JP2014068007A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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宗宏 畠井
Kohei Takeda
幸平 竹田
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久敏 岡山
Mai Yamamoto
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Abstract

【課題】脆い低誘電層が形成された半導体チップを用いた場合であっても高い信頼性を実現することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】突起電極面に低誘電層が形成された半導体ウエハの低誘電層部分に、レーザーダイシングにより溝を形成する工程(1−1)、前記半導体ウエハの低誘電層上に、接着フィルムを供給する工程(1−2)、前記半導体ウエハを、前記溝に沿ってブレードダイシングにより個片化して、接着フィルム付き半導体チップを得る工程(1−3)、及び、前記接着フィルム付き半導体チップを、基板上に熱圧着する工程(1−4)を有する半導体装置の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、脆い低誘電層が形成された半導体チップを用いた場合であっても高い信頼性を実現することができる半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体装置の小型化、高集積化が進展し、表面に複数の突起電極(バンプ)が形成されたフリップチップや、複数の薄研削した半導体チップを積層したスタックドチップ等の小型の半導体チップが生産されるようになっている。
このような小型の半導体チップは、例えば、以下のような方法により実装される。
まず、表面に複数の突起電極(バンプ)が形成された半導体ウエハ原板のおもて面に、バックグラインドテープと呼ばれる粘着テープを貼り合わせ、この状態で半導体ウエハ原板の裏面を所定の厚さにまで研削する。研削終了後、バックグラインドテープを剥離する。次いで、研削後の半導体ウエハをダイシングして個々の半導体チップとし、得られた半導体チップを基板上にフリップチップ実装によりボンディングする。その後、アンダーフィル剤をボンディング箇所に充填してアンダーフィル剤を硬化させる。
しかしながら、市場の高性能化の要求に応え、突起電極(バンプ)のピッチが狭ピッチ化したり、半導体チップと基板とのギャップが狭ギャップ化したりしてきており、そのために毛細管現象によりアンダーフィル剤を充填する上記の方法では、アンダーフィル剤が未充填になって半導体装置を作製できなくなることがあった。また、薄い半導体チップを用いた場合においては、ハンダリフロー時に、半導体チップ又は基板の反りが原因でアンダーフィル剤が未充填になってしまうという問題があった。
狭ピッチ化、狭ギャップ化、又は、薄化した半導体チップを用いた場合でも半導体チップを実装できる方法として、バックグラインドテープを剥離する代わりに、バックグラインドテープの接着剤層を半導体ウエハ上に残したままバックグラインドテープの基材だけを剥離し、ダイシングにより得られた接着剤層付き半導体チップを、接着剤層を介して基板上にフリップチップ実装により熱圧着する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、突起電極付ウエハの裏面を研削する工程において、該ウエハの回路面に貼られる積層シートであって、少なくとも、回路面と接する層(A層)が熱硬化性樹脂層であり、A層の上に直接積層された層(B層)が40℃〜80℃で1〜300MPaの引張り弾性率を有する熱可塑性樹脂層であり、かつ最外層(C層)が少なくとも25℃で非可塑性の熱可塑性樹脂層である積層シートが記載されている。しかしながら、近年、半導体ウエハには突起電極面に脆い低誘電層が形成されていることが多いため、このような方法では、半導体ウエハをダイシングする際に低誘電層が破壊又は剥離してしまうという問題が生じている。
特開2005−28734号公報
本発明は、脆い低誘電層が形成された半導体チップを用いた場合であっても高い信頼性を実現することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、突起電極面に低誘電層が形成された半導体ウエハの低誘電層部分に、レーザーダイシングにより溝を形成する工程(1−1)、前記半導体ウエハの低誘電層上に、接着フィルムを供給する工程(1−2)、前記半導体ウエハを、前記溝に沿ってブレードダイシングにより個片化して、接着フィルム付き半導体チップを得る工程(1−3)、及び、前記接着フィルム付き半導体チップを、基板上に熱圧着する工程(1−4)を有する半導体装置の製造方法である(第1の本発明という)。
本発明は、突起電極面に低誘電層が形成された半導体ウエハの低誘電層上に、接着フィルムを供給する工程(2−1)、前記接着フィルムを、保護用水溶性樹脂組成物で被覆する工程(2−2)、前記保護用水溶性樹脂組成物で被覆された接着フィルムの外側から、前記半導体ウエハの低誘電層部分に、レーザーダイシングにより溝を形成する工程(2−3)、前記半導体ウエハを、前記溝に沿ってブレードダイシングにより個片化して、前記保護用水溶性樹脂組成物で被覆された接着フィルム付き半導体チップを得る工程(2−4)、前記保護用水溶性樹脂組成物を水洗により除去して、接着フィルム付き半導体チップを得る工程(2−5)、及び、前記接着フィルム付き半導体チップを、基板上に熱圧着する工程(2−6)を有する半導体装置の製造方法である(第2の本発明という)。
以下、本発明を詳述する。
低誘電層の破壊又は剥離は、半導体ウエハをブレードダイシングにより個片化する際の切削ブレード(刃)により生じると考えられることから、本発明者は、ブレードダイシングに代えて、レーザー光照射を利用したレーザーダイシングにより低誘電層部分を切断することを検討した。しかしながら、接着剤層付き半導体チップに対して、接着剤層側からレーザー光照射を行うと、接着剤層の溶融飛散物(デブリ)が生じて接着剤層に付着し、不良となるという問題が生じた。
本発明者は、低誘電層部分にレーザーダイシングにより溝を形成した後、接着フィルムを供給する方法(第1の本発明)、又は、接着フィルムを保護用水溶性樹脂組成物で被覆した状態で、低誘電層部分にレーザーダイシングにより溝を形成する方法(第2の本発明)によれば、レーザーダイシングを行っても接着フィルムの溶融飛散物(デブリ)を生じることがなく、脆い低誘電層が形成された半導体チップを用いた場合であっても高い信頼性を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
まず、第1の本発明を説明する。第1の本発明の半導体装置の製造方法では、まず、突起電極面に低誘電層が形成された半導体ウエハの低誘電層部分に、レーザーダイシングにより溝を形成する工程(1−1)を行う。
上記半導体ウエハとして、例えば、シリコン、ガリウム砒素等の半導体からなり、先端部が半田からなる突起電極が表面に形成され、更に、SiOC、MSQ(Methylsilsesquioxane)、多孔質MSQ等からなる低誘電層が突起電極面に形成された半導体ウエハが挙げられる。上記先端部が半田からなる突起電極は、突起電極の一部が半田からなっていても、突起電極全体が半田からなってもよい。
上記低誘電層部分とは、少なくとも低誘電層を含む部分を意味し、低誘電層に加えてシリコン、ガリウム砒素等の半導体部分を含んでいてもよい。
上記低誘電層部分にレーザーダイシングにより溝を形成する方法は特に限定されず、例えば、従来公知のレーザー加工装置を用いる方法等が挙げられる。
上記レーザー加工装置によるレーザー光照射の条件は特に限定されず、例えば、YVO4レーザー又はYAGレーザーを光源とし、波長355nm、繰り返し周波数50〜100kHz、出力0.3〜4.0W、集光スポット径φ9.2μm、加工送り速度1〜800mm/秒等の条件等が挙げられる。
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、上記半導体ウエハの低誘電層上に、接着フィルムを供給する工程(1−2)を行う。
上記半導体ウエハの低誘電層上に接着フィルムを供給する方法は特に限定されず、例えば、常圧下でのラミネート、真空ラミネート等により、上記半導体ウエハの低誘電層上に接着フィルムを貼り合わせる方法等が挙げられる。常圧下でのラミネートでは空気が巻き込まれる場合があるが、工程(1−2)の後、加圧キュアオーブン(例えば、PCO−083TA(NTTアトバンステクノロジ社製))等を用いて接着フィルム及び半導体ウエハを加圧雰囲気下で加熱して、ボイドを除去してもよい。
上記接着フィルムは、熱硬化性樹脂、熱硬化剤及び高分子量化合物を含有することが好ましい。なかでも、常温(25℃)で液状の成分とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の高分子量化合物とを合わせた含有量が5重量%以下であることがより好ましい。なお、常温(25℃)で液状の成分は、熱硬化性樹脂であっても、熱硬化剤であっても、高分子量化合物であってもよく、これら以外の成分(例えば、希釈剤、カップリング剤、密着性付与剤等の添加剤等)であってもよい。
上記接着フィルムにおける上記常温(25℃)で液状の成分とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の高分子量化合物とを合わせた含有量の下限は特に限定されないが、接着フィルムの製膜性、可撓性等の観点から、好ましい下限は1重量%である。
上記熱硬化性樹脂は特に限定されず、例えば、付加重合、重縮合、重付加、付加縮合、開環重合等の反応により硬化する化合物が挙げられる。上記熱硬化性樹脂として、具体的には例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂、アルキル−ベンゼン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、珪素樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。なかでも、接着フィルムの硬化物の強度及び接合信頼性を確保する観点から、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
上記エポキシ樹脂は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ樹脂は、常温で液状のエポキシ樹脂であっても、常温で固体のエポキシ樹脂であってもよく、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。
上記常温で液状のエポキシ樹脂のうち、市販品として、例えば、EPICLON 840、840−S、850、850−S、EXA−850CRP(以上、DIC社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、EPICLON 830、830−S、EXA−830CRP(以上、DIC社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、EPICLON HP−4032、HP−4032D(以上、DIC社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂、EPICLON EXA−7015(DIC社製)、EX−252(ナガセケムテックス社製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記常温で固体のエポキシ樹脂のうち、市販品として、例えば、EPICLON 860、10550、1055(以上、DIC社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、EPICLON EXA−1514(DIC社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、EPICLON HP−4700、HP−4710、HP−4770(以上、DIC社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂、EPICLON HP−7200シリーズ(DIC社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、EPICLON HP−5000、EXA−9900(以上、DIC社製)等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化剤は特に限定されず、従来公知の熱硬化剤を上記熱硬化性樹脂に合わせて適宜選択することができる。上記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、上記熱硬化剤として、例えば、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤、カチオン系触媒型硬化剤等が挙げられる。これらの熱硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、硬化速度、硬化物の物性等に優れることから、酸無水物系硬化剤が好ましい。
上記酸無水物系硬化剤のうち、市販品として、例えば、YH−306、YH−307(以上、三菱化学社製、常温(25℃)で液状)、YH−309(三菱化学社製、酸無水物系硬化剤、常温(25℃)で固体)等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されず、常温(25℃)で液状の成分とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の高分子量化合物とを合わせた含有量を上記範囲内とすることが好ましい。上記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用い、エポキシ基と等量反応する熱硬化剤を用いる場合、上記熱硬化剤の含有量は、接着フィルム中に含まれるエポキシ基の総量に対する好ましい下限が60当量、好ましい上限が110当量である。含有量が60当量未満であると、接着フィルムを充分に硬化させることができないことがある。含有量が110当量を超えても、特に接着フィルムの硬化性には寄与せず、過剰な熱硬化剤が揮発することによってボイドの原因となることがある。含有量のより好ましい下限は70当量、より好ましい上限は100当量である。
上記接着フィルムは、硬化速度、硬化物の物性等を調整する目的で、更に、硬化促進剤を含有してもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されず、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、硬化速度、硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。
上記イミダゾール系硬化促進剤は特に限定されず、例えば、フジキュア7000(T&K TOKA社製、常温(25℃)で液状)、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、イソシアヌル酸で塩基性を保護したイミダゾール系硬化促進剤(商品名「2MA−OK」、四国化成工業社製、常温(25℃)で固体)、2MZ、2MZ−P、2PZ、2PZ−PW、2P4MZ、C11Z−CNS、2PZ−CNS、2PZCNS−PW、2MZ−A、2MZA−PW、C11Z−A、2E4MZ−A、2MAOK−PW、2PZ−OK、2MZ−OK、2PHZ、2PHZ−PW、2P4MHZ、2P4MHZ−PW、2E4MZ・BIS、VT、VT−OK、MAVT、MAVT−OK(以上、四国化成工業社製)等が挙げられる。これらのイミダゾール系硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されず、常温(25℃)で液状の成分とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の高分子量化合物とを合わせた含有量を上記範囲内とすることが好ましいが、熱硬化剤100重量部に対する好ましい下限が5重量部、好ましい上限が50重量部である。含有量が5重量部未満であると、接着フィルムの熱硬化のために高温で長時間の加熱を必要とすることがある。含有量が50重量部を超えると、接着フィルムの貯蔵安定性が不充分となったり、過剰な硬化促進剤が揮発することによってボイドの原因となったりすることがある。含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記高分子量化合物は、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の高分子量化合物であっても、ガラス転移温度(Tg)が0℃を超える高分子量化合物であっても、これらの混合物であってもよい。上記高分子量化合物を用いることで、接着フィルムに製膜性、可撓性等を付与するとともに、接着フィルムの硬化物に強靭性を持たせ、高い接合信頼性を確保することができる。
上記高分子量化合物は特に限定されず、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、キシレン樹脂、アルキル−ベンゼン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、珪素樹脂、ウレタン樹脂等の公知の高分子量化合物が挙げられる。なかでも、エポキシ基を有する高分子量化合物が好ましい。
上記エポキシ基を有する高分子量化合物を添加することで、接着フィルムの硬化物は、優れた可撓性を発現する。即ち、上記接着フィルムの硬化物は、上記熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂に由来する優れた機械的強度、耐熱性及び耐湿性と、上記エポキシ基を有する高分子量化合物に由来する優れた可撓性とを兼備することとなるので、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れるものとなり、高い接合信頼性及び高い導通信頼性を発現することとなる。
上記エポキシ基を有する高分子量化合物は、末端及び/又は側鎖(ペンダント位)にエポキシ基を有する高分子量化合物であれば特に限定されず、例えば、エポキシ基含有アクリルゴム、エポキシ基含有ブタジエンゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂、エポキシ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ基を多く含む高分子化合物を得ることができ、硬化物の機械的強度及び耐熱性がより優れたものとなることから、エポキシ基含有アクリル樹脂が好ましい。これらのエポキシ基を有する高分子量化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記高分子量化合物として、上記エポキシ基を有する高分子量化合物、特に、エポキシ基含有アクリル樹脂を用いる場合、上記エポキシ基を有する高分子量化合物の重量平均分子量の好ましい下限は1万、好ましい上限は100万である。重量平均分子量が1万未満であると、接着フィルムの製膜性が不充分となったり、接着フィルムの硬化物の可撓性が充分に向上しなかったりすることがある。重量平均分子量が100万を超えると、高分子量化合物は、溶媒への溶解性が低下して取扱い性が低下することがある。
上記高分子量化合物として、上記エポキシ基を有する高分子量化合物、特に、エポキシ基含有アクリル樹脂を用いる場合、上記エポキシ基を有する高分子量化合物のエポキシ当量の好ましい下限が200、好ましい上限が1000である。エポキシ当量が200未満であると、接着フィルムの硬化物の可撓性が充分に向上しないことがある。エポキシ当量が1000を超えると、接着フィルムの硬化物の機械的強度又は耐熱性が不充分となることがある。
上記接着フィルムにおける上記高分子量化合物の含有量は特に限定されず、常温(25℃)で液状の成分とガラス転移温度(Tg)が0℃以下の高分子量化合物とを合わせた含有量を上記範囲内とすることが好ましいが、上記接着フィルムにおける好ましい下限は3重量%、好ましい上限は30重量%である。含有量が3重量%未満であると、熱ひずみに対する充分な信頼性が得られないことがある。含有量が30重量%を超えると、接着フィルムの耐熱性が低下することがある。
上記接着フィルムは、更に、無機フィラーを含有することが好ましい。なかでも、上記無機フィラーの含有量が40重量%以下であることが好ましい。含有量が40重量%を超えると、半導体チップ又は基板の熱応力に対する充分な信頼性が得られないことがある。
上記接着フィルムにおける上記無機フィラーの含有量の下限は特に限定されないが接着フィルムの硬化物の強度及び接合信頼性を確保する観点から、好ましい下限は10重量%である。
上記無機フィラーは特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。なかでも、流動性に優れることから球状シリカが好ましく、メチルシランカップリング剤、フェニルシランカップリング剤等で表面処理された球状シリカがより好ましい。表面処理された球状シリカを用いることで、接着剤溶液の粘度を適正なものとし、接着フィルムの製膜性を高めることができる。
上記無機フィラーの平均粒子径は特に限定されないが、接着フィルムの透明性、流動性、接合信頼性等の観点から、0.01〜1μm程度が好ましい。
上記接着フィルムは、必要に応じて、更に、希釈剤、チキソトロピー付与剤、溶媒、無機イオン交換体、ブリード防止剤、イミダゾールシランカップリング剤等の接着性付与剤、密着性付与剤、ゴム粒子等の応力緩和剤等のその他の添加剤を含有してもよい。
上記接着フィルムを製造する方法は特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱硬化剤及び高分子量化合物に、必要に応じて硬化促進剤、無機フィラー及びその他の添加剤を溶媒に添加して接着剤溶液を調製し、得られた接着剤溶液を離型PETフィルム上等に塗工し、乾燥する方法が挙げられる。上記接着剤溶液を調製する方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等を使用する方法が挙げられる。
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、工程(1−2)と工程(1−3)との間に、上記半導体ウエハの裏面を所定の厚さにまで研削する工程を行ってもよい。研削は、例えば、従来公知の研磨装置、研削装置等を用いて行うことができる。
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、上記半導体ウエハを、上記溝に沿ってブレードダイシングにより個片化して、接着フィルム付き半導体チップを得る工程(1−3)を行う。
上記半導体ウエハを上記溝に沿ってブレードダイシングにより個片化する方法は特に限定されず、例えば、従来公知の切削ブレード(刃)を備えたブレードダイシングを用いる方法等が挙げられる。
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、上記接着フィルム付き半導体チップを、基板上に熱圧着する工程(1−4)を行う。熱圧着は、例えば、従来公知のボンディング装置を用いて行うことができる。
上記接着フィルム付き半導体チップを基板上に熱圧着する際の温度の好ましい下限は240℃、好ましい上限は300℃である。温度が240℃未満であると、半田が充分に溶融せず、半導体チップと基板との間の電極接合が形成されないことがある。温度が300℃を超えると、接着フィルムから揮発成分が発生してボイドを増加させることがある。
上記接着フィルム付き半導体チップを基板上に熱圧着する際の時間(保持時間)は、好ましい下限が1秒、好ましい上限が3秒である。保持時間が1秒未満であると、半田が充分に溶融せず、半導体チップと基板との間の電極接合が形成されないことがある。保持時間が3秒を超えると、接着フィルムから揮発成分が発生してボイドを増加させることがある。
上記接着フィルム付き半導体チップを基板上に熱圧着する際には、上記接着フィルム付き半導体チップに対して圧力をかけることが好ましい。圧力は、半導体チップと基板との間の電極接合が形成される圧力であれば特に限定されないが、0.3〜3MPaが好ましい。
第1の本発明の半導体装置の製造方法では、工程(1−4)において上記接着フィルムを完全に硬化させてもよいし、工程(1−4)の後、上記接着フィルムを完全に硬化させる工程を別途行ってもよい。上記接着フィルムを完全に硬化させる際の加熱温度は特に限定されないが、150〜200℃程度が好ましい。
以上のような第1の本発明の半導体装置の製造方法によれば、低誘電層部分にレーザーダイシングにより溝を形成した後、接着フィルムを供給するため、レーザーダイシングを行っても接着フィルムの溶融飛散物(デブリ)を生じることがない。そのため、脆い低誘電層が形成された半導体チップを用いた場合であっても高い信頼性を実現することができる。
次いで、第2の本発明を説明する。第2の本発明の半導体装置の製造方法では、まず、突起電極面に低誘電層が形成された半導体ウエハの低誘電層上に、接着フィルムを供給する工程(2−1)を行う。
上記半導体ウエハとしては、第1の本発明の半導体装置の製造方法と同様のものを用いることができる。また、上記半導体ウエハとして、予め裏面を所定の厚さにまで研削した半導体ウエハを用いてもよい。
上記半導体ウエハの低誘電層上に接着フィルムを供給する方法としては、第1の本発明の半導体装置の製造方法と同様の方法を用いることができる。上記接着フィルムとしても、第1の本発明の半導体装置の製造方法と同様のものを用いることができる。
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、工程(2−1)と工程(2−2)との間に、上記半導体ウエハの裏面を所定の厚さにまで研削する工程を行ってもよい。研削は、例えば、従来公知の研磨装置、研削装置等を用いて行うことができる。
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、上記接着フィルムを、保護用水溶性樹脂組成物で被覆する工程(2−2)を行う。
上記接着フィルムを保護用水溶性樹脂組成物で被覆する方法は特に限定されず、例えば、スピンコート法等により上記接着フィルム上に保護用水溶性樹脂組成物を塗布して乾燥させる方法等が挙げられる。
上記保護用水溶性樹脂組成物は、半導体ウエハの個片化後に通常行われる水洗により、容易に除去されるものである。上記保護用水溶性樹脂組成物に含まれる水溶性樹脂は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキサイドの繰り返し単位が5以上のポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ブロック共重合体、ポリビニルアルコールポリアクリル酸エステルブロック共重合体、ポリグリセリン等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、水洗の容易さを考慮すると、極性基としてエーテル結合又は水酸基のみを有する樹脂が好ましく、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールがより好ましい。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は特に限定されないが、水洗の容易さを考慮すると小さいほうが好ましく、300程度がより好ましい。
上記保護用水溶性樹脂組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。上記可塑剤を用いることで、保護用水溶性樹脂組成物の水溶性を高め、また、レーザー光照射による保護用水溶性樹脂組成物の炭化を抑制することができる。
上記可塑剤は特に限定されないが、水溶性低分子量化合物が好ましく、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、エタノールアミン、グリセリン等が挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、上記水溶性樹脂100重量部に対する好ましい下限が20重量部、好ましい上限が75重量部である。
上記保護用水溶性樹脂組成物は、更に、界面活性剤を含有してもよい。上記界面活性剤を用いることで、保護用水溶性樹脂組成物の塗布性及び保存安定性を高めることができる。
上記界面活性剤は、水溶性であれば特に限定されず、ノニオン系、カチオン系、アニオン系及び両性系のうちのいずれであってもよい。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ノニオン系界面活性剤として、例えば、ノニルフェノール界面活性剤、高級アルコール界面活性剤、多価アルコール界面活性剤、ポリオキシアルキレングリコール界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル界面活性剤等が挙げられる。カチオン系界面活性剤として、例えば、第4級アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。アニオン系界面活性剤として、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキル硫酸エステル塩、メチルタウリン酸塩、エーテルスルホン酸塩等が挙げられる。両性系界面活性剤として、例えば、イミダゾリニウムベタイン界面活性剤、アミドプロピルベタイン界面活性剤、アミノジプロピオン酸塩等が挙げられる。
上記保護用水溶性樹脂組成物は、必要に応じて、更に、溶剤を含有してもよく、染料、色素、紫外線吸収剤等のレーザー光吸収剤等を含有してもよい。
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、上記保護用水溶性樹脂組成物で被覆された接着フィルムの外側から、上記半導体ウエハの低誘電層部分に、レーザーダイシングにより溝を形成する工程(2−3)を行い、更に、上記半導体ウエハを、上記溝に沿ってブレードダイシングにより個片化して、上記保護用水溶性樹脂組成物で被覆された接着フィルム付き半導体チップを得る工程(2−4)を行う。
レーザーダイシング又はブレードダイシングを行う方法としては、第1の本発明の半導体装置の製造方法と同様の方法を用いることができる。
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、上記保護用水溶性樹脂組成物を水洗により除去して、接着フィルム付き半導体チップを得る工程(2−5)を行う。
半導体ウエハの個片化後に通常行われる水洗により、上記保護用水溶性樹脂組成物を容易に除去することができる。
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、次いで、上記接着フィルム付き半導体チップを、基板上に熱圧着する工程(2−6)を行う。
上記接着フィルム付き半導体チップを基板上に熱圧着する方法としては、第1の本発明の半導体装置の製造方法と同様の方法を用いることができる。
第2の本発明の半導体装置の製造方法では、工程(2−6)において上記接着フィルムを完全に硬化させてもよいし、工程(2−6)の後、上記接着フィルムを完全に硬化させる工程を別途行ってもよい。上記接着フィルムを完全に硬化させる際の加熱温度は特に限定されないが、150〜200℃程度が好ましい。
以上のような第2の本発明の半導体装置の製造方法によれば、接着フィルムを保護用水溶性樹脂組成物で被覆した状態で、低誘電層部分にレーザーダイシングにより溝を形成するため、レーザーダイシングを行っても接着フィルムの溶融飛散物(デブリ)を生じることがない。そのため、脆い低誘電層が形成された半導体チップを用いた場合であっても高い信頼性を実現することができる。また、保護用水溶性樹脂組成物は、半導体ウエハの個片化後に通常行われる水洗により容易に除去されるものであり、作業工程が煩雑になることもない。
本発明によれば、脆い低誘電層が形成された半導体チップを用いた場合であっても高い信頼性を実現することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
以下の実施例及び比較例では、先端部が半田からなる突起電極が50μmピッチでペリフェラル状に形成され、突起電極面に低誘電層が形成された半導体ウエハ(WALTS−TEG LKB120、半田溶融点235℃、ウォルツ社製)を使用した。また、この半導体ウエハに対応した基板(WALTS−KIT LKB120、ウォルツ社製)を使用した。
(実施例1)
(1.接着フィルムの製造)
表1に記載の配合組成に従って、各材料を溶媒としてのメチルエチルケトン(MEK)に添加し、ホモディスパーを用いて攪拌混合することにより接着剤溶液を製造した。得られた接着剤溶液を、アプリケーターを用いて離型PETフィルム上に乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工し、乾燥することにより、接着フィルムを製造した。使用時まで、得られた接着剤層の表面を離型PETフィルム(保護フィルム)で保護した。
(2.半導体装置の製造:工程(1−1)〜工程(1−4))
半導体ウエハの低誘電層が形成されている側の表面から5μmに、レーザー加工装置(DFL−7160、ディスコ社製)を用いて溝を形成した(工程(1−1))。接着フィルムの片面の保護フィルムを剥がし、真空ラミネーター(ATM−812M、タカトリ社製)を用いて、ステージ温度80℃、真空度80Paで半導体ウエハに接着フィルムを貼り合わせた(工程(1−2))。
離型PETフィルムを剥がし、露出した接着剤面に、通常の研削用保護テープ(エレップホルダーBT3100P、日東電工社製)をラミネートした。次いで、研削装置(DFG8560、ディスコ社製)を用いて、厚みが100μmとなるまで半導体ウエハの裏面を研削(Back Grinding(BG))した。半導体ウエハの研削した面にダイシングテープを貼り付け、研削用保護テープを剥離した。その後、ダイシング装置(DFD651、ディスコ社製)を用いて、送り速度20mm/秒で、予めレーザー加工した溝の上から溝に沿って半導体ウエハを個片化して、厚みが30μmの接着フィルムが付着した接着フィルム付き半導体チップ(10mm□)を得た(工程(1−3))。
フリップチップボンダ(FC−3000、東レエンジニアリング社製)を用いて、ボンディングステージ温度120℃の条件下で、160℃接触で280℃まで昇温し、0.8MPaで2秒間荷重をかけ、得られた接着フィルム付き半導体チップを基板上に熱圧着した(工程(1−4))。常圧170℃オーブンで30分間保持することにより接着フィルムを完全に硬化させて、半導体装置を得た。
(実施例2)
(1.接着フィルムの製造)
実施例1と同様にして、接着フィルムを得た。
(2.半導体装置の製造:工程(2−1)〜工程(2−6))
接着フィルムの片面の保護フィルムを剥がし、真空ラミネーター(ATM−812M、タカトリ社製)を用いて、ステージ温度80℃、真空度80Paで半導体ウエハの低誘電層上に接着フィルムを貼り合わせた(工程(2−1))。
離型PETフィルムを剥がし、露出した接着剤面に、通常の研削用保護テープ(エレップホルダーBT3100P、日東電工社製)をラミネートした。次いで、研削装置(DFG8560、ディスコ社製)を用いて、厚みが100μmとなるまで半導体ウエハの裏面を研削(Back Grinding(BG))した。半導体ウエハの研削した面にダイシングテープを貼り付け、研削用保護テープを剥離した。接着フィルム上に、スピンコーターを用いて乾燥後の厚みが1μmとなるように保護用水溶性樹脂組成物としてのポリビニルアルコール10重量%水溶液を塗布し、乾燥した(工程(2−2))。
レーザー加工装置(DFL−7160、ディスコ社製)を用いて半導体ウエハの表面側の保護用水溶性樹脂組成物で被覆されている表面から深さ5μmの溝を形成した(工程(2−3))。ダイシング装置(DFD651、ディスコ社製)を用いて、送り速度20mm/秒で溝に沿って半導体ウエハを個片化し(工程(2−4))、保護用水溶性樹脂組成物を水洗により除去して、厚みが30μmの接着フィルムが付着した接着フィルム付き半導体チップ(10mm□)を得た(工程(2−5))。
フリップチップボンダ(FC−3000、東レエンジニアリング社製)を用いて、ボンディングステージ温度120℃の条件下で、160℃接触で280℃まで昇温し、0.8MPaで2秒間荷重をかけ、得られた接着フィルム付き半導体チップを基板上に熱圧着した(工程(2−6))。常圧170℃オーブンで30分間保持することにより接着フィルムを完全に硬化させて、半導体装置を得た。
(実施例3)
表1に記載の配合組成に変更した接着フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、半導体装置を得た。
(実施例4)
保護用水溶性樹脂組成物をポリビニルアルコールから表1に記載のポリビニルピロリドンに変更したこと以外は実施例2と同様にして、半導体装置を得た。
(比較例1)
(1.接着フィルムの製造)
表1に記載の配合組成に変更したこと以外は実施例1と同様にして、接着フィルムを得た。
(2.半導体装置の製造)
接着フィルムの片面の保護フィルムを剥がし、真空ラミネーター(ATM−812M、タカトリ社製)を用いて、ステージ温度80℃、真空度80Paで半導体ウエハに接着フィルムを貼り合わせた。
離型PETフィルムを剥がし、露出した接着剤面に、通常の研削用保護テープ(エレップホルダーBT3100P、日東電工社製)をラミネートした。次いで、研削装置(DFG8560、ディスコ社製)を用いて、厚みが100μmとなるまで半導体ウエハの裏面を研削した。半導体ウエハの研削した面にダイシングテープを貼り付け、研削用保護テープを剥離した。ダイシング装置(DFD651、ディスコ社製)を用いて、送り速度20mm/秒で半導体ウエハを個片化して、厚みが30μmの接着フィルムが付着した接着フィルム付き半導体チップ(10mm□)を得た。
フリップチップボンダ(FC−3000、東レエンジニアリング社製)を用いて、ボンディングステージ温度120℃の条件下で、160℃接触で280℃まで昇温し、0.8MPaで2秒間荷重をかけ、得られた接着フィルム付き半導体チップを基板上に熱圧着した。常圧170℃オーブンで30分間保持することにより接着フィルムを完全に硬化させて、半導体装置を得た。
(比較例2)
ダイシング装置(DFD651、ディスコ社製)を用いたダイシングの前に、半導体ウエハの低誘電層が形成されている側の表面から5μmに、レーザー加工装置(DFL−7160、ディスコ社製)を用いて溝を形成したこと以外は比較例1と同様にして、半導体装置を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られたダイシング後の半導体チップ又は半導体装置について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)低誘電層の破壊又は剥離状態の観察
通常のマイクロスコープを用いて、ダイシング後の半導体チップにおける、ダイシングラインの周辺の低誘電層が剥離している領域を観察した。
ダイシングラインから剥離している低誘電層の剥離の最大幅を測長し、50μm以下であった場合を○、50μm以上であった場合を×とした。
(2)接着フィルムの溶融飛散物(デブリの有無)の観察
通常のマイクロスコープを用いて、ダイシング後の半導体チップにおけるダイシングラインの周辺を観察した。ダイシングした全てのラインで観察を行い、10μm以上の大きさのデブリの有無を評価した。
(3)信頼性評価(TCT試験)
半導体装置について−55℃〜125℃(30分/サイクル)の冷熱サイクル試験を行い、100サイクルごとに導通抵抗値を測定した。導通抵抗値が、冷熱サイクル試験前の初期導通抵抗値に比べ5%以上変化した時点をNG判定とし、5%未満の導通抵抗値が保たれていたサイクル数を評価した。サイクル数が1000サイクル以上であった場合を○、300サイクル以上1000サイクル未満であった場合を×とした。
Figure 2014068007
本発明によれば、脆い低誘電層が形成された半導体チップを用いた場合であっても高い信頼性を実現することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. 突起電極面に低誘電層が形成された半導体ウエハの低誘電層部分に、レーザーダイシングにより溝を形成する工程(1−1)、
    前記半導体ウエハの低誘電層上に、接着フィルムを供給する工程(1−2)、
    前記半導体ウエハを、前記溝に沿ってブレードダイシングにより個片化して、接着フィルム付き半導体チップを得る工程(1−3)、及び、
    前記接着フィルム付き半導体チップを、基板上に熱圧着する工程(1−4)を有する
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 突起電極面に低誘電層が形成された半導体ウエハの低誘電層上に、接着フィルムを供給する工程(2−1)、
    前記接着フィルムを、保護用水溶性樹脂組成物で被覆する工程(2−2)、
    前記保護用水溶性樹脂組成物で被覆された接着フィルムの外側から、前記半導体ウエハの低誘電層部分に、レーザーダイシングにより溝を形成する工程(2−3)、
    前記半導体ウエハを、前記溝に沿ってブレードダイシングにより個片化して、前記保護用水溶性樹脂組成物で被覆された接着フィルム付き半導体チップを得る工程(2−4)、
    前記保護用水溶性樹脂組成物を水洗により除去して、接着フィルム付き半導体チップを得る工程(2−5)、及び、
    前記接着フィルム付き半導体チップを、基板上に熱圧着する工程(2−6)を有する
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017054907A (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 株式会社ディスコ ウエーハの加工方法

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