JP2017082144A - 熱硬化性多層接着シート、および接着方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]熱硬化性樹脂およびその硬化剤を含有する熱硬化性多層接着シートであって、前記熱硬化性樹脂を含み前記硬化剤を含まない主剤層と、前記主剤層の少なくとも一方の主面上に積層された前記硬化剤とバインダー樹脂とを含む硬化剤層とを備えることを特徴とする熱硬化性多層接着シート。
[2][1]に記載の熱硬化性接着シートにおいて、前記熱硬化性樹脂が、75℃以下の軟化点を有する固形状多官能エポキシ樹脂を含むことを特徴とする熱硬化性多層接着シート。
[3][2]に記載の熱硬化性多層接着シートにおいて、前記固形状多官能エポキシ樹脂が、下記一般式(1)
で表されるビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂であることを特徴とする熱硬化性多層接着シート。
[4][2]または[3]に記載の熱硬化性多層接着シートにおいて、前記硬化剤が、ジシアンアミドまたはその誘導体を含むことを特徴とする熱硬化性多層接着シート。
[5][2]乃至[4]のいずれかに記載の熱硬化性多層接着シートにおいて、前記硬化剤層が、80℃以下の軟化点を有するバインダー樹脂を含むことを特徴とする熱硬化性多層接着シート。
[6][5]に記載の熱硬化性多層接着シートにおいて、前記バインダー樹脂が、脂肪族系石油樹脂を含むことを特徴とする熱硬化性多層接着シート。
[7]接着すべき被着体間に、[1]乃至[6]のいずれかに記載の熱硬化性多層接着シートを挿入し、加熱加圧硬化させることを特徴とする接着方法。
<主剤層>
主剤層は、典型的には熱硬化性樹脂を含有し、かつこの熱硬化性樹脂に対し硬化作用を有する硬化剤を含有しない層である。主剤層は、熱硬化性樹脂を含み、硬化剤を含有しない組成物(以下、主剤組成物と称する)から構成される。
主剤組成物に含有される熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でもエポキシ樹脂が好ましい。
[軟化点の測定]
JIS K2207に基づいて、規定の環に試料を充填し、これを水浴またはグリセリン浴中で水平に支え、試料の中央に規定の球を置いて浴温を毎分5℃の速さで上昇させ、球を包み込んだ試料が環台の底板に接触した時の温度を読み取り、軟化点とする。
主剤組成物には、上記熱硬化性樹脂以外の成分として無機フィラーを含有させることが好ましい。
無機フィラーとしては特に制限はなく、通常用いられているものを使用することができる。その具体例としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、破砕シリカ、合成シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム等の酸化物粉末;炭酸カルシウム;水酸アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物粉末;窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化ケイ素等の窒化物粉末等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
なお、無機フィラーとして金属水酸化物を用いた場合、当該無機フィラーは難燃剤としても機能する。
上記無機フィラーは、その一部を後述する硬化剤層に含有させてもよい。
主剤組成物には、他の任意成分として、本発明の効果を阻害しない範囲で、難燃剤;シリコーンゴム、シリコーンゲル等の粉末、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂等の低応力化剤;n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジエポキシド、フェノール、クレゾール、t−ブチルフェノール等の粘度降下用希釈剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイル等の濡れ向上剤;消泡剤等を含有させることができる。
硬化剤層は、上述の主剤層に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤と、バインダー樹脂とを含有する層で、典型的には、バインダー樹脂中に硬化剤を溶解または分散した層である。硬化剤層は、硬化剤およびバインダー樹脂を含む組成物(以下、硬化剤組成物と称する)から構成される。
硬化剤組成物に含有される硬化剤は、上記熱硬化性樹脂に対し硬化作用を有するものであればよく、例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用した場合、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸等の酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ポリパラビニルフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等のフェノール樹脂硬化剤;ジシアンジアミド、アルミニウムキレート、BF3等のルイス酸のアミン錯体等の潜在性硬化剤等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の目的のためには、硬化剤として特にジシアンジアミドの使用が好ましく、ジシアンジアミドの単独使用がより好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤としてジシアンジアミドを使用する場合、その含有量は、硬化性および硬化物の物性のバランス等の点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、通常1〜20質量部、好ましくは6〜12質量部である。
硬化剤組成物に含有されるバインダー樹脂としては、粘着付与樹脂として知られる、ロジン系、テルペン系、重合樹脂系、縮合樹脂系等の樹脂が使用される。ロジン系樹脂としては、ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂等が挙げられ、テルペン系樹脂としては、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。また、重合樹脂系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環系石油樹脂等が挙げられ、縮合樹脂系樹脂としては、クマロン−インデン樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
70〜80℃の軟化点を有するものがより好ましい。このように、使用するエポキシ樹脂に近似した、またはそれ以下の軟化点を有するバインダー樹脂を用いることにより、加熱溶融時にエポキシ樹脂と混合しやすく、エポキシ樹脂を速やかに硬化させることができる。80℃以下の軟化点を有する、バインダー樹脂に好適な樹脂としては、例えば、日本ゼオン(株)製の脂肪族系石油樹脂、Quintone B170(軟化点70℃)(商品名)等が挙げられる。
なお、上記バインダー樹脂の軟化点は、前述した、固形状多官能エポキシ樹脂と同様の方法による測定値である。
バインダー樹脂の含有量は、硬化促進性および硬化物の物性のバランス等の点から、熱硬化性樹脂100質量部に対して、通常10〜50質量部、好ましくは20〜40質量部である。
硬化剤組成物には、上記硬化剤およびバインダー樹脂以外の成分として硬化促進剤を含有させることが好ましい。
硬化促進剤としては特に制限はなく、例えば、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂の硬化促進剤として一般に使用されているものの中から任意に選択して使用することができる。その具体例としては、芳香族ジメチルウレア、脂肪族ジメチルウレア等のウレア類;2‐ヘプタデシルイミダゾール、2‐メチルイミダゾール、2‐エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2‐フェニルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチルイミダゾール、4‐メチルイミダゾール、4‐エチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐ヒドロキシメチルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、α‐メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2‐(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(p‐メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2‐ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の有機ホスフィン類;BF3のアミン錯体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
エポキシ樹脂硬化促進剤の含有量は、硬化促進性および硬化物の物性のバランス等の点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは6〜12質量部である。
なお、硬化促進剤は、その一部または全部を前述の主剤層に含有させてもよいが、長期に亘って安定して保存できること、すなわち保存安定性の点からは硬化剤層にのみ含有させることが好ましい。
硬化剤組成物には、充填性の点から、必要に応じてカップリング剤を含有させることができる。カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系等のカップリング剤が挙げられるが、これらのなかでもシラン系カップリング剤が好ましい。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が好ましく用いられる。
カップリング剤の含有量は、主剤組成物および硬化剤組成物全体に対して、通常0.03〜5.0質量%程度、好ましくは0.1〜2.5質量%である。
なお、カップリング剤は場合によりその一部または全部を前述の主剤層に含有させてもよい。
硬化剤組成物には、他の任意成分として、本発明の効果を阻害しない範囲で、難燃剤;シリコーンゴム、シリコーンゲル等の粉末、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂等の低応力化剤;ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイル等の濡れ向上剤;消泡剤等を含有させることができる。
本発明の熱硬化性多層接着シートは、例えば下記のようにして製造することができる。
まず、前述した主剤組成物成分である熱可塑性樹脂、および必要に応じて配合される各種任意成分を高速混合機、二本ロール、ニーダ、連続混練装置等で十分混練して主剤組成物を得る。次に、得られた主剤組成物を離型紙、離型フィルム等の剥離性部材上に略均一な厚さになるように供給して主剤組成物層を形成する。必要に応じてさらに、成形機にて温度50〜100℃程度、圧力0.5〜1.5MPa程度の条件でプレスする。その際、主剤組成物層上にも剥離性部材を配置する。プレス後、冷却固化し、剥離性部材を剥離し、さらに必要に応じて所望の大きさ、形状に切断し、シート状主剤組成物(以下、単に「主剤シート」ともいう)を作製する。主剤シートの厚さは、通常3〜100μm、好ましくは5〜80μmである。
すなわち、この熱硬化性多層接着シートは、シート自体の取り扱い性、成形性が良好で、かつ作業性にも優れている。
この熱硬化性多層接着シートは、被着体間、例えば電子部品と基板の間に挿入して加熱加圧することで、それらを短時間に、かつ高い接着強度をもって接着することができる。また、その際、大掛かりな設備を使用せずに電子機能部を有する電子部品を基板に接着することができるため、電子部品装置の製造コストを低減することができる。
次に、本発明の熱硬化性多層接着シートを用いて被着体を接着する方法について説明する。ここでは、電子部品と基板の接着を例に説明する。
基板に実装された電子部品を備えた回路部品装置の電子部品と基板との隙間に、本発明の熱硬化性多層接着シートを挿入する。次いで、熱硬化性接着シートを80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃の温度に加熱加圧して、該熱硬化性多層接着シートを流動化させ、電子部品と基板との隙間に充填した後、さらに100〜180℃の温度で0.5〜2時間程度加熱して、流動化させた熱硬化性多層接着シートを加熱硬化させる。これにより被着体同士、すなわち電子部品と基板が接着された回路部品装置を得ることができる。
このようにして得られる回路部品装置においては、熱硬化性多層接着シートの硬化物に反りやねじれの発生が少ないため、電子部品周りに未充填箇所が発生せず、被着体同士、すなわち、電子部品と基板との間が強固に接着され、高い信頼性を具備することができる。
表1に示すエポキシ樹脂I〜III、無機フィラー、低応力化剤、硬化剤I、硬化促進剤、バインダー樹脂I、およびシランカップリング剤を用いて、表2に示す配合組成の主剤組成物および硬化剤組成物を調製した。調製は、それぞれの原料を表2に示す配合組成となるようにニーダに仕込み、70℃で1時間撹拌混合することにより行った。
主剤組成物および硬化剤組成物の各配合組成を表2に示すように変え、さらに、実施例2、3、7については、これらの組成物の剥離紙上への塗布量を変えることによって、主剤シートおよび硬化剤シートの厚さが表2に示すような厚さになるようにした以外は実施例1と同様にして、主剤組成物および硬化剤組成物をそれぞれ調製し、得られた組成物を用いて主剤シートおよび硬化剤シートを作製し、さらに得られた主剤シートおよび硬化剤シートを用いて、2層構造の熱硬化性多層接着シートを作製した。
表1に示すエポキシ樹脂I〜III、無機フィラー、低応力化剤、硬化剤I、硬化促進剤、およびシランカップリング剤を用いて、表3に示すような硬化剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を調製した。調製は、実施例1の各組成物と同様、原料を表2に示す配合組成となるようにニーダに仕込み、70℃で1時間撹拌混合することにより行った。
次いで、得られた熱硬化性樹脂組成物を離型紙で挟んで、成形機により、温度70℃、圧力1.0MPaの条件でプレス成形して、厚さ0.020mm(=20μm)の熱硬化性接着シートを作製した。
(比較例2、3)
熱硬化性樹脂組成物の配合組成を表3に示すように変えるとともに、組成物の剥離紙上への塗布量を変えることによって、厚さが表3に示すような厚さになるようにした以外は比較例1と同様にして、熱硬化性接着シートを作製した。
(1)ゲルタイム
作製直後の熱硬化性接着シートから切り出した所定量の試料シートを150℃の熱盤上で溶融混合し、ゲル状になりかき混ぜられなくなるまでの時間を測定した(初期)。また、40℃で10時間保管した後の熱硬化性接着シートについて同様にしてゲルタイムを測定した。
(2)溶融時の流動性
作製直後の熱硬化性接着シートから切り出した縦横各50mm、厚さ2mmの試料シートを2枚の離型紙に挟んで成型機に入れ、温度70℃、圧力2MPaの条件でプレス成形し、プレス成形後の樹脂流れを測定した(初期)。また、40℃で10時間保管した後の熱硬化性接着シートについて同様にしてゲルタイムを測定した。
(3)ガラス転移点
熱硬化性接着シートを加圧しながら100℃で2時間加熱し硬化させて得た硬化物からスティック状のサンプルを作製し、熱分析装置(TMA)(セイコーインスツル(株)製 製品名 TMA SS−150)により、昇温速度10℃/分の条件で室温から200℃まで昇温してTMAチャートを測定し、2接線の交点から求めた。
(4)接着強度
1cm幅の銅箔(GYKMP−35μm)をマット面で熱硬化性接着シートと密着させ、100℃の乾燥機中で2時間加熱し硬化させた。その後、ピール試験機を用いて、引き剥がし速度5cm/秒で銅箔を引き剥がし、接着強度(kN/m)を測定した。
Claims (7)
- 熱硬化性樹脂およびその硬化剤を含有する熱硬化性多層接着シートであって、前記熱硬化性樹脂を含み前記硬化剤を含まない主剤層と、前記主剤層の少なくとも一方の主面上に積層された前記硬化剤とバインダー樹脂とを含む硬化剤層とを備えることを特徴とする熱硬化性多層接着シート。
- 前記熱硬化性樹脂が、75℃以下の軟化点を有する固形状多官能エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の熱硬化性多層接着シート。
- 前記硬化剤が、ジシアンアミドまたはその誘導体を含むことを特徴とする請求項2または3記載の熱硬化性多層接着シート。
- 前記硬化剤層が、80℃以下の軟化点を有するバインダー樹脂を含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の熱硬化性多層接着シート。
- 前記バインダー樹脂が、脂肪族系石油樹脂を含むことを特徴とする請求項5記載の熱硬化性多層接着シート。
- 接着すべき被着体間に、請求項1乃至6のいずれか1項記載の熱硬化性多層接着シートを挿入し、加熱加圧硬化させることを特徴とする接着方法。
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