JP6438340B2 - 半導体接合用接着フィルム及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
フリップチップ実装においては、接合部分の接続信頼性を確保するための方法として、半導体チップの突起電極と基板の電極部とを接合した後に、半導体チップと基板との隙間に液状封止接着剤(アンダーフィル)を注入し、硬化させることが一般的な方法として採られている。しかしながら、アンダーフィルを用いたフリップチップ実装は、製造コストが高い、アンダーフィル充填に時間がかかる、電極間の距離及び半導体チップと基板との距離を狭めるのに限界がある等の問題を抱えている。
これに対して本発明者らは、プリヒート工程を省略して、直接、半田溶融温度以上の温度に加熱したボンディングヘッドを接触させることを検討した。プリヒート工程が省略できれば、実装する度に毎回ボンディングヘッドを冷却/昇温することが不要となり、大幅なタクト短縮による生産性向上が期待できる。しかしながら、従来のフィルム状接着剤では、プリヒート工程を省略して実装すると、接合不良が発生することがあるという問題が生じた。
本発明は、上記現状に鑑み、大幅にタクトを短縮して生産性を向上させることができ、高い信頼性で接合できる半導体接合用接着フィルム、及び、半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
以下に本発明を詳述する。
ここで60℃〜300℃の温度範囲としたのは、上記工程3において半田溶融温度以上の温度に加熱したボンディングヘッドを接触させたときに半導体接合用接着フィルムにかかる温度範囲に対応したものである。
なお、本明細書において60℃〜300℃の温度範囲における最低溶融粘度(VA)とは、回転式レオメーター装置(例えば、レオロジカ社製「VAR−100」)を用いて、昇温速度10℃/min、周波数1Hz、歪0.5%の条件で、測定温度範囲60℃から300℃まで測定したときの複素粘度の最低値を意味する。
なお、最低溶融粘度到達温度より10℃高い温度における溶融粘度(VB)と最低溶融粘度(VA)は、回転式レオメーター装置(例えば、レオロジカ社製「VAR−100」)を用いて、昇温速度10℃/min、周波数1Hz、歪0.5%の条件で測定することができる。
上記熱硬化性樹脂は特に限定されず、例えば、付加重合、重縮合、重付加、付加縮合、開環重合等の反応により硬化する化合物が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂として、具体的には例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂、アルキル−ベンゼン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、珪素樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。なかでも、半導体接合用接着フィルムの硬化物の強度及び接合信頼性を確保する観点から、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
上記常温で液状のエポキシ樹脂のうち、市販品として、例えば、EPICLON 840、840−S、850、850−S、EXA−850CRP(以上、DIC社製)、EP−4100HF(アデカ社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、EPICLON 830、830−S、EXA−830CRP(以上、DIC社製)EP−4900HF(アデカ社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、EP−4000S、EP−4000L、EP−4003S、EP−4010S、EP−4010L(以上、アデカ社製)等のビスフェノールA−PO型エポキシ樹脂、EPICLON HP−4032、HP−4032D(以上、DIC社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂、EPICLON EXA−7015(DIC社製)、EX−252(ナガセケムテックス社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂、EP−4088S、EP−4088L(以上、アデカ社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、EP−3300E、EP−3300S(以上、アデカ社製)等のベンゾフェノン型エポキシ樹脂、EP−3900S、EP−3950L、EP−3980S(以上、アデカ社製)、JER−630、604(三菱化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、JER−825、827、828、806、807、152、630、871、YX8000、YX8034、YL980、YL983(以上、三菱化学社製)等の液状エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記硬化促進剤は特に限定されず、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、硬化速度、硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。
上記無機フィラーは特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの無機フィラーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、流動性に優れることから球状シリカが好ましく、メチルシランカップリング剤、フェニルシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤等で表面処理された球状シリカがより好ましい。
上記無機フィラーの含有量特に限定されず、上記熱硬化性樹脂100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は70重量部である。
より具体的には例えば、高分子量化合物/液状の熱硬化性樹脂の重量比を1〜3に調整したり、無機フィラーの含有量を20〜60重量部の範囲に調整したりする方法が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、含窒素化合物がエポキシ樹脂の架橋反応において触媒的な働きを示すことから、半導体接合用接着フィルム中の含窒素化合物の含有量を調整することも考えられる。含窒素化合物として、具体的には、例えば、熱硬化性樹脂としてグリシジルアミン型エポキシ樹脂、硬化剤又は硬化促進剤としてアミン系硬化剤又は硬化促進剤、ジシアンジアミド、イミダゾール系硬化促進剤等が挙げられる。より具体的には例えば、半導体接合用接着フィルム中の含窒素化合物の含有量を2〜12重量%に調整する方法が挙げられる。
上記半田電極付き半導体チップは、例えば、シリコン、ガリウム砒素等の半導体からなり、半田からなる先端部を有する突起電極が表面に形成された半導体チップが挙げられる。なお、半田からなる先端部を有する突起電極は、先端部が半田からなっていれば、突起電極の一部が半田からなっていても、突起電極全体が半田からなってもよい。
半導体接合用接着フィルムを上記半田電極付き半導体チップ上に貼付する方法等が挙げられる。また、予め半田電極付き半導体ウエハに半導体接合用接着フィルムを常圧ラミネート、真空ラミネート等により貼付した後、ブレードダイシング、レーザーダイシング等により半導体チップに個片化する方法を用いることもできる。
上記工程2は、例えば、フリップチップボンダ等の実装用装置を用いて行うことができる。
なお、半田溶融点は、通常、215〜235℃程度であり、工程2における仮固定は該半田溶融点未満の温度で行う。該半田溶融点未満の温度としては、100〜200℃程度であることが好ましい。
一般的に行われるプリヒート工程を行わずに、直接、半田溶融温度以上の温度に加熱したボンディングヘッドを接触させることにより、実装する度に毎回ボンディングヘッドを冷却/昇温することが不要となり、大幅なタクトが短縮して生産性が向上する。ここで、本発明の半導体接合用接着フィルムを用いることにより、半田溶融温度以上の温度に加熱したボンディングヘッドを直接接触させた場合でも、半田流れによる接合不良、ボイドの発生、及び、樹脂の噛み込みによる半田接合不良を防止することができる。
上記工程3では、半導体チップに対して圧力をかけることが好ましい。圧力は、電極接合が形成される圧力であれば特に限定されないが、0.1〜4MPaが好ましい。
なお、加圧雰囲気下とは、常圧(大気圧)より高い圧力雰囲気下を意味する。
上記加圧オーブンの圧力の好ましい下限は0.2MPa、好ましい上限は10MPaである。圧力が0.2MPa未満であると、ボイドを充分に除去できないことがある。圧力が10MPaを超えると、半導体接合用接着フィルムの変形が生じ、半導体装置の信頼性に悪影響を及ぼすことがある。圧力のより好ましい下限は0.3MPa、より好ましい上限は1MPaである。
また、ボイドをより確実に除去するためには、加圧雰囲気下で加熱する際の加熱時間は、10分以上であることが好ましい。
上記半導体接合用接着フィルムを完全に硬化させる方法として、例えば、工程4を行った後に加圧雰囲気下でそのまま温度を上げて半導体接合用接着フィルムを完全に硬化させる方法、常圧下で加熱して完全に硬化させる方法等が挙げられる。上記半導体接合用接着フィルムを完全に硬化させる際の加熱温度は特に限定されないが、150〜200℃程度が好ましい。
(1)半導体接合用接着フィルムの作製
表1に記載の各材料を、表2記載の配合組成に従って溶媒としてのMEKに添加し、ホモディスパーを用いて攪拌混合することにより接着剤溶液を製造した。得られた接着剤溶液を、アプリケーターを用いて離型PETフィルム上に乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工し、乾燥させることにより、接着フィルムを製造した。使用時まで、得られた接着剤層の表面を離型PETフィルム(保護フィルム)で保護した。
先端部が半田からなるバンプが50μmピッチでペリフェラル状に形成されたウエハ(WALTS−TEG MB50−0101JY、半田溶融点235℃、ウォルツ社製)を用意した。接着フィルムの片面の保護フィルムを剥がし、真空ラミネーター(ATM−812M、タカトリ社製)を用いて、ステージ温度80℃、真空度100Paでウエハのバンプが形成された面に接着フィルムを貼り合わせた。
実施例、比較例で得られた半導体装置について以下の評価を行った。
結果を表2に示した。
半導体チップと基板の電気端子間に形成されたデイジーテェインについて、抵抗計(3541、HIOIKI社製)を用いて4端子法により導通確認を行った。4辺のペリフェラル電極のうち、4辺とも導通が確認できたものを良品として「○」と、4辺のうち1辺以上において導通が確認できなかったものを不良品として「×」と評価した。
半導体装置の半田接合部をX透過装置(MF100C、日立エンジニアリング・アンド・サービス社製)により観察し、半田流れの有無を確認した。半田が半田接合部にのみ存在した場合を良品として「○」と、接合時に押し流された半田が、半田接合部以外の箇所に島状に存在した場合を不良品として「×」と評価した。
研磨機を用いて半導体装置を断面研磨し、マイクロスコープを用いて半田接合部の接合状態を観察した。上下電極間に樹脂(接着剤)の噛み込み及び半田流れによる半田流失がなく、接合状態が良好であった場合を良品として「○」と、上下電極間にわずかに樹脂(接着剤)の噛み込みがあるものの、半田流れによる半田流失がなく、接合状態が比較的良好であった場合を一応の良品として「△」と、上下電極間に樹脂(接着剤)の噛み込み又は半田流れによる半田流失があり、上下電極が全く接合していなかった場合を不良品として「×」と評価した。
研磨機を用いて半導体装置を水平研磨(半導体チップ面に対して水平に研磨)し、マイクロスコープを用いてボイドの観察を行った。ペリフェラルバンプよりも内側の面内にボイドが無く、またペリフェラルバンプ近傍の基板レジスト開口部にもボイドが観察されなかったものを良品として「○」と、ペリフェラルバンプよりも内側の面内にボイドは無いが、ペリフェラルバンプ近傍の基板レジスト開口部に僅かにボイドが観察されたものを一応の良品として「△」と、ペリフェラルバンプよりも内側の面内にボイドが存在し、ペリフェラルバンプ近傍の基板レジスト開口部にもボイドが多数観察されたものを不良品として「×」と評価した。
Claims (2)
- 半田電極付き半導体チップの該半田電極を有する面に半導体接合用接着フィルムを供給する工程1と、前記半田電極付き半導体チップを、前記半導体接合用接着フィルムを介して、対抗電極若しくは電極パッドを有する半導体チップ又は回路基板上に半田溶融温度未満の温度で仮接合する工程2と、半田溶融温度以上の温度に加熱したボンディングヘッドを接触させることにより半田接合する工程3を有する半導体装置の製造方法に用いられる半導体接合用接着フィルムであって、
少なくとも、熱硬化性樹脂、熱硬化剤及び高分子量化合物を含有し、
60℃〜300℃の温度範囲における最低溶融粘度(VA)が100〜700Pa・s、かつ、最低溶融粘度到達温度より10℃高い温度における溶融粘度(VB)と最低溶融粘度(VA)との比(VB/VA)が1.2以上、2.5未満である
ことを特徴とする半導体接合用接着フィルム。 - 半田電極付き半導体チップの該半田電極を有する面に半導体接合用接着フィルムを供給する工程1と、前記半田電極付き半導体チップを、前記半導体接合用接着フィルムを介して、対抗電極若しくは電極パッドを有する半導体チップ又は回路基板上に半田溶融温度未満の温度で仮接合する工程2と、半田溶融温度以上の温度に加熱したボンディングヘッドを接触させることにより半田接合する工程3を有する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体接合用接着フィルムは、少なくとも、熱硬化性樹脂、熱硬化剤及び高分子量化合物を含有し、60℃〜300℃の温度範囲における最低溶融粘度(VA)が100〜700Pa・s、かつ、最低溶融粘度到達温度より10℃高い温度における溶融粘度(VB)と最低溶融粘度(VA)との比(VB/VA)が1.2以上、2.5未満である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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