JP6009743B2 - 半導体パッケージの製造方法 - Google Patents
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近年、半導体チップの小型化が進行するとともに突起状電極間のピッチも狭くなっており、また、これらに伴って半導体チップ同士又は半導体チップと対向基板との間のギャップも狭くなっている。そのため、封止樹脂の充填時に空気が巻き込まれ、ボイドが発生することを防ぐために、封止樹脂を電極接合後に充填するのではなく、接合領域に予め設けておく方法が検討されている。
良好なフィレットを形成するために、例えば、特許文献1には、半導体素子を配線基板にフリップチップ実装するに際し、配線基板の側に濡れ性低減領域又は濡れ性改善領域を形成し、半導体素子のコーナー部に接した辺から流れ出した封止樹脂材を、半導体素子のコーナー部へ導く方法が記載されている。
以下、本発明を詳述する。
上記半導体チップは、突起状電極を有し、かつ、厚みが150μm以下であれば特に限定されず、例えば、シリコン、ガリウム砒素等の半導体からなり、金、銅、銀−錫ハンダ、アルミニウム、ニッケル等からなる複数の突起状電極を有する半導体チップ等が挙げられる。
なお、突起状電極を有する半導体チップは、厚みが150μm以下である場合、通常、3〜15mm□程度の大きさ(面積)を有する。上記半導体チップの大きさ(面積)の好ましい下限は5mm□、好ましい上限は10mm□である。
このようなツールを用いることにより、上記封止樹脂が上記半導体チップの側面及び/又は上面に這い上がった場合であっても、上記ツールへの上記封止樹脂の付着を抑制し、製造工程の中断を防ぐことができる。また、フィレットの形成及び電極接合が良好に行われることから、高い接合信頼性を実現することができる。
図1においては、ツール1と半導体チップ2との接触面の面積が、半導体チップ2の面積よりも小さい。図1において、d1は、ツール1と半導体チップ2との接触面のエッジと、半導体チップ2のエッジとの最短距離を示す。
なお、図6は、従来の半導体パッケージの製造方法における、半導体チップにツールを接触させ、封止樹脂を介して半導体チップを対向基板に接合した状態の一例を、模式的に示した断面図である。図6においては、ツール1’の面積が半導体チップ2の面積よりも大きい。
また、上記ツールの全周のうちのいずれかの部位において、上記接触面のエッジと上記半導体チップのエッジとの最短距離(d1)が200μmを超えると、上記ツールから上記半導体チップに熱又は圧力を充分に伝えることができなくなり、フィレットの形成又は電極接合を良好に行うことが困難となる。
上記接触面のエッジと上記半導体チップのエッジとの最短距離(d1)の好ましい下限は30μm、好ましい上限は180μmであり、より好ましい下限は50μm、より好ましい上限は150μmである。
通常、半導体チップの隣り合う2つのコーナー部よりも、隣り合う2つのコーナー部を結ぶ辺の中心地点のほうが、封止樹脂が半導体チップの側面及び/又は上面に這い上がりやすい。そのため、このようなツールを用いることにより、より一層、上記ツールへの上記封止樹脂の付着を抑制し、接合信頼性を高めることができる。
図2〜4においては、ツール1と半導体チップ2との接触面の面積が、半導体チップ2の面積よりも小さい。また、図2において、d2は、半導体チップ2の隣り合う2つのコーナー部における、ツール1と半導体チップ2との接触面のエッジと、半導体チップ2のエッジとの最短距離を示す。d3は、半導体チップ2の隣り合う2つのコーナー部を結ぶ辺の中心地点における、ツール1と半導体チップ2との接触面のエッジと、半導体チップ2のエッジとの最短距離を示す。
表裏に突起状電極を有する半導体チップとは、貫通電極(TSV)を有する半導体チップを意味する。このような半導体チップを用いる場合には、上記ツールが、上記半導体チップの突起状電極に対応した凹部を有することにより、上記ツールと接触する側の突起状電極により上記ツールと上記半導体チップとの接触が妨げられることを防ぎ、上記ツールから上記半導体チップに熱又は圧力を充分に伝えることができる。これにより、より一層、フィレットの形成及び電極接合が良好に行われ、接合信頼性を高めることができる。
図5においては、ツール1と表裏に突起状電極を有する半導体チップ6との接触面の面積が、半導体チップ6の面積よりも小さい。また、ツール1は、半導体チップ6の突起状電極に対応した凹部3を有している。
上記硬化性化合物は特に限定されず、例えば、付加重合、重縮合、重付加、付加縮合、開環重合等の反応により硬化する化合物が挙げられる。上記硬化性化合物として、具体的には、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂、アルキル−ベンゼン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、珪素樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性化合物が挙げられる。なかでも、得られる半導体パッケージの信頼性及び接合強度に優れていることから、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましく、イミド骨格を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
上記希釈剤は、エポキシ基を有することが好ましく、1分子中のエポキシ基数の好ましい下限が2、好ましい上限が4である。1分子中のエポキシ基数が2未満であると、上記封止樹脂の硬化後に充分な耐熱性が発現しないことがある。1分子中のエポキシ基数が4を超えると、硬化によるひずみが発生したり、未硬化のエポキシ基が残存したりすることがあり、これにより、接合強度の低下又は繰り返しの熱応力による接合不良が発生することがある。上記希釈剤の1分子中のエポキシ基数のより好ましい上限は3である。
また、上記希釈剤は、芳香環及び/又はジシクロペンタジエン構造を有することが好ましい。
また、上記希釈剤は、他の硬化性化合物よりも硬化開始温度が低く、硬化速度が大きいものであることが好ましい。
上記チキソトロピー付与剤は特に限定されず、例えば、金属微粒子、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、酸化アルミニウム、窒化硼素、窒化アルミニウム、硼酸アルミ等の無機微粒子等が挙げられる。なかでも、ヒュームドシリカが好ましい。
上記溶媒は特に限定されず、例えば、芳香族炭化水素類、塩化芳香族炭化水素類、塩化脂肪族炭化水素類、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、グリコールエーテル(セロソルブ)類、脂環式炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
上記無機イオン交換体のうち、市販品としては、例えば、IXEシリーズ(東亞合成社製)等が挙げられる。上記封止樹脂における上記無機イオン交換体の配合量の好ましい上限は10重量%、好ましい下限は1重量%である。
上記封止樹脂がこのような粘度特性を有することにより、より一層、上記ツールへの上記封止樹脂の付着を抑制することができ、また、フィレットの形成及び電極接合が良好に行われ、接合信頼性を高めることができる。なお、80℃との温度は、フリップチップボンダーのステージ温度を想定した温度である。フリップチップボンダーのステージ温度は、ボンディング時に生じるボイドの程度、ハンダの濡れ性等によって決められるが、通常、60℃〜80℃である。
上記封止樹脂は、E型粘度計を用いて80℃にて粘度を測定したときに、0.5rpmにおける粘度が0.3Pa・s以上、25Pa・s以下であることがより好ましく、0.5Pa・s以上、20Pa・s以下であることが更に好ましい。
上記混合の方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等を使用する方法が挙げられる。
上記封止樹脂を供給する方法は特に限定されないが、例えば、上記封止樹脂を上記対向基板に供給する場合には、例えば、精密ノズルを取り付けたシリンジ等とディスペンサ等とを組み合わせて、上記封止樹脂を上記対向基板に塗布する方法等が挙げられる。
上記半導体チップの突起状電極と上記対向基板上の電極とを接触させる際の圧力は特に限定されないが、突起状電極当たり0.05〜10Nであることが好ましい。上記圧力が0.05N未満であると、上記半導体チップの突起状電極と上記対向基板上の電極とが接触しないことがある。上記圧力が10Nを超えると、上記半導体チップの突起状電極がつぶれすぎて隣の突起状電極と接触し、ショートすることがある。
上記半導体チップのハンダからなる突起状電極と上記対向基板上の電極とを接合させる際の圧力は特に限定されないが、突起状電極当たり0.001〜1Nであることが好ましい。上記圧力が0.001N未満であると、適切な上記対向基板と上記半導体チップとの距離を形成できないことがある。上記圧力が1Nを超えると、溶融したハンダが流れて隣の突起状電極と接触し、ショートすることがある。
上記封止樹脂を硬化する方法は特に限定されず、上記封止樹脂の硬化特性に合わせた硬化条件を適宜選択して用いることができ、例えば、120℃で30分、170℃で30分加熱する方法等が挙げられる。
(1)封止樹脂の製造
表1に示す組成に従って、ホモディスパーを用いて下記に示す各材料(重量部)を攪拌混合し、封止樹脂を調製した。
(エポキシ樹脂)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(EXA−830−CRP、DIC社製)
NBR変性エポキシ樹脂(EPR−4033、ADEKA社製)
エポキシ基含有アクリル樹脂(ブレンマーCP−30、日油社製)
YH−306(酸無水物系硬化剤、JER社製)
(硬化促進剤)
2MA−OK(四国化成工業社製)
球状シリカ(SE−4050−SPE、アドマテックス社製)
(その他)
シランカップリング剤(SP−1000、日鉱マテリアル社製)
チキソトロピー付与剤(QS−40、トクヤマ社製)
ハンダからなる突起状電極を有し、厚みが100μm、大きさ(面積)が7.3mm□(53.29mm2)の半導体チップ(WALTS−TEG MB50−0101JY、突起状電極の数544個、ウォルツ社製)を使用した。
また、この半導体チップとの接触面の面積が50.41mm2であり、接触面のエッジと半導体チップのエッジとの最短距離(d1)がツールの全周において100μmとなり、図1に示すツール1のような形状を有するツールを備えたフリップチップボンダー(FC3000S、東レエンジニアリング社製)を用いた。
得られた封止樹脂を10mLシリンジ(岩下エンジニアリング社製)に充填し、シリンジ先端に精密ノズル(岩下エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(SHOT MASTER300、武蔵エンジニアリング社製)を用いて、吐出圧0.4MPa、対向基板とニードルとのギャップ200μm、塗布量3.3μLにて対向基板(WALTS−KIT MB50−0101JY、ウォルツ社製)上に塗布した。
半導体チップにフリップチップボンダーのツールを接触させ、塗布した封止樹脂を介して、半導体チップの突起状電極と対向基板の電極とを位置合わせして、温度120℃、荷重40N(突起状電極1個当たり0.07N)で2秒間押圧することにより、突起状電極と対向基板の電極とを接触させた。
その後、フリップチップボンダーにて、温度を120℃から280℃に3秒間で上昇させながら、荷重を40Nから1Nとし、この状態で280℃3秒間、突起状電極と対向基板上の電極との接合を行った。その後、190℃30分加熱し、半硬化状態の封止樹脂を完全に硬化させて、半導体パッケージを得た。
表1に示すようにツールと半導体チップとの接触面の面積、接触面のエッジと半導体チップのエッジとの最短距離(d1)、及び、ツールの形状を変更したこと以外は参考例1と同様にして、半導体パッケージを得た。
(1)封止樹脂の製造
参考例1と同様にして封止樹脂を調製した。
ハンダからなる突起状電極を有し、厚みが50μm、大きさ(面積)が7.3mm□(53.29mm2)の半導体チップ(WALTS−TEG MB50−0101JY、突起状電極の数544個、ウォルツ社製)の突起状電極がない面に、フォトリソグラフィーのプロセス及びめっきのプロセスを用いて、TSVを模してCu電極(幅20μm、厚み10μm)を作製した。Cu電極のレイアウトは、半導体チップのエッジから50μm内側の全周囲とした。
また、この半導体チップとの接触面の面積が47.8864mm2であり、接触面のエッジと半導体チップのエッジとの最短距離(d1)がツールの全周において190μmとなり、図5に示すツール1のような形状を有するツール(全周囲に、上記で作製のCu電極に当たる部分に幅70μm、深さ20μmの凹部を有する)を備えたフリップチップボンダー(FC3000S、東レエンジニアリング社製)を用いた。
上記の半導体チップ、及び、フリップチップボンダーのツールを使用したこと以外は参考例1と同様にして、半導体パッケージを得た。
表1に示すようにツールと半導体チップとの接触面の面積、接触面のエッジと半導体チップのエッジとの最短距離(d1)、及び、ツールの形状を変更したこと以外は参考例1と同様にして、半導体パッケージを得た。
なお、表1において、接触面のエッジと半導体チップのエッジとの最短距離(d1)が負の値である場合は、ツールの面積が半導体チップの面積よりも大きいことを意味する。
ツールがCu電極に当たる部分に凹部を有さず、かつ、表1に示すようにツールと半導体チップとの接触面の面積、及び、接触面のエッジと半導体チップのエッジとの最短距離(d1)を変更したこと以外は参考例7と同様にして、半導体パッケージを得た。しかし、Cu電極にのみツールが接触し、熱伝導がよくないために良接合ができなかった。
実施例、参考例及び比較例で得られた半導体パッケージについて、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
(歩留り評価)
各実施例及び比較例について半導体パッケージを10個作製し、実装時に半導体チップの側面及び/又は上面に封止樹脂が這い上がり、ツールと接触してしまったサンプルを不良とし、封止樹脂とツールとが接触せずに実装できたサンプルを良品として、10個のサンプルのうちの良品の割合を歩留りとした。
また、実装時に封止樹脂とツールとが接触せずに実装できたサンプルを温度サイクル試験にかけ、抵抗値変化が10%を超えたサンプルを不良とし、10%を超えなかったサンプルを良品として、良品の割合を歩留まりとした。温度サイクル試験においては、半導体パッケージを、JEDEC レベル3のプリコンディションにて吸湿させ、その後、温度サイクル試験機に投入した。温度サイクルの条件は、−55℃から125℃であり、1000サイクルまで実施した。
2 半導体チップ
3 半導体チップの突起状電極に対応した凹部
4 対向基板
5 封止樹脂
6 表裏に突起状電極を有する半導体チップ
Claims (2)
- 突起状電極を有する厚みが150μm以下の半導体チップに、該半導体チップに熱及び圧力を伝えるツールを接触させ、封止樹脂を介して該半導体チップを対向基板に接合する半導体パッケージの製造方法であって、
前記ツールと前記半導体チップとの接触面の面積が、前記半導体チップの面積よりも小さく、
前記接触面のエッジと前記半導体チップのエッジとの最短距離(d1)が、前記ツールの全周において、0μmより大きく200μm以下であり、
前記接触面のエッジと半導体チップのエッジとの最短距離(d 1 )が、前記ツールの全周において、半導体チップの隣り合う2つのコーナー部の平均値よりも、前記隣り合う2つのコーナー部を結ぶ辺の中心地点において大きい
ことを特徴とする半導体パッケージの製造方法。 - 半導体チップが、表裏に突起状電極を有する厚みが60μm以下の半導体チップであり、かつ、ツールが、前記半導体チップの突起状電極に対応した凹部を有することを特徴とする請求項1記載の半導体パッケージの製造方法。
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