JP2012060020A - 半導体チップ実装体の製造方法及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることのできる半導体チップ実装体の製造方法を提供する。また、該半導体チップ実装体の製造方法を用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体チップと、基板又は他の半導体チップとを接合した半導体チップ実装体の製造方法であって、基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の40〜90%に、半導体部品用接着剤を塗布する工程(1)と、前記半導体部品用接着剤を介して、前記基板又は他の半導体チップ上に半導体チップを積層することにより、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の60%以上100%未満に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせる工程(2)と、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域全体に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせるとともに、前記半導体チップの側面にフィレットを形成する工程(3)と、前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)とを有し、前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)の後の半導体チップ実装体において、前記半導体チップの厚みをD、前記半導体チップの底面からの高さ方向のフィレット距離をd、半導体チップ接合領域の端部からの横方向のフィレット距離をLとしたとき、d/Dが0.2〜0.8、かつ、Lが300μm未満となるようにフィレットを形成する半導体チップ実装体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】半導体チップと、基板又は他の半導体チップとを接合した半導体チップ実装体の製造方法であって、基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の40〜90%に、半導体部品用接着剤を塗布する工程(1)と、前記半導体部品用接着剤を介して、前記基板又は他の半導体チップ上に半導体チップを積層することにより、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の60%以上100%未満に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせる工程(2)と、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域全体に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせるとともに、前記半導体チップの側面にフィレットを形成する工程(3)と、前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)とを有し、前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)の後の半導体チップ実装体において、前記半導体チップの厚みをD、前記半導体チップの底面からの高さ方向のフィレット距離をd、半導体チップ接合領域の端部からの横方向のフィレット距離をLとしたとき、d/Dが0.2〜0.8、かつ、Lが300μm未満となるようにフィレットを形成する半導体チップ実装体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることのできる半導体チップ実装体の製造方法に関する。また、本発明は、該半導体チップ実装体の製造方法を用いた半導体装置に関する。
近年、半導体パッケージの小型化への要望に伴い、半導体チップは極めて薄い薄膜となってきており、半導体チップに接続されるボンディングワイヤも微細化している。また、極めて薄い半導体チップを形成できることから、複数の半導体チップを積層して多層の半導体チップ実装体とする3次元実装への動きも進んでいる。
このような小型化された半導体パッケージにおいては、製造時に、半導体チップを損傷なく、かつ、水平を保って接合することが求められている。
これに対し、本発明者は、2以上の半導体チップ等の電子部品を接合する際に電子部品間の距離を高精度に保ち、かつ、信頼性の高い半導体装置等の電子部品を得ることが可能な電子部品用接着剤として、硬化性化合物及び硬化剤を有する接着組成物と、CV値が10%以下のスペーサー粒子とを含有し、E型粘度計を用いて25℃にて粘度を測定したときに所定の粘度特性を示す電子部品用接着剤を発明し、特許文献1に開示している。特許文献1に記載された電子部品用接着剤は、押圧により余剰の電子部品用接着剤をはみ出させ、電子部品間の距離を所望の距離にまで縮めることを前提として設計されている。
これに対し、本発明者は、2以上の半導体チップ等の電子部品を接合する際に電子部品間の距離を高精度に保ち、かつ、信頼性の高い半導体装置等の電子部品を得ることが可能な電子部品用接着剤として、硬化性化合物及び硬化剤を有する接着組成物と、CV値が10%以下のスペーサー粒子とを含有し、E型粘度計を用いて25℃にて粘度を測定したときに所定の粘度特性を示す電子部品用接着剤を発明し、特許文献1に開示している。特許文献1に記載された電子部品用接着剤は、押圧により余剰の電子部品用接着剤をはみ出させ、電子部品間の距離を所望の距離にまで縮めることを前提として設計されている。
一方、近年、小型化された半導体パッケージの製造においては、接着剤によるワイヤーボンディングパッド等の汚染を防止するために、半導体チップからの接着剤のはみ出しを調整することも重要となっている。しかしながら、はみ出しを調整するために接着剤の使用量を減らすと、半導体チップの接合面全体に接着剤が濡れ広がらず、モールド封止後に空洞が生じて接着信頼性が低下することから、接着剤の充填性を確保しながら同時にはみ出しを調整することは、容易ではない。
これに対し、例えば、特許文献2には、より簡単な方法によって接着剤ペーストの濡れ広がりを制御し、基板上での部品の近接配置を可能にすることを目的として、接着剤ペーストに部品を押し付けて固着させるダイマウント方法であって、部材の所定領域に接着剤ペーストを形成する工程と、該接着剤ペーストに所定圧力で部品を押し付ける工程と、接着剤ペーストが部品平面形状領域からはみ出すとき該部品の押し付けを停止し、所定時間放置する工程、とを備えるダイマウント方法が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載された方法では、得られた接合体が温度サイクルに曝された場合には接着剤層と半導体チップとの界面が剥離することがあり、充分な温度サイクル信頼性が実現できていないことが問題である。
本発明は、半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることのできる半導体チップ実装体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該半導体チップ実装体の製造方法を用いた半導体装置を提供することを目的とする。
本発明は、半導体チップと、基板又は他の半導体チップとを接合した半導体チップ実装体の製造方法であって、基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の40〜90%に、半導体部品用接着剤を塗布する工程(1)と、前記半導体部品用接着剤を介して、前記基板又は他の半導体チップ上に半導体チップを積層することにより、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の60%以上100%未満に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせる工程(2)と、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域全体に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせるとともに、前記半導体チップの側面にフィレットを形成する工程(3)と、前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)とを有し、前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)の後の半導体チップ実装体において、前記半導体チップの厚みをD、前記半導体チップの底面からの高さ方向のフィレット距離をd、半導体チップ接合領域の端部からの横方向のフィレット距離をLとしたとき、d/Dが0.2〜0.8、かつ、Lが300μm未満となるようにフィレットを形成する半導体チップ実装体の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、半導体チップと、基板又は他の半導体チップとを接合した半導体チップ実装体の製造方法において、半導体チップ接合領域の所定範囲に半導体部品用接着剤を塗布する工程(1)と、前記半導体部品用接着剤を介して、基板又は他の半導体チップ上に半導体チップを積層することにより、半導体チップ接合領域の所定範囲に前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせる工程(2)と、半導体チップ接合領域全体に前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせるとともに、前記半導体チップの側面に所定の条件を満たすようにフィレットを形成する工程(3)と、前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)とを行うことにより、半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法は、半導体チップと、基板又は他の半導体チップとを接合した半導体チップ実装体の製造方法である。
なお、本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、基板に対して半導体チップを接合して半導体チップ実装体を製造してもよく、また、例えば、基板に接合された半導体チップ等の他の半導体チップに対して更に半導体チップを接合して多層の半導体チップ実装体を製造してもよい。
なお、本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、基板に対して半導体チップを接合して半導体チップ実装体を製造してもよく、また、例えば、基板に接合された半導体チップ等の他の半導体チップに対して更に半導体チップを接合して多層の半導体チップ実装体を製造してもよい。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、まず、基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の40〜90%に、半導体部品用接着剤を塗布する工程(1)(塗布工程(1)ともいう)を行う。
なお、本明細書中、半導体チップ接合領域とは、本発明の半導体チップ実装体の製造方法により接合される半導体チップが接する、基板又は他の半導体チップ上の領域を意味する。
なお、本明細書中、半導体チップ接合領域とは、本発明の半導体チップ実装体の製造方法により接合される半導体チップが接する、基板又は他の半導体チップ上の領域を意味する。
上記半導体部品用接着剤を塗布する領域が、半導体チップ接合領域の40%未満であると、後述するフィレットを形成する工程(3)において、上記半導体部品用接着剤が半導体チップ接合領域全体に濡れ広がらず、得られる半導体チップ実装体は温度サイクル信頼性に欠ける。上記半導体部品用接着剤を塗布する領域が、半導体チップ接合領域の90%を超えると、後述するフィレットを形成する工程(3)を経たとき、半導体チップ接合領域からはみ出る半導体部品用接着剤の量が多くなり、得られる半導体チップ実装体に対してワイヤーボンディングすることが困難となる。上記半導体部品用接着剤を塗布する領域は、半導体チップ接合領域の60〜90%であることが好ましい。
なお、本明細書中、半導体部品用接着剤を塗布する領域とは、塗布した半導体部品用接着剤の最外部を直線で描き、その直線によって形成される1つ以上の多角形の内部の面積及びその面積の和を意味する。
なお、本明細書中、半導体部品用接着剤を塗布する領域とは、塗布した半導体部品用接着剤の最外部を直線で描き、その直線によって形成される1つ以上の多角形の内部の面積及びその面積の和を意味する。
上記塗布工程(1)においては、下記式(A)で表される理論塗布量に対する、上記半導体部品用接着剤の塗布量の割合(塗布量/理論塗布量)が、1.1〜1.5であることが好ましい。
理論塗布量=(半導体チップ接合領域の面積)×(目的とする接着剤層の厚み) (A)
理論塗布量=(半導体チップ接合領域の面積)×(目的とする接着剤層の厚み) (A)
上記塗布量/理論塗布量の値が1.1未満であると、所望のフィレットを形成することができず、得られる半導体チップ実装体は温度サイクル信頼性に欠けることがある。上記塗布量/理論塗布量の値が1.5を超えると、後述するフィレットを形成する工程(3)を経たとき、半導体チップ接合領域からはみ出る半導体部品用接着剤の量が多くなり、得られる半導体チップ実装体に対してワイヤーボンディングすることが困難となることがある。上記塗布量/理論塗布量の値は、より好ましい下限が1.2、より好ましい上限が1.4である。
上記半導体部品用接着剤を塗布する方法は特に限定されず、例えば、精密ノズルを取り付けたシリンジ等とディスペンサ等を組み合わせて用いて塗布する方法等が挙げられる。
上記半導体部品用接着剤は、25℃でE型粘度計を用いて測定したときの0.5rpmにおける粘度の好ましい下限が20Pa・s、好ましい上限が40Pa・sである。上記0.5rpmにおける粘度が20Pa・s未満であると、例えば上記基板が反った場合等に、上記半導体部品用接着剤の樹脂引けが生じ、得られる半導体チップ実装体は温度サイクル信頼性に欠けることがある。上記0.5rpmにおける粘度が40Pa・sを超えると、後述するフィレットを形成する工程(3)において、上記半導体部品用接着剤が半導体チップ接合領域全体に濡れ広がらず、得られる半導体チップ実装体は温度サイクル信頼性に欠けることがある。上記半導体部品用接着剤は、25℃でのE型粘度計を用いて測定したときの0.5rpmにおける粘度のより好ましい下限が25Pa・s、より好ましい上限が35Pa・sである。
上記半導体部品用接着剤は、25℃でE型粘度計を用いて測定したときの10rpmにおける粘度の好ましい下限が10Pa・s、好ましい上限が30Pa・sである。上記10rpmにおける粘度が10Pa・s未満であると、後述するフィレットを形成する工程(3)においてボイドの噛み込みが生じ、得られる半導体チップ実装体は温度サイクル信頼性に欠けることがある。上記10rpmにおける粘度が30Pa・sを超えると、上記塗布工程(1)においてボイドの噛み込が生じ、得られる半導体チップ実装体は温度サイクル信頼性に欠けることがある。上記半導体部品用接着剤は、25℃でのE型粘度計を用いて測定したときの10rpmにおける粘度のより好ましい下限が13Pa・s、より好ましい上限が25Pa・sである。
上記半導体部品用接着剤は特に限定されないが、硬化性化合物及び硬化剤を含有する接着組成物を含有することが好ましい。
上記硬化性化合物は特に限定されず、付加重合、重縮合、重付加、付加縮合、開環重合反応により硬化する化合物を用いることができる。上記硬化性化合物として、具体的には、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂、アルキル−ベンゼン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、珪素樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性化合物が挙げられる。なかでも、得られる半導体チップ実装体の信頼性及び接合強度に優れていることから、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましく、イミド骨格を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
上記硬化性化合物は特に限定されず、付加重合、重縮合、重付加、付加縮合、開環重合反応により硬化する化合物を用いることができる。上記硬化性化合物として、具体的には、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂、アルキル−ベンゼン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、珪素樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性化合物が挙げられる。なかでも、得られる半導体チップ実装体の信頼性及び接合強度に優れていることから、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましく、イミド骨格を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
上記エポキシ樹脂は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、粘度の低い半導体部品用接着剤が得られることから、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂が好ましい。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち、市販品としては、例えば、EXA−830−LVP、EXA−830−CRP(以上、DIC社製)等が挙げられる。また、上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち、市販品としては、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。また、上記ポリエーテル変性エポキシ樹脂のうち、市販品としては、EX−931(ナガセケムテックス社製)、EXA−4850−150(DIC社製)、EP−4005(アデカ社製)等が挙げられる。
上記硬化性化合物は、吸湿率の好ましい上限が1.5%であり、より好ましい上限が1.1%である。このような吸湿率を有する硬化性化合物は、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記硬化剤は特に限定されず、従来公知の硬化剤を上記硬化性化合物に合わせて適宜選択することができる。上記硬化性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合、上記硬化剤として、例えば、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の加熱硬化型酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤、カチオン系触媒型硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化剤の配合量は特に限定されないが、上記硬化性化合物の官能基と等量反応する硬化剤を用いる場合、上記硬化性化合物の官能基量に対して、60〜100当量であることが好ましい。また、触媒として機能する硬化剤を用いる場合、上記硬化剤の配合量は、上記硬化性化合物100重量部に対して好ましい下限が1重量部、好ましい上限が20重量部である。
上記接着組成物は、硬化速度、硬化物の物性等を調整するために、上記硬化剤に加えて硬化促進剤を含有してもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されず、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、硬化速度、硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。これらの硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記イミダゾール系硬化促進剤は特に限定されず、例えば、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、イソシアヌル酸で塩基性を保護したイミダゾール系硬化促進剤(商品名「2MA−OK」、四国化成工業社製)等が挙げられる。これらのイミダゾール系硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記硬化促進剤として、例えば、2MZ、2MZ−P、2PZ、2PZ−PW、2P4MZ、C11Z−CNS、2PZ−CNS、2PZCNS−PW、2MZ−A、2MZA−PW、C11Z−A、2E4MZ−A、2MA−OK、2MAOK−PW、2PZ−OK、2MZ−OK、2PHZ、2PHZ−PW、2P4MHZ、2P4MHZ−PW、2E4MZ・BIS、VT、VT−OK、MAVT、MAVT−OK(以上、四国化成工業社製)等も挙げられる。
上記硬化促進剤の配合量は特に限定されず、上記硬化性化合物100重量部に対して好ましい下限が1重量部、好ましい上限が10重量部である。
上記硬化性化合物としてエポキシ樹脂を用い、かつ、上記硬化剤と上記硬化促進剤とを併用する場合、上記硬化剤の配合量は、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基に対して理論的に必要な当量以下とすることが好ましい。上記硬化剤の配合量が理論的に必要な当量を超えると、半導体部品用接着剤を硬化して得られる硬化物から、水分によって塩素イオンが溶出しやすくなることがある。即ち、硬化剤が過剰であると、例えば、得られる半導体部品用接着剤の硬化物から熱水で溶出成分を抽出した際に、抽出水のpHが4〜5程度となるため、エポキシ樹脂から塩素イオンが多量溶出することがある。従って、得られる半導体部品用接着剤の硬化物1gを、100℃の純水10gで2時間浸した後の純水のpHが6〜8であることが好ましく、pHが6.5〜7.5であることがより好ましい。
上記接着組成物は、粘度を低減させるために希釈剤を含有してもよい。
上記希釈剤は、エポキシ基を有することが好ましく、1分子中のエポキシ基数の好ましい下限が2、好ましい上限が4である。1分子中のエポキシ基数が2未満であると、半導体部品用接着剤の硬化後に充分な耐熱性が発現しないことがある。1分子中のエポキシ基数が4を超えると、硬化によるひずみが発生したり、未硬化のエポキシ基が残存したりすることがあり、これにより、接合強度の低下又は繰り返しの熱応力による接合不良が発生することがある。上記希釈剤の1分子中のエポキシ基数のより好ましい上限は3である。
また、上記希釈剤は、芳香環及び/又はジシクロペンタジエン構造を有することが好ましい。
上記希釈剤は、エポキシ基を有することが好ましく、1分子中のエポキシ基数の好ましい下限が2、好ましい上限が4である。1分子中のエポキシ基数が2未満であると、半導体部品用接着剤の硬化後に充分な耐熱性が発現しないことがある。1分子中のエポキシ基数が4を超えると、硬化によるひずみが発生したり、未硬化のエポキシ基が残存したりすることがあり、これにより、接合強度の低下又は繰り返しの熱応力による接合不良が発生することがある。上記希釈剤の1分子中のエポキシ基数のより好ましい上限は3である。
また、上記希釈剤は、芳香環及び/又はジシクロペンタジエン構造を有することが好ましい。
上記希釈剤は、120℃での重量減少量及び150℃での重量減少量の好ましい上限が1%である。120℃での重量減少量及び150℃での重量減少量が1%を超えると、半導体部品用接着剤の硬化中又は硬化後に未反応物が揮発してしまい、生産性又は得られる半導体チップ実装体の性能に悪影響を与えることがある。
また、上記希釈剤は、他の硬化性化合物よりも硬化開始温度が低く、硬化速度が大きいものであることが好ましい。
また、上記希釈剤は、他の硬化性化合物よりも硬化開始温度が低く、硬化速度が大きいものであることが好ましい。
上記接着組成物における上記希釈剤の配合量の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は20重量%である。上記希釈剤の配合量が上記範囲外であると、接着組成物の粘度を充分に低減できないことがある。
上記半導体部品用接着剤は、CV値が10%以下のスペーサー粒子を含有することが好ましい。
上記CV値が10%以下のスペーサー粒子を含有することにより、チップ間距離を一定に保つことが可能となり、例えば、本発明の半導体チップ実装体の製造方法を用いて多層の半導体チップ実装体を製造する場合、ダミーチップ等を介在させる必要がなくなる。なお、本明細書においてチップ間距離とは、基板と半導体チップとの距離と、半導体チップ同士の距離との両方を意味する。
上記スペーサー粒子のCV値が10%を超えると、粒子径のばらつきが大きいことから、チップ間距離を一定に保つことが困難となり、スペーサー粒子としての機能を充分に果たせないことがある。上記スペーサー粒子のCV値のより好ましい上限は6%、更により好ましい上限は4%である。
上記CV値が10%以下のスペーサー粒子を含有することにより、チップ間距離を一定に保つことが可能となり、例えば、本発明の半導体チップ実装体の製造方法を用いて多層の半導体チップ実装体を製造する場合、ダミーチップ等を介在させる必要がなくなる。なお、本明細書においてチップ間距離とは、基板と半導体チップとの距離と、半導体チップ同士の距離との両方を意味する。
上記スペーサー粒子のCV値が10%を超えると、粒子径のばらつきが大きいことから、チップ間距離を一定に保つことが困難となり、スペーサー粒子としての機能を充分に果たせないことがある。上記スペーサー粒子のCV値のより好ましい上限は6%、更により好ましい上限は4%である。
なお、本明細書においてCV値とは、下記式(1)により求められる数値のことである。
粒子径のCV値(%)=(σ2/Dn2)×100 (1)
式(1)中、σ2は粒子径の標準偏差を表し、Dn2は数平均粒子径を表す。
粒子径のCV値(%)=(σ2/Dn2)×100 (1)
式(1)中、σ2は粒子径の標準偏差を表し、Dn2は数平均粒子径を表す。
上記CV値が10%以下のスペーサー粒子(以下、単に、スペーサー粒子ともいう)の平均粒子径は特に限定されず、所望のチップ間距離を達成できるように適宜選択することができるが、好ましい下限が5μm、好ましい上限が200μmである。上記スペーサー粒子の平均粒子径が5μm未満であると、スペーサー粒子の粒子径程度にまでチップ間距離を縮めることが困難となることがある。上記スペーサー粒子の平均粒子径が200μmを超えると、チップ間距離が必要以上に大きくなることがある。上記スペーサー粒子の平均粒子径のより好ましい下限は9μm、より好ましい上限は50μmである。
上記スペーサー粒子の平均粒子径は、半導体部品用接着剤に添加するスペーサー粒子以外の固体成分の平均粒子径の1.2倍以上であることが好ましい。上記スペーサー粒子の平均粒子径がスペーサー粒子以外の固体成分の平均粒子径の1.2倍未満であると、チップ間距離を確実にスペーサー粒子の粒子径程度にまで縮めることが困難となることがある。上記スペーサー粒子の平均粒子径は、スペーサー粒子以外の固体成分の平均粒子径の1.3倍以上であることがより好ましい。
上記スペーサー粒子は、下記式(2)で表されるK値の好ましい下限が980N/mm2、好ましい上限が4900N/mm2である。
K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2 (2)
式(2)中、F、Sはそれぞれスペーサー粒子の10%圧縮変形における荷重値(kgf)、圧縮変位(mm)を表し、Rは該スペーサー粒子の半径(mm)を表す。
K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2 (2)
式(2)中、F、Sはそれぞれスペーサー粒子の10%圧縮変形における荷重値(kgf)、圧縮変位(mm)を表し、Rは該スペーサー粒子の半径(mm)を表す。
なお、上記K値は以下の測定方法により測定することができる。
まず、平滑表面を有する鋼板の上にスペーサー粒子を散布した後、その中から1個のスペーサー粒子を選び、微小圧縮試験機を用いてダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑な端面でスペーサー粒子を圧縮する。この際、圧縮荷重を電磁力として電気的に検出し、圧縮変位を差動トランスによる変位として電気的に検出する。そして、得られた圧縮変位−荷重の関係から10%圧縮変形における荷重値、圧縮変位をそれぞれ求め、得られた結果からK値を算出する。
まず、平滑表面を有する鋼板の上にスペーサー粒子を散布した後、その中から1個のスペーサー粒子を選び、微小圧縮試験機を用いてダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑な端面でスペーサー粒子を圧縮する。この際、圧縮荷重を電磁力として電気的に検出し、圧縮変位を差動トランスによる変位として電気的に検出する。そして、得られた圧縮変位−荷重の関係から10%圧縮変形における荷重値、圧縮変位をそれぞれ求め、得られた結果からK値を算出する。
上記スペーサー粒子は20℃、10%の圧縮変形状態から解放した時の圧縮回復率の好ましい下限が20%である。このような圧縮回復率を有するスペーサー粒子を用いることにより、上記半導体チップと、上記基板又は他の半導体チップとの間に平均粒子径よりも大きなスペーサー粒子が存在する場合にも、圧縮変形により形状を回復してギャップ調整材として働かせることができる。従って、より安定した一定間隔で半導体チップを水平に積層することができる。
なお、上記圧縮回復率は、以下の測定方法により測定することができる。
上記K値の測定の場合と同様の手法によって圧縮変位を差動トランスによる変位として電気的に検出し、反転荷重値まで圧縮したのち荷重を減らしていき、その際の荷重と圧縮変位との関係を測定する。得られた測定結果から圧縮回復率を算出する。ただし、除荷重における終点は荷重値ゼロではなく、0.1g以上の原点荷重値とする。
上記K値の測定の場合と同様の手法によって圧縮変位を差動トランスによる変位として電気的に検出し、反転荷重値まで圧縮したのち荷重を減らしていき、その際の荷重と圧縮変位との関係を測定する。得られた測定結果から圧縮回復率を算出する。ただし、除荷重における終点は荷重値ゼロではなく、0.1g以上の原点荷重値とする。
上記スペーサー粒子の材質は特に限定されないが、樹脂粒子であることが好ましい。
上記樹脂粒子を構成する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等が挙げられる。
上記樹脂粒子を構成する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等が挙げられる。
また、スペーサー粒子の硬さと圧縮回復率を調整しやすく、かつ、耐熱性を向上できることから、上記樹脂粒子を構成する樹脂として、架橋樹脂が好ましい。
上記架橋樹脂は特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の網目構造を有する樹脂が挙げられる。なかでも、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等が好ましい。これらの架橋樹脂を用いることにより、上記スペーサー粒子は、上記半導体部品用接着剤の硬化プロセス、ハンダリフロープロセス等の熱処理プロセスへの耐性に優れる。
上記架橋樹脂は特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の網目構造を有する樹脂が挙げられる。なかでも、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等が好ましい。これらの架橋樹脂を用いることにより、上記スペーサー粒子は、上記半導体部品用接着剤の硬化プロセス、ハンダリフロープロセス等の熱処理プロセスへの耐性に優れる。
上記スペーサー粒子は、必要に応じて表面処理がなされていることが好ましい。上記スペーサー粒子に表面処理を施すことにより、得られる半導体部品用接着剤において上述のような粘度特性を実現することが可能となる。
上記表面処理の方法は特に限定されないが、例えば、上記接着組成物が全体として疎水性を示す場合には、表面に親水基を付与することが好ましい。上記表面に親水基を付与する方法は特に限定されず、例えば、スペーサー粒子として上記樹脂粒子を用いる場合には、親水基を有するカップリング剤で樹脂粒子の表面を処理する方法等が挙げられる。
上記表面処理の方法は特に限定されないが、例えば、上記接着組成物が全体として疎水性を示す場合には、表面に親水基を付与することが好ましい。上記表面に親水基を付与する方法は特に限定されず、例えば、スペーサー粒子として上記樹脂粒子を用いる場合には、親水基を有するカップリング剤で樹脂粒子の表面を処理する方法等が挙げられる。
上記スペーサー粒子は、球状であることが好ましい。また、上記スペーサー粒子のアスペクト比の好ましい上限は1.1である。アスペクト比を1.1以下とすることで、チップ間距離を安定して一定に保つことができる。
なお、本明細書においてアスペクト比とは、粒子の短径の長さに対する長径の長さの比(長径の長さを短径の長さで割った値)を意味する。このアスペクト比の値が1に近いほどスペーサー粒子の形状は真球に近くなる。
なお、本明細書においてアスペクト比とは、粒子の短径の長さに対する長径の長さの比(長径の長さを短径の長さで割った値)を意味する。このアスペクト比の値が1に近いほどスペーサー粒子の形状は真球に近くなる。
上記半導体部品用接着剤における上記スペーサー粒子の配合量の好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は5重量%である。上記スペーサー粒子の配合量が0.01重量%未満であると、チップ間距離を安定して一定に保つことができないことがある。上記スペーサー粒子の配合量が5重量%を超えると、得られる半導体部品用接着剤の接着剤としての機能が低下することがある。
また、上記半導体部品用接着剤が、上記スペーサー粒子以外に、上記スペーサー粒子の平均粒子径以上の粒子径を有する固形成分を含有する場合、このような固形成分の配合量の好ましい上限は1重量%である。
上記スペーサー粒子の平均粒子径以上の粒子径を有する固形成分の融点は、上記半導体部品用接着剤の硬化温度以下であることが好ましい。
上記スペーサー粒子の平均粒子径以上の粒子径を有する固形成分の最大粒子径は、上記スペーサー粒子の平均粒子径の1.1〜1.5であることが好ましく、1.1〜1.2であることが更に好ましい。
上記スペーサー粒子の平均粒子径以上の粒子径を有する固形成分の融点は、上記半導体部品用接着剤の硬化温度以下であることが好ましい。
上記スペーサー粒子の平均粒子径以上の粒子径を有する固形成分の最大粒子径は、上記スペーサー粒子の平均粒子径の1.1〜1.5であることが好ましく、1.1〜1.2であることが更に好ましい。
上記半導体部品用接着剤は、更に、チキソトロピー付与剤を含有することが好ましい。上記チキソトロピー付与剤を含有することにより、得られる半導体部品用接着剤は所望の粘度挙動を達成することができる。
上記チキソトロピー付与剤は特に限定されず、例えば、金属微粒子、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、酸化アルミニウム、窒化硼素、窒化アルミニウム、硼酸アルミ等の無機微粒子等が挙げられる。なかでも、ヒュームドシリカが好ましい。
上記チキソトロピー付与剤は特に限定されず、例えば、金属微粒子、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、酸化アルミニウム、窒化硼素、窒化アルミニウム、硼酸アルミ等の無機微粒子等が挙げられる。なかでも、ヒュームドシリカが好ましい。
また、上記チキソトロピー付与剤として、必要に応じて、表面処理を行ったチキソトロピー付与剤を用いることができる。特に、上記チキソトロピー付与剤として、表面に親水基を有する粒子を用いることが好ましい。上記表面に親水基を有する粒子として、具体的には例えば、表面に親水基を有するヒュームドシリカ等が挙げられる。
上記チキソトロピー付与剤として、粒子状のチキソトロピー付与剤を用いる場合、平均粒子径の好ましい上限は1μmである。上記チキソトロピー付与剤の平均粒子径が1μmを超えると、得られる半導体部品用接着剤が所望のチキソトロピー性を発現できないことがある。
上記半導体部品用接着剤における上記チキソトロピー付与剤の配合量は特に限定されないが、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が20重量%である。上記チキソトロピー付与剤の配合量が0.5重量%未満であると、得られる半導体部品用接着剤に充分なチキソトロピー性を付与することができないことがある。上記チキソトロピー付与剤の配合量が20重量%を超えると、得られる半導体部品用接着剤の排除性が低下することがある。上記チキソトロピー付与剤の配合量のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は10重量%である。
上記半導体部品用接着剤は、更に、上記硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物を含有することが好ましい。このような高分子化合物を含有することにより、熱によるひずみが発生する際の接合信頼性が向上する。
上記硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物として、上記硬化性化合物としてエポキシ樹脂を用いる場合には、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等を有する高分子化合物等が挙げられる。なかでも、エポキシ基を有する高分子化合物が好ましい。
上記エポキシ基を有する高分子化合物を添加することで、上記半導体部品用接着剤の硬化物は、上記硬化性化合物としてのエポキシ樹脂に由来する優れた機械的強度、耐熱性及び耐湿性と、上記エポキシ基を有する高分子化合物に由来する優れた可撓性とを兼備することができ、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れるものとなり、高い接着信頼性又は高い導通信頼性を発現する。
上記エポキシ基を有する高分子化合物を添加することで、上記半導体部品用接着剤の硬化物は、上記硬化性化合物としてのエポキシ樹脂に由来する優れた機械的強度、耐熱性及び耐湿性と、上記エポキシ基を有する高分子化合物に由来する優れた可撓性とを兼備することができ、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れるものとなり、高い接着信頼性又は高い導通信頼性を発現する。
上記エポキシ基を有する高分子化合物は、末端及び/又は側鎖(ペンダント位)にエポキシ基を有する高分子化合物であれば特に限定されず、例えば、エポキシ基含有アクリルゴム、エポキシ基含有ブタジエンゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂、エポキシ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ基を多く含む高分子化合物を得ることができ、硬化物の機械的強度又は耐熱性がより優れたものとなることから、エポキシ基含有アクリル樹脂が好ましい。これらのエポキシ基を有する高分子化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物として、上記エポキシ基を有する高分子化合物、特に、エポキシ基含有アクリル樹脂を用いる場合、上記エポキシ基を有する高分子化合物の重量平均分子量の好ましい下限が1万である。重量平均分子量が1万未満であると、半導体部品用接着剤の造膜性が不充分となって、半導体部品用接着剤の硬化物の可撓性が充分に向上しないことがある。
上記硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物として、上記エポキシ基を有する高分子化合物、特に、エポキシ基含有アクリル樹脂を用いる場合、上記エポキシ基を有する高分子化合物のエポキシ当量の好ましい下限が200、好ましい上限が1000である。エポキシ当量が200未満であると、半導体部品用接着剤の硬化物の可撓性が充分に向上しないことがある。エポキシ当量が1000を超えると、半導体部品用接着剤の硬化物の機械的強度又は耐熱性が不充分となることがある。
上記半導体部品用接着剤における、上記硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物の配合量は特に限定されないが、上記硬化性化合物100重量部に対し、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が30重量部である。上記硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物の配合量が1重量部未満であると、半導体部品用接着剤は、熱ひずみに対する充分な信頼性が得られないことがある。上記硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物の配合量が30重量部を超えると、半導体部品用接着剤の耐熱性が低下することがある。
上記半導体部品用接着剤は、更に、表面処理されたシリカフィラーを含有することが好ましい。上記表面処理されたシリカフィラーは特に限定されないが、フェニルシランカップリング剤で表面処理されたシリカフィラーが好ましい。
上記半導体部品用接着剤における、上記表面処理されたシリカフィラーの配合量は特に限定されないが、上記硬化性化合物100重量部に対し、好ましい下限が30重量部、好ましい上限が400重量部である。上記表面処理されたシリカフィラーの配合量が30重量部未満であると、得られる半導体部品用接着剤が充分な信頼性を保持することができないことがある。上記表面処理されたシリカフィラーの配合量が400重量部を超えると、得られる半導体部品用接着剤の粘度が高くなりすぎて、塗布安定性が低下することがある。
上記半導体部品用接着剤は、必要に応じて、溶媒を含有してもよい。
上記溶媒は特に限定されず、例えば、芳香族炭化水素類、塩化芳香族炭化水素類、塩化脂肪族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル(セロソルブ)類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
上記溶媒は特に限定されず、例えば、芳香族炭化水素類、塩化芳香族炭化水素類、塩化脂肪族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル(セロソルブ)類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
上記半導体部品用接着剤は、必要に応じて、無機イオン交換体を含有してもよい。
上記無機イオン交換体のうち、市販品としては、例えば、IXEシリーズ(東亞合成社製)等が挙げられる。上記半導体部品用接着剤における上記無機イオン交換体の配合量の好ましい上限は10重量%、好ましい下限は1重量%である。
上記無機イオン交換体のうち、市販品としては、例えば、IXEシリーズ(東亞合成社製)等が挙げられる。上記半導体部品用接着剤における上記無機イオン交換体の配合量の好ましい上限は10重量%、好ましい下限は1重量%である。
上記半導体部品用接着剤は、必要に応じて、ブリード防止剤、イミダゾールシランカップリング剤等の接着性付与剤等のその他の添加剤を含有してもよい。
上記半導体部品用接着剤を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記硬化性化合物及び上記硬化剤を含有する接着組成物に、必要に応じて上記硬化性化合物と反応可能な官能基を有する高分子化合物、上記チキソトロピー付与剤、その他の添加剤等を所定量配合して混合した後、上記スペーサー粒子を配合する方法が挙げられる。
上記混合の方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等を使用する方法が挙げられる。
上記混合の方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等を使用する方法が挙げられる。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、次いで、前記半導体部品用接着剤を介して、前記基板又は他の半導体チップ上に半導体チップを積層することにより、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の60%以上100%未満に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせる工程(2)(積層工程(2)ともいう)を行う。
上記積層工程(2)では、上記半導体部品用接着剤を介して、上記基板又は他の半導体チップに対し、上記半導体チップを位置合わせすることにより積層する。
上記積層工程(2)では、上記半導体部品用接着剤を介して、上記基板又は他の半導体チップに対し、上記半導体チップを位置合わせすることにより積層する。
上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせる領域が、半導体チップ接合領域の60%未満であると、後述するフィレットを形成する工程(3)において、上記半導体部品用接着剤が半導体チップ接合領域全体に濡れ広がらず、得られる半導体チップ実装体は温度サイクル信頼性に欠ける。上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせる領域が、半導体チップ接合領域の100%以上であると、後述するフィレットを形成する工程(3)を経たとき、半導体チップ接合領域からはみ出る半導体部品用接着剤の量が多くなり、得られる半導体チップ実装体に対してワイヤーボンディングすることが困難となる。
上記積層工程(2)では、上記基板又は他の半導体チップ上に積層された半導体チップに対して、押圧することが好ましい。押圧することにより、上述のような範囲に上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせることができ、また、上記半導体部品用接着剤が上記スペーサー粒子を含有する場合には、スペーサー粒子により上記半導体チップと、上記基板又は他の半導体チップとの間の間隔が支持されるように積層することができる。
上記押圧は、0.01〜1.0MPaの圧力で0.1〜5秒間行うことが好ましい。上記範囲内の圧力及び時間で押圧することにより、上述のような範囲に上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせることができる。上記押圧は、0.05〜0.5MPaの圧力で行うことがより好ましい。
また、上記積層工程(2)では、上記押圧を行うことによって所望のチップ間距離の1〜3倍にチップ間距離を縮小させることが好ましい。このとき、上記半導体部品用接着剤が上記スペーサー粒子を含有し、かつ、チップ間距離がスペーサー粒子の粒子径より大きい場合は、後述するフィレットを形成する工程(3)において半導体チップ接合領域全体に上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせることにより、チップ間距離とスペーサー粒子の粒子径との差を10μm以下にすることが好ましい。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、次いで、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域全体に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせるとともに、前記半導体チップの側面にフィレットを形成する工程(3)(フィレットを形成する工程(3)ともいう)を行う。
なお、本明細書中、フィレットとは、半導体部品用接着剤の、半導体チップ接合領域からはみ出すとともに半導体チップの側面に這い上がった部分をいう。
なお、本明細書中、フィレットとは、半導体部品用接着剤の、半導体チップ接合領域からはみ出すとともに半導体チップの側面に這い上がった部分をいう。
上記フィレットを形成する工程(3)では、半導体チップ接合領域の2以上の部位に部分的にフィレットを形成することが好ましい。
なお、本明細書中、半導体チップ接合領域の2以上の部位に部分的にフィレットを形成するとは、半導体チップ接合領域の周囲全体ではなく、例えば、角又は辺等の半導体チップ接合領域の一部分のうち、2以上の箇所に部分的にフィレットを形成することをいう。
なお、本明細書中、半導体チップ接合領域の2以上の部位に部分的にフィレットを形成するとは、半導体チップ接合領域の周囲全体ではなく、例えば、角又は辺等の半導体チップ接合領域の一部分のうち、2以上の箇所に部分的にフィレットを形成することをいう。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、後述する条件を満たすようにフィレットを形成することにより、半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることができる。しかしながら、上記半導体部品用接着剤が半導体チップ接合領域全体に濡れ広がる過程で、上記半導体チップの位置ズレ、即ち、チップシフトが生じることがある。
この問題に対し、上記フィレットを形成する工程(3)において、半導体チップ接合領域の2以上の部位に部分的にフィレットを形成しながら上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせることで、フィレットの量を調整して小型化した半導体チップ実装体においても良好なワイヤーボンディングを可能にしながら、チップシフトを抑制することができ、得られる半導体チップ実装体の信頼性を更に高めることができる。
なお、部分的にフィレットを形成する部位が半導体チップ接合領域のうちの1つの部位である場合には、上記半導体チップが上記半導体部品用接着剤上で回転してしまい、チップシフトを充分に抑制することができないことがある。
この問題に対し、上記フィレットを形成する工程(3)において、半導体チップ接合領域の2以上の部位に部分的にフィレットを形成しながら上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせることで、フィレットの量を調整して小型化した半導体チップ実装体においても良好なワイヤーボンディングを可能にしながら、チップシフトを抑制することができ、得られる半導体チップ実装体の信頼性を更に高めることができる。
なお、部分的にフィレットを形成する部位が半導体チップ接合領域のうちの1つの部位である場合には、上記半導体チップが上記半導体部品用接着剤上で回転してしまい、チップシフトを充分に抑制することができないことがある。
上記半導体チップ接合領域の2以上の部位は、チップシフトをより良好に抑制できることから、互いに対称となる位置にある角、辺、辺の一部等、及び、これらの組み合わせであることが好ましい。
また、半導体チップ上に半導体チップを階段状に積層する場合は、1段目の半導体チップと2段目の半導体チップがオーバーハングした部分の下側の2以上の部位に部分的にフィレットを形成することにより、効果的にチップシフトを抑制することができる。
また、半導体チップ上に半導体チップを階段状に積層する場合は、1段目の半導体チップと2段目の半導体チップがオーバーハングした部分の下側の2以上の部位に部分的にフィレットを形成することにより、効果的にチップシフトを抑制することができる。
上記フィレットを形成する工程(3)において、半導体チップ接合領域の2以上の部位に部分的にフィレットを形成するためには、例えば、上記塗布工程(1)において、対称的な形状に上記半導体部品用接着剤を塗布することが好ましい。
上記対称的な形状は特に限定されず、例えば、図2、4、6、8、10及び12に示す形状が挙げられる。例えば、上記塗布工程(1)において上記半導体部品用接着剤を図2に示す形状に塗布した場合には、上記積層工程(2)の直後、上記半導体部品用接着剤の濡れ広がった領域の形状は図3に示す形状となり、次いで、上記フィレットを形成する工程(3)において、半導体チップ接合領域の2以上の部位に部分的にフィレットを形成しながら、上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせることができる。同様に、例えば、上記塗布工程(1)において上記半導体部品用接着剤を図4、6、8、10及び12に示す形状に塗布した場合には、上記積層工程(2)の直後、上記半導体部品用接着剤の濡れ広がった領域の形状は、それぞれ、図5、7、9、11及び13に示す形状となる。
上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせるとともに、上記半導体チップの側面にフィレットを形成する方法は特に限定されないが、例えば、上記半導体部品用接着剤を常温処理する常温工程を行ってもよい。
なお、本明細書中、常温処理とは、所定の時間、常温に維持する処理をいい、また、常温とは、特に熱を加えない温度をいい、具体的には、例えば、0〜40℃の範囲の温度等が挙げられる。
なお、本明細書中、常温処理とは、所定の時間、常温に維持する処理をいい、また、常温とは、特に熱を加えない温度をいい、具体的には、例えば、0〜40℃の範囲の温度等が挙げられる。
また、上記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせるとともに、上記半導体チップの側面にフィレットを形成する方法として、例えば、上記半導体部品用接着剤を加温処理する加温工程(3−1)と、上記加温処理した半導体部品用接着剤を保温処理する保温工程(3−2)とを行ってもよい。
なお、本明細書中、加温処理とは、所定の温度、時間、加温速度等の条件下で徐々に熱を加える処理をいう。上記加温処理する方法は特に限定されず、例えば、常温から80℃まで30分かけて昇温する方法等が挙げられる。
また、本明細書中、保温処理とは、所定の時間、上記加温工程(3−1)において到達した温度条件下に維持する処理をいう。上記保温処理の方法は特に限定されず、例えば、80℃のオーブンの中で60分間保持する方法等が挙げられる。
また、本明細書中、保温処理とは、所定の時間、上記加温工程(3−1)において到達した温度条件下に維持する処理をいう。上記保温処理の方法は特に限定されず、例えば、80℃のオーブンの中で60分間保持する方法等が挙げられる。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、次いで、前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)(硬化工程(4)ともいう)を行う。
上記硬化工程(4)を行うことにより、上記半導体部品用接着剤を硬化させて、上記半導体チップと、上記基板又は他の半導体チップとを接合した半導体チップ実装体を得ることができる。
上記硬化工程(4)を行うことにより、上記半導体部品用接着剤を硬化させて、上記半導体チップと、上記基板又は他の半導体チップとを接合した半導体チップ実装体を得ることができる。
上記硬化工程(4)における硬化方法は特に限定されず、上記半導体部品用接着剤の硬化特性に合わせた硬化条件を適宜選択して用いることができ、例えば、120℃で30分、170℃で30分加熱する方法等が挙げられる。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、上記硬化工程(4)の後の半導体チップ実装体において、上記半導体チップの厚みをD、上記半導体チップの底面からの高さ方向のフィレット距離をd、半導体チップ接合領域の端部からの横方向のフィレット距離をLとしたとき、d/Dが0.2〜0.8、かつ、Lが300μm未満となるようにフィレットを形成する(図1参照)。
通常、半導体チップの側面にフィレットを形成することで、得られる半導体チップ実装体の温度サイクル信頼性を高めることができるが、形成されるフィレットの量、即ち、半導体チップ接合領域からはみ出る半導体部品用接着剤の量が多すぎると、得られる半導体チップ実装体に対してワイヤーボンディングすることが困難となる。本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、上述した条件を満たすようにフィレットを形成することにより、半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることができる。
通常、半導体チップの側面にフィレットを形成することで、得られる半導体チップ実装体の温度サイクル信頼性を高めることができるが、形成されるフィレットの量、即ち、半導体チップ接合領域からはみ出る半導体部品用接着剤の量が多すぎると、得られる半導体チップ実装体に対してワイヤーボンディングすることが困難となる。本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、上述した条件を満たすようにフィレットを形成することにより、半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることができる。
上記d/Dが0.2未満であると、得られる半導体チップ実装体は温度サイクル信頼性に欠ける。上記d/Dが0.8を超えると、半導体チップ接合領域からはみ出る半導体部品用接着剤の量が多くなり、得られる半導体チップ実装体に対してワイヤーボンディングすることが困難となる。また、上記d/Dが0.8を超えると、ダンシングにより上記半導体チップの上面に欠けが生じている場合には、わずかな欠けであっても、上記半導体部品用接着剤が上記半導体チップの上面に這い上がり、ワイヤーボンディングすることが困難となる。上記d/Dの好ましい下限は0.3、好ましい上限は0.7である。
上記Lが300μm以上であると、得られる半導体チップ実装体に対してワイヤーボンディングすることが困難となる。上記Lは、200μm未満であることが好ましく、100μm未満であることがより好ましい。
また、上記硬化工程(4)の後の半導体チップ実装体において、上記基板又は他の半導体チップの上面からの高さ方向のフィレット全体の距離をd’、半導体チップ接合領域の端部からの横方向のフィレット距離をLとしたとき、d’/Lが0.3〜2であることが好ましい。上記d’/Lが0.3未満であると、半導体チップ接合領域からはみ出る半導体部品用接着剤の量が多くなり、得られる半導体チップ実装体に対してワイヤーボンディングすることが困難となることがある。上記d’/Lが2を超えると、得られる半導体チップ実装体は、条件によっては、温度サイクル信頼性に欠けることがある。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法を用いて多層の半導体チップ実装体を製造する場合、上記フィレットを形成する工程(3)から上記硬化工程(4)までの工程は、半導体チップを1つ積層する度に行ってもよく、半導体チップの積層を所望の数まで繰り返した後、一度に行ってもよい。
また、本発明の半導体チップ実装体の製造方法を用いて多層の半導体チップ実装体を製造する場合、上記硬化工程(4)の後に得られる半導体チップ実装体のチップ間距離のばらつきは、3σで5μm未満であることが好ましい。ばらつきが3σで5μm以上であると、得られる半導体チップ実装体のワイヤーボンディング不良、フリップチップボンディング不良が発生することがある。なお、σは標準偏差を表す。
また、本発明の半導体チップ実装体の製造方法を用いて多層の半導体チップ実装体を製造する場合、上記硬化工程(4)の後に得られる半導体チップ実装体のチップ間距離のばらつきは、3σで5μm未満であることが好ましい。ばらつきが3σで5μm以上であると、得られる半導体チップ実装体のワイヤーボンディング不良、フリップチップボンディング不良が発生することがある。なお、σは標準偏差を表す。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法において、上記フィレットを形成する工程(3)及び上記硬化工程(4)については、例えば、これらの工程を一連の工程として行ってもよく、各々の工程を区別して行ってもよい。いずれの場合であっても、上記半導体部品用接着剤が半導体チップ接合領域全体に濡れ広がるとともに、上記半導体チップの側面にフィレットが形成された状態で、硬化させることが重要である。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、基板に対して半導体チップを接合して半導体チップ実装体を製造してもよく、また、例えば、基板に接合された半導体チップ等の他の半導体チップに対して更に半導体チップを接合して多層の半導体チップ実装体を製造してもよい。また、本発明の半導体チップ実装体の製造方法は、半導体チップを十字状に積層する場合に、特に好適に用いることができる。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法を用いて半導体チップ実装体を製造し、更に、得られた半導体チップ実装体を封止剤等で封止することにより、半導体装置を製造することができる。このような半導体装置もまた本発明の1つである。
本発明によれば、半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることのできる半導体チップ実装体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該半導体チップ実装体の製造方法を用いた半導体装置を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
なお、以下の実施例及び比較例に記載の粒子径の測定には粒子サイズ測定機(コールターカウンターZB/C−1000、コールターエレクトロニクス社製)を使用した。
なお、以下の実施例及び比較例に記載の粒子径の測定には粒子サイズ測定機(コールターカウンターZB/C−1000、コールターエレクトロニクス社製)を使用した。
(実施例1)
(1)半導体部品用接着剤の製造
表1の実施例1の組成に従って、下記に示すスペーサー粒子以外の各材料を、ホモディスパーを用いて攪拌混合して、接着組成物を作製した。得られた接着組成物に、スペーサー粒子を表1の組成に従って配合し、更にホモディスパーを用いて攪拌混合することにより半導体部品用接着剤を製造した。
(1)半導体部品用接着剤の製造
表1の実施例1の組成に従って、下記に示すスペーサー粒子以外の各材料を、ホモディスパーを用いて攪拌混合して、接着組成物を作製した。得られた接着組成物に、スペーサー粒子を表1の組成に従って配合し、更にホモディスパーを用いて攪拌混合することにより半導体部品用接着剤を製造した。
1.エポキシ樹脂
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EXA−830−CRP、DIC社製)
レゾルシノール型エポキシ樹脂(EX−201、ナガセケムテックス社製)
ポリエーテル型エポキシ樹脂(エポゴーセーPT、四日市合成社製)
2.エポキシ基を有する高分子化合物
エポキシ基含有アクリル樹脂(ブレンマーCP−30、日油社製)
3.ゴム変性エポキシ樹脂
NBR変性エポキシ樹脂(EPR−4033、アデカ社製)
4.硬化剤
酸無水物(YH−306、ジャパンエポキシレジン社製)
5.硬化促進剤
変性イミダゾール(2MA−OK−PW、四国化成工業社製)
6.接着性付与剤
イミダゾールシランカップリング剤(SP−1000、日鉱マテリアル社製)
7.チキソトロピー付与剤
ヒュームドシリカ(MT−10、トクヤマ社製)
8.スペーサー粒子
樹脂粒子(ミクロパールSP−220、積水化学工業社製、平均粒子径10μm、CV値=4%)
9.シリカフィラー
球状シリカ(SE−4050−SPE、アドマテックス社製、平均粒子径1μm、最大粒子径5μm)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EXA−830−CRP、DIC社製)
レゾルシノール型エポキシ樹脂(EX−201、ナガセケムテックス社製)
ポリエーテル型エポキシ樹脂(エポゴーセーPT、四日市合成社製)
2.エポキシ基を有する高分子化合物
エポキシ基含有アクリル樹脂(ブレンマーCP−30、日油社製)
3.ゴム変性エポキシ樹脂
NBR変性エポキシ樹脂(EPR−4033、アデカ社製)
4.硬化剤
酸無水物(YH−306、ジャパンエポキシレジン社製)
5.硬化促進剤
変性イミダゾール(2MA−OK−PW、四国化成工業社製)
6.接着性付与剤
イミダゾールシランカップリング剤(SP−1000、日鉱マテリアル社製)
7.チキソトロピー付与剤
ヒュームドシリカ(MT−10、トクヤマ社製)
8.スペーサー粒子
樹脂粒子(ミクロパールSP−220、積水化学工業社製、平均粒子径10μm、CV値=4%)
9.シリカフィラー
球状シリカ(SE−4050−SPE、アドマテックス社製、平均粒子径1μm、最大粒子径5μm)
(2)半導体チップ実装体の製造
得られた半導体部品用接着剤を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、有機基板とニードルとのギャップ200μm、塗布量2.3μLにて図14に示す形状で有機基板(大昌電子社製、厚み180μm)上に塗布した。
このとき、上記式(A)で表される理論塗布量に対する、半導体部品用接着剤の塗布量の割合(塗布量/理論塗布量)は、1.2であり、半導体部品用接着剤を塗布した領域(塗布領域)は、半導体チップ接合領域の50%であった。
得られた半導体部品用接着剤を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、有機基板とニードルとのギャップ200μm、塗布量2.3μLにて図14に示す形状で有機基板(大昌電子社製、厚み180μm)上に塗布した。
このとき、上記式(A)で表される理論塗布量に対する、半導体部品用接着剤の塗布量の割合(塗布量/理論塗布量)は、1.2であり、半導体部品用接着剤を塗布した領域(塗布領域)は、半導体チップ接合領域の50%であった。
塗布した半導体部品用接着剤を介して、ペリフェラル状に110μmのパッド開口部を172個有する半導体チップ(厚さ100μm、8mm×12mm角、メッシュ状パターン、アルミ配線(厚み0.7μm)、L/S=15/15、表面の窒化シリコン膜の厚み1.0μm)をフリップチップボンダー(DB−100、澁谷工業社製)を用いて0.3MPaの圧力で0.5秒間押圧することにより、有機基板上に積層した。
このとき、半導体部品用接着剤の濡れ広がった領域(積層工程(2)後の濡れ広がり領域)は、半導体チップ接合領域の70%であり、図15に示す形状であった。
このとき、半導体部品用接着剤の濡れ広がった領域(積層工程(2)後の濡れ広がり領域)は、半導体チップ接合領域の70%であり、図15に示す形状であった。
その後、熱風乾燥炉内にて、常温から80℃まで30分間かけて昇温することにより加温処理を行い、80℃で60分間放置することにより保温処理を行った後、150℃で60分間加熱を行い、半導体部品用接着剤を硬化させることにより、半導体チップ実装体を得た。
このとき形成されたフィレットについて、半導体チップの厚みをD、半導体チップの底面からの高さ方向のフィレット距離をd、半導体チップ接合領域の端部からの横方向のフィレット距離をLとしたとき、d/Dは0.3であり、Lは80μmであった。
このとき形成されたフィレットについて、半導体チップの厚みをD、半導体チップの底面からの高さ方向のフィレット距離をd、半導体チップ接合領域の端部からの横方向のフィレット距離をLとしたとき、d/Dは0.3であり、Lは80μmであった。
(実施例2〜4及び比較例1〜3)
表1に示す組成に従って半導体部品用接着剤を調製し、表1に示すプロセス条件に変更したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
表1に示す組成に従って半導体部品用接着剤を調製し、表1に示すプロセス条件に変更したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られた半導体チップ実装体について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた半導体チップ実装体について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
(1)半導体部品用接着剤の充填性
有機基板−半導体チップ間について、超音波探査映像装置(mi−scope hyper II、日立建機ファインテック社製)を用いて観察し、半導体チップ接合領域における半導体部品用接着剤の充填性を下記の基準で評価した。
○ 半導体チップ接合領域全体に半導体部品用接着剤が充填されていた。
× 半導体チップ接合領域に半導体部品用接着剤が充填されていない部分があった。
有機基板−半導体チップ間について、超音波探査映像装置(mi−scope hyper II、日立建機ファインテック社製)を用いて観察し、半導体チップ接合領域における半導体部品用接着剤の充填性を下記の基準で評価した。
○ 半導体チップ接合領域全体に半導体部品用接着剤が充填されていた。
× 半導体チップ接合領域に半導体部品用接着剤が充填されていない部分があった。
(2)チップ間距離のばらつき
半導体チップ実装体のサンプルを10個作製し、各半導体チップ実装体の積層状態を、レーザー変位計(KS−1100、KEYENCE社製)を用いて測定した。
具体的には、半導体チップの上面と有機基板の上面との段差を測定し、測定値から半導体チップの厚みを引くことで、半導体チップと有機基板との間のチップ間距離を求めた後、チップ間距離のばらつきを3σ(μm)(σ=標準偏差)として算出した。
半導体チップ実装体のサンプルを10個作製し、各半導体チップ実装体の積層状態を、レーザー変位計(KS−1100、KEYENCE社製)を用いて測定した。
具体的には、半導体チップの上面と有機基板の上面との段差を測定し、測定値から半導体チップの厚みを引くことで、半導体チップと有機基板との間のチップ間距離を求めた後、チップ間距離のばらつきを3σ(μm)(σ=標準偏差)として算出した。
(3)温度サイクル試験(TCT)
半導体チップ実装体を、−55℃〜125℃を30分に1サイクルする温度サイクルオーブンに入れた。2000サイクル後の有機基板−半導体チップ間について、超音波探査映像装置(mi−scope hyper II、日立建機ファインテック社製)を用いて観察し、下記の基準で評価した。
○ 剥離が全く観察されなかった。
× 剥離が観察された。
半導体チップ実装体を、−55℃〜125℃を30分に1サイクルする温度サイクルオーブンに入れた。2000サイクル後の有機基板−半導体チップ間について、超音波探査映像装置(mi−scope hyper II、日立建機ファインテック社製)を用いて観察し、下記の基準で評価した。
○ 剥離が全く観察されなかった。
× 剥離が観察された。
(4)ワイヤーボンディング性
ワイヤーボンダー(新川社製、UTC−2000−SUPER)を用いて、半導体チップ上のボンディングパッドと、有機基板上のボンディングパッドとを金ワイヤーでワイヤーボンディングした。その後、金ワイヤーをピンセットで引っ張り、下記の基準で評価した。
○ 引っ張っても金ワイヤーがボンディングパッドから外れなかった。
× ボンディングパッドに金ワイヤーが打てなかったか、又は、引っ張ると金ワイヤーがボンディングパッドから簡単に外れた。
ワイヤーボンダー(新川社製、UTC−2000−SUPER)を用いて、半導体チップ上のボンディングパッドと、有機基板上のボンディングパッドとを金ワイヤーでワイヤーボンディングした。その後、金ワイヤーをピンセットで引っ張り、下記の基準で評価した。
○ 引っ張っても金ワイヤーがボンディングパッドから外れなかった。
× ボンディングパッドに金ワイヤーが打てなかったか、又は、引っ張ると金ワイヤーがボンディングパッドから簡単に外れた。
(5)総合評価
半導体チップ実装体を下記の基準で評価した。
○ 上記(1)〜(4)の評価結果として、×が全くなかった。
× 上記(1)〜(4)の評価結果として、1つ以上×があった。
半導体チップ実装体を下記の基準で評価した。
○ 上記(1)〜(4)の評価結果として、×が全くなかった。
× 上記(1)〜(4)の評価結果として、1つ以上×があった。
本発明によれば、半導体チップ接合領域からの接着剤のはみ出しを調整しながら、温度サイクル信頼性の高い半導体チップ実装体を得ることのできる半導体チップ実装体の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該半導体チップ実装体の製造方法を用いた半導体装置を提供することができる。
1 基板又は他の半導体チップ
2 半導体チップ
3 半導体部品用接着剤
2 半導体チップ
3 半導体部品用接着剤
Claims (3)
- 半導体チップと、基板又は他の半導体チップとを接合した半導体チップ実装体の製造方法であって、
基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の40〜90%に、半導体部品用接着剤を塗布する工程(1)と、
前記半導体部品用接着剤を介して、前記基板又は他の半導体チップ上に半導体チップを積層することにより、前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域の60%以上100%未満に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせる工程(2)と、
前記基板又は他の半導体チップ上の半導体チップ接合領域全体に、前記半導体部品用接着剤を濡れ広がらせるとともに、前記半導体チップの側面にフィレットを形成する工程(3)と、
前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)とを有し、
前記半導体部品用接着剤を硬化させる工程(4)の後の半導体チップ実装体において、前記半導体チップの厚みをD、前記半導体チップの底面からの高さ方向のフィレット距離をd、半導体チップ接合領域の端部からの横方向のフィレット距離をLとしたとき、d/Dが0.2〜0.8、かつ、Lが300μm未満となるようにフィレットを形成する
ことを特徴とする半導体チップ実装体の製造方法。 - 下記式(A)で表される理論塗布量に対する、半導体部品用接着剤の塗布量の割合が、1.1〜1.5であることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ実装体の製造方法。
理論塗布量=(半導体チップ接合領域の面積)×(目的とする接着剤層の厚み) (A) - 請求項1又は2記載の半導体チップ実装体の製造方法を用いて製造されることを特徴とする半導体装置。
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