JP7169154B2 - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品に関する。
電子機器の小型軽量化に伴い、内蔵されるプリント配線板には高機能化および軽量薄型化が要求されている。そのため、プリント配線板の基材である銅張積層板(いわゆるCCL)の厚みは薄くなり、銅張積層板上に形成される導体層や層間絶縁層(いわゆるビルドアップ層)も配線の高密度化や多層化に伴い薄膜化が進んでいる。
このような基材やビルドアップ層の薄膜化に伴い、得られるプリント配線板では、反りが発生しやすいという問題があった。
これに対し従来、樹脂成分にシリカなどの無機フィラーを高充填して熱膨張係数を低減する方法(特許文献1参照)や樹脂成分にゴムやエラストマーを配合して靭性(柔軟性)を向上させる方法(特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、無機フィラーを高充填する方法では硬化物の靭性が低下し、一方で、ゴムやエラストマーなどの成分を加える方法では硬化物の熱膨張係数や吸水率が増大するという問題があった。
すなわち、無機フィラーの高充填による低熱膨張係数を維持しつつ、優れた靭性(柔軟性)と低吸水性を両立した硬化物を得るのに有効な硬化性樹脂組成物が求められている。
特開2001-72834号公報 特開2003-286391号公報
そこで、本発明の目的は、低熱膨張係数を維持しつつ、低弾性であり、靱性(柔軟性)および低吸水性が共に優れた硬化物を得るのに好適な硬化性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することにある。
本発明者は、上記目的の実現に向け鋭意検討した。その結果、熱硬化性樹脂として、エポキシ化合物とエピスルフィド化合物とを組み合わせて用い、かつ、シリカや炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化チタンなどのフィラーに対して、少なくとも一次元が100nmより小さい微細セルロース粉体を併用して配合することにより、意外にも上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ化合物と、エピスルフィド化合物と、少なくとも一次元が100nmより小さい微細セルロース粉体と、前記微細セルロース粉体以外のフィラーと、を含むことを特徴とするものである。
本発明のドライフィルムは、上記硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布、乾燥されてなる樹脂層を有することを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、上記硬化性樹脂組成物、または、上記ドライフィルムの前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とするものである。
本発明の電子部品は、上記硬化物を備えることを特徴とするものである。
ここで、本発明において、微細セルロース粉体としては、特に形状に制限はなく、繊維状、鱗片状、粒状などの形状のものを用いることができ、「少なくとも一次元が100nmより小さい」とは、一次元、二次元および三次元のいずれかが100nmより小さいことを意味する。例えば、繊維状の微細セルロース粉体の場合は、二次元が100nmより小さく、残る一次元への広がりを有するものが挙げられ、鱗片状の微細セルロース粉体の場合は、その一辺が100nmより小さく、残る二次元への広がりを有するものが挙げられ、粒状の微細セルロース粉体の場合は、三次元とも100nmより小さいものが挙げられる。
また本発明において、微細セルロース粉体における一次元、二次元および三次元の大きさは、微細セルロース粉体をSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)やTEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)やAFM:Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)等で観察し測定することができる。
例えば、鱗片状の微細セルロース粉体の場合、最も小さい一次元である厚みの平均値を測定して、この平均厚みを100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にあり、かつ、厚みが測定可能な微細セルロース粉体をランダムに12点抽出して、最も厚い微細セルロース粉体と最も薄い微細セルロース粉体を除去した後、残る10点の厚みを測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
繊維状の微細セルロース粉体の場合、最も小さい2次元である繊維径の平均値(以下、単に「平均繊維径」ともいう)を測定して、この平均繊維径を100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にある微細セルロース粉体をランダムに12点抽出して、最も太い繊維径と最も細い繊維径の微細セルロース粉体を除去した後、残る10点の繊維径を測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
粒状の微細セルロース粉体の場合、粒径の平均値を測定して、この平均粒径を100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にある微細セルロース粉体をランダムに12点抽出して、最も大きい粒径と最も小さい粒径の微細セルロース粉体を除去した後、残る10点の粒径を測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
繊維状や鱗片状などの他の次元への広がりがある微細セルロース粉体では、その広がりは、例えば、1000nm未満、好ましくは650nm未満、さらに好ましくは450nm未満である。広がりが1000nm未満であれば、微細セルロース粉体どうしのインタラクションによる補強効果を効果的に得ることができる。
本発明によれば、低熱膨張係数を維持しつつ、低弾性であり、靱性(柔軟性)および低吸水性が共に優れた硬化物を得るのに有効な硬化性樹脂組成物を提供することができる。また本発明によれば、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂として、エポキシ化合物とエピスルフィド化合物とを併用した点、および、充填材として、微細セルロース粉体と該微細セルロース粉体以外のフィラーとを併用した点に最大の特徴がある。このような構成とすることにより、前記充填材の構成が靱性(柔軟性)を維持しつつ熱膨張係数を低減させ、前記エピスルフィド化合物と前記エポキシ化合物との反応おいて、エピスルフィド基が開環して生じたチオラートアニオンがエポキシ基と反応し、架橋構造にチオエーテル基が導入されることで、低弾性や優れた靱性(柔軟性)が付与されるものと推察される。さらに、通常はセルロース粉体を配合すると吸水率が増大するという問題があったが、本発明の構成によれば、硬化物の吸水率が低減するという意外な効果を奏する結果、基材やビルドアップ層の薄膜化に好適な層間絶縁材を得ることができる。
[エポキシ化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ化合物を含有する。エポキシ化合物としては、特に限定されるものではなく周知のものを使用することができる。特に、硬化物の耐熱性や強度の観点から分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましく、靱性(柔軟性)の観点から2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物がより好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル-1,3-ジグリシジルエーテル、ビフェニル-4,4’-ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フェノキシ樹脂等が挙げられる。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂等の芳香環を有するエポキシ樹脂に水添して脂環化したエポキシ樹脂であってもよい。エポキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[エピスルフィド化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、エピスルフィド化合物を含有する。エピスルフィド化合物としては、特に限定されるものではなく周知のものを使用することができる。特に、分子中に複数のエピスルフィド基を有するエピスルフィド化合物が好ましく、靱性(柔軟性)の観点から2個のエピスルフィド基を有するエピスルフィド化合物がより好ましい。
エピスルフィド化合物の合成方法は特に限定されず、例えばチオシアン酸カリウム、チオ尿素等の硫化剤を使用して、エポキシ化合物からエピスルフィド化合物を合成してもよい。エピスルフィド化合物としては、例えば上記エポキシ化合物で挙げた各エポキシ樹脂のエポキシ基をエピスルフィド基に変えたエピスルフィド樹脂が挙げられる。
エピスルフィド化合物の構造は、芳香環、複素環、脂環といった環状骨格を有するエピスルフィド化合物であっても、鎖状脂肪族などの非環式骨格を有するエピスルフィド化合物であってもよいが、より靱性(柔軟性)に優れた硬化物が得られることから、脂環式骨格や鎖状脂肪族のエピスルフィド化合物が好ましく、脂環式骨格を有するエピスルフィド化合物がより好ましい。脂環式骨格としては、シクロアルカンやシクロアルケンなどが挙げられ、なかでも環構造の炭素数が4~8のシクロアルカンが好ましい。脂環式骨格を有するエピスルフィド化合物としては、例えば上記エポキシ化合物で挙げた各エポキシ化合物のうち脂環式骨格を有するエポキシ化合物のエポキシ基をエピスルフィド基に変えたエピスルフィド化合物が挙げられる。具体的には、水添ビスフェノール型エピスルフィド樹脂、水添ノボラック型エピスルフィド樹脂、水添ビフェニル型エピスルフィド樹脂、水添ビフェニルアラルキル型エピスルフィド樹脂、水添アリールアルキレン型エピスルフィド樹脂、水添テトラフェニロールエタン型エピスルフィド樹脂などが挙げられる。尚、上記において水添とは、水素を添加して芳香族環(例えばベンゼン環)を還元して脂肪族環(例えばシクロヘキサン環)化することを意味するが、本明細書において、例えば「水添ビスフェノール型」などと呼称する場合は、あくまでも水添化した構造、即ち、芳香族環が脂肪族環に置換された構造を有していればよく、水添化せずに合成したものであってもよい。エピスルフィド化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エピスルフィド化合物の配合量は、上記エポキシ化合物の不揮発成分100質量部に対し、1~60質量部であることが好ましく、5~25質量部であることがより好ましい。このような範囲とすることで、保存安定性、柔軟性により優れた硬化物を得ることができる。
[微細セルロース粉体]
少なくとも一次元が100nmよりも小さい粉体として微細セルロース粉体に着目し、その配合量と熱膨張率の関係をシリカと比較して鋭意検討したところ、微細セルロース粉体によれば、少量の配合量で著しい熱膨張率の低減効果が得られることが分かった。さらに、微細セルロース粉体の配合によれば、少量の配合でも十分な熱膨張率の低減効果が得られる点に着目し、鋭意検討した結果、靱性等の電子部品の絶縁材料に要求される諸特性を確保するためのシリカ等のフィラーを配合しつつ、当該微細セルロース粉体を併用して配合することにより、低い熱膨張率を維持することができ、かつ靱性等の諸特性に優れる硬化物が得られる。また、当該微細セルロース粉体を配合することによって、組成物中の硬化性成分の分子運動が抑制され、保存安定性も良好となる。
本発明に用いる微細セルロース粉体とは、少なくとも一次元が100nmよりも小さい粉体であり、前述したように、微細な球状に近いものだけではなく、断面の径が100nmよりも小さい繊維状のものや、厚みが100nmよりも小さいシート状(鱗片状)のものなども含まれる。このような微細セルロース粉体は、三次元のいずれもが100nm以上であるものに比較して、単位質量当りの表面積がはるかに大きくなり、表面に露出する原子の割合が増大する。そのため、微細粉体がお互いに引き合うようなインタラクションをとって補強効果が発現し、熱膨張性が低下すると考えられる。
微細セルロース粉体としては、少なくとも一次元が100nmよりも小さな粒子であればよく、形状等で2種以上のものを併用してもよい。
このような微細セルロース粉体は、その粉体を疎水化処理したり、カップリング剤を用いた表面処理などを施すことが好ましい。このような処理は、微細セルロース粉体に適した公知慣用の方法を用いることができる。
本発明における微細セルロース粉体の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好適には0.04~30質量%、より好適には0.08~20質量%、さらに好適には、0.1~10質量%である。微細セルロース粉体の配合量が0.04質量%以上の場合、熱膨張率の低減効果を良好に得ることができる。一方、30質量%以下の場合、製膜性が向上する。
本発明に係る微細セルロース粉体は、以下のようにして得ることができるが、これらのものに限定されるものではない。
微細セルロース粉体の原材料としては、木材や麻、竹、綿、ジュート、ケナフ、ビート、農産物残廃物、布等の天然植物繊維原料から得られるパルプ、レーヨンやセロファン等の再生セルロース繊維等を用いることができ、中でも特に、パルプが好適である。パルプとしては、植物原料を化学的若しくは機械的に、または、両者を併用してパルプ化することにより得られるクラフトパルプや亜硫酸パルプ等のケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、ケミメカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、リファイナーメカニカルパルプ、砕木パルプおよびこれらの植物繊維を主成分とする脱墨古紙パルプ、雑誌古紙パルプ、段ボール古紙パルプなどを用いることができる。中でも、繊維の強度が強い針葉樹由来の各種クラフトパルプ、例えば、針葉樹未漂白クラフトパルプ、針葉樹酸素晒し未漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプが特に好適である。
上記原材料は主としてセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンから構成され、このうちリグニンの含有量は通常0~40質量%程度、特には0~10質量%程度である。これらの原材料については、必要に応じ、リグニンの除去ないし漂白処理を行って、リグニン量の調整を行うことができる。なお、リグニン含有量の測定は、Klason法により行うことができる。
植物の細胞壁の中では、セルロース分子が単分子ではなく規則的に凝集して数十本集まった結晶性を有するミクロフィブリル(微細セルロース繊維)を形成しており、これが植物の基本骨格物質となっている。よって、上記原材料から微細セルロース粉体を製造するためには、上記原材料に対し、叩解ないし粉砕処理、高温高圧水蒸気処理、リン酸塩等による処理、N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理等を施すことにより、その繊維をナノサイズまで解きほぐす方法を用いることができる。
上記のうち叩解ないし粉砕処理は、上記パルプ等の原材料に対し直接力を加えて、機械的に叩解ないし粉砕を行い、繊維を解きほぐすことで、微細セルロース粉体を得る方法である。より具体的には、例えば、パルプ等を高圧ホモジナイザー等により機械的に処理して、繊維径0.1~10μm程度に解きほぐしたセルロース繊維を0.1~3質量%程度の水懸濁液とし、さらに、これをグラインダー等で繰り返し磨砕ないし融砕処理することにより、繊維径10~100nm程度の微細セルロース粉体を得ることができる。
上記磨砕ないし融砕処理は、例えば、栗田機械製作所製グラインダー「ピュアファインミル」等を用いて行うことができる。このグラインダーは、上下2枚のグラインダーの間隙を原料が通過するときに発生する衝撃、遠心力および剪断力により、原料を超微粒子に粉砕する石臼式粉砕機であり、剪断、磨砕、微粒化、分散、乳化およびフィブリル化を同時に行うことができるものである。また、上記磨砕ないし融砕処理は、増幸産業(株)製超微粒磨砕機「スーパーマスコロイダー」を用いて行うこともできる。スーパーマスコロイダーは、単なる粉砕の域を超えて融けるように感じるほどの超微粒化を可能にした磨砕機である。スーパーマスコロイダーは、間隔を自由に調整できる上下2枚の無気孔砥石によって構成された石臼形式の超微粒磨砕機であり、上部砥石は固定であり、下部砥石が高速回転する。ホッパーに投入された原料は遠心力によって上下砥石の間隙に送り込まれ、そこで生じる強大な圧縮、剪断および転がり摩擦力などにより、原材料は次第にすり潰されて、超微粒化される。
また、上記高温高圧水蒸気処理は、上記パルプ等の原材料を高温高圧水蒸気に曝すこと
によって繊維を解きほぐすことで、微細セルロース粉体を得る方法である。
さらに、上記リン酸塩等による処理は、上記パルプ等の原材料の表面をリン酸エステル化することにより、セルロース繊維間の結合力を弱め、次いで、リファイナー処理を行うことにより、繊維を解きほぐし、微細セルロース粉体を得る処理法である。例えば、上記パルプ等の原材料を50質量%の尿素および32質量%のリン酸を含む溶液に浸漬して、60℃で溶液をセルロース繊維間に十分に染み込ませた後、180℃で加熱してリン酸化を進め、これを水洗した後、3質量%の塩酸水溶液中、60℃で2時間、加水分解処理をして、再度水洗を行い、さらにその後、3質量%の炭酸ナトリウム水溶液中において、室温で20分間程処理することでリン酸化を完了させ、この処理物をリファイナーで解繊することにより、微細セルロース粉体を得ることができる。
そして、上記N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理は、上記パルプ等の原材料を酸化させた後、微細化することにより微細セルロース粉体を得る方法である。
まず、天然セルロース繊維を、絶対乾燥基準で約10~1000倍量(質量基準)の水中に、ミキサー等を用いて分散させることにより、水分散液を調製する。上記微細セルロース繊維の原料となる天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹系パルプや広葉樹系パルプ等の木材パルプ、麦わらパルプやバガスパルプ等の非木材系パルプ、コットンリントやコットンリンター等の綿系パルプ、バクテリアセルロース等を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、これら天然セルロース繊維には、あらかじめ表面積を大きくするために叩解等の処理を施しておいてもよい。
次に、上記水分散液中で、N-オキシル化合物を酸化触媒として用いて、天然セルロース繊維の酸化処理を行う。かかるN-オキシル化合物としては、例えば、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル)の他、4-カルボキシ-TEMPO、4-アセトアミド-TEMPO、4-アミノ-TEMPO、4-ジメチルアミノ-TEMPO、4-フォスフォノオキシ-TEMPO、4-ヒドロキシTEMPO、4-オキシTEMPO、4-メトキシTEMPO、4-(2-ブロモアセトアミド)-TEMPO、2-アザアダマンタンN-オキシル等の、C4位に各種の官能基を有するTEMPO誘導体等を用いることができる。これらN-オキシル化合物の添加量としては、触媒量で十分であり、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で0.1~10質量%となる範囲とすることができる。
上記天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化剤と共酸化剤とを併用する。酸化剤としては、例えば、亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸および過ハロゲン酸並びにそれらの塩、過酸化水素、過有機酸を挙げることができ、なかでも、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好適である。また、共酸化剤としては、例えば、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属を用いることができる。酸化剤の使用量は、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で約1~100質量%となる範囲であり、共酸化剤の使用量は、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で約1~30質量%となる範囲である。
上記天然セルロース繊維の酸化処理の際には、水分散液のpHを9~12の範囲で維持することが、酸化反応を効率よく進行させる観点から好ましい。また、酸化処理の際の水分散液の温度は、1~50℃の範囲で任意に設定することができ、温度制御なしで、室温においても反応可能である。反応時間としては、1~240分間の範囲とすることができる。なお、水分散液には、天然セルロース繊維の内部まで薬剤を浸透させて、より多くの
カルボキシル基を繊維表面に導入するために、浸透剤を添加することもできる。浸透剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリエチレングルコール型、多価アルコール型等の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
上記天然セルロース繊維の酸化処理の後には、微細化を行うに先立って、水分散液中に含まれる未反応の酸化剤や各種副生成物等の不純物を除去する精製処理を行うことが好ましい。具体的には例えば、酸化処理された天然セルロース繊維の水洗および濾過を繰り返し行う手法を用いることができる。精製処理後に得られる天然セルロース繊維は、通常、適量の水が含浸された状態で微細化処理に供されるが、必要に応じ、乾燥処理を行って、繊維状または粉末状としてもよい。
次に、天然セルロース処理の微細化は、所望に応じ精製処理された天然セルロース繊維を、水等の溶媒中に分散させた状態で行う。微細化処理において使用する分散媒としての溶媒は、通常は水が好ましいが、所望に応じ、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)やエーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)等の水に可溶な有機溶媒を使用してもよく、これらの混合物を用いることもできる。これら溶媒の分散液中の天然セルロース繊維の固形分濃度は、好適には、50質量%以下とする。天然セルロース繊維の固形分濃度が50質量%を超えると、分散に極めて高いエネルギーを必要とするため好ましくない。天然セルロース処理の微細化は、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、叩解機、離解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等の分散装置を使用して行うことができる。
微細化処理により得られる微細セルロース粉体は、所望に応じ、固形分濃度を調整した懸濁液状、または、乾燥させた粉末状とすることができる。ここで、懸濁液状にする場合には、分散媒として水のみを使用してもよく、水と他の有機溶媒、例えば、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用してもよい。
上記天然セルロース繊維の酸化処理および微細化処理により、セルロース分子の構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシル基へと選択的に酸化され、かかるカルボキシル基の含有量が0.1~3mmol/gであるセルロース分子からなる、上記所定の数平均繊維径を有する高結晶性の微細セルロース粉体を得ることができる。この高結晶性の微細セルロース粉体は、セルロースI型結晶構造を有している。これは、かかる微細セルロース粉体が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース分子が表面酸化され微細化されたものであることを意味している。すなわち、天然セルロース繊維は、その生合成の過程において生産されるミクロフィブリルと呼ばれる微細な繊維が多束化して高次な固体構造を構築しており、そのミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、酸化処理によるアルデヒド基またはカルボキシル基の導入によって弱め、さらに、微細化処理を経ることで、微細セルロース粉体が得られる。酸化処理の条件を調整することにより、カルボキシル基の含有量を増減させて、極性を変化させたり、カルボキシル基の静電反発や微細化処理により、微細セルロース粉体の平均繊維径や平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
上記天然セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像の測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14~17°付近と2θ=22~23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。また、微細セルロース粉体のセルロース分子中にカルボキシル基が導入されていることは、水分を完全に除去したサンプルにおいて、全反射式赤外分光スペクトル(ATR)においてカルボニル基に起因する吸収(1608cm-1付近)が存在することにより確認することができる。カルボキシル基(COOH)の場合には、上記の測定において1730cm-1に吸収が存在する。
なお、酸化処理後の天然セルロース繊維にはハロゲン原子が付着または結合しているため、このような残留ハロゲン原子を除去する目的で、脱ハロゲン処理を行うこともできる。脱ハロゲン処理は、過酸化水素溶液やオゾン溶液に酸化処理後の天然セルロース繊維を浸漬することにより、行うことができる。
具体的には、例えば、酸化処理後の天然セルロース繊維を、濃度が0.1~100g/Lの過酸化水素溶液に、浴比1:5~1:100程度、好ましくは1:10~1:60程度(質量比)の条件で浸漬する。この場合の過酸化水素溶液の濃度は、好適には1~50g/Lであり、より好適には5~20g/Lである。また、過酸化水素溶液のpHは、好適には8~11であり、より好適には9.5~10.7である。
なお、水分散液に含まれる微細セルロース粉体の質量に対するセルロース中のカルボキシル基の量[mmol/g]は、以下の手法により評価することができる。すなわち、あらかじめ乾燥質量を精秤した微細セルロース粉体試料の0.5~1質量%水分散液を60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液をpHが約11になるまで滴下して、電気伝導度を測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式を用いて官能基量を決定することができる。この官能基量が、カルボキシル基の量を示す。
官能基量[mmol/g]=V[ml]×0.05/微細セルロース粉体試料[g]
また、本発明において用いる微細セルロース粉体は、化学修飾および/または物理修飾して、機能性を高めたものであってもよい。ここで、化学修飾としては、アセタール化、アセチル化、シアノエチル化、エーテル化、イソシアネート化等により官能基を付加させたり、シリケートやチタネート等の無機物を化学反応やゾルゲル法等によって複合化させたり、または被覆させるなどの方法で行うことができる。化学修飾の方法としては、例えば、シート状に成形した微細セルロース粉体を無水酢酸中に浸漬して加熱する方法が挙げられる。また、N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理にて得られた微細セルロース粉体は、分子中のカルボキシル基にアミン化合物や第4級アンモニウム化合物等をイオン結合やアミド結合で修飾させる方法が挙げられる。
物理修飾の方法としては、例えば、金属やセラミック原料を、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)、無電解めっきや電解めっき等のめっき法等により、被覆させる方法が挙げられる。これらの修飾は、上記処理前であっても、処理後であってもよい。
本発明に用いられる微細セルロース粉体は、繊維状の場合、その平均繊維径が3nm以上であって、100nmより小さいことが望ましい。微細セルロース繊維単繊維の最小径が3nmであるため、3nm未満は実質的に製造できない。また、100nmより小さいと、過剰に添加せずとも本発明の所期の効果が得られ、製膜性も良好となる。なお、微細セルロース粉体の数平均繊維径は、前述した微細セルロース粉体の大きさの測定方法に従って測定することができる。
[微細セルロース粉体以外のフィラー]
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、上述した微細セルロース粉体以外のフィラーを含む。このようなフィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化チタン等の無機フィラーが挙げられる。フィラーのなかでも、シリカが好ましい。微細セルロース粉体以外のフィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このフィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、1μm以下がより好ましい。なお、フィラーの平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
このフィラーの配合量は、溶剤を除く組成物の全体量のうち、1~90質量%、好ましくは2~80質量%、より好ましくは5~75質量%である。フィラーの配合量を上記範囲内とすることで、硬化後の硬化物の塗膜性能を良好に確保することができる。
微細セルロース粉体以外のフィラーと微細セルロース粉体の全フィラー中の配合比は、質量比で(微細セルロース粉体以外のフィラー:微細セルロース粉体)=100:(0.04~30)、好ましくは100:(0.1~20)、より好ましくは100:(0.2~10)である。このような配合比でフィラーを使用することにより、熱膨張率を低く維持しつつ、電子部品の絶縁材料に要求される靱性等の諸特性を両立することができる。
また、硬化性樹脂組成物中に配合されるフィラーの総量は、硬化性樹脂組成物の用途、例えば電子部品の層間絶縁材料などの絶縁材料の要求特性に応じて、適宜慣用されている公知の量とすることが好ましい。
(硬化剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有することができる。硬化剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル基を有する化合物、水酸基をアセチル化などでキャッピングされた活性エステル基を有する化合物、側鎖にカルボキシル基や水酸基、活性エステル構造を有するシクロオレフィンポリマーなど、前述したエポキシ化合物やエピスルフィド化合物のエポキシ基やエピスルフィド基と反応する水酸基、カルボキシル基、活性エステル構造を有する硬化剤が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α-ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを用いることができる。
上記ポリカルボン酸およびその酸無水物は、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物等の他、カルボン酸末端イミド樹脂等のカルボン酸末端を有する樹脂が挙げられる。
上記シアネートエステル基を有する化合物は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(-OCN)を有する化合物である。シアネートエステル基を有する化合物は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル基を有する化合物としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
上記活性エステル基を有する化合物は、特に限定されるものではなく、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する樹脂が好ましい。活性エステル樹脂は、一般に、カルボン酸化合物およびチオカルボン酸化合物のうちの1種以上と、ヒドロキシ化合物およびチオール化合物のうちの1種以上との縮合反応によって得ることができる。この活性エステル基を有する化合物としては、ジシクロペンタジエニルジフェノールエステル化合物、ビスフェノールAジアセテート、フタル酸ジフェニル、テレフタル酸ジフェニル、テレフタル酸ビス[4-(メトキシカルボニル)フェニル]などが挙げられる。
なお、この活性エステル基を有する化合物は、比誘電率および誘電正接を低下させて、低誘電特性を有する電子部品を得るのに好適である。
このような硬化剤は、これらを構成成分とする硬化性樹脂組成物の用途、例えば電子部品の層間絶縁材料などの絶縁材料の要求特性に応じて、適宜慣用されている公知の組成で配合することが好ましい。中でも、靭性(柔軟性)の観点からフェノール性水酸基を有する化合物を、また、低吸水性の観点から活性エステル基を有する化合物を、用いることが特に好ましい。
硬化剤の配合量は、組成物中のエポキシ化合物とエピスルフィド化合物のエポキシ基とエピスルフィド基の合計1molあたりに対し、反応する硬化剤の官能基数が0.5~2.5molが好ましく、0.7~1.5molであることがより好ましい。0.5mol以上の場合、硬化物の靭性(柔軟性)に優れる。2.5mol以下の場合、低吸水性、保存安定性が向上し、熱膨張係数が抑制される。
(硬化促進剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体等が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤の配合量は、組成物中のエポキシ化合物とエピスルフィド化合物の不揮発成分の合計量100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.3~7質量部であることがより好ましい。配合量を上記の範囲にすることで、硬化性と保存安定性のバランスが取れた組成物を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ化合物およびエピスルフィド化合物以外の硬化性樹脂を含有してもよい。エポキシ化合物およびエピスルフィド化合物以外の熱硬化性樹脂としては、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、オキセタン化合物等の環状エーテル基を有する化合物、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を使用することができる。
また、光硬化性樹脂を配合して光硬化性を付与してもよい。光硬化性樹脂としては、光照射により硬化性を示す樹脂であればよく、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキシド誘導体のモノまたはジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリジジルエーテルの(メタ)アクリレート類;およびメラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記光硬化性樹脂は、必要に応じて、ラジカル、塩基および酸のいずれか1種を発生する光反応開始剤と共に使用される。この光反応開始剤としては、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製,IRGACURE819)等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製,DAROCUR TPO)等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。以上の光反応開始剤は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような光硬化性樹脂や光反応開始剤等は、これらを構成成分とする光硬化性樹脂組成物の用途、例えば電子部品の層間絶縁材料などの絶縁材料の要求特性に応じて、適宜慣用されている公知の組成で配合することが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物をアルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型のフォトソルダーレジスト組成物として使用する場合には、上述した光硬化性樹脂に加えてさらにカルボキシル基含有樹脂を使用することが好ましい。
カルボキシル基含有樹脂としては、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂、および、感光性の不飽和二重結合を有しないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能であり、特定のものに限定されるものではない。カルボキシル基含有樹脂としては、特には、以下に列挙する樹脂を好適に使用することができる。
(1)不飽和カルボン酸と不飽和二重結合を有する化合物との共重合によって得られるカルボキシル基含有樹脂、および、それを変性して分子量や酸価を調整したカルボキシル基含有樹脂。
(2)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合樹脂に1分子中にオキシラン環とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(3)1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基および不飽和二重結合を有する化合物と不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に不飽和モノカルボン酸を反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(4)水酸基含有ポリマーに飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、この反応により生成したカルボン酸に1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基および不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる感光性の水酸基およびカルボキシル基含有樹脂。
(5)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基の一部または全部に多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(6)多官能エポキシ化合物と、1分子中に2個以上の水酸基およびエポキシ基と反応する水酸基以外の1個の反応基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)フェノール性水酸基をもつ樹脂とアルキレンオキシドまたは環状カーボネートとの反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)多官能エポキシ化合物と、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基および1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して多塩基酸無水物の無水物基を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
このカルボキシル基含有樹脂は、この樹脂を構成成分とするソルダーレジスト組成物等のアルカリ現像型の硬化性樹脂組成物で慣用されている公知の組成で配合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに、その用途に応じて、慣用の他の配合成分を適宜配合することが可能である。慣用の他の配合成分としては、熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム状粒子などの高分子樹脂、増感剤、難燃剤、着色剤、有機溶剤などの希釈剤、その他添加剤、具体的には消泡剤・レベリング剤、チクソトロピー付与剤・増粘剤、カップリング剤、分散剤等の公知慣用の添加剤などが挙げられる。
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよび上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上説明したような成分を含む本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いてもよく、液状としてそのまま用いてもよい。なお、液状として用いる場合は、1液型でも2液型以上でもよい。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、ガラスクロス、ガラスおよびアラミドの不織布等のシート状繊維質基材に塗工ないし含浸させて半硬化させた、いわゆるプリプレグとして用いることもできる。
本発明のドライフィルムは、フィルム(支持フィルム)上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。
ここで、ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、フィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、40~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、3~150μm、好ましくは5~60μmの範囲で適宜選択される。
上記フィルム(支持フィルム)としては、樹脂フィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。このフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。より好ましくは15~130μmの範囲である。
このようにして本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成したフィルムに対し、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、樹脂層表面に、剥離可能なフィルム(保護フィルム)をさらに積層することが好ましい。
この剥離可能なフィルムとしては、剥離する際に樹脂層との接着力が樹脂層と支持フィルムとの接着力よりも小さいものであればよく、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。
なお、本発明においては、上記保護フィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面に支持フィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、支持フィルムおよび保護フィルムのいずれを用いてもよい。
本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムにおける樹脂層を、硬化してなるものである。このような本発明の硬化物は、絶縁信頼性が要求されるソルダーレジストや層間絶縁材料、穴埋め材料等の電子部品材料として好適に用いることができる。
本発明の電子部品は、上記本発明の硬化物を備えるものであり、具体的には、プリント配線板等が挙げられる。特には、層間絶縁材として上記本発明の硬化性樹脂組成物を用いた多層プリント配線板とすることで、良好な層間の絶縁信頼性を有するものとすることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
[繊維状の微細セルロース粉体の分散液の調製]
針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維(フレッチャーチャレンジカナダ社製 Machenzie CSF650ml)を9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO(ALDRICH社製 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル)1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボHJP-2 5005)を用いて245MPaで微細化処理を2回行い、カルボキシル基含有微細セルロース粉体の分散液(固形分濃度1.3質量%)を得た。
次に、得られたカルボキシル基含有微細セルロース粉体の分散液4088.75gをビーカーに入れ、イオン交換水4085gを加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温下(25℃)、30分攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温下、1時間反応させた。反応終了後、アセトンで再沈し、ろ過、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。最後にアセトンを加えろ過し、アセトンにカルボキシル基含有微細セルロース粉体が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース粉体の分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。アセトンで溶媒置換した後、DMFで溶媒置換し、カルボキシル基含有微細セルロース粉体が膨潤した状態のDMF含有酸型セルロース粉体の分散液(平均繊維径3.3nm、固形分濃度5.0質量%)を得た。
さらに、上記DMF含有酸型セルロース粉体の分散液40gとヘキシルアミン0.3gをマグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに入れ、エタノール300gで溶解させた。反応液を室温(25℃)で6時間反応させた。反応終了後ろ過し、DMFで洗浄および溶媒置換することで、微細セルロース粉体にアミンがイオン結合を介して連結した微細セルロース粉体の分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。
(実施例1、2、4~7、参考例3、比較例1~4)
下記の表1中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表1中の数値は、不揮発成分における質量部を示す。
実施例、参考例および比較例で得られた各組成物について、硬化物の熱膨張性、靱性(柔軟性)、吸水性、弾性を評価した。評価方法は、以下の通りである。
[熱膨張性]
厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔から剥がして、各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルを、3mm幅×30mm長にカットし、熱膨張性評価用試験片とした。この試験片について、ティー・エイ・インスツルメント社製TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、20~250℃まで5℃/分で昇温し、次いで、250~20℃まで5℃/分で降温し、熱膨張係数α1とα2(ppm/K)を測定し評価した。これらの測定結果を表1に併せて示す。
[靱性(柔軟性)および弾性]
上記と同様の方法にて作製した各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを5mm幅×70mm長にカットし、靱性(柔軟性)評価および弾性評価用試験片とした。
(靱性(柔軟性))
この試験片について、島津製作所社製のEZ-SXを用いて、引張試験をつかみ具間距離は50mm、引張速度は1mm/min、測定を10回行い、試験片が破断するまでの伸び率を測定し、その最大値を引張破断伸び率(%)として靱性(柔軟性)を評価した。評価基準は以下の通りである。この評価結果を表1に併せて示す。
◎:3.0%以上のもの
〇:2.5%以上3.0%未満のもの
△:2.0%以上2.5%未満のもの
×:2.0%未満のもの
(弾性)
この試験片について、上記靱性(柔軟性)評価と同様の試験を行い、引張強度5~10MPaにおける弾性率を測定し、その平均値を弾性率(GPa)として弾性を評価した。評価基準は以下の通りである。この評価結果を表1に併せて示す。
◎:6.5GPa未満のもの
○:6.5GPa以上7.0GPa未満のもの
△:7.0GPa以上7.5GPa未満のもの
×:7.5GPa以上のもの
[吸水性]
上記と同様の方法にて作製した組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを100mm×100mmにカットし、吸水性評価用試験片とした。この試験片について、105℃で1時間乾燥を行い、乾燥した試験片の重量を精密天秤にて測定した。その後、乾燥した試験片を23.5℃の水中に24時間静置し、吸水させた。吸水させた試験片を水中から取り出した後、試料表面の水分を拭き取り吸水後の重量を精密天秤にて測定した。乾燥した試験片、吸水させた試験片の重量変化から吸水率を算出し、吸水性を評価した。評価基準は以下の通りである。この評価結果を表1に併せて示す。

Figure 0007169154000001

◎:0.3%未満のもの
〇:0.3%以上0.6%未満のもの
△:0.6%以上1.0%未満のもの
×:1.0%以上のもの
Figure 0007169154000002

*1:jER828(三菱ケミカル(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量189g/eq.)
*2:HP4032(DIC(株)製、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、エポキシ基当量150g/eq.)
*3:TBIS-AHS(田岡化学(株)製、脂環式骨格を有するエピスルフィド樹脂、エピスルフィド基当量192g/eq.)
*4:TBIS-FXPS(田岡化学(株)製、芳香環を有するエピスルフィド樹脂、エピスルフィド基当量200g/eq.)
*5:HF4M(明和化成(株)製、フェノールノボラック樹脂、水酸基当量105g/eq.)
*6:エピクロンHPC8000(DIC(株)製、活性エステル樹脂、活性エステル基当量223g/eq.)
*7:ビスフェノールAジアセテート(東京化成工業(株)製、活性エステル化合物、活性エステル基当量156g/eq.)
*8:2E4MZ(四国化成工業(株)製、2-エチル-4-メチルイミダゾール)
*9:アドマファインSO-C2(シリカ、(株)アドマテックス製)
*10:上記で調整した微細セルロース粉体の分散液(固形分濃度5.0質量%)
表1に記載した結果から明らかなように、熱硬化性樹脂として、エポキシ化合物とエピスルフィド化合物とを組み合わせて用い、かつ、微細セルロース紛体と、微細セルロース紛体以外のフィラーを併用することにより、低熱膨張係数を維持しつつ、低弾性であり、靱性(柔軟性)および低吸水性が共に優れた硬化物が得られることが確認された。本発明の硬化性樹脂組成物によれば、薄板基材や多層ビルドアップ構造に好適な層間絶縁材を得ることができる。

Claims (4)

  1. エポキシ化合物と、エピスルフィド化合物と、少なくとも一次元が100nmより小さい微細セルロース粉体と、前記微細セルロース粉体以外のフィラーと、を含み、
    前記エピスルフィド化合物の配合量が、前記エポキシ化合物の不揮発成分100質量部に対して5~25質量部であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布、乾燥されてなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  3. 請求項1記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項2記載のドライフィルムの前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とする硬化物。
  4. 請求項3記載の硬化物を備えることを特徴とする電子部品。
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