A)微細粉体以外のフィラーとしては、本発明の硬化性樹脂組成物の要求特性に応じて、適宜慣用されている公知のものであれば、有機フィラーも無機フィラーも用いることができるが、無機フィラーを用いることがより好ましい。
 無機フィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉、ノイブルグ珪土、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。無機フィラーの中でも、炭酸カルシウムが好ましい。
 フィラーの形状は、球状、針状、板状、鱗片状、中空状、不定形、六角状、キュービック状、薄片状等が挙げられるが、高充填性の点からは球状が好ましい。
 フィラーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フィラーの配合量は、組成物の全体量に対し、好ましくは10~70質量%、より好ましくは20~60質量%である。10質量%以上だと、印刷等の作業性に優れる。70質量%以下だと、より低熱膨張となる。
[その他の成分]
 本発明の硬化性樹脂組成物では、必ずしも有機溶剤を用いる必要はないが、組成物の粘度を調整すること等を目的として、ボイドが発生しない程度に有機溶剤を添加してもよい。
 さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、保管時の保存安定性を付与するためにハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、クレー、カオリン、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤もしくはチキソトロピー剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤などの密着性付与剤、光重合開始剤、分散剤、難燃剤のような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
 本発明の硬化性樹脂組成物は、1液性でも2液性以上でもよい。
 以上のようにして得られる本発明の硬化性樹脂組成物は、従来より使用されている方法、例えばスクリーン印刷法、ロールコーティング法、ダイコーティング法等を利用してプリント配線板のビアホールやスルーホール等のホール部に容易に充填することができる。
 このため、本発明の硬化性樹脂組成物の粘度は、25±1℃で100~1000dPa・sの範囲、さらに200~900dPa・s、特に300~800dPa・sにあることが好ましい。このような範囲にすることにより、ホール部の充填が容易に、且つ、ボイド等の発生なく良好に凹部や貫通孔に充填することができる。
 また、本発明の硬化性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。Tgが150℃以上の場合、剥離(デラミ)の発生を抑えることができる。
 本発明の硬化物は、上記本発明の第二の態様の硬化性樹脂組成物を硬化してなるものである。
 本発明のプリント配線板は、凹部および貫通孔の少なくとも一方が本発明の第二の態様の硬化性樹脂組成物の硬化物で充填されているものである。
 以下、配線板に設けたビアホールやスルーホールなどの凹部や貫通孔に本発明の硬化性樹脂組成物を充填し、その上にパッドや配線を形成するプリント配線板の製造方法の一例を、図7-1を参照しつつ説明する。
(1)穴埋め
 まず、図7-1(a)に示すような、基材102にスルーホール103および導体回路層104を形成した配線基板101に設けたスルーホール103(コア基材として多層プリント配線板を用いる場合には、スルーホールの他にさらにビアホール等の凹部)に、図7-1(b)に示すように本発明の硬化性樹脂組成物を充填する。例えば、スルーホール部分に開口を設けたマスクを基板上に載置し、印刷法或いはドット印刷法等により、スルーホール内に充填する。
 ここで、配線基板101としては、銅箔をラミネートしたガラスエポキシ基材、あるいはポリイミド樹脂基材、ビスマレイミド-トリアジン樹脂基材、フッ素樹脂基材等の樹脂基材、セラミック基材、金属基材等の基材102にドリルで貫通孔を開け、貫通孔の壁面及び銅箔表面に無電解めっきあるいはさらに電解めっきを施して、スルーホール103および導体回路層104を形成したものを好適に用いることができる。めっきとしては銅めっきが一般に用いられる。
(2)研磨
 次に、充填した硬化性樹脂組成物を、約90~130℃で約30~90分程度加熱して予備硬化させる。このようにして予備硬化された硬化物105の硬度は比較的に低いため、基板表面からはみ出している不必要部分を物理研磨により容易に除去でき、平坦面とすることができる。その後、再度約140~180℃で約30~90分程度加熱して本硬化(仕上げ硬化)する。
 なお、ここでいう「予備硬化」又は「予備硬化物」とは、一般に、エポキシの反応率が80%~97%の状態のものをいう。また、上記予備硬化物の硬度は、予備硬化の加熱時間、加熱温度を変えることによってコントロールすることができる。その後、図7-1(c)に示すように、スルーホールからはみ出した本硬化物105の不要部分を研磨により除去して平坦化する。研磨は、ベルトサンダー、バフ研磨等により行なうことができる。
(3)導体回路層の形成
 スルーホールの穴埋めを行なった基板の表面に、図7-1(d)に示すようにめっき膜を形成する。その後、エッチングレジストを形成し、レジスト非形成部分をエッチングする(図示なし)。次いで、エッチングレジストを剥離することにより、図7-1(e)に示すように、導体回路層106を形成する。
 以上説明したように、本発明の硬化性樹脂組成物は、図7-1に示したようなプリント配線板に設けられたスルーホールの樹脂充填剤として、さらには図7-2や図7-3に示すような多層プリント配線板に設けられたスルーホールやビアホールの樹脂充填剤として好適に用いることができるが、これらの用途に限定されるものではなく、例えば封止材等の用途にも用いることができる。
 以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<第一実施例>
[繊維状の微細セルロース粉体の調製]
製造例1(CNF1)
 針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維(フレッチャーチャレンジカナダ社製 Machenzie CSF650ml)を9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO(ALDRICH社製 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル)1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボHJP-2 5005)を用いて245MPaで微細化処理を2回行い、カルボキシル基含有微細セルロース粉体の分散液(固形分濃度1.3質量%)を得た。
 次に、得られたカルボキシル基含有微細セルロース粉体の分散液4088.75gをビーカーに入れ、イオン交換水4085gを加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温下(25℃)、30分攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温下、1時間反応させた。反応終了後、アセトンで再沈し、ろ過し、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。最後にアセトンを加えてろ過し、アセトンにカルボキシル基含有微細セルロース粉体が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース粉体の分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。アセトンで溶媒置換した後、DMFで溶媒置換し、カルボキシル基含有微細セルロース粉体が膨潤した状態のDMF含有酸型セルロース粉体の分散液(平均繊維径3.3nm、固形分濃度5.0質量%)を得た。
製造例2(CNF2)
 製造例1で得られたDMF含有酸型セルロース粉体の分散液40gとヘキシルアミン0.3gをマグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに入れ、エタノール300gで溶解させた。反応液を室温(25℃)で6時間反応させた。反応終了後ろ過し、DMFで洗浄および溶媒置換することで、微細セルロース粉体にアミンがイオン結合を介して連結した微細セルロース粉体の分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。
 この製造例2の方法で製造したCNF2は特に分散性が良好であり、高圧ホモジナイザー等の特殊な分散機を使用しなくても、一般的な方法で分散が可能となる。
製造例3(CNF3)
 繊維状の微細セルロース粉体(スギノマシン社製 BiNFi-s、平均繊維径80nm)10質量%を脱水濾過し、濾物質量の10倍量のカルビトールアセテートを加えて、30分間攪拌した後に濾過した。この置換操作を3回繰返して、濾物質量の20倍量のカルビトールアセテートを加え、微細セルロース粉体の分散液(固形分濃度5.0質量%)を作製した。
[セルロースナノクリスタル粒子の調製]  
製造例4(CNC1)
 乾燥した針葉樹晒クラフトパルプの抄上げシートをカッターミルおよびピンミルで処理し、綿状の繊維にした。この綿状の繊維を絶対乾燥質量で100g取り、64%硫酸水溶液2Lに懸濁させ、45℃で45分間加水分解させた。
 これにより得られた懸濁液を濾過した後、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させて分散液を得た。次いで、当該分散液に対して濾過脱水する工程を3回繰り返し、脱水シートを得た。次いで、得られた脱水シートを10Lのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pH12程度とした。その後、この懸濁液を濾過脱水して、10Lのイオン交換水を添加し、撹拌して濾過脱水する工程を2回繰り返した。
 次いで、得られた脱水シートにイオン交換水を添加し、2%懸濁液を調製した。この懸濁液を、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて10回パスさせセルロースナノクリスタル粒子水分散液を得た。 
 その後、アセトンで溶媒置換した後、DMFで溶媒置換し、セルロースナノクリスタル粒子が膨潤した状態のDMF分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。得られた分散液中のセルロースナノクリスタル粒子をAFMにて観察し測定した結果、平均結晶幅は10nm、平均結晶長は200nmであった。
製造例5(CNC2)
 製造例4のセルロース原料を脱脂綿(白十字社製)に変更した以外は同一の方法で製造し、セルロースナノクリスタル粒子が膨潤した状態のDMF分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。得られた分散液中のセルロースナノクリスタル粒子をAFMにて観察し測定した結果、平均結晶幅は7nm、平均結晶長は150nmであった。
(実施例1-1~1-15、比較例1-1~1-8)
 下記の表1~3中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表1~3中の数値は、質量部を示す。
 実施例および比較例で得られた各組成物について、熱膨張率、はんだ耐熱性、絶縁性、靱性(伸び率)を評価した。評価方法は、以下の通りである。
[熱膨張率]
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔から剥がして、各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルを、3mm幅×30mm長にカットし、熱膨張率測定用試験片とした。この試験片について、ティー・エイ・インスツルメント社製TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、20~250℃まで5℃/分で昇温し、次いで、250~20℃まで5℃/分で降温し、熱膨張率α1とα2(ppm/K)を測定した。これらの測定結果を表1~3に併せて示す。
[はんだ耐熱性]
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面塗布し、熱風循環式乾燥炉にて80℃で30分間乾燥させ、次いで180℃で30分間加熱硬化して、各組成物の硬化物からなる樹脂層を形成した試験基板を得た。この試験基板の樹脂層表面にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、次いでエタノールで洗浄した。洗浄後の試験基板について、目視にて樹脂層のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察してはんだ耐熱性を評価した。評価基準は、樹脂層にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○とした。この評価結果を表1~3に併せて示す。
[絶縁性]
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした(図1-4の点線部で切断)。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるように、DC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定し、評価した。
 評価基準は、絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。この評価結果を表1~3に併せて示す。
[靱性]
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ200μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で20分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。次に、光沢面を上向きにした厚さ18μmの電解銅箔を厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板上にテープにて固定し、前記ドライフィルムを、真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層を前記電解銅箔上にラミネートし、次いで、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃で30分間加熱して樹脂層を硬化させた。そして、固定したテープをはがしてさらに電解銅箔をはがして樹脂層からなるフィルムサンプルを得た。次に、JIS K7127に準拠し、上記フィルムサンプルを所定の大きさに裁断して評価用試験片を作製した。この試験片について、島津製作所製小型卓上試験機EZ-SXを用い、引っ張り速度10mm/分にて応力[MPa]と歪み[%]を測定した。この時の歪み[%]は、試験片が破断した時の伸び率であり、大きいほど靭性が高いと評価できるため、この歪み[%]から靭性を評価した。
 評価基準は、歪み[%]が2.0%未満のものを×、2.0%以上のものを〇とした。この評価結果を表1~3に併せて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
*1-1)熱硬化性樹脂1-1:エピクロンHP-4032 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*1-2)熱硬化性樹脂1-2:NC-7300L 日本化薬(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*1-3)熱硬化性樹脂1-3:YX-8800 三菱化学(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(アントラセン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*1-4)熱硬化性樹脂1-4:エピクロンHP-7200 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*1-5)熱硬化性樹脂1-5:NC-3000H 日本化薬(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物)
*1-6)熱硬化性樹脂1-6:YX-4000 三菱化学(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物)
*1-7)熱硬化性樹脂1-7:エピクロンN-740 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス
*1-8)熱硬化性樹脂1-8:エピクロン830 DIC(株)製
*1-9)熱硬化性樹脂1-9:JER827 三菱化学(株)製
*1-10)フェノキシ樹脂1-1:YX6954 三菱化学(株)製 固形分30質量%のシクロヘキサノンワニス
*1-11)硬化剤1-1:HF-1 明和化成(株)製 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス
*1-12)硬化剤1-2:ビスフェノールAジアセテート 東京化成工業(株)製 (活性エステル)
*1-13)硬化触媒1-1:2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
*1-14)フィラー1-1:アドマファインSO-C2 (株)アドマテックス製(シリカ)
*1-15)有機溶剤1-1:ジメチルホルムアミド
*1-16)消泡剤1-1:BYK-352 ビックケミー・ジャパン(株)製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
*1-17)フィラー1-2:B-30 堺化学工業(株)製 硫酸バリウム
*1-18)フィラー1-3:DAW-07 デンカ(株)製 アルミナ
*1-19)分散剤1-1:DISPERBYK-111 ビックケミー社製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表1~3に記載した結果から明らかなように、微細セルロース紛体と、微細セルロース紛体以外のフィラーを併用することにより、常温のみならず部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持でき、かつ靱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができることが確認された。また、はんだ耐熱性の評価結果からは、実施例の各組成物が耐熱性や耐薬品性に優れ、配線板用組成物として使用できることが確かめられた。さらに、硬化剤として活性エステルを用いることにより、比誘電率および誘電正接を低下させることが確認できた。
<第二実施例>
 微細セルロース繊維CNF1~CNF3およびセルロースナノクリスタル粒子CNC1,CNC2としては、第一実施例と同様の製造例1~5のものを用いた。
合成例1(ワニス1)
 攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた2リットルセパラブルフラスコに、溶媒としてのジエチレングリコールジメチルエーテル900g、および、重合開始剤としてのt-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名;パーブチルO)21.4gを加えて、90℃に加熱した。加熱後、ここに、メタクリル酸309.9g、メタクリル酸メチル116.4g、および、ラクトン変性2-ヒドロキシエチルメタクリレート((株)ダイセル製、商品名;プラクセルFM1)109.8gを、重合開始剤であるビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(日油(株)製、商品名;パーロイルTCP)21.4gとともに3時間かけて滴下して加えた。さらに、これを6時間熟成することにより、カルボキシル基含有共重合樹脂を得た。なお、これらの反応は、窒素雰囲気下で行った。
 次に、得られたカルボキシル基含有共重合樹脂に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート((株)ダイセル製、商品名;サイクロマーA200)363.9g、開環触媒としてのジメチルベンジルアミン3.6g、重合抑制剤としてのハイドロキノンモノメチルエーテル1.80gを加え、100℃に加熱し、これを攪拌することにより、エポキシの開環付加反応を行った。16時間後、固形分の酸価が108.9mgKOH/g、質量平均分子量が25,000のカルボキシル基含有樹脂を53.8質量%(不揮発分)含む溶液を得た。
合成例2(ワニス2)
 温度計、攪拌機、滴下ロートおよび還流冷却器を備えたフラスコに、溶媒としてのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、および、触媒としてのアゾビスイソブチロニトリルを入れ、窒素雰囲気下、これを80℃に加熱し、メタアクリル酸とメチルメタアクリレートとを0.40:0.60のモル比で混合したモノマーを約2時間かけて滴下した。さらに、これを1時間攪拌した後、温度を115℃にまで上げ、失活させて樹脂溶液を得た。
 この樹脂溶液を冷却後、これを触媒として臭化テトラブチルアンモニウムを用い、95~105℃で30時間の条件で、ブチルグリシジルエーテルを0.40のモル比で、得られた樹脂のカルボキシル基の等量と付加反応させ、冷却した。
 さらに、上記で得られた樹脂のOH基に対して、95~105℃で8時間の条件で、無水テトラヒドロフタル酸を0.26のモル比で付加反応させた。これを、冷却後に取り出して、固形分の酸価が78.1mgKOH/g、質量平均分子量が35,000のカルボキシル基含有樹脂を50質量%(不揮発分)含む溶液を得た。
合成例3(ワニス3)
 温度計、攪拌器、滴下ロートおよび還流冷却器を備えたフラスコに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製、エピクロンN-680、エポキシ当量=210)210gと、溶媒としてのカルビトールアセテート96.4gとを加え、加熱溶解させた。続いて、これに、重合禁止剤としてのハイドロキノン0.1g、および、反応触媒としてのトリフェニルホスフィン2.0gを加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72gを徐々に滴下し、酸価が3.0mgKOH/g以下となるまで、約16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃にまで冷却した後、テトラヒドロフタル酸無水物76.1gを加え、赤外吸光分析により、酸無水物の吸収ピーク(1780cm-1)がなくなるまで、約6時間反応させた。この反応溶液に、出光興産(株)製の芳香族系溶剤イプゾール#150を96.4g加え、希釈した後に取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有の感光性ポリマー溶液は、不揮発分が65質量%、固形分の酸価が78mgKOH/gであった。
 下記の表4~12中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表4~12中の数値は、質量部を示す。
[層間絶縁信頼性]
(熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表4~6に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上(図2-2中の矢印で示す部分:図の下部の櫛形パターンの右側)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅厚み25μmの銅めっき処理を施した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間アニール処理を行い、銅めっき処理を施した試験基板を得た。そして、直径1cmの円に成形した耐酸テープをAクーポンの中央になるように銅めっき上に貼り、40℃40質量%塩化第二鉄水溶液で、樹脂硬化物上の耐酸テープ部分以外の銅めっきをエッチングで取り除いた。このときの試験基板は、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に各組成物の硬化物が塗膜として形成され、その上に直径1cmの円形の銅めっきが形成された状態である(図2-3を参照)。次に、円形の銅めっきに糸はんだとはんだごてにて電線を付け、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARDの配線にも同様に電線を付けて、円形を陽極、配線を陰極とし、3.3Vの電圧を印加して130℃85%の環境下で200時間の試験を行った。試験片は各組成物について10個作製した。この際に絶縁抵抗を常時測定し、1×10Ω以下になった時点でNGとした。試験終了までに全数NGが無かったものを◎、1~4個NGのものを○、5~9個NGのものを△、全数NGとなったものを×と評価した。評価結果を表4~6に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表7~12に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅厚み25μmの銅めっき処理を施した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間アニール処理を行い、銅めっき処理を施した試験基板を得た。そして、直径1cmの円に成形した耐酸テープをAクーポンの中央になるように銅めっき上に貼り、40℃40質量%塩化第二鉄水溶液で、樹脂硬化物上の耐酸テープ部分以外の銅めっきをエッチングで取り除いた。次に、円形の銅めっきに糸はんだとはんだごてにて電線を付け、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARDの配線にも同様に電線を付けて、円形を陽極、配線を陰極とし、3.3Vの電圧を印加して130℃85%の環境下で200時間の試験を行った。試験片は各組成物について10個作製した。この際に絶縁抵抗を常時測定し、1×10Ω以下になった時点でNGとした。試験終了までに全数NGが無かったものを◎、1~4個NGのものを○、5~9個NGのものを△、全数NGとなったものを×と評価した。評価結果を表7~12に示す。
[くし型電極絶縁信頼性]
(熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表4~6に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次にIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした(図2-4の点線部で切断)。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるように50Vの電圧を印加して130℃85%の環境下で200時間の試験を行った。試験片は各組成物について10個作製した。この際に絶縁抵抗を常時測定し、1×10Ω以下になった時点でNGとした。試験終了までに全数NGが無かったものを◎、1~4個NGのものを○、5~9個NGのものを△、全数NGとなったものを×と評価した。評価結果を表4~6に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表7~12に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるように50Vの電圧を印加して130℃85%の環境下で200時間の試験を行った。試験片は各組成物について10個作製した。この際に絶縁抵抗を常時測定し、1×10Ω以下になった時点でNGとした。試験終了までに全数NGが無かったものを◎、1~4個NGのものを○、5~9個NGのものを△、全数NGとなったものを×と評価した。評価結果を表7~12に示す。
[はんだ耐熱性]
(熱硬化性組成物)
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、次いで180℃30分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片について、目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表4~6に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光し、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片を目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表7~12に示す。
[熱膨張測定用サンプルの作製]
(熱硬化性樹脂組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表4~6に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔を剥がして硬化膜のサンプルを得た。
(光硬化性熱硬化性樹脂組成物)
 厚さ18μmの銅箔を厚さ1.6mmのFR-4銅張積層板に張り付け、ギャップ120μmのアプリケーターで表7~12に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させた。その後、3mm幅×30mm長のパターンが付いたネガマスクを密着させ、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて露光した。次に、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させ、銅箔を剥がして硬化膜のサンプルを得た。
[熱膨張率の測定]
(熱硬化性樹脂組成物)
 作製した熱膨張測定用サンプルを、3mm幅×30mm長にカットした。この試験片を、ティー・エイ・インスツルメント社製 TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、20~250℃まで5℃/分で昇温し、次いで、250~20℃まで5℃/分で降温して測定した。降温時における30℃から100℃の平均熱膨張率α1および200℃から230℃の平均熱膨張率α2を求めた。その結果を、表4~6に示す。
(光硬化性熱硬化性樹脂組成物)
 作製したサンプルをそのまま使用した以外は、熱硬化性樹脂組成物と同じ方法で行った。その結果を表7~12に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
*2-1)熱硬化性樹脂2-1:エピクロンHP-4032 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス (ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物) 
*2-2)熱硬化性樹脂2-2:NC-7300L 日本化薬(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス (ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*2-3)熱硬化性樹脂2-3:YX-8800 三菱化学(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス (アントラセン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*2-4)熱硬化性樹脂2-4:エピクロンN-740 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス
*2-5)熱硬化性樹脂2-5:エピクロン830 DIC(株)製
*2-6)熱硬化性樹脂2-6:JER827 三菱化学(株)製
*2-7)熱硬化性樹脂2-7:HF-1 明和化成(株)製 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス
*2-8)硬化触媒2-1:2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
*2-9)フィラー2-1:アドマファインSO-C2 (株)アドマテックス製(シリカ)
*2-10)有機溶剤2-1:ジメチルホルムアミド
*2-11)消泡剤2-1:BYK-352 ビックケミー・ジャパン(株)製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
*2-18)フィラー2-2:B-30 堺化学工業(株)製 硫酸バリウム
*2-19)フィラー2-3:DAW-07 デンカ(株)製 アルミナ
*2-20)分散剤2-1:DISPERBYK-111 ビックケミー社製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
*2-12)硬化触媒2-2:微粉砕メラミン 日産化学(株)製
*2-13)硬化触媒2-3:ジシアンジアミド
*2-14)光重合開始剤2-1:イルガキュア907 BASF(株)社製
*2-15)光硬化性樹脂2-1:ジペンタエリスリトルテトラアクリレート
*2-16)熱硬化性樹脂2-8:TEPIC-H(トリグリシジルイソシアヌレート) 日産化学(株)製
*2-17)着色剤2-1:フタロシアニンブルー
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 表4~12に記載した結果から明らかなように、微細セルロース繊維のような微細粉体と、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも一種を有する環状エーテル化合物とを含むものとすることで、層間や電極間の絶縁信頼性、特には層間の絶縁信頼性に優れ、低熱膨張率を有する硬化性樹脂組成物が得られることが確認された。また、はんだ耐熱性の評価結果からは、実施例の各組成物が耐熱性や耐薬品性に優れ、配線板用組成物として使用できることが確かめられた。
<第三実施例>
 微細セルロース繊維CNF1~CNF3およびセルロースナノクリスタル粒子CNC1,CNC2としては、第一実施例と同様の製造例1~5のものを用い、ワニス1~ワニス3としては、第二実施例と同様の合成例1~3のものを用いた。
 下記の表13~21中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表13~21中の数値は、質量部を示す。
[めっき銅のピール強度]
(熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表13~15に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅厚み25μmの銅めっき処理を施した。次に、熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間アニール処理を行い、銅めっき処理を施した試験基板を得た。試験基板を1cm幅、長さ7cm以上で切り出し、島津製作所製小型卓上試験機EZ-SXを使用し、90°プリントハクリ治具を用いて、90度の角度での剥離強度を求めた。評価は4.5N/m以上のものを○、2.5N/m以上4.5N/m未満のものを△、2.5N/m未満のものを×とした。その結果を表13~15に示す。なお、剥離強度は4.5N/m以上あれば、高精細な回路でも剥離の問題はないと考えられる。この基準は、かなり厳しい評価条件である。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表16~21に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅厚み25μmの銅めっき処理を施した。次に、熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間アニール処理を行い、銅めっき処理を施した試験基板を得た。試験基板を1cm幅、長さ7cm以上で切り出し、島津製作所製小型卓上試験機EZ-SXを使用し、90°プリントハクリ治具を用いて、90度の角度での剥離強度を求めた。評価は4.5N/m以上のものを○、2.5N/m以上4.5N/m未満のものを△、2.5N/m未満のものを×とした。その結果を表16~21に示す。
[はんだ耐熱性]
(熱硬化性組成物)
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、表13~15に示す各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、次いで180℃30分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片について、目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表13~15に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、表16~21に示す各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光し、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片を目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表16~21に示す。
[絶縁性]
(熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表13~15に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした(図3-2の点線部で切断)。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるように、DC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定した。評価は絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。結果を表13~15に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表16~21に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるようにDC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定した。評価は絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。結果を表16~21に示す。
[比誘電率、誘電正接]
(熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ200μmのアプリケーターで表13~15に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃20分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの電解銅箔を光沢面を上向きに、厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板にテープにて固定した基材に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。そして、固定したテープをはがして電解銅箔をはがし、1.7mm×100mmの大きさに切り出して評価用サンプルとした。測定は、関東電子応用開発社製空洞共振器(5GHz)を用い、キーサイト・テクノロジーズ社製ネットワークアナライザーE-507で行った。比誘電率の評価は3回測定した平均値が2.8未満のものを○、2.8以上3.0未満のものを△、3.0以上のものを×とした。誘電正接の評価は3回測定した平均値が0.02未満のものを○、0.02以上のものを×とした。それぞれの結果を表13~15に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ200μmのアプリケーターで表16~21に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの電解銅箔を光沢面を上向きに、厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板にテープにて固定した基材に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、1.7mm×100mmの開口マスクを用いて、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。そして、固定したテープをはがして電解銅箔をはがして評価用サンプルとした。測定は、関東電子応用開発社製空洞共振器(5GHz)を用い、キーサイト・テクノロジーズ社製ネットワークアナライザーE-507で行った。比誘電率の評価は3回測定した平均値が3.0未満のものを○、3.0以上3.2未満のものを△、3.2以上のものを×とした。誘電正接の評価は3回測定した平均値が0.02未満のものを○、0.02以上のものを×とした。それぞれの結果を表16~21に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
*3-1)熱硬化性樹脂3-1:エピクロンHP-7200 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物) 
*3-2)熱硬化性樹脂3-2:Tactix756 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*3-3)熱硬化性樹脂3-3:エピクロンN-740 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス
*3-4)熱硬化性樹脂3-4:エピクロン830 DIC(株)製
*3-5)熱硬化性樹脂3-5:JER827 三菱化学(株)製
*3-6)熱硬化性樹脂3-6:レヂトップGDP-6085 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス(ジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂)
*3-7)熱硬化性樹脂3-7:HF-1 明和化成(株)製 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス
*3-8)硬化触媒3-1:2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
*3-9)フィラー3-1:アドマファインSO-C2(株) アドマテックス製(シリカ)
*3-10)有機溶剤3-1:ジメチルホルムアミド
*3-11)消泡剤3-1:BYK-352 ビックケミー・ジャパン(株)製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
*3-18)フィラー3-2:B-30 堺化学工業(株)製 硫酸バリウム
*3-19)フィラー3-3:DAW-07 デンカ(株)製 アルミナ
*3-20)分散剤3-1:DISPERBYK-111 ビックケミー社製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
*3-12)硬化触媒3-2:微粉砕メラミン 日産化学(株)製
*3-13)硬化触媒3-3:ジシアンジアミド
*3-14)光重合開始剤3-1:イルガキュア907 BASF(株)社製
*3-15)光硬化性樹脂3-1:ジペンタエリスリトルテトラアクリレート
*3-16)熱硬化性樹脂3-8:TEPIC-H(トリグリシジルイソシアヌレート)日産化学(株)製
*3-17)着色剤3-1:フタロシアニンブルー
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000019
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
 表13~21に記載した結果から明らかなように、微細セルロース繊維のような微細粉体と、ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種とを含むものとすることで、絶縁信頼性に優れ、低誘電特性を有するとともに、硬化物とめっき銅との密着性が良好な硬化性樹脂組成物が得られることが確認された。また、はんだ耐熱性の評価結果からは、実施例の各組成物が耐熱性や耐薬品性に優れ、配線板用組成物として使用できることが確かめられた。
<第四実施例>
 微細セルロース繊維CNF1~CNF3およびセルロースナノクリスタル粒子CNC1,CNC2としては、第一実施例と同様の製造例1~5のものを用い、ワニス1~ワニス3としては、第二実施例と同様の合成例1~3のものを用いた。
 下記の表22~30中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表22~30中の数値は、質量部を示す。
[はんだ耐熱性]
(熱硬化性組成物)
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、表22~25に示す各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、次いで180℃30分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片について、目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表22~25に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、表26~30に示す各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光し、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片を目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表26~30に示す。
[絶縁性]
(熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表22~25に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした(図4-2の点線部で切断)。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるように、DC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定した。評価は絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。結果を表22~25に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表26~30に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるようにDC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定した。評価は絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。結果を表26~30に示す。
[スミアの除去性]
(熱硬化性樹脂組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表22~25に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させて試験片を得た。
 試験片に炭酸ガスレーザー穴あけ機LC-2K212(日立ビアメカニクス(株)製)にてビーム径100μmで穴をあけた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)を行った。デスミアの標準工程は膨潤工程(60℃5分)、過マンガン酸エッチング工程(80℃20分)、中和工程(40℃5分)の順であるが、過マンガン酸エッチング工程において、10分、15分、20分の3段階に割り振って試験を行った。
 そして、穴あけ部分を走査型電子顕微鏡JSM-6610LV(日本電子(株)製)にて倍率3500倍で観察し、銅表面のスミアの有無を確認した。評価は10分間の過マンガン酸エッチングでスミアが無くなったものを○、15分間でスミアが無くなったものを△、20分間でようやくスミアが無くなったものを×とした。結果を表22~25に示す。
(光硬化性熱硬化性樹脂組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表26~30に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。硬化させて試験片を得た。
 試験片に炭酸ガスレーザー穴あけ機LC-2K212(日立ビアメカニクス(株)製)にてビーム径100μmで穴をあけた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)を用いて、過マンガン酸エッチング工程において、10分、15分、20分の3段階に割り振って試験を行った。
 そして、穴あけ部分を走査型電子顕微鏡JSM-6610LV(日本電子(株)製)にて倍率3500倍で観察し、銅表面のスミアの有無を確認した。評価は10分間の過マンガン酸エッチングでスミアが無くなったものを○、15分間でスミアが無くなったものを△、20分間でようやくスミアが無くなったものを×とした。結果を表26~30に示す。
[ピール強度およびRaの測定]
(熱硬化性樹脂組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表22~25に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)を用いて、過マンガン酸エッチング工程の時間を実施例は10分のみ、比較例は10分、20分と2段階のサンプルを作製した。サンプルの表面の粗さ測定として、光干渉顕微鏡Contour GT(BRUKER社製)を用いてRa(算術平均粗さ)を測定した。Raとは算術平均粗さを示し、断面曲線の中心に線を引き、中心線によって得られた曲線上の総面積を長さで割った値であり、値が大きいほど粗度が大きく、値が小さいほど平滑性が高い。なお、RaはJIS B0031:2003に規定されている。結果を表22~25に示す。
 次に、デスミアまで終了した試験片に、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅厚み25μmの銅めっき処理を施した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間アニール処理を行い、銅めっき処理を施した試験基板を得た。試験基板を1cm幅、長さ7cm以上で切り出し、島津製作所製小型卓上試験機EZ-SXを使用し、90°プリントハクリ治具を用いて、90度の角度での剥離強度を求めた。評価は4.5N/m以上のものを○、2.5N/m以上4.5N/m未満のものを△、2.5N/m未満のものを×とした。その結果を表22~25に示す。
(光硬化性熱硬化性樹脂組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表26~30に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)を用いて、過マンガン酸エッチング工程の時間を実施例は10分のみ、比較例は10分、20分と2段階のサンプルを作製した。サンプルの表面の粗さ測定として、光干渉顕微鏡ContourGT(BRUKER社製)を用いてRaを測定した。結果を表26~30に示す。
 次に、デスミアまで終了した試験片に、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅厚み25μmの銅めっき処理を施した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間アニール処理を行い、銅めっき処理を施した試験基板を得た。試験基板を1cm幅、長さ7cm以上で切り出し、島津製作所製小型卓上試験機EZ-SXを使用し、90°プリントハクリ治具を用いて、90度の角度での剥離強度を求めた。評価は4.5N/m以上のものを○、2.5N/m以上4.5N/m未満のものを△、2.5N/m未満のものを×とした。その結果を表26~30に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
*4-1)フェノキシ樹脂4-1:YX6954 三菱化学(株)製 固形分30質量%のシクロヘキサノンワニス
*4-2)フェノキシ樹脂4-2:1256 三菱化学(株)製 固形分30質量%のシクロヘキサノンワニス
*4-3)フェノキシ樹脂4-3:4250 三菱化学(株)製 固形分30質量%のシクロヘキサノンワニス
*4-4)熱硬化性樹脂4-1:エピクロンN-740 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス
*4-5)熱硬化性樹脂4-2:エピクロン830 DIC(株)製
*4-6)熱硬化性樹脂4-3:JER827 三菱化学(株)製
*4-7)熱硬化性樹脂4-4:HF-1 明和化成(株)製 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス
*4-8)硬化触媒4-1:2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
*4-9)フィラー4-1:アドマファインSO-C2 (株)アドマテックス製(シリカ)
*4-10)有機溶剤4-1:ジメチルホルムアミド
*4-11)消泡剤4-1:BYK-352 ビックケミー・ジャパン(株)製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000023
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000024
*4-18)フィラー4-2:B-30 堺化学工業(株)製 硫酸バリウム
*4-19)フィラー4-3:DAW-07 デンカ(株)製 アルミナ
*4-20)分散剤4-1:DISPERBYK-111 ビックケミー社製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000025
*4-12)硬化触媒4-2:微粉砕メラミン 日産化学(株)製
*4-13)硬化触媒4-3:ジシアンジアミド
*4-14)光重合開始剤4-1:イルガキュア907 BASF(株)社製
*4-15)光硬化性樹脂4-1:ジペンタエリスリトルテトラアクリレート
*4-16)熱硬化性樹脂4-5:TEPIC-H(トリグリシジルイソシアヌレート) 日産化学(株)製
*4-17)着色剤4-1:フタロシアニンブルー
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000026
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000027
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000028
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000029
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000030
 表22~30に記載した結果から明らかなように、微細セルロース繊維のような微細粉体と、フェノキシ樹脂とを含むものとすることで、デスミア工程でレーザー加工によるスミアの除去が可能であるとともに、高周波伝送に有利な小さな表面粗さを有しつつ、ピール強度にも優れた硬化性樹脂組成物が得られることが確認された。また、はんだ耐熱性の評価結果からは、実施例の各組成物が耐熱性や耐薬品性に優れ、配線板用組成物として使用できることが確かめられた。
<第五実施例>
 微細セルロース繊維CNF1~CNF3およびセルロースナノクリスタル粒子CNC1,CNC2としては、第一実施例と同様の製造例1~5のものを用い、ワニス1~ワニス3としては、第二実施例と同様の合成例1~3のものを用いた。
 下記の表31~39中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表31~39中の数値は、質量部を示す。
[めっき銅の膨れ]
(熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表31~33に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅厚み25μmの銅めっき処理を施した。次に、熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間アニール処理を行い、銅めっき処理を施した試験基板を得た。そして、ピーク温度265℃のリフロー炉に3回通したのち、めっき銅の膨れを目視で評価した。試験基板10枚中全く膨れが無かったものを○、試験基板10枚中1枚以内の膨れが見られたものを△、試験基板10枚中2枚以上に膨れが見られたものを×とした。結果を表31~33に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表34~39に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。次に、過マンガン酸デスミア(ATOTECH社製)、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅厚み25μmの銅めっき処理を施した。次に、熱風循環式乾燥炉にて190℃で60分間アニール処理を行い、銅めっき処理を施した試験基板を得た。そして、ピーク温度265℃のリフロー炉に3回通したのち、めっき銅の膨れを目視で評価した。試験基板10枚中全く膨れが無かったものを○、試験基板10枚中1枚以内の膨れが見られたものを△、試験基板10枚中2枚以上に膨れが見られたものを×とした。結果を表34~39に示す。
[はんだ耐熱性]
(熱硬化性組成物)
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、表31~33に示す各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、次いで180℃30分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片について、目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表31~33に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、表34~39に示す各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光し、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片を目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表34~39に示す。
[絶縁性]
(熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表31~33に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした(図5-2の点線部で切断)。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるように、DC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定した。評価は絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。結果を表31~33に示す。
(光硬化性熱硬化性組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表34~39に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて全面露光してからPETフィルムを剥がし、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるようにDC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定した。評価は絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。結果を表34~39に示す。
[熱膨張測定用サンプルの作製]
(熱硬化性樹脂組成物)
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで表31~33に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔を剥がして硬化膜のサンプルを得た。
(光硬化性熱硬化性樹脂組成物)
 厚さ18μmの銅箔を厚さ1.6mmのFR-4銅張積層板に張り付け、ギャップ120μmのアプリケーターで表34~39に示す各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させた。その後、3mm幅×30mm長のパターンが付いたネガマスクを密着させ、プリント配線板用メタルハライドランプ露光機で700mJ/cmにて露光した。次に、30℃の1wt%NaCOの現像液を用いて、現像機で60秒間現像した。その後、熱風循環式乾燥炉にて150℃60分加熱して硬化させ、銅箔を剥がして硬化膜のサンプルを得た。
[熱膨張率の測定]
(熱硬化性樹脂組成物)
 作製した熱膨張測定用サンプルを、3mm幅×30mm長にカットした。この試験片を、ティー・エイ・インスツルメント社製 TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、20~250℃まで5℃/分で昇温し、次いで、250~20℃まで5℃/分で降温して測定した。降温時における30℃から100℃の平均熱膨張率α1および200℃から230℃の平均熱膨張率α2を求めた。また、値から評価を行った。α1は25ppm未満のものを○、35ppm未満のものを△、35ppm以上のものを×とした。α2は75ppm未満のものを○、95ppm未満のものを△、95ppm以上のものを×とした。その結果を、表31~33に示す。
(光硬化性熱硬化性樹脂組成物)
 作製したサンプルをそのまま使用した以外は、熱硬化性樹脂組成物と同じ方法で行った。その結果を表34~39に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000031
*5-1)熱硬化性樹脂5-1:NC-3000H 日本化薬(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス (ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物) 
*5-2)熱硬化性樹脂5-2:YX-4000 三菱化学(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス (ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物)
*5-3)熱硬化性樹脂5-3:エピクロンN-740 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス
*5-4)熱硬化性樹脂5-4:エピクロン830 DIC(株)製
*5-5)熱硬化性樹脂5-5:JER827 三菱化学(株)製
*5-6)熱硬化性樹脂5-6:GPH-103 日本化薬(株)製 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス (ビフェニル骨格をもつフェノール樹脂)
*5-7)熱硬化性樹脂5-7:HF-1 明和化成(株)製 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス
*5-8)硬化触媒5-1:2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
*5-9)フィラー5-1:アドマファインSO-C2 (株)アドマテックス製 (シリカ)
*5-10)有機溶剤5-1:ジメチルホルムアミド
*5-11)消泡剤5-1:BYK-352 ビックケミー・ジャパン(株)製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000032
*5-18)熱硬化性樹脂5-8:ビスフェノールAジアセテート 東京化成工業(株)製 (活性エステル化合物)
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000033
*5-19)フィラー5-2:B-30 堺化学工業(株)製 硫酸バリウム
*5-20)フィラー5-3:DAW-07 デンカ(株)製 アルミナ
*5-21)分散剤5-1:DISPERBYK-111 ビックケミー社製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000034
*5-12)硬化触媒5-2:微粉砕メラミン 日産化学(株)製
*5-13)硬化触媒5-3:ジシアンジアミド
*5-14)光重合開始剤5-1:イルガキュア907 BASF(株)社製
*5-15)光硬化性樹脂5-1:ジペンタエリスリトルテトラアクリレート
*5-16)熱硬化性樹脂5-9:TEPIC-H(トリグリシジルイソシアヌレート) 日産化学(株)製
*5-17)着色剤5-1:フタロシアニンブルー
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000035
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000036
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000037
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000038
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000039
 表31~39に記載した結果から明らかなように、微細セルロース繊維のような微細粉体と、ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種とを含むものとすることで、低熱膨張性であって、かつ、組成物の硬化物上にめっき銅をベタ状に形成した場合でも、熱履歴でめっき銅に膨れが発生しない硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物が得られることが確認された。また、はんだ耐熱性の評価結果からは、実施例の各組成物が耐熱性や耐薬品性に優れ、配線板用組成物として使用できることが確かめられた。
<第六実施例>
 セルロースナノクリスタル粒子CNC1,CNC2としては、第一実施例と同様の製造例4,5のものを用いた。
 下記の表40,41中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表40,41中の数値は、質量部を示す。
 実施例および比較例で得られた各組成物について、熱膨張率、耐熱性、絶縁性、靱性(伸び率)、ポットライフを評価した。評価方法は、以下の通りである。
[熱膨張率]
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔から剥がして、各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルを、3mm幅×30mm長にカットし、熱膨張率測定用試験片とした。この試験片について、ティー・エイ・インスツルメント社製TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、20~250℃まで5℃/分で昇温し、次いで、250~20℃まで5℃/分で降温し、熱膨張率α1とα2(ppm/K)を測定した。これらの測定結果を表40,41に併せて示す。
[耐熱性]
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔から剥がして、各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルを、メノウ製の乳鉢で粉砕したうえで、JIS-K-7120に準拠し、昇温速度10℃/min、窒素気流下にて測定したTG曲線より3重量%加熱重量減少温度を確認して評価した。評価基準は、3重量%加熱重量減少温度が300℃未満のものを×、300℃以上310℃未満のものを△、310℃以上のものを〇とした。
[絶縁性]
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした(図6-4の点線部で切断)。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるように、DC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定し、評価した。
 評価基準は、絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。この評価結果を表40,41に併せて示す。
[靱性]
 厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ200μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で20分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。次に、光沢面を上向きにした厚さ18μmの電解銅箔を厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板上にテープにて固定し、前記ドライフィルムを、真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層を前記電解銅箔上にラミネートし、次いで、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃で30分間加熱して樹脂層を硬化させた。そして、固定したテープをはがしてさらに電解銅箔をはがして樹脂層からなるフィルムサンプルを得た。次に、JIS K7127に準拠し、上記フィルムサンプルを所定の大きさに裁断して評価用試験片を作製した。この試験片について、島津製作所製小型卓上試験機EZ-SXを用い、引っ張り速度10mm/分にて応力[MPa]と歪み[%]を測定した。この時の歪み[%]は、試験片が破断した時の伸び率であり、大きいほど靭性が高いと評価できるため、この歪み[%]から靭性を評価した。
 評価基準は、歪み[%]が2.0%未満のものを×、2.0%以上のものを〇とした。この評価結果を表40,41に併せて示す。
[ポットライフ]
 各組成物の分散後の粘度を東機産業製コーンプレート型粘度計TPE-100-Hを用いて測定し初期粘度とした。その後、密閉できる容器にいれて23℃の温度下に放置し、48時間後と96時間後の粘度を測定して評価した。評価基準は、96時間後の粘度の増加率が30%以内のものを〇、48時間後の増加率が30%以内のものを△、48時間後の増加率が30%以上のものを×とした。×のものは可使用時間が短いため、一液状やフィルム状のものは低温保存から常温にした場合に早期に次工程を行わないと問題が発生する可能性があるが、〇のものは可使用時間が長いため、一液状でもフィルム状でも扱いやすいものとなる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000040
*6-1)熱硬化性樹脂6-1:エピクロンHP-4032 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*6-2)熱硬化性樹脂6-2:NC-7300L 日本化薬(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ナフタレン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*6-3)熱硬化性樹脂6-3:YX-8800 三菱化学(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(アントラセン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*6-4)熱硬化性樹脂6-4:エピクロンHP-7200 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*6-5)熱硬化性樹脂6-5:NC-3000H 日本化薬(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物)
*6-6)熱硬化性樹脂6-6:YX-4000 三菱化学(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス(ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物)
*6-7)熱硬化性樹脂6-7:エピクロンN-740 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス
*6-8)熱硬化性樹脂6-8:エピクロン830 DIC(株)製
*6-9)熱硬化性樹脂6-9:JER827 三菱化学(株)製
*6-10)フェノキシ樹脂6-1:YX6954 三菱化学(株)製 固形分30質量%のシクロヘキサノンワニス
*6-11)硬化剤6-1:HF-1 明和化成(株)製 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス
*6-12)硬化剤6-2:ビスフェノールAジアセテート 東京化成工業(株)製 (活性エステル)
*6-13)硬化触媒6-1:2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
*6-14)フィラー6-1:アドマファインSO-C2 (株)アドマテックス製(シリカ)
*6-15)有機溶剤6-1:ジメチルホルムアミド
*6-16)消泡剤6-1:BYK-352 ビックケミー・ジャパン(株)製
*6-17)セルロース粉:NPファイバー W-06MG(平均粒子径6μm)日本製紙製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000041
 表40,41に記載した結果から明らかなように、セルロースナノクリスタル粒子と、セルロースナノクリスタル粒子以外のフィラーを併用することにより、常温のみならず部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持しつつ、かつ靱性、耐熱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができ、ポットライフに優れる硬化性樹脂組成物を得られることが確認された。また、表40、表41に記載はないが、硬化剤として活性エステルを用いることにより、比誘電率および誘電正接を低下させることが確認できた。
<第七実施例>
[微細セルロース繊維の調製]
製造例6(CNF分散体1)
 針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維(フレッチャーチャレンジカナダ社製 Machenzie CSF650ml)を9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO(ALDRICH社製 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル)1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボHJP 2 5005)を用いて245MPaで微細化処理を2回行い、カルボキシル基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度1.3質量%)を得た。
 次に、得られたカルボキシル基含有微細セルロース繊維分散液4088.75gをビーカーに入れ、イオン交換水4085gを加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温下(25℃)、30分攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温下、1時間反応させた。反応終了後、アセトンで再沈し、ろ過、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。最後にアセトンを加えろ過し、アセトンにカルボキシル基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。そしてアセトンで溶媒置換して固形分を5.0質量%に調整した分散液を得た。次に、エピクロン830 DIC(株)製(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)250gとJER827 三菱化学(株)製(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)100gとELM100 住友化学工業(株)製(アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂:トリグリシジルアミノフェノール)250gと、前記アセトンで溶媒置換して固形分を5.0質量%に調整した分散液を1000g配合し、攪拌後にアセトンをエバポレーターで除去して、エポキシ樹脂含有酸型セルロース繊維分散体(平均繊維径3.3nm、CNF濃度7.7質量%)を得た。
製造例7(CNF分散体2)
 針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維(フレッチャーチャレンジカナダ社製 Machenzie CSF650ml)を9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO(ALDRICH社製 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル)1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボHJP 2 5005)を用いて245MPaで微細化処理を2回行い、カルボキシル基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度1.3質量%)を得た。
 次に、得られたカルボキシル基含有微細セルロース繊維分散液4088.75gをビーカーに入れ、イオン交換水4085gを加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温下(25℃)、30分攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温下、1時間反応させた。反応終了後、アセトンで再沈し、ろ過、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。最後にアセトンを加えろ過し、アセトンにカルボキシル基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。アセトンで溶媒置換した後、DMFで溶媒置換し、カルボキシル基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のDMF含有酸型セルロース繊維分散液(平均繊維径3.3nm、固形分濃度5.0質量%)を得た。
 得られたDMF含有酸型セルロース繊維分散液400gとヘキシルアミン3gをマグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに入れ、エタノール3000gで溶解させた。反応液を室温(25℃)で6時間反応させた。反応終了後ろ過し、DMFで洗浄および溶媒置換することで、微細セルロース繊維にアミンがイオン結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体(固形分濃度5.0質量%)を得た。次に、エピクロン830 DIC(株)製(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)25gとJER827 三菱化学(株)製(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)10gとELM100 住友化学工業(株)製(アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂:トリグリシジルアミノフェノール)25gと、前記微細セルロース繊維にアミンがイオン結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体を200g配合し、攪拌後にDMFをエバポレーターで除去して、エポキシ樹脂を含有した微細セルロース繊維にアミンがイオン結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体(CNF濃度15.4質量%)を得た。
 製造例7の方法で製造したCNFは特に分散性が良好であり、高圧ホモジナイザー等の特殊な分散機を使用しなくても、一般的な方法で分散が可能となる。
製造例8(CNF分散体3)
 微細セルロース繊維(スギノマシン社製 BiNFi-s、平均繊維径80nm)10質量%を脱水濾過し、濾物質量の10倍量のアセトンを加えて、30分間攪拌した後に濾過した。この置換操作を3回繰返して、濾物質量の20倍量のアセトンを加え、微細セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を作製した。次に、エピクロン830 DIC(株)製(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)250gとJER827 三菱化学(株)製(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)100gとELM100 住友化学工業(株)製(アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂:トリグリシジルアミノフェノール)250gと、前記微細セルロース繊維分散液を1000g配合し、攪拌後にアセトンをエバポレーターで除去して、エポキシ樹脂を含有するセルロース繊維分散体(CNF濃度7.7質量%)を得た。
製造例9(CNC分散体1)
 乾燥した針葉樹晒クラフトパルプの抄上げシートをカッターミルおよびピンミルで処理し、綿状の繊維にした。この綿状の繊維を絶対乾燥質量で100g取り、64%硫酸水溶液2Lに懸濁させ、45℃で45分間加水分解させた。
 これにより得られた懸濁液を濾過した後、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させて分散液を得た。次いで、当該分散液に対して濾過脱水する工程を3回繰り返し、脱水シートを得た。次いで、得られた脱水シートを10Lのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pH12程度とした。その後、この懸濁液を濾過脱水して、10Lのイオン交換水を添加し、撹拌して濾過脱水する工程を2回繰り返した。
 次いで、得られた脱水シートにイオン交換水を添加し、2%懸濁液を調製した。この懸濁液を、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて10回パスさせセルロースナノクリスタル粒子水分散液を得た。 
 その後、アセトンで溶媒置換しセルロースナノクリスタル粒子が膨潤した状態のアセトン分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。得られた分散液中のセルロースナノクリスタル粒子をAFMにて観察し測定した結果、平均結晶幅は10nm、平均結晶長は200nmであった。
 次に、エピクロン830 DIC(株)製(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)50gとJER827 三菱化学(株)製(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)20gとELM100 住友化学工業(株)製(アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂:トリグリシジルアミノフェノール)50gと、前記アセトン分散液を200g配合し、攪拌後にアセトンをエバポレーターで除去して、エポキシ樹脂含有酸型セルロース繊維分散体を得た。 
製造例10(CNC分散体2)
 脱脂綿(白十字社製)を絶対乾燥質量で100g取り、64%硫酸水溶液2Lに懸濁させ、45℃で45分間加水分解させた。
 これにより得られた懸濁液を濾過した後、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させて分散液を得た。次いで、当該分散液に対して濾過脱水する工程を3回繰り返し、脱水シートを得た。次いで、得られた脱水シートを10Lのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pH12程度とした。その後、この懸濁液を濾過脱水して、10Lのイオン交換水を添加し、撹拌して濾過脱水する工程を2回繰り返した。
 次いで、得られた脱水シートにイオン交換水を添加し、2%懸濁液を調製した。この懸濁液を、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて10回パスさせセルロースナノクリスタル粒子水分散液を得た。 
 その後、アセトンで溶媒置換しセルロースナノクリスタル粒子が膨潤した状態のアセトン分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。得られた分散液中のセルロースナノクリスタル粒子をAFMにて観察し測定した結果、平均結晶幅は7nm、平均結晶長は150nmであった。
 次に、エピクロン830 DIC(株)製(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)50gとJER827 三菱化学(株)製(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)20gとELM100 住友化学工業(株)製(アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂:トリグリシジルアミノフェノール)50gと、前記アセトン分散液を200g配合し、攪拌後にアセトンをエバポレーターで除去して、エポキシ樹脂含有酸型セルロース繊維分散体を得た。
 下記表42,43の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表42,43中の数値は、質量部を示す。
[貫通孔周辺の滲み]
 150mm×100mmの大きさで厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板(銅厚18μm)に、0.8mm径のドリルにて10mm間隔で3列10行の30箇所の孔を開けて、無電解銅めっき、電解銅めっき処理の順に処理を行い、銅張積層版の表面で銅厚み25μmの銅めっき処理を施した試験基板を用意した。その試験基板をバフ研磨した後に、穴の部分に0.9mm径の円の開口部がある版を用いてスクリーン印刷にてスルーホール内に各組成物を充填し、次に、充填後、熱風循環式乾燥炉に入れ、120℃で1時間の予備硬化を行い試験片を得た。試験片をルーペにて観察し、硬化物の滲みの状態を評価した。評価基準は、全くにじみが見られないものを〇、ブリード状の滲みはないが、版のサイズより拡がっているものを△、バフの研磨痕にそって樹脂のみが滲むブリード状の滲みが発生しているものを×と評価した。結果を表42,43に示す。
[研磨性]
 貫通孔周辺の滲みを評価した試験片について、バフ研磨(♯320)にて研磨性を評価した。ルーペを用いた観察にて、1回で完全に硬化物が取り除けたものを〇、2回以上必要だったものを×とした。結果を表42,43に示す。
[貫通孔上の膨張痕]
 研磨性を評価した試験片について、無電解銅めっき(スルカップPEA、上村工業社製)、電解銅めっき処理(銅厚み10μm)の順に処理を行った。次にピーク温度265℃のリフロー炉に3回通したのち、ホール上の部分を目視で評価した。15個の貫通孔上に膨張痕が全くないものを○、1~5個の貫通孔上に膨張痕が見られたものを△、6個以上の貫通孔に膨張痕がみられたものを×とした。結果を表42,43に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000042
 実施例7-1~7-4はCNF分散体に熱硬化性樹脂7-1~7-3が含まれるため、実施例、比較例ともに樹脂分はほぼ同じ。
*7-1)熱硬化性樹脂7-1:エピクロン830 DIC(株)製(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)
*7-2)熱硬化性樹脂7-2:jER827 三菱化学(株)製(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
*7-3)熱硬化性樹脂7-3:スミエポキシELM100 住友化学工業(株)製(アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂:トリグリシジルアミノフェノール)
*7-4)熱硬化性樹脂7-4:デナコールEX-212 ナガセケムテックス(株)製(1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)
*7-5)硬化剤7-1:2MZA-PW 四国化成工業(株)製(2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-S-トリアジン) 
*7-6)保存安定化剤7-1:キュアダクトL-07N 四国化成工業(株)製(ホウ酸エステル5質量%とエポキシ樹脂とノボラック樹脂の配合品)
*7-7)無機フィラー7-1:ソフトン1800 備北粉化工業(株)製(炭酸カルシウム)
*7-8)消泡剤7-1:KS-66 信越化学工業(株)製
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000043
 表42,43に記載した結果から明らかなように、樹脂充填剤に微細セルロース繊維のような微細粉体を分散させた硬化性樹脂組成物を用いることにより、部品実装時の加熱においても穴埋めした穴の上に膨らみが生じず、樹脂成分の滲み出しも生じることなく、研磨工程においても穴部のへこみが生じない穴埋め材料が得られることが確認された。
1,3,8,11 導体パターン
2 コア基板
1a,4 コネクション部
5 スルーホール
6,9 層間絶縁層
7,10 ビア
12 ソルダーレジスト層
101 配線基板
102 基材
103 めっきスルーホール
104 導体回路層
105 硬化性樹脂組成物の予備硬化物または本硬化物
106 導体回路層
107 コア基板にビルドアップ層を積層した多層プリント配線板
108 ビルドアップ層
109 導体回路層
110 ビルドアップ層を形成するにあたり、穴の上にビアホールを形成し、硬化性樹脂組成物の硬化物で埋めた多層プリント配線板
111 硬化性樹脂組成物の硬化物で埋めたビアホール
112 研磨工程で生じうる穴周辺部の残渣
113 研磨工程で生じうる穴部のへこみ
 

Claims (18)

  1.  硬化性樹脂と、少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体と、該微細粉体以外のフィラーと、を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2.  前記微細粉体が、微細セルロース粉体である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3.  前記微細粉体が、セルロースナノクリスタル粒子である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  4.  前記微細粉体と該微細粉体以外のフィラーの全フィラー中の配合比が、質量比で(微細粉体以外のフィラー:微細粉体)=100:(0.04~30)である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  5.  前記硬化性樹脂が、ナフタレン骨格およびアントラセン骨格のいずれか少なくとも1種を有する環状エーテル化合物を含む請求項1~4のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物。
  6.  前記硬化性樹脂が、ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物およびジシクロペンタジエン骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1~4のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物。
  7.  前記硬化性樹脂が、フェノキシ樹脂を含む請求項1~4のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物。
  8.  前記硬化性樹脂が、ビフェニル骨格をもつ環状エーテル化合物およびビフェニル骨格をもつフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1~4のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物。
  9.  請求項1記載の硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布、乾燥されてなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  10.  請求項1記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項9記載のドライフィルムの前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とする硬化物。
  11.  請求項10記載の硬化物を備えることを特徴とする電子部品。
  12.  プリント配線板の凹部および貫通孔の少なくとも一方に充填するための硬化性樹脂組成物であって、
    (A)少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体と、
    (B)熱硬化性成分と、
    を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  13.  前記(B)熱硬化性成分として、アミン類を前駆体とする環状エーテル化合物を含む請求項12記載の硬化性樹脂組成物。
  14.  前記(B)熱硬化性成分として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む請求項12記載の硬化性樹脂組成物。
  15. (C)ホウ酸エステル化合物を含む請求項12記載の硬化性樹脂組成物。
  16.  前記(A)微細粉体以外の(D)フィラーを含む請求項12記載の硬化性樹脂組成物。
  17.  請求項12記載の硬化性樹脂組成物が硬化されてなることを特徴とする硬化物。
  18.  プリント配線板の凹部および貫通孔の少なくとも一方が請求項17記載の硬化物で充填されていることを特徴とするプリント配線板。
     
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