JP2018123201A - 硬化性樹脂組成物、キーシート用接着剤、及び、キーシート - Google Patents

硬化性樹脂組成物、キーシート用接着剤、及び、キーシート Download PDF

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幸平 竹田
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幸平 竹田
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Abstract

【課題】接着性に優れ、かつ、弾性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供する。また、該硬化性樹脂組成物からなるキーシート用接着剤、及び、該キーシート用接着剤を用いてなるキーシートを提供する。
【解決手段】エピスルフィド化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、エポキシ化合物を含有しないか、又は、エポキシ化合物を前記エピスルフィド化合物と前記エポキシ化合物との合計100重量部中に35重量部以下含有し、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の基材の接着に用いられる硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着性に優れ、かつ、弾性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物からなるキーシート用接着剤、及び、該キーシート用接着剤を用いてなるキーシートに関する。
近年、電子、OA、機械、光学、自動車、医療、保安、スポーツ等の分野において、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレートのような高機能性プラスチックが使用されている。例えば、ポリカーボネートは、耐衝撃性、透明性、広い使用温度範囲、成型時の寸法精度等の優れた性質を有するため、様々な用途に使用されている。
携帯情報端末、家電製品用リモコン、各種キーボード等においては、押圧操作による入力のため、例えば、特許文献1に開示されているようなキーシートが操作面側に配置されている。このようなキーシートでは、通常、ベースシートとキートップとの接続に接着剤が用いられる。
従来、キーシートに用いられる接着剤としては、シリコーン系の接着剤や、特許文献2に開示されているようなアクリル系の接着剤等が用いられていた。しかしながら、従来の接着剤は、接着する基材が上述したような高機能性プラスチックである場合には接着性が不充分であったり、高温高湿環境下に曝された場合に接着性を維持することが困難であったり、硬化物がいわゆるクリック感の発現に必要な弾性に劣るものであったりするという問題があった。
特開2012−138184号公報 特開2008−115341号公報
本発明は、接着性に優れ、かつ、弾性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物からなるキーシート用接着剤、及び、該キーシート用接着剤を用いてなるキーシートを提供する。
本発明は、エピスルフィド化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、エポキシ化合物を含有しないか、又は、エポキシ化合物を上記エピスルフィド化合物と上記エポキシ化合物との合計100重量部中に35重量部以下含有し、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の基材の接着に用いられる硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、驚くべきことに、エピスルフィド化合物を含有し、エポキシ化合物を含有しないか、又は、エポキシ化合物を特定量以下で含有する硬化性樹脂組成物は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の基材を接着する際の接着性に優れ、かつ、弾性に優れる硬化物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エピスルフィド化合物を含有する。
上記エピスルフィド化合物を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の基材を接着する際の接着性に優れ、かつ、硬化物が弾性に優れるものとなる。
上記エピスルフィド化合物は、製造方法によっては一部にエピスルフィドオリゴマーを含むことがあるが、保存安定性の観点から、上記エピスルフィドオリゴマーの含有割合が2重量%未満であることが好ましく、上記エピスルフィドオリゴマーを含まないことが最も好ましい。
なお、本明細書において上記「エピスルフィドオリゴマー」とは、エピスルフィド基を有するモノマーの重合により得られる、重合度が2〜10の化合物を意味する。
また、上記エピスルフィド化合物中における上記エピスルフィドオリゴマーの含有割合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記エピスルフィドオリゴマーの含有割合が2重量%未満であるエピスルフィド化合物としては、例えば、テトラアルキルチオ尿素又はトリアルキルチオ尿素からなる硫化剤を用いてエポキシ化合物のエポキシ基をエピスルフィド基に変換することにより得られるエピスルフィド化合物等が挙げられる。
上記エピスルフィド化合物としては、接着性、硬化性、及び、硬化物の耐熱性の観点から、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、及び、下記式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、下記式(4)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2018123201
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R〜Rは、水素又は下記式(5)で表される基を表し、かつ、R〜Rのうち少なくとも2つは水素である。
Figure 2018123201
式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R〜R14は、水素又は下記式(5)で表される基を表し、かつ、R〜R14のうち少なくとも4つは水素である。
Figure 2018123201
式(3)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R17〜R24は、水素又は下記式(5)で表される基を表し、かつ、R17〜R24のうち少なくとも6つは水素である。
Figure 2018123201
式(4)中、R25及びR26は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R27及びR28は、それぞれ独立して水素又はメチル基である。
Figure 2018123201
式(5)中、*は、結合位置を表し、R29は、炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
上記式(1)で表される化合物としては、下記式(6)で表される化合物が好ましく、下記式(7)で表される化合物がより好ましい。
上記式(2)で表される化合物としては、下記式(8)で表される化合物が好ましく、下記式(9)で表される化合物がより好ましい。
上記式(3)で表される化合物としては、下記式(10)で表される化合物が好ましい。
上記式(4)で表される化合物としては、下記式(11)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018123201
式(6)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R〜Rは、水素又は上記式(5)で表される基を表し、かつ、R〜Rのうち少なくとも2つは水素である。
Figure 2018123201
式(7)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
Figure 2018123201
式(8)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R〜R14は、水素又は上記式(5)で表される基を表し、かつ、R〜R14のうち少なくとも4つは水素である。
Figure 2018123201
式(9)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
Figure 2018123201
式(10)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
Figure 2018123201
式(11)中、R25及びR26は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R27及びR28は、それぞれ独立して水素又はメチル基である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ化合物を上記エピスルフィド化合物と上記エポキシ化合物との合計100重量部中に35重量部以下含有してもよい。
上記エポキシ化合物を上述した含有割合となるように上記エピスルフィド化合物と組み合わせて用いることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の基材を接着する際の接着性に優れ、かつ、硬化物が弾性により優れるものとなる。
上記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールO型エポキシ化合物、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、スルフィド型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、アルキルポリオール型エポキシ化合物、ゴム変性型エポキシ化合物、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。なかでも、入手容易性や接着性等の観点から、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物が上記エポキシ化合物を含有する場合、上記エピスルフィド化合物と上記エポキシ化合物との合計100重量部中における上記エポキシ化合物の含有量の上限は35重量部である。上記エポキシ化合物の含有量が35重量部以下であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の基材に対する接着性に優れ、かつ、硬化物が弾性により優れるものとなる。上記エポキシ化合物の含有量の好ましい上限は30重量部である。
また、上記エポキシ化合物の含有量の好ましい下限は10重量部である。
上記エポキシ化合物を含有する場合、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有することが好ましい。
上記硬化剤としては、例えば、フェノール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。なかでも、フェノール系硬化剤が好ましい。
上記フェノール系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエンフェノール、アラルキルフェノール、トリスフェノール、テトラキスフェノール、レゾール型フェノール、ビフェニルジメチレン型フェノール、フェノール樹脂−シリカハイブリッド、及び、これらの誘導体、変性体等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールAのアリル変性体であるジアリルビスフェノールAが好ましい。
上記硬化剤のうち市販されているものとしては、例えば、MEH−8000H、MEH−8005(いずれも明和化成社製)等が挙げられる。
上記硬化剤の含有量は、上記エピスルフィド化合物と上記エポキシ化合物との合計100重量部に対して、好ましい上限が10重量部である。上記硬化剤の含有量が10重量部以下であることにより、硬化物中に残存した未反応の硬化剤を原因とする耐湿熱試験後の接着性の低下を抑制することができる。上記硬化剤の含有量のより好ましい上限は6重量部である。
また、硬化性の観点から、本発明の硬化性樹脂組成物中における上記硬化剤の含有量の好ましい下限は0.4重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することが好ましい。
上記硬化促進剤としては、反応速度に優れる等の観点から、イミダゾール系硬化促進剤が好適に用いられる。
上記イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記硬化促進剤のうち市販されているものとしては、例えば、フジキュアー7000、フジキュアー7001、フジキュアー7002(いずれもT&K TOKA社製)等が挙げられる。
上記硬化促進剤の含有量は、上記エピスルフィド化合物と上記エポキシ化合物との合計100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が20重量部である。上記硬化促進剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化性により優れるものとなる。上記硬化促進剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は10重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、増粘剤を含有することが好ましい。
上記増粘剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、好適な粘度やチクソ性を有するものとなり、塗布性や塗布後の形状保持性により優れるものとなる。
上記増粘剤は、一次粒子径の好ましい下限が1nm、好ましい上限が50nmである。上記増粘剤の一次粒子径がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が塗布性及び塗布後の形状保持性により優れるものとなる。上記増粘剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は30nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は20nmである。
なお、上記増粘剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記増粘剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
また、上記増粘剤は、本発明の硬化性樹脂組成物中において二次粒子(一次粒子が複数集まったもの)として存在する場合があり、このような二次粒子の粒子径の好ましい下限は5nm、好ましい上限は500nm、より好ましい下限は10nm、より好ましい上限は100nmである。上記増粘剤の二次粒子の粒子径は、本発明の硬化性樹脂組成物又はその硬化物を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することにより測定することができる。
上記増粘剤としては、無機増粘剤が好ましく、例えば、シリカ、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、シリカが好ましい。
上記増粘剤は、疎水性表面処理がなされていることが好ましい。上記疎水性表面処理により、得られる硬化性樹脂組成物が塗布後の形状保持性により優れるものとなる。
上記疎水性表面処理としては、シリル化処理、アルキル化処理、エポキシ化処理等が挙げられる。なかでも、形状保持性を向上させる効果に優れることから、シリル化処理が好ましく、トリメチルシリル化処理がより好ましい。
上記増粘剤を疎水性表面処理する方法としては、例えば、シランカップリング剤等の表面処理剤を用いて、増粘剤の表面を処理する方法等が挙げられる。
具体的には例えば、上記トリメチルシリル化処理シリカは、例えば、シリカをゾルゲル法等の方法で合成し、シリカを流動させた状態でヘキサメチルジシラザンを噴霧する方法、アルコール、トルエン等の有機溶媒中にシリカを加え、更に、ヘキサメチルジシラザンと水とを加えた後、水と有機溶媒とをエバポレーターで蒸発乾燥させる方法等により作製することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物100重量部中における上記増粘剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記増粘剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が塗布性及び塗布後の形状保持性により優れるものとなる。上記増粘剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は8重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、無機充填剤を含有してもよい。
上記無機充填剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の線膨張率が低下し、応力及びクラックの発生を良好に防止することができる。
上記無機充填剤としては、粒子状の無機充填剤が好ましく、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ガラスパウダー、ガラスフリット等が挙げられる。
上記無機充填剤として粒子状の無機充填剤を用いる場合、平均粒子径の好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は30μmである。上記無機充填剤の平均粒子径がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の応力及びクラックの発生をより良好に防止することができる。
上記無機充填剤のうち市販されているものとしては、例えば、SE4050、SE2050、SE2050−SPJ、SE2050−SMJ、SE2050−STJ、SE1050−SPT、SE1050−SMT、SE1050−STT、YA050C−SP3(いずれもアドマテックス社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物100重量部中における上記無機充填剤の含有量の好ましい下限は50重量部、好ましい上限は75重量部である。上記無機充填剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の応力及びクラックの発生をより良好に防止できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、溶剤、安定剤、イオン捕捉剤、シランカップリング剤等のその他の添加剤を含有してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、エピスルフィド化合物と、エポキシ化合物と、硬化剤と、必要に応じて添加する硬化促進剤等とを混合する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の基材の接着に用いられる。なかでも、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートのうちの異なる2種の基材の接着に好適に用いられる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、接着性及び硬化物の弾性に優れるため、ベースシートとキートップとを接続するためのキーシート用接着剤として好適に用いられる。本発明の硬化性樹脂組成物からなるキーシート用接着剤もまた、本発明の1つである。
更に、ベースシート、キートップ、及び、該ベースシートと該キートップとを接続する接続部とを備え、上記接続部は、本発明のキーシート用接着剤の硬化物を有するキーシートもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、接着性に優れ、かつ、弾性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物からなるキーシート用接着剤、及び、該キーシート用接着剤を用いてなるキーシートを提供することができる。
図1は、十字押し剥離試験の試験方法を示す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(ビスフェノールF型エピスルフィド化合物の作製)
撹拌機、冷却機、及び、温度計を備えた2Lの容器内に、エタノール250mLとトリメチルチオ尿素(大内新興化学社製)20gとを加え、トリメチルチオ尿素を溶解させ、第1の溶液を調製した。その後、容器内の温度を20℃〜25℃の範囲内に保持し、第1の溶液を撹拌しながら、該第1の溶液に、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(DIC社製、「EPICLON EXA−830CRP」)160gをトルエン200mLに分散した溶液を、5mL/分の速度で滴下した。滴下後、更に30分間撹拌し、エポキシ化合物含有溶液を得た。
次に、エタノール100mLにトリメチルチオ尿素20gを溶解させた第2の溶液を調製した。得られたエポキシ化合物含有溶液に、調製した第2の溶液を5mL/分の速度で添加した後、30分間撹拌した。撹拌後、再度調製した第2の溶液を5mL/分の速度で更に添加し、30分間撹拌した。その後、容器内の温度を10℃に冷却して2時間撹拌し、ビスフェノールFジグリシジルエーテルとトリメチルチオ尿素とを反応させた。
次に、容器内に飽和食塩水100mLを加え、10分間撹拌した。撹拌後、容器内にトルエン300mLを加え、10分間撹拌した。その後、容器内の溶液を分液ロートに移して2時間静置し、溶液を分離した。分液ロート内の上澄み液を取り出し、トルエン100mLを加えて撹拌し、2時間静置した。更に、トルエン100mLを加えて撹拌し、2時間静置した後、硫酸マグネシウム50gを加えて5分間撹拌した。撹拌後、ろ紙により硫酸マグネシウムを取り除き、真空乾燥機を用いて溶液を80℃で減圧乾燥することにより、残存している溶剤を除去し、ビスフェノールFジグリシジルエーテルの全てのエポキシ基がエピスルフィド基に変換されたビスフェノールF型エピスルフィド化合物を得た。
なお、得られたビスフェノールF型エピスルフィド化合物の構造は、クロロホルムを溶媒としたH−NMRの測定により確認した。また、GPC測定により、得られたビスフェノールF型エピスルフィド化合物に含まれるエピスルフィドオリゴマーの含有割合は0.2重量%であった。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
表1、2に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて撹拌混合することにより実施例1〜7、比較例1〜3の硬化性樹脂組成物を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
なお、表中、「PET」はポリエチレンテレフタレートを示し、「PA」はポリアミドを示し、「PC」はポリカーボネートを示し、「PMMA」はポリメチルメタクリレートを示す。
(引張せん断試験)
JIS K 6850の接着剤の引張せん断接着強さ試験方法に準じて、表1、2に示した基材の一方に実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を塗布した後、他方の基材を貼り合わせ、オーブンにて100℃で60分間加熱することにより硬化性樹脂組成物を硬化させて試験片を作製した。加熱によりソリが発生する基材については、SUS板で両端を補強してから加熱した。
得られた試験片について、テンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製、「RTC−1350A」)を用い、23℃、50%RHの雰囲気下で、試験速度2mm/minで引張せん断接着強さを測定した。また、同様にして作製した試験片について、60℃、60%RHの恒温恒湿槽(エスペック社製、「PR−2KP」)に40時間静置する耐湿熱試験を行った後、引張せん断接着強さを測定した。
(十字押し剥離試験)
上記「(引張せん断試験)」で用いた基材と同種の基材を用意し、一方の基材の中央部に、実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を塗布した後、他方の基材を一方の基材と交差(十字状に)配置して貼り合わせた後、オーブンにて100℃で60分間加熱することにより硬化性樹脂組成物を硬化させて試験片を作製した。加熱によりソリが発生する基材については、SUS板で両端を補強してから加熱した。
得られた試験片について、卓上形精密万能試験機(島津製作所社製、「オートグラフAGS−1kNX」)を用い、23℃、50%RHの雰囲気下で、試験速度5mm/minで圧縮両端押し治具を用いた十字押し剥離試験を行った。図1は、十字押し剥離試験の試験方法を示す模式図である。十字押し剥離試験における剥離最大荷重と基材の剥離面の接着面積とから、以下の式にて剥離強さを導出した。また、同様にして作製した試験片について、60℃、60%RHの恒温恒湿槽(エスペック社製、「PR−2KP」)に40時間静置する耐湿熱試験を行った後、十字押し剥離試験を行い、剥離強さを導出した。
剥離強さ(MPa)=剥離最大荷重(N)/剥離面の接着面積(mm
(粘弾性試験)
得られた各硬化性樹脂組成物を、厚み50μmの離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの離型処理面に、厚さが100μmになるように耐熱テープで作製した流し型に注入し、そこに離型PETフィルムを重ね合わせ、両側をSUS板で固定した状態でオーブンにて100℃で60分間加熱することにより硬化性樹脂組成物を硬化させて試験片を作製した。
得られた試験片について、動的粘弾性測定装置(IT計測制御社製、「DVA−200」)を用いて、測定温度−50℃〜200℃、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、歪み0.1%、引張りモードの条件で動的粘弾性測定を行い、23℃における貯蔵弾性率を測定した。
(クリック感)
ポリエチレンテレフタレート(PET)シートからなるベースシート上に、実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を介してポリカーボネート製のキートップを配置した後、各硬化性樹脂組成物を硬化(実施例1〜7及び比較例1、2の各硬化性樹脂組成物については100℃で60分間加熱することにより硬化、比較例3の硬化性樹脂組成物については波長365nmの光を500mJ/cm照射することにより硬化)させてキーシートを作製した。
得られたキーシートのキートップを押圧した際、押圧したことを認識できる確かな感触があった場合を「○」、押圧したことを認識できる感触が曖昧であった場合を「△」、押圧したことを認識できる感触がなかった場合を「×」としてクリック感を評価した。
Figure 2018123201
Figure 2018123201
本発明によれば、接着性に優れ、かつ、弾性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物からなるキーシート用接着剤、及び、該キーシート用接着剤を用いてなるキーシートを提供することができる。
1 圧縮両端押し治具
2 試験片

Claims (5)

  1. エピスルフィド化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
    エポキシ化合物を含有しないか、又は、エポキシ化合物を前記エピスルフィド化合物と前記エポキシ化合物との合計100重量部中に35重量部以下含有し、
    ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、及び、ポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の基材の接着に用いられる
    ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. エピスルフィド化合物は、エピスルフィドオリゴマーの含有割合が2重量%未満であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. エピスルフィド化合物とエポキシ化合物と硬化剤とを含有し、
    前記硬化剤の含有量が、前記エピスルフィド化合物と前記エポキシ化合物との合計100重量部に対して、10重量部以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物からなることを特徴とするキーシート用接着剤。
  5. ベースシート、キートップ、及び、該ベースシートと該キートップとを接続する接続部とを備え、
    前記接続部は、請求項4記載のキーシート用接着剤の硬化物を有する
    ことを特徴とするキーシート。
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