JP5771084B2 - 半導体チップ実装体の製造方法及び封止樹脂 - Google Patents
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Description
このような方法は一般的にフリップチップボンダを使用して行われ、図1に示すように、半導体チップをハンダの溶融温度より低い温度(温度T1)に加熱しながら封止樹脂層を介して基板等に押圧し、その後、半導体チップのバンプが溶融する温度よりやや高い温度(温度T2)にまで半導体チップを加熱して、バンプを基板等の電極部に接合する(加熱圧着工程)。そして更に、得られた半導体装置サンプルを200℃30分等の加熱条件に曝すことで、封止樹脂を硬化させる工程が行われることもある。しかしながら、このような方法は、加熱圧着工程ごとにフリップチップボンダのヘッド温度(チップ保持具の温度)をハンダの溶融温度より低い温度から高い温度にまで昇温させる工程と、再度ハンダの溶融温度より低い温度にまで冷却する工程とを有することから(図1参照)、昇温と冷却とに要する時間を短縮できず、生産効率が充分に上がらないという問題があった。
例えば、特許文献1には、無機基板または有機基板の回路形成面の半導体素子を搭載する位置に所定の液状封止樹脂組成物を塗布した後、前記半導体素子の電極と前記基板の回路を、リフロー炉内にてバンプを介して接合すると同時に前記液状封止樹脂組成物の硬化を行う半導体装置の製造方法が記載されている。
このような液状封止樹脂組成物を用いることにより、特許文献1に記載の方法においては、予備加熱時には液状封止樹脂組成物が十分に低粘度を保持し、半導体素子の自重のみで半導体素子の接続用電極部と配線回路基板が接触する。そして、その後、本加熱により接続用電極部を溶融させて配線回路基板の電極に半田付けを行い、半田接合後に液状封止樹脂組成物が硬化する。
X=(A−B)×α2×10 −4 (2)
式(2)中、Aは電極接続工程を行う温度(℃)を表し、Bは固定工程を行う温度(℃)を表し、α2は温度BからAまでの間の封止樹脂の平均線膨張係数(ppm/℃)を表す。
以下、本発明を詳述する。
このような半導体チップ実装体の製造方法では、固定工程において、半導体チップ、封止樹脂、及び、基板又は他の半導体チップが一定以上の硬化率で固定され、半導体チップ固定体が得られる。従って、このような半導体チップ固定体を搬送し、電極接続工程を固定工程とは異なる装置を用いて行うことで、従来必要であった昇温と冷却とに要する時間を短縮し、生産効率を極めて大きく向上させることができる。更に、電極接続工程を複数の半導体チップに対して一括して行うことで、生産効率をより一層向上させることができる。
本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、まず、ハンダからなるバンプを有する半導体チップを、封止樹脂が塗布又は貼付された基板又は他の半導体チップ上に、前記封止樹脂を介して位置合わせする工程を行う。
上記封止樹脂は、シート状であってもよく、ペースト状であってもよい。上記封止樹脂がシート状の場合は、後述する硬化収縮率を調整しやすいという利点があり、ペースト状の場合は、塗布領域の緻密な制御、フィレット形成の制御等がしやすくなるという利点がある。
上記硬化性化合物として、例えば、ユリア化合物、メラミン化合物、フェノール化合物、レゾルシノール化合物、エポキシ化合物、アクリル化合物、ポリエステル化合物、ポリアミド化合物、ポリベンズイミダゾール樹脂、ジアリルフタレート化合物、キシレン化合物、アルキル−ベンゼン化合物、エポキシアクリレート化合物、珪素樹脂、ウレタン化合物、エピスルフィド化合物等の熱硬化性化合物が挙げられる。なかでも、得られる半導体装置が信頼性及び接合強度に優れることから、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物が好ましい。
上記レゾルシノール型エポキシ化合物のうち、市販品として、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ポリエーテル変性エポキシ化合物のうち、市販品として、例えば、EX−931(ナガセケムテックス社製)、EXA−4850−150(DIC社製)、EP−4005(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記エピスルフィド化合物として、具体的には例えば、ビスフェノール型エピスルフィド化合物(ビスフェノール型エポキシ化合物のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換した化合物)、水添ビスフェノール型エピスルフィド化合物、ジシクロペンタジエン型エピスルフィド化合物、ビフェニル型エピスルフィド化合物、フェノールノボラック型エピスルフィド化合物、フルオレン型エピスルフィド化合物、ポリエーテル変性エピスルフィド化合物、ブタジエン変性エピスルフィド化合物、トリアジンエピスルフィド化合物、ナフタレン型エピスルフィド化合物、レゾルシノール型エピスルフィド化合物等が挙げられる。なかでも、ナフタレン型エピスルフィド化合物が好ましい。これらのエピスルフィド化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、酸素原子から硫黄原子への置換は、エポキシ基の少なくとも一部におけるものであってもよく、すべてのエポキシ基の酸素原子が硫黄原子に置換されていてもよい。
上記硬化促進剤として、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、硬化速度の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。これらの硬化促進剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記希釈剤は、エポキシ基を有することが好ましく、1分子中のエポキシ基数の好ましい下限が2、好ましい上限が4である。1分子中のエポキシ基数が2未満であると、封止樹脂の硬化後に充分な耐熱性が発現しないことがある。1分子中のエポキシ基数が4を超えると、硬化によるひずみが発生したり、未硬化のエポキシ基が残存したりすることがあり、これにより、接合強度の低下又は繰り返しの熱応力による接合不良が発生することがある。上記希釈剤の1分子中のエポキシ基数のより好ましい上限は3である。
また、上記希釈剤は、芳香環及び/又はジシクロペンタジエン構造を有することが好ましい。
また、上記希釈剤は、上記硬化性化合物よりも硬化開始温度が低く、硬化速度が大きいことが好ましい。
上記チキソトロピー付与剤を含有することで、得られる封止樹脂の粘度挙動を、フリップチップ実装に最適となるように調整することができる。
また、上記チキソトロピー付与剤は、必要に応じて、表面処理が施されていてもよい。上記表面処理が施されたチキソトロピー付与剤として、表面に疎水基を有する粒子が好ましく、具体的には、例えば、表面を疎水化したヒュームドシリカ等が挙げられる。
上記無機フィラーは、表面処理されたシリカフィラーであることが好ましい。上記表面処理されたシリカフィラーは、フェニルシランカップリング剤で表面処理されたシリカフィラーが好ましい。
上記溶媒として、例えば、芳香族炭化水素類、塩化芳香族炭化水素類、塩化脂肪族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル(セロソルブ)類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
上記無機イオン交換体のうち、市販品として、例えば、IXEシリーズ(東亞合成社製)等が挙げられる。上記封止樹脂が上記無機イオン交換体を含有する場合、上記無機イオン交換体の配合量は、好ましい上限が10重量%、好ましい下限が1重量%である。
例えば、上述した各種配合物の種類及び量を調整することで、140℃で30秒加熱した場合の硬化率が40%以上となる封止樹脂を得ることができる。なかでも、140℃で30秒加熱した場合の硬化率が40%以上となる封止樹脂を得るためには、上記エピスルフィド化合物を配合したり、上記エポキシ化合物と、上記エピスルフィド化合物と、上記イミダゾール系硬化促進剤又はアミン系硬化促進剤とを配合したりすることが好ましい。
上記固定工程においては、上記ハンダの溶融温度よりも低い温度で加熱するとともに荷重を付与することにより、上記封止樹脂の溶融粘度が一旦低下し、上記バンプが上記封止樹脂を排除しながら上記基板又は他の半導体チップの電極部に接触することができ、その後、上記封止樹脂が硬化して、硬化率が70%以上に調整される。
封止樹脂の硬化率(%)=(1−Dh/Di)×100 (1)
式(1)中、Diは示差走査熱量計にて算出される封止樹脂の初期状態の発熱量を表し、Dhは示差走査熱量計にて算出される封止樹脂の加熱処理後の発熱量を表す。
これに対し、上記固定工程では、上記ハンダの溶融温度よりも低い温度で加熱し、上記封止樹脂の硬化率を70%以上に調整する。これにより、上記半導体チップ、上記封止樹脂、及び、上記基板又は他の半導体チップが一定以上の硬化率で固定されることから、このような半導体チップ固定体を搬送し、後述する電極接続工程を上記固定工程とは異なる装置を用いて行うことで、生産効率を極めて大きく向上させることができる。即ち、一般的には、半導体チップと基板又は他の半導体チップとの位置合わせから電極接続までを、フリップチップボンダ等の1種類の実装用装置を用いて行う。この場合、図1に示すように、半導体チップを1つ実装するたびに、実装用装置のヘッド温度(チップ保持具の温度)をハンダの溶融温度より低い温度(温度T1)から高い温度(温度T2)にまで昇温させる工程と、再度ハンダの溶融温度より低い温度(温度T1)にまで冷却する工程とが必要となる。これに対し、電極接続工程を上記固定工程とは異なる装置を用いて行う場合には、図2に示すように、各工程を行う温度(温度T3及びT4)に各装置の温度を設定すればよく、従来のような昇温と冷却とを必要としない。例えば、冷却には通常3秒以上の時間を要することから、昇温と冷却とに要する時間を短縮できることは、生産効率の面で重要な技術的意義を有する。
ただし、加圧雰囲気下で上記封止樹脂を硬化する、いわゆる加圧硬化を行う場合には、上記固定工程において、上記封止樹脂を完全に硬化させてもよい(硬化率100%)。加圧硬化により上記封止樹脂を完全に硬化させることにより、ボイドの発生を抑制することができる。加圧硬化により上記封止樹脂を完全に硬化させる方法としては、加圧容器内に組み込まれたフリップチップボンダ等の実装用装置を用いて、上記位置合わせする工程から上記固定工程までを加圧雰囲気下で行う方法が好ましい。この場合には、加圧硬化を行うために別の装置に搬送する必要がなく、また、圧力の調整が少なくて済むことから、生産効率を低下させることがない。
なお、上記固定工程において、上記封止樹脂の硬化率を70%以上に調整した後、別の装置にて加圧硬化を行い、上記封止樹脂を完全に硬化させてもよい。
また、上記固定工程をフリップチップボンダを用いて行い、電極接続工程をリフロー装置において行う場合には、上記半導体チップ固定体を一時的に保管した後、複数の上記半導体チップ固定体をまとめて搬送し、リフロー装置に投入してもよい。これにより、電極接続工程を複数の半導体チップに対して一括して行うことができ、生産効率をより一層向上させることができる。具体的には、例えば、上記半導体チップ固定体を一時的にトレイ等に保管し、一定以上の数、例えば64以上の数の上記半導体チップ固定体が作製された時点で、複数の上記半導体チップ固定体をまとめて搬送し、リフロー装置に投入することができる。
また、荷重を付与する際の圧力の好ましい下限は5N、好ましい上限は30Nであり、より好ましい下限は10N、より好ましい上限は20Nであり、1バンプあたりのヘッド圧の好ましい下限は0.009N、好ましい上限は0.05Nであり、より好ましい下限は0.018N、より好ましい上限は0.036Nである。なお、1バンプあたりのヘッド圧は、半導体チップのバンプ数と、荷重を付与する際の圧力から計算することができる。
また、上記ハンダの溶融温度よりも低い温度で加熱するとともに荷重を付与する時間は、好ましくは0.5〜30秒、より好ましくは1〜10秒、更に好ましくは1〜5秒である。上記ハンダの溶融温度よりも低い温度で加熱するとともに荷重を付与する時間は、生産効率を向上させる観点からも上記範囲内であることが好ましい。
特に、上記半導体チップ固定体が、上記基板又は他の半導体チップの1つの面上に複数の半導体チップが固定された固定体であり、かつ、上記固定工程をフリップチップボンダを用いて行い、電極接続工程をリフロー装置において行う場合には、電極接続工程を複数の半導体チップに対して一括して行うことができ、生産効率をより一層向上させることができる。
また、上述のように、半導体装置の生産効率が向上することから、本発明の半導体チップ実装体の製造方法では、上記電極接続工程をリフロー装置において行うことが好ましい。更に、上述のように、上記半導体チップ固定体を一時的に保管した後、複数の上記半導体チップ固定体をまとめて搬送し、リフロー装置に投入したり、上記基板又は他の半導体チップの1つの面上に複数の半導体チップが固定された固定体を用いたりすることにより、上記電極接続工程を複数の半導体チップに対して一括して行うことがより好ましい。
X=(A−B)×α2×10−4 (2)
式(2)中、Aは電極接続工程を行う温度(℃)を表し、Bは固定工程を行う温度(℃)を表し、α2は温度BからAまでの間の封止樹脂の平均線膨張係数(ppm/℃)を表す。
また、封止樹脂の平均線膨張係数は、熱機械分析(TMA)の測定により得られた曲線から求めることができ、より具体的には、例えば、TMA/SS6000(Seiko Instruments社製)を用い、引張りモードにて30〜300℃(10℃昇温)伸縮を2サイクル行い、2サイクル目の曲線から求めることができる。
上記電極接続工程において、上記封止樹脂の硬化収縮率が上記式(2)で表される値X(%)の2倍より大きいことにより、上記封止樹脂は外向きに膨張する割合に対して収縮する割合が充分高いことになり、上記封止樹脂の界面が基板又は半導体チップにより密着するような方向に力が発生する。これにより、仮に、接続後に理想的な接合状態とならなかった電極があった場合でも、該電極の周りに上記封止樹脂が強固に密着し、該電極の破壊等を抑制することができる。
上記電極接続工程における上記封止樹脂の硬化収縮率が上記式(2)で表される値X(%)の2倍以下であると、熱によるひずみが発生する際、上記バンプと上記基板又は他の半導体チップの電極部との接触状態を保つことができず、得られる半導体装置の接合信頼性が低下することがある。
上記封止樹脂を完全に硬化させる工程では、ボイドの発生をより一層抑制できることから、加圧硬化により上記封止樹脂を完全に硬化させることが好ましい。加圧硬化により上記封止樹脂を完全に硬化させる場合には、加圧容器内に組み込まれた硬化用装置を用いればよい。
(1)封止樹脂の製造
表1に示す組成に従って、ホモディスパーを用いて下記に示す各材料(重量部)を攪拌混合し、封止樹脂を調製した。
アニリン型エポキシ化合物(EP−3900S、ADEKA社製)
ベンゾフェノン型エポキシ化合物(EP−3300S、ADEKA社製)
ナフタレン型エポキシ化合物(EXA−4710、DIC社製)
ビスフェノールF型エポキシ化合物(EXA−830−CRP、DIC社製)
ビスフェノールA型エポキシ化合物(EXA−850−CRP、DIC社製)
ナフタレン型エピスルフィド化合物(フラスコ内に、ナフタレン型エポキシ(DIC社製HP−4032D、エポキシ当量=140)を100g及びテトラヒドロフランを200g仕込み、室温にて攪拌してエポキシ化合物を溶解させた。溶解後、チオ尿素を100g及びメタノールを200g添加し、温度30〜35℃で、攪拌しながら5時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトンを300g添加した後、純水250gで5回水洗した。水洗後、ロータリーエバポレーターにて減圧下、温度90℃でメチルイソブチルケトンを留去して、無色透明液体の目的物を101.2g得た。)
レゾルシノール型エピスルフィド化合物(フラスコ内に、レゾルシノール型エポキシ(ナガセケムテックス社製EX−201P、エポキシ当量=140)を100g及びテトラヒドロフランを200g仕込み、室温にて攪拌してエポキシ化合物を溶解させた。溶解後、チオ尿素を100g及びメタノールを200g添加し、温度30〜35℃で、攪拌しながら5時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトンを300g添加した後、純水250gで5回水洗した。水洗後、ロータリーエバポレーターにて減圧下、温度90℃でメチルイソブチルケトンを留去して、無色透明液体の目的物を102.5g得た。)
ポリビニルフェノール(マルカリンカー MS−1P、丸善化学社製)
フェノール(Matrimid 5292B、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
ベンゾオキサジン(RLV−100、エア・ウォーター社製)
トリアジンチオール(ジスネットDB、三協化成社製)
酸無水物(YH−307、ジャパンエポキシレジン社製)
イミダゾール化合物1(TEP−2E4MZ、日本曹達社製)
イミダゾール化合物2(P−0505、四国化成工業社製)
イミダゾール化合物3(2MZ−A、四国化成工業社製)
イミダゾールシランカップリング剤(SP−1000、日鉱マテリアル社製)
球状シリカ(SE−4050−SPE、アドマテックス社製、フェニル処理シリカフィラー、平均粒子径1μm、最大粒子径5μm)
球状シリカ(SE−4050−SEE、アドマテックス社製、フェニル処理以外のシリカフィラー、平均粒子径1μm、最大粒子径5μm)
ゴム粒子(X−52−7030、信越化学工業社製)
(2−1)位置合わせする工程及び固定工程
得られた封止樹脂を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、基板とニードルとのギャップ200μm、塗布量3.3μLにて基板(WALTS−KIT MB50−0101JY、ウォルツ社製)上に塗布した。
なお、封止樹脂の硬化率(%)は、封止樹脂の一部を採取し、DSC6220(Seiko Instruments社製)により測定した発熱量から、式(1)により求めた。
その後、得られた半導体チップ固定体を10個まとめてリフロー装置に投入し、リフロー装置(UNI−50166F、日本アントム社製)において260℃(温度A)で30秒間加熱することにより、ハンダを溶融させて、半導体チップのバンプと基板の電極部との電極接続を行い、半導体チップ実装体を得た。これを3回繰り返して、合計30個の半導体チップ実装体を得た。
また、温度BからAまでの間の封止樹脂の平均線膨張係数α2(ppm/℃)から、式(2)で表される値X(%)を求めた。なお、温度BからAまでの間の封止樹脂の平均線膨張係数α2(ppm/℃)は、TMA/SS6000(Seiko Instruments社製)を用い、引張りモードにて30〜300℃(10℃昇温)伸縮を2サイクル行い、2サイクル目の曲線から求めた。
固定工程において、140℃、10Nで30秒間押圧することにより、封止樹脂の硬化率を75%に調整したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
封止樹脂の組成、固定工程における条件(固定条件)、及び/又は、電極接続工程における条件(電極接続条件)を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
固定工程を加圧雰囲気下で行ったこと以外は実施例9と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
固定工程においてフリップチップボンダを用いて封止樹脂の硬化率を80%に調整した後、加圧オーブン(HP−5050、協真エンジニアリング社製)を用いて加圧雰囲気0.9MPa、温度120℃、加圧加熱時間5分で封止樹脂を硬化させたこと以外は実施例9と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
封止樹脂の組成、固定工程における条件(固定条件)、及び/又は、電極接続工程における条件(電極接続条件)を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
固定工程において、140℃、10Nで10秒間押圧することにより、封止樹脂の硬化率を30%に調整したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
封止樹脂の組成、固定工程における条件(固定条件)、及び/又は、電極接続工程における条件(電極接続条件)を表3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、半導体チップ実装体を得た。
固定工程と電極接続工程とを分離して行わず、下記のような操作を行った。
表3に示す組成の封止樹脂を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、基板とニードルとのギャップ200μm、塗布量3.3μLにて基板(WALTS−KIT MB50−0101JY、ウォルツ社製)上に塗布した。
固定工程と電極接続工程とを分離して行わず、下記のような操作を行った。
表3に示す組成の封止樹脂を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、基板とニードルとのギャップ200μm、塗布量3.3μLにて基板(WALTS−KIT MB50−0101JY、ウォルツ社製)上に塗布した。
実施例及び比較例で得られた半導体チップ実装体について、以下の評価を行った。結果を表1〜3に示す。
超音波探査映像装置(mi−scope hyper II、日立建機ファインテック社製)を用いて、得られた半導体チップ実装体のボイドを観察し、下記の基準で評価した。
○ ボイドがほとんど観察されなかった。
△ ボイドがわずかに観察された。
× ボイドによる目立った剥離が観察された。
得られた半導体チップ実装体を125℃で6時間乾燥し、続いて85℃、85%の湿潤条件で48時間処理した後、ハンダリフロー時と同様の260℃、30秒の条件で加熱処理を行った。そして、このような加熱処理を3回行った後の半導体チップ実装体について、層間剥離が発生しているか否かを観察した。層間剥離の観察は、超音波探査映像装置(mi−scope hyper II、日立建機ファインテック社製)を用いて行い、下記の基準で評価した。
○ 層間剥離がほとんど観察されなかった。
△ 層間剥離がわずかに観察された。
× 層間の目立った剥離が観察された。
デジタルマルチメーター(KT−2002、カイセ社製)を用いて、得られた半導体チップ実装体の断線箇所を測定し、下記の基準で評価した。
○ 断線箇所が無かった。
△ 断線箇所が1〜10箇所あった。
× 断線箇所が10箇所を超えていた。
半導体チップ実装体1個の作製に要した平均時間を、下記の基準で評価した。
◎ 平均所要時間が1秒以下であった。
○ 平均所要時間が1秒を超えたが3秒以下であった。
△ 平均所要時間が3秒を超えたが5秒以下であった。
× 平均所要時間が5秒を超えた。
2 基板
3 半導体チップ
4 封止樹脂
Claims (5)
- フリップチップ実装による半導体チップ実装体の製造方法であって、
ハンダからなるバンプを有する半導体チップを、封止樹脂が塗布又は貼付された基板又は他の半導体チップ上に、前記封止樹脂を介して位置合わせする工程と、
前記ハンダの溶融温度よりも低い温度で加熱するとともに荷重を付与して、前記封止樹脂の硬化率を70%以上に調整するとともに、前記バンプと前記基板又は他の半導体チップの電極部とを接触させて半導体チップ固定体を得る固定工程と、
前記ハンダを溶融させて、前記バンプと前記基板又は他の半導体チップの電極部とを接続する電極接続工程とを有し、
電極接続工程において、封止樹脂の硬化収縮率が、下記式(2)で表される値X(%)の2倍より大きいことを特徴とする半導体チップ実装体の製造方法。
X=(A−B)×α2×10−4 (2)
式(2)中、Aは電極接続工程を行う温度(℃)を表し、Bは固定工程を行う温度(℃)を表し、α2は温度BからAまでの間の封止樹脂の平均線膨張係数(ppm/℃)を表す。 - 固定工程をフリップチップボンダを用いて行い、電極接続工程をリフロー装置において行うことを特徴とする請求項1記載の半導体チップ実装体の製造方法。
- 半導体チップ固定体を一時的に保管した後、複数の前記半導体チップ固定体をまとめて搬送し、リフロー装置に投入することを特徴とする請求項2記載の半導体チップ実装体の製造方法。
- 半導体チップ固定体は、基板又は他の半導体チップの1つの面上に複数の半導体チップが固定された固定体であることを特徴とする請求項2記載の半導体チップ実装体の製造方法。
- 請求項1、2、3又は4記載の半導体チップ実装体の製造方法に用いる封止樹脂であって、
硬化性化合物と硬化剤と無機フィラーとを含有し、
140℃で30秒加熱した場合の硬化率が40%以上であり、かつ、
電極接続工程における硬化収縮率が、下記式(2)で表される値X(%)の2倍より大きい
ことを特徴とする封止樹脂。
X=(A−B)×α2×10−4 (2)
式(2)中、Aは電極接続工程を行う温度(℃)を表し、Bは固定工程を行う温度(℃)を表し、α2は温度BからAまでの間の封止樹脂の平均線膨張係数(ppm/℃)を表す。
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