JP7116922B2 - 接着構造体及びその製造方法 - Google Patents

接着構造体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7116922B2
JP7116922B2 JP2019029539A JP2019029539A JP7116922B2 JP 7116922 B2 JP7116922 B2 JP 7116922B2 JP 2019029539 A JP2019029539 A JP 2019029539A JP 2019029539 A JP2019029539 A JP 2019029539A JP 7116922 B2 JP7116922 B2 JP 7116922B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive
layer
polymer
resin
polyamide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019029539A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020131592A (ja
Inventor
由香 山田
隆行 平井
久人 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2019029539A priority Critical patent/JP7116922B2/ja
Publication of JP2020131592A publication Critical patent/JP2020131592A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7116922B2 publication Critical patent/JP7116922B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、接着構造体及びその製造方法に関し、より詳しくは、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材を含有する接着構造体及びその製造方法に関する。
難接着性材料であるポリアミド樹脂からなる基材を接着する方法としては基材表面のポリアミド樹脂を溶剤で溶解しながら接着する方法が知られている。例えば、特表平4-506977(特許文献1)には、ポリアミド樹脂材料の表面に、溶剤として作用するカルバクロールとチモールとの混合物を塗布して被接着部材に接着する方法が記載されている。この方法では、カルバクロールとチモールとの混合物を塗布したポリアミド樹脂材料の表面に脆弱な層が形成されるため、ポリアミド樹脂材料の表層破壊が起こり、良好な接着状態が得られないという問題があった。また、カルバクロールとチモールとの混合物は臭いが強く、室温で液体であるため、取扱いにくいという問題もあった。
また、特開2003-89773号公報(特許文献2)には、溶剤としてフェノール系化合物を含有する接着剤を用いてポリアミド樹脂材料と被接着部材とを接着する方法が記載されている。この方法では、接着剤層中にフェノール系化合物が存在しているため、フェノール系化合物がポリアミド樹脂材料と接着剤層との界面において効果的に作用せず、十分な接着強度や良好な接着状態が得られないという問題があった。
特表平4-506977 特開2003-89773号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材と被接着部材とを優れた接着強度かつ良好な接着状態で接着した接着構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材の表面にフェノール性水酸基を有する重合体からなる層を形成し、この重合体からなる層の表面にエポキシ樹脂系接着剤層を形成することによって、前記基材と被接着部材とを優れた接着強度かつ良好な接着状態で接着できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の接着構造体は、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材と、前記基材の表面に配置されたフェノール性水酸基を有する重合体からなる層と、前記重合体からなる層の表面に配置されたエポキシ樹脂系接着剤層と、前記接着剤層の表面に配置された被接着部材と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明の接着構造体においては、前記フェノール性水酸基を有する重合体がノボラック型フェノール樹脂であることが好ましく、また、前記接着剤層が一液型エポキシ樹脂系接着剤により形成されたものであることが好ましい。
また、本発明の接着構造体の製造方法は、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材の表面に、フェノール性水酸基を有する重合体を含有する溶液又は前記重合体の溶融物を塗布して前記重合体からなる層を形成する工程と、前記重合体からなる層の表面に、エポキシ樹脂系接着剤を塗布して接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層の表面に、被接着部材を配置する工程と、前記接着剤層を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする方法である。
なお、本発明の接着構造体において、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材と被接着部材とが優れた接着強度かつ良好な接着状態で接着している理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の接着構造体においては、ポリアミド樹脂からなる表面にフェノール性水酸基を有する重合体からなる層が形成されている。このフェノール性水酸基を有する重合体は、エポキシ樹脂系接着剤の硬化剤として作用し、さらに、この作用が、前記重合体からなる層とエポキシ樹脂系接着剤との界面において効果的に発揮されるため、前記重合体からなる層とエポキシ樹脂系接着剤との接着強度が高くなると推察される。また、フェノール性水酸基はポリアミド樹脂のアミド結合との相溶性が高く、フェノール性水酸基を有する重合体がポリアミド樹脂からなる表面に対してエポキシ樹脂系接着剤を塗布する際のプライマーとして作用するため、前記重合体からなる層とポリアミド樹脂からなる表面との接着強度も高くなると推察される。さらに、フェノール性水酸基を有する重合体はポリアミド樹脂からなる表面上に層として存在しており、ポリアミド樹脂が溶解せず、その表面に膨潤したような脆弱な層が形成されないため、良好な接着状態が得られると推察される。
本発明によれば、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材と被接着部材とを優れた接着強度かつ良好な接着状態で接着した接着構造体を得ることが可能となる。
実施例1で形成したノボラック型フェノール樹脂層の表面を示す光学顕微鏡写真である。 比較例1においてイソプロピルアルコールで脱脂した炭素繊維強化ポリアミド樹脂板の表面を示す光学顕微鏡写真である。 比較例2においてカルバクロールとチモールとをコートした炭素繊維強化ポリアミド樹脂板の表面を示す光学顕微鏡写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の接着構造体は、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材と、前記基材の表面に配置されたフェノール性水酸基を有する重合体からなる層と、前記重合体からなる層の表面に配置されたエポキシ樹脂系接着剤層と、前記接着剤層の表面に配置された被接着部材と、を備えるものである。
また、本発明の接着構造体の製造方法は、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材の表面に、フェノール性水酸基を有する重合体を含有する溶液又は前記重合体の溶融物を塗布して前記重合体からなる層を形成する工程と、前記重合体からなる層の表面に、エポキシ樹脂系接着剤を塗布して接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層の表面に、被接着部材を配置する工程と、前記接着剤層を硬化させる工程と、を含む方法である。
先ず、本発明に用いられる基材、フェノール性水酸基を有する重合体、エポキシ樹脂系接着剤、被接着部材について説明する。
(基材)
本発明に用いられる基材としては、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなるものであれば特に制限はなく、基材全体がポリアミド樹脂又はその組成物からなるものであっても、他の基材の表面にポリアミド樹脂又はその組成物からなる層を形成したものであってもよい。
本発明に用いられるポリアミド樹脂としては特に制限はなく、例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミド612、ポリアミドMXD6、及びこれらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミド樹脂の中でも、前記基材と被接着部材との接着強度が向上するという観点から、結晶性ポリアミド樹脂が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6が特に好ましい。
また、本発明に用いられる基材においては、ポリアミド樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維が配合されていてもよい。このような強化繊維は連続繊維であっても、分散した繊維であってもよい。本発明の接着構造体においては、基材の表面に配置されたフェノール性水酸基を有する重合体がポリアミド樹脂を溶解しないため、ポリアミド樹脂に前記強化繊維が配合されていても、前記基材と被接着部材との接着強度は、前記強化繊維によって低下することはなく、維持される。
(フェノール性水酸基を有する重合体)
本発明に用いられるフェノール性水酸基を有する重合体としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ポリビニルフェノール等が挙げられる。これらの重合体の中でも、ポリアミド樹脂との接着性の観点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
このようなフェノール性水酸基を有する重合体の重量平均分子量としては特に制限はないが、400~10000が好ましく、500~8000がより好ましく、600~6000が特に好ましい。前記重合体の重量平均分子量が前記下限未満になると、前記重合体からなる層が脆弱となり、また、ポリアミド樹脂のガラス転移温度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記重合体の粘度が高くなり、塗布性が低下する傾向にある。なお、前記重合体の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。
(エポキシ樹脂系接着剤)
本発明に用いられるエポキシ樹脂系接着剤としては特に制限はないが、前記基材と被接着部材との接着強度及び接着状態が向上するという観点から、一液型(加熱硬化型)エポキシ樹脂系接着剤が好ましい。
(被接着部材)
本発明に用いられる被接着部材としては、少なくとも表面がエポキシ樹脂系接着剤により接着できる材料からなるものであれば特に制限はなく、被接着部材全体がエポキシ樹脂系接着剤により接着できる材料からなるものであっても、他の材料からなる部材の表面にエポキシ樹脂系接着剤により接着できる材料からなる層を形成したものであってもよい。
前記エポキシ樹脂系接着剤により接着できる材料としては特に制限はなく、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、チタン、マグネシウム、及びこれらの合金等の金属;ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等の樹脂が挙げられる。
〔接着構造体〕
本発明の接着構造体は、前記基材と、前記基材の表面に配置された前記フェノール性水酸基を有する重合体からなる層と、前記重合体からなる層の表面に配置された前記エポキシ樹脂系接着剤層と、前記接着剤層の表面に配置された被接着部材と、を備えるものである。
このような接着構造体において、前記重合体からなる層の厚さとしては、1μm~5mmが好ましく、5μm~1mmがより好ましく、10μm~500μmが特に好ましい。前記重合体からなる層の厚さが前記下限未満になると、前記重合体と前記エポキシ樹脂系接着剤とが十分に反応せず、前記基材と被接着部材との接着強度が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記重合体からなる層の凝集破壊により、接着構造体の強度が低下する傾向にある。また、このような前記重合体からなる層は、完全な層の状態になっていてもよいが、前記基材中のポリアミド樹脂又は前記エポキシ樹脂系接着剤との混層を形成していてもよい。
また、前記接着構造体において、前記接着剤層の厚さとしては、0.1μm~5mmが好ましく、0.5μm~3mmがより好ましく、1μm~1mmが特に好ましい。前記接着剤層の厚さが前記下限未満になると、均一な接着剤層を形成できない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、接着剤層の加熱硬化時間が長くなる傾向にある。
〔接着構造体の製造方法〕
本発明の接着構造体の製造方法は、前記基材の表面に、前記フェノール性水酸基を有する重合体を含有する溶液又は前記重合体の溶融物を塗布して前記重合体からなる層を形成する工程と、前記重合体からなる層の表面に、前記エポキシ樹脂系接着剤を塗布して接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層の表面に、前記被接着部材を配置する工程と、前記接着剤層を硬化させる工程と、を含む方法である。
前記フェノール性水酸基を有する重合体を含有する溶液又は前記重合体の溶融物を塗布する方法としては、所望の厚さの前記重合体からなる層を形成できる方法であれば特に制限はなく、例えば、スピンコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、スプレー塗布等が挙げられる。
また、前記フェノール性水酸基を有する重合体を含有する溶液における前記重合体の濃度としては特に制限はないが、10~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~60質量%が特に好ましい。前記重合体の濃度が前記下限未満になると、前記重合体からなる層の乾燥時間が長くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、前記重合体を含有する溶液の粘度が高くなり、均一な塗布が困難となる傾向にある。
前記エポキシ樹脂系接着剤を塗布する方法としては、所望の厚さの前記接着剤層を形成できる方法であれば特に制限はなく、例えば、スペーサーを用いて成膜する方法、接着剤中にビーズを含有させて成膜する方法、ドクターブレードにより成膜する方法等が挙げられる。
前記接着剤層を硬化させる際の加熱温度は、使用する前記エポキシ樹脂系接着剤に応じて適宜設定されるが、60~200℃が好ましく、120~180℃が特に好ましい。前記加熱温度が前記下限未満になると、接着剤層が十分に硬化しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸化により接着構造体が劣化するおそれがある。
また、前記接着剤層を硬化させる際の加熱時間は、使用する前記エポキシ樹脂系接着剤に応じて適宜設定されるが、10~60分間が好ましく、20~40分間が特に好ましい。前記加熱時間が前記下限未満になると、接着剤層が十分に硬化しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸化により接着構造体が劣化するおそれがある。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、炭素繊維強化ポリアミド樹脂(ダイセルポリマー株式会社製「プラストロンPA6-CF40」、樹脂:ポリアミド6、炭素繊維含有量:40質量%)を射出成形して作製したポリアミド樹脂板(PA樹脂板、25mm×100mm×2mm厚)の表面に、ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製「AVライトレジンSP1006N」)をメタノールで50質量%に希釈した溶液10mlをスピンコーター(ミカサ株式会社製「1H-D7」)を用いて回転数1200rpmで30秒間スピンコートしてノボラック型フェノール樹脂層を形成した。このノボラック型フェノール樹脂層の表面を光学顕微鏡により観察した。その結果を図1に示す。
次に、前記ノボラック型フェノール樹脂層の表面に、エポキシ樹脂系接着剤と前記ノボラック型フェノール樹脂との質量比が99:1となる量の一液型エポキシ樹脂系接着剤(日本シーカ株式会社製「Sika-Power4588」)を塗布して接着剤層(接着面積:25mm×10mm、接着厚:1mm)を形成し、さらに、この接着剤層の表面に、予め表面をイソプロピルアルコール(IPA)で脱脂したアルミニウム板(25mm×100mm×2mm厚)を配置した後、180℃で30分間加熱して前記接着剤層を硬化させ、接着構造体を作製した。この接着構造体を3個作製した。
(比較例1)
先ず、炭素繊維強化ポリアミド樹脂(ダイセルポリマー株式会社製「プラストロンPA6-CF40」、樹脂:ポリアミド6、炭素繊維含有量:40質量%)を射出成形して作製したポリアミド樹脂板(PA樹脂板、25mm×100mm×2mm厚)の表面を、イソプロピルアルコール(IPA)を含浸させた不織布で拭き、脱脂した。このIPAで脱脂したPA樹脂板の表面を光学顕微鏡により観察した。その結果を図2に示す。
次に、このIPAで脱脂したPA樹脂板の表面に、実施例1と同様にして接着剤層を形成し、さらに、アルミニウム板を配置した後、加熱して接着構造体を作製した。この接着構造体を3個作製した。
(比較例2)
先ず、炭素繊維強化ポリアミド樹脂(ダイセルポリマー株式会社製「プラストロンPA6-CF40」、樹脂:ポリアミド6、炭素繊維含有量:40質量%)を射出成形して作製したポリアミド樹脂板(PA樹脂板、25mm×100mm×2mm厚)の表面に、ポリビニルアルコール(PVA、日本合成化学工業株製「ゴーセノールN-300」)の10%水溶液10mlをスピンコーター(ミカサ株式会社製「1H-D7」)を用いて回転数1200rpmで30秒間スピンコートした。
次に、このPVAをコートしたPA樹脂板の表面に、実施例1と同様にして接着剤層を形成し、さらに、アルミニウム板を配置した後、加熱して接着構造体を作製した。この接着構造体を3個作製した。
(比較例3)
先ず、炭素繊維強化ポリアミド樹脂(ダイセルポリマー株式会社製「プラストロンPA6-CF40」、樹脂:ポリアミド6、炭素繊維含有量:40質量%)を射出成形して作製したポリアミド樹脂板(PA樹脂板、25mm×100mm×2mm厚)の表面に、カルバクロールとチモールとを体積比2:1で混合した溶液10mlをスピンコーター(ミカサ株式会社製「1H-D7」)を用いて回転数1200rpmで30秒間スピンコートした。このカルバクロールとチモールとをコートしたPA樹脂板の表面を光学顕微鏡により観察した。その結果を図3に示す。
次に、このカルバクロールとチモールとコートしたPA樹脂板の表面に、実施例1と同様にして接着剤層を形成し、さらに、アルミニウム板を配置した後、加熱して接着構造体を作製した。この接着構造体を3個作製した。
(比較例4)
先ず、炭素繊維強化ポリアミド樹脂(ダイセルポリマー株式会社製「プラストロンPA6-CF40」、樹脂:ポリアミド6、炭素繊維含有量:40質量%)を射出成形して作製したポリアミド樹脂板(PA樹脂板、25mm×100mm×2mm厚)の表面を、イソプロピルアルコール(IPA)を含浸させた不織布で拭き、脱脂した。
次に、この脱脂したPA樹脂板の表面に、一液型エポキシ樹脂系接着剤(日本シーカ株式会社製「Sika-Power4588」)とノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製「AVライトレジンSP1006N」)とをエポキシ樹脂系接着剤:ノボラック型フェノール樹脂=99:1の質量比で混合した接着剤を塗布して接着剤層(接着面積:25mm×10mm、接着厚:1mm)を形成し、さらに、実施例1と同様にしてアルミニウム板を配置した後、加熱して接着構造体を作製した。この接着構造体を3個作製した。
〔引張せん断接着試験〕
得られた接着構造体について、万能材料試験機(インストロン社製「モデル5566」)を用いて引張速度5mm/minで引張せん断接着試験を行い、最大荷重及びそのときの変位を測定した。得られた最大荷重を接着面積(25mm×10mm)で除して引張せん断強さ(単位:MPa)を求めた。また、最大荷重時の変位を接着幅(10mm)で除して伸び(単位:%)を求めた。この試験を3個の接着構造体について行い、その平均値(n=3)を求めた。その結果を表1に示す。
〔剥離形態の観察〕
引張せん断接着試験後の接着構造体の剥離形態を目視により観察した。その結果を表1に示す。なお、引張せん断接着試験における接着構造体の剥離形態は、母材の断面破断、母材の表層破壊、接着剤層の凝集破壊、界面剥離に大別され、接着剤層の凝集破壊には、接着剤層内部で破壊する場合と接着剤の薄層が残存する場合とがある。母材の断面破断や接着剤層内部で破壊する凝集破壊が起こった場合には、接着強度が接着剤や母材の物性により決まるため、接着強度のばらつきが小さく、良好な接着状態であることを示している。一方、母材の表層破壊や接着剤の薄層が残存する凝集破壊、界面剥離が起こった場合には、界面付近に接着性に影響を及ぼす非常に多くの因子が集まっているため、接着強度のばらつきが大きいことを示している。
Figure 0007116922000001
表1に示したように、実施例1で得られた接着構造体は、引張せん断強さが20MPa以上であり、PA樹脂板とアルミニウム板との接着強度に優れていることがわかった。また、引張せん断接着試験後の接着構造体はPA樹脂板で断面破断しており、PA樹脂板表面にノボラック型フェノール樹脂層を形成することによって良好な接着状態が得られることがわかった。これは、フェノール性水酸基が一液型エポキシ樹脂系接着剤の硬化剤として作用するためと推察される。さらに、図1に示したように、ノボラック型フェノール樹脂層の表面は平滑であり、PA樹脂板の表面はノボラック型フェノール樹脂により侵食されていないことが確認された。
一方、表1に示したように、比較例1で得られた接着構造体は、実施例1で得られた接着構造体に比べて、引張せん断強さ及び伸びが低く、PA樹脂板とアルミニウム板との接着強度に劣ることがわかった。また、引張せん断接着試験後の接着構造体はPA樹脂板と接着剤層との間で界面剥離しており、PA樹脂板表面をIPAで脱脂しても良好な接着状態は得られないことがわかった。これは、図2に示したように、IPAで脱脂したPA樹脂板の表面に炭素繊維による凹凸が存在するためと考えられる。
また、比較例2で得られた接着構造体も、実施例1で得られた接着構造体に比べて、引張せん断強さ及び伸びが低く、PA樹脂板とアルミニウム板との接着強度に劣ることがわかった。また、引張せん断接着試験後の接着構造体はPA樹脂板と接着剤層との間で界面剥離しており、PA樹脂板表面にPVAをコートしても良好な接着状態は得られないことがわかった。これは、酸性度が低いPVAの水酸基が接着効果に寄与しないためと推察される。
さらに、比較例3で得られた接着構造体も、実施例1で得られた接着構造体に比べて、引張せん断強さ及び伸びが低く、PA樹脂板とアルミニウム板との接着強度に劣ることがわかった。また、引張せん断接着試験後の接着構造体はPA樹脂板が表層破壊しており、PA樹脂板表面にカルバクロールとチモールとをコートしても良好な接着状態は得られないことがわかった。これは、図3に示したように、カルバクロールとチモールとをコートしたPA樹脂板の表面において、ポリアミド樹脂が侵食されて炭素繊維がむき出しとなり、PA樹脂板の表層破壊の起点となる脆弱な層が形成されたためと考えられる。
また、比較例4で得られた接着構造体も、実施例1で得られた接着構造体に比べて、引張せん断強さ及び伸びが低く、PA樹脂板とアルミニウム板との接着強度に劣ることがわかった。また、引張せん断接着試験後の接着構造体は、接着剤層の凝集破壊によりPA樹脂板に接着剤の薄層が残存しており、一液型エポキシ樹脂系接着剤にノボラック型フェノール樹脂を配合しても良好な接着状態は得られないことがわかった。これは、フェノール性水酸基が接着剤層中に存在する場合には、フェノール性水酸基がポリアミド樹脂板と接着剤層との界面において効果的に作用しないためと推察される。
以上説明したように、本発明によれば、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材と被接着部材とを優れた接着強度かつ良好な接着状態で接着することが可能となる。
したがって、本発明の接着構造体は、少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材と被接着部材とが優れた接着強度かつ良好な接着状態で接着されているため、航空宇宙部品、自動車の外装及び内装部品、エレクトロニクス部品、建築建材、キッチン用品、スポーツ用品等として有用である。

Claims (4)

  1. 少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材と、
    前記基材の表面に配置されたフェノール性水酸基を有する重合体からなる層と、
    前記重合体からなる層の表面に配置されたエポキシ樹脂系接着剤層と、
    前記接着剤層の表面に配置された被接着部材と、
    を備えていることを特徴とする接着構造体。
  2. 前記フェノール性水酸基を有する重合体がノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の接着構造体。
  3. 前記接着剤層が一液型エポキシ樹脂系接着剤により形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の接着構造体。
  4. 少なくとも表面がポリアミド樹脂からなる基材の表面に、フェノール性水酸基を有する重合体を含有する溶液又は前記重合体の溶融物を塗布して前記重合体からなる層を形成する工程と、
    前記重合体からなる層の表面に、エポキシ樹脂系接着剤を塗布して接着剤層を形成する工程と、
    前記接着剤層の表面に、被接着部材を配置する工程と、
    前記接着剤層を硬化させる工程と、
    を含むことを特徴とする接着構造体の製造方法。
JP2019029539A 2019-02-21 2019-02-21 接着構造体及びその製造方法 Active JP7116922B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019029539A JP7116922B2 (ja) 2019-02-21 2019-02-21 接着構造体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019029539A JP7116922B2 (ja) 2019-02-21 2019-02-21 接着構造体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020131592A JP2020131592A (ja) 2020-08-31
JP7116922B2 true JP7116922B2 (ja) 2022-08-12

Family

ID=72277376

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019029539A Active JP7116922B2 (ja) 2019-02-21 2019-02-21 接着構造体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7116922B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000238218A (ja) 1999-02-18 2000-09-05 Toyobo Co Ltd 易接着性ポリアミドフィルム
JP2006182918A (ja) 2004-12-28 2006-07-13 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd プリプレグ、リジッドフレキシブル基板および多層回路基板
JP2013203023A (ja) 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc ラミネートフィルム
JP2017082144A (ja) 2015-10-30 2017-05-18 京セラ株式会社 熱硬化性多層接着シート、および接着方法
JP2018021203A (ja) 2015-04-10 2018-02-08 株式会社寺岡製作所 接着シート
JP2018161768A (ja) 2017-03-24 2018-10-18 Dic株式会社 複合成形品及びその製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5025929B2 (ja) * 1971-09-03 1975-08-27

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000238218A (ja) 1999-02-18 2000-09-05 Toyobo Co Ltd 易接着性ポリアミドフィルム
JP2006182918A (ja) 2004-12-28 2006-07-13 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd プリプレグ、リジッドフレキシブル基板および多層回路基板
JP2013203023A (ja) 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc ラミネートフィルム
JP2018021203A (ja) 2015-04-10 2018-02-08 株式会社寺岡製作所 接着シート
JP2017082144A (ja) 2015-10-30 2017-05-18 京セラ株式会社 熱硬化性多層接着シート、および接着方法
JP2018161768A (ja) 2017-03-24 2018-10-18 Dic株式会社 複合成形品及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020131592A (ja) 2020-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5716339B2 (ja) 粘接着シートおよびそれを用いた接着方法
TWI376396B (en) Method of manufacturing prepreg with carrier,prepreg with carrier,method of manufacturing thin double-faced board,thin double-faced board,and method of manufacturing multilayer printed wiring board
RU2162480C2 (ru) Термореактивный клей-расплав
WO2017137796A1 (ja) 接着性樹脂組成物、被着体接着方法、及び接着性樹脂フィルム
JP4374395B1 (ja) 接着フィルム
Nasreen et al. Effect of surface treatment on the performance of composite‐composite and composite‐metal adhesive joints
JP7116922B2 (ja) 接着構造体及びその製造方法
JP2011202043A (ja) 粘接着シート
RU2326918C2 (ru) Клейкое эпоксидное покрытие, слоистая структура металлопласта и способ армирования металлической фольги
JP2011162577A (ja) 粘接着シート
EP1263576B1 (fr) T le composite stratifiee formable, procede de fabrication de cette t le et pieces de carrosserie automobile obtenues
JP5022742B2 (ja) 自己融着性シリコーンゴムシート及び自己融着性シリコーンゴムシートの製造方法
JP7283989B2 (ja) 接着性樹脂積層体、積層体、接着性樹脂積層体の製造方法および積層体の製造方法
JP3601443B2 (ja) 接着フィルムとその製造方法、半導体搭載用配線基板及び半導体装置
US5516843A (en) Adhesion promoter composition and products
TWI761450B (zh) 熱接著膠帶及熱接著膠帶之製造方法
JP2019217716A (ja) 表面処理アルミニウム材の製造方法、複合成形体の製造方法、表面処理アルミニウム材及び複合成形体
JP5004499B2 (ja) 電子部品用接着テープ
JP6864471B2 (ja) 熱接着テープおよび熱接着テープの製造方法
JP2989132B2 (ja) ポリアミド積層アルミニウム板の製造方法
JP4837516B2 (ja) 無伸張性支持体無し接着テープ及びその製造方法
JP5555034B2 (ja) 金属材−金属材接合用塗料及びそれを用いて得られた金属材−金属材接合用塗装金属材並びにそれを用いた金属材と金属材の接合方法
JP2011202042A (ja) 粘接着シート
KR20230155440A (ko) 진보된 접합제
JP2020110924A (ja) 積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210927

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220628

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220701

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220714

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7116922

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150