JP5118956B2 - 電子部品用接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品のソリ等の発生を防止し、接着信頼性に極めて優れ、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法に好適に用いることができるとともに、精密な塗布をすることが可能な電子部品用接着剤に関する。
近年、益々半導体チップ等の電気部品の小型化が要求されており、例えば、半導体チップの薄片化も進んでいる。これに伴い、接着剤を介して半導体チップと基板とを接着する際に、半導体チップに生じるソリの問題が益々重要な課題となってきている。
この半導体チップに生じるソリの問題は、半導体チップと基板との間を接着する接着剤を硬化させるときの温度から室温にまで冷却される過程における、半導体チップと基板との伸び率の温度依存性の相違により生じる応力が大きな要因であると考えられる。
このような問題に対し、例えば、半導体チップと基板との間を接着する接着剤で、半導体チップと基板との伸び率の温度依存性の相違により生じる応力を緩和することが考えられている。
ここで、半導体チップと基板との伸び率の温度依存性の相違により生じる応力を緩和するためには、半導体チップと基板との間を接着する接着剤は、硬化物の常温での貯蔵弾性率が4GPa以下である必要があるとされる。しかしながら、この条件を満たす一般的な高分子化合物は、175℃付近での貯蔵弾性率が40MPa以下になってしまい、このような高分子化合物からなる接着剤で半導体チップと基板との間を接着すると、ワイヤボンディング処理をすることができないとされている(例えば、特許文献1参照)。
これに対し、常温での貯蔵弾性率を4GPa以下に保ちつつ、175℃での貯蔵弾性率が40MPaを超えるものとする方法として、アクリル樹脂とエポキシ化合物とを相分離させ、更にこれらの樹脂中にフィラーを高充填する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、このような方法では、フィラーが高充填されているため、接着剤の接着強度が低く、半導体チップ等の電気部品の接着信頼性に問題が生じるものであった。
また、近年、電子部品用接着剤では、塗布方法の選択自由度が強く求められている。しかしながら、従来公知の接着剤では、例えば、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法を用いた場合、ノズル部分に液垂れが発生したりすること等の問題があり、塗布方法の多様性という要望に応えるものが実現できていなかった。
更に、近年では、電子部品の小型化ニーズの増大に伴い、電子部品用接着剤に関しても、益々精密塗布性が求められている。しかしながら、従来公知の接着剤、例えば、上述のようにフィラーが高充填された接着剤を用いると、フィラーの凝集や塗布時のノズル詰まりが生じることから、接着剤を少量ずつ塗布することが困難となり、精密に塗布することができないという問題があった。
特開2005−183788号公報 日立化成テクニカルレポートNo.47(2006−7)
本発明は、上記現状に鑑み、電子部品のソリ等の発生を防止し、接着信頼性に極めて優れ、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法に好適に用いることができるとともに、精密な塗布をすることが可能な電子部品用接着剤を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)を20〜60重量%と、下記一般式(3)で表される無水コハク酸化合物(C)を30〜60重量%と、硬化促進剤とを含有する電子部品用接着剤である。
Figure 0005118956
一般式(1)中、Rは、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
Figure 0005118956
一般式(3)中、Rは、炭素数11〜30のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表す。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の構造を有するエポキシ化合物(A)所定量と、所定の構造を有する無水コハク酸化合物(C)所定量と、硬化促進剤とを用いることによって、電子部品のソリ等の発生を防止し、接着信頼性に極めて優れ、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法に好適に用いることができるとともに、精密な塗布をすることが可能な電子部品用接着剤を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
これは、エポキシ化合物(A)と無水コハク酸化合物(C)とを併用することによって、従来のようにフィラー等を高充填することなく、得られる硬化物について、低温(10〜50℃)における貯蔵弾性率が低く(1000〜4000MPa)、高温(170℃以上)における貯蔵弾性率が高く(40MPa以上)、更に、ガラス転移温度(Tg)が好適な範囲(110〜150℃)となる電子部品用接着剤が得られることによるものである。このようにして、得られる硬化物は、低温領域(10〜50℃)において応力緩和性に優れ、高温領域(170℃以上)においてワイヤボンディング時に撓みを生じることなく、非常に高い接着信頼性を発揮することが可能となる。
また、エポキシ化合物(A)、無水コハク酸化合物(C)、そして、硬化促進剤を併用すると、本発明の電子部品用接着剤は、硬化速度が非常に速く低温で硬化させることが可能なため、本発明の電子部品用接着剤と、本発明の電子部品用接着剤を介して接着された電子部品と基材とからなる電子部品接合体において、電子部品のソリの発生を極めて効果的に低減することが可能となる。
更に、このように本発明の電子部品用接着剤の硬化速度が非常に速いことは、本発明の電子部品用接着剤について、エポキシ化合物(A)が揮発してしまう前に硬化せしめることができるため、得られる硬化物においてボイドの発生を極めて効果的に防止することができる。
本発明の電子部品用接着剤は、下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)を含有する。
Figure 0005118956
一般式(1)中、Rは、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。
このようなエポキシ化合物(A)を含有することによって、得られる硬化物の高温(170℃以上)における貯蔵弾性率を高く保つことができる。
また、上記エポキシ化合物(A)のみを用いると、得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)が高くなり過ぎ、得られる電子部品用接着剤を用いて電子部品を接合した場合に、電子部品にソリが生じてしまうことがあるが、後述する無水コハク酸化合物(C)と上記エポキシ化合物(A)とを併用することによって、得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)を110〜150℃と好適な範囲に制御することが可能となる。このように、得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)を110〜150℃とすることによって、電子部品のソリの発生を防止することが可能となる。
更に、上記エポキシ化合物(A)は、後述する無水コハク酸化合物(C)と硬化促進剤とを併用することによって、極めて速く硬化する。硬化速度が速いと、上記エポキシ化合物(A)が揮発してしまう前に硬化するため、得られる硬化物のボイドの発生を極めて効果的に低減することができる。
上記エポキシ化合物(A)は、低粘度であるため、本発明の電子部品用接着剤は、比較的低粘度になり、塗布性に優れ、様々な塗布方法に対応することができる。なかでも、ジェットディスペンス装置に好適に使用できるようになる。
上記エポキシ化合物(A)の市販品としては特に限定されず、例えば、EP3950S、EP3900S(以上、いずれもADEKA社製)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物(A)は、配合量の下限が20重量%、上限が60重量%である。20重量%未満であると、得られる硬化物の高温における貯蔵弾性率が充分に高くならないことがあり、得られる電子部品用接着剤の粘度が充分に低くならないことがある。60重量%を超えると、未反応のエポキシ基が残存し、得られる電子部品接合体の接着信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある。好ましい下限は30重量%、好ましい上限は50重量%、より好ましい上限は40重量%である。
本発明の電子部品用接着剤は、下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物(B)を含有することが好ましい。
Figure 0005118956
一般式(2)中、Rは、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。
このようなエポキシ化合物(B)は、加温により粘度が急激に落ちるため、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法にも極めて好適に使用することができる。
なお、上記エポキシ化合物(B)が、加温により粘度が急激に落ちるのは、エポキシ化合物(B)が室温では結晶性を有するが、加温により結晶性が崩れるためであると考えられる。
上記エポキシ化合物(B)は、上記エポキシ化合物(A)と併用することによって、得られる電子部品用接着剤は、常温において低粘度とすることができ、更に、高温において低粘度とすることが可能となり、優れたディスペンス性、ボンディング性、及び、接着信頼性が得られる。
更に、上記エポキシ化合物(B)は、上記エポキシ化合物(A)と同様、後述する無水コハク酸化合物(C)と併用することによって、極めて速く硬化する。従って、他の反応性希釈剤を配合した場合と比較すると、得られる硬化物においてボイドの発生を極めて効果的に低減することができる。
上記エポキシ化合物(B)の市販品としては特に限定されず、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物(B)の配合量としては特に限定されないが、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が40重量%である。5重量%未満であると、得られる電子部品用接着剤の粘度が充分低くならないことがあり、硬化物の高温における貯蔵弾性率が、充分に高くならないことがある。40重量%を超えると、得られる電子部品接合体において、電子部品のソリが大きくなることがある。より好ましい下限は、10重量%、より好ましい上限は30重量%である。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、エポキシ基を有する高分子量ポリマー(以下、単に高分子量ポリマーともいう)を含有してもよい。
上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーとしては特に限定されず、例えば、エポキシ変性ポリエチレングリコール、エポキシ変性ポリプロピレングリコール、エポキシ基含有アクリルゴム、エポキシ基含有ブタジエンゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有(メタ)アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂、エポキシ基含有ポリエステル樹脂等のエポキシ基を有するアクリル系高分子化合物、エポキシ末端NBR樹脂、等が挙げられる。これらのエポキシ基を有する高分子量ポリマーは単独で用いてもよく、併用してもよい。
上記エポキシ基を有する高分子量ポリマーの配合量としては特に限定されないが、好ましい上限は30重量%である。30重量%を超えると、得られる硬化物について、所望の範囲のガラス転移温度、貯蔵弾性率等が達成できなくなることがある。
本発明の電子部品用接着剤は、下記一般式(3)で表される無水コハク酸化合物(C)(以下、単に無水コハク酸化合物(C)ともいう)を含有する。
Figure 0005118956
一般式(3)中、Rは、炭素数11〜30のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表す。
上記無水コハク酸化合物(C)は、硬化剤としての役割を担う。
更に、上記無水コハク酸化合物(C)が有するRは、得られる硬化物において、柔軟性を発揮する。すなわち、上記エポキシ化合物(A)及び上記エポキシ化合物(B)のみからなる場合には、硬い硬化物となるところ、上記無水コハク酸化合物(C)を用いると、上記無水コハク酸化合物(C)が側鎖に有する柔軟な骨格が付加されるため、得られる硬化物は、全体として柔軟性を発揮することができる。このようにして、室温下での比較的低弾性率を担保することができる。
一般に、硬化剤としては、上記無水コハク酸化合物(C)以外にも様々考えられるが、上記酸無水物以外の硬化剤のみを用いると、得られる硬化物について、高温領域における貯蔵弾性率を高くすることはできるものの、常温における貯蔵弾性率も高くなり過ぎてしまうことから、応力緩和性が得られず、熱サイクル下において、クラック、ソリ等が発生することがある。
なお、硬化剤として、上記無水コハク酸化合物(C)と必ずしも同一の化合物でなくとも、酸無水物の側鎖に同様の柔軟な骨格を有する化合物を用いても、本発明の電子部品用接着剤と同様の効果を得ることが期待できる。
このような、酸無水物の側鎖に柔軟な骨格を有する化合物としては特に限定されず、例えば、例えば、炭素数10〜16のアルキル基、炭素数10〜16のアルケニル基、炭素数10〜16のアラルキル基等を有する酸無水物が挙げられる。
更に、上記無水コハク酸化合物(C)は、上記エポキシ化合物(A)及び/又は上記エポキシ化合物(B)、そして、硬化促進剤と併用すると、硬化速度が非常に速いため、得られる硬化物において、ボイドの発生を極めて効果的に低減し、得られる電子部品接合体において、電子部品のソリの発生を極めて効果的に低減することができる。
上記無水コハク酸化合物(C)としては特に限定されず、例えば、テトラプロペニル無水コハク酸等が挙げられる。
上記無水コハク酸化合物(C)の配合量は、下限が20重量%、上限が60重量%である。20重量%未満であると、充分な柔軟性を付与できないことがある。60重量%を超えると、未反応の硬化剤が存在することによって、接着信頼性が低下することがある。好ましい下限は25重量%、より好ましい下限は30重量%、好ましい上限は50重量%、より好ましい上限は40重量%である。また、上記酸無水物は単独で用いてもよいし、他の酸無水物と併用してもよい。他の酸無水物と併用する場合、上記酸無水物は酸無水物全体の40〜80重量%含まれることが好ましい。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、硬化促進剤を含有する。
上記硬化促進剤としては特に限定されず、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられ、なかでも、硬化速度や硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好適に用いられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記イミダゾール系硬化促進剤としては特に限定されず、例えば、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールや、イソシアヌル酸で塩基性を保護したもの(商品名「2MA−OK」、四国化成工業社製)等が挙げられる。これらのイミダゾール系硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化促進剤は、融点の好ましい下限が120℃である。120℃以上とすることで、本発明の電子部品用接着剤を加熱した場合に、ゲル化が抑制され、好適に電子部品の接合及び電子部品間の距離の調整ができる。また、酸無水物剤及び硬化促進剤のうち何れか一方は粉体であることが好ましい。
上記融点が120℃以上の硬化促進剤としては、例えば、2MZ,2MZ−P、2PZ,2PZ−PW、2P4MZ、C11Z−CNS、2PZ−CNS、2PZCNS−PW、2MZ−A、2MZA−PW、C11Z−A、2E4MZ−A、2MA−OK、2MAOK−PW、2PZ−OK、2MZ−OK、2PHZ、2PHZ−PW、2P4MHZ、2P4MHZ−PW、2E4MZ・BIS、VT,VT−OK、MAVT、MAVT−OK(以上、四国化成工業社製)等が挙げられる。特に、130℃までは安定で、135〜200℃で活性化する硬化促進剤が好ましく、上述したもののなかでは、2MA−OK、2MAOK−PWが好ましい。これらの硬化促進剤を用いた場合、貯蔵安定性、プロセス時の熱に対する安定性及び速硬化性の両立が可能となる。
上記酸無水物と硬化促進剤とを併用する場合、酸無水物の配合量は、上述したエポキシ化合物に含まれるエポキシ基に対して理論的に必要な当量以下とすることが好ましい。上記酸無水物の配合量が理論的に必要な当量を超えると、硬化後に水分によって塩素イオンが溶出しやすくなることがある。すなわち、硬化剤が過剰であると、例えば、本発明の電子部品用接着剤の硬化物から熱水で溶出成分を抽出した際に、抽出水のpHが4〜5程度となるため、上述したエポキシ化合物から塩素イオンが多量溶出することがある。従って、本発明の電子部品用接着剤の硬化物1gを、100℃の純水10gで2時間浸した後の純水のpHが6〜8であることが好ましく、pHが6.5〜7.5であることがより好ましい。
上記硬化促進剤の配合量としては特に限定はされず、上記エポキシ化合物(上記エポキシ化合物(A)と上記エポキシ化合物(B)とを含有する場合には、上記エポキシ化合物(A)と上記エポキシ化合物(B)との合計)100重量部に対して好ましい下限が1重量部、好ましい上限が10重量部である。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、平均粒子径が2〜200μmであり、CV値が10%以下であり、かつ、K値が980〜10000N/mmであるスペーサ粒子を含有することが好ましい。
このようなスペーサ粒子を含有することにより、例えば、本発明の電子部品用接着剤を用いて、2以上の半導体チップを積層する場合に、各半導体チップを本発明の電子部品用接着剤を介して接着することによって、半導体チップ同士の間隔を一定に保つことが可能となる。
上記スペーサ粒子は、所望の電子部品間距離が達成可能となるような平均粒子径を有するものを選択することができるが、平均粒子径の好ましい下限が2μm、好ましい上限が200μmである。2μm未満であると、スペーサ樹脂粒子の粒子径程度にまで電子部品間距離を縮めることが困難となる場合がある。200μmを超えると、電子部品同士の間隔が必要以上に大きくなることがある。より好ましい下限は9μm、より好ましい上限は50μmである。
上記スペーサ粒子の平均粒子径は、該スペーサ粒子以外に配合する固体成分の平均粒子径の1.2倍以上であることが好ましい。1.2倍未満であると、電子部品間距離を確実にスペーサ樹脂粒子の粒子径程度にまで縮めることが困難となることがある。より好ましくは1.1倍以上である。
上記スペーサ粒子は、粒子径分布の標準偏差がスペーサ樹脂粒子の平均粒子径の10%以下であることが好ましい。10%以下とすることで、半導体チップ等の電子部品を積層する場合に、より安定して水平に積層させることができる。
上記スペーサ粒子は、CV値の好ましい上限が10%である。10%を超えると、粒子径のばらつきが大きいことから、電子部品間の間隔を一定に保つことが困難となり、スペーサ樹脂粒子としての機能を充分に果たせないことがある。より好ましい上限は6%、更に好ましい上限は4%である。
なお、本明細書においてCV値とは、下記式(1)により求められる数値のことである。
CV値(%)=(σ2/Dn2)×100 (1)
上記式(1)中、σ2は、粒子径の標準偏差を表し、Dn2は、数平均粒子径を表す。
上記スペーサ粒子は、K値の好ましい下限が980N/mm、好ましい上限が10000N/mmである。
なお、本明細書においてK値とは、下記式(2)によって求められる数値のことである。
K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2 (2)
上記式(2)中、F、Sはそれぞれスペーサ粒子の10%圧縮変形における荷重値(kgf)、圧縮変位(mm)を表し、Rは該スペーサの半径(mm)を表す。
上記K値は以下の測定方法により測定することができる。
まず、平滑表面を有する鋼板の上にスペーサ樹脂粒子を散布した後、その中から1個のスペーサ樹脂粒子を選び、微小圧縮試験機を用いてダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑な端面でスペーサ樹脂粒子を圧縮する。この際、圧縮荷重を電磁力として電気的に検出し、圧縮変位を作動トランスによる変位として電気的に検出する。そして、得られた圧縮変位−荷重の関係から10%圧縮変形における荷重値、圧縮変位をそれぞれ求め、得られた結果からK値を算出する。
上記スペーサ粒子は20℃、10%の圧縮変形状態から解放した時の圧縮回復率の好ましい下限が20%である。このような圧縮回復率を有するスペーサ樹脂粒子を用いた場合、積層された電子部品間に平均粒子径よりも大きなスペーサ樹脂粒子が存在しても、圧縮変形により形状を回復してギャップ調整材として働かせることができる。従って、より安定した一定間隔で電子部品を水平に積層することができる。
上記圧縮回復率は、以下の測定方法により測定することができる。
上記K値の測定の場合と同様の手法によって圧縮変位を作動トランスによる変位として電気的に検出し、反転荷重値まで圧縮したのち荷重を減らしていき、その際の荷重と圧縮変位との関係を測定する。得られた測定結果から圧縮回復率を算出する。ただし、除荷重における終点は荷重値ゼロではなく、0.1g以上の原点荷重値とする。
上記スペーサ粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記スペーサ樹脂粒子の材質としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等が挙げられる。なかでも、スペーサ樹脂粒子の硬さと回復率を調整しやすく耐熱性についても向上させることが可能であることから、架橋樹脂を用いることが好ましい。
上記架橋樹脂としては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の網目構造を有する樹脂が挙げられる。なかでも、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン系共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等が好ましい。これらを用いた場合、チップをボンディングした後、硬化プロセス、半田リフロープロセス等の熱処理プロセスへの耐性が優れる。
上記有機無機ハイブリッドスペーサー粒子としては特に限定はされず、アルコキシシランを主成分とする粒子を用いることができ、例えば、特2698541号に記載に準拠して、アルコキシシランを加水分解重縮合することにより得る事ができる。
上記スペーサ粒子の形状としては、球状が好ましい。また、上記スペーサ樹脂粒子のアスペクト比の好ましい上限は1.1である。アスペクト比を1.1以下とすることで、電子部品を積層する場合に、電子部品同士の間隔を安定して一定に保つことができる。なお、本明細書においてアスペクト比とは、粒子の長径と短径に関して、短径の長さに対する長径の長さの比(長径の長さを短径の長さで割った値)を意味する。このアスペクト比の値が1に近いほどスペーサ樹脂粒子の形状は真球に近くなる。
上記スペーサ粒子の配合量の好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は5重量%である。0.01重量%未満であると、電子部品積層体の製造に用いた場合に、電子部品同士の間隔を安定して一定に保つことができないことがあり、5重量%を超えると、接着剤としての機能が低下することがある。
また、上記スペーサ粒子以外に、上記スペーサ粒子の平均粒子径以上の径を有する固形成分を含有する場合は、このような固形成分の配合量の好ましい上限は、1重量%である。また、その固形成分の融点は硬化温度以下であることが好ましい。
更に、固形成分の最大粒子径は、スペーサ粒子の平均粒子径の1.1〜1.5倍であることが好ましく、1.1〜1.2倍であることがより好ましい。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、必要に応じて、無機イオン交換体を含有してもよい。上記無機イオン交換体のうち、市販品としては、例えば、IXEシリーズ(東亞合成社製)等が挙げられる。上記無機イオン交換体の配合量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は10重量%である。
本発明の電子部品用接着剤は、更に、必要に応じて、ブリード防止剤;イミダゾールシランカップリング剤等の接着性付与剤等の各種添加剤を含有してもよい。
なお、本発明の電子部品用接着剤は、溶剤を含有しないことが好ましい。本発明の電子部品用接着剤が溶剤を含有すると、電子部品を接合するための硬化の際にボイドか発生し、信頼性に欠ける場合がある。
本発明の電子部品用接着剤は、E型粘度計を用いて、25℃、10rpmの条件で測定した粘度の好ましい下限が1Pa・s、好ましい上限が100Pa・sある。このような粘度を有することによって、ジェットディスペンス装置等、塗布方法の多様化に対応することが可能となる。1Pa・s未満であると、ジェットディスペンス装置による塗布後の接着剤塗布層の形状を室温において好適に保てなくなることがある。100Pa・sを超えると、ジェットディスペンス装置による塗布時に、ノズル先端に本発明の電子部品用接着剤が溜まり、吐出できなくなることがある。
本発明の電子部品用接着剤は、E型粘度計を用いて、80℃、10rpmの条件で測定した粘度の好ましい下限が0.1Pa・s、好ましい上限が1Pa・sある。このような粘度を有することによって、ジェットディスペンス装置等、塗布方法の多様化に対応することが可能となる。0.1Pa・s未満であると、室温における粘度特性が上述した範囲を満たすものであったとしても、ノズル先端に粘性の低下した接着剤が濡れ広がってジェットディスペンス装置による塗布性が低下することがある。1Pa・sを超えると、ノズル吐出口付近に接着剤が多量に付着してしまい、連続吐出性が悪化することがある。
本発明の電子部品用接着剤は、硬化物とした場合に、該硬化物のガラス転移温度(Tg)の好ましい下限が110℃、好ましい上限が150℃である。この範囲のガラス転移温度を有することによって、電子部品と基板とを接着して得られる電子部品接合体において、電子部品のソリを防止することができる。110℃未満であると、20℃での抽出塩素量が多量に抽出されることがある。150℃を超えると、電子部品のソリ量が大きくなることがある。
なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、DSCを用いて、20℃/分の割合でサンプルを昇温させて得られる吸熱曲線から測定することができる。
本発明の電子部品用接着剤は、硬化物とした場合に、該硬化物の10〜50℃における貯蔵弾性率の好ましい下限が1000MPa、好ましい上限が4000MPaである。このような温度領域における貯蔵弾性率を有することで、本発明の電子部品用接着剤を用いて半導体チップ等の電子部品と基板との接着を行うと、常温領域で適度な柔軟性を有するとともに、半導体チップ等の電子部品と基板との接着性に優れたものとなり、基板に接着した半導体チップ等の電子部品に大きなソリが発生することを防止できる。1000MPa未満であると、抽出塩素量が多量に抽出されることがある。4000MPaを超えると、接着力が不充分となり、電子部品と基板とを接着した後、剥離等を生じることがある。
本発明の電子部品用接着剤は、硬化物とした場合に、該硬化物の170℃以上における好ましい最低貯蔵弾性率が40MPa以上である。このような温度領域における最低貯蔵弾性率を有することで、本発明の電子部品用接着剤を用いて半導体チップ等の電子部品と基板との接着を行った後、硬化物が撓むことなく、ワイヤボンディング処理を行うことが可能となる。40MPa未満であると、ワイヤボンディング処理を行おうとする際、硬化物が撓んでしまい、ワイヤボンディング処理を行うことができないことがある。
本発明の電子部品用接着剤を、厚さ10μmの接着剤層とし、該接着剤層を170℃15分で硬化させた硬化物を、260℃の温度条件下に10秒間曝したときの直径100μm以下のボイド発生率の好ましい上限が1個/mmである。上記硬化物のボイドの発生率が1個/mmを超えるものであると、本発明の電子部品用接着剤を用いて電子部品同士の接合を行ったときに、電子部品間の接続信頼性が不充分となることがある。
本発明の電子部品用接着剤を製造する方法としては特に限定されず、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロール等の混合機を用いて、常温で、上記多官能エポキシ化合物、上記酸無水物等の各所定量を混合する方法等が挙げられる。
本発明の電子部品用接着剤を用いることによって、電子部品接合体を製造することができる。具体的には、例えば、本発明の電子部品用接着剤を電子部品と基材との間に塗布した後、本発明の電子部品用接着剤を硬化させることによって、本発明の電子部品用接着剤と、本発明の電子部品用接着剤を介して接着された電子部品と基材とからなる電子部品接合体を製造することができる。
本発明の電子部品用接着剤を電子部品と基材との間に塗布する方法としては特に限定されないが、例えば、ジェットディスペンス装置を用いる塗布方法が好ましい。ジェットディスペンス装置を用いることによって、短時間でドット状の接着剤の塗布が可能で、吐出する接着剤量の定量性に優れ、かつ、基板表面に段差があっても適用可能であるといった利点を有することとなる。
上記ジェットディスペンス装置を用いて、上記電子部品接合体を製造する方法としては特に限定されず、例えば、本発明の電子部品用接着剤を基材に塗布し、該基材上に塗布した本発明の電子部品用接着剤上に電子部品を押圧して、本発明の電子部品用接着剤を介して該基材と該電子部品とを貼り合わせた後、本発明の電子部品用接着剤を加熱し硬化させる方法等が挙げられる。
このように、本発明の電子部品用接着剤を基材に塗布する工程と、該基材上に塗布した本発明の電子部品用接着剤上に電子部品を押圧して、本発明の電子部品用接着剤を介して該基材と該電子部品とを貼り合わせる工程と、本発明の電子部品用接着剤を加熱し硬化させる工程とを有する電子部品接合体の製造方法もまた、本発明の一つである。
本発明の電子部品接合体の製造方法又は本発明の電子部品用接着剤を用いて、半導体チップ等の電子部品と基板とを接着し、電子部品接合体を製造することによって、半導体チップや基板のソリを著しく改善することができる。具体的には、例えば、10mm×10mm、厚さ80μmの半導体チップと、20mm×20mm、厚さ170μmの大昌電子社製基板との間に本発明の電子部品用接着剤を10μmの厚みに塗布し、100℃で40分間、続いて170℃で15分間加熱した場合、本発明の電子部品用接着剤は硬化し、その際の半導体チップのソリが100μm程度に抑えられる。
本発明の電子部品接合体の製造方法又は本発明の電子部品用接着剤を用いて、半導体チップ等の電子部品と基板とを接着し、電子部品接合体を製造することによって、本発明の電子部品用接着剤は、塗布量及び塗布状態にバラツキを生じることなく、極めて精緻な描画をすることもできる。
一般に、従来公知の接着剤を用いると、接着剤の塗布量が少量になるにつれて、塗布量を厳密にコントロールすることができず、塗布量及び塗布状態にバラツキが生じることとなっていた。具体的には、例えば、ジェットディスペンス装置を用いる場合には、吐出する接着剤の量を少なくしようとすると、実際に塗布される接着剤量にバラツキを生じることとなっていた。
これに対して、本発明の電子部品接合体の製造方法又は本発明の電子部品用接着剤を用いると、塗布量を少量にしても、塗布量及び塗布状態にバラツキが生じることはなく、本発明の電子部品接合体の製造方法又は本発明の電子部品接着剤を用いることによって、非常に細い線等、精密な描画をすることができる。
具体的には、塗布量を0.1mgという少量にした場合であっても、得られる正規分布において、平均塗布量に対するバラツキ量を±0.01mg(3σ)とすることができる。平均塗布量±0.01mg(3σ)という非常に小さなバラツキを有するため、本発明の電子部品接合体の製造方法又は本発明の電子部品用接着剤を用いることによって、非常に細い線等、精密な描画をすることができる。
なお、本明細書中、σは標準偏差を表す。
本発明によれば、電子部品のソリ等の発生を防止し、接着信頼性に極めて優れ、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法に好適に用いることができるとともに、精密な塗布をすることが可能な電子部品用接着剤を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜2、比較例1〜5)
下記表1の組成に従って、下記に示す各材料をホモディスパーを用いて攪拌混合し、実施例1〜2及び比較例1〜5に係る電子部品用接着剤を調製した。
(1)多官能エポキシ化合物(A)
3官能グリシジルアニリン型エポキシ(EP−3900S、アデカ社製)
3官能ジシクロペンタジエン型エポキシ(HP−7200H、大日本インキ社製)
(2)エポキシ化合物(B)
レゾルシノール型エポキシ(EX−201、ナガセケムテックス社製)
ビスフェノールF型エポキシ(YSLV−80XY、東都化成社製)
(3)その他のエポキシ基を有する高分子量ポリマー(高分子量ポリマー)
アクリル変性エポキシ(CP−30、日本油脂社製)
(4)硬化剤
ドデセニルコハク酸無水物(DDSA、新日本理化社製)
メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸(YH−306、ジャパンエポキシレジン社製)
(5)硬化促進剤
イミダゾール系硬化促進剤(2MA−OK、四国化成社製社製)
(6)増粘剤
表面疎水処理ヒュームドシリカ(PM−20L、トクヤマ社製)
(評価)
実施例1〜2及び比較例1〜5で調製した電子部品用接着剤について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)電子部品用接着剤
(1−1)粘度の測定
E型粘度測定装置(商品名:VISCOMETER TV−22、TOKI SANGYO CO.LTD社製、使用ローター:φ15mm、設定温度:25℃及び80℃)を用いて回転数10rpmにおける粘度を測定した。
(1−2)ジェットディスペンス適性
ジェットディスペンス適性の評価はジェットディスペンス装置(DJ−9000、アシムテック社製)を用いて評価した。使用した部品は、ノズル(No.4、100μm径)、バルブ(C−03、380μm)、ニードルアッセンブリー(No.16、2.4mm)である。吐出条件は、ノズル温度50℃若しくは80℃、ストローク780μm、液圧1000kPa、バルブ圧558kPa、バルブオンタイム5ms、バルブオフタイム5ms、ノズル高さ1.0mmである。
ノズル温度50℃若しくは80℃で30分連続で吐出できた場合を○、30分までに吐出が止まってしまった場合を×とした。
(1−3)硬化速度
半導体チップ接合用接着剤の硬化速度について、170℃でのゲルタイムで評価した。ゲルタイムの測定方法はアルミカップ(径2cm、厚み約50um)に樹脂ペーストを厚さ1mm程度入れ、これを170℃のオーブン(ESPEC社製、SPHH−101)に入れて樹脂ペーストが糸引きしなくなる時間をゲルタイムとした。測定に先立ち、予熱を60分間行った。
(2)硬化物
(2−1)ガラス転移温度(Tg)の測定
アイティー計測制御社製の粘弾性測定機を使い、実施例及び比較例で調製した電子部品用接着剤を170℃、15分で硬化させた硬化物の25℃及び175℃における貯蔵弾性率を、昇温速度5℃/min、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで測定したときのTanδのピーク時の温度をガラス転移点とした。
(2−2)貯蔵弾性率の測定
アイティー計測制御社製の粘弾性測定機を使い、実施例及び比較例で調製した電子部品用接着剤を170℃、15分で硬化させた硬化物の25℃及び175℃における貯蔵弾性率を、昇温速度5℃/min、引っ張り、つかみ幅24mm、10Hzで測定した。
なお、図1に、実施例1、比較例1及び比較例3でそれぞれ調製した電子部品用接着剤の硬化物の貯蔵弾性率と温度との関係を示すグラフを示す。
(2−3)ボイドの測定
得られた電子部品用接着剤を用いてシリコンチップと基板(大昌電子社製)を接合し、該接着剤層(樹脂厚み10umとした)を170℃15分で硬化させた硬化物を、260℃の温度条件下に10秒間曝した後、超音波映像装置SAT(Scan Acoustic Tomograph、mi−scope hyper II、日立建機ファインテック社製)を用いて、チップ−基板間のボイドの有無を観察した。直径100μm以下のボイドが1個/mm以下の場合を○、それ以上の場合を×とした。
(3)電子部品接合体
(3−1)半導体チップ接合体の作製
得られた電子部品用接着剤を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、半導体チップとニードルとのギャップ200μm、塗布量5mgにてガラス基板上に塗布した。塗布量は、(接合部分の外周部への塗布量/中央部への塗布量)=4とした。
塗布を行った後、ペリフェラル状に110μmのパッド開口部を172個有する半導体チップ(チップ1)(厚さ80μm、10mm×10mm角、メッシュ状パターン、アルミ配線:厚み0.7μm、L/S=15/15、表面の窒化シリコン膜の厚み:1.0μm)をフリップチップボンダー(DB−100、澁谷工業社製)を用いて常温で0.1MPaの圧力で5秒間押圧することにより積層した。170℃で15分間加熱を行い、電子部品用接着剤を硬化させることにより、半導体チップ接合体を作製した。
(3−2)半導体チップのソリ量の測定
作製した半導体チップ接合体の半導体チップの対角線に沿ってソリ量をレーザー変位計(KEYENCE社製 LT9010M、KS−1100)にて測定した。
(3−3)ワイヤボンディング性評価
半導体チップ接合体と同様に、基板上に半導体チップ(チップ2)(厚さ80μm、3mm×3mm角、メッシュ状パターン、アルミ配線:厚み0.7μm、L/S=15/15、表面の窒化シリコン膜の厚み:1.0μm)を積層した。その後、この積層体を170℃、15分で硬化させた。そして、ワイヤーボンダーUTC2000(新川社製)を用いて径25μmのワイヤーでワイヤボンディングを行った。このワイヤーをワイヤネック部分で引っ張り、ワイヤネックで切れたものを○、接合部分で切断されたものを×とした。
(3−4)耐リフロー性評価
作製した半導体チップ接合体を、85℃85%の恒温高湿オーブンに24時間放置したのち、230℃以上が20秒以上でかつ最高温度が260℃となるIRリフロー炉に3回投入した。投入後、半導体装置のリフロークラックの発生の有無を超音波探傷装置(SAT)により観察し、以下の基準で評価した。
◎:リフロークラック発生数0/30
○:リフロークラック発生数1/30
△:リフロークラック発生数2/30
×:リフロークラック発生数3/30
Figure 0005118956
本発明によれば、電子部品のソリ等の発生を防止し、接着信頼性に極めて優れ、ジェットディスペンス装置を用いた塗布方法に好適に用いることができるとともに、精密な塗布をすることが可能な電子部品用接着剤を提供することができる。
実施例1、比較例1及び比較例3でそれぞれ調整した電子部品用接着剤の硬化物の貯蔵弾性率と温度との関係を示すグラフ。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるエポキシ化合物(A)を20〜60重量%と、下記一般式(3)で表される無水コハク酸化合物(C)を20〜50重量%と、硬化促進剤とを含有することを特徴とする電子部品用接着剤。
    Figure 0005118956
    一般式(1)中、Rは、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
    Figure 0005118956
    一般式(3)中、Rは、炭素数11〜30のアルキル基、アルケニル基又はアラルキル基を表す。
  2. 更に、下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物(B)を20〜60重量%含有することを特徴とする請求項1記載の電子部品用接着剤。
    Figure 0005118956
    一般式(2)中、Rは、水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
  3. 更に、平均粒子径が2〜200μmであり、CV値が10%以下であり、かつ、K値が980〜10000N/mmであるスペーサ粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品用接着剤。
  4. スペーサ粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子部品用接着剤。
  5. E型粘度計を用いて、25℃、10rpmの条件で測定した粘度が1〜100Pa・sであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の電子部品用接着剤。
  6. E型粘度計を用いて、80℃、10rpmの条件で測定した粘度が0.1〜1Pa・sであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の電子部品用接着剤。
  7. 硬化物とした場合に、前記硬化物は、ガラス転移温度(Tg)が110〜150℃であり、10〜50℃における貯蔵弾性率が1000〜4000MPaであり、かつ、170℃以上における最低貯蔵弾性率が40MPa以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の電子部品用接着剤。
  8. ジェットディスペンス装置を用いて、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の電子部品用接着剤を基材に塗布する工程と、
    前記基材上に塗布した前記電子部品用接着剤上に電子部品を押圧して、前記電子部品用接着剤を介して前記基材と前記電子部品とを貼り合わせる工程と、
    前記電子部品用接着剤を加熱し硬化させる工程とを有する
    ことを特徴とする電子部品接合体の製造方法。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の電子部品用接着剤の塗布量を0.1mgとした場合、得られる正規分布において、平均塗布量に対するバラツキ量が±0.01mg(3σ)であることを特徴とする請求項8記載の電子部品接合体の製造方法。
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